(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本文書において参照される全ての出版物、特許、及び特許文献は、あたかも個別に参照により組み込まれたかのように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。値の範囲が表される場合、別の実施形態は、その1つの特定の値から、及び/又は他の特定の値までを包含する。同様に、値の前に「約」を用いることで値が近似値として表される場合、その特定の値は別の実施形態をなすことが理解されるであろう。範囲はいずれも包括的であり、組み合わせることが可能である。更に、ある範囲内の値について述べるとき、その範囲内のそれぞれ、及びすべての値が含まれる。分かりやすさのために別々の実施形態との関連において本明細書に述べられる本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせとして示される場合もある点も認識されるであろう。逆に、単一の実施形態の文脈において簡潔のために記載される本発明の様々な特徴はまた、別個に、又は任意の下位の組み合わせにより提示されてもよい。
【0018】
本開示は、複数の生体適合性セラミック顆粒を含む、生体適合性、再吸収可能な
セラミック組成物に関し、顆粒のそれぞれは、複数のカルシウム含有粒子を含む被覆を有し、粒子の少なくとも一部は、顆粒のそれぞれの外側表面の少なくとも一部に結合される。本開示に従った生体適合性
セラミック組成物は、乾燥状態で流動性である。
【0019】
セラミック顆粒は、人体への植え込みに好適な任意の
セラミック組成物から形成され得る。そのような
セラミック組成物は、よく知られており、例えば、α−硫酸カルシウム、β−硫酸カルシウム、リン酸カルシウム(例えば、β−リン酸三カルシウム(β−TCP)、アパタイト(ヒドロキシアパタイト若しくは炭酸アパタイトなど)、ブルシャイト、若しくはリン酸オクタカルシウム、又はこれらの混合物及び組み合わせ)、及びバイオガラス組成物が挙げられ得る。顆粒がリン酸カルシウム組成物である実施形態では、リン酸カルシウム組成物の化学製剤が所望に応じて製剤化又は改変され得る。一実施形態によると、リン酸カルシウム組成物は、β−TCP、好ましくは純粋相β−TCPである。β−TCPの生体内での再吸収は、新しい骨成長又は再形成の速度と厳密に一致する。別の実施形態によると、リン酸カルシウム組成物は、ヒドロキシアパタイト(又はこれらの誘導体若しくは置換型)である。ヒドロキシアパタイトは、天然骨鉱物組成と厳密に一致する。更に別の実施形態によると、リン酸カルシウム組成物は、β−TCP及びヒドロキシアパタイトの混合物又はそのブレンドであってもよい。
【0020】
本開示に従った生体適合性セラミック顆粒は、骨間隙充填剤としての使用に好適な物理的特徴及び形態を有することができる。一実施形態によると、顆粒は、0.1mm〜6.0mmの範囲、好ましくは0.1mm〜3mmの範囲、及びより好ましくは0.125mm〜2mmの範囲の平均サイズの直径を有することができる。顆粒は、実質的に不規則な形状、並びに概して球、ロッド、楔、又は角柱形状など、実質的に規則的な三次元形状を有することができる。顆粒が多孔質である実施形態では、細孔は、実質的に相互に接続されてもよく、あるいは実質的に相互に接続されていなくてもよい。多孔質顆粒に対する平均細孔直径は、約10um〜500umの範囲、好ましくは約100um〜約500umの範囲であってもよい。ある特定の実施形態では、細孔は、1つ又は2つ以上の個別の平均細孔径範囲、例えば、二峰性分布として既知の、同一の顆粒中に個別のミクロ及びマクロ細孔径を示す顆粒を有することができる。顆粒が多孔質である実施形態では、顆粒は、30%〜約80%の範囲、好ましくは約40%〜約80%の範囲、及びより好ましくは約50%〜約70%の範囲の平均細孔容積又は有孔性(全顆粒容積の割合として測定される)を有することができる。
【0021】
本開示によると、被覆は、カルシウム含有粒子から形成され、好ましい実施形態では、粒子は、1)硫酸カルシウム組成物、又は2)リン酸カルシウム(CaP)組成物のいずれかである。ある特定の実施形態では、被覆は、2つ以上の種類のカルシウム含有粒子のブレンド又は混合物を含むことができる(例えば、硫酸カルシウム及びCaP粒子の混合物、又はCaP粒子及び炭酸カルシウム粒子の混合物)。
【0022】
カルシウム含有粒子を形成するのに好適な硫酸カルシウム組成物は、好ましくは硫酸カルシウム半水化物(CSH)及び硫酸カルシウム二水和物(CSD)である。一実施形態によると、硫酸カルシウム粒子は、約20umの平均サイズを有し、約10um〜約40umの範囲内のどこでもよい。CSHは、水性媒体の存在下でセメント質反応して、CSDを形成する組成物である:
CaSO
4・1/2 H
2O+1 1/2 H
2O→CaSO
4・2H
2O
【0023】
硫酸カルシウムは、以下の表1に示されるように、他のカルシウム含有
セラミック組成物と比較して比較的高い溶解度定数を有する。
【0024】
【表1】
[1][2]http://www.ktf−split.hr/periodni/en/abc/kpt.html
[3]第1章:「Calcium Orthophophsate−Based Biocements and Bioconcretes」著者:Sergey V.Dorozhkin.In Bioceramics:Proposerties,Preparation and Applications.編者:Wolffe Kossler and Jacob Fuchus
【0025】
生体内での硫酸カルシウムの溶解プロファイルは概して、生体内で植え込まれる材料の容積及び位置に応じて、4週間〜約8週間の範囲である。植え込み部位におけるCa
2+イオンの比較的迅速な放出は、新しい骨形成を補助するのに有益であり得る。加えて、ある特定の実施形態では、被覆中に存在するCSHは、生体内で硬化(又は固定)してCSDを形成し、したがって、互いに隣接する複数の被覆された顆粒間にセメント骨格を形成することができる。一実施形態によると、被覆は、実質的にCSH粒子から形成される。別の実施形態によると、被覆は、実質的にCSD粒子から形成される。また、更に別の実施形態によると、被覆は、CSDとCSH粒子とのブレンドから実質的に形成される。好ましい実施形態では、カルシウム含有粒子が硫酸カルシウムである場合、セラミック顆粒は、リン酸カルシウム顆粒、例えば、アパタイト又はβ−TCP顆粒である。
【0026】
任意の特定の理論によって束縛されないが、硫酸カルシウム粒子は、硫酸カルシウム粒子の結晶構造とセラミック顆粒の結晶構造との間の結晶の絡み合ったネットワークを通して、生体適合性セラミック顆粒の外側表面の少なくとも一部に結合することが可能であると考えられる。この結晶の絡み合いは、被覆処理の異なる態様から得られる。
【0027】
例えば、結晶の絡み合いが生じ得る1つの考えられる方法は、水性媒体の存在下での生体適合性セラミック顆粒の表面における硫酸カルシウム(半水化物又は二水和物形態のいずれか)の存在が、表面における顆粒のある程度の溶解度をもたらし、顆粒の表面領域への硫酸カルシウムのある程度の侵入をもたらすことである。乾燥条件への曝露後に、顆粒の表面は、硫酸カルシウムの結晶構造間で及びそれを通して再沈殿(再結晶化)し、顆粒の表面に結合される被覆をもたらす。
