特許第6345420号(P6345420)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6345420組織を固定するための外科的構造体及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6345420
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】組織を固定するための外科的構造体及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20180611BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   A61B17/04
   A61B17/56
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-268840(P2013-268840)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2014-128668(P2014-128668A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2016年12月26日
(31)【優先権主張番号】13/728,044
(32)【優先日】2012年12月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507083478
【氏名又は名称】デピュイ・ミテック・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】メフメット・ゼット・センガン
【審査官】 宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−110712(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0082805(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0059417(US,A1)
【文献】 特開平06−007422(JP,A)
【文献】 特表2008−543509(JP,A)
【文献】 米国特許第7875043(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04 − 17/062
A61B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸構造体であって、
第1の長さを有する第1の肢部と、
前記第1の長さよりも短い第2の長さを有する第2の肢部と、
前記第1の肢部の体積内に配設される前記第2の肢部の末端部によって形成される同軸領域と、
前記第1の肢部及び前記第2の肢部によって画定される折り畳み式スネアと、
を備え、前記折り畳み式スネアが、前記同軸領域の一方の側に位置付けられ、前記第1の肢部の末端部が、前記同軸領域の他方の側に配設され
前記第1の肢部及び前記第2の肢部によって画定され、摺動可能な結び目を更に含み、前記スネアによって画定される開口部の寸法は前記摺動可能な結び目を同軸領域から離れるように移動させることによって減少させることができ、かつ前記開口部の前記寸法は前記摺動可能な結び目を前記同軸領域に向かうように移動させることによって増加させることができるようになっている、縫合糸構造体。
【請求項2】
前記同軸領域の長さが、前記同軸領域の前記他方の側から延在する前記第1の肢部の長さよりも実質的に短い、請求項1に記載の縫合糸構造体。
【請求項3】
前記同軸領域の前記長さが、前記スネアが位置付けられる前記同軸領域の前記側上の前記第1及び前記第2の肢部の長さよりも実質的に短い、請求項に記載の縫合糸構造体。
【請求項4】
前記同軸領域が、外科位置での前記縫合糸構造体の配置後に解体されるように構成され、したがって、前記第1及び前記第2の肢部が、前記縫合糸構造体の位置を固定するために使用され得る、請求項1に記載の縫合糸構造体。
【請求項5】
フィラメント係合機構を有する縫合糸アンカーを更に備え、前記構造体の一部が、前記フィラメント係合機構の一部の周囲に摺動可能に配設される、請求項1に記載の縫合糸構造体。
【請求項6】
前記スネアが、前記アンカーの1つの側から延在し、前記同軸領域が、前記アンカーの別の側から延在する、請求項に記載の縫合糸構造体。
【請求項7】
前記同軸領域の前記他方の側に配設される前記第1の肢部の前記一部が、前記アンカーの両側から延在するように、前記同軸領域の前記他方の側に配設される前記第1の肢部の前記一部が、前記アンカーの前記フィラメント係合機構を係合する、請求項に記載の縫合糸構造体。
【請求項8】
前記第1の肢部が、前記同軸領域でカニューレ状にされる、請求項1に記載の縫合糸構造体。
【請求項9】
前記第1の肢部及び前記第2の肢部が、1つの外科用フィラメントの部分である、請求項1に記載の縫合糸構造体。
【請求項10】
前記外科用フィラメントが、編組縫合糸を含む、請求項に記載の縫合糸構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、軟組織を骨に固定するための外科的構造体及び方法に関し、より具体的には、組織を引っ張り、且つ固定するために結び目作りを最低限に抑えるか、又は排除しながら、軟組織の固定に用いるプロファイルを減少させた外科的構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的損傷、特に運動選手及び高齢者における損傷は、腱、靭帯、又は他の軟組織の骨からの完全な又は部分的脱離である。組織の剥離は、過剰な運動によって、又は他の様々な理由で転倒時に発生し得る。組織が付属する骨から完全に剥離した場合には、しばしば外科的介入を必要とする。組織付着用に現在利用可能なデバイスには、ねじ、ステープル、縫合糸アンカー及びタックが挙げられる。加齢の進む患者のために現在利用可能なデバイスは特に不十分な場合があり、これは、柔らかく脆弱な骨が、アンカーと骨の間、及びアンカーが連結されたアンカーとフィラメントの間に、不十分な固着をもたらすからである。
