(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
障壁層(C)の材料が、ポリビニルアルコール、部分的及び高度に加水分解されたポリビニルカルボキシレート、ポリ(エチレンオキシド−ビニルアルコール)グラフト共重合体及びポリ(エチレン−ビニルアルコール)共重合体から選択される少なくとも1種の材料を含む請求項1に記載のフレキソ印刷素子。
【背景技術】
【0002】
デジタルで画像形成可能なフレキソ印刷素子は基本的に公知である。これらは、少なくとも寸法が安定な支持体、光重合性層、そしてデジタルに画像形成可能な層を含んでいる。デジタル画像形成可能層は、例えば、レーザで除去が可能な層(レーザ除去可能な層)はごくありふれた層であり、インクジェットプリンターにより書き込み可能な層、又はサーモグラフィ層を挙げることができる。
【0003】
レーザ除去可能な層はまた、LAM(レーザ除去可能なマスク)とも呼ばれ、化学光波長に不透明であり、通常バインダ及び少なくとも1種のIR吸収材(例えばカーボンブラック)を含む。カーボンブラックはまたその層を不透明にする。マスクを、IRレーザを用いてレーザ除去可能な層に書き込むことができ、しかし、レーザビームで攻撃される領域においてその層が分解するのであり、そしてその下に配置された光重合性層は露光される。レーザ除去可能なマスク層は、光重合性層に直接施す(形成する)ことができるが、或いはさらに光重合性層とレーザ除去可能なマスク層との間に層、例えば障壁層があっても良い。IR除去可能なマスクを用いたフレキソ印刷素子の画像形成は、例えば、特許文献1(US5262275)又は特許文献2(EP−A1069475)に開示されている。
【0004】
フレキソ印刷素子は、以下のように、光重合性の、デジタルで画像形成可能なフレキソ印刷素子から製造される:マスクをレーザ除去可能な層に書き込んだ後、フレキソ印刷素子をUV放射線又はUV/VIS放射線にマスクを介して暴露する。光重合性層は、マスクによりもはや隠されていない領域において重合し、一方隠された領域では重合は起こらない。露光に次いで、マスクの残部は、光重合性層の未使用部分と一緒に除去される。この除去は、1種以上の溶剤を用いて行われるか、或いは熱で行うことができる。溶剤を使用する場合、乾燥工程を追加する。得られたフレキソ印刷板はまた通常、例えばUVA又はUVC光に暴露することにより後処理される。
【0005】
デジタルで画像形成可能なフレキソ印刷素子の場合、UV放射線又はUV/VIS放射線を用いる主露光は、通常大気酸素の存在下に行われる。
【0006】
主露光における酸素の存在は、印刷レリーフ素子の形状、特に微細なハーフトーン素子の形状に、極めて大きな影響を与えることは知られている。分子酸素は、知られているように、ジラジカルであり、このため他のラジカルと反応することができる。UV光開始ラジカル重合中に分子酸素が存在することにより、酸素は、光重合性層の表面でのラジカル連鎖反応を妨害し、その結果レリーフ素子の表面が的確に重合しない。その表面からより下に位置する光重合性層の領域はほとんど影響されない。重合後のその層の現像の間、十分に重合しなかった層は同様に除去される。このため、レリーフ素子は、それが実際にあるべき状態より小さくなり、角が丸くなる。この影響について、例えば、特許文献3(EP−A2128702、25頁、
図1)に記載されている。
【0007】
フレキソ印刷素子の露光中の酸素の破壊的影響は根本的には排除されるべきであり、これにより目的のレリーフ素子が表面まで十分に重合化され、このためレリーフ板の比較的微細な部分も画像化することができ、極めて微細な構造が固体領域において画像化することができる。これは特にインキ転写及びインキ形状を改良するのに役立つ。
【0008】
このため、主露光中において光重合性層を酸素から保護する提案がなされている。原則として、不活性ガス下で露光、或いは真空フレームを用いて露光、を行うことが可能である。しかしながら、これらの手順は、付加的な装置の費用及び/又は複雑さを伴い、通常避けられる。
【0009】
フレキソ印刷素子の光重合性層を、付加的な障壁層(バリヤ層)によって大気酸素から保護する提案もなされている。このような障壁層は、光重合性層への酸素の拡散を防止するか、或いは少なくとも最小限に抑えることを意図している。
【0010】
特許文献1(US5262275)には、支持体、光重合性層、その上に施された障壁層、及びその上に施されたレーザ除去可能なマスク層を含むフレキソ印刷板を製造するためのフレキソ印刷素子が開示されている。
【0011】
障壁層は、一方で、光重合性層からレーザ除去可能層への、モノマー等の成分の浸入を防止することが意図され、他方で、フレキソ印刷素子の露光中の大気酸素から光重合性層を保護することが意図されている。光重合性或いは非光重合性の障壁層の両方が提案されている。非光重合性の障壁層で提案されている材料としては、水溶性バインダ及び有機溶剤可溶性バインダの両方で、例えばポリアミド、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース、エチレン酢酸ビニル共重合体、両性共重合体(interpolymer)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。障壁層の厚さは、一般に、0.25μm〜76μm、好ましくは0.38μm〜64μmである。
【0012】
特許文献4(WO 2012/145111)には、支持体、光重合性層、その上に施された障壁層、及びその上に施されたレーザ除去可能なマスク層を含むフレキソ印刷板を製造するための光重合性フレキソ印刷素子が開示されている。障壁層は、6.9×10
−9 m
2/s未満のO
2の拡散係数及び少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%の光学透過率を有する。障壁層の厚さは1〜100μm、好ましくは1〜20μmである。障壁層に提案されている材料としては、水溶性バインダ及び有機溶剤可溶性バインダの両方で、例えばポリアミド、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルピロリドン、エチレン酢酸ビニル共重合体、両性共重合体、セルロースアセテートブチレート、アルキルセルロース、ブチラール、環化ゴム及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0013】
特許文献5(US2012/0164584)には、レーザ除去可能層を有するデジタルで画像形成可能なフレキソ印刷素子の製造方法が開示されている。マスクをレーザ除去可能層に書き込んだ後、障壁層をフレキソ印刷素子の表面に施す。即ち、この障壁層は光重合性層の露光領域のみならずなお存在するレーザ除去可能層の領域を覆っている。これに続いて、UV光に暴露される。障壁層で提案されている材料としては、水溶性バインダ及び有機溶剤可溶性バインダの両方で、例えばポリアミド、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルピロリドン、エチレン酢酸ビニル共重合体、両性共重合体、セルロースアセテートブチレート、アルキルセルロース、ブチラール、環化ゴム及びこれらの組み合わせが挙げられる。油はさらなる選択肢である。障壁層の厚さは1〜100μm、好ましくは1〜20μmである。障壁層の使用は、画像形成と露光との間における工程の追加を意味し、このため費用及び/又は複雑の追加を意味する。