【0028】
結晶の絡み合いが生じ得る別の考えられる方法は、硫酸カルシウム(半水化物又は二水和物形態のいずれか)が、完全には硬化していない生体適合性セラミック顆粒(典型的にはCaP顆粒、最も典型的にはアパタイト顆粒)の表面において、水性媒体中に存在する場合である。この場合、硫酸カルシウムは、部分的に硬化した顆粒の表面領域中に侵入することができる。顆粒がその後に完全に硬化したとき、顆粒の表面は、硫酸カルシウム結晶ネットワーク間で及びそれを通して結晶化し、顆粒の表面に結合される被覆をもたらす。
【0029】
カルシウム含有粒子を形成するのに好適なCaP組成物は好ましくは、α−リン酸三カルシウム(α−TCP)Ca
3(PO
4)
2;β−リン酸三カルシウム(β−TCP)Ca
3(PO
4)
2;モノ−リン酸カルシウム一水和物(MCPM)Ca(H
2PO
4)
2・H
2O;無水モノ−リン酸カルシウム(MCPA)Ca(H
2PO
4)
2;リン酸二カルシウム二水和物(DCPD、ブルシャイト)CaHPO
4・2H
2O;無水リン酸二カルシウム(DPCA、モネタイト)CaHPO
4;リン酸四カルシウム(TTCP)Ca
4(PO
4)
2O;及びリン酸オクタカルシウム(OCP)Ca
8H
2(PO
4)
6・5H
2Oである。一実施形態によると、炭酸カルシウム(方解石)CaCO
3は、本明細書に記載されるCaP組成物と共に含まれ得る。好ましい実施形態では、CaP組成物は、α−TCP、方解石、及びMCPMの混合物である。
【0030】
本開示のカルシウム含有粒子は、CaP組成物を含むとき、化学結合を通して生体適合性セラミック顆粒の外側表面の一部に結合することができる。特定の理論によって束縛されないが、水性媒体又は環境中で、存在する個々の化合物のある程度の量の溶解が生じると考えられる(すなわち、カルシウム、リン酸、炭酸、及び/又は硫酸イオンが、被覆処理中に顆粒及び粒子の表面の両方から放出され、したがって、顆粒の表面において互いとの化学反応に関与する)。例えば、水性環境中でのα−TCP及びMCPM粒子のCaP混合物とβ−TCP顆粒との混合は、以下の方程式に示されるような、α−TCPとMCPMとの間、及びβ−TCPとMCPMとの間の化学反応をもたらし得る:
Ca
3(PO
4)
2(α−TCP及びβ−TCPの両方)+Ca(H
2PO
4)
2.H
2O+7H
2O→4CaHPO
4.2H
2O(ブルシャイト)方程式1
【0031】
加えて、ブルシャイトは更に、TCPと反応してアパタイトを形成し得るか(方程式2a)、又はカルシウム欠乏アパタイトに再構成し得る(方程式2b):
Ca
3(PO
4)
2+(7−x)CaHPO
4.2H
2O→Ca
10−x(HPO
4)
x(PO
4)
6−x(OH)
2−x+(3−x)H
3PO
4+(12−x)H
2O(方程式2a)
(10−x)CaHPO
4.2H
2O⇔Ca
10−x(HPO
4)
x(PO
4)
6−x(OH)
2−x+(4−x)H
3PO
4+(18−x)H
2O(方程式2b)
【0032】
追加のTCPにより、反応は更に次に進み得る:
Ca
3(PO
4)
2+H
3PO
4+6H
2O→3CaHPO
4.2H
2O(ブルシャイト) 方程式3
【0033】
次に、方程式3から新しく形成されたブルシャイトは、方程式2aに基づいて追加のTCPと反応し、アパタイトを形成し得る。CaP組成物が追加の要素として方解石を含むある特定の実施形態では、炭酸イオンの放出は、任意の最終アパタイト構造中の炭酸塩の置換をもたらし得る。
【0034】
ある特定の実施形態では、他の追加の要素が本開示の生体適合性
セラミック組成物に組み込まれ得る。例えば、方解石のCaP組成物への添加を含むすでに記載された実施形態は、追加の炭酸イオンを
セラミック組成物に添加する。他の好適な要素としては、例えば、シリコン、マグネシウム、ストロンチウム、及び亜鉛が挙げられ得る。一実施形態によると、要素は、カルシウム含有粒子又は生体適合性セラミック顆粒の化学組成の化学式への直接置換を通して組み込まれ得る。例えば、リン酸カルシウム組成物に関して、シリコンが、シリコン置換ヒドロキシアパタイト、Ca
10(PO
4)
6−x(SiO
4)
x(OH)
2−x(x=0...1)の形態で製剤に導入され得る。別の実施形態によると、要素は、所望の要素のうちの1つ又は2つ以上を含有するある特定の酸化物粉末又は塩の添加によって組み込まれ得る。追加の要素が顆粒に組み込まれる実施形態では、酸化物粉末又は塩の添加は、要素が顆粒体全体にわたって均一に分散される方法で達成され得る。あるいは、要素の添加は、顆粒の1つ又は2つ以上の領域内に、例えば、顆粒の表面に沿って若しくは表面内に局在し得るか、又は芯領域内に局在し得る。また更に、追加の要素は、被覆を形成するために使用される水性媒体に組み込まれ得、例えば、水性媒体中に溶解又は懸濁され得る。置換又は添加のいずれかによる、ある特定の要素のカルシウム含有粒子又は生体適合性セラミック顆粒への組み込みに関する上記の実施形態のいずれも、得られる粒子及び/又は顆粒が、置換された要素、及び添加によって組み込まれた要素の両方を含み得るように、所望に応じて組み合わされ得るか、又は修飾され得ることが理解されるべきである。
【0035】
本開示に従って、カルシウム含有粒子の被覆は、生体適合性セラミック顆粒の外側表面の少なくとも一部に少なくとも部分的に結合される。被覆された顆粒は一実施形態によると、約80:20〜約40:60、好ましくは約75:25〜約45:65、及びより好ましくは約70:30〜約50:50の顆粒と粒子の重量間の重量比範囲を有することができる。別の実施形態によると、重量比範囲は、約95:5〜約30:70、好ましくは約90:10〜40:60、より好ましくは約85:15〜50:50である。すでに記載された重量比範囲は、生体適合性
セラミック組成物の被覆された顆粒の重量百分率分布に関することが理解されるべきである。例えば、三次元足場は、追加の成分要素(例えば、セメント系粉末)を更に含んでもよいか、又はそれらと組み合わされてもよい、本開示の生体適合性
セラミック組成物から形成され得、得られる足場は、上記に開示される被覆された顆粒とは異なる重量比を有する。
【0036】
一実施形態によると、生体適合性
セラミック組成物は、乾燥状態で流動性である。小型漏斗を通して容易に注入され得る乾燥粉末及び顆粒状組成物又は混合物は、流動性であると考えられる。ある特定の組成物の流動性速度は、種々の乾燥粉末及び顆粒の性能に対する測定値及び指標を提供することができる。流動性(注入性とも称され得る)は、標準的な量の乾燥材料が、指定された寸法の漏斗を通って流動するために必要とされる時間の尺度であり、ASTM規格下で測定され得る(以下に更に詳細に考察される通り)。
【0037】
本開示は更に、生体適合性
セラミック組成物を生成する方法を記載し、この方法は、
(a)複数のカルシウム含有粒子及び複数の生体適合性セラミック顆粒を混合する工程と、
(b)複数の顆粒のそれぞれの外側表面において、カルシウム含有粒子及びセラミック顆粒を水性媒体と反応させる工程と、
(c)複数の顆粒のそれぞれの外側表面の少なくとも一部上に、カルシウム含有粒子の被覆を形成する工程であって、被覆が外側表面に結合される、工程と、
(d)
セラミック組成物を脱水する工程と、を含む。
【0038】