【0003】
1つ又は2つ以上の外科用フィラメントから作製された修復構造体は、典型的には、所望の位置内の組織を固定するために、軟組織修復術において使用される。修復構造体は、典型的には、修復される組織の1つ又は2つ以上の部分を通して配設され、これは、組織に対する外傷を引き起こす可能性があり、且つ多くの場合、組織が接近する骨内に配設されるアンカーに連結される。デバイス及び技術が、修復構造体を組織に通すことに関連した外傷を最小限に抑える助けとなるよう開発されているが、更なる改善の余地が依然として存在する。例えば、いくつかの修復構造体は、典型的には、構造体のフィラメントの肢部の少なくとも一部の周囲に配設されるスリーブを含む。スリーブは、組織に対する外傷を最小限に抑えるのに役立つと同時に、縫合糸の肢部の管理にも役立ち得、一方で、構造体は、組織を通して配設される。しかしながら、スリーブは、依然として、構造体に追加の寸法及びコストを増大させる。更に、軟組織の修復術を行う際に、修復構造体と共に使用される結び目の数を最小限に抑えたいという要望が存在する。例えば摺動結び目などの様々な異なった結び目を使用して、骨に対して軟組織を引き寄せて、固定することを支援できる。手術部位で結び目を作ることは一般的であるが、場合によっては、結び目が滑りやすい傾向を有する可能性があり、それが原因で組織と骨の間の張力の損失が引き起こされる場合がある。この欠点は「ループセキュリティ」の損失と呼ばれる場合がある。この「ループセキュリティ」の問題に加えて、従来の結び目は、とりわけ緊密な結合においては、妨害性又は侵襲性でありうる全体的なサイズを典型的に有し、結び目との磨耗によって軟骨若しくは他の組織を傷つける場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、修復構造体の使用に関連した外傷の量を低減させる修復構造体及び方法を提供すると同時に、そのような構造体及び方法が提供し得る保持力を維持又は改善することが望ましい。特に関節鏡下修復術中に、外科医によって作られる結び目の数及び寸法を最小限に抑えるか、又は排除する軟組織修復で用いる構造体及び方法を提供することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概して、軟組織を骨に固定するための外科的構造体及び方法が提供される。例示的な一実施形態において、外科的構造体は、第1の肢部、第1の肢部よりも短い第2の肢部、同軸領域、並びに第1の肢部及び第2の肢部によって画定される折り畳み式スネアを含む。同軸領域は、第1の肢部の体積内に配設される第2の肢部の末端部によって形成され得、スネアは、同軸領域の一方の側に位置し、第1の肢部の末端部は、同軸領域の他方の側に配設される。第1及び第2の肢部は、同一の外科用フィラメントからであり得る。他の実施形態において、第1及び第2の肢部は、別個の外科用フィラメントからであり得る。外科用フィラメント(複数可)は、例えば、編組縫合糸を含み得る。折り畳み式スネアは、同軸領域に向かって、及びこれから離れるように移動することにより、スネアによって画定される開口部の寸法を調整する摺動可能な結び目を含み得る。一実施形態において、スネアによって画定される開口部の寸法は、摺動可能な結び目が同軸領域から離れるように移動するときに減少し、摺動可能な結び目が同軸領域に向かうように移動するときに増大する。
【0006】
構造体の第1の肢部は、同軸領域でカニューレ挿入され得る。同軸領域の長さは、同軸領域の他方の側から延在する第1の肢部の長さよりも実質的に短くあり得る。同軸領域の長さは、スネアが位置付けられる同軸領域側の第1及び第2の肢部の長さよりも実質的に短くあり得る。同軸領域は、外科的位置での縫合糸構造体の配置後、解体されるように構成され得る。これは、例えば、縫合糸構造体に連結された組織が骨に近接した望ましい位置に前進した後、第1及び第2の肢部が縫合糸構造体の位置を固定するために使用されることを可能にし得る。
【0007】
縫合糸構造体は、フィラメント係合機構を有する縫合糸アンカーも含み得る。構造体の一部は、フィラメント係合機構の一部の周囲に摺動可能に配設され得る。いくつかの実施形態において、スネアは、アンカーの1つの側から延在し得、同軸領域は、アンカーの別の側から延在し得る。いくつかの他の実施形態において、同軸領域の他方の側で配設される第1の肢部の一部は、第1の肢部のこの一部がアンカーの両側から延在するように、アンカーのフィラメント係合機構を係合し得る。
【0008】
外科的修復方法の例示的な一実施形態は、第1のフィラメント肢部及び第2のフィラメント肢部によって画定されるスネアを有する外科的修復構造体と、第1のフィラメント肢部の体積内に配設される第2のフィラメント肢部の末端部によって形成される同軸領域とを選択することを含む。本方法は、剥離された軟組織に近接した骨内にアンカーを固定することを更に含み得る。更に、第1のフィラメント肢部の末端部は、剥離された軟組織の一部に通され、アンカーの係合機構の周囲に通され得る。結果として生じる構成は、スネアがアンカーの1つの側から延在し、第1のフィラメント肢部の末端部がアンカーの別の側から延在する構成であり得る。なお更に、本方法は、第1のフィラメント肢部の末端部をスネアに通すこと、スネアを折り畳んで、軟組織を係合すること、折り畳まれたスネアを遠位に前進させて、組織を骨と近接させること、及び第1のフィラメント肢部の体積から第2のフィラメント肢部の末端部を除去して、同軸領域を排除することを含み得る。その後、第1及び第2のフィラメント肢部は、折り畳まれたスネアに近接して1つ又は2つ以上の結び目を作り、骨に近接した所望の位置で組織を保持するために使用され得る。しかしながら、通す段階、折り畳む段階、及び前進させる段階は、第1又は第2のフィラメント肢部において結び目を作ることなく達成され得る。