【0014】
特許文献6(WO2005/101130 (Kodak))には、フレキソ印刷板を製造するための多層マスクフィルムが開示されている。この多層マスクフィルムは、例えば、支持体、IR感応層、IR除去可能層、及び任意にさらなる層、例えば障壁層又は剥離層を含んでいる。マスクフィルムはレーザで画像形成することができ、次いで、光重合性フレキソ印刷素子に積層(ラミネート)し、マスクフィルムの支持層が最上層を形成することになる。次いで、マスク層の組み立て部品は、その全領域が露光されるが、支持層を介しての露光、或いは露光前に支持層の除去が選択される。露光の後、支持フィルム(まだ除去されていない場合)は、マスク層と共に或いはマスク層無しで除去され、露光されたフレキソ印刷素子は通常現像され得る。
【0015】
積層工程、例えば続いての酸素遮断フィルムの施与(重ね合わせ)又は続いての予め露光されたマスクフィルムの施与、は薦められない。なぜなら、各積層中に、例えば、塵埃粒子の混入、空気の混入の結果、欠陥が生じるかも知れない。しかしながら、どのような小さい欠陥であっても、フレキソ印刷板を使用できなくする。さらに、積層、言い換えると障壁層の続いての施与は、フレキソ印刷素子の製造において付加的な処理工程であり、このためユーザーの観点から極めて望ましくない。
【0016】
さらに、従来技術において、例えば特許文献7(WO2012/010459)又は特許文献8(WO2008/135865)に、フレキソ印刷素子を強烈なUVA−LED放射線を用いて露光するとの特殊な露光技術知られている。この露光の高いエネルギー及び速い重合は、破壊的な酸素の効果を最小限に抑え、フレキソ印刷素子上の微細な表面構造さえ画像化することができる。しかしながら、この露光装置は、通常の市販のUVA管露光装置よりもはるかに高価である。さらに、微細部分の画像化は比較的長時間の露光を必要とし、それゆえ、市場内におけるこの技術の受容を妨げている。
【0017】
このため、他の提案もあるものの、レーザ除去可能な層と光重合性レリーフ層との間に、UV露光中に大気酸素の光重合性層への侵入を防止するか、或いは少なくとも顕著に低減させる障壁層が、関心のある解決案であり続けている。
【0018】
そうではあるものの、障壁層の使用には、これまでの一連の未解決の問題が付きまとっている。
【0019】
分子酸素の透過性が低く、それ故フレキソ印刷素子の障壁層として使用するのに一般に考えられる様々な材料がある一方で、それにもかかわらず、通常の市販洗浄媒体を用いる通常の市販加工装置におけるこのようなフレキソ印刷素子の加工(処理)は、障壁層に一連の付加的な装置を要求するものであるため、結果として、分子酸素に対して低い透過性を有するいかなる材料の使用も不可能にしている。
【0020】
通常のフレキソ印刷素子の光重合性層は、実質的に、非極性バインダ、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体又はスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、及び他の非極性成分を含んでいる。
【0021】
同様に、レーザ除去可能なマスク層は、一般に、有機溶剤に可溶なエラストマーのバインダ、例えば軟質弾性ポリアミドを含んでいる。
【0022】
このため、一般のフレキソ印刷洗浄媒体は、光重合性層を溶解するための非極性の主成分(炭化水素溶剤)、及びレーザ除去可能なマスク層を溶解するための極性媒体のアルコール(例、ベンジルアルコール)を含んでいる。しかしながら、極性バインダはこの種のフレキソ印刷洗浄媒体には溶解し得ない。
【0023】
酸素に対し低い透過性を有する材料はしばしば極性物質であり、従って水又は水/アルコール混合物に溶解する。
【0024】
このため、露光したフレキソ印刷素子の洗浄除去に関して、非極性レーザ除去可能な層及び非極性光重合性層と、極性障壁層との組み合わせは極めて好ましくない。なぜなら、極性障壁層は、市場では標準である、大いに非極性のフレキソ印刷洗浄溶媒に溶解することができないためである。
【0025】
フレキソ印刷素子が極性障壁層を含んだ場合、洗浄除去は2工程或いは3工程で行わなければならない。例えば、従来技術のような、軟質弾性ポリアミドとカーボンブラックから構成されるレーザ除去可能なマスク層、及び極性障壁層を用いると、洗浄除去に、最初にベンジルアルコールの使用(マスク層の溶解のため)、その後水の使用(障壁層の溶解のため)、そして最後に炭化水素溶剤の使用(光重合性層の溶解のため)が必要となる。これは極めて不経済であり、市場に受け入れられない。
【0026】
レーザ除去可能層を有するフレキソ印刷素子の画像形成に関する通常の技術はまた、障壁層についての要求が課せられる。
【0027】
通常の連続する、支持フィルム−光重合性層−障壁層−レーザ除去可能層−上端フィルム/保護フィルムの層を有するフレキソ印刷素子の加工において、上端フィルム/保護フィルムは、まず第1に除去される。このフィルムは、レーザ除去可能層から剥離するのが容易でなければならない。そのための要件は、レーザ除去可能なマスク層の障壁層に対する接着性、及び障壁層の光重合性層に対する接着性が、その両方が光重合性層上に十分に残るようなものであるということである。
【0028】
画像形成用の市販のレーザ装置は、その上でレーザ除去可能な層を有するフレキソ印刷素子が延伸されなければならない回転ドラムを含んでいる。そのドラムに適用させるには、そのドラムの曲率に従い曲がることができるフレキソ印刷素子が必要であり、この工程ではフレキソ印刷素子の表面が必然的に延伸される。この操作中、レーザ除去可能な層も、その下の障壁層も引き裂かれないであろう。
【0029】
画像形成を行った後、フレキソ印刷素子はレーザドラムから取り外され、露光ユニットでUV光に暴露される。市販のUV露光装置で、平らな状態のフレキソ印刷素子を用いて行われ、言い換えれば、洗浄除去のため、フレキソ印刷素子は再び真っすぐにしなければならない。
【0030】
この真っすぐにしている間には、マスク層の残りも障壁層も、構造にしわを作らないだろうし、また構造を発展させないであろう。なぜなら、これらの構造は次のUV照射によって光重合性層に画像化されるであろうから。しかしながら、分子酸素に対して低い透過性を有する極性材料は、一般に極めて脆い。この種の脆い材料から作製された障壁層は、レーザドラムに取り付けられて延伸された場合、引き裂かれ、そしてレーザドラムから取り外された後に望まれないしわが現れる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の記述において、用語「フレキソ印刷板」は、直ぐに印刷可能な、既に架橋された印刷板に使用される。用語「フレキソ印刷素子」は、通常、フレキソ印刷板を製造するのに使用される光重合性出発材料に使用される。
【0036】
本発明のデジタルで画像形成可能なフレキソ印刷素子の性質は、続く画像様露光で、1種以上の炭化水素を含む洗浄媒体を用いて現像が可能であるような性質である。
【0037】
支持フィルム(A)
