(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱溶融可能な第1の部分と、前記第1の部分とは別に規定され、熱溶融可能な第2の部分と、を含む被加工物であって、前記第1の部分と前記第2の部分とは同じ材料および同じ厚みを呈する被加工物を供する工程と、
前記第1の部分と前記第2の部分とを対向する工程と、
対向して配置された前記第1の部分と前記第2の部分とを、少なくとも2つの加熱ロールによって、加熱および加圧をすることで熱溶着する工程と、を備える熱溶着方法であって、
前記熱溶着工程において、前記2つの加熱ロールは、一方の加熱ロールの加熱温度と他方の加熱ロールの加熱温度とが異なり、
前記一方の加熱ロールの加熱温度は、前記第1の部分及び前記第2の部分の融点よりも高い温度であって、前記他方の加熱ロールの加熱温度は、前記第1の部分及び前記第2の部分の融点よりも低い温度であることを特徴とする熱溶着方法。
熱溶融可能な第1の部分と、前記第1の部分とは別に規定され、熱溶融可能な第2の部分と、を含む被加工物であって、前記第1の部分と前記第2の部分とは同じ材料および同じ厚みを呈する被加工物を供する工程と、
前記第1の部分と前記第2の部分とを対向する工程と、
対向して配置された前記第1の部分と前記第2の部分とを、少なくとも2つの加熱ロールによって、加熱および加圧をすることで熱溶着する工程と、を備える熱溶着方法であって、
前記熱溶着工程において、前記2つの加熱ロールは、一方の加熱ロールの加熱温度と他方の加熱ロールの加熱温度とが異なり、
前記一方の加熱ロールは、前記他方の加熱ロールよりも上方に配され、前記一方の加熱ロールの加熱温度は、前記他方の加熱ロールの加熱温度よりも高いことを特徴とする熱溶着方法。
熱溶融可能な第1の部分と、前記第1の部分とは別に規定され、熱溶融可能な第2の部分と、を含む被加工物であって、前記第1の部分と前記第2の部分とは同じ材料および同じ厚みを呈する被加工物を供する工程と、
前記第1の部分と前記第2の部分とを対向する工程と、
対向して配置された前記第1の部分と前記第2の部分とを、少なくとも2つの加熱ロールによって、加熱および加圧をすることで熱溶着する工程と、を備える熱溶着方法であって、
前記熱溶着工程において、前記2つの加熱ロールは、一方の加熱ロールの加熱温度と他方の加熱ロールの加熱温度とが異なり、
前記一方の加熱ロールの加熱温度は、前記第1の部分及び前記第2の部分の融点に対して5℃以上であって10℃以下だけ高い温度であり、前記他方の加熱ロールの加熱温度は、前記第1の部分及び前記第2の部分の融点に対して5℃以上であって10℃以下だけ低い温度であることを特徴とする熱溶着方法。
熱溶融可能な第1の部分と、前記第1の部分とは別に規定され、熱溶融可能な第2の部分と、を含む被加工物であって、前記第1の部分と前記第2の部分とは同じ材料および同じ厚みを呈する被加工物を供する工程と、
前記第1の部分と前記第2の部分とを対向する工程と、
対向して配置された前記第1の部分と前記第2の部分とを、少なくとも2つの加熱ロールによって、加熱および加圧をすることで熱溶着する工程と、を備える熱溶着方法であって、
前記熱溶着工程において、前記2つの加熱ロールは、一方の加熱ロールの加熱温度と他方の加熱ロールの加熱温度とが異なり、
前記一方の加熱ロールの加熱温度は、前記他方の加熱ロールの加熱温度よりも、10℃以上であって20℃以下だけ温度が高いことを特徴とする熱溶着方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の方法では、被加工物を誘導するための新たな誘導手段が必要であった。従って、本発明者は、鋭意研究の結果、このように形成された熱溶着部における熱溶融性シート相互間の固着強度は、加熱温度、加熱時間、加圧圧力及び加圧時間に依存するが、特に加熱温度が重要であり、上側加工ロールと下側加工ロールとの加熱温度を調整することで、簡便な装置および方法によっても、熱溶着部の固着強度を高くできることを見出した。
【0008】