【0009】
いくつかの実施形態において、外科的修復構造体の第1の端部及び外科的修復構造体の第2の端部のうちの少なくとも1つは、外科用カニューレに通され得る。更に、いくつかの実施形態において、本方法は、第1のフィラメント肢部の末端部を、剥離された軟組織の第2の部分に通すことを含み得る。スネアを折り畳む段階は、同軸領域から延在し、且つスネアから同軸領域の反対側に配設される第1のフィラメント肢部の周囲でスネアを折り畳むことを含み得る。あるいは、いくつかの実施形態において、第1のフィラメント肢部の末端部をスネアに通す段階は、同軸領域をスネアに通すことを含み得、スネアを折り畳むことは、スネアを、それを通って配設される第1のフィラメント肢部及び第2のフィラメント肢部の周囲で折り畳むことを更に含み得る。
【0010】
骨内で固定されるアンカーは、係合機構に摺動可能に連結される縫合糸シャトルフィラメントを含み得る。縫合糸シャトルフィラメントは、自由端及び受容端を有し得、第1のフィラメント肢部の末端部を剥離された軟組織の一部に通す段階の前に、アンカーに連結され得る。そのような実施形態において、第1のフィラメント肢部の末端部を剥離された軟組織の一部に通して、アンカーの係合機構の周囲に通す段階は、縫合糸シャトルフィラメントに依存し、外科的修復構造体を移動させるのに役立ち得る。より具体的には、第1のフィラメントの末端部は、縫合糸シャトルフィラメントの受容端に連結され得、縫合糸シャトルフィラメントの自由端に力が加えられ、縫合糸シャトルフィラメントの受容端、ひいては、第1のフィラメント肢部の末端部をアンカーの係合機構に向かうように移動させ、その後、その周囲で移動させ得る。その後、縫合糸シャトルフィラメントは、アンカーの係合機構の周囲を通り、これと接触しなくなり、それによって、外科的修復構造体が係合機構と直接接触することを可能にし得る。最終的に、結果として生じる構成は、上述のものと同一であり、スネアは、アンカーの1つの側から延在し、同軸領域は、アンカーの別の側から延在する。いくつかの実施形態において、縫合糸シャトルフィラメントは、剥離された軟組織を通って2つの位置に配設され得る。結果として、外科的修復構造体は同様に、縫合糸シャトルフィラメントの自由端に力を加える段階の後に、剥離された軟組織を通って2つの位置に配設され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、以下の詳細な説明を付属の図面と併せ読むことでより完全な理解がなされるであろう。
図1A】外科的修復構造体の例示的な一実施形態の概略図である。
図1B図1Aの外科的修復構造体の同軸領域の詳細図である。
図1C】構造体の一部の潜在的長さの非限定的な一実施例を図示する図1Aの外科的修復構造体の概略図である。
図2】縫合糸アンカーに連結される図1Aの外科的修復構造体の概略図である。
図3図2の縫合糸アンカーに連結される縫合糸シャトルフィラメントの概略図である。
図4A図1Aの外科的修復構造体を用いて組織を骨に固定するための例示的な一実施形態の連続図である。
図4B図1Aの外科的修復構造体を用いて組織を骨に固定するための例示的な一実施形態の連続図である。
図4C図1Aの外科的修復構造体を用いて組織を骨に固定するための例示的な一実施形態の連続図である。
図4D図1Aの外科的修復構造体を用いて組織を骨に固定するための例示的な一実施形態の連続図である。
図4E図1Aの外科的修復構造体を用いて組織を骨に固定するための例示的な一実施形態の連続図である。
図4F図1Aの外科的修復構造体を用いて組織を骨に固定するための例示的な一実施形態の連続図である。
図4G図1Aの外科的修復構造体を用いて組織を骨に固定するための例示的な一実施形態の連続図である。
図4H図1Aの外科的修復構造体を用いて組織を骨に固定するための例示的な一実施形態の連続図である。
図4I図1Aの外科的修復構造体を用いて組織を骨に固定するための例示的な一実施形態の連続図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ある例示的な実施形態は、本明細書に開示される構造体及び方法の構造、機能、製造、並びに使用の原理の全体的な理解を提供するためにここで説明される。これらの実施形態の1以上の例を添付図面に示す。当業者であれば、本明細書に具体的に説明され、且つ添付の図面に示される構造体及び方法が、非限定的な例示の実施形態であり、本発明の範囲が特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。例示的な一実施形態との関連において例示又は説明された特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。かかる修正及び変更は本発明の範囲内に含まれるものと意図される。更に、線形又は円形寸法が、開示された構造体及び方法の説明において使用される範囲で、そのような寸法は、そのような構造体及び方法と共に使用され得る形状の種類を限定するようには意図されない。当業者であれば、任意の幾何学的形状についてこうした直線的及び円形の寸法に相当する寸法を容易に決定することが可能である点は認識されるところであろう。構造体の寸法及び形状、並びにその構成要素は、構造体が使用される対象の解剖学的形態、構造体が使用される構成要素の寸法及び形状、並びに構造体が使用される方法及び手技に少なくとも依存し得る。
【0013】
本明細書で提供される図面は、必ずしも正確な縮尺通りではない。更に、構成要素が引っ張られるか、又は引かれる方向を説明するために矢印が使用される範囲で、これらの矢印は、例示的なものであり、それぞれの構成要素が引っ張られるか、又は引かれる方向を決して限定するものではない。当業者であれば、所望の張力又は移動をもたらすための他の方法及び方向を認識するであろう。同様に、一部の実施形態では、1つの要素の運動は別の要素に対して説明されるが、当業者であれば他の運動も可能である点は認識されるであろう。非限定的な例として、摺動結び目がスネアを画定する助けとなるよう使用される実施形態において、当業者であれば、異なる結び目構成が、結び目を1つの方向に移動させることがスネアによって画定される開口部の寸法を増大又は減少させるかを変化させ得ることを理解するであろう。更に、多様な用語が開示全体を通して互換的に使用される場合があるが、このことは当業者には理解されるであろう。非限定的な実施例として、用語「縫合糸」及び「フィラメント」は、同義に使用され得る。