本発明のフレキソ印刷素子は、一般に公知のように、好ましくは50μm〜300μmの厚さを有する寸法安定性の良い支持フィルム(A)を含んでいる。支持フィルムの材料としては、例えば、スチール(鋼鉄)又はアルミニウム、又はプラスチック(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、又はポリカーボネート)が挙げられる。特に、100μm〜200μmの厚さを有するPETフィルムが好適である。
【0038】
支持フィルムは、任意に、通常の接着促進層で処理されていても良い。
【0039】
レリーフ形成層(B)
フレキソ印刷素子はさらに、有機溶剤に溶解又は分散可能であり、且つ少なくとも1種のエラストマー性バインダ、(少なくとも)1種のエチレン性不飽和モノマー、及び光開始剤又は光開始剤組成物を含む、300μm〜6000μmの厚さを有する少なくとも1種の光重合性レリーフ形成層(B)を含む。上記成分以外に、さらに任意に他の成分、例えば可塑剤を含んでいても良い。エラストマー性バインダは、例えば、熱可塑性エラストマー性ブロック共重合体(例、スチレン−ブタジエン又はスチレン−イソプレンブロック共重合体)を含むことができる。有機溶剤に可溶又は少なくとも分散可能であるレリーフ形成層の組成は、一般に当業者には公知である。当業者は、フレキソ印刷板の所望の性質に従い適当な組成を選択する。
【0040】
本発明のフレキソ印刷素子はまた、重ねられた、有機溶剤に溶解又は分散可能な、複数の光重合性レリーフ形成層を含むことができる。同様に、多層構造の光重合性レリーフ形成層を有するフレキソ印刷素子は当業者に公知である。
【0041】
光重合性レリーフ形成層(B)は、炭化水素含有有機溶剤混合物に可溶又は少なくとも分散可能な層を含むことが好ましい。レリーフ形成層は、少なくとも60質量%、さらに少なくとも75質量%の炭化水素を含む有機溶剤混合物に可溶な層であることがより好ましい。
【0042】
有機溶剤の極性は、溶解パラメータ(ハンセン溶解パラメータ一(Hansen solubility parameters, J. Appl. Polym. Sci., 5 (15), 339 (1961)))と呼ばれるものによって、一般に公知な方法で記載することができる。本発明の一態様では、レリーフ形成層(B)は、11(cal/cm
3)
1/2を超える溶解パラメータを有する、有機溶剤及び/又は溶剤混合物に可溶な層を含んでいる。
【0043】
上端フィルム(E)
除去可能な上端フィルム(E)は、フレキソ印刷素子の最上層であり、フレキソ印刷素子の保護等のために機能する。上端フィルムは、フレキソ印刷素子がフレキソ印刷板の製造に使用される前に除去される。特に好適な上端フィルム(E)は、粗さが低い或いは適度なPETフィルムである。典型的なRz値は1μm未満であるべきである。例えば、Mylar(登録商標) A PETフィルムを使用することができる。
【0044】
レーザ除去可能なマスク層(D)
有機バインダに可溶又は分散可能なレーザ除去可能なマスク層(D)は、LAM層とも呼ばれ、少なくとも1種の弾性バインダ、特に軟質弾性バインダを含んでいる。2種以上の異なるバインダの混合物も当然使用することができる。
【0045】
弾性バインダにより、十分に柔軟で伸縮性のあるレーザ除去可能なマスク層(D)が得られ、この層は、レーザ装置のドラム上で引き裂かれたり或いはしわになったりすることがない。さらにまた、下の層に対する有効な接着力が保証されるはずである。
【0046】
好適なバインダの例として、軟質の弾性ポリアミドが挙げられる。このようなポリアミドに含まれるモノマー性構造単位としては、ポリアミドに軟質弾性品質を付与する長鎖二官能性脂肪酸である。加えて、ポリエステルアミド、セルロース誘導体、ニトロセルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアクリレート、又はこれらのポリマーの混合物を、これらが軟質弾性特性を有する限り、使用することができる。
【0047】
本発明の一好適態様において、問題のバインダは、有機溶剤、特に適度な極性を有する有機溶剤に可溶である。適度な極性を有する溶剤の例としては、特に、C
4〜C
12炭化水素基を有する一官能又は多官能アルコールが挙げられる。溶剤の極性は、溶解パラメータ(ハンセン溶解パラメータ一(Hansen solubility parameters, J. Appl. Polym. Sci., 5 (15), 339 (1961))によって、一般に公知な方法で記載することができる。上述のアルコールは、9〜12(cal/cm
3)
1/2の範囲の溶解パラメータを有する。
【0048】
この種のバインダを有する層の場合、画像形成及び画像様露光の後のレーザ除去可能なマスク層の残部は、非極性炭化水素及び適度に極性のアルコール(例、nylosolv(登録商標):Flint Groupの製品)を含む標準の市販のフレキソ印刷洗浄媒体を用いて溶解又は洗浄除去され得る。
【0049】
レーザ除去可能なマスク層の特に好適なバインダは、軟質の弾性ポリアミドのMakromelt(登録商標) 6900 (Henkel AG製)である。
【0050】
レーザ除去可能なマスク層(D)はさらに、UV/VIS光吸収材料を含み、その層厚及び/又は光吸収材料の量は、UV/VIS放射線の光学密度が2〜4となるように設定される。高い光学密度により、マスクで覆われたレリーフ形成層の領域が全領域の露光の間に重合しないことが確実にされる。
【0051】
光学密度は、この波長領域内における層の光透過率の対数係数である。このため、光学濃度の測定では、特定の波長で見られる光透過率の単一値はないが、その代り定義された波長領域における光透過率の平均が得られる。光学密度は通常市販の濃度計(例、x−rite製)を用いて、波長範囲を測定前に選択することにより測定することができる。この波長領域は一般に300〜400nmの範囲を含む。
【0052】
特に、好適な光吸収材料は微粉カーボンブラックを含んでいる。カーボンブラックはIR領域を極めて良く吸収し、このためIRレーザを用いて画像化するのと同時に急速に画像形成することを確実にしている。しかしながら、勿論、レーザ除去可能なマスク層はまた他の顔料を基礎とするUV又はIR吸収剤、或いは可溶染料を含むこともできる。カーボンブラックは、全ての成分の合計に対して10〜50質量%で通常存在する。
【0053】
マスク層の厚さは、数μm、好ましくは1μm〜4μmであるべきである。1μm未満の層厚では、十分な光学濃度を得ることは困難である。3μmを超える層厚では、素子のレーザ感度があまりにも低く、画像形成に長時間のレーザ照射が必要となる。
【0054】
マスク層のレーザ感度(1cm
2の層を除去するために必要なエネルギーとして測定される)は、1mJ/cm
2と4mJ/cm
2との間にあるべきであり、約2mJ/cm
2の値が最適である。
【0055】
酸素障壁層(C)
本発明のフレキソ印刷素子はさらに酸素に対する透明障壁層(C)を含んでおり、この層は光重合性層上に配置される。
【0056】
障壁層(C)の機能は、一般に公知のように、フレキソ印刷素子の全領域照射の間に、酸素のレリーフ形成層(B)への後拡散を防止することである。障壁層の酸素透過率は、100(cm
3 100 μm)/(m
2 d bar)未満、好ましくは10(cm
3 100 μm)/(m
2 d bar)未満であるべきである。
【0057】
本発明によれば、障壁層は極性層である。
【0058】