従って、本発明の目的は、高速操業のために生産能力の向上等を目的として熱溶着時間を短縮しても、簡便な装置および方法を用いて、熱溶着部の固着強度を高くすることができる熱溶着方法、使い捨てパンツの製造方法および包装体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明の一実施形態に係る熱溶着方法は、熱溶融可能な第1の部分と、上記第1の部分とは別に規定され、熱溶融可能な第2の部分と、を含む被加工物であって、上記第1の部分と上記第2の部分とは同じ材料および同じ厚みを呈する被加工物を供する工程と、上記第1の部分と上記第2の部分とを対向する工程と、対向して配置された上記第1の部分と上記第2の部分とを、少なくとも2つの加熱ロールによって、加熱および加圧をすることで熱溶着する工程と、を備える熱溶着方法であって、上記熱溶着工程において、上記2つの加熱ロールは、一方の加熱ロールの加熱温度と他方の加熱ロールの加熱温度とが異なることを特徴とする。
(2) 本発明の他実施形態に係る熱溶着方法は、上記(1)記載の熱溶着方法であって、上記第1の部分と上記第2の部分とを対向する工程は、上記被加工物を折り重ねることで、上記第1の部分と上記第2の部分とを対向することを特徴とする。
(3) 本発明の他実施形態に係る熱溶着方法は、上記(1)または(2)に記載の熱溶着方法であって、上記一方の加熱ロールの加熱温度は、上記第1の部分及び上記第2の部分の融点よりも高い温度であって、上記他方の加熱ロールの加熱温度は、上記第1の部分及び上記第2の部分の融点よりも低い温度であることを特徴とする。
(4) 本発明の他実施形態に係る熱溶着方法は、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の熱溶着方法であって、上記一方の加熱ロールは、上記他方の加熱ロールよりも上方に配され、上記一方の加熱ロールの加熱温度は、上記他方の加熱ロールの加熱温度よりも高いことを特徴とする。
(5) 本発明の他実施形態に係る熱溶着方法は、上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の熱溶着方法であって、上記一方の加熱ロールの加熱温度は、上記第1の部分及び上記第2の部分の融点に対して5℃以上であって10℃以下だけ高い温度であり、上記他方の加熱ロールの加熱温度は、上記第1の部分及び上記第2の部分の融点に対して5℃以上であって10℃以下だけ低い温度であることを特徴とする。
(6) 本発明の他実施形態に係る熱溶着方法は、上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の熱溶着方法であって、上記一方の加熱ロールの加熱温度は、上記他方の加熱ロールの加熱温度よりも、10℃以上であって20℃以下だけ温度が高いことを特徴とする。
(7) 本発明の他実施形態に係る熱溶着方法は、上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の熱溶着方法であって、上記一方の加熱ロールは複数の加熱ブロック片を含む加熱ブロックを表面に有し、上記加熱ブロック片によって複数の溶着部片を備える上記熱溶着部が形成されることを特徴とする。
(8) 本発明の一実施形態に係る使い捨てパンツの製造方法は、上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の熱溶着方法を用いることを特徴とする。
(9) 本発明の一実施形態に係る包装体の製造方法は、被包装物と被包装物を包装する包装材料とを含む包装体の製造方法であって、上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の熱溶着方法を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の熱溶着方法、使い捨てパンツの製造方法および包装体の製造方法は、高速操業のために生産能力の向上等を目的として熱溶着時間を短縮しても、簡便な装置および方法を用いて、熱溶着部の固着強度を高くすることができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と称する)について説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0013】
[熱溶着方法]
本実施形態の熱溶着方法は、
図4および
図9に示すように、熱溶融可能な第1の部分12と、第1の部分12とは別に規定された熱溶融可能な第2の部分14と、を含む被加工物1を供する。第1の部分12と第2の部分14とは離間して配置されていてもよいし、隣接して配置されていてもよい。第1の部分12と第2の部分14とは、同じ材料からなり、厚みも同じである。つまり、第1の部分12と第2の部分14とは、1のシート内に、または、複数のシートを含む1組のシート積層体内に規定された部分であってもよい。また、第1の部分12と第2の部分14とは、同一の材料からなり、同一の厚みを有する別体に規定された部分であってもよく、
