(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記絞り部は、下流側に向かうほど断面積が小さくなる第1の領域と、該第1の領域の下流端に上流端が接続して下流側に向かうほど断面積が大きくなる第2の領域と、を含んで構成される、請求項1又は請求項2に記載のエンジンの吸気装置。
前記吸気通路は、前記第1の領域を含む第1の吸気通路形成部材と、該第1の吸気通路形成部材を収容可能な凹部を有して前記第2の領域を含む第2の吸気通路形成部材と、により形成される、請求項3に記載のエンジンの吸気装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1実施形態におけるエンジンの吸気装置の概略構成を示す。尚、
図1は、ピストンが上死点TDC(Top Dead Center)付近に位置した状態にあるときのエンジンを示している。
【0013】
エンジン1は、OHV(Over Head Valve)形式の4ストロークエンジンであり、空冷式である。エンジン1は、シリンダ部2と、シリンダ部2の下部に取り付けられたクランクケース3と、クランクケース3の下側方向位置に配設されたオイルタンク4とを備える。また、エンジン1の吸気装置50は、後述するキャブレタ(気化器)30と吸気通路21と吸気弁17とを含んで構成される。
【0014】
シリンダ部2は、このピストン5を
図1中の上下方向に摺動させるための円柱状の空間を有している。そして、この空間内に、ピストン5が
図1中において上下方向に摺動自在に間隙を有して嵌入されている。
シリンダ部2、クランクケース3及びピストン5によってクランク室7が形成されている。つまり、シリンダ部2の側面とピストン5で形成されるクランクケース3側の円柱状空間と、クランクケース3内の空間とによりクランク室7が形成されている。このクランク室7では、ピストン5が摺動するにしたがい、その内部空間の容積が変化する。
シリンダヘッド8、シリンダ部2及びピストン5によって燃焼室9が形成されている。
オイルタンク4は、オイルタンクケースによって規定されており、クランクケース3と別個に設けられ、潤滑用のオイルを貯留する。
【0015】
オイルタンク4とクランクケース3との間には、クランクケース3(クランク室7)からオイルタンク4へのオイルの流れのみを許容する逆止弁10が設けられている。
ここで、ピストン5が下死点BDC(Bottom Dead Center)から上死点TDCまで移動するにしたがい、クランク室7内の圧力は負圧になる。逆に、ピストン5が上死点TDCから下死点BDCまで移動するにしたがい、クランク室7内の圧力は正圧になる。それゆえ、クランク室7内の圧力が正圧であるときに、逆止弁10が開弁して、クランク室7からオイルタンク4へオイルが液状及び/又はミスト状で流れる。また、クランク室7内の圧力が負圧であるときに、逆止弁10は閉弁している。
【0016】
クランクケース3内にはクランク13が回転自在に支持されている。クランク13は、回転中心となるクランク軸13a、カウンタウェイトなどから構成されている。ピストン5とクランク13とは、コネクティングロッド11によって接続されている。コネクティングロッド11とピストン5とは回転可能に接続されている。コネクティングロッド11とクランク13とは回転可能に接続されている。このような構成によって、ピストン5は、シリンダ部2内を往復摺動する。
【0017】
シリンダ部2の上壁には、シリンダヘッド8が設けられている。
シリンダヘッド8には、吸気ポート15と排気ポート16とが設けられている。吸気ポート15は、インシュレータ20を介してキャブレタ30に連通している。排気ポート16は、図示しない排気マフラに連通している。
シリンダヘッド8には、吸気ポート15を開閉する吸気弁17が設けられている。また、シリンダヘッド8には、排気ポート16を開閉する排気弁18が設けられている。ここで、吸気弁17及び排気弁18は燃焼室9を開閉する。
【0018】
インシュレータ20には吸気通路21が貫通形成されている。インシュレータ20の吸気通路21は、キャブレタ30と吸気ポート15との間に配置されてキャブレタ30からの混合気を吸気ポート15に導く。吸気通路21は、その少なくとも一部の断面積(混合気の流通面積)を減少させる絞り部100を備える。
尚、インシュレータ20(後述する第2の部材24)とキャブレタ30(後述するキャブレタ本体63)との間には、シール部材として、円環状のガスケット27が介装されている。ガスケット27は例えばゴム製である。ガスケット27には貫通孔28が形成されている(
図4参照)。
【0019】
