特許第6346026号(P6346026)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346026
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】車両用ドアロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 77/34 20140101AFI20180611BHJP
   E05B 85/02 20140101ALI20180611BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   E05B77/34
   E05B85/02
   B60J5/00 M
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-156635(P2014-156635)
(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公開番号】特開2016-33310(P2016-33310A)
(43)【公開日】2016年3月10日
【審査請求日】2016年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000100827
【氏名又は名称】アイシン機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山口 敦司
【審査官】 小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭60−000980(JP,Y2)
【文献】 特開2004−308164(JP,A)
【文献】 特開平10−246048(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0199103(US,A1)
【文献】 特開昭55−148878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/34
B60J 5/00
E05B 85/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のボデーに設けられるストライカを車両のドア内に受け入れるパネル側受入孔の形成されたインナパネルに固定され、前記ストライカと係合することで前記ドアを閉状態で保持可能なラッチ機構を収容するドアロックボデーと、
前記インナパネル及び前記ドアロックボデー間に介在して前記インナパネルに固着され、前記ストライカを前記ドア内に受け入れる補強部材側受入孔が前記パネル側受入孔に合わせて形成された補強部材と、
前記ドアロックボデーが前記インナパネルに固定された状態において、前記パネル側受入孔及び前記補強部材側受入孔の上方位置であって、且つ前記インナパネルと前記補強部材との接面部位よりも上方位置において、前記補強部材を介することなく前記インナパネルと前記ドアロックボデーとの間を直接シールする状態で取着されるシール部材とを備えた、車両用ドアロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ドアロック装置において、
前記補強部材には、前記ドアロックボデーが前記インナパネルに固定された状態において、前記パネル側受入孔及び前記補強部材側受入孔の上方位置であって、且つ前記インナパネルと前記補強部材との接面部位よりも上方位置において、前記インナパネル及び前記ドアロックボデー間を連通する透孔が形成され
前記シール部材は、前記透孔の位置にて、前記補強部材を介することなく前記インナパネルと前記ドアロックボデーとの間を直接シールする状態で取着された、車両用ドアロック装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用ドアロック装置において、
前記ドアロックボデーは、前記補強部材よりも上方に位置する被シール部を有し、
前記シール部材は、前記被シール部において前記インナパネルと前記ドアロックボデーとの間を直接シールする状態で取着された、車両用ドアロック装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用ドアロック装置において、
前記被シール部は、上方に延出するフランジを有した、車両用ドアロック装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用ドアロック装置において、
前記ドアロックボデーは、前記フランジに立設されたリブを有した、車両用ドアロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ドアロック装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この車両用ドアロック装置は、車両のドアを構成するインナパネルの車両の外側に臨む部位に固定されており、その筐体をなすドアロックボデーに収容するラッチ機構を、車両のボデーに設けられるストライカと係合させることでドアを閉状態で保持する。従って、インナパネルには、ドアロックボデーから露出するラッチ機構と係合させるべくストライカを受け入れるパネル側受入孔が形成されている。
