【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の目的を達成するために、本発明は、麦芽抽出物を有効成分として含有する薬学的組成物、食品組成物および飼料組成物を提供する。以下、これらのそれぞれについて詳細に考察する。
【0023】
薬学的組成物
本発明は、麦芽抽出物を有効成分として含有する成長障害予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0024】
前記麦芽抽出物は、水、アルコールまたはこれらの混合溶媒から抽出することができる。前記アルコールは、C1〜C4の低級アルコールを使用することが好ましく、メタノールまたはエタノールを使用することがさらに好ましい。抽出方法は、振とう抽出、ソックスレー(Soxhlet)抽出または還流抽出方法を利用することができるが、これに限定されない。抽出温度は、40〜100℃であることが好ましく、60〜80℃であることがさらに好ましい。また、抽出時間は2〜24時間であることが好ましく、抽出回数は1〜5回であることが好ましい。
【0025】
前記麦芽抽出物を含有する本発明の薬学的組成物は、表1、
図1及び
図2から確認されたように、骨長成長効果が既存の治療剤たる成長ホルモンよりも優れており、これにより成長障害予防または治療用として使用できる。
【0026】
特に、本発明の薬学的組成物は、経口投与(p.o)するにも拘らず、低濃度(30mg/kg)で有意な効果を示しているので、麦芽抽出物を高用量で含有しなければならない製剤学的負担が減少するため、経口用治療剤として使用できる。
【0027】
また、本発明の薬学的組成物は、生薬成分を有効成分として含んでいるので、既存の成長ホルモン製剤から発生する副作用なしに前記成長障害を効果的に予防または治療することができる。
【0028】
一方、前記成長障害は正常変異低身長症、または疾病によって二次的に生じてくる低身長症でありうる。前記正常変異低身長症は家族性低身長、体質的成長遅延または狭義の特発性低身長でありうる。また、疾病によって二次的に生じてくる低身長症は一次性成長障害(内因性障害)または二次性成長障害(外因性成長障害)である。前記一次性成長障害としては、骨軟骨異形成症、染色体異常(ダウン症候群またはターナー症候群)による低身長、不当軽量児(子宮内成長遅延)、プラダーウィリー症候群による低身長、ラッセルシルバー症候群による低身長、およびヌーナン症候群による低身長があり、前記二次性成長障害としては、慢性全身性疾患による低身長、成長ホルモン欠乏症による低身長、甲状腺低下症による低身長、思春期早発症による低身長、クッシング症候群による低身長、および精神社会的小人症がある。
【0029】
本発明の麦芽抽出物は、本発明の薬学的組成物の総重量に対して0.1〜50重量%で含むことが好ましい。ところが、前記含有量は、必ずしもこれに限定されるものではなく、患者の状態と疾患の種類および進行程度に応じて変化できる。
【0030】
本発明の薬学的組成物において、前記麦芽抽出物は、成人基準1日約1mg〜1gの用量で単回乃至数回投与が可能であり、好ましくは10mg〜150mg、さらに好ましくは20mg〜50mgの用量で単回乃至数回投与が可能である。しかし、麦芽抽出物の投与量は、患者の重症度、年齢、性別、体重などの患者の状態と薬物の剤形、投与経路及び投与期間に応じて適切に調節できる。
【0031】
また、本発明の薬学的組成物は、毒性や副作用がないため、長期間服用時にも安心して使用することができる。
【0032】
本発明の薬学的組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で薬学的に許容される希釈剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、pH調節剤、酸化防止剤、溶解補助剤などの添加剤を含むことができる。
【0033】
希釈剤は、砂糖、デンプン、微結晶セルロース、乳糖(乳糖水和物)、グルコース、D−マンニトール、アルギン酸塩、アルカリ土類金属塩、粘土、ポリエチレングリコール、無水リン酸水素カルシウム、またはこれらの混合物などを使用することができる。
【0034】
結合剤は、デンプン、微結晶セルロース、高分散性シリカ、マンニトール、D−マンニトール、ショ糖、乳糖水和物、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ポリビニルピロリドン共重合体(コポビドン)、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、天然ガム、合成ガム、コポビドン、ゼラチン、またはこれらの混合物などを使用することができる。
【0035】
崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウム、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプンまたは前糊化澱粉などの澱粉または変性澱粉;ベントナイト、モンモリロナイト、またはビーガム(veegum)などの粘土;微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースなどのセルロース類;アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸などのアルギン類;クロスカルメロース(croscarmellose)ナトリウムなどの架橋セルロース類;グアーガム、キサンタンガムなどのガム類;架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)などの架橋重合体;重炭酸ナトリウム、クエン酸などの沸騰性製剤、またはそれらの混合物を使用することができる。
【0036】
