【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態の基本的な考えは、電流波形に実質的にゼロの供給電流を形成してTHDを低減するように、供給電流が遮断/カットオフされるかなりの持続時間を有するもう1つのモードを提供することである。このモードにおいて、連続負荷電流を提供するためには、蓄積回路は、負荷を用いて依然として放電する。
図8bは、上記遮断されたゼロ供給電流を有する供給電流波形と、主電源入力電圧の正弦波形とを示す。PF及びTHDは、0.96及び27.7%まで改善されている。
【0006】
第1の態様によれば、負荷回路を駆動するドライバが提供される。当該ドライバは、
‐主電源からの供給電流信号を負荷回路に提供する供給回路と、
‐負荷回路用のエネルギーを蓄積する蓄積回路と、
‐蓄積回路、負荷回路及び供給回路に結合されるスイッチ回路と、
を含み、
スイッチ回路は、蓄積回路、負荷回路及び供給回路間の結合を、スイッチングにより、蓄積回路が、
‐供給電流信号を用いて充電され、
‐バイパスされ、
‐供給電流信号と共に、負荷回路を用いて放電され、
‐負荷回路を用いて放電されると同時に、主電源を経由する供給電流信号が遮断され、これがかなりの持続時間の間、持続するように、スイッチングする。
【0007】
供給回路は、供給電流信号を負荷回路に提供し、蓄積回路は、負荷回路用のエネルギーを蓄積し、スイッチ回路は、ドライバを、少なくとも4つの可能な状態のうちの1つにさせる。これらの状態の1つにおいて、蓄積回路は、負荷回路を流れる供給電流信号を用いて充電される。これらの状態の別の1つにおいて、スイッチ回路は、蓄積回路をバイパスする。これらの状態の別の1つにおいて、蓄積回路は、負荷回路を流れる供給電流信号を用いて放電される。これらの状態の別の1つにおいて、蓄積回路は、供給電流信号を用いてではなく、負荷回路を用いて放電される。
【0008】
つまり、蓄積回路は、供給電流信号を用いて放電可能であり、このためには、負荷回路が関与し、また、蓄積回路は、負荷回路を用いて放電可能であり、このためには、供給電流信号が関与しない。
【0009】
したがって、通常の状態に加えて、蓄積回路が、供給電流信号を用いてではなく、負荷回路を用いて放電される更なる状態が作り出されている。この状態の間、負荷回路は、供給電流信号が関与することなく、蓄積回路を用いて供給される。結果として、ドライバによって引き起こされる全高調波ひずみが更に低減される。これは大きな技術的利点である。
【0010】
スイッチ回路が、ドライバを、供給電流信号を用いて蓄積回路を充電する充電状態と、蓄積回路をバイパスするバイパス状態と、供給電流信号と共に、負荷回路を用いて蓄積回路を放電させる依存放電状態と、供給電圧信号が最低レベルを有するときに、主電源のゼロ交差付近で遮断される供給電流信号とは無関係に、負荷回路を用いて蓄積回路を放電させる独立放電状態にさせ、独立放電状態のかなりの持続時間は、供給電流信号と、全高調波ひずみの所望値とに依存するドライバの一実施形態が規定される。
【0011】
通常の充電状態、通常のバイパス状態及び通常の依存放電状態に加えて、蓄積回路が負荷回路を用いて、また、供給電流信号とは無関係に放電される独立放電状態が作り出されている。負荷回路を介する蓄積回路の放電、即ち、供給電流信号とは無関係の蓄積回路を介する負荷回路の給電は、THDを更に低減する大きな技術的利点である。
【0012】
供給回路が、供給源回路から交流供給電圧信号を受信する第1及び第2の入力部を含む整流器回路を含み、また、交流供給電圧信号の2つの続いて起こるゼロ交差間で、ドライバを、独立放電状態、依存放電状態、バイパス状態、充電状態、バイパス状態、依存放電状態及び独立放電状態にこの順序で順次的にさせるように、スイッチ回路を制御するコントローラを更に含むドライバの一実施形態が規定される。
【0013】
供給回路は、例えば主電源から来る50Hz又は60Hz電圧信号といった供給源回路からの交流供給電圧信号を受信する第1及び第2の入力部を有する整流器回路を含む。ドライバは更に、交流供給電圧信号の2つの続いて起こるゼロ交差間で、ドライバを、独立放電状態、依存放電状態、バイパス状態、充電状態、バイパス状態、依存放電状態及び独立放電状態にこの特定の順序でさせるように、スイッチ回路を制御するコントローラを含む。ゼロ交差付近において、交流供給電圧信号が、最低レベルを有するときに、蓄積回路が、供給電流信号とは無関係に負荷回路を用いて放電される独立放電状態が導入される。つまり、交流供給電圧信号が、最低レベルを有するときに、負荷回路は、供給電流信号とは無関係に蓄積回路を放電させることによって給電される。これは大きい技術的な利点である。