高せん断造粒機、流動床造粒機、ドラム型造粒機、及び/又はパン/ディスクコーターなど、当該技術分野においてよく知られているあらゆる顆粒化又は被覆方法及びデバイスが、本開示に従って被覆された顆粒を製造するために使用され得る。工程の正確な順序が、生体適合性
セラミック組成物を含む被覆された顆粒を生成するために使用される装置及び/又は方法の種類に応じて修正され得ることが理解されるべきである。典型的には、顆粒、粒子、及び水性媒体は、同一位置に、かつ同一時点で全て存在する。例えば、一実施形態によると、乾燥生体適合性セラミック顆粒及び乾燥カルシウム含有粒子は、予混合されてもよく、その後に水性媒体が噴霧器を使用して導入される。別の実施形態によると、乾燥生体適合性セラミック顆粒が、水性媒体中に予め浸漬されてもよく、次いで、カルシウム含有粒子が導入される。一実施形態によると、顆粒の外側表面上への粒子の均一な分布を確実にしようと試みるために、顆粒及び硫酸カルシウム粒子は、被覆処理中に何らかの撹拌の状態で保持される。
【0039】
被覆処理は、所望される場合、例えば、各被覆された顆粒が、異なる被覆層中で、その上に含有される適量のカルシウム含有粒子、及び/又は種々の追加の要素、及び/又は活性薬剤を有することを確実にするために、2度以上実施され得る。したがって、方法は更に、被覆された顆粒上に追加の被覆を形成する工程を含むことができる。一実施形態によると、被覆された顆粒は、単一の被覆を含む。代替の実施形態では、被覆された顆粒は、追加/複数の被覆、例えば、少なくとも2つの被覆、ある特定の実施形態では、3つ又は4つ以上の被覆、例えば、最大で約5つの被覆を含む。被覆された顆粒が複数の被覆を含む一実施形態によると、最も外側の被覆は硫酸カルシウムを含む。
【0040】
一実施形態によると、被覆処理は、高せん断造粒機、例えばGlatt Air Techniques,Inc.(Ramsey,NJ)によって製造されるTMGで実施され得る。高せん断造粒機は、被覆処理を制御するために種々の撹拌速度で設定され得る、混合容器の底部の撹拌器を有する。それはまた、被覆処理を更に容易にすることができる、サイドチョッパーを有する。被覆処理中、カルシウム含有粒子及び生体適合性セラミック顆粒は、混合容器中で均質的に混合され、水性媒体(例えば、水)は、混合容器の頂部の噴霧ノズルを通して送達される。
【0041】
脱水する工程は、被覆処理の完了後に残っている所望の量の過剰な水分を除去する働きをする。脱水する工程が、例えば、被覆及び/又は顆粒に化学結合されていない過剰な水を除去するために、部分脱水であり得ることが理解されるべきである。脱水する工程はまた、化学結合した水の除去、例えば、二水和物部分のその半水化物状態への変換、又は安定した不活性アパタイト構造の形成を加速させることによって、化学組成、並びに被覆及び/又は顆粒の構造を変換するために使用され得る。脱水の程度は、所望に応じて制御及び変更され得る。一実施形態によると、脱水する工程後の被覆の少なくとも一部が後続の水硬性反応に反応する場合、脱水は制御され得る。
【0042】
一実施形態によると、脱水は、凍結乾燥(すなわち、フリーズドライ)によって行われる。別の実施形態によると、脱水は、オートクレーブ(以下に記載される通り)を使用して行われる。概して脱水処理におけるオートクレーブの使用は、残ることが望まれる水の除去を引き起こすことなく、熱及び/又は圧力を上昇させることによって、水が被覆された顆粒から除去され得るように、脱水中の大気中の制御されたレベルの熱、圧力、及び水分を提供するためである。更に別の実施形態では、脱水処理は、オーブン、例えば、真空オーブンを使用して行われる。ある特定の追加の実施形態では、脱水する工程は、例えば、被覆された顆粒が環境に曝露されることを可能にし、顆粒を一晩又は乾燥するまで何日間も表面上に残すなど、自然蒸発を生じさせる受動的工程であり得る。
【0043】
カルシウム含有粒子が硫酸カルシウム粒子である実施形態では、典型的には、粒子は、硫酸カルシウム半水化物(CSH)として、半水化物形態で混合工程に導入される。水性媒体の存在下で、得られる被覆が主にCSDを含有するように、半水化物形態は、硫酸カルシウム二水和物(CSD)として二水和物形態を形成するようにセメント質反応する。脱水する工程中、CSDから反応性CSHに戻る変換が、水の除去によって生じ得る。この変換は、所望のレベルのCSH変換が生じることを可能にするために、脱水工程を通して所望に応じて制御され得る。これは、脱水する工程後の被覆の少なくとも一部が、後続の水硬性セメント反応のために、CSHの形態で反応特性を有することを可能にし得る。安定したCSDから反応性CSHに戻る変換方法は、当該技術分野においてよく知られている。変換は、1モルのCSD当たり1.5モルの水を除去することを目的とする脱水処理である:
CaSO
4・2H
2O→CaSO
4・1/2 H
2O+1 1/2 H
2O
【0044】
脱水によるCSDのCSHへの変換の1つの問題は、組成物から結合した水の全てを除去し、典型的には望ましくない無水硫酸カルシウムをもたらすことを回避するための、脱水処理のパラメータの制御である。脱水する工程で利用される処理パラメータによって、CSHのそのような高い変換収率を達成するために必要とされる条件が、CSHの一部の無水状態への変換をもたらす可能性があるという事実により、CSDの全てをCSHに完全に変換しようと試みることは望ましくない場合がある。
【0045】
いくつかの既知の方法が、CSDをCSHに変換するために利用される。(例えば、米国特許第3,410,655号;Combe & Smith,「Studies on the Preparation of Calcium Sulphate Hemihydrate by an Autoclave Process,」J.Appl.Chem.,Vol.18,307〜312(1968)を参照されたい)。一方法は、硫酸中にCSDを懸濁させることによって、CSDを脱水する工程を伴う。別の方法は、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、又はアンモニアの塩化物又は硝酸塩(例えば、NaCl、CaCl
2、MgCl
2、NH
4Cl)など、濃縮された塩を有する溶液中のCSDの懸濁を伴い、そのような溶液は、大気圧で100℃を超える沸点を有する。当該技術分野において既知の1つの方法に従って、CSDは、組成物を脱水するためのオートクレーブを使用して、反応性CSHに変換し戻され得る。CSDからCSHへの変換に好適な典型的なオートクレーブ条件は、100℃を超える温度及び大気圧を超える水蒸気圧である。例えば、一実施形態によると、脱水し、CSDの少なくとも一部をCSHに変換する工程は、約15分〜最大で60分にわたって、121℃又は135℃かつ103kPa(15psi)でCSDをオートクレーブすることを伴う。
【0046】
カルシウム含有粒子がリン酸カルシウム粒子である実施形態では、水性媒体中の例示的な反応機構は、上記に記載されている。例示的なCaP反応機構は、完全に硬化された場合、最終的に安定したアパタイト構造(方程式1〜方程式2a)をもたらすことができる。しかしながら、脱水する工程は、一実施形態によると、反応が進行するために必要な水を除去することによって、反応が最終の安定したアパタイトへと進むことを防ぐことができる。そのような場合、被覆の少なくとも一部が、脱水する工程後に顆粒の外側表面の少なくとも一部に結合される一方で、被覆の少なくとも一部は、α−TCPの形態で、後続の水硬性セメント反応に反応する。
