(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6345554
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】プリント配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20180611BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
H05K3/34 501C
H05K1/18 A
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-184855(P2014-184855)
(22)【出願日】2014年9月11日
(65)【公開番号】特開2016-58598(P2016-58598A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】西野 哲也
【審査官】
原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−100912(JP,A)
【文献】
実開平06−007275(JP,U)
【文献】
特開2008−112916(JP,A)
【文献】
特開2012−079986(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0101397(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に実装される電子部品のリードを裏面側に挿通するための貫通穴を複数個備え、それら複数個の貫通穴の裏面側の開口を囲繞するランドを備えたプリント配線基板であって、複数個の貫通穴がフローハンダ方向に沿って一列に並んでいる場合に、最後部の貫通穴に対して形成されたランドにフローハンダ方向に沿って下流側に延びるハンダ溜まりを形成したものにおいて、上記一列に並んだ貫通穴の列途中に位置する貫通穴に対するランドが形成されていない場合に、そのランドが設けられていない貫通穴の上流側に隣接された貫通穴に対して形成されたランドから、ランドが設けられていない貫通穴を避ける方向にハンダ溜まりを延設したことを特徴とするプリント配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フローハンダによって部品がハンダ付けされるプリント配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板の裏面には銅箔からなるパターンがプリントされており、表面に実装された電子部品のリードが貫通する貫通穴が形成され、その貫通穴を通って裏面に突出したリードをパターンにハンダ付けする。
【0003】
貫通穴の裏面側の開口はランドと呼ばれているパターンの一部で囲繞されており、ハンダはこのランドとリードとの双方に被着することによって電子部品がハンダ付けされることになる。
【0004】
ハンダ付け作業はランド毎にハンダごてで溶融したハンダを供給してもよいが、ハンダ付け作業の工数を削減するためフローハンダが行われる場合がある。フローハンダとはハンダ槽内に溶融したハンダを常時溢れさせておき、電子部品が実装されたプリント配線基板をハンダ槽の上方を一定方向に移動させる。その移動の際に溶融しているハンダの液面にプリント配線基板の裏面を接触させることによってハンダ付けを行う。
【0005】
一方、例えば電子部品としてICと呼ばれる集積回路がパッケージされた電子部品では複数のリードが一列に設けられており、そのため各リード毎に設けられる貫通穴も一列に並ぶことになる。各貫通穴毎にランドが形成されており、かつ、その貫通穴の並び方向がフローハンダの際のプリント配線基板の移動方向、すなわちフローハンダ方向に沿っている場合には、隣接しあう2個のランド間にハンダがブリッジ状に付着しようとしても、プリント配線基板がフローハンダ方向に移動しているので、ブリッジ状のまま残留せず、下流側へと移動していく。そのため、各ランド間にハンダがブリッジ状に残留しない。ただし、最も下流に位置するランドについてはさらに下流のランドにハンダが流れないため、必要以上のハンダがランドとリードとの間に残留するおそれがある。そこで、最下流に位置するランドに、さらに下流側に延びるハンダ溜まりを形成して、過剰のハンダをそのハンダ溜まりに移動させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−142810号公報(
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記ICでは規格を統一するため大きさが同じであればパッケージされている集積回路が相違しても同じ本数のリードが設けられている。ところが、パッケージされている集積回路によってはすべてのリードに対して集積回路が接続されておらず、ダミーのリードが存在する場合がある。そのようなダミーのリードはプリント配線基板の裏面のパターンにハンダ付けする必要はないので、そのダミーのリードが挿入される貫通穴の裏面側開口にはランドが設けられていない。