図11に示すように、同一の厚みおよび同一の材料からなる第1のシートと第2のシートとにおいて、第1のシートには第1の部分12が規定され、第2のシートには第2の部分14が規定されていてもよい。
【0014】
次に、第1の部分12と第2の部分14とを対向して配置する。これは、
図5や
図10に示すように、被加工物1を折り重ねることによってなされてもよいし、
図11に示すように、第1のシートと別体である上記第2のシートとを有する被加工物1を供し、上記シートを対向して配置することでなされてもよい。
【0015】
図1に示す加熱された少なくとも2本の加熱ロール22,24間に被加工物1が搬送され、少なくとも加熱ロール22,24を用いて第1の部分12と第2の部分14とを加熱および加圧することで、例えば、
図3、
図6、
図10および
図11に示すように、第1の部分12と第2の部分14とが熱溶着されて、熱溶着部16が形成される。
【0016】
図1に示すように、上記の少なくとも2本の加熱ロール22,24は、上側加熱ロール22と下側加熱ロール24とを含み、上側加熱ロール22の周面部と下側加熱ロール24の周面部とが一部において対向するように、隣接して配置されている。例えば、上側加熱ロール22と下側加熱ロール24は、上下、左右および斜め方向のいずれかに並置される。なお、上側加熱ロール22と下側加熱ロール24とは、被加工物1を長手方向(MD方向)に向かって搬送するために互いに逆方向に回転し、長手方向(MD方向)を横切るロール軸を中心軸として回転駆動されている。なお、少なくとも2本の加熱ロール22,24は、更に、上側加熱ロール22と下側加熱ロール24以外にも他の加熱ロールを有してもよい。
【0017】
この熱溶着工程において、上記の上側加熱ロール22の加熱温度は下側加熱ロール24の加熱温度と異なる。ここにいう加熱温度は、上側加熱ロール22のうち、第1の部分12に接触する部分の表面温度、または、下側加熱ロール24のうち、第2の部分14に接触する部分の表面温度をいう。
図2に示す加熱ロール22,24においては、上側加熱ロール22の加熱ブロック22Pの表面温度、および、下側加熱ロール24の加熱ブロック24Pの表面温度である。なお、この熱溶着工程において、上側加熱ロール22の加熱温度および下側加熱ロール24の加熱温度の少なくとも一方は、第1の部分12および第2の部分14との融点よりも高くなる。第1の部分12および第2の部分14を熱溶着する要件であるためである。
【0018】
これによれば、同じ加熱温度で溶着していた従来の場合と比較して、熱溶着によって形成された熱溶着部16の固着強度を高くすることができるから、熱溶着部16の裂けが生じにくく、かつ、熱溶着部16の焼き切れを生じにくくすることができるから、外観が良好な製品を製造することができる。
【0019】
また、この熱溶着工程において、上側加熱ロール22及び下側加熱ロール24の一方の加熱温度は、第1の部分12および第2の部分14の融点よりも高い温度であって、上側加熱ロール22及び下側加熱ロール24の他方の加熱温度は、第1の部分12および第2の部分14の融点よりも低い温度であってもよい。実験の結果、この場合のほうが、熱溶着部16の固着強度をより一層高くすることができ、熱溶着部16に焼き切れが見られなかったためである。
【0020】
さらには、上記の熱溶着工程において、上側加熱ロール22の加熱温度は、下側加熱ロール24の加熱温度よりも高いことが好ましい。実験の結果、この場合のほうが、熱溶着部16の固着強度を高くすることができ、熱溶着部16に焼き切れが見られなかったためである。
【0021】
また、上側加熱ロール22及び下側加熱ロール24の一方の加熱温度は、第1の部分12及び第2の部分14の融点Aに対して5℃以上であって10℃以下だけ高い温度であり、上側加熱ロール22及び下側加熱ロール24の他方の加熱温度は、第1の部分12及び第2の部分14の融点Aに対して5℃以上であって10℃以下だけ低い温度として、第1の部分12と第2の部分14とを加熱して熱溶着してもよい。
【0022】