【0003】
また、パネル側受入孔の周縁部においてインナパネルの強度を向上させるために、該インナパネルに補強部材を固着してドアロックボデー及びインナパネル間に介在させたドアが知られている。この場合、補強部材には、パネル側受入孔に合わせてストライカを受け入れるための補強部材側受入孔が形成されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−112241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ドア内(インナパネルに対してドアロックボデーの固定側)に水(雨水、洗浄液等)が浸入すると、パネル側受入孔及び補強部材側受入孔を通って車両のボデー内(インナパネルに対してドアロックボデーの反固定側)に浸入する可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、ドア内に浸入した水が車両のボデー内に浸入することを抑制することができる車両用ドアロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する車両用ドアロック装置は、車両のボデーに設けられるストライカを車両のドア内に受け入れるパネル側受入孔の形成されたインナパネルの車両の外側に臨む部位に固定され、前記ストライカと係合することで前記ドアを全閉状態で保持可能なラッチ機構を収容するドアロックボデーと、前記インナパネル及び前記ドアロックボデー間に介在して前記インナパネルに固着され、前記ストライカを前記ドア内に受け入れる補強部材側受入孔が前記パネル側受入孔に合わせて形成された補強部材と、前記ドアロックボデーが前記インナパネルに固定された状態において、前記パネル側受入孔及び前記補強部材側受入孔の上方位置であって、且つ前記インナパネルと前記補強部材との接面部位よりも上方位置において、前記補強部材を介することなく前記インナパネルと前記ドアロックボデーとの間を直接シールする状態で取着されるシール部材とを備える。
【0008】
この構成によれば、前記パネル側受入孔及び前記補強部材側受入孔の上方位置であって、且つ前記インナパネルと前記補強部材との接面部位よりも上方位置において、前記補強部材を介することなく前記インナパネルと前記ドアロックボデーとの間を直接シールする状態で取着されることで、該シール部材よりも下方に前記ドア内(前記インナパネルに対して前記ドアロックボデーの固定側)の水が浸入することを抑制できる。従って、前記インナパネル及び前記補強部材間に隙間があったとしても、前記ドア内(前記インナパネルに対して前記ドアロックボデーの固定側)の水が前記シール部材よりも下方に位置する前記パネル側受入孔及び前記補強部材側受入孔を通って前記ボデー内(前記インナパネルに対して前記ドアロックボデーの反固定側)に浸入することを抑制できる。
【0009】
上記車両用ドアロック装置について、前記補強部材には、前記ドアロックボデーが前記インナパネルに固定された状態において、前記パネル側受入孔及び前記補強部材側受入孔の上方位置であって、且つ前記インナパネルと前記補強部材との接面部位よりも上方位置において、前記インナパネル及び前記ドアロックボデー間を連通する透孔が形成され、前記シール部材は、前記透孔の位置にて、前記補強部材を介することなく前記インナパネルと前記ドアロックボデーとの間を直接シールする状態で取着されることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、例えば前記補強部材のサイズが前記ドアロックボデーのサイズよりも大きかったとしても、前記透孔を通じて前記インナパネル及び前記ドアロックボデー間に前記シール部材を介装することができる。
【0011】
上記車両用ドアロック装置について、前記ドアロックボデーは、前記補強部材よりも上方に位置する被シール部を有し、前記シール部材は、前記被シール部において前記インナパネルと前記ドアロックボデーとの間を直接シールする状態で取着されることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、前記シール部材は、前記補強部材よりも上方に位置する前記被シール部において前記インナパネルとの間に介装されることで、前記補強部材の形状変更を不要にすることができる。
【0013】
上記車両用ドアロック装置について、前記被シール部は、上方に延出するフランジを有することが好ましい。
この構成によれば、例えば前記補強部材の形状・サイズが変更されたとしても、前記ドアロックボデー全体を変更することなく、前記フランジの変更のみで前記シール部材の介装に対応することができる。
【0014】
上記車両用ドアロック装置について、前記ドアロックボデーは、前記フランジに立設されたリブを有することが好ましい。