【0047】
本開示に従って、すでに記載された生体適合性
セラミック組成物の被覆された顆粒から形成される、骨欠損を補強又は修復するための三次元生体吸収性セラミック足場が記載される。複数の顆粒は、植え込み部位において三次元足場を画定し、また部位における植え込み時に、足場は、隣接する顆粒の外壁間に相互に接続された細孔ネットワークを画定する。足場は生体吸収性であり、相互に接続された細孔ネットワークは、足場への流体及び細胞の侵入を可能にする。相互に接続された細孔ネットワークはまた、再吸収可能な足場の材料を利用して付着及び再形成するために、新しい骨細胞のための骨伝導環境を提供する。
【0048】
相互に接続された細孔ネットワークは一実施形態によると、全足場容積の約20%〜約90%、好ましくは約30%〜約80%、より好ましくは35%〜約70%、及び最も好ましくは約40%〜約60%の容積を有することができる。別の実施形態によると、相互に接続された細孔ネットワークの平均細孔径は、約10um〜約1000um、より好ましくは100um〜約500umの範囲であり得る。
【0049】
ある特定の実施形態では、足場の被覆された顆粒は、互いにセメント質結合され得る。そのような実施形態は、脱水する工程を利用して、すでに記載された方法から形成され得、被覆の少なくとも一部が後続の水硬性反応に反応する場合、脱水する工程は制御され得る。一実施形態によると、被覆の反応性部分はCSHを含む。別の実施形態によると、被覆の反応性部分はα−TCPを含む。部位における植え込み時、及び水性媒体への曝露後、被覆された顆粒のそれぞれの被覆の反応性部分は、隣接して接触する顆粒とセメント質反応し、被覆された顆粒間に複数の結合点を有する足場をもたらし得る。この顆粒間セメント結合は、ある特定の場合において、足場を形成する顆粒の移動を低減又は阻止し得る。好適な水性媒体のいくつかの例としては、水、生理食塩水、血液、骨髄穿刺液、及び水性媒体含有生理活性薬剤、並びに例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの生体適合性緩衝液が挙げられる。加えて、足場は更に、隣接する被覆された顆粒の互いとの固定を促進することができる促進組成物と組み合わされ得るか、又はそれを含み得る。例えば、被覆の反応性部分がCSHである場合、促進組成物としては、例えば、硫酸カルシウム二水和物、硫酸カリウム、硫酸亜鉛、及び硫酸ナトリウムが挙げられ得る。
【0050】
一実施形態によると、足場は更に、足場の被覆された顆粒の移動を低減又は阻止することが可能である結合剤を含むことができる。結合剤は、植え込み部位内で複数の顆粒を互いに隣接して維持することができる任意の生体適合性材料であってもよい。好ましくは、結合剤は、相互に接続された細孔ネットワークを通した流体及び細胞の流動を阻止しない。
【0051】
一実施形態によると、結合剤はセメント系粉末である。生体適合性セメント系粉末は、当該技術分野においてよく知られており、例えば、結晶性リン酸カルシウム又は硫酸カルシウム;無水リン酸二カルシウム−CaHPO
4;リン酸二カルシウム二水和物−CaHPO
4・2H
2O;α−リン酸三カルシウム−Ca
3(PO
4)
2;α’−リン酸三カルシウム−Ca
3(PO
4)
2;β−リン酸三カルシウム−Ca
3(PO
4)
2;ヒドロキシアパタイト−Ca
5(PO
4)
3OH、又はCa
10(PO
4)
6(OH)
2;リン酸四カルシウム−Ca
4(PO
4)
2O;リン酸オクタカルシウム−Ca
8H
2(PO
4)
6・5H
2O;無水硫酸カルシウム−CaSO
4;α−硫酸カルシウム半水化物−α−CaSO
4・1/2 H
2O;β−硫酸カルシウム半水化物−β−CaSO
4・1/2 H
2O;又は硫酸カルシウム二水和物−CaSO
4・2H
2Oが挙げられ得る。セメント系粉末は、手術に際して足場と組み合わされ得るか、あるいは足場を形成する被覆された顆粒と予め詰められ得る。セメント系粉末は、足場の約10重量%〜約50重量%に及ぶ量で存在し得る。好ましくは、セメント系粉末は、足場の約20重量%〜約30%重量の量で存在する。
【0052】
別の実施形態によると、結合剤は、親水性ポリマーなどのポリマー系組成物である。そのような組成物は、天然由来又は合成的に得られてもよく、ゲル、ヒドロゲル、架橋ポリマー、又はこれらのブレンド及び混合物が挙げられ得る。ゲル又はヒドロゲルを形成する水性ポリマーは、当該技術分野においてよく知られており、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポロキサマー(ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのコポリマーである)が挙げられ得る。一実施形態によると、結合剤としては、ポリアルキレンオキシド系組成物、例えば、官能化ポリアルキレンオキシドが挙げられ得る。好ましい官能化ポリアルキレンオキシドの一例は、多官能架橋ポリアルキレンオキシドである。好適な多官能架橋ポリアルキレンオキシドは、米国特許第5,874,500号及び米国特許出願公開第2008/0253987号に記載され、それらの両方は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。別の実施形態によると、結合剤は、タンパク質、又は多糖類系ゲル若しくはヒドロゲルである。ゲル又はヒドロゲルを形成するタンパク質は、当該技術分野においてよく知られており、例えば、コラーゲン、エラスチン、フィブリン、アルブミン、及び絹タンパク質が挙げられ得る。ゲル又はヒドロゲルを形成する多糖類は、当該技術分野においてよく知られており、例えば、アルギン酸塩、キトサン、ヒアルロン酸塩、ヘパラン、デキストラン、デキストリン、ポリデキストロース、セルロース由来ポリマー(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)が挙げられ得る。
【0053】
アルギン酸塩系ヒドロゲルは、特に好ましいヒドロゲルである。アルギン酸塩は、主にそのカルシウム、マグネシウム、及びナトリウム塩形態で、海藻中に自然発生する。それは、マンヌロン酸及びグルロン酸のより長いホモポリマー領域からなり、交互のマンヌロン酸/グルロン酸構造の領域が組み入れられている、ブロックコポリマーである。典型的には、グルロン酸領域は、アルギン酸塩のゲル形成能力を提供し、一方で、マンヌロン酸及びマンヌロン酸/グルロン酸領域は、ポリマー鎖に柔軟性を提供する。アルギン酸塩のゲル形成能力は、ポリマー鎖中のグルロン酸モノマー領域の機能である。アルギン酸塩鎖上の1つのグルロン酸領域が、例えばマグネシウム又はカルシウムなどの多価イオンを介して、別の鎖上の別の同様の領域に架橋され得る。カチオンは、ポリマー鎖に対する接合ゾーンを提供し、アルギン酸塩のゲル化をもたらす。本開示に従って、アルギン酸塩は、被覆された顆粒の硫酸カルシウム粒子中に存在するカルシウムイオンが、上記の通りアルギン酸塩を架橋するために比較的速い速度でカルシウムイオン源を提供することができるため、被覆が硫酸カルシウムを含む場合、特に好ましい。これは、アルギン酸塩が、被覆された顆粒の被覆中に存在するカルシウムを通して、かつそれと架橋することができるという点で、ゲルポリマーの一般的な物理特性及び化学機構の両方によって、植え込み部位に足場を物理的に維持するアルギン酸塩ゲルをもたらすことができる。結合剤としての使用に好適な水溶液中のアルギン酸塩含量は、約0.1%〜約5%、好ましくは約0.5%〜約2%の範囲であってもよい。
