(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346030
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】緩衝装置
(51)【国際特許分類】
F16F 15/06 20060101AFI20180611BHJP
F16F 1/18 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
F16F15/06 A
F16F1/18 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-162126(P2014-162126)
(22)【出願日】2014年8月8日
(65)【公開番号】特開2016-38037(P2016-38037A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小 林 貴 雄
【審査官】
大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭49−017989(JP,B1)
【文献】
特開平10−166920(JP,A)
【文献】
実開昭52−123294(JP,U)
【文献】
実用新案登録第2513768(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/06
F16F 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板材が複数回巻かれたゼンマイばねと、
前記ゼンマイばねの一又は複数が収容される保持部材とを備え、
構造体からの荷重が前記保持部材から前記ゼンマイばねに伝達され、
前記保持部材は前記ゼンマイばねを挟む第1部材及び第2部材からなり、
前記第1部材及び第2部材に前記ゼンマイばねの外周部が当接するばね受け部がそれぞれ形成され、
前記ばね受け部は前記ゼンマイばねの外周部が少なくとも2箇所で当接し、この当接状態で前記ゼンマイばねが縮径及び拡径することを特徴とする緩衝装置。
【請求項2】
前記ばね受け部は少なくとも2つの直線部と2つの直線部を連結する曲線部を有しており、前記ゼンマイばねの外周部が前記少なくとも2つの直線部に当接した状態で前記ゼンマイばねが縮径及び拡径することを特徴とする請求項1記載の緩衝装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の緩衝装置であって、
前記ゼンマイばねが異なった向きとなるように前記保持部材の複数が横並び状に配置されていることを特徴とする緩衝装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の緩衝装置であって、
前記第1部材及び第2部材は、外れ止め状態で組み付けられることを特徴とする緩衝装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の緩衝装置であって、
前記保持部材の内部に潤滑剤が充填されていることを特徴とする緩衝装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用電気製品、産業機器、自動車等に用いることにより、これらの振動や衝撃等を吸収して緩和する緩衝装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気洗濯機等の電気製品、その他の機器からの振動や衝撃を緩和する従来の緩衝装置としては特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の緩衝装置は、皿ばねを用いるものであり、複数の皿ばねを積層してケース内に収容し、皿ばね積層体の上に荷重受け部材を設けた構造となっている。機器からの振動等の荷重は荷重受け部材から皿ばね積層体に伝達され、皿ばねが厚さ方向に撓むことにより生じる反力及び皿ばねの間の摩擦力によってエネルギーを吸収して減衰させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2513768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の緩衝装置では、各皿ばねが有しているばね定数や板厚等を合算して緩衝作用を行うものであるため、皿ばね間のばらつきによって緩衝作用にばらつきを生じ易い。従って平均化した緩衝作用を行うための調整が難しいばかりでなく、機器に対する適応性が乏しく、汎用性に欠けるものとなっている。又、皿ばね積層体に初期撓みを付与するためのストッパが必要であると共にこのストッパやストッパが取り付けられるケースには、皿ばねの強い荷重に耐える構造とする必要があるため、これらに大きな強度が必要となり、重量増の原因ともなっている。
【0006】
