特許第6345852号(P6345852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6345852
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】光学構造体、照明ユニット及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   F21V 23/00 20150101AFI20180611BHJP
   F21V 23/04 20060101ALI20180611BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20180611BHJP
   F21V 13/02 20060101ALI20180611BHJP
   G02B 3/02 20060101ALI20180611BHJP
   G02B 3/08 20060101ALI20180611BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180611BHJP
【FI】
   F21V23/00 200
   F21V23/04 500
   F21V19/00 150
   F21V19/00 170
   F21V13/02 400
   G02B3/02
   G02B3/08
   F21Y115:10
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-144825(P2017-144825)
(22)【出願日】2017年7月26日
(62)【分割の表示】特願2015-563050(P2015-563050)の分割
【原出願日】2015年3月11日
(65)【公開番号】特開2018-10873(P2018-10873A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2017年8月17日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2014/000311
(32)【優先日】2014年3月21日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】14171704.1
(32)【優先日】2014年6月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】チェン ミン
(72)【発明者】
【氏名】リン リーファ
(72)【発明者】
【氏名】スン シャオ
(72)【発明者】
【氏名】ティエン カイ チイ
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−529143(JP,A)
【文献】 特表2013−528315(JP,A)
【文献】 特開2012−227021(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/153723(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 23/00
F21V 13/02
F21V 19/00
F21V 23/04
G02B 3/02
G02B 3/08
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光出力を光学的に処理するための第1のビーム処理構造を画定するように形状化された光学層であって、前記第1のビーム処理構造からずれた少なくとも1つの領域を備える、光学層と、
前記少なくとも1つの領域上に又は前記少なくとも1つの領域内に形成された回路又はICチップと、
を含む、照明ユニットによる光出力を処理するための光学構造体。
【請求項2】
前記回路は無線受信及び/又は送信回路を含む、請求項1に記載の光学構造体。
【請求項3】
前記回路はRF回路又はRFチップの少なくとも一部を含む、請求項1に記載の光学構造体。
【請求項4】
前記光学構造体は、更に、前記少なくとも1つの領域上に又は前記少なくとも1つの領域内に形成されたアンテナを含む、請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学構造体。
【請求項5】
前記第1のビーム処理構造はレンズを含む、請求項1に記載の光学構造体。