キャブレタ30の外側(上流側)には、エアクリーナ40が設けられている。エアクリーナ40内にはフィルタ41が配置されている。このフィルタ41を空気が通過することによって、空気中のごみ等が除去される。
【0020】
キャブレタ30は、エアクリーナ40を通過した空気に燃料を混合して混合気を生成する装置である。キャブレタ30は、空気と燃料との混合比を調節可能である。また、キャブレタ30は、混合気の流量を調節可能である。
キャブレタ30は、空気中に燃料を混合するために、ダイアフラム式燃料ポンプ60を備える。このダイアフラム式燃料ポンプ60は圧力変動を動力にして駆動されている。
【0021】
この動力を供給するために、本実施形態では、ダイアフラム式燃料ポンプ60のダイアフラム室61と、吸気通路21の絞り部100とを、連通路110でつないでいる。この連通路110の詳細については、
図4及び
図5を用いて後述する。
尚、ダイアフラム式燃料ポンプ60には、圧力変動に応じて変位するダイアフラム62が設けられている。
【0022】
吸気通路21内の圧力は、クランク軸13aが2回転するにつき1回の割合で変動する。この圧力変動(空気脈動)は、吸気通路21の絞り部100にて強化される。それゆえ、大きな圧力振幅の空気脈動が、吸気通路21の絞り部100から連通路110を介してダイアフラム式燃料ポンプ60のダイアフラム室61に供給される。
【0023】
図2は、ダイアフラム式燃料ポンプ60を備えるキャブレタ30の概略構成を示す。
キャブレタ30はキャブレタ本体63を備えている。
キャブレタ本体63には、前述の連通路110を構成する空気脈動伝達通路64が形成されている。ダイアフラム62の第1の側(図中上面)にはダイアフラム室61が形成されている。ダイアフラム62の第2の側(図中下面)には、ポンプ室65が形成されている。空気脈動伝達通路64の一端は、ダイアフラム室61に接続されている。空気脈動伝達通路64の他端は、ガスケット27の貫通孔28(
図4参照)に臨んでいる。
【0024】
ポンプ室65は、インレットバルブ70を介してフューエルインレット72に連通している。また、ポンプ室65は、アウトレットバルブ74及びニードルバルブ76を介して、メタリングダイアフラム80のメタリングチャンバ81に連通している。
尚、フューエルインレット72は、図示しない吸入管を介して、密閉型の燃料タンク(図示せず)に接続されている。この燃料タンクは、液体の燃料を貯留する。
【0025】
吸気通路21の絞り部100では、吸気弁17の開弁にともなって、大きな負圧が生じる。この負圧(空気脈動)が、連通路110を構成する空気脈動伝達通路64を介して、ダイアフラム室61に作用する。そして、ダイアフラム室61に作用する負圧によってダイアフラム式燃料ポンプ60は駆動される。より具体的には、ダイアフラム式燃料ポンプ60のダイアフラム室61に負圧が作用して、ダイアフラム62がダイアフラム室61側に撓むときに、ポンプ室65側に負圧が作用する。このポンプ室65の負圧によって、アウトレットバルブ74が閉じられたままインレットバルブ70が開弁し、フューエルインレット72からポンプ室65に燃料が吸入される。
このようにして、ダイアフラム式燃料ポンプ60では、ダイアフラム室61に供給される圧力変動(空気脈動)によりダイアフラム62が波動運動して、このダイアフラム62の波動運動により、前述の燃料タンクからポンプ室65へ燃料が吸入される。
【0026】
次に、この状態でダイアフラム式燃料ポンプ60のダイアフラム室61に作用していた負圧が正圧に転じると、ダイアフラム62の弾性作用によってダイアフラム62が元の状態に戻ろうとする。そうすると、ポンプ室65側に正圧が作用することになる。そして、ダイアフラム62の運動によってポンプ室65側に正圧が作用すると、インレットバルブ70が閉じられたままアウトレットバルブ74が開弁し、ポンプ室65から燃料が吐出される。この吐出された燃料は、ニードルバルブ76を介してメタリングダイアフラム80のメタリングチャンバ81に供給される。
【0027】
メタリングチャンバ81は、メタリングダイアフラム80によって背圧室82と区画されている。背圧室82にはエンジン1の圧力が作用しており、メタリングダイアフラム80は、エンジン1の圧力とメタリングチャンバ81との圧力差によって駆動されることとなる。尚、この背圧室82とエンジンの負圧とを連通する通路は図示していない。
【0028】