この構成によれば、前記リブにより、前記フランジを補強することができ、ひいては該フランジにおけるシール性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、ドア内に浸入した水が車両のボデー内に浸入することを抑制できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態が適用されるドアの側面図。
図2】同実施形態を示す斜視図。
図3】同実施形態を示す断面図。
図4】同実施形態を示す分解斜視図。
図5】本発明の第2の実施形態を示す斜視図。
図6】本発明の変形形態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、車両用ドアロック装置の第1の実施形態について説明する。なお、以下では、車両の前方及び後方をそれぞれ「前方」及び「後方」という。また、車室内方に向かう車両の幅方向内側を「車内側」といい、車室外方に向かう車両の幅方向外側を「車外側」という。特に、ドアについての車両の幅方向(車内側、車外側)は、閉じていると見なしてのそれをいう。
【0018】
図1に示すように、車両のドア1内には、車両のボデーBに設けられたストライカ2と係合してボデーBに対してドア1を閉状態で保持するドアロック装置10がその後端縁に沿って設けられている。また、ドア1には、その室内側に露出する状態でインサイドハンドル3が設置されるとともに、その室外側に露出する状態でアウトサイドハンドル4が設置されている。
【0019】
次に、ドアロック装置10及びその周辺構造について説明する。
図2に示すように、ドア1の内殻をなすインナパネル5は、例えば鋼板からなり、ボデーB内とドア1内とを区画する。このインナパネル5は、車内側に臨むように広がる側壁部5a及びその後端縁から車外側に屈曲する後壁部5bを一体的に有する。そして、インナパネル5には、側壁部5a及び後壁部5bのなす角部に跨る状態で略四角形のパネル側受入孔5cが形成されている。また、インナパネル5の後壁部5bには、パネル側受入孔5cの周囲で複数(3つ)のザグリ5dが形成されている。図3に併せ示すように、各ザグリ5dは、前方に向かって突出しており、前方に向かうに従って徐々に縮径される略円錐台の筒状に成形されている。
【0020】
図2に示すように、インナパネル5には、パネル側受入孔5cの位置に合わせてそのドア1内の側の部位に、例えば鋼板からなる補強部材6がスポット溶接にて固着されている。この補強部材6は、車内側に臨むように広がって側壁部5aに接合される側壁部6a及びその後端縁から車外側に屈曲して後壁部5bに接合される後壁部6bを一体的に有して略L字形状を呈する。そして、補強部材6には、パネル側受入孔5cに合わせて略四角形の補強部材側受入孔6cが側壁部6a及び後壁部6bのなす角部に跨る状態で形成されている。つまり、補強部材6の固着されたインナパネル5は、パネル側受入孔5c及び補強部材側受入孔6cを介してそのボデーB内の側とドア1内の側とが連通している。また、図3に併せ示すように、補強部材6の後壁部6bには、インナパネル5の複数のザグリ5dがそれぞれ遊挿される複数(3つ)の略円形の遊挿孔6dが形成されている。
【0021】
ドアロック装置10は、各ザグリ5d及び遊挿孔6dに後方から挿通されるねじ7により、インナパネル5に締結されている。すなわち、図4に示すように、ドアロック装置10は、例えば鋼板からなるベースプレート11と、ラッチユニット12と、連結ユニット13とを備えて構成される。そして、ベースプレート11は、インナパネル5の後壁部5bに臨むように広がっており、その上縁11aが車外側に向かうに従って下方に向かうように傾斜するとともに、車内側縁11bが車両の高さ方向に略直線状に延びている。また、ベースプレート11には、インナパネル5の複数のザグリ5dに合わせて貫通する複数(3つ)のねじ孔16がそれぞれ形成されている。図3に併せ示すように、ベースプレート11は、各ザグリ5d等に挿通されるねじ7のねじ部がねじ孔16に締め付けられることでインナパネル5に結合されている。このとき、各ねじ7の頭部は、ザグリ5dに埋め込まれた状態でこれに当接する。なお、ベースプレート11には、後壁部5bにおけるパネル側受入孔5cの形状に合わせて受入溝17が形成されている。従って、この受入溝17は、車内側に開口する略U字形状を呈する。
【0022】
ラッチユニット12は、例えば樹脂材からなるラッチボデー21と、該ラッチボデー21内で互いに平行に前後方向に延びる軸線の周りに回動自在に連結されたラッチ22及びポール(図示略)とを備えて構成される。ラッチボデー21は、ベースプレート11の外形に合わせて略箱形に成形されており、その上面21a及び車内側面21bは、上縁11a及び車内側縁11bから前方に広がっている。そして、ラッチボデー21のベースプレート11に対向する後端面21cには、上縁11a及び車内側縁11bにおいてベースプレート11が嵌着されるリブ25が突設されている。また、ラッチボデー21には、パネル側受入孔5c等に合わせて略四角形の受入孔26が車内側面21b及び後端面21cのなす角部に跨る状態で形成されている。そして、ラッチボデー21内のラッチ22は、受入孔26、受入溝17、補強部材側受入孔6c及びパネル側受入孔5cを通じてボデーB内の側に露出している。従って、ドアロック装置10は、ドア1の閉作動に伴いラッチボデー21内に進入したストライカ2にラッチ22を係合させるとともに、該係合の状態にあるラッチ22をポールで回り止めすることで、ドア1を閉状態で保持する。ラッチ22及びポールはラッチ機構を構成する。なお、車内側面21bの下端部には、略四角形の係合孔27が形成されている。