【請求項6】
前記第1のビーム処理構造は反射器又は拡散体を含む、請求項1に記載の光学構造体。
【請求項7】
前記光学層は、プラスチック材料で形成される、請求項1乃至の何れか一項に記載の光学構造体。
【請求項8】
前記アンテナは、前記光学層の前記少なくとも1つの領域に印刷される、請求項4に記載の光学構造体。
【請求項9】
前記少なくとも1つの領域は平坦であるか又は湾曲している、請求項1乃至の何れか一項に記載の光学構造体。
【請求項10】
前記少なくとも1つの領域は、下にある基部の上に突起物を含み、前記突起物及び前記基部は単一形状の光学層から形成される、請求項1乃至の何れか一項に記載の光学構造体。
【請求項11】
回路構成要素を担持するプリント回路基板と、
前記プリント回路基板上に少なくとも1つの照明ユニットを含む照明装置と、
前記照明装置上に提供される請求項1乃至10の何れか一項に記載の光学構造体と、
を含み、
前記光学構造体の前記回路又は前記ICチップと前記プリント回路基板上の前記回路構成要素との間に電気接続が設けられている、照明ユニット。
【請求項12】
前記プリント回路基板上の少なくとも1つのはんだ付けされたスプリングコンタクトとの接触を前記回路又は前記ICチップが行う当該スプリングコンタクトを有し、前記照明ユニットはLEDユニットを含む、請求項11に記載の照明ユニット。
【請求項13】
前記プリント回路基板上の前記回路構成要素は、前記アンテナに接続された、無線照明制御信号を受信する及び/又は送信するための無線受信及び/又は送信回路を含む、請求項4に従属する請求項11又は12に記載の照明ユニット。
【請求項14】
前記光学構造体は、前記少なくとも1つの領域上又は前記少なくとも1つの領域内に形成された、無線照明制御信号を受信する及び/又は送信するための無線受信及び/又は送信回路を更に含む、請求項11又は12に記載の照明ユニット。
【請求項15】
各照明ユニットからの光出力を光学的に処理するための第1のビーム処理構造を画定するために光学層を成形し、前記第1のビーム処理構造からずれた少なくとも1つの領域を画定するために前記光学層を成形するステップと、
前記少なくとも1つの領域上又は前記少なくとも1つの領域内に回路又はICチップを形成するステップと、
を含む、照明ユニットによる光出力を処理するための光学構造体を製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明ユニット、照明ユニットで使用するための光学構造体及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線遠隔制御によって制御可能な照明ユニットはよく知られている。事実、現在、無線制御可能な照明製品に対する需要の増加がある。遠隔制御システムは、例えば、少なくとも、照明ユニットに組み込まれる受信アンテナ及びRF受信回路を必要とする、RF回路を基にしたものとされ得る。
【0003】
RF無線伝送回路は、当然、携帯電話などの多くの様々な無線用途において、無線信号を送信及び受信するために広く用いられている。しかしながら、このような回路を照明製品に組み込むことには課題がある。
【0004】
無線機能を実施するための多くの手法があり、種々のオプションがある。選択されるオプションは、所望の設計柔軟性、性能及びコストに依存する。例えば、アンテナはワイヤをベースにしたものとされ得る。又は、その代わりに、アンテナは、RF及び制御回路と共にPCB上に印刷され得る。
【0005】
アンテナの性能は、無線制御可能な照明製品の全体的な性能にとって非常に重要である。
【0006】
図1に概略的に示されるように、典型的なLED照明ユニットは、異なる構成単位(building block)に分割され得る。基本要素は、ハウジング1と、LEDドライバ回路基板2と、LEDダイが実装される回路基板を含んでもよいLEDパッケージ4と、光ビーム整形構成要素6と、を含む。ハウジング1は、ランプからの熱の放散を助けるヒートシンク機能を提供することができる。照明ユニットは、電気ソケットに接続するための電気コネクタ7を有する。
【0007】
ビーム整形構成要素は、1つ又は複数のLEDの光出力を光学的に処理する。各LEDは、通常、3mmサイズを有し、セラミック支持基板上に実装される。ビーム整形構成要素は、所望の出力のビーム形を提供するため、また、LEDの点光源の外観を模すために使用される。ビーム整形構成要素は、屈折構成要素(レンズなど)、又は反射コリメータなどの反射構成要素とされ得る。