これを言い換えると、上記の上側加熱ロール22及び下側加熱ロール24の一方の加熱温度は、第1の部分12及び第2の部分14の融点Aに対して、(A+5)℃以上であって(A+10)℃以下となり、上記の上側加熱ロール22及び下側加熱ロール24の他方の加熱温度は、第1の部分12及び第2の部分14の融点Aに対して、(A−10)℃以上であって(A−5)℃以下となる。
【0023】
さらにまた言い換えると、上記の上側加熱ロール22及び下側加熱ロール24の一方の加熱温度は、上記の上側加熱ロール22及び下側加熱ロール24の他方の加熱温度よりも、10℃以上であって20℃以下だけ高くてもよいということができる。この場合、温度管理が容易である一方、熱溶着部16の固着強度が一定値以上となり、製品の信頼性を高くでき、かつ、熱溶着部16の焼き切れも生じなくすることができる。
【0024】
これらの場合、上記の2つの加熱ロール22,24の加熱温度の温度差が小さいから温度管理が容易である一方、固着強度が一定以上に確保でき、溶着部の焼き切れも生じない。従って、高速操業のために生産能力の向上等を目的として熱溶着時間を短縮しても、製品の信頼性をより高くすることができる。
【0025】
第1の部分12および第2の部分14の融点は、特に制限されないが、好ましくは100℃以上であって200℃以下、更に好ましくは105℃以上であって180℃以下である。例えば、少なくとも第1の部分12及び第2の部分14に、融点が180℃のスパンボンド不織布を用いる場合、第1の部分12及び第2の部分14を加熱して熱溶着させるときの加熱ロールの加熱温度は、上側加熱ロール22が185℃以上であって190℃以下、下側加熱ロール24が170℃以上であって175℃以下とされる。
【0026】
図2に示すように、上側加熱ロール22は周面に加熱ブロック22Pを有し、下側加熱ロール24は周面に加熱ブロック24Pを有する。
図2に示すように、加熱ブロック22Pは、加熱ロール22の周面と面一であってもよいし、
図1に示すように加熱ブロック22Pの先端と加熱ロール22の周面との間に段差があり、加熱ブロック22Pが周面に対して凸状となっていてもよい。また、
図2に示すように、加熱ブロック24Pも、加熱ロール24の周面と面一であってもよいし、
図1に示すように加熱ブロック24Pの先端と加熱ロール24の周面との間に段差があり、加熱ブロック22Pが周面に対して凸状となっていてもよい。加熱ブロック22P,24Pは、各加熱ロール22,24の周方向を等分する位置に設けられている。例えば、
図2に示すように、加熱ブロック22P,24Pは、各加熱ロール22,24にロール周方向を6等分する位置に6個取り付けられている。加熱ブロック22P,24Pは、図示しない制御手段によって加熱温度が制御される。
図7(a)に示すように、一の加熱ブロック22Pは、複数の加熱ブロック片221を有する。複数の加熱ブロック片221は、それぞれが所定距離だけ離間して、上側加熱ロール22の周面部のロール軸方向に沿った直線上に並んで配されていてもよい。同様に、
図7(b)に示すように、一の加熱ブロック24Pは、複数の加熱ブロック片241を有する。複数の加熱ブロック片241は、それぞれが所定距離だけ離間して、下側加熱ロール24の周面部のロール軸方向に沿った直線上に並んで配されていてもよい。熱溶着工程においては、この加熱ブロック片221および加熱ブロック片241が対向するように、加熱ロール22,24がロール軸を中心に回転される。これによれば、第1の部分12および第2の部分14に、
図3に示すような間欠的な複数の溶着部片161を有する熱溶着部16を形成することができる。上記の熱溶着方法を用いて、加熱ロールの加熱温度を制御した熱溶着を行うことで、このような複数の溶着部片161を形成しても、複数の溶着部片161が相互に引き付かず、熱溶着部16の外観を良好に形成できる。このような加熱ブロック片221,241の配置パターンは、特に限定されずに変更可能であり、例えば、
図8(a)および
図8(b)に記載のように、加熱ブロック22P,24Pには、加熱ロール22,24の軸方向に沿った細長矩形形状内に、複数のドット状の加熱ブロック片223,243が設けられたものを用いることができる。複数の加熱ブロック片223,243は、相互に等間隔に離間して、複数条のライン上に並んで設けられる。
【0027】