メタリングダイアフラム80は、コントロールレバー84を介して前述のニードルバルブ76に接続されており、このメタリングダイアフラム80の作動によってニードルバルブ76が開閉する。具体的には、メタリングチャンバ81が燃料で満たされると、メタリングチャンバ81が昇圧し、メタリングダイアフラム80が背圧室82側に撓む。このとき、コントロールレバースプリング86の弾性力により、コントロールレバー84は、その一端(図中右側)が押し下げられるとともに、他端(図中左側)が押し上げられるように回動する。こうしたコントロールレバー84の回動動作によって、ニードルバルブ76が押し上げられ、ポンプ室65とメタリングチャンバ81の連通が遮断されることとなる。
【0029】
また、キャブレタ本体63には、吸気通路21とエアクリーナ40とを接続する通路88が形成されている。この通路88は、上流側(エアクリーナ40側)を大径部88aとし、下流側(吸気通路21側)を大径部88aよりも小径のベンチュリ部88bとしている。ベンチュリ部88bには、その開度を変位させるスロットルバルブ90が設けられている。
スロットルバルブ90は、その回転軸を通路88に直交させており、回転レバー90aを操作することによって図中上下方向にスライドしながら回転し、その回転量によってベンチュリ部88bの開度が変位するようにしている。
【0030】
スロットルバルブ90には、その回転軸と同軸状に、通路88を流通する空気に混合される燃料の量を微調整するための第1アジャスタスクリュ91が設けられている。
第1アジャスタスクリュ91には、その回転軸と同軸状に、第2アジャスタスクリュ92が設けられている。第2アジャスタスクリュ92は、図中の上下方向に延びるように設けられている。また、第2アジャスタスクリュ92については、上方から下方に向かって、後述するノズル94の内径寸法と略同一の外径寸法から二段階に外形寸法が小さくなる。
第2アジャスタスクリュ92の先端には、後述するメインジェット96を切り換えるための切り換え部92aが設けられている。
【0031】
第1アジャスタスクリュ91は、スロットルバルブ90に対して一方(ねじ締めつけ方向)に回転すると図中下方に移動し、これとは逆に、スロットルバルブ90に対して他方(ねじ戻し方向)に回転すると図中上方に移動する。
第2アジャスタスクリュ92は、第1アジャスタスクリュ91と同様に、第1アジャスタスクリュ91に対して一方(ねじ締めつけ方向)に回転すると図中下方に移動し、これとは逆に、第1アジャスタスクリュ91に対して他方(ねじ戻し方向)に回転すると図中上方に移動する。
【0032】
キャブレタ本体63には、第2アジャスタスクリュ92に対向するようにノズル94が設けられており、このノズル94のノズル先端94aに、第2アジャスタスクリュ92の先端が挿入されている。ノズル94には、通路88に開口する孔94bが形成されており、この孔94bに連通する基端94cを、メタリングチャンバ81に臨ませている。尚、孔94bとメタリングチャンバ81との間には、混合比調節手段及び燃料供給量調節手段としてのメインジェット96及びメインチェックバルブ98が設けられている。
【0033】
図3は、ノズル94の説明図である。
メインジェット96は、所定の開口面積でノズル94の孔94bとメタリングチャンバ81とを連通する第1メインジェット部96aと、第1メインジェット部96aよりも大きい開口面積でノズル94の孔94bとメタリングチャンバ81とを連通する第2メインジェット部96bとを有する。
【0034】
メインジェット96は、第2アジャスタスクリュ92の切り換え部92aによって第1メインジェット部96a及び第2メインジェット部96bの一方が閉鎖され、他方がノズル94の孔94bとメタリングチャンバ81とを連通する。メインジェット96は、第2アジャスタスクリュ92を第1アジャスタスクリュ91に対して回転させることにより、第1メインジェット部96a及び第2メインジェット部96bの閉鎖と開放が切り換えられる。つまり、メインジェット96は、使用する燃料に応じて第1アジャスタスクリュ91に対して第2アジャスタスクリュ92を回転させることにより、第1メインジェット部96a及び第2メインジェット部96bの一方に燃料を流通させる。
【0035】
次に、連通路110の詳細について、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は、本実施形態における吸気通路21の概略構成を示す。
図5は、
図4のI−I断面図である。
【0036】
吸気通路21が形成されるインシュレータ20は、2つの部材23、24により構成される。
第1の部材23は、例えば樹脂により、又は、ゴムなどの弾性部材により形成される。第1の部材23は、下流側に向かうほど先細となる円錐台状である。第1の部材23には、下流側に向かうほど断面積(混合気の流通面積)が小さくなるようにテーパー状に吸気通路23aが形成されている。ここで、第1の部材23が、本発明の「第1の吸気通路形成部材」に対応する。