「極性」は、障壁層は水及び/又は少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも70質量%、より好ましくは少なくとも80質量%、例えば少なくとも90質量%の水を含む水/アルコール混合物に可溶であることを意味する。この水/アルコール混合物のアルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノールから選択される水混和性の、脂肪族モノアルコールである。
【0059】
障壁層には、一般に、低い酸素透過率が達成され得るのであればどのような極性材料でも使用することができ、特に、上記の酸素透過率の範囲内に存在し得る材料を使用することが好ましい。
【0060】
本発明の一態様において、障壁層の材料はポリマー材料である。好適なポリマーの例としては、ポリビニルアルコール、部分的及び高度に加水分解されたポリビニルカルボキシレート、特に部分的及び高度に加水分解されたポリ酢酸ビニルア、ポリ(エチレンオキシド−ビニルアルコール)グラフト共重合体、ポリ(エチレン−ビニルアルコール)共重合体、水溶性ポリアミド、又は水溶性ポリビニルピロリドンの種類のポリマーが挙げられる。
【0061】
障壁層の材料は、ポリビニルアルコール、部分的及び高度に加水分解されたポリビニルカルボキシレート、特に部分的及び高度に加水分解されたポリ酢酸ビニル、ポリ(エチレンオキシド−ビニルアルコール)グラフト共重合体、及びポリ(エチレン−ビニルアルコール)共重合体から選択される少なくとも一種の材料を含むことが好ましい。
【0062】
ポリビニルアルコールは、ビニルカルボキシレート、特に酢酸ビニルを重合してポリビニルカルボキシレート、特にポリ酢酸ビニルを得、次いで、ビニルカルボキシレート単位を加水分解してビニルアルコール単位に得ることにより製造される。得られるポリマーは一般に加水分解の程度により特徴づけられる。従って、「ポリビニルアルコール」は、専らビニルアルコール単位からなるポリマーのみならず、ビニルカルボキシレート単位とビニルアルコール単位とからなる共重合体でもある。
【0063】
本発明において用語「部分的に加水分解された(ポリビニルカルボキシレート)」とは、全てのモノマーに対して少なくとも50モル%のビニルアルコール単位を有するポリ(ビニルカルボキシレート−ビニルアルコール)共重合体、特に好ましくはポリ(酢酸ビニル−ビニルアルコール)共重合体である。
【0064】
本発明において用語「高度に加水分解された(ポリビニルカルボキシレート)」とは、全てのモノマーに対して少なくとも70モル%のビニルアルコール単位を有するポリ(ビニルカルボキシレート−ビニルアルコール)共重合体、特に好ましくはポリ(酢酸ビニル−ビニルアルコール)共重合体である。
【0065】
本発明において用語「ポリビニルアルコール」とは、ポリビニルアルコールの単独ポリマー、又は全てのモノマーに対して少なくとも90モル%のビニルアルコール単位を有するポリ(ビニルカルボキシレート−ビニルアルコール)共重合体、特に好ましくはポリ(酢酸ビニル−ビニルアルコール)共重合体である。
【0066】
特に好ましくは、障壁層の材料は、高度に加水分解されたポリビニルカルボキシレート、ポリビニルアルコール、或いは全てのモノマーに対して少なくとも70モル%のビニルアルコール単位を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体から選択される材料を含んでいる;ポリビニルアルコールが特に好ましい。
【0067】
上述のポリマー材料のほかに、障壁層はまた、さらなる成分を含むことができる。これらの種類の材料は、障壁層の性質を変更するために使用することができる。追加の成分として、特に極性の可塑剤であり得る。可塑剤の例としては、グリコール、グリセロール又はポリエチレングリコールを挙げることができる。可塑剤の量は、その層の所望の性質に従い当業者により決定することができる。しかしながら、それは、一般に、障壁層の全成分の量に対して20質量%以下であることが好ましい。さらなる成分の例としては、望まない架橋に対して安定にする助剤を含んでいる。これらの助剤は、化学線照射時に障壁層は架橋し、それ故、もはや洗浄除去時に除去できなくなるのを防止する。この種の助剤は、例えば低濃度の染料と組み合わされた0.1〜5質量%のキシリゲン(Xyligen)のカリウム塩であっても良い。
【0068】
本発明のさらなる態様において、障壁層(C)は、金属及び/又は非金属酸化物の無機の極性層を含んでいる。非金属酸化物は、溶液から、分散液から或いはスパッタリングにより形成することができる。特に、酸素−バリヤパッキングフィルムにも使用される種類の酸化ケイ素に基づく被膜が好適である。
【0069】
本発明によれば、障壁層(C)は、10nm〜999nm、例えば100nm〜999nm、好ましくは100nm〜400nm、より好ましくは100nm〜249nmの厚さを有する。
【0070】
障壁層の最低厚さは、障壁層を形成する材料等のファクターに依存する。スパッタリングにより形成される金属又は非金属酸化物の層としては、わずか10nmの層でも十分である。ポリマーバインダから形成された障壁層では、少なくとも100nmの厚さの層を設けることが望ましい。
【0071】
障壁層(C)で記載した材料は極性であるので、これらは、例えば、フレキソ印刷板の市販の非極性有機洗浄媒体に不溶である。市販の有機溶剤は一般に少なくとも60質量%の炭化水素を含んでいる。
【0072】
さらに、光重合性層(B)に関して、記載された材料は比較的硬く、脆いものである。わずか数μmの実質的層厚で形成すれば、層はレーザドラム上に取り付けた時に引き裂かれる。
【0073】
さらに驚くべきことは、本発明のフレキソ印刷素子は、画像様露光後、極性障壁層(C)にもかかわらず、炭化水素含有洗浄媒体を用いて容易に洗浄除去することができることである。まさに極薄の障壁層が非極性洗浄媒体の洗浄で除去される。
【0074】
また、驚くべきことに、本発明のフレキソ印刷素子は、障壁層の材料が比較的硬く、脆いにもかかわらず、レーザドラムの取り付ける際引き裂かれることなく延伸され得る。
【0075】
本発明のフレキソ印刷素子を用いて得られるフレキソ印刷板は、さらに、極性障壁層(C)は適度に酸素を遮断し、そして超高精度複製及び超精細表面構造を有するフレキソ印刷板を得ることが可能であることを示している。
【0076】
保護層(X)
IRレーザを用いる画像形成の場合、マスク層は、レーザビームにより切り取られる領域において極めて強力に加熱され、その層の成分が分解する。この場合、極めて高い温度、場合によりセ氏数千度が、マスク層に局所的に生じるであろう。いくつかの経路において、これらの温度は極薄の障壁層(C)も攻撃するかもしれない。このことは、それがその下のレリーフ形成層(B)から後続の酸素の影響からの保護機能を奪うので、望ましくない。
【0077】
このため、任意に、本発明のフレキソ印刷素子はさらに、層(C)と(D)との間に配置された透明層(X)を含んでおり、そしてこの透明層(X)は、層(X)に下に配置された極薄障壁層(C)を、画像形成中にレーザ放射線による損傷から保護するとの機能を有する。
【0078】
保護層(X)は、UV/VIS放射線に対して透明又は少なくともほとんど透明であり、それ故、層(X)を介してのレリーフ形成層の全領域露光は邪魔されない。障壁層(C)と保護層(X)の両方が、UV/VIS範囲で少なくとも80質量%の透過率を有するはずである。
【0079】