ここまで説明した被加工物1には、吸収性物品、使い捨てパンツ、空気との接触によって発熱可能な発熱体、被包装物を包装材料によって包装した包装体などの中間体が含まれる。なお、吸収性物品としては、例えば、尿パッド、軽失禁パッド、尿取りライナー、生理用ナプキンなどの略矩形状の吸収性物品や使い捨てパンツタイプ吸収性物品を挙げることができる。使い捨てパンツには、パンツタイプ吸収性物品(使い捨ておむつ)、ペーパーパンツや不織布パンツ等の使い捨てパンツ体が含まれる。
【0028】
[使い捨てパンツの製造方法]
本実施形態の使い捨てパンツの製造方法は、上記本実施形態の熱溶着方法を用いて使い捨てパンツを製造するものである。以下、使い捨てパンツとして、
図3に示す使い捨ておむつ2を例として説明を行う。使い捨ておむつ2は、身体から排出される体液を吸収することを目的として、少なくとも身体の股間部に着用されるパンツ型の吸収性物品である。
【0029】
使い捨ておむつ2は、液吸収性の吸収部材111と、吸収部材111の非肌当接面側に配され、脚開口部131と胴開口部133とを規定する外装材135と、を備える。吸収部材111は、接着剤を介して外装材135に固着される。吸収部材111は、長手方向に延びる両側縁に沿って設けられた一対のサイドフラップ140を備える。外装材135には、脚開口部131および胴開口部133に沿って、複数条の脚開口部用弾性部材137,胴開口部用弾性部材139によってギャザーが施されている。外装材135は、少なくとも内装シート135Aと外装シート135Bとが積層された積層構造、または、それらの一方からなる単層構造をとり、内装シート135Aおよび外装シート135Bの少なくとも一方は伸縮性を有している。本実施形態の使い捨ておむつ2において、外装シート135Bは、使い捨ておむつ2の外面をなし、内装シート135Aは、使い捨ておむつ2の内面側に配される。脚開口部用弾性部材137および胴開口部用弾性部材139は、内装シート135Aおよび外装シート135Bの間に配置されている。
【0030】
図4に示すように、第1の実施形態では、上記の被加工物1は、
図3の使い捨ておむつ2となる吸収部材111が、搬送方向である長手方向(MD方向)に沿って複数設けられたおむつ連続体120である。
【0031】
まず、
図4に示すように、外装材135となる外装材用連続ウェブ121と、外装材用連続ウェブ121の肌当接面側に固着された吸収部材111を有するおむつ連続体120を供する。吸収部材111は、搬送方向を横切る短手方向(CD方向)の中央域において、長手方向(MD方向)に所定の間隔で複数配置して、裏面側をホットメルト接着剤などで、長手方向(MD方向)に搬送される外装材用連続ウェブ121上に固着されている。外装材用連続ウェブ121には、吸収部材111が設けられない領域の一部が切除されることで設けられた脚開口部131となる切り欠きまたは開口部116が形成されている。
【0032】
外装材用連続ウェブ121には、複数条の脚開口部用弾性部材137と胴開口部用弾性部材139とがホットメルト接着剤などで固着されている。外装材用連続ウェブ121は、ムレ防止などの点から、通気性を有すものであってもよいし、一部に通気用の複数の開口やスリットが形成されたものであってもよい。外装材用連続ウェブ121は、1層または複数層のシートからなり、プラスチック、ゴム、不織布や紙等からなるものであってもよい。外装材用連続ウェブ121は、少なくとも1層に液不透過性シートを備えてもよい。この場合、外装材用連続ウェブ121は、内装シート135Aとなる内側シート121Aと、外装シート135Bとなる外側シート121Bと、を備え、この内側シート121Aと外側シート121Bとの間に、複数条の脚開口部用弾性部材137と胴開口部用弾性部材139とが接着剤で固着されている。例えば、外装材用連続ウェブ121は、液不透過性のプラスチック系またはゴム系のフィルムシートである内側シート121Aと、通気性の繊維不織布である外側シート121Bと、を積層した積層シートであってもよい。一方、外装材用連続ウェブ121は、疎水性繊維、疎水性処理がなされた不織布などの繊維または液不透過性のプラスチック系若しくはゴム系のフィルムシートからなる単層シートであってもよい。この積層シートや単層シートは、縦横伸縮性および通気性の少なくとも一方を少なくとも一部に有してもよい。
【0033】