【0037】
第2の部材24は、例えば樹脂により形成される。第2の部材24は例えば円柱状であり、その上流側(キャブレタ30側)に、第1の部材23を収容可能な凹部24aを備えている。また、第2の部材24には、その凹部24aに第1の部材23が収容された状態で、第1の部材23の吸気通路23aと吸気ポート15とを連通可能なように、吸気通路24bが形成されている。吸気通路24bは、下流側に向かうほど断面積(混合気の流通面積)が大きくなるようにラッパ状に形成されている。ここで、第2の部材24が、本発明の「第2の吸気通路形成部材」に対応する。
【0038】
従って、インシュレータ20の吸気通路21は、第1の部材23の吸気通路23aと、第2の部材24の吸気通路24bと、により構成されている。
また、吸気通路21の絞り部100において、本発明の「下流側に向かうほど断面積が小さくなる第1の領域」が、第1の部材23の吸気通路23aにより形成され、また、本発明の「第1の領域の下流端に上流端が接続して下流側に向かうほど断面積が大きくなる第2の領域」が、第2の部材24の吸気通路24bにより形成される。
【0039】
本実施形態において、吸気通路21の絞り部100のうち最小の断面積(混合気の流通面積)となる部分100aは、第1の部材23の吸気通路23aと、第2の部材24の吸気通路24bとの接続部分である。
【0040】
第1の部材23の下流側の端面(第2の部材24の凹部24aとの接触面)には、吸気通路21の絞り部100の部分100aより径方向外側に向けて延びるように、溝部23bが凹設されている。この溝部23bの断面は半円形状である。また、第1の部材23の外面(円錐台状における側面)には、溝部23bから当該外面に沿って上流側に向かって延びるように、溝部23cが凹設されている。この溝部23cの断面は半円形状である。
第2の部材24の凹部24aのうち、溝部23b、23cに相対する位置には、溝部24cが凹設されている。この溝部24cの断面は半円形状である。
【0041】
本実施形態では、空気脈動取り出し通路25は、前述の溝部23b、23c、24cにより形成される。空気脈動取り出し通路25の断面は円形状である。
空気脈動取り出し通路25の一端は、吸気通路21の絞り部100の部分100aに臨んでいる。また、空気脈動取り出し通路25の他端は、ガスケット27の貫通孔28に臨んでいる。
【0042】
従って、連通路110は、空気脈動取り出し通路25と、ガスケット27の貫通孔28と、空気脈動伝達通路64とにより構成されている。また、連通路110は、吸気通路21の絞り部100のうち最小の断面積となる部分100aとダイアフラム室61とを連通する。
【0043】
本実施形態によれば、エンジン1の吸気装置50は、燃料を空気に混合して混合気を生成するキャブレタ30、及び、キャブレタ30とエンジン1の吸気ポート15との間に配置されてキャブレタ30からの混合気をエンジン1の吸気ポート15に導く吸気通路21、を含んで構成される。キャブレタ30は、ダイアフラム式燃料ポンプ60を備える。ダイアフラム式燃料ポンプ60は、燃料を吸入及び吐出するポンプ室65と、ポンプ室65を駆動する圧力が供給されるダイアフラム室61と、を備える。吸気通路21は絞り部100を備える。エンジン1の吸気装置50は、絞り部100とダイアフラム室61とを連通する連通路110を更に含んで構成される。ポンプ室65を駆動する圧力は、絞り部100から連通路110を経てダイアフラム室61に供給される。これにより、エンジン1の吸気時に吸気通路21の絞り部100にて負圧が強化されるので、ダイアフラム室61に供給される圧力の変動を大きくすることができる。
【0044】
また本実施形態によれば、連通路110は、絞り部100において最小の断面積となる部分100aとダイアフラム室61とを連通する。これにより、吸気通路21の絞り部100のうち負圧が最も強化される部分とダイアフラム室61とが連通されるので、比較的大きな圧力振幅を有する空気脈動がダイアフラム室61に安定的に供給される。それゆえ、密閉型の燃料タンク内に貯留されている燃料の残量が減ってきた場合であっても、ダイアフラム式燃料ポンプ60による燃料の吸い上げを安定的に行うことができるので、混合気の性状を安定化させることができ、ひいては、エンジン1の安定的な運転を実現することができる。
【0045】