【0054】
別の実施形態によると、足場は、新しい骨の成長を促進することができるか、又は例えば、炎症反応の低減、抗菌治療、抗癌治療、若しくは鎮痛などの他の治療的有用性を提供することができる活性薬剤又は複数の薬剤と組み合わされ得る。
【0055】
新しい骨成長を促進するのに好適な活性薬剤は、骨形成性、骨伝導性、又はその両方であってもよい。新しい骨成長を促進するのに好適な活性薬剤のいくつかの例としては、骨形成、治癒、及び修復に関連する自己移植片、骨髄穿刺液、間葉幹細胞、前駆細胞、前骨芽細胞、及びタンパク質又はペプチドが挙げられる。タンパク質の例としては、骨形態形成タンパク質(BMP)、骨形成タンパク質(OP)、形質転換成長因子(TGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、及び米国特許出願第13/404,097号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるようなある特定の骨伝導小分子が挙げられる。ある特定の好ましい骨形態形成タンパク質としては、BMP−2及びBMP−7が挙げられる。
【0056】
更なる種類の治療的有用性を提供するのに好適な活性薬剤としては、例えば、抗生物質、鎮痛剤、及び癌治療剤が挙げられ得る。加えて、本明細書に列挙される活性薬剤は、所望に応じて、任意の好適な組み合わせで互いと組み合わされ得る。
【0057】
本開示に従って、骨修復のための三次元生体吸収性セラミック足場を形成する方法は、
すでに記載された開示に従って、生体吸収性
セラミック組成物を部位に植え込む工程と、
組成物を結合剤と接触させる工程と、
セラミック組成物の隣接する顆粒の外壁間に、相互に接続された細孔ネットワークを有する三次元生体吸収性セラミック足場を形成する工程と、を含む。
【0058】
方法は更に、活性薬剤と接触させる任意の工程を含むことができる。
【0059】
一実施形態によると、生体吸収性
セラミック組成物の被覆された顆粒は、部位(例えば、骨間隙)に植え込まれ、続いて、部位において結合剤と接触させられ得る。一実施形態によると、植え込む工程は、部位に注入する工程を含み、代替の実施形態では、植え込む工程は、部位に手で適用する工程を含む。接触させる工程はまた、水性媒体と接触させることを含んでもよい。別の実施形態によると、被覆された顆粒、結合剤、及び任意に水性媒体は、植え込む工程の前に組み合され得る。
【0060】
典型的には、個々の構成成分は、スラリー又は他のコロイド状の混合物に組み合わされ、次いで、注射器又は他の種類の注入デバイスを介して植え込まれるか、あるいは手で部位に配置される。例えば、結合剤が約1%のアルギン酸塩含量を有する水溶液である場合、結合剤はいくつかの実施形態では、水性媒体としての機能も果たすことができることが理解されるべきである。任意に、活性薬剤を接触させる工程は、本方法の他の時点で生じることができる。一実施形態によると、活性薬剤は、植え込み後に足場と接触させられ得る。別の実施形態によると、活性薬剤は、足場を形成する工程の前に組成物と接触させられ得る。更なる実施形態によると、活性薬剤は、すでに記載された通り、植え込み前に上記の構成成分と組み合わされ得る。活性薬剤が単独の構成成分として含まれ得るか、あるいは接触前に他の構成成分のいずれかと組み合わされ得ることが理解されるべきである。例えば、活性薬剤は、足場又は他の構成成分のいずれかとの接触前に、水性媒体内で溶解され得る。加えて、足場を形成するために使用され得る個々の要素の接触又は組み合わせ(すなわち、生体吸収性
セラミック組成物、結合剤、並びに/又は水性媒体及び/若しくは活性薬剤のいずれか)は、接触及び植え込み、又は植え込み及び接触後に、
セラミック組成物の隣接する顆粒の外壁間に相互に接続された細孔ネットワークを有する、三次元生体吸収性セラミック足場が形成されるように、部位において、並びに植え込む前に、任意の可能な置換又は配列で行われ得る。
【0061】
本開示に従って、生体適合性
セラミック組成物は、好適な送達流体中で保管及び/又は植え込み部位に送達され得る。送達流体は一実施形態によると、植え込みまで保存安定状態で組成物を維持することができる。送達流体はまた、注入及び/又は手動の形状決定若しくは操作に好適である流動硬度で、組成物を維持することができる(例えば、パテ)。植え込む工程はまた、生体適合性
セラミック組成物を部位に注入することも含むことができ、生体適合性
セラミック組成物は、送達流体を含む。別の実施形態によると、植え込む工程は、生体適合性
セラミック組成物を手で植え込むことを含むことができ、生体適合性
セラミック組成物は、送達流体を含む。送達流体は、粒状
セラミック組成物がパテ状の硬度に達することを可能にすることができ、それは、
セラミック組成物を植え込み部位に近い形状に手動で形状決定することを可能にする。
【0062】
被覆の少なくとも一部が後続の水硬性反応に反応する本開示の実施形態では、いかなる水硬性反応も植え込み前に生じることを防ぐために、送達流体が非水性生体適合性媒体であることが望ましい。好適な候補としては、グリセロール(すなわち、グリセリン)、n−メチル−2−ピロリドン(NMP)、2−ピロリドン、低分子量ポリエチレングリコール(PEG 400など)、及び低分子量ポロキサマー(ポロキサマー124など)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。加えて、当該技術分野においてよく知られている非水溶性有機液体が、好適な送達流体として利用され得る。したがって、例示的な有機液体の限定されないリストには、グリセリントリアセテート、グリセリントリブチレート、グリセリントリオレエート、グリセリンジオレエート、グリセリンモノオレエート、カプリロカプラート、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸、オレイルアルコール、オレイン酸オレイル、短鎖トリグリセリド、中鎖トリグリセリド、プロピレングリコールの短鎖及び中鎖脂肪酸エステル、ベンゾイル酢酸エチル、酪酸エチル、ブチリル酢酸エチル、オレイン酸エチル、カプロン酸エチル、カプリル酸エチル、カプリン酸エチル、ラウリン酸エチル、レブリン酸エチル、ミリスチン酸エチル、パルミチン酸エチル、リノール酸エチル、ステアリン酸エチル、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、オレイン酸、アラキジン酸エチル、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ブチルマロン酸ジエチル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチルマロン酸ジエチル、フェニルマロン酸ジエチル、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、スベリン酸ジエチル、こはく酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フタル酸ジブチル、レシチン、パラフィン油、ペトロラタム、液体パラフィン、セバシン酸のエステル、特に、セバシン酸ジブチルエステル、セバシン酸ジエチルエステル、セバシン酸ジイソプロピルエステル、及びセバシン酸ジオクチルエステルが含まれる。