保護層(X)は、少なくとも1種の弾性の、より好ましくは軟質で弾性のポリマーバインダを含んでいる。このバインダは、障壁層(C)で使用され得るバインダとは異なる。もちろん、異なるバインダの混合物を使用することも可能である。
【0080】
一つの好適態様において、問題のバインダは、上記で定義されたように、有機溶剤、より好ましくは穏やかな極性の有機溶剤に可溶なバインダである。
【0081】
バインダとしては、例えば軟質弾性ポリアミド(例えば、Makromelt(登録商標) 6900 (Henkel))を挙げることができ、これは、同時にレーザ除去可能なマスク層(D)のバインダとしても良い。
【0082】
透過性保護層(X)の厚さは、0.1μmと4μmの間、好ましくは0.1μmと2.5μmの間にあるべきである。選択された層厚があまりにも小さいと、下の障壁層は場合によっては破壊されるかもしれない。層厚があまりにも大きいと、フレキソ印刷素子の微細なネガティブ要素(fine negative elements)の画像化に有害な散乱があるかもしれない。
【0083】
フレキソ印刷素子の製造
本発明のフレキソ印刷素子は、一般に公知な方法で、即ち、押出機内の光重合性層の成分を溶解し、溶解した成分を混合し、そして光重合性材料の溶融物を、スロットダイを介してカレンダーのニップに放出することにより、製造される。1つのカレンダーロール上への搬走は、任意にさらなる層(例、接着層)で被覆されていても良い支持フィルムになされ、そして他のカレンダーロール上への搬走は既に組み立てられた表面素子になされる。
【0084】
上記表面素子を製造するために、まず、上端フィルム(F)をレーザ除去可能なマスク層(D)で被覆し、その後障壁層(C)で覆う。フレキソ印刷素子が任意に保護層(X)を含む場合、上端フィルム(F)をまずレーザ除去可能なマスク層(D)で被覆し、その後保護層(X)で覆い、最後に障壁層(C)で覆う。
【0085】
個々の層は、各場合、その層の成分を適当な溶剤又は溶剤混合物に溶解し、連続的にその溶液を流延し、そして溶剤を蒸発させることにより形成することができる。各後続の層の形成前に、層間接着を向上させるために、その目標の表面をコロナ処理により粗面化することが必要かもしれない。
【0086】
流延溶液を製造するために使用される溶剤は、層の性質に基づいて設計される。レーザ除去可能なマスク層(D)は有機溶剤、好ましくは適度な極性の規定の有機溶剤に可溶であり、従って、この種の溶剤は流延溶液の成分の溶解するために使用することができる。任意に存在する保護層(X)も類似したやり方で形成することができる。
【0087】
極性の障壁層は、記載された水/アルコール混合物、好ましくは水により形成することができる。これは、結果として、有機溶剤に可溶なマスク層(D)、或いは任意に存在する保護層(X)を攻撃しないので有利である。
【0088】
層形成(層を施すため)の流延技術は当業者に公知である。形成される層の厚さは、流延溶液の希釈により一般公知の方法で低減させることができる。被膜の品質を改良するために、界面活性剤又は流れ制御助剤を被覆溶液に添加することが必要かもしれない。
【0089】
金属又は非金属酸化物の障壁層(C)、例えばSiO
x層は、スパッタリングにより形成することもできる。被膜形成のためのスパッタリングは同様に当業者に公知である。スパッタリングは、予め形成された層の被膜品質に有害ではない。
【0090】
スパッタリングの場合、層厚は、一定のスパッタリング量(量/領域/単位時間)を維持しながら移動速度を上げることにより、一般に公知の方法で小さくすることができる。このために、固体SiO
2(一般に砂)を、高真空下に電子ビームで照射し、濃度及び温度の差のより、ガス状態で昇華させるか或いは上方に拡散させる。SiO
xガスは、目標の基板上で再び凝縮し、基板上にSiO
2の薄層を形成し、この層は多くの場合においてきわめてよく接着している。
【0091】
その光の波長が障壁層の厚さの範囲にあるので、極薄の形成の均一性は、ニュートン環の外観でモニターすることができる。ここで処理された極薄層の場合、この層厚は、光学手段、スペクトル反射により決定される。これは、厚さは、その層の頂上面と底面とでの異なる波長の光反射により決定されることを含んでいる。
【0092】
被覆された表面素子は巻き上げられ、次の押出の過程においてカレンダーロールの1つで導入され、こうして光重合性層にしっかり結合される。
【0093】
或いは、表面素子の部品を、複数の工程でラミネートしても良い。例えば、仮の補助フィルムとその上の極薄障壁層(C)から構成される表面素子は、カレンダーロールで導入され、光重合性層に結合される。補助フィルムは次いで除去される。その後、第2のラミネート工程で、レーザ除去可能なマスク層を、正式の上端フィルムにラミネートする。層と他の層との接着性を改良するため、製造されたフレキソ印刷素子を低線量の電子ビームで処理することが必要かもしれない。
【0094】
フレキソ印刷板を製造するためにフレキソ印刷素子の使用
上述のデジタル画像形成可能なフレキソ印刷素子を用いてフレキソ印刷板を製造する本発明の方法は、工程(1)〜(6)を含むことが好ましい。本方法はさらなる工程を含んでも良い。
【0095】
工程(1)において、一般に公知な方法で、上端フィルム(E)はフレキソ印刷素子から除去される。
【0096】
工程(2)において、一般に公知な方法で、マスクがIRレーザによりレーザ除去可能なマスク層(D)に書き込まれる。マスクの書き込みのためのレーザ装置は当業者に公知であり、市販されている。一般に、どのような市販のレーザ(おもに外付けドラムレーザ)を用いることができる。
【0097】
本発明の一態様において、工程(2)は、回転ドラムを含むレーザ装置を用いて行うことができる。画像化のために、フレキソ印刷素子は、支持フィルムがドラムに対向するように、ドラムに取り付けられる。この場合、フレキソ印刷素子は曲げられ、対応して障壁層はいくらか延伸の力を受けることが、自明である。障壁層が比較的硬質で脆くても、本発明のフレキソ印刷素子は、レーザドラムに取り付け時に、引き裂かれることなく延伸することができる。
【0098】
工程(3)において、フレキソ印刷素子は、一般に公知の方法でUV又はUV−VIS放射線に得られたマスクを介して暴露される。この操作において、光重合性層は、もはやマスクで隠されていない領域において光重合を受け、一方隠された領域では光重合は起こらない。光重合性層は、障壁層(C)により露光中の後拡散酸素の影響から保護される。
【0099】
フレキソ印刷素子を露光する装置は当業者には一般に公知である。フレキソ印刷素子は、標準の市販のチューブ露光ユニットを用いて露光することができる。高エネルギーUV−LEDストリップは用いる必要はないが、いつでも使用して良い。本発明の一態様では、平台露光ユニット工程(3)で使用される。このために、フレキソ印刷素子は、それが工程(2)においてドラムレーザで露光された場合に、再び平坦化する必要があり、それは本発明のフレキソ印刷素子に問題を起こさないもので行われる。
【0100】
工程(4)において、レーザ除去可能なマスク層(E)の残部、存在する場合の保護層(X)及び障壁層(C)、さらにまたレリーフ形成層(B)の重合されていない部分は、少なくとも60質量%の炭化水素を含む洗浄媒体を用いて除去される。これは、慣用の洗浄装置、特に平台の洗浄装置を用いて行うことができる。炭化水素は、特に、高沸点の、脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素、より好ましくは、沸点160〜220℃のこれらである。