【0008】
アンテナは、通常、LEDドライバPCB2又はランプ内のLED基板上に組み込まれる。この結果、無線信号は、熱伝導性材料、通常、アルミニウム合金などの金属で作製されたヒートシンク又はハウジングを含むランプの構成要素によって遮蔽される。無線信号の出口/受信窓もまた、ランプ内において可能な限り小さく作製されるPCBの寸法によって制限される。米国特許出願公開第2002/274208A1号は、前カバーを備え、アンテナがそのヒートシンク上方にあり、PCB上に配置されたランプを開示する。米国特許出願公開第2007/138978A1号は、固体源の出力を仮想源(virtual source)へと変換するための光学処理要素を備えた固体照明器具を開示する。米国特許出願公開第20120026726A1号は、光学素子及びそのヒートシンク上方にワイヤレス制御モジュール2620を備えたランプを開示する。
【0009】
米国特許出願公開第2013/0063317号は、アンテナを組み込む方法を開示する。このアンテナはレンズの表面に設けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
米国特許出願公開第2013/0063317号においては、非平坦レンズ表面ではアンテナの組み込みの実施が困難であり、また、所望の放射性能を実現するにはアンテナのサイズが大型である必要があり得るため、システムの光学性能に影響を及ぼす。従って、アンテナが光を遮断したり、見えたりする場合がある。
【0011】
アンテナ印刷のための十分な面積がないか、又は、光学性能に影響しないことが望まれる場合、これら方法は容易に採用され得ない。
【0012】
これら問題により良好に対処するために、光学性能に影響することなく大型サイズのアンテナが支持されることを可能にし得る光学構造体を有することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、独立請求項に記載の光学構造体、照明ユニット及び製造方法が提供される。
【0014】
一態様においては、本発明は、
光出力を光学的に処理するための第1のビーム処理構造を画定するような形状の光学層であって、前記光学層が、第1のビーム処理構造からずれた少なくとも1つの領域を備える、光学層と、
少なくとも1つの領域上又は内に形成されたアンテナと、
を含む、照明ユニットによって光出力を処理するための光学構造体を提供する。
【0015】
この構造では、照明ユニットの光ビーム整形構成要素にアンテナを組み込む。光学層の専用領域(この領域はビーム処理光学素子から離れている)内又は上にアンテナを設けることによって、光学出力に大きく影響することなく、アンテナのサイズ及び形状は自由に選択され得る。
【0016】
第1のビーム処理構造はレンズを含んでもよい。このレンズは、例えば、光出力を平衡にするために、又は他のビーム整形機能のために使用され得る。第1のビーム処理構造は、レンズのアレイを含み得る。少なくとも1つの領域は、従って、これらレンズ間にスペースを含み得る。
【0017】
第1のビーム処理構造は、その代わりに、反射器又は拡散体を含み得る。
【0018】
アンテナは、従って、照明ユニットの光学設計に元々必要な任意の光学構成要素に組み込まれ得る。
【0019】
光学層は、ポリカーボネート又はPMMAなどのプラスチック材料で形成され得る。これは、低コストのアンテナ支持を提供する。アンテナは、光学層の少なくとも1つの領域に、例えば、3D表面印刷によって印刷されてもよい。
【0020】
少なくとも1つの領域は平坦とすることができ、これにより、例えば、印刷によるアンテナの適用がより簡単になる。しかしながら、少なくとも1つの領域は、その代わりに、湾曲させることができる。
【0021】
少なくとも1つの領域は、下にある基部上の突起物を含み得る。突起物は基部とされ得る単一形状の光学層から形成されてもよい。これにより、アンテナ面積を、第1のビーム処理構造のビーム整形要素間にて利用可能な側方スペースよりも広くすることが可能になる。
【0022】
本発明は、また、
回路構成要素を担持するプリント回路基板と、
プリント回路基板上の少なくとも1つの照明ユニットを含む照明装置と、
照明装置上に提供される本発明の光学構造体と、
を含み、