【0014】
ここで、上記特定の順序は、電圧レベルによって要求される場合に、すでに列挙されている状態よりも多くの状態を含んでよいことに留意しなければならない。したがって、続いて起こる状態のこのリストは、最小限で、非排他的なリストであり、より多くの状態があってよく、上記された種類のうちの1つのそれぞれがあってよい。上記特定の順序以外の順序も可能であり、除外されない。
【0015】
供給回路が、供給電流信号を提供する第1及び第2の出力部を含む整流器回路を含み、蓄積回路が、第1のブランチにコンデンサを含み、スイッチ回路が、第2のブランチに第1及び第2のスイッチを含み、スイッチ回路が、第3のブランチに第3及び第4のスイッチを含み、第1、第2及び第3のブランチは、並列ブランチであり、整流器回路の第1の出力部は、負荷回路の第1の端子に結合され、第1及び第2のスイッチの第1の主接点は、互いに結合され、かつ、負荷回路の第2の端子に結合され、第3及び第4のスイッチの第1の主接点は、互いに、かつ、整流器回路の第2の出力部に結合され、スイッチ回路が、第1のスイッチの第2の主接点に結合され、負荷回路の第1の端子に結合される第5のスイッチを含むドライバの一実施形態が規定される。
【0016】
この単純で、低価格及びロバストな実施形態によれば、スイッチ回路は、国際特許公開WO2012/131592A1におけるブリッジスイッチングユニットでも開示されている4つのスイッチを含み、スイッチ回路は更に、独立放電状態を実現させる第5のスイッチを含む。
【0017】
整流器回路の出力部間に存在する第1の瞬間電圧差から得られる第1の情報に応えて、また、コンデンサの接点間に存在する第2の瞬間電圧差から得られる第2の情報に応えて、スイッチのうちの少なくとも1つを制御するコントローラを更に含むドライバの一実施形態が規定される。
【0018】
コントローラは、例えば整流器回路の出力間に存在する第1の瞬間電圧差から得られる第1の情報に応えて、また、例えばコンデンサの両端間に存在する第2の瞬間電圧差から得られる第2の情報に応えて、スイッチのうちの少なくとも1つを制御する。この単純で、低価格及びロバストな実施形態によれば、ドライバは、1つ以上の瞬間電圧差によって規定される時間における適切な瞬間に適切な状態にされる。
【0019】
第2及び第3のスイッチそれぞれが、トランジスタを含み、充電状態では、第2及び第3のスイッチは、非導通であり、バイパス状態では、対応する第2及び第3のスイッチの一方は非導通であり、もう一方は導通し、依存放電状態では、第2及び第3のスイッチは導通し、独立放電状態では、第2のスイッチは導通し、第3のスイッチは非導通であるドライバの一実施形態が規定される。この単純で、低価格及びロバストな実施形態によれば、スイッチのうちの2つのみが、制御される必要のあるトランジスタの形である。トランジスタの形の第2及び第3のスイッチを制御することによって、各状態を簡単に実現することができる。
【0020】
第1、第4及び第5のスイッチそれぞれが、ダイオードを含み、充電状態では、第1及び第4のスイッチは導通し、第5のスイッチは非導通であり、バイパス状態では、対応する第1及び第4のスイッチの一方は導通し、もう一方は非導通であり、第5のスイッチは非導通であり、依存放電状態では、第1、第4及び第5のスイッチは非導通であり、独立放電状態では、第1及び第4のスイッチは非導通であり、第5のスイッチは導通するドライバの一実施形態が規定される。この単純で、低価格及びロバストな実施形態によれば、スイッチのうちの3つが、制御される必要のないダイオードの形である。充電状態、バイパス状態及び依存放電状態では、ダイオードの形の第5のスイッチは非導通であり、独立放電状態においてのみ、ダイオードの形の第5のスイッチは導通する。
【0021】
スイッチ回路が更に、第6のスイッチを含み、整流器回路の第1の出力部が、第6のスイッチを用いて、負荷回路の第1の端子に結合されるドライバの一実施形態が規定される。この単純で、低価格及びロバストな実施形態によれば、第6のスイッチは、例えば整流器回路の出力部間の瞬間電圧差を測定できるように導入される。
【0022】
第6のスイッチが、ダイオードを含むドライバの一実施形態が規定される。この単純で、低価格及びロバストな実施形態によれば、第6のスイッチは、整流器回路の出力部間の瞬間電圧差を測定できるように、制御される必要のないダイオードの形にある。