【0008】
このように、貫通穴は等間隔で一列に並んでいても、ランドが設けられていない貫通穴が存在すると、そのランドのない貫通穴の上流側に隣接する貫通穴のランドに付着したハンダが下流側に逃げることができず、過剰なハンダが付着することによってさらに上流側に隣接するランドとの間でブリッジ状にハンダが残存する場合が生じる。
【0009】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、一列に並んだ貫通穴の一部にランドが設けられていない場合に、ランド間にハンダがブリッジ状に残留することのないプリント配線基板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明によるプリント配線基板は、表面に実装される電子部品のリードを裏面側に挿通するための貫通穴を複数個備え、それら複数個の貫通穴の裏面側の開口を囲繞するランドを備えたプリント配線基板であって、複数個の貫通穴がフローハンダ方向に沿って一列に並んでいる場合に、最後部の貫通穴に対して形成されたランドにフローハンダ方向に沿って下流側に延びるハンダ溜まりを形成したものにおいて、上記一列に並んだ貫通穴の列途中に位置する貫通穴に対するランドが形成されていない場合に、そのランドが設けられていない貫通穴の上流側に隣接された貫通穴に対して形成されたランドから、ランドが設けられていない貫通穴を避ける方向にハンダ溜まりを延設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明は、一列に並んだ貫通穴の途中にランドが設けられていない場合であっても、そのランドが設けられていない貫通穴の上流側に隣接するランドにハンダブリッジが発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】フローハンダ前のプリント配線基板の裏面の状態を示す斜視図
【
図3】プリント配線基板の裏面のランドの状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照して、1は本発明によるプリント配線基板であって、
図1ではプリント配線基板1の上面側から見た状態を示している。このプリント配線基板1の上面には各種の電子部品が実装されている。本実施の形態では、電子部品としてIC2を例に説明する。
【0014】
このIC2内には集積回路がパッケージされており、内部の集積回路に接続された複数のリード21が両側に並設されている。そして、プリント配線基板1には各リード21毎に対応して貫通穴11が設けられている。従って、IC1をプリント配線基板1の上面に実装する際には、各リード21の先端を各貫通穴11に挿入することになる。
【0015】
各リード21を貫通穴11に挿入した状態を、プリント配線基板1の裏面側から見た状態として
図2及び
図3を参照して説明する。
【0016】
プリント配線基板1の裏面には各貫通穴11の開口を囲繞するランド3が形成されている。そして、各貫通穴11からリード21の先端が突出しているので、この状態で溶融したハンダをランド3上に供給すればハンダはランド3及びリード21に付着してリード21をランド3にハンダ付けすることができる。
【0017】
なお、このハンダ付け作業はフローハンダによって行う。フローハンダとは溶融したハンダが溢れいているハンダ槽の上方を、プリント配線基板1をフローハンダ方向に移動させるもので、その移動の際にプリント配線基板1の裏面をハンダ槽のハンダの液面に接触させるものである。溶融したハンダは各ランド3の上流側から下流側に移動し、ランド3に付着した過剰なハンダは下流側に連接する別のランド3へと移動していき、各ランド3には適正量のハンダが残留する。
【0018】
ただし、フローハンダ方向の最下流に位置するランド31はさらに下流側に位置するランドが存在しないので、下流側に長く延ばしてハンダ溜まりを形状にすることによって、上流側に隣接するランド3に対してハンダがブリッジ状に残らないようにした。
【0019】
ところで、上記IC2は内部の集積回路がすべてのリード21に接続されていない型式のものがある。その集積回路に接続されていないリード21はダミーで有り、そのダミーのリードが挿入される貫通穴11aに対してはランドが設けられていない。そのため、その貫通穴11aの上流側に隣接する貫通穴11bに対して設けられたランド32に過剰なハンダが付着するおそれがある。
【0020】
そこで、ランド32には貫通穴11aを避けるように、フローハンダ方向に対して左右斜め後方に延びるハンダ溜まり部32aを延設することとした。これにより、ランド32に付着した過剰なハンダは左右のハンダ溜まり部32aに移動して、ランド32およびその上流側に隣接するランド3との間でハンダがブリッジ状に残ることが防止される。
【0021】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0022】
1 プリント配線基板
2 IC
3 ランド
11 貫通穴
21 リード
31 ランド
32 ランド