光学構造体のアンテナとPCB上の回路構成要素との間に電気接続が設けられる、
照明ユニットを提供する。
【0023】
この照明ユニットでは、アンテナを、アンテナへと接続する構成要素を担持するPCB上に設ける。アンテナは、PCBを越える高さにあることから遮蔽が回避されるように配置され得る。
【0024】
PCB上の、少なくとも1つのはんだ付けされたスプリングコンタクトが提供され得る。これにより、アンテナが接触を形成する。
【0025】
好適な例では、照明ユニットは、LEDユニットを含む。
【0026】
PCB上の回路構成要素は、アンテナに接続された、無線照明制御信号を受信する及び/又は送信するための無線受信機及び/又は送信機回路を含み得る。
【0027】
その代わりに、光学構造体は、少なくとも1つの領域上又は内に形成された、無線照明制御信号を受信する及び/又は送信するための無線受信機及び/又は送信機回路を更に含み得る。従って、アンテナに関連する回路は、PCB上に設けられ得るか、又は、光学構造体上(又は内)にも設けられ得る。
【0028】
本発明は、また、
各照明ユニットからの光出力を光学的に処理するための第1のビーム処理構造を画定するために光学層を成形し、第1のビーム処理構造からずれた少なくとも1つの領域を画定するために光学層(23)を成形するステップと、
少なくとも1つの領域上又は内にアンテナを形成するステップと、
を含む。
成形するステップが、光学層をプラスチック材料として設けるステップと、少なくとも1つの領域を第1のビーム処理構造からずれた突出部として成形するステップと、を含むことができ、
前記形成するステップが、突出部の表面にアンテナを印刷するステップを含み得る、照明ユニットによって光出力を処理するための光学構造体の製造方法を提供する。
【0029】
ここで、本発明の実施例が、添付の図面を参照しながら詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】LED照明ユニットのよく知られた構造を示す。
図2】例示的実施形態による、照明ユニット内で使用され得る光学構造体の1つの例を示す。
図3】例示的実施形態による、照明ユニット内で使用され得る光学構造体の別の例を示す。
図4】光学構造体の一例を概略形態において示す。
図5】照明ユニットの第1の例をより詳細に示す。
図6】照明ユニットの第2の例をより詳細に示す。
図7】照明ユニットの第3の例をより詳細に示す。
図8】照明ユニットの第4の例をより詳細に示す。
図9】アンテナのレイアウトの1つの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、照明ユニットによって光出力を処理するための光学構造体を提供する。構造の光学層の領域内又は上にアンテナが形成される。領域は、その層の光ビーム処理部分から離れている/ずれている。
【0032】
アンテナは平坦構造又は3D構造とされ得る。光学層のビーム整形機能は、レンズ機能、拡散体機能又は反射器機能とされ得る。光学性能への影響を最小にするコンパクトな設計が可能とされる。アンテナによって処理される信号の遮蔽が低減され、無線信号の出口窓(exit window)が最大化され得る。
【0033】
照明ユニットの全体的な構造を示す図1を参照すると、本発明は、無線通信用のアンテナが光学構成要素6に組み込まれた種々の設計を提供する。
【0034】
図2は、コリメーティング光学系12及びLED照明15を含むLEDベースの照明器具100の1つの可能な実装形態をより詳細に示す。コリメーティング光学系12は、全内反射コリメータなどの反射コリメータ13を含む。反射コリメータ13は、LED照明を受け入れるための第1のアパーチャを有する。更に、反射コリメータ13は、出射光が反射コリメータ13を出ることを可能にするための第2のアパーチャ、即ち、開口部19を有する。第2のアパーチャ19は、通常、第1のアパーチャよりも大きなサイズ(直径)のものである。反射コリメータ13は、第1のアパーチャから第2のアパーチャ19まで延在する外壁21を有する。外壁21の内側表面は、入射光を第1のアパーチャから第2のアパーチャ19に向かって案内し、故に、全内反射コリメータを形成するために、反射性である。
【0035】
反射コリメータ13は、第1のアパーチャの中心から第2のアパーチャ19の中心に向かう方向に延びる反射コリメータ13の光軸Aを中心に回転対称であってもよい。反射コリメータ13は、第1のアパーチャがカップの底部の中央に配置され、第2のアパーチャ19がカップの上部開口部に相当する、略カップ形状の形態を有する。