また本実施形態によれば、吸気通路21の絞り部100は、下流側に向かうほど断面積が小さくなる第1の領域(テーパー状の吸気通路23a)と、この第1の領域の下流端に上流端が接続して下流側に向かうほど断面積が大きくなる第2の領域(ラッパ状の吸気通路24b)と、を含んで構成される。これにより、吸気通路21の絞り部100を流れる混合気のよどみ部の形成を抑制することができるので、吸気通路21の絞り部100の形成にともなう圧力損失の増大を抑制することができる。
【0046】
また本実施形態によれば、吸気通路21は、第1の領域(テーパー状の吸気通路23a)を含む第1の吸気通路形成部材(第1の部材23)と、この第1の吸気通路形成部材を収容可能な凹部24aを有して第2の領域(ラッパ状の吸気通路24b)を含む第2の吸気通路形成部材(第2の部材24)と、により形成される。これにより、第1の部材23を第2の部材24の凹部24aに挿入することで、比較的簡易に、吸気通路21の絞り部100を形成することができる。
【0047】
また本実施形態によれば、連通路110の少なくとも一部(空気脈動取り出し通路25)が、第1の吸気通路形成部材(第1の部材23)と第2の吸気通路形成部材(第2の部材24)とに形成される。これにより、比較的容易に、空気脈動取り出し通路25を形成することができる。
【0048】
尚、本実施形態では、空気脈動取り出し通路25が、第1の部材23と第2の部材24とに跨るように形成されるが、空気脈動取り出し通路25の形成の手法はこれに限らない。例えば、
図6に示す本実施形態の変形例のように、空気脈動取り出し通路25が第1の部材23のみに形成されてもよい。又は、空気脈動取り出し通路25が第2の部材24のみに形成されてもよい。
【0049】
図7は第2実施形態における吸気通路21の概略構成を示す。
図1〜
図5に示す第1実施形態と異なる点について説明する。
【0050】
本実施形態では、第1の実施形態における第1の部材23とガスケット27とが一体化されて、第1の部材123となっている。第1の部材123は、ゴムなどの弾性部材により形成される。
第1の部材123の本体部124は、前述の第1の部材23と同様の円錐台状であり、吸気通路23a、及び、溝部23b、23cを備える。
第1の部材123の本体部124は、前述の第1の部材23と同様に、第2の部材24の凹部24aに収容可能である。
【0051】
第1の部材123のフランジ部125は円環状であり、本体部124の上流側端部より径方向外方に張り出している。フランジ部125は、キャブレタ本体63と第2の部材24との間に介装されて、ガスケット(すなわちシール部材)として機能する。フランジ部125には、前述のガスケット27と同様に、貫通孔28が形成されている。
ここで、第1の部材123が、本発明の「第1の吸気通路形成部材」に対応する。
【0052】
特に本実施形態によれば、第1の吸気通路形成部材(第1の部材123)は、第2の吸気通路形成部材(第2の部材24)の凹部24aに収容されて第1の領域(テーパー状の吸気通路23a)を含む本体部124と、本体部124の上流側端部より外方に張り出すフランジ部125と、を含んで構成される。フランジ部125は、キャブレタ30(キャブレタ本体63)の下流側端面と第2の吸気通路形成部材(第2の部材24)の上流側端面との間に介装される。これにより、前述の第1の部材23とガスケット27との一体化を行うことができるので、部品点数の低減を行うことができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、第1の吸気通路形成部材(第1の部材123)は弾性部材により形成される。これにより、フランジ部125をガスケットとして機能させることができるので、キャブレタ30とインシュレータ20との間のシール性を確保することができる。
【0054】
図8は、本発明の第3実施形態における吸気通路21の概略構成を示す。
図1〜
図5に示す第1実施形態と異なる点について説明する。
【0055】
本実施形態では、吸気通路21を形成する第1の部材23と第2の部材24とが一体化されて、1つの部材により、吸気通路21を含むインシュレータ20が形成されている。本実施形態では、インシュレータ20は、例えば、樹脂により形成される。
インシュレータ20には、直線状の空気脈動取り出し通路25が形成されている。空気脈動取り出し通路25の一端は、吸気通路21の絞り部100の部分100aに臨んでいる。また、空気脈動取り出し通路25の他端は、ガスケット27の貫通孔28に臨んでいる。
【0056】
特に本実施形態によれば、インシュレータ20には、直線状の空気脈動取り出し通路25が形成される。これにより、ドリルなどを用いて比較的容易に空気脈動取り出し通路25を形成することができる。
【0057】
図9は、本発明の第4実施形態における吸気通路21の概略構成を示す。