【0014】
概して、軟組織修復のための外科的修復構造体及び方法が提供され、それらは、概して、外科的手術中に結び目を作ることを最小限に抑え、且つ/又は排除するために様々な様式で構成される外科用フィラメントの使用を伴う。本明細書に記載される構造体は、回旋腱板及び不安定性修復術、並びに他の種類の腱及び組織修復術等のいくつかの異なる外科的手術で用いる優れた強度を提供する。本明細書に記載される構造体の設計は、特に薄い型を有し、それによって、構造体が組織への最低限の外傷で組織を通り、結び目を作ることなく組織に合併することを可能にする。薄型は、フィラメントの1つの肢部を別の肢部に挿入し、任意の種類のスリーブを排除することによってもたらされ、これは、多くの場合、組織を通るフィラメントの肢部の往復を支援するために使用される。更に、構造体の設計は、組織を通して構造体を送り出すか、又はさもなければ構造体を組織と合併させるために使用されるフィラメントの数を制限するものである。記載されるように、フィラメントの単一の肢部は、骨に付着される組織に構造体を合併するために使用され、それによって、縫合糸管理において外科医を支援し得る。
【0015】
図1Aの外科的修復構造体10の例示的な一実施形態によって示されるように、本開示の構造体は、概して、折られて、第1の肢部12及び第2の肢部14を形成する、単一の細長いフィラメントから形成される。第1の肢部12は、概して、第2の肢部14よりも長くあり得、2つの肢部は、以下により詳細に記載されるスネア20及び同軸領域30の両方を形成するために使用され得る。スネア20は、構造体10の第1の端部10a上に配設され、構造体10の反対端10bを受容するように構成され得、その開口部22内に配設される構造体の一部の周囲で折り畳むように作動可能である。同軸領域30は、概して、より短い第2の肢部14が第1の肢部12の体積内に配設されることを可能にするように構成され、それによって、スリーブ等の縫合糸管理のために任意の更なる構成要素を排除する。その後、第1の肢部12は、同軸領域30を越えて延在し、構造体10の尾部40を形成し得る。尾部40は、外科医が外科的手術のために所望の位置に構造体10を挿入するのに役立ち得る。
【0016】
折り畳み式スネア20は、当業者に既知の任意の数の技術を使用して形成され得る。例示される実施形態において、第1及び第2の肢部12、14は、摺動結び目24を含むように形成される。摺動結び目24は、同軸領域30に向かうように移動するとき、スネア20によって画定される開口部22の寸法が増大し、且つ結び目24が同軸領域30から離れるように移動するとき、開口部22の寸法が減少するように構成される。いくつかの例示的な結び目の種類として、バントラインヒッチ(Buntline Hitch)、テネシースライダー(Tennessee Slider)、ダンカンループ(Duncan Loop)、及びハングマン結び(Hangman's Noose)が挙げられる。当業者であれば、他の構成において、スネアによって画定される開口部の寸法が結び目の種類、所望の使用等に応じて、異なる様式で調整され得ることを理解するであろう。いくつかの例示的なスネア及びその形成は、Sengunらの米国公開特許出願第2012/0130424号、及び2012年5月7日出願の米国特許出願第13/465,288号、表題「Systems,Devices,and Methods for Securing Tissue」に記載されており、これらの内容は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0017】
更に、いくつかの実施形態において、スネア保持部材(図示せず)は、スネア20と同軸領域30との間の第1及び第2の肢部12、14にわたって配設され、例えば、構造体10が組織を通して移動される間に、スネア20の開口部22の意図的ではない折り畳みを阻止し得る。スネア保持部材は、2012年5月7日出願の米国特許出願第13/465,299号、表題「Systems,Devices,and Methods for Securing Tissue」に記載される可撓性部材又はピン等の可撓性部材又はピンを含み得、その内容は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0018】
例示される実施形態における同軸領域30は、第2の肢部14の末端部14tを第1の肢部12の体積内に通すことによって形成される。図1Bに示されるように、第1の肢部12の少なくとも一部は、カニューレ挿入され、第1の肢部12の側上の開口部16は、第2の肢部14が第1の肢部12内に配設されることを可能にし得る。開口部16は、第2の肢部14を受容するための間隙が存在するように、第1の肢部12の側に孔を手動で形成し、第1の肢部12の芯を除去することによって作製され得る。あるいは、第1の肢部12のフィラメントは、同軸領域30の一部である第1の肢部12の少なくとも一部から除去された芯との編組縫合糸であり、それによって、第1の肢部12が第2の肢部14を受容することを可能にし得る。他の実施形態において、編組であるか、又は別の方法で処理されたフィラメントの芯は、除去されず、第2の肢部14は、依然として、当業者に既知の技術を用いて第1の肢部12内に配設される。第2の肢部14が第1の肢部12を係合する接合部18は、自己保持接合部であり得る。結果として、外科的構造体10の尾部40を引いても、第2の肢部14は第1の肢部12から引き出されない。むしろ、尾部40を引くことで、実際には、第1の肢部12を第2の肢部14の周囲で折り畳ませ、それによって、2つの肢部12と14との間に十分な摩擦を提供し、それらを一緒に保持し得る。しかしながら、2つの肢部12及び14は、十分な量の力を加えることによって、接合部18において手動で分離され得る。例示される実施形態において、接合部18は、第2の肢部14の末端部14tを第1の肢部12の一部に挿入することによって形成されるが、当業者であれば、接合部が本開示の精神を逸脱することなく形成され得る他の方法を理解するであろう。