【0036】
直径Dを有する凸レンズ21が第2のアパーチャ19に配置されており、第2のアパーチャ19の少なくとも一部を覆っている。凸レンズ21は曲率半径rを有する。示される凸レンズ21は平凸レンズである。平凸レンズの平面表面は、第2のアパーチャ19に面している。場合によっては、凸レンズ21は、円錐凸レンズ(conic convex lens)であってもよい。更に、凸レンズ21の球面の代わりとするために、他の非球面レンズ構造が用いられてもよい。
【0037】
好ましくは、凸レンズ21の光軸は、反射コリメータ13の光軸Aに一致する。
【0038】
コリメーティング光学系12は、レンズ形状を画定する、又はレンズの取り付けのための支持体を提供する、のいずれかである表面板23を含む。いずれの場合においても、板23とレンズは共に光学層を画定する。第2のアパーチャ19内において、光学層は、LEDの光出力を光学的に処理するための第1のビーム処理機能を実施する。
【0039】
表面板23は第2のアパーチャ19を覆っている。表面板23は半透明な材料で作製される。
【0040】
図3は、同様に、コリメーティング光学系12及びLED照明15を含む、別の照明器具200を示す。照明器具200のコリメーティング光学系12は、凸レンズがフレネルレンズ21’であるという点で、照明器具100のコリメーティング光学系12と異なる。
【0041】
フレネルレンズは、フレネル帯としても知られる複数の切子面24を含む。切子面24はレンズの同心輪部分である。
【0042】
フレネルレンズ21’は、表面板23と一体的に形成されるものとして示される。事実、コリメーティング光学系12全体が、プラスチックなどの一種類の材料のみを含む1つの部品で形成されてもよい。
【0043】
本発明は、照明ユニット及び光学層に関し、光学層は、光出力の領域を越えて、即ち、第2の出口窓19を越えて延在する。従って、光学層は、光ビーム整形という目的を備えた領域であって、そこを通じて光源からの出力が提供されるようになっている、光ビーム整形という目的を備えた領域と、光出力を提供するようになっていない追加領域と、を有する。当然、これら追加領域における光の通過を生じさせる幾らかの光の漏れはあるが、それらは、ビーム処理機能を実施するようには意図も設計もされてはいない。
【0044】
図4は、光学構成要素6の一例を示す。この例は、一組の3つの光源のビーム整形を提供するためのものである。この光源は、通常、図2及び図3の例と同様にLEDであるが、本発明はLED照明に限定されず、光源は他の種類のランプとされ得る。構成要素は、3つの独立したビーム整形構成要素21a、21b、21cを有する。
【0045】
これらビーム整形構成要素は、図4に概略的に示される。これらはそれぞれ、レンズ(屈折レンズ若しくはフレネルレンズのいずれか)と、コリメータと、例えば、拡散体若しくは反射器と、又は実際には、これらの組み合わせと、を含み得る。図2及び図3の例は、レンズと反射コリメータとの組み合わせを示すが、これらは純粋に例である。更に、図2及び図3は、光学構成要素のみを示す。ランプは、また、光源及び熱放散構成要素を制御するためのドライバ/制御盤を含む。
【0046】
光学構成要素6は、ランプの外側(前側)に配置されており、特に、表面板23を形成する。
【0047】
アンテナ30は、光学構成要素6上に設けられるか、光学構成要素6内に組み込まれるが、ビーム整形構成要素21a、21b、21cからずれている。これは、それらがビーム整形構成要素を通る光路から離れていることを意味する。アンテナをRF回路及び制御回路に接続するために電気接続が提供される。1つの例では、図4のユニット32によって示されるように、RF回路の一部又は全てもまた、光学構成要素6上又は光学構成要素6内に設けられる。
【0048】
光学構成要素は、非限定的な例では、ポリカーボネート(PC)又はポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)から形成され得る。PET(ポリエチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン)、PCT(ポリクロヘキシレンジメチレン(polychlohexylenedimethylene)テレフタル酸塩)などの他のプラスチックも使用され得る。又は、光学構成要素は、任意選択的に、ガラス製とされ得る。プラスチック材料においては、板は、例えば、射出成形、インサート成形、押出成形、又は3D印刷され得る。