【実施例】
【0063】
(実施例1)
50gの硫酸カルシウム半水化物(CSH)(JT Baker)及び200gのchronOS顆粒(β−TCP、0.5〜0.7mm)(ロット番号2162065、Synthes USA,LLC)を、1リットルの混合容器を有するTMG高せん断造粒機(Glatt Air Techniques,Ramsey,NJ)中で予混合した。25gの水を8g/分の速度で混合容器中に送達した。撹拌器を150rpmに設定し、チョッパーを300rpmに設定した。被覆処理は、10分間の持続時間を有した。この被覆処理において、CSHは水と反応し、硫酸カルシウム二水和物(CSD)に変換された。被覆後、被覆された顆粒をオートクレーブ安全ボトルに移し、10分間135℃及び103kPa(15psi)でオートクレーブした。オートクレーブ工程は、CSDの一部分をCSHに変換した。次いで、顆粒を凍結乾燥させ、オートクレーブ工程から残っている過剰な水分を除去した。得られる被覆された顆粒(ロット番号001−2)を、XRD、BET、マイクロCT、及びSEMに対して分析した。
【0064】
(実施例2)
125gの硫酸カルシウム半水化物(CSH)(JT Baker)及び125gのchronOS顆粒(β−TCP、0.5〜0.7mm)(ロット番号2162065、Synthes USA,LLC)を、1リットルの混合容器を有するTMG高せん断造粒機(Glatt Air Techniques,Ramsey,NJ)中で予混合した。38gの水を8g/分の速度で混合容器中に送達した。撹拌器を150rpmに設定し、チョッパーを300rpmに設定した。被覆処理は、10分間の持続時間を有した。この被覆処理において、CSHは水と反応し、硫酸カルシウム二水和物(CSD)に変換された。被覆後、被覆された顆粒をオートクレーブ安全ボトルに移し、10分間135℃及び103kPa(15psi)でオートクレーブした。オートクレーブ工程は、CSDの一部分をCSHに変換した。次いで、顆粒を凍結乾燥させ、オートクレーブ工程から残っている過剰な水分を除去した。得られる被覆された顆粒(ロット番号002)を、XRD、BET、マイクロCT、及びSEMに対して分析した。
【0065】
(実施例3)
100gの硫酸カルシウム半水化物(CSH)(品番1463−07 JT Baker)及び150gのchronOS顆粒(β−TCP、1.4〜2.8mm)(ロット番号2140202 Synthes USA,LLC)を、1リットルの混合容器を有するTMG高せん断造粒機(Glatt Air Techniques,Ramsey,NJ)中で予混合した。34gの水を8g/分の速度で混合容器中に送達した。撹拌器を150rpmに設定し、チョッパーを300rpmに設定した。被覆処理は、10分間の持続時間を有した。この被覆処理において、CSHは水と反応し、硫酸カルシウム二水和物(CSD)に変換された。被覆後、被覆された顆粒をオートクレーブ安全ボトルに移し、10分間135℃及び103kPa(15psi)でオートクレーブした。オートクレーブ工程は、CSDの一部分をCSHに変換した。次いで、顆粒を凍結乾燥させ、オートクレーブ工程から残っている過剰な水分を除去した。得られる被覆された顆粒(ロット番号005)を、XRD、BET、及びSEMに対して分析した。
【0066】
(実施例4)
100gの硫酸カルシウム半水化物(CSH)(品番1463−07 JT Baker)及び150gのアパタイト顆粒(ロット番号HA−522、Synthes USA,LLC)を、1リットルの混合容器を有するTMG高せん断造粒機(Glatt Air Techniques,Ramsey,NJ)中で予混合した。24gの水を8g/分の速度で混合容器中に送達した。撹拌器を150rpmに設定し、チョッパーを300rpmに設定した。被覆処理は、12分の持続時間を有した。この被覆処理において、CSHは水と反応し、硫酸カルシウム二水和物(CSD)に変換された。被覆後、被覆された顆粒をオートクレーブ安全ボトルに移し、10分間135℃及び103kPa(15psi)でオートクレーブした。オートクレーブ工程は、CSDの一部分をCSHに変換した。次いで、顆粒を凍結乾燥させ、オートクレーブ工程から残っている過剰な水分を除去した。得られる被覆された顆粒(ロット番号008−XL−8)を、XRD、BET、及びSEMに対して分析した。
【0067】
(実施例5)
37.97gのα−TCP(Synthes 40−0014、ロット番号2000422)、5.55gの方解石(Synthes 10−0074、ロット番号0405004)、及び1.48gのMCPM(Synthes 40−0012、ロット番号1999925)のCaP粉末混合物と、180gのβ−TCP顆粒(Synthes chronOS、0.5〜0.7mm、ロット番号1010012)を、1リットルの混合容器中で、TMG高せん断造粒機(Glatt Air Techniques,Ramsey,NJ)中で予混合した。22.5gの4%第二リン酸ナトリウム七水和物水溶液を6g/分の速度で混合容器中に送達した。撹拌器を150rpmに設定し、チョッパーを300rpmに設定した。被覆処理は、10分間の持続時間を有した。この被覆処理において、粉末混合物及びβ−TCP顆粒の表面は水と反応し、β−TCP顆粒上のリン酸カルシウム被覆をもたらした。被覆後、被覆された顆粒を2つの部分に分離し、1つの部分を直接凍結乾燥させ(ロット番号N02_Lyo)、第2の部分を10分間135℃及び103kPa(15psi)でオートクレーブし、次いで凍結乾燥させた(ロット番号N02_AC)。両方のロット及びchronOS対照からの顆粒をSEMに対して評価した。
【0068】
(実施例6)乾燥流量(流動性)測定
本試験の目的は、個々の被覆で使用されるカルシウム粒子を有する被覆されていない顆粒に加えて、被覆されていないchronOS顆粒それ自体に対する、実施例1、2、及び5の被覆された顆粒の乾燥流量を評価することである(すなわち、実施例1及び2に対して硫酸カルシウム粒子、並びに実施例5に対してα−TCP、方解石、MCPM混合物)。プラスチック材料の見掛け密度、かさばり係数、及び注入性に対して、ASTM D195−96(2010)規格試験に従って、修正された注入性試験方法を使用して試験を実施した。
【0069】
器具:
1.Kimax 58ガラス漏斗:底部開口部:4.90mm(内径);頂部開口部:88.00mm(内径)
2.100mLパイレックスガラスシリンダ
3.実験用スタンド
4.デジタルタイマ。
【0070】
ガラス漏斗を実験用スタンド上に載置した。全ての試料に対して、約50g量り分け(各試料に対して実際の質量を記録し)、底部開口部が閉鎖された漏斗に注入した。漏斗の底部開口部を開放すると同時に、デジタルタイマを開始した。試料を漏斗から自由に流れさせ、最後の試料が漏斗から出た瞬間に、タイマを停止した。メスシリンダーを読み取ることによって、試料の最終容積を記録し、漏斗を通過した試料の質量もまた記録した。
【0071】
A.実施例1及び2に対する流動性試験
材料:
1.硫酸カルシウム半水化物粉末(CSH)、JT Baker、品番1463−07)