【0019】
構造体10の尾部40は、同軸領域30を越えて延在する第1の肢部12の残存する一部によって形成される。尾部40は、組織内への構造体10の挿入を導くことを支援するように使用され、とりわけ、組織修復術中に、構造体10を縫合糸アンカーに連結し、構造体10の第2の端部10bをスネア20の開口部22内に導き得る。したがって、尾部40の長さ及び厚さは、外科手術中に構造体10の力強い往復を確実にするものであり得る。
【0020】
第1及び第2の肢部12及び14を形成するために用いられるフィラメントは、カニューレ挿入されるフィラメント、編組フィラメント、及びモノフィラメントを含むフィラメントとして典型的に使用される任意の種類及び材料であり得る。フィラメントの種類及び強度は、存在する場合、通されるか、又は連結されるアンカー、組織、及び他の構成要素、並びにそれが使用される手技の種類等の構造体の他の材料に少なくともある程度依存し得る。例示的な一実施形態において、フィラメントは、325 Paramount Drive、Raynham,Massachusetts 02767のDePuy Mitek,Inc.から商業的に入手可能であるOrthocord(商標)フィラメント、又はRoute 22 West,Somerville,NJ 08876のEthicon,Inc.から商業的に入手可能であるEthibond(商標)フィラメント等の#0フィラメントである(約26ゲージ〜約27ゲージ)。フィラメントの芯の一部は、同軸領域30内で用いるための第1の肢部12のカニューレ挿入される部分を形成するために除去され得る。フィラメントの厚さは、接続強度を提供するが、同時に、それが通る組織に対して引き起こされる外傷を最小限に抑えるはずである。幾つかの実施形態では、このフィラメントは、約#5フィラメント(約20ゲージ〜約21ゲージ)と約#3〜0フィラメント(約29ゲージ〜約32ゲージ)の間の寸法を有することができる。Orthocord(商標)縫合糸は、約55〜65パーセントのPDS(商標)ポリジオキサノンであり、これは生体吸収性であり、残りの35〜45パーセントは超高分子量ポリエチレンであり、一方、Ethibond(商標)縫合糸は、主として高強度なポリエステルである。本開示のフィラメントにおいて利用される生体吸収性材料の量及びタイプは(存在する場合)、主に、実施される特定の外科手術に対する外科医の好みの問題である。更に、例示される実施形態において、第1及び第2の肢部12、14を形成するために単一のフィラメントが使用されるが、別個のフィラメントが、本明細書において提供される本公開の趣旨を逸脱することなく、第1及び第2の肢部12、14のそれぞれのために使用され得る。
【0021】
構造体10の様々な部分の長さは、同様に、少なくとも部分的には、他の材料の構造体、ある場合には、通され、又は連結される組織及び他の構成要素、構造体の様々な部分の長さ、並びに構造体が使用される手技の種類に依存し得る。様々な部分は、スネア20が位置付けられる、同軸領域30の側上の第1及び第2の肢部12、14、同軸領域30、及び尾部40の一部を含む。例示される実施形態において、同軸領域30は、尾部40、及びスネア20が位置付けられる同軸領域30の側上の第1及び第2の肢部12、14の一部の両方よりも実質的に短い。図1Cは、結び目24と同軸領域30の1つの端部30aとの間の領域の長さL、同軸領域30の長さL、及び同軸領域30の他の端部30bから第1の肢部12の末端部12tへの長さLを比較する、可能な比例長スキームの1つの略図を提供する。示されるように、長さLは、約43.2cm(17インチ)であり得、長さLは、約5.1cm(2インチ)であり得、長さLは、約35.6cm(14インチ)であり得る。当業者であれば、これらの長さが手術の経過中に変化し得ることを理解するであろう。例えば、摺動結び目24が同軸領域30に向かって、又はこれから離れて選択的に移動されるとき、長さLは変化するであろう。同様に、外科医は、長さL及びLを手動で調整し得る場合がある。更に、図1Cの例示される実施形態において提供される長さは、長さL、L、及びLの値をいかなる様式でも限定しない。一般的に、長さLは、およそ、約12.7cm(5インチ)〜約76.2cm(30インチ)の範囲であり得、長さLは、およそ、約1.3cm(0.5インチ)〜約20.3cm(8インチ)の範囲であり得、長さLは、およそ、約15.2cm(6インチ)〜約101.6cm(40インチ)の範囲であり得る。
【0022】
図2に示されるように、構造体10は、縫合糸アンカー50に連結され得る。縫合糸アンカー50は、アンカー50の遠位端50dで配設されるフィラメント係合機構52等の1つ又は2つ以上のフィラメント係合機構を含み得る。例示される実施形態において、スネア20はアンカーの一方の側から延在し、同軸領域30はアンカーの他方の側から延在する。しかし、他の実施形態において、例えば、図4Dに例示され、以下に更に記載されるように、尾部40がアンカーの両方の側から延在するように、尾部40は、アンカー50のフィラメント係合機構52と係合され得る。そのような構成は、結び目24と同軸領域30との間に延在する第1及び第2の肢部12、14の一部が結合部間隙内に存在しないことを可能にし、それによって、アンカー50から生じる肢部の数を最小限に抑えることによって縫合糸管理に役立ち得る。
【0023】