【0023】
連結ユニット13は、例えば樹脂材からなるアクチュエータボデー31を備えている。アクチュエータボデー31は、車内側に臨むように広がってインナパネル5の側壁部5aの車外側の部位に当接又は近接する略箱形の収容部32を有するとともに、その後端からラッチユニット12の外形に合わせて前方に向かって凹む取付部33を有する。すなわち、取付部33は、ラッチボデー21の上面21aに合わせて成形された内壁面33aを有するとともに、車内側面21bの前端縁に合わせて成形された内壁面33bを有する。ラッチユニット12は、上面21a及び車内側面21bの前端において取付部33に嵌合することで連結ユニット13に支持される。なお、取付部33には、係合孔27に合わせて係合爪34が突設されている。連結ユニット13に支持されたラッチユニット12は、係合孔27に係合爪34が係入することで連結ユニット13に固定される。ラッチボデー21及びアクチュエータボデー31は、ドアロックボデーを構成する。
【0024】
アクチュエータボデー31の収容部32には、例えばインサイドハンドル3とポールとの間を機械的に連係し、あるいはアウトサイドハンドル4とポールとの間の機械的な連係状態(いわゆる解錠状態)と該連係の解除状態(いわゆる施錠状態)との間を切り替える各種のレバーが収容されている。また、アクチュエータボデー31の収容部32には、これらレバーを切替作動させるロックアクチュエータが収容されている。そして、例えばドア1の閉状態においてアウトサイドハンドル4が操作されたとき、解錠状態であればアウトサイドハンドル4の操作力が連結ユニット13を介してポールに伝達されることで、該ポールによるラッチ22の回り止めが解除される。これにより、ドア1が開放可能となる。一方、施錠状態であればアウトサイドハンドル4の操作力が連結ユニット13を介してポールに伝達されることはなく、該ポールによるラッチ22の回り止めが維持される。これにより、ドア1が開放不能となる。
【0025】
アクチュエータボデー31は、内壁面33aの略全長に亘ってその後端縁から上方に延びる第1フランジ36を有するとともに、内壁面33bの上端の車内側端から上方に延びる第2フランジ37を有する。これら第1及び第2フランジ36,37は、内壁面33a,33bの境界部で繋がって連続する1本のフランジ35を形成する。また、第2フランジ37は、内壁面33bの上端部に繋がるようにアクチュエータボデー31に形成された略筋状の車内側面38に略面一で繋がっている。つまり、フランジ35及び車内側面38は、パネル側受入孔5cの上方で後壁部5b及び側壁部5aにドア1内の側から対向する連続する端面を形成する。フランジ35及び車内側面38は、被シール部を構成する。そして、図2及び図3に併せ示すように、インナパネル5とフランジ35及び車内側面38との間には、補強部材6よりも上方でフランジ35等に沿って延在する、例えばゴム材からなる略帯状のシール部材40が介装されている。従って、このシール部材40は、第1フランジ36と後壁部5bとの間に介装される第1シール部41と、側壁部5aと第2フランジ37及び車内側面38との間に介装される第2シール部42とを一体的に有する。シール部材40がパネル側受入孔5cよりも上方に位置することはいうまでもない。
【0026】
次に、本実施形態の作用について説明する。
ドア1内(インナパネル5に対してドアロック装置10の固定側)に水が浸入したとする。この場合、パネル側受入孔5c及び補強部材側受入孔6cの上方でインナパネル5及びアクチュエータボデー31(フランジ35等)間にシール部材40が介装されることで、該シール部材40よりも下方にドア1内の水が浸入することが抑制される。
【0027】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、ドア1内(インナパネル5に対してドアロック装置10の固定側)に水が浸入しても、パネル側受入孔5c及び補強部材側受入孔6cの上方でインナパネル5及びアクチュエータボデー31間にシール部材40が介装されることで、該シール部材40よりも下方にドア1内の水が浸入することを抑制できる。従って、インナパネル5及び補強部材6間に隙間があったとしても、ドア1内の水がシール部材40よりも下方に位置するパネル側受入孔5c及び補強部材側受入孔6cを通ってボデーB内(インナパネル5に対してドアロック装置10の反固定側)に浸入することを抑制できる。
【0028】
(2)本実施形態では、シール部材40は、補強部材6よりも上方に位置するフランジ35等(被シール部)においてインナパネル5との間に介装されることで、補強部材6の形状変更を不要にすることができる。
【0029】