前記潤滑剤は、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、水素化植物油、安息香酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、コロイド性二酸化ケイ素またはこれらの混合物などを使用することができる。
【0037】
前記pH調節剤は、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、エーテル酸ナトリウム、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、クエン酸などの酸性化剤と、沈降炭酸カルシウム、アンモニア水、メグルミン、炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、三塩基リン酸カルシウムなどの塩基性化剤などを使用することができる。
【0038】
前記酸化防止剤は、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、酢酸トコフェロール、トコフェロール、没食子酸プロピル、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムなどを使用することができる。 溶解補助剤はラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ドキュセートナトリウム、ポロキサマー(poloxamer)などを使用することができる。
【0039】
本発明の薬学的組成物は、経口投与のために錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などの固形製剤に製剤化できる。このような固形製剤は、前記麦芽抽出物と少なくとも一つの賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて製造できる。また、単純な賦形剤以外に、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの潤滑剤も一緒に使用できる。また、前記薬学的組成物は、経口のための懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などの液状製剤に製剤化でき、水、流動パラフィン以外に様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などを用いて液状製剤に製剤化できる。
【0040】
また、本発明の薬学的組成物は、非経口投与のための製剤化のために、滅菌した水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれ得る。
【0041】
非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物油、オレイン酸エチルなどの注射可能なエステルなどが使用できる。坐剤の基剤としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用できる。
【0042】
本発明において、用語「投与」は、いずれかの適切な方法で患者に本発明の薬学的組成物を導入することを意味し、本発明の薬学的組成物の投与経路は、目的組織に到達することができる限り、いかなる一般的な経路を通じても投与できる。経口投与、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、鼻内投与、肺内投与、直腸内投与、腔内投与、腹腔内投与、硬膜内投与が採用できるが、これに限定されない。例えば、経口、直腸または静脈、筋肉、皮下、子宮内硬膜または脳室内(intracerebroventricular)注射によって投与できる。
【0043】
また、本発明に係る薬学的組成物は、成長障害治療効果を持つ他の活性成分をさらに含むことができる。
【0044】
本発明に係る薬学的組成物は、成長障害を予防または治療するために単独で、またはホルモン療法、薬物療法などの様々な方法と併用して使用できる。
【0045】
食品組成物
本発明は、麦芽抽出物を有効成分として含有する成長障害予防または改善用食品組成物を提供する。
【0046】
前記麦芽抽出物は、薬学的組成物の場合と同様にして調製することができる。
【0047】
本発明に係る前記食品組成物は、麦芽抽出物をそのまま添加し、或いは他の食品組成物、健康機能食品または飲料に通常的に添加剤などをさらに含むことができる。
【0048】
例えば、本発明の食品組成物は、白糖、結晶果糖、ブドウ糖、D−ソルビトール、マンニトール、イソマルトオリゴ糖、ステビオサイド、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースなどの甘味剤、無水クエン酸、DL−リンゴ酸、コハク酸およびその塩などの酸味剤、安息香酸及びその誘導体などの保存剤、様々な栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸およびその塩、アルギン酸およびその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含有することができる。また、本発明の食品組成物は、天然果物ジュースおよび野菜飲料を製造するための果肉を含有することができる。このような添加剤の割合は、本発明の食品組成物100重量部当たり約20重量部以下の範囲で使用できる。
【0049】
本発明の食品組成物が飲料である場合、飲料に通常含まれる香味剤または天然炭水化物をさらに含むことができる。前記天然炭水化物は、ブドウ糖、果糖などの単糖類、マルトース、スクロースなどの二糖類、デキストリン、シクロデキストリンなどの多糖類、またはキシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールでありうる。また、前記香味剤としては、ソーマチン、ステビア抽出物(レバウジオシドA、グリシルリジンなど)の天然香味剤、またはサッカリン、アスパルテームなどの合成香味剤でありうる。前記食品組成物が飲料である場合、天然炭水化物は、組成物100mL当たり、一般的には約1〜20g、好ましくは約5〜12g含有できる。