そして、おむつ連続体120には、着用時に胴部側方に配される熱溶融可能な第1の部分12と、使い捨ておむつ2となったときに第1の部分12に対向して配置され、おむつ連続体120においては第1の部分12から離間した熱溶融可能な第2の部分14と、が1または複数規定されている。上記の第1の部分12と第2の部分14とは、1または複数のシートからなる1組のシート積層体において、相互に離間して配置された部分である。この熱溶融可能部分には、熱溶融性材料を少なくとも含む。
【0034】
各吸収部材111は、隣接する一対の第1の部分12、及び、隣接する一対の第2の部分14によって規定される領域内において、外装材用連続ウェブ121に固着される。例えば、第1の部分12および第2の部分14は、おむつ連続体120のうち、外装材用連続ウェブ121の吸収部材111が設けられていない領域に規定され、外装材用連続ウェブ121は熱溶融可能な材料によって構成される。
【0035】
吸収部材111は、液透過性のトップシートと液不透過性のバックシートとそれらの間の保液性の吸収体とを具備するものである。例えば、吸収部材111の吸収体には、綿状パルプとSAP(高吸水性樹脂)の混合物、または親水性不織布間に高吸水性樹脂を担持したものを使用できる。
【0036】
一対のサイドフラップ140は、吸収部材111の幅方向側端部に長手方向に沿って設けられ、尿などの体液の横漏れを防止する機能を有する。このため、サイドフラップ140は、疎水性繊維または疎水性処理がなされた不織布などの繊維からなることが好ましい。サイドフラップ140には、サイドフラップ140の長手方向に沿って、1または複数条のストランド状またはストリング状の弾性部材が配置されて、立体的に立脚するいわゆる立体ギャザーが設けられていてもよい。
【0037】
次に、
図5に示すように、
図4の一点鎖線で示す長さ方向(MD方向)を横切る方向(CD方向)の略中央線でおむつ連続体120を折り重ねることで、第1の部分12と第2の部分14とを対向して重ねる。この際、胴開口部用弾性部材139等の収縮力によって、続く熱溶着工程に不良が生じないように、外装材用連続ウェブ121を引き伸ばしておいてもよい。
【0038】
折り重ねられたおむつ連続体120は、上記の熱溶着方法によって、
図1に示す少なくとも2本の加熱ロール22,24間に搬送され、第1の部分12と第2の部分14とを加熱ロール22,24の加熱ブロック22P,24Pで加熱および加圧することで、
図6に示すように、第1の部分12と第2の部分14とが熱溶着されて、熱溶着部16が形成される。熱溶着部16は、間欠的な複数の溶着部片161を有してもよい。
【0039】
(切断工程)
第1の部分12と第2の部分14とが熱溶着されたおむつ連続体120は、更に切断手段に搬送され、
図6に示す一点鎖線において、隣接する熱溶着部16の間で切断されて、使い捨ておむつ2が製造される。本実施形態の使い捨てパンツの製造方法では、使い捨ておむつ2を用いて説明したが、紙パンツや不織布パンツ等の使い捨てパンツ体は、使い捨ておむつ2の製造方法のうち、吸収部材111を設ける工程を省略することで製造することができる。
【0040】
[包装体3の製造方法]
本実施形態の包装体3の製造方法は、上記本実施形態の熱溶着方法を用いて包装体3を製造するものである。本実施形態の包装体3は、吸収性物品などの被包装物302と、被包装物302を包装するために折り重ねられた包装材料301と、を備える。吸収性物品は、身体から排出される体液を吸収することを目的として、少なくとも身体の股間部に着用されるものであり、例えば、尿パッド、軽失禁パッド、尿取りライナー、生理用ナプキンなどの略矩形状の吸収性物品や使い捨てパンツタイプ吸収性物品を挙げることができる。
【0041】
本実施形態の包装体3の製造方法を、
図9および
図10を用いて説明する。まず、
図9に示すように、接着剤などによって、包装材料301の表面に被包装物302を固着する。包装材料301には、破線部にて示すとおり、一端部の第1の部分12と、第1の部分12と離間した他端部の第2の部分14と、第1の部分12と第2の部分14とに挟まれた第3の部分18とが、少なくとも1枚の包装材料301の側縁に沿って規定されている。
【0042】