(3)本実施形態では、アクチュエータボデー31は、フランジ35においてインナパネル5との間にシール部材40を介装することで、例えば補強部材6の形状・サイズが変更されたとしても、アクチュエータボデー31全体を変更することなく、フランジ35の変更のみでシール部材40の介装に対応することができる。
【0030】
(4)本実施形態では、インナパネル5及び補強部材6間に隙間があったとしてもドア1内の水がボデーB内に浸入することを抑制できるため、例えばインナパネル5及び補強部材6間にシーラを塗布している場合にはこれを廃止することができる。
【0031】
(第2の実施形態)
以下、車両用ドアロック装置の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態の補強部材を変更した構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0032】
図5に示すように、本実施形態の補強部材55は、例えば鋼板からなり、前記パネル側受入孔5cの位置に合わせてインナパネル5のドア1内の側の部位にスポット溶接にて固着されている。この補強部材55は、前記ドアロック装置10に準じた構造のドアロック装置50よりも上方に突出するサイズを有しており、車内側に臨むように広がって側壁部5aに接合される側壁部55a及びその後端縁から車外側に屈曲して後壁部5bに接合される後壁部55bを一体的に有して略L字形状を呈する。そして、補強部材55には、パネル側受入孔5cに合わせて略四角形の補強部材側受入孔55cが側壁部55a及び後壁部55bのなす角部に跨る状態で形成されている。また、補強部材55には、補強部材側受入孔55cの上方を包囲するように側壁部55a及び後壁部55bのなす角部に跨る状態で透孔55dが形成されている。この透孔55dは、上向きに凸となる略湾状に成形されている。
【0033】
透孔55dには、例えばゴム材からなる略帯状のシール部材60が挿入されている。このシール部材60は、上向きに凸となる略湾状に成形されており、透孔55dの略全長に亘って延在する。また、シール部材60は、透孔55dを貫通しており、ドアロック装置50の外形をなすドアロックボデー51とインナパネル5との間に介装されている。シール部材60がパネル側受入孔5cよりも上方に位置することはいうまでもない。従って、ドア1内(インナパネル5に対してドアロック装置50の固定側)に水が浸入しても、シール部材40よりも下方にドア1内の水が浸入することが抑制される。
【0034】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態における(1)、(4)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、補強部材55のサイズがドアロックボデー51のサイズよりも大きかったとしても、透孔55dを通じてインナパネル5及びドアロックボデー51間にシール部材60を介装することができる。
【0035】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
図6に示すように、前記第1の実施形態において、アクチュエータボデー31のフランジ35に、補強用のリブ65を立設してもよい。この場合、リブ65によりフランジ35を補強することができ、ひいては該フランジ35におけるシール性能を向上させることができる。
【0036】
・前記第1の実施形態において、フランジ(35)は、ラッチボデー21が有していてもよい。具体的には、第1フランジ(36)は、上面21aの略全長に亘ってその後端縁から上方に延びていてもよい。また、第2フランジ(37)は、車内側面21bの上端から上方に延びていてもよい。フランジがこれら第1及び第2フランジの連続する1本であることはいうまでもない。
【0037】
・前記第1の実施形態において、シール部材40は、パネル側受入孔5cの全体を含むように補強部材6の上方に延在するのであれば、その形状は任意である。例えばパネル側受入孔5cと略平行に延びる略L字状に成形されていてもよいし、上向きに凸となる略湾状に成形されていてもよい。
【0038】
・前記第1の実施形態において、ラッチボデー21及びアクチュエータボデー31を一体化したドアロックボデーであってもよい。
・前記第2の実施形態において、シール部材60は、パネル側受入孔5cの全体を含むようにその上方に延在するのであれば、その形状は任意である。例えばパネル側受入孔5cと略平行に延びる略L字状に成形されていてもよい。シール部材60の形状に合わせて透孔55dを成形することはいうまでもない。
【符号の説明】
【0039】
B…ボデー、1…ドア、2…ストライカ、5…インナパネル、5c…パネル側受入孔、6,55…補強部材、6c,55c…補強部材側受入孔、10,50…ドアロック装置、21…ラッチボデー(ドアロックボデー)、22…ラッチ(ラッチ機構)、31…アクチュエータボデー(ドアロックボデー)、35…フランジ(被シール部)、36…第1フランジ、37…第2フランジ、38…車内側面(被シール部)、40,60…シール部材、51…ドアロックボデー、55d…透孔、65…リブ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6