以下により詳細に記載されるように、いくつかの実施形態において、構造体10は、外科的位置へのアンカー50の挿入前に縫合糸アンカー50上で前搭載され得るが、一方で他の実施形態において、構造体10は、アンカーが外科的位置に位置付けられた後に、縫合糸アンカー50上へと搭載される。当業者であれば、多様な縫合糸アンカーの種類が本明細書において提供される構造体と共に使用され得ることを理解するであろう。例えば、いくつかの実施形態において、アンカーは、DePuy Mitek,Inc.から商業的に入手可能である、Gryphon(商標)アンカーであり得る。本明細書に記載される構造体は、Gryphon(商標)アンカー上へと単一搭載又は二重搭載され得る。
【0024】
本明細書に記載される構造体10の構成の結果として、構造体10と共に使用されるアンカーは、少なくとも、構造体のより小さい直径又は厚さがアンカーに関連付けられ得るため、組織修復において使用された以前のアンカーより小さくあり得る。更に、Gryphon(商標)アンカーは、本明細書において提供される開示と共に使用され得るアンカーの種類の非限定的実施例であるのみである。他の種類の硬質又は軟質アンカーも使用され得る。そのようなアンカーのいくつかの実施例としては、DePuy Mitek,Inc.から商業的に入手可能であるHealix Ti(商標)アンカー、並びに2012年5月7日出願の米国特許出願第13/465,376号、表題「Systems,Devices,and Methods for Securing Tissue Using Snare Assemblies and Soft Anchors」及び2012年9月20日出願の米国特許出願第13/623,429、表題「Systems,Devices,and Methods for Securing Tissue Using Hard Anchors」に記載されるアンカーが挙げられ、その全ての内容が参照によって組み込まれる。
【0025】
図3は、縫合糸アンカー50に連結される縫合糸シャトルフィラメント60の例示的な一実施形態を図示する。この場合もやはり、実質上、任意の種類の縫合糸アンカーが本明細書で提供されるシャトル及び構造体と共に使用され得るが、例示されるアンカー50は、Healix(商標)アンカーである。シャトル60は、シャトル60の第1の端部60aがアンカー50の一方の側から延在し、シャトル60の第2の端部60bがアンカー50の他方の側から延在するように、フィラメント係合機構52でアンカー50と摺動可能に係合され得る。第1の端部60aは、図1Aの修復構造体10などの修復構造体と連結されるように構成することができる。示されるように、第1の端部60aは固定ループ62を含むが、その他の好適な連結機構が、本開示の趣旨を逸脱することなく、第1の端部60aで使用され得る。例えば、第1の端部60aは、修復構造体の周囲に締め付けるためのクリップ又はそれに類する要素を有し得る。他の実施形態において、ループ62は、折り畳み式スネアであり得る。修復構造体10が第1の端部60aに連結された後、図4A〜4Dに関連して後述するように第2の端部60bを用いて修復構造体10を所望の位置に配置することができる。
【0026】
図3の縫合糸シャトルフィラメント60と共に図1Aの修復構造体10を使用して、回旋腱板修復を行うための方法の例示的な一実施形態は、図4A〜4Iに図示される。皮膚100に外科的開口部を形成し、ここからカニューレを通して当業者には周知の方法で外科的修復部位を形成することができる。カニューレは、それを通して手順が実施され得る通路を画定するよう頻繁に使用され得るが、図の簡略化のために、図4A〜4Iにカニューレは示されていない。したがって、図が皮膚100を通る構造体の構成要素を示す限りにおいて、これらの構成要素は、典型的に、カニューレを通って延在し、カニューレ自体は皮膚100に通させられるであろう。更に、本明細書に記載される構造体及び方法は、関節鏡下手術等の最低限に侵襲性の手術のために特に有用であるが、開放的外科的手術においても使用され得る。
【0027】
図4Aに示されるように、図3に例示されるアンカー50及び縫合糸シャトルフィラメント60は、アンカー50を定位置にねじ止め又はタップするためのドライバを使用することによって等、通常の技術を使用して骨102内に固定され得る。他の実施形態において、縫合糸シャトルフィラメント60は、アンカー50が所望の位置に位置付けられた後に、アンカー50に摺動的に連結され得るが、例示される実施形態において、縫合糸シャトルフィラメント60は、中に形成されたループ62を有する第1の端部60aを含み、それにすでに連結されている。
【0028】
図4Bに示されるように、縫合糸シャトルフィラメント60の第1及び第2の端部60a、60bは、腱104等の剥離された軟組織に通され得る。図4Cに示されるように、図1Aの修復構造体10の尾部40の一部は、ループ62に通され、それによって少なくとも一時的に、修復構造体10をシャトル60に連結し得る。その後、ほぼ方向Aの力が第2の端部60bに加えられ、第1の端部60aを、ひいては、修復構造体10を、第1の位置で腱104を通して、フィラメント係合機構52の周囲に、そして第2の位置で腱104を通して引き得る。結果として、図4Dに示されるように、尾部40は、フィラメント係合機構52の周囲に配設され得、尾部40の長さに応じて、アンカー50の両方の側上に延在し得る。一度縫合糸シャトルフィラメント60が、外科医が尾部40を把持することを可能にする位置に構造体10を手動又は外科用器具の使用によって移動すると、縫合糸シャトルフィラメント60は、修復構造体10から分離され得る。その後、尾部40は、例えば、方向Bで力を加えることによって、構造体10を所望の位置に継続して往復させるように使用され得る。あるいは、シャトル60は、シャトル60が構造体10から分離され得る前に、構造体10を構造体10のための所望の位置に往復させるために、継続して使用され得る。構造体10のための1つの非限定的な、例示的位置が図4Eに示され、スネア20は、アンカー50の一方の側上に配設され、同軸領域30は、アンカー50の他方の側上に配設され、第1及び第2の肢部12、14の一部は、フィラメント係合機構52との摺動係合の際にスネア20と同軸領域30との間に配設される。