包装材料301の第1の部分12および第2の部分14は、熱溶着可能である。包装材料301の材料は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエステル等のプラスチックフィルムやナイロンフィルムなどの各種フィルム、硫酸バリウムなどのフィラーを入れて延伸させた通気性フィルム、スパンボンド、SMS(スパンボンド、メルトブローン、スパンボンドの3層構造)、等の不織布、不織布をラミネートさせたフィルム等の少なくとも1つまたはこれらの組合せである。なお、包装材料301は、1層からなってもよいし、材料の異なる複数の層からなってもよい。また、第3の部分18は、第1の部分12および第2の部分14と同様に、熱溶着可能であって、第1の部分12および第2の部分14と同じ材料からなり、および、同じ厚みを呈する。
【0043】
次に、被包装物302が固着された状態で、包装材料301と被包装物302とを折り重ねて、第1の部分12と第2の部分14とを対向して配置する。この際、第1の部分12と第2の部分14とは、第3の部分18にも対向して配置される。
【0044】
次に、上述の熱溶着方法を用いて、この折り重ねた包装材料301と被包装物302からなる包装体3の側縁に沿って、少なくとも第1の部分12と第2の部分14とを熱溶着し、熱溶着部16を形成する。この際、第3の部分18も同時に、第1の部分12および第2の部分14に対して熱溶着される。折り重ねられた包装体3は、
図1に示す加熱された少なくとも2本の加熱ロール22,24間に搬送され、少なくとも加熱ロール22,24を用いて第1の部分12と第2の部分14とを加熱および加圧する。これにより、
図10に示すように、第1の部分12と第2の部分14とが熱溶着されて、熱溶着部16が形成される。加熱ロール22,24の周面には、所定のパターンを有する加熱ブロック22P,24Pが設けられていてもよい。例えば、
図8(a)および
図8(b)に記載のように、加熱ブロック22P,24Pは、加熱ロール22,24の軸方向に沿った細長矩形形状内に、複数のドット状の加熱ブロック片223,243が設けられたものを用いることができる。複数の加熱ブロック片223,243は、相互に等間隔に離間して、複数条のライン上に並んで設けられる。
【0045】
ここでは、三つ折りの包装体を用いて説明したが、二つ折り、または、これら以外の複数折りの包装体であってもよいことは言うまでもない。なお、二つ折りの場合には、上記の第3の部分18は省略される。
【0046】
また、本実施形態の包装体の製造方法の変形例として、折り重ねられた包装材料301に代えて、別体である包装材料301Aと包装材料301Bとを用いてもよい。包装材料301Aと包装材料301Bとは、同じ材料からなり、同じ厚みを有する。この場合、包装材料301Aと包装材料301Bの周囲に沿って、加熱ロール22,24を用いて、複数の溶着部片163Aを有する熱溶着部16Aを形成し、被包装物302を内包する包装体3Aを設ける。この場合、加熱ロール22,24には、枠状に配置された加熱ブロック22P,24Pを有するものを用いてもよい。
【実施例】
【0047】
以下、実施例により、本実施形態の溶着方法をさらに具体的に説明する。
【0048】
[被加工物1の作製] 坪量17g/m
2のスパンボンド不織布を3枚重ねた第1の部分と、同様のスパンボンド不織布を3枚重ねた第2の部分と、を有するものを被加工物1とした。この被加工物1を上側加熱ロールとして、
図7(a)に記載の加熱ブロックを有する押し付けロールを用い、下側加熱ロールとして、
図7(b)に記載の加熱ブロックを有するアンビルロールを用い、3MPaの一定圧力で被加工物1の側縁部に熱溶着部を形成した。押しつけロールおよびアンビルロールの加熱温度は、表1に示すように設定した。表1において、Aは融点を示し、上記被加工物1の場合は180℃である。アンビルロール加熱温度と、押しつけロール加熱温度とが同じ温度であるものを比較例とした。
【0049】
[測定方法] 第1の部分の一端と第2の部分の一端とを、引張試験機を用いて引っ張ることで、熱溶着部の固着強度の測定を行った。引張速度は500mm/分として、測定を行った。測定結果を表1に示す。
【0050】
[評価方法] 固着強度については、39.2N(=4kgf)/3inch以上であるものを◎とし、39.2N(=4kgf)/3inch未満であって34.3N(=3.5kgf)/3inchであるものを○、34.3N(=3.5kgf)/3inch未満であって、29.4N(=3kgf)/3inch以上であるものを△、29.4N(=3kgf)/3inch未満であるものを×とした。
【0051】
【表1】
【0052】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。