【0049】
図5は、一組のLEDと、それぞれ図2に示されるような形態の、対応するコリメーティング光学系を含む、照明ユニットの第1の例を示す。2つのLED配置が、13a、15a、19a、21a及び13b、15b、19b、21bとして示される。アンテナ30は、光学シート23の外部表面上の、光学シート23のビーム整形部分からずれた領域34に設けられる。
【0050】
アンテナ30とメインドライバPCBとの間に電気接続を設けるため、コンタクトビア36がシート23内に延在し、スプリングコンタクト38がシート23の下面とPCB2との間を接続する。ドライバ回路構成要素及びRF受信回路がPCB2上に設けられるが、図が煩雑になることを避けるため図示されない。
【0051】
別の配置においては、アンテナは、光学シート23の内側表面の、光学シートのビーム整形部分からずれた領域34に設けられる。これにより、シート内にコンタクトが作製される必要を回避する。
【0052】
図6は、アンテナ30がシートの平坦部分に設けられず、上昇した突起物40上に設けられる第1の別の設計を示す。これは、光学シート23の成形又は押出部分とされ得るか、そうでなければ、光学シートに取り付けられる、別個に形成された構成要素とされ得る。
【0053】
アンテナ30は、スペースを節約し、且つ製品設計全体への影響を最小にするために、突起物40の3D表面上に設けられ得る。この例では、突起物はコリメータの間にある。光の大半はコリメータを通過するため、光学性能への影響は大幅に低下する。
【0054】
図7は、他の回路構成要素又はICチップ50が光学シート23上又は内に設けられる第2の別の設計を示す。これらはRF受信回路の幾つか又は全てとされ得る。例えば、RFチップは、約0.5mmの面積を占有してもよい。
【0055】
図5図7のそれぞれでは、アンテナから回路基板への接続は、スプリングコンタクト38を使用するものとして示される。しかしながら、例えば、ピンコンタクト、はんだ付けワイヤなどの、又は導電性接着剤の使用による、他の電気機械的な接続が使用され得る。アンテナと接続ワイヤとの間、及び接続ワイヤとプリント回路基板との間において低温はんだ付けが使用され得る。
【0056】
アンテナは、光学シート23の平面上又は突起物上のいずれかに、表面印刷によって形成され得る。3D表面印刷は、レーザ再構成印刷(LRP:laser restructuring printing)、3Dパターン印刷又は3Dエアロゾル印刷を使用して実施され得る。LRPでは、後にアンテナを形成し得る導電性トラックを作製するための銀ペーストを用いた3Dスクリーン印刷を使用する。レーザはトラック形状を精巧にするために使用される。最小の線厚さ及びトラック間隔は約0.15mmとされ得る。この方法は、また、連結されたスルーホールを形成する機能も有する。
【0057】
エアロゾルジェット印刷では、マスク又はパターンを用いることなく微細フィーチャ回路及び埋込構成要素を作製するために、ナノ材料を使用する。得られる機能的電子回路は、数十ミクロン〜センチメートルの範囲にわたる線幅及びパターンフィーチャを有し得る。
【0058】
或いは、アンテナはフレキシブルプリント回路基板上に設けられ、その後、突起物40に巻回され得る。
【0059】
ハウジング若しくはヒートシンクによる遮蔽が低減されることから、このような3Dアンテナの無線性能は、PCBアンテナ、又はセラミックLED基板上に構築されたセラミックアンテナよりも良好である。
【0060】
MR16型照明器具用の、図4に示されるようなレンズ層上の平面LRPアンテナの試験では、15mという良好なZigBeeワイヤレス制御距離が示されたが、これは、前のPCBアンテナで得られるものに比べて良好である。突起物及び3Dアンテナを設けることによって、サイズ及び方向における設計の柔軟性が増加し、そのため、平面アンテナに比べてより良好な無線性能が得られる。これにより、スポットライトランプなどの小型サイズのランプ内に高性能アンテナを設けるという課題に対処する。
【0061】