【0101】
本発明の一態様において、洗浄媒体は、60〜95質量%の炭化水素及び5〜40質量%のアルコールを含んでいる。アルコールは、炭化水素と混和性のものであることは自明である。一般に、少なくとも4個の炭素原子、好ましくは少なくとも5個の炭素原子、例えば5〜10個の炭素原子を有する単官能アルコールが使用される。例えばn−ペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ヘプチルアルコール、又は2−エチルヘキサノールが挙げられる。
【0102】
例えば、EP-A332070に記載されているフレキソ印刷洗浄媒体を使用することが可能である。適当な洗浄媒体は市販されている。市場で使用されている洗浄媒体の大半は、主成分として非極性炭化水素、そして10〜30質量%の量の穏やかな極性のアルコールも含んでいる。市販の洗浄媒体の例では、約40質量%の高沸点炭化水素溶剤、約40質量%のデカリン及び約20質量%のn−ペンタノールを含有する混合物;約50質量%の高沸点炭化水素溶剤、約20質量%のジイソプロピルベンゼン及び約30質量%のシクロヘキサノールを含有する混合物;約56質量%のデカリン、約27質量%の高沸点炭化水素溶剤、約12質量%のベンジルアルコール及び約2質量%のエチルヘキサノールを含有する混合物;及び約70質量%の芳香族炭化水素及び約30質量%のヘプチルアルコールを含有する混合物、を含んでいる。
【0103】
驚くべきことに、極薄の極性障壁層(C)は、上記の非極性洗浄媒体を使用すると、完全に除去される。
【0104】
工程(5)において、得られたフレキソ印刷板は一般に公知の方法で乾燥され、工程(6)において、UV−A及び/又はUV−C光により一般に公知な方法で後処理される。
【0105】
当然、本発明のフレキソ印刷素子を、他の方法によりフレキソ印刷板に加工することは可能である。また、当然、異なる溶剤又は溶剤混合物を用いた多段階現像も可能である。露光されたフレキソ印刷素子を洗浄媒体を用いず、熱的に現像することも可能である。
【0106】
本発明を以下の実施例において詳細に説明する。
【実施例】
【0107】
[比較実施例1]
障壁層を持たないデジタルで画像形成可能なフレキソ印刷素子
有機現像が可能な光重合性層を有する市販のデジタルで画像形成可能なフレキソ印刷素子(nyloflex登録商標 ACE 114 D)を用いた。マスク層の厚さは3.2μm、そしてマスク層の光学濃度は3.7である。
【0108】
フレキソ印刷素子について、まず、裏側を10秒間、全体を前露光した。上端フィルムを除去した。前露光に続いて、試験モチーフをフレキソ印刷素子のマスク層にIRレーザにより書き込んだ。その結果、マスク層はまだ残っており、画像のない領域はUV不透過のままであり、一方、画像領域のマスク除去により、光重合性レリーフ層の化学線による硬化が可能になる。デジタルマスクの画像形成は、Flexolaser GmbH製の「ナノ」アブレーション(融除)レーザシステムによりなされ、使用したマスク解像度は2540dpiであった。
【0109】
次いで、こうして作製された印刷板を、化学線(nyloflex(登録商標) F Ill露光ユニット、Flint Group)に14分間暴露し、その後現像した。
【0110】
画像様露光されたフレキソ印刷素子の溶剤による現像を、nyloflex(登録商標) F III洗浄除去装置を用いて、各場合報告された洗浄除去速度で、特定製品タイプとして推奨されるブラシポジションで行った。使用された洗浄溶剤は、約70質量%の炭化水素及び約30質量%のアルコールからなる市販の洗浄媒体(nylosolv(登録商標) A)であった。
【0111】
洗浄除去操作に続いて、まだ溶剤を含むその印刷板を、製品固有の推奨に従い60〜65℃で90分間乾燥し、その後、nyloflex(登録商標) F III露光ユニットの後露光ユニットでUVA及びUVC光を用いて後露光した。後露光の目的は、一方で、モノマーと光開始剤の残留物を反応させることであり、また、印刷板表面を不粘着にする。
【0112】
印刷板の評価により、一般に、主として丸いハーフトーンドットが観察されることが明らかとなった。しかし、印刷板には、低いハーフトーン値は全く画像化され得ない。60L/cmの間隔で、画像化された最も小さいハーフトーン値は7%である。
【0113】
[比較実施例2]
ポリビニルアルコールの3μm障壁層を有するデジタルで画像形成可能なフレキソ印刷素子
まず、重ねて配置された下記の層を含むフィルム素子を作製した。
【0114】
−100μm厚さのMylar(登録商標) A PETフィルム;
−ポリマーバインダ及びカーボンブラックを含む、3.2μm厚さのデジタルで画像形成可能なマスク層;
−ポリビニルアルコール(加水分解度:約98モル%)を含む、3.0μm厚さの酸素障壁層。
【0115】
デジタルで画像形成可能マスク層は以下のようにして得た:
まず、91kgのトルエン、91kgのn−プロパノール及び23kgのベンジルアルコールから溶液を作製した。その後、この溶剤混合物を70℃に加熱した。この溶液に、23.4kgの軟質弾性ポリアミド(Macromelt(登録商標) 6900)を加えた。次いで、12.6kgのSpezial Schwarz 4のカーボンブラックを撹拌しながら4回に分けて加えた(1時間ごとに1回分)。最後の分を加えた後、分散液を70℃で24時間撹拌し、それから30℃に冷却した。その後、反応バッチを撹拌ボールミルで240kg/hの処理量で製粉し、そして10μmフィルタでろ過した。反応溶液を簡単に撹拌し、それから100μm厚のMylar(登録商標) PETフィルムに、6.3m/minの速度にて130μmの湿式塗布で塗布した。乾燥膜厚は、重量測定により、3.2μmであった。
【0116】
酸素障壁層は以下のようにして得た:
0.0123gの市販の非イオンフッ素含有界面活性剤(Capstone(登録商標) FS−30)の溶液を、まず4.50gのn−プロパノールに溶解した。その後、この溶液を85.5gの水に加えた。撹拌しながら、90部の溶剤混合物(95部の水、5分のn−プロパノール)に、5部のポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルから得られたポリビニルアルコール、約98モル%の加水分解度、約27000g/molのMw;Mowiol(登録商標) 4−98)を加え、得られた分散液を80℃で2時間、環流下に加熱した(IKA HBR4 デジタルヒーティングバス(80℃ 400 rpm);IKA RW20(500 rpm))。その後、室温に冷却された塗布溶液は、100μm厚PETフィルム上に設けられた画像形成可能なマスク層に、65μmの湿式塗布で33.7mm/sの速度でナイフコーティングにより塗布した。乾燥膜厚は、重量測定により、3.0μmであった。
【0117】
上記のフィルム素子は、nyloflex(登録商標) ACE 114フレキソ印刷板の光重合性層にラミネートした。このため、上端フィルム及び薄い剥離層はフレキソ印刷板から剥離した。フィルム素子を光重合性表面にラミネータを用いてラミネートした。ラミネートロールの温度は110℃にセットした。組立条件も、65℃3時間に調整した。