2.chronOS顆粒、0.5〜0.7mm(ロット番号2162065、Synthes USA,LLC)
3.被覆された顆粒、ロット番号001−2(実施例1)
4.被覆された顆粒、ロット番号002(実施例2)
【0072】
本研究で試験した試料を表1に列挙した。各試料を3回試験した。乾燥流量を以下の通り計算した:
【数1】
【0073】
【表2】
【0074】
CSH粉末のchronOS顆粒への添加は、顆粒の流動を促進し、1%から最大で40%のCSH含量で乾燥流量を増加させたことがわかった。しかしながら、50%のCSHでは、CSHとchronOSとの混合物は、本研究で使用された漏斗を通してもはや流動可能ではなかった。
【0075】
被覆された顆粒は、被覆されていないchronOSに比べて増加した乾燥流量を有し、またCSH:chronOS混合物よりも大きい乾燥流量を有した。Tukey事後解析(Minitab 15)を用いた一元配置ANOVA(95%信頼区間)を使用して、被覆された顆粒試料の両方の乾燥流量が、本研究で試験された被覆されていないchronOS及び全てのCSH:chronOS混合物試料とは有意に異なったことがわかった。被覆された顆粒は、被覆されていないchronOS顆粒、及び硫酸カルシウム粉末とchronOS顆粒との混合物の両方と比較して、より高い乾燥流量を有した。
【0076】
本研究における試験方法を、粉末状及び/又は粒状プラスチック材料に対して、ASTM D1895−96(2010)から修正した。しかしながら、注入性の基本的な理論、すなわち、基準量の材料が指定された寸法の漏斗を通って流動するために必要とされる時間の尺度もまた、セラミック顆粒及び粉末に有効である。したがって、同様の試験設定が試料の乾燥流量を評価するために使用された。
【0077】
本研究において使用された漏斗寸法は、ASTM規格とは異なった。しかしながら、本研究において評価された全ての試料を、漏斗を含む同一の実験設定を用いて試験した。したがって、試験された異なる試料の乾燥流量は、異なる試料の流動挙動の測定可能な差を示す。
【0078】
B.実施例5に対する流動性試験
材料:
1.chronOS顆粒、0.5〜0.7mm(ロット番号1010030、Synthes USA,LLC)
2.以下からなるリン酸カルシウム(CaP)粉末混合物:
a.α−TCP(Synthes 40−0014、ロット番号2000422)
b.方解石(Synthes 10−0074、ロット番号0405004)
c.MCPM(Synthes 40−0012、ロット番号1999925)
3.被覆された顆粒、ロット番号N02_AC(実施例5)
4.被覆された顆粒、ロット番号N02_Lyo(実施例5)
【0079】
本研究において試験された試料を表2に列挙した。各試料を3回試験した。乾燥流量を以下の通り計算した:
【数2】
【0080】
【表3】
【0081】
CaP粉末混合物のchronOS顆粒への添加は、顆粒の流動を促進し、最大で20%のCaP粉末含量に対して乾燥流量を増加させたことがわかった。しかしながら、増加した量のCaP粉末では、混合物は、本研究において使用された漏斗を通してもはや流動可能ではなく、それは、小さいCaP粒子による漏斗の詰まりによるものであった。
【0082】
被覆された顆粒は、被覆されていないchronOSに比べて増加した乾燥流量を有し、またCaP粉末:chronOS混合物よりも大きい乾燥流量を有した。Tukey事後解析(Minitab 15)を用いた一元配置ANOVA(95%信頼区間)を使用して、被覆された顆粒試料の両方の乾燥流量が、被覆されていないchronOS及びCaP粉末:chronOS混合物試料の両方よりも有意に高かったことがわかった(p値=0.000)。2つの被覆された顆粒群に対して、乾燥流量の差は見られなかった。
【0083】
(実施例7)
実施例5で得られた顆粒の2つのロットを、60:40の質量比で、α−TCP(Synthes 40−0014、ロット番号2000422)、方解石(Synthes 10−0074、ロット番号0405004)、及びMCPM(Synthes 40−0012、ロット番号1999925)のCaP粉末混合物と混合した。chronOS顆粒(0.5〜0.7mm、ロット番号1010030、Synthes)を対照として使用し、それもまた、同一のリン酸カルシウム粉末混合物と混合した。全ての群に対して、水和流体として、3.87重量%の第二リン酸ナトリウム七水和物水溶液を使用した。試料を押し込み試料ホルダに配置し、次いで、37℃でリン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)中に配置した。
【0084】
図1を参照すると、硬化挙動を評価するために、機械試験装置(MTS、Eden Prairie,MN)で、修正されたギルモア針方法を使用して、押し込み力を測定した。15.24mm/分の速度で、圧子を試料中に1.27mm負荷した。試料の3つの異なる実験を測定した(n=3)。ピーク負荷は、圧子に対する試料の抵抗性を示し、したがって、試料の硬化挙動のための基準としての役割を果たす。Tukey事後を用いた一元配置ANOVA(95%信頼区間)は、p値=0.000であること、及び両方の被覆された顆粒群が、被覆されていないβ−TCP顆粒の対照群よりも高い押し込み力を有したことを示した。
【0085】
(実施例8)
β−TCP顆粒上の多層CaP被覆が本実施例に示される。上記と同一のCaP粉末混合物を、複数の処理を通して、β−TCP顆粒(Synthes chronOS、0.5〜0.7mm、ロット番号1010012)上に被覆した。
【0086】
被覆の第1の層に対して、37.97gのα−TCP(Synthes 40−0014、ロット番号2000422)、5.55gの方解石(Synthes 10−0074、ロット番号0405004)、及び1.48gのMCPM(Synthes 40−0012、ロット番号1999925)CaP粉末混合物と、180gのchronOSを、1リットルの混合容器中で、TMG高せん断造粒機(Glatt Air Techniques,Ramsey,NJ)中で予混合した。22.5gの4%第二リン酸ナトリウム七水和物水溶液を、6g/分の速度で混合容器中に送達した。撹拌器を150rpmに設定し、チョッパーを300rpmに設定した。被覆処理は、10分間の持続時間を有した。この被覆処理において、粉末混合物及びβ−TCP顆粒の表面は水と反応し、β−TCP顆粒上のリン酸カルシウム被覆をもたらした。被覆後、被覆された顆粒を凍結乾燥させ(ロット番号N03−1)、顆粒のSEM画像を撮った。
【0087】
被覆の第2の層に対して、7.97gのα−TCP(Synthes 40−0014、ロット番号2000422)、5.55gの方解石(Synthes 10−0074、ロット番号0405004)、及び1.48gのMCPM(Synthes 40−0012、ロット番号1999925)CaP粉末混合物と、180gの単層で被覆された顆粒(ロット番号03−1)を、1リットルの混合容器中で、TMG高せん断造粒機(Glatt Air Techniques,Ramsey,NJ)中で予混合した。22.5gの4%第二リン酸ナトリウム七水和物水溶液を、6g/分の速度で混合容器中に送達した。撹拌器を150rpmに設定し、チョッパーを300rpmに設定した。被覆処理は、10分間の持続時間を有した。この被覆処理において、粉末混合物及び被覆された顆粒の表面は水と反応し、β−TCP顆粒上の追加のリン酸カルシウム被覆をもたらした。被覆後、被覆された顆粒を凍結乾燥させ(ロット番号N03−2)、顆粒のSEM画像を撮った。