【0050】
本発明の前記食品組成物は、粉末、顆粒、錠剤、カプセルまたは飲料の形で製造され、食品、飲料、ガム、お茶、ビタミン複合剤、健康補助食品類として使用できる。
【0051】
また、本発明の前記食品組成物は、成長障害を予防または改善するための薬剤、食品及び飲料などに添加できる。例えば、本発明の食品組成物は、食品、飲料、ガム、お茶、ビタミン複合剤、健康補助食品類などに添加できる。
【0052】
本発明の前記食品組成物は、成長障害の予防または改善のために食品または飲料に添加できる。本発明の組成物は、食品の全体重量に対して1〜5重量%で添加でき、飲料100mLに0.02g〜10g、好ましくは0.3g〜1gの割合で添加できる。
【0053】
飼料組成物
本発明は、麦芽抽出物を有効成分として含有する飼料組成物を提供する。前記麦芽抽出物は、薬学的組成物の場合と同様にして調製することができる。
【0054】
本発明の麦芽抽出物は、骨長成長効果を示すため、動物の成長促進剤として飼料組成物に含有できる。
【0055】
具体的に、本発明に係る麦芽抽出物を有効成分として含む飼料は、当業界における公知の様々な形態の飼料に製造可能であり、好ましくは、濃厚飼料、粗飼料および/または特殊飼料である。
【0056】
濃厚飼料としては、小麦、オート麦、トウモロコシなどの穀類を含む種実類、穀物を精製して得る副産物として米糠、ふすま、大麦糠などを含む糠類、豆、アブラナ、ゴマ、亜麻仁、ココヤシなどを採油して得る副産物である油粕類、およびサツマイモ、ジャガイモなどから澱粉を取り出した残りである澱粉残渣の主成分たる残存澱粉質類などの残渣類、魚粉、魚かす、魚類から得た新鮮な液状物を濃縮させたものであるフィッシュソリュブル(fish soluble)、肉粉、血粉、羽毛粉、脱脂粉乳、乳からチーズ、スキムミルクからカゼインを製造するときの残液であるホエイ(whey)を乾燥させた乾燥ホエイなどの動物性飼料、酵母、クロレラ、海藻類などがある。
【0057】
粗飼料としては、野草、牧草、青刈りなどの生草飼料、飼料用カブ、飼料用ビート、カブの一種であるルタバガなどの根菜類、生草、青刈作物、穀実などをサイロに入れて乳酸発酵させた貯蔵飼料であるサイレージ(silage)、野草、牧草を刈り取って乾燥させた乾草、種畜用作物のわら、マメ科植物の葉などがある。
【0058】
特殊飼料としては、カキ殻、岩塩などのミネラル飼料、尿素またはその誘導体であるジウレイドイソブタンなどの尿素飼料、天然飼料の原料のみを配合したときに不足しがちな成分を補充し或いは飼料の貯蔵性を高めるために配合飼料に微量で添加する物質である飼料添加物、栄養補助食品などがある。
【0059】
本発明に係る飼料組成物は様々な飼料添加剤を含むことができる。
【0060】
本発明において、用語「飼料添加物」とは、栄養素の補充や体重減量の予防、飼料内フィブリンの消化利用性の増進、油質改善、繁殖障害の予防、受胎率の向上、夏季高温ストレスの予防など、様々な効果を目的として飼料に添加する物質をいう。本発明の飼料添加剤は、飼料管理法上の補助飼料に該当し、炭酸水素ナトリウム(重曹)、ベントナイト(bentonite)、酸化マグネシウム、複合鉱物質などの鉱物質製剤、亜鉛、銅、コバルト、セレンなどの微量鉱物質であるミネラル製剤、ケロチン、ビタミンE、ビタミンA、D、E、ニコチン酸、ビタミンB複合体などのビタミン剤、メチオニン、リジンなどの保護アミノ酸剤、脂肪酸カルシウム塩などの保護脂肪酸剤、生菌剤(乳酸菌製)、酵母培養物、カビ発酵物などの生菌、酵母剤などをさらに含むことができる。
【0061】
本発明に係る飼料組成物は、骨長成長を目的とする個体であれば特に限定されず、いずれのものでも適用可能である。前記個体は、動物、例えば、非−霊長類(例えば、牛、豚、馬、猫、犬、ラットおよびマウス)および霊長類(例えば、サル、例えばカニクイザル(cynomolgous)およびチンパンジー)をはじめとする哺乳動物を示す。別の実施形態において、前記個体は、畜産用動物(例えば、馬、牛、豚など)またはペット(例えば、犬または猫)である。
【0062】
本発明に係る飼料組成物の投与量は、動物の種(species)、サイズ(size)、重量(weight)、年齢(age)などの多数の要因に左右される。原則として、典型的な服用量は動物/日あたり0.001〜10gの範囲でありうる。但し、これに限定されない。
【0063】
成長障害の予防、改善または治療方法
また、本発明は、上述した薬学的組成物、食品組成物または飼料組成物を、これを必要とする対象体に投与する段階を含む、成長障害予防、改善または治療方法を提供する。また、本発明において、前記対象体は哺乳類、特にヒトを含む。
【0064】
本発明において、前記成長障害は、正常変異低身長症、または疾病によって二次的に生じてくる低身長症である。前記正常変異低身長症は家族性低身長、体質的成長遅延、狭義の特発性低身長でありうる。また、疾病によって二次的に生じてくる低身長症は、一次性成長障害(内因性障害)または二次性成長障害(外因性成長障害)である。前記一次性成長障害としては、骨軟骨異形成症、染色体異常(ダウン症候群またはターナー症候群)による低身長、不当軽量児(子宮内成長遅延)、プラダーウィリー症候群による低身長、ラッセルシルバー症候群による低身長、およびヌーナン症候群による低身長があり、前記二次性成長障害としては、慢性全身性疾患による低身長、成長ホルモン欠乏症による低身長、甲状腺低下症による低身長、思春期早発症による低身長、クッシング症候群による低身長、および精神社会的小人症がある。