【0118】
フレキソ印刷素子について、まず、裏側を10秒間、全体を前露光した。上端フィルムを除去した。裏側前露光に続いて、フレキソ印刷素子をIRレーザの回転ドラム(「ナノ」レーザ、Flexolaser GmbH製)に取り付けた。レーザドラムは約500mmの直径を有していた。この手順の間にフレキソ印刷素子の表面に数多くのクラックが形成した。次いで、試験モチーフを、IRレーザを用いてマスク層に書き込んだ。フレキソ印刷素子をレーザドラムから取り外した後、多数のクラックと共に、フレキソ印刷素子の表面に、目に見える微細な波型構造も存在した。
【0119】
次いで、画像形成されたフレキソ印刷素子を、比較実施例1と同様に化学線に14分間暴露した。
【0120】
その後、比較実施例1と同様に、露光されたフレキソ印刷素子を、約70質量%の炭化水素及び約30質量%のアルコールからなる市販の洗浄媒体(nylosolv(登録商標) A)を用いて洗浄除去した。しかしながら、現像除去はできなかった。ポリビニルアルコールの障壁層は、洗浄媒体で除去することができず、レリーフ形成層(B)上に残った。
【0121】
このため、洗浄除去を複数の工程で行った。まず、レーザ除去可能なマスク層の残部をベンジルアルコールで洗浄除去し、その後障壁層を、水を用いて除去し、最後にレリーフを、nylosolv(登録商標)(比較実施例1のように)で洗浄除去することにより製造した。
【0122】
得られたフレキソ印刷板は、印刷には完全に使用できなかった。明らかに、印刷板の評価により、印刷板上の極めて細かいハーフトーンが画像化されたことが示された。画像化された最も小さいハーフトーン値は、60L/cmの間隔で0.4%であった。個々のハーフトーンのドットは平坦な表面と鋭い端部を有した。ハーフトーンのドットの輪郭は、レーザ画像化(結像)の個々のドットを再現した。しかしながら、レーザドラムに取り付けている間に形成されたクラックと、細かい波型構造とが、印刷板上に見られ、このため印刷画像に深刻な欠陥をもたらす。
【0123】
[発明実施例1]
ポリビニルアルコールの150nm障壁層を有するデジタルで画像形成可能なフレキソ印刷素子
まず、重ねて配置された下記の層を含むフィルム素子を作製した。
【0124】
−100μm厚さのMylar(登録商標) A PETフィルム;
−ポリマーバインダ及びカーボンブラックを含む、3.2μm厚さのデジタルで画像形成可能なマスク層;
−ポリビニルアルコール(加水分解度:約98モル%)を含む、0.15μm厚さの酸素障壁層。
【0125】
画像形成可能マスク層は比較実施例2に記載されたようにして得た。
【0126】
酸素障壁層は以下のようにして得た:
0.0121gの市販の非イオンフッ素含有界面活性剤(Capstone(登録商標) FS−30)の溶液を、まず4.99gのn−プロパノールに溶解した。その後、この溶液を94.81gの水に加えた。撹拌しながら、98.8部の溶剤混合物(95部の水、5分のn−プロパノール)に、0.2部のポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルから得られたポリビニルアルコール、約98モル%の加水分解度、約27000g/molのMw;Mowiol(登録商標) 4−98)を加え、得られた分散液を80℃で2時間、環流下に加熱した(IKA HBR4 デジタルヒーティングバス(80℃ 400 rpm);IKA RW20(500 rpm))。その後、室温に冷却された塗布溶液は、100μm厚PETフィルム上に設けられた画像形成可能なマスク層上に、75μmの湿式塗布で33.7mm/sの速度でナイフコーティングにより塗布した。乾燥膜厚は、重量測定により、0.15μmであった。
【0127】
上記のフィルム素子は、比較実施例2に記載されているように、nyloflex(登録商標) ACE 114フレキソ印刷板の光重合性層にラミネートした。組立条件も、65℃3時間に調整した。
【0128】
フレキソ印刷素子について、まず、裏側を10秒間、全体を前露光した。上端フィルムを除去した。裏側前露光に続いて、フレキソ印刷素子をIRレーザの回転ドラム(「ナノ」レーザ、Flexolaser GmbH製)に取り付けた。比較実施例2と対照的に、クラックは発生しなかった。フレキソ印刷素子は、障壁層が無いもののように柔軟であった。その後、試験モチーフを、IRレーザを用いてマスク層に書き込んだ。続いて、レーザドラムから取り外した後、フレキソ印刷素子の表面には損傷がなく、波型構造も全くなかった。
【0129】
次いで、画像形成されたフレキソ印刷素子を、比較実施例1と同様に化学UV線に14分間暴露した。
【0130】
その後、比較実施例1と同様に、露光されたフレキソ印刷素子を、約70質量%の炭化水素及び約30質量%のアルコールからなる市販の洗浄媒体(nylosolv(登録商標) A)を用いて洗浄除去し、乾燥し、そして後露光した。得られたフレキソ印刷板は、傑出した印刷結果をもたらした。画像化された最も小さいハーフトーン値は、60L/cmの間隔で0.4%であった。個々のハーフトーンのドットは平坦な表面と鋭い端部を有した。ハーフトーンのドットの輪郭は、レーザ画像化(結像)の個々のドットを再現していた。
【0131】
[発明実施例2]
ポリビニルアルコールの150nm障壁層及び追加の2μm厚のポリアミド保護層を有するデジタルで画像形成可能なフレキソ印刷素子
第1工程において、透明保護層を仮のMylarフィルム上に以下のように製造した:
4部のトルエン、4部のn−プロパノール及び1部のベンジルアルコールの溶液を作製した。それから、この溶剤混合物を70℃に加熱した。この溶液(98部)に、2部の市販の軟質弾性ポリアミド(Macromelt(登録商標) 6900)を添加し、加熱を環流下に2時間行った(IKA HBR4 デジタルヒーティングバス(80℃ 400 rpm);IKA RW20(500 rpm))。室温に冷却した後、塗布溶液は、100μm厚PETフィルム上に、75μmの湿式塗布で33.7mm/sの速度でナイフ塗布した。乾燥膜厚は、重量測定により、2.0μmであった。
【0132】
酸素障壁層を、発明実施例1と同様に透明保護層に形成した。
【0133】
上記の得られた表面素子は、nyloflex(登録商標) ACE 114フレキソ印刷板の光重合性層にラミネートした。
【0134】
画像形成可能マスク層は100μmのMylar(登録商標) PETフィルム上に比較実施例2に記載されたようにして形成した。
【0135】
仮のMylarフィルムをフレキソ印刷素子から剥離する。その後レーザ画像譲許可能マスク層をラミネートする。
【0136】
これにより、下記の構造(頂部から底部に)を有するフレキソ印刷素子が得られる:
−100μm厚さのMylar(登録商標) A PETフィルム;
−ポリマーバインダ及びカーボンブラックを含む、3.2μm厚のデジタルで画像形成可能なマスク層;
−軟質弾性ポリアミドを含む、2.0μm厚の透明保護層;
−ポリビニルアルコールを含む、0.15μm厚の酸素障壁層。
−965μm厚の光重合性層;
−175μm厚のPET支持フィルム。
【0137】
フレキソ印刷素子について、まず、裏側を10秒間、全体を前露光した。上端フィルムを剥離した。裏側前露光に続いて、フレキソ印刷素子を、比較実施例2と同様に、IRレーザ(「ナノ」レーザ、Flexolaser GmbH製)の回転ドラムに取り付けた。比較実施例2と対照的に、クラックは発生しなかった。フレキソ印刷素子は、障壁層が無いもののように柔軟であった。その後、試験モチーフを、IRレーザを用いてマスク層に書き込んだ。