【0088】
被覆の第3の層に対して、7.97gのα−TCP(Synthes 40−0014、ロット番号2000422)、5.55gの方解石(Synthes 10−0074、ロット番号0405004)、及び1.48gのMCPM(Synthes 40−0012、ロット番号1999925)CaP粉末混合物と、180gの二層で被覆された顆粒(ロット番号03−2)を、1リットルの混合容器中で、TMG高せん断造粒機(Glatt Air Techniques,Ramsey,NJ)中で予混合した。22.5gの4%第二リン酸ナトリウム七水和物水溶液を、6g/分の速度で混合容器中に送達した。撹拌器を150rpmに設定し、チョッパーを300rpmに設定した。被覆処理は、10分間の持続時間を有した。この被覆処理において、粉末混合物及び被覆された顆粒の表面は水と反応し、β−TCP顆粒上の第3のリン酸カルシウム被覆をもたらした。被覆後、被覆された顆粒を凍結乾燥させ(ロット番号N03−3)、顆粒のSEM画像を撮った。
【0089】
(実施例9)
6gのロット番号N02_AC顆粒(実施例5)を4gのCaP粉末混合物(約2.1gのα−TCP、1.5gの方解石、0.4gのMCPM)と予混合し、3gのグリセロール(Spectrum G1015、ロット番号2BI0131)を添加し、次いで、混合物全体を、2回の60秒サイクルで1000rpmで、スピードミキサ(モデル:DAC600.1 FVZ,FlackTek,Landrum,SC)に配置した。パテ状の硬度を有する均質な混合物を形成した。試料を押し込み試料ホルダに配置し、次いで、16時間37℃でPBS(pH7.4)中に配置した。押し込み力(実施例7に記載される)を、試料中へ1.27mmの距離で、15.24mm/分の速度で、MTS上で(436.9±1.4)N((98.23±0.31)lbf)になるように測定した。
【0090】
以上、本開示を複数の実施形態に基づいて説明したが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、例えば添付の特許請求の範囲に示されるような様々な変更、置換及び改変を本明細書において行い得る点は理解されるはずである。したがって、本開示の範囲は本明細書に述べられる処理、製造、物質の組成、方法及び工程の特定の実施形態に限定されるものではないことを認識するべきである。例えば、一実施形態による上記に述べたような様々な特徴は、特に断らないかぎりは他の実施形態に取り入れることができる。
【0091】
〔実施の態様〕
(1) 生体吸収性
セラミック組成物であって、
複数の生体適合性セラミック顆粒であって、前記顆粒のそれぞれが、複数のカルシウム含有粒子を含む被覆を有し、前記粒子の少なくとも一部が、前記顆粒のそれぞれの外側表面の少なくとも一部に結合される、複数の生体適合性セラミック顆粒を含み、
前記生体吸収性
セラミック組成物が、乾燥状態で流動性である、生体吸収性
セラミック組成物。
(2) 前記カルシウム含有粒子が、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はその両方のブレンド若しくは組み合わせである、実施態様1に記載の生体吸収性
セラミック組成物。
(3) 前記セラミック顆粒が、リン酸カルシウム顆粒である、実施態様1又は2に記載の生体吸収性
セラミック組成物。
(4) 前記被覆が、カルシウム含有粒子の単一の被覆である、実施態様1〜3のいずれかに記載の生体吸収性
セラミック組成物。
(5) 前記被覆が、カルシウム含有粒子の少なくとも2つの被覆を含む、実施態様1〜3のいずれかに記載の生体吸収性
セラミック組成物。
【0092】
(6) 前記カルシウム含有粒子が、α−TCP、MCPM、及び方解石の混合物である、実施態様1〜5のいずれかに記載の生体吸収性
セラミック組成物。
(7) 骨欠損を修復するための三次元生体吸収性セラミック足場であって、
複数の生体適合性セラミック顆粒であって、前記顆粒のそれぞれが、複数のカルシウム含有粒子を含む被覆を有し、前記粒子の少なくとも一部が、前記顆粒のそれぞれの外側表面の少なくとも一部に結合される、複数の生体適合性セラミック顆粒を含み、
前記複数の顆粒が、植え込み部位において三次元足場を画定し、
植え込み時に、前記足場が、隣接する顆粒の外壁間に相互に接続された細孔ネットワークを画定する、足場。
(8) 送達流体を更に含む、実施態様7に記載の足場。
(9) 結合剤を更に含む、実施態様7又は8に記載の足場。
(10) 前記結合剤が、セメント系粉末である、実施態様9に記載の足場。
【0093】
(11) 前記結合剤が、ヒドロゲルである、実施態様9に記載の足場。
(12) 生体適合性
セラミック組成物を製造するための方法であって、
複数のカルシウム含有粒子及び複数の生体適合性セラミック顆粒を混合する工程と、
前記複数の粒子及び前記複数の顆粒を水性媒体と反応させる工程と、
前記複数の顆粒のそれぞれの外側表面の少なくとも一部上に、前記粒子の被覆を形成する工程であって、前記被覆が、複数の被覆された顆粒を形成するために、前記外側表面に結合される、工程と、
前記被覆された顆粒を脱水する工程と、を含む、方法。
(13) 前記脱水する工程が、過剰な非結合水を除去するために、前記被覆された顆粒を少なくとも部分的に脱水する、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記脱水する工程が、反応性部分が後続の水硬性反応(hydraulic reactions)に反応するように、前記被覆の少なくとも一部の反応性を制御することを含む、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記反応性部分が、硫酸カルシウム半水化物、α−TCP、又はその両方である、実施態様14に記載の方法。
【0094】
(16) 前記被覆された顆粒上に、少なくとも追加の被覆を形成する工程を更に含む、実施態様12〜15のいずれかに記載の方法。
(17) 前記少なくとも追加の被覆を形成する工程が、前記被覆された顆粒上に、少なくとも追加の2つの被覆を形成することである、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記追加の被覆を形成する工程が、前記脱水する工程の前である、実施態様16又は17に記載の方法。
(19) 前記追加の被覆を形成する工程が、前記脱水する工程の後である、実施態様16又は17に記載の方法。
(20) 骨修復のための三次元生体吸収性セラミック足場を形成するための方法であって、
実施態様1に記載の生体吸収性
セラミック組成物を部位に植え込む工程と、
前記組成物を結合剤と接触させる工程と、
前記組成物の隣接する顆粒の外壁間に、相互に接続された細孔ネットワークを有する三次元足場を形成する工程と、を含む、方法。
【0095】
(21) 前記植え込む工程が、送達デバイスを通して前記部位に前記組成物を注入することを含む、実施態様20に記載の方法。
(22) 前記植え込む工程が、前記部位に前記組成物を手で植え込むことを含む、実施態様20に記載の方法。
(23) 前記組成物が、送達流体を更に含む、実施態様21又は22に記載の方法。