例えば、ZigBee通信用の2.4GHz帯のλ/4モノポールアンテナでは、アンテナの標準サイズは長さ約3.1cmである。RFID通信用の900MHz帯のλ/2ダイポールアンテナでは、標準サイズは長さ約16.7cmであり、ほとんどの場合において長過ぎる。
【0062】
このため、ほぼ3cm〜10cmの範囲内の全長を有する蛇行アンテナ形状が必要とされるが、平面アンテナが用いられる場合、スポットライトなどの小型ランプでは実装が極めて困難である。湾曲した突起物上にアンテナを設けることによって、スペースの制約が緩和される。
【0063】
この設計は大量生産技術を用いて製造され得ると共に、ワイヤアンテナを使用するよりも簡単である。アンテナの形状及びサイズは印刷プロセスによって正確に制御され得る。この設計はプリンタ制御ソフトウェアによって変更され得るため、この製造方法は、種々の用途の種々のアンテナ設計に応じて柔軟にすることができる。
【0064】
アンテナ方向もまた、遮蔽を回避し、予期される信号源へと向けることによって、最良の信号送信及び受信に最適化され得る。突起物のサイズはアンテナサイズのニーズに応じたものであり、製造プロセスによって制限されてもよい。
【0065】
シート23の幾つかの異なる可能な製造方法は上に記載した。コリメータの反射器部分はシート23と一体に形成され得るため、同じプロセスにより形成され得る。コリメータの反射器部分は、その代わりに、別個の構成要素として形成されてもよく、例えば、射出成形、打ち抜き又は反射材を用いた他の形成法によって作製されてもよい。或いは、反射器の内部表面への反射塗装のステップがあってもよい。
【0066】
上の例は全て反射性コリメータを示す。図8は、ビーム整形光学素子としてフレネルレンズのみを使用する例を示す。図8は、また、RF回路50及びメインPCB2上のLEDドライバ回路60を示す。LEDの周囲にスペーサ62が設けられ、これらは反射性とされ得る。図8は、再度、突起物上に形成されたアンテナを示し、且つPCBへのはんだ付けワイヤ接続を示す。
【0067】
従って、アンテナ設計、アンテナ配置、ビーム整形光学素子のタイプ及び光源のタイプの幾つかの異なる代替案がある。これらオプションは個々に選択され得る。
【0068】
本発明は単一光源に適用され得る。この場合、光学シート23は、アンテナ実装用の、単一ビーム整形光学素子を越えて延在する領域を有する。本発明は、その代わりに、上記例に示されるように、3つなどの光源のアレイに適用され得る。これらは異なる色であってもよく、光学素子は、更に、光混合を提供し得る。しかしながら、同一色の光源であっても、LEDのアレイなどのアレイがあり得る。アレイは、通常、数十個以下の個々のLEDを含んでもよい。
【0069】
上記例は全て表面実装型アンテナ設計を示す。しかしながら、光学シートは、アンテナが光学シートに埋め込まれるようにアンテナ周囲に成形され得る。これは、金属層として形成されたアンテナの、プラスチックレンズへのインサート成形によって実施され得る。
【0070】
アンテナは、所望の長さ及び幅を実現するために任意の所望の形状をとることができる。例として、図9は、約2mmの幅及び30mm〜40mmの長さを有してもよいアンテナパターン90を示す。
【0071】
光学シートとコリメーティング反射器は単一構成要素として成形され得る。LEDからの光出力はコリメーティング反射器の内側表面にて全内反射で反射され得る。そのため、レンズ機能及び反射機能の両方を提供する完全な構造が透明材料から形成され得る。
【0072】
当業者であれば、請求される発明の実施において、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示される実施形態以外の変形形態は理解及び実施され得る。特許請求の範囲において、「含む」という語は、他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を排除しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは特許請求の範囲に列挙される幾つかの物品の機能を満足してもよい。特定の施策が相互に異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実は、これら施策の組み合わせが効果的に使用され得ないことを示すものではない。特許請求の範囲の任意の参照符号は範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9