【0138】
次いで、画像形成されたフレキソ印刷素子を、比較実施例1と同様に化学UV線に14分間暴露した。
【0139】
その後、比較実施例1と同様に、露光されたフレキソ印刷素子を、約70質量%の炭化水素及び約30質量%のアルコールからなる市販の洗浄媒体(nylosolv(登録商標) A)を用いて洗浄除去した。
【0140】
nylosolv(登録商標)の洗浄除去は比較実施例1と同様に行うことができた。
【0141】
得られたフレキソ印刷板は、印刷に傑出して好適であった。
【0142】
印刷板の評価により、印刷板上の極めて細かいハーフトーンが画像化されることが示された。その最も小さいハーフトーン値は、60L/cmの間隔で0.4%であった。個々のハーフトーンのドットは平坦な表面と鋭い端部を有した。ハーフトーンのドットの輪郭は、レーザ画像化(結像)の個々のピクセルを再現した。印刷板の表面は欠点がなかった。
【0143】
[発明実施例3]
高度に加水分解されたポリ酢酸ビニル共重合体の約300nm障壁層を有するデジタルで画像形成可能なフレキソ印刷素子
まず、重ねて配置された下記の層を含むフィルム素子を作製した。
【0144】
−100μm厚さのMylar(登録商標) A PETフィルム;
−ポリマーバインダ及びカーボンブラックを含む、3.2μm厚さのデジタルで画像形成可能なマスク層;
−高度に加水分解されたポリ酢酸ビニル共重合体を含む、0.30μm厚さの酸素障壁層。
【0145】
画像形成可能マスク層を比較実施例2に記載されたようにして得た。
【0146】
酸素障壁層は以下のようにして得た:
0.5gの高度に加水分解されたポリ酢酸ビニル共重合体(Alcotex(登録商標) 72.5;加水分解度72.5モル%)の溶液を、水及びn−プロパノール(1:1の比)の溶剤混合物99.5部に撹拌しながら加えた。その後、0.01部の市販の非イオンフッ素含有界面活性剤(Capstone(登録商標) FS−30)を添加し、得られた分散液を80℃で2時間、環流下に加熱した(IKA HBR4 デジタルヒーティングバス(80℃ 400 rpm);IKA RW20(500 rpm))。その後、室温に冷却された塗布溶液を、100μm厚PETフィルム上に設けられた画像形成可能なマスク層に、75μmの湿式塗布で33.7mm/sの速度でナイフコーティングにより塗布した。乾燥膜厚は、重量測定により、0.13μmであった。
【0147】
上記のフィルム素子は、比較実施例2に記載されているように、nyloflex(登録商標) ACE 114フレキソ印刷板の光重合性層にラミネートした。組立条件も、65℃3時間に調整した。
【0148】
フレキソ印刷素子について、まず、裏側を10秒間、前露光した。上端フィルムを剥離した。裏側前露光の後、フレキソ印刷素子を、比較実施例2と同様にIRレーザの回転ドラムに取り付けた。比較実施例2と対照的に、クラックは発生しなかった。フレキソ印刷素子は、障壁層が無いもののように柔軟であった。その後、試験モチーフを、IRレーザを用いてマスク層に書き込んだ。レーザドラムから取り外した後、フレキソ印刷素子の表面には損傷がなく、波型構造も全くなかった。
【0149】
次いで、画像形成されたフレキソ印刷素子を、比較実施例1と同様に化学UV線に14分間暴露した。
【0150】
その後、比較実施例1と同様に、露光されたフレキソ印刷素子を、約70質量%の炭化水素及び約30質量%のアルコールからなる市販の洗浄媒体(nylosolv(登録商標) A)を用いて洗浄除去し、乾燥し、そして後露光した。印刷板の評価より、障壁層の無いものに比べてはるかに微細なハーフトーンが印刷板上に画像化されることが明らかとなった。画像化された最も小さいハーフトーン値は、60L/cmの間隔で1.2%であった。個々のハーフトーンのドットは平坦な表面と鋭い端部を有した。ハーフトーンのドットの輪郭は、レーザ画像化(結像)の個々のドットを再現した。
【0151】
[発明実施例4]
100nmのSiO
x障壁層を有するフレキソ印刷素子
まず、重ねて配置された下記の層を含むフィルム素子を作製した。
【0152】
−100μm厚さのMylar(登録商標) A PETフィルム;
−ポリマーバインダ及びカーボンブラックを含む、3.2μm厚さのデジタルで画像形成可能なマスク層;
−100nm厚のSiO
x酸素障壁層。
【0153】
画像形成可能マスク層を比較実施例2に記載されたようにして得た。
【0154】
SiO
x障壁層は、Ceramis(登録商標) (Coating Technology製)により画像形成可能マスク層に形成した。このために、マスク層が被覆されたポリエステルフィルムを、高真空下に、SiO
x貯蔵容器を搬送した。固体SiO
xを電子ビームにより蒸発し、冷却した被覆フィルム上に堆積被覆させた。SiO
x被覆フィルム素子は均一な艶消し表面を有していた。反射測定により得られる、SiO
x被覆層の厚さは、約100nmであった。
【0155】
上記のフィルム素子を、比較実施例2に記載されているように、nyloflex(登録商標) ACE 114フレキソ印刷板の光重合性層にラミネートした。組立条件も、65℃3時間に調整した。
【0156】
フレキソ印刷素子について、まず、裏側を10秒間、前露光した。上端フィルムを除去した。裏側前露光の後に、フレキソ印刷素子を、比較実施例2と同様にIRレーザの回転ドラムに取り付けた。比較実施例2と対照的に、クラックは発生しなかった。フレキソ印刷素子は、障壁層が無いもののように柔軟であった。その後、試験モチーフを、IRレーザを用いてマスク層に書き込んだ。レーザドラムから取り外した後、フレキソ印刷素子の表面には損傷がなく、波型構造も全くなかった。
【0157】
次いで、画像形成されたフレキソ印刷素子を、比較実施例1と同様に化学UV線に14分間暴露した。
【0158】
その後、比較実施例1と同様に、露光されたフレキソ印刷素子を、約70質量%の炭化水素及び約30質量%のアルコールからなる市販の洗浄媒体(nylosolv(登録商標) A)を用いて洗浄除去し、乾燥し、そして後露光した。印刷板の評価より、障壁層の無いものに比べてはるかに微細なハーフトーンが印刷板上に画像化されることが明らかとなった。画像化された最も小さいハーフトーン値は、60L/cmの間隔で0.8%であった。個々のハーフトーンのドットは平坦な表面と鋭い端部を有した。ハーフトーンのドットの輪郭は、レーザ画像化(結像)の個々のドットを再現した。
【0159】
下記の表1に発明実施例及び比較実施例の結果をまとめている。
【0160】
【表1】
【0161】
発明実施例及び比較実施例は、障壁層を持たず、空気酸素の存在下に露光されたフレキソ印刷素子は、不満足なトーン値(tonal value)を示すことを明らかにしている。
【0162】
3μm厚のポリビニルアルコール障壁層は良好なトーン値を与えたが、ドラムレーザによりレーザ除去可能なマスク層の画像化時に、クラックが発生し、印刷画像に欠陥をもたらしている。
【0163】
ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルアルコール−酢酸ビニル)共重合体、及びSiO
xの薄い障壁層は、満足なトーン値及び欠陥の無い印刷の両方をもたらす。