【0029】
図4Fに示されるように、尾部40及び同軸領域30は、スネア20と同軸領域30との間に配設される第1及び第2の肢部12、14の一部がスネア20の開口部22内に配設され、それによって、それを通して構造体10が配設される腱104が、捕捉されることを可能にするように、スネア20に通され得る。その後、スネア20は、それを通して配設される第1及び第2の肢部12、14の一部の周囲に折り畳まれ、又は結ばれ、スネア20は、同軸領域30の遠位のままであり得る。スネア保持部材が構造体10の一部を通して配設され、スネア20の意図的な折り畳みを阻止する実施形態において、スネア保持部材は、スネア20を折り畳む前に除去され得る。
【0030】
あるいは、他の実施形態において、第1の肢部12の一部のみがスネア20の開口部22内に配設され、それによって、それを通して構造体10が配設される腱104が捕捉されることを可能にするように、尾部40のみがスネアに通され得る。その後、スネア20は、それを通して配設される尾部40の一部の周囲に折り畳まれ、又は結ばれ得る。そのような実施形態において、同軸領域30は、スネア20の遠位であるが、スネア20は、図4Gに関して以下に記載されるように、次いで、腱に向かって摺動され、同軸領域30がスネア20の近位になることを可能にし得る。
【0031】
図4Gに示されるように、ほぼ方向Cで引くことによって構造体10の第2の端部10bに張力が加えられ、それによって、スネア20が腱104に近接するまで、折り畳まれたスネア20にジップライン様の様式で腱104に向かって遠位に摺動させ得る。あるいは、スネア20が絞られる前であって、スネア20が腱104に隣接した後に第2の端部10bに張力を加えてもよく、又は、スネア20を腱104に近づく方向にジップラインのように動かす前にスネア20を部分的に絞るなど、上記2つの動作の特定の組み合わせを用いることもできる。
【0032】
図4Hに示されるように、同軸領域30は、第2の肢部14の末端部14tが第1の肢部12の体積内に最早配設されないように、分解され得る。分解は、例えば、第2の肢部14を第1の肢部12から除去又は引き出すことによって、接合部18で行われ得る。あるいは、同軸領域30は、同軸領域30の遠位の位置で肢部12及び14を切断することによって完全に除去され、それによって、肢部12及び14の一部を残し得る。どちらの例においても、その後、肢部12及び14は、図4Iに例示されるように、締められ、又は別途一緒に結ばれ、折り畳まれたスネア20を、ひいては、腱104の位置を骨に対して固定する際に役立ち得る。例示される実施形態において、第1及び第2の肢部12、14を使用して、外科医によって半ヒッチ結び19が形成される。第2の半ヒッチ結びは、第1の半ヒッチ結び19の位置をロックするように形成され得る。
【0033】
例示される実施形態において、構造体10は腱104の2つの部分を通されるが、別の方法としては、構造体10は、腱又は組織の1つの部分のみを通され得、一方構造体10の第2の部分は、腱又は組織から自由であり得る。そのような実施形態は、例えば、上唇修復中に使用され得る。いくつかの実施形態において、組織を通らず、スネア20の意図的ではない折り畳みの可能性を最小限に抑えるために上にスネア20が位置付けられる端部10aを有することが有用であり得るが、2つの端部10a、10bのいずれかは、腱又は組織を通されない端部であり得る。更に、いくつかの実施形態において、組織に通すよりもむしろ、修復構造体10は、例えば、構造体を組織の周囲に包むことによって等、他の方法を使用して組織に連結され得る。
【0034】
なお更に、図4A〜4Iに関連して記載される方法は、縫合糸シャトルフィラメント60を使用して、アンカー50に対する所望の位置に構造体10を位置付けるが、他の実施形態において、構造体10は、カニューレを通して挿入されるアンカー50及び外科的位置に事前に連結され得る。そのような実施形態において、例示的な方法は、図4D又は4Eで開始し、構造体10は、アンカー50にすでに連結され、アンカー50は、アンカー50を定位置にねじ止め又はタップするためのドライバを使用することによって等、通常の技術を使用して骨102内に固定され得る。
【0035】
上記に述べた実施形態に基づく本発明の更なる特徴及び利点は、当業者には認識されるところであろう。したがって、本発明は、付属の特許請求の範囲によって示される場合を除いて、具体的に図示及び説明した内容によって限定されるものではない。更に、本明細書において提供される構造体及び方法は、一般に、外科的技術を対象とするが、構造体及び方法の少なくともいくつかは、外科的分野以外の用途で使用され得る。本明細書に引用される全ての刊行物及び文献は、それらの全容を本明細書に援用するものである。
【0036】
〔実施の態様〕
(1) 縫合糸構造体であって、
第1の長さを有する第1の肢部と、
前記第1の長さよりも短い第2の長さを有する第2の肢部と、
前記第1の肢部の体積内に配設される前記第2の肢部の末端部によって形成される同軸領域と、
前記第1の肢部及び前記第2の肢部によって画定される折り畳み式スネアと、
を備え、前記折り畳み式スネアが、前記同軸領域の一方の側に位置付けられ、前記第1の肢部の末端部が、前記同軸領域の他方の側に配設される、縫合糸構造体。
(2) 前記折り畳み式スネアが、摺動可能な結び目を含み、前記スネアによって画定される開口部の寸法は前記摺動可能な結び目を同軸領域から離れるように移動させることによって減少させることができ、かつ前記開口部の前記寸法は前記摺動可能な結び目を前記同軸領域に向かうように移動させることによって増加させることができるようになっている、実施態様1に記載の縫合糸構造体。