【0023】
電流レギュレータと、電流レギュレータを制御するコントローラとを更に含み、整流器回路の第1の出力部が、電流レギュレータを用いて、負荷回路の第1の端子に結合されるか、第1及び第2のスイッチの第1の主接点が、電流レギュレータを用いて、負荷回路の第2の端子に結合されるか、又は、第3及び第4のスイッチの第1の主接点が、電流レギュレータを用いて、整流器回路の第2の出力部に結合されるドライバの一実施形態が規定される。
【0024】
この実施形態によれば、整流器回路の第1及び第2の出力部間にある直列ブランチ内の電流レギュレータが、負荷電流信号の値を調節する。この負荷電流信号は、整流器回路によって提供される供給電流信号であっても、独立放電状態において、コンデンサによって提供される放電電流信号であってもよい。コントローラは、負荷電流信号の瞬間値を制御する。
【0025】
第2のスイッチ又は第3のスイッチが、電流レギュレータを含み、電流レギュレータを制御するコントローラを更に含むドライバの一実施形態が規定される。
【0026】
この実施形態によれば、第2及び第3のスイッチの少なくとも1つが、電流レギュレータの形の特定のスイッチを流れるスイッチ電流信号の値を調節する電流レギュレータを含む。このスイッチ電流信号は、整流器回路によって提供される供給電流信号であっても、独立放電状態において、コンデンサによって提供される放電電流信号であってもよい。コントローラは、スイッチ電流信号の瞬間値を制御する。
【0027】
供給回路と負荷回路との間に結合されるか、負荷回路とスイッチ回路との間に結合されるか、又は、スイッチ回路と供給回路との間に結合される電流レギュレータと、当該電流レギュレータを制御するコントローラとを更に含むドライバの一実施形態が規定される。
【0028】
この実施形態によれば、負荷回路を更に含む直列ブランチにおける電流レギュレータが、負荷電流信号の値を調節する。この負荷電流信号は、整流器回路によって提供される供給電流信号であっても、独立放電状態において、コンデンサによって提供される放電電流信号であってもよい。コントローラは、負荷電流信号の瞬間値を制御する。
【0029】
スイッチ回路が、電流レギュレータを含み、電流レギュレータを制御するコントローラを更に含むドライバの一実施形態が規定される。
【0030】
この実施形態によれば、スイッチ回路は、スイッチ回路(の一部)を流れるスイッチ電流信号の値を調節する電流レギュレータを含む。このスイッチ電流信号は、供給回路によって提供される供給電流信号であっても、独立放電状態において、コンデンサによって提供される放電電流信号であってもよい。コントローラは、スイッチ電流信号の瞬間値を制御する。
【0031】
第2の態様によれば、ドライバを含むデバイスが提供される。当該デバイスは更に、負荷回路を含む。負荷回路は、例えば照明回路を含む。照明回路は、例えばどの種類でも、どの組み合わせでもよい1つ以上の発光ダイオードを含む発光ダイオード回路を含む。照明回路は、例えば上記電流レギュレータを1つ以上すでに含むか又は上記電流レギュレータに直列結合されるタップラインLEDを含んでよい。
【0032】
第3の態様によれば、負荷回路を駆動するドライバを動作させる方法が提供される。ドライバは、供給電流信号を負荷回路に提供する供給回路と、負荷回路用のエネルギーを蓄積する蓄積回路とを含む。上記方法は、
‐供給電流信号を用いて、蓄積回路を充電するステップと、
‐蓄積回路をバイパスするステップと、
‐供給電流信号を用いて、蓄積回路を放電させるステップと、
‐負荷回路を用いて、蓄積回路を放電させるステップとを含む。
【0033】
デバイスの実施形態と方法の実施形態とは、ドライバの実施形態に対応する。ドライバの様々な実施形態は任意に組み合わせることができる。
【0034】
基本的な考え方は、負荷回路を駆動するドライバにおいて、蓄積回路が、供給電流信号を介する充電と、パイパスと、供給電流信号を介する放電と、負荷回路を介する放電とにスイッチングされることである。
【0035】
全高調波ひずみが低減される改良型ドライバを提供するという目的は達成された。更なる利点は、当該ドライバは、効率も向上させ、また、単純で、低価格及びロバストである点である。
【0036】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施形態から明らかとなり、また、当該実施形態を参照して説明される。