図8に示す第3実施形態と異なる点について説明する。
【0058】
本実施形態では、空気脈動取り出し通路25が、2つの直線状の通路25a、25bにより構成されている。
通路25aは、インシュレータ20の外面から吸気通路21の絞り部100の部分100aに向けてドリルなどを用いて切削することにより形成される。この通路25aの形成時には、インシュレータ20の外部と吸気通路21内とが、通路25aを介して連通する。
【0059】
通路25bは、インシュレータ20の上流側端面(キャブレタ30側の端面)から通路25aに向けてドリルなどを用いて切削することにより形成される。ここで、インシュレータ20の上流側端面における通路25bの開口は、ガスケット27の貫通孔28に臨むように、予め位置決めされている。また、通路25bの形成時において、通路25bが通路25aに接続されると、通路25bを形成するための切削を終了する。
【0060】
通路25bが通路25aに接続した後には、通路25aのうち、通路25bより外側の部分を塞ぐように、当該部分にゴム製又は樹脂製のキャップ25cがはめ込まれる。
従って、通路25a、25bとキャップ25cとにより構成される空気脈動取り出し通路25の一端は、吸気通路21の絞り部100の部分100aに臨んでいる。また、空気脈動取り出し通路25の他端は、ガスケット27の貫通孔28に臨んでいる。
【0061】
特に本実施形態によれば、空気脈動取り出し通路25は、通路25a、25bと、キャップ25cとにより構成される。これにより、ドリルなどを用いて比較的容易に空気脈動取り出し通路25を形成することができる。
【0062】
図10は、本発明の第5実施形態における吸気通路21の概略構成を示す。
図9に示す第4実施形態と異なる点について説明する。
【0063】
本実施形態では、吸気通路23a、24bが、それぞれ、複数段の階段状に形成されている。すなわち、本実施形態では、絞り部100の第1の領域(吸気通路23a)と絞り部100の第2の領域(吸気通路24b)とは、それぞれ、階段状に形成されている。これにより、仮にキャブレタ30にて空気中に燃料が過度に混合されても、吸気通路23a、24bの階段状の壁面に燃料溜まりが形成され得るので、混合気が急激にリッチになることを抑制することができる。
【0064】
尚、本実施形態では、吸気通路23a、24bが、それぞれ、複数段の階段状に形成されているが、この他、吸気通路23a、24bのいずれか一方が、複数段の階段状に形成されてもよい。
また、本実施形態における階段状の吸気通路23a、24bを、前述の第1〜第4実施形態における吸気通路23a、24bに適用してもよい。
【0065】
また、前述の第1〜第5実施形態では、エアクリーナ40がキャブレタ30の上流側に隣接して設けられる例を示したが、この他、エアクリーナ40とキャブレタ30の上流側との間に、絞り部100を備える吸気通路21を配置してもよい。すなわち、絞り部100を備える吸気通路21がキャブレタ30の上流側に配置されて、エンジン1の吸気ポート15に供給される空気をキャブレタ30に導いてもよい。この場合においても、前述の第1〜第5実施形態と同様に、吸気通路21の絞り部100とダイアフラム式燃料ポンプ60のダイアフラム室61とが連通路110によってつながれる。この場合においても、吸気通路21内の圧力は、クランク軸13aが2回転するにつき1回の割合で変動する。この圧力変動(空気脈動)は、吸気通路21の絞り部100にて強化される。それゆえ、大きな圧力振幅の空気脈動が、吸気通路21の絞り部100から連通路110を介してダイアフラム式燃料ポンプ60のダイアフラム室61に供給される。尚、この場合には、インシュレータ20の吸気通路21は直管状であってもよい。
【0066】
また、前述の第1〜第5実施形態におけるエンジン1は、刈払機、穴掘機、コンクリートカッターなどの携帯型作業機にその駆動源として搭載可能である。また、エンジン1は、バックパックブロワ、スプレイヤ(噴霧機)、散粉機、背負い型刈払機などの背負い型作業機にその駆動源として搭載可能である。
【0067】
また、前述の第1〜第5実施形態では、エンジン1がOHV形式の4ストロークエンジンである例を示したが、エンジン1の構成はこれに限らず、例えば、エンジン1がOHC形式のエンジンであってもよい。
また、前述の第1〜第5実施形態では、エンジン1において、シリンダヘッド8とシリンダ部2とが別体である例を示したが、これに代えて、シリンダヘッドとシリンダ部とが一体であってもよい。
【0068】
以上からわかるように、図示の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。