(3) 前記同軸領域の長さが、前記同軸領域の前記他方の側から延在する前記第1の肢部の長さよりも実質的に短い、実施態様1に記載の縫合糸構造体。
(4) 前記同軸領域の前記長さが、前記スネアが位置付けられる前記同軸領域の前記側上の前記第1及び前記第2の肢部の長さよりも実質的に短い、実施態様3に記載の縫合糸構造体。
(5) 前記同軸領域が、外科位置での前記縫合糸構造体の配置後に解体されるように構成され、したがって、前記第1及び前記第2の肢部が、前記縫合糸構造体の位置を固定するために使用され得る、実施態様1に記載の縫合糸構造体。
【0037】
(6) フィラメント係合機構を有する縫合糸アンカーを更に備え、前記構造体の一部が、前記フィラメント係合機構の一部の周囲に摺動可能に配設される、実施態様1に記載の縫合糸構造体。
(7) 前記スネアが、前記アンカーの1つの側から延在し、前記同軸領域が、前記アンカーの別の側から延在する、実施態様6に記載の縫合糸構造体。
(8) 前記同軸領域の前記他方の側に配設される前記第1の肢部の前記一部が、前記アンカーの両側から延在するように、前記同軸領域の前記他方の側に配設される前記第1の肢部の前記一部が、前記アンカーの前記フィラメント係合機構を係合する、実施態様6に記載の縫合糸構造体。
(9) 前記第1の肢部が、前記同軸領域でカニューレ状にされる(cannulated)、実施態様1に記載の縫合糸構造体。
(10) 前記第1の肢部及び前記第2の肢部が、1つの外科用フィラメントの部分である、実施態様1に記載の縫合糸構造体。
【0038】
(11) 前記外科用フィラメントが、編組縫合糸を含む、実施態様10に記載の縫合糸構造体。
(12) 外科的修復方法であって、
外科的修復構造体を選択することであって、前記外科的修復構造体が、
第1のフィラメント肢部及び第2のフィラメント肢部によって画定される折り畳み式スネア、並びに
前記第1のフィラメント肢部の体積内に配設される前記第2のフィラメント肢部の末端部によって形成される同軸領域を備える、ことと、
剥離された軟組織に近接した骨内にアンカーを固定することと、
前記スネアが、前記アンカーの1つの側から延在し、前記第1のフィラメント肢部の末端部が、前記アンカーの別の側から延在するように、前記第1のフィラメント肢部の前記末端部を、前記剥離された軟組織の一部に通して、前記アンカーの係合機構の周囲に通すことと、
前記第1のフィラメント肢部の前記末端部を前記スネアに通すことと、
前記スネアを折り畳んで、前記軟組織を係合することと、
前記折り畳まれたスネアを遠位に前進させて、前記組織を前記骨に近接させることと、
前記第1のフィラメント肢部の前記体積から前記第2のフィラメント肢部の前記末端部を除去して、前記同軸領域を排除することと、を含む、方法。
(13) 前記組織を前記骨に近接した所望の位置に維持するために、前記同軸領域が排除された後、前記第1及び前記第2のフィラメント肢部を結んで、前記折り畳まれたスネアに近接して1つ又は2つ以上の結び目を作ることを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記外科的修復構造体の第1の端部及び外科的修復構造体の第2の端部のうちの少なくとも1つを外科用カニューレに通すことを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記通す段階、折り畳む段階、及び前進させる段階が、前記第1又は第2のフィラメント肢部において結び目を作ることなく達成される、実施態様12に記載の方法。
【0039】
(16) 前記第1のフィラメント肢部の前記末端部を前記剥離された軟組織の第2の部分に通すことを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(17) 前記スネアを折り畳むことが、前記同軸領域から延在し、且つ前記同軸領域の、前記スネアと反対の側に配設される前記第1のフィラメント肢部の周囲で前記スネアを折り畳むことを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(18) 前記第1のフィラメント肢部の前記末端部を前記スネアに通すことが、前記同軸領域を前記スネアに通すことを更に含み、前記スネアを折り畳むことが、前記スネアを、それを通って配設される前記第1のフィラメント肢部及び前記第2のフィラメント肢部の周囲で折り畳むことを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(19) 骨内の前記アンカーが、自由端及び受容端を有する縫合糸シャトルフィラメントを更に備え、前記縫合糸シャトルフィラメントが、前記第1のフィラメント肢部の末端部を前記剥離された軟組織の一部に通す段階の前に、前記アンカーの前記係合機構に摺動可能に連結され、前記第1のフィラメント肢部の末端部を、前記剥離された軟組織の一部に通して、前記アンカーの係合機構の周囲に通す段階が、
前記第1のフィラメント肢部の前記末端部を前記縫合糸シャトルフィラメントの前記受容端に連結することと、
前記縫合糸シャトルフィラメントが、前記アンカーの前記係合機構の周囲を通り、且つ前記アンカーの前記係合機構と直接接触せず、前記外科的修復構造体が、前記係合機構と直接接触するように、前記縫合糸シャトルフィラメントの前記自由端に力を加えて、前記縫合糸シャトルフィラメントの前記受容端、ひいては、前記第1のフィラメント肢部の前記末端部を、前記アンカーの前記係合機構に向かうように移動させ、その後、その周囲で移動させることと、を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(20) 前記縫合糸シャトルフィラメントの前記自由端に力を加える前記段階の後に、前記外科的修復構造体が同様に、前記剥離された軟組織を通って2つの位置に配設されるように、前記縫合糸シャトルフィラメントが、前記剥離された軟組織を通って2つの部位に配設される、実施態様19に記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I