本発明はこのような従来の問題点を考慮してなされたものであり、ばらつきの調整が容易で平均化した緩衝作用を安定して行うことが可能であり、しかも大きな強度を必要とすることのない緩衝装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載の緩衝装置は、薄板材が複数回巻かれたゼンマイばねと、前記ゼンマイばねの外周部が当接するばね受け部が形成され、前記ゼンマイばね一又は複数が収容される保持部材とを備え、構造体からの荷重が前記保持部材から前記ゼンマイばねに伝達されることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の緩衝装置であって、前記保持部材は、共に前記ばね受け部が形成されて前記ゼンマイばねを挟む第1部材及び第2部材によって形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の緩衝装置であって、前記ゼンマイばねが異なった向きとなるように前記保持部材の複数が横並び状に配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の緩衝装置であって、前記第1部材及び第2部材は、外れ止め状態で組み付けられることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項記載の緩衝装置であって、前記保持部材の内部に潤滑剤が充填されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ばらつき調整が容易で平均化した緩衝作用を安定して行うことが可能であり、大きな強度を必要とすることのない構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態の緩衝装置の断面図を示し、
図2におけるE−E線断面図である。
【
図4】(a)、(b)、(c)は第1実施形態に用いる第1部材の平面図、F−F線断面図、側面図である。
【
図5】(a)、(b)、(c)は第1実施形態に用いる第2部材の底面図、G−G線断面図、側面図である。
【
図7】(a)、(b)は荷重を受ける前後のゼンマイばねの作動を示す側面図である。
【
図8】荷重を受けたゼンマイばねの緩衝作用を示す側面図である。
【
図10】(a)、(b)は本発明の第2実施形態の緩衝装置を示す平面図、H−H線断面図である。
【
図11】(a)、(b)は本発明の第3実施形態の緩衝装置を示すI−I線断面図、部分破断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を図示する実施形態により具体的に説明する。なお、各実施形態において、同一の部材には同一の符号を付して対応させてある。
【0015】
(第1実施形態)
図1〜
図9は本発明の第1実施形態の緩衝装置1を示す。緩衝装置1は構造体2に取り付けられて使用される。構造体2としては、
図6に示すように例えば、電気洗濯機を選択することができ、緩衝装置1は電気洗濯機からなる構造体2の下部に取り付けられて構造体2の振動を緩衝しながら構造体2の重量を支える。
【0016】
緩衝装置1は
図1〜
図3に示すように、ゼンマイばね3が保持部材4の内部に配置された構造となっている。保持部材4は、上下一対となっている第1部材5及び第2部材6によって形成されている。上下一対の第1部材5及び第2部材6は固定部材7によって組み付けられる。第1部材5及び第2部材6は、
図4及び
図5に示すように、略同じ径の円形の外形に形成されている。
【0017】
図4に示すように、第1部材5は対向して上方に隆起する一対の隆起部51、51と、隆起部51、51の間に凹むように設けられた溝部53と、溝部53に設けられた保持部54とによって形成され、第2部材6側の端部(下端部)は開口された開口部5aとなっている。保持部54は第2部材6側の端部に形成されたリング状のシール部55と、シール部55から円環状となって立ち上がった立ち上がり部56と、立ち上がり部56から上方に隆起したばね受け部57とからなり、これらが一体となることにより形成されている。シール部55はOリング等のシールリング8を取り付けるものであり、シールリング8の取り付けにより、保持部材4内からグリス等の潤滑剤が漏れることを防止できる。ばね受け部57は立ち上がり部56から上方に向かって斜め方向に連設した2つの直線部57a、57aと、2つの直線部57a、57aを連結する弧状の曲線部57bとによって形成されており、2つの直線部57a、57aにゼンマイばね3の外周部31が当接する。この当接により構造体2からの振動がゼンマイばね3に伝達される。
【0018】
図5に示すように、第2部材6は対向して下方側に膨らむ一対の隆起部61、61と、隆起部61、61の間に設けられた溝部63と、溝部63に設けられた保持部64とによって形成され、第1部材5側の端部(上端部)は開口された開口部6aとなっている。保持部64は第1部材5側に向かって伸びる円環状の立ち下がり部66と、立ち下がり部66から下方に膨出したばね受け部67とからなり、これらが一体となることにより形成されている。ばね受け部67は第1部材5のばね受け部57に対応するものであり、立ち下がり部66から下方に向かって斜め方向に連設した2つの直線部67a、67aと、2つの直線部67a、67aを連結する弧状の曲線部67bとによって形成されている。このばね受け部67の2つの直線部67a、67aにゼンマイばね3の外周部31が当接する。
【0019】
ゼンマイばね3は薄板材を渦巻き状に巻くことにより形成されており、内端部32が渦巻き状の内部に位置し、外端部33が第2部材6のばね受け部67に係止されている。ゼンマイばね3は第1部材5のばね受け部57及び第2部材6のばね受け部67の間に挟まれて配置される。この配置によって外周部31がこれらのばね受け部57、67に当接する。
【0020】
固定部材7は第1部材5及び第2部材6の組み付け状態を固定するものであり、
図1に示すように、底片部71と、底片部71の両端部から立ち上がる立ち上がり片部72と、立ち上がり片部72の両端部を屈曲した固定片部73とによって断面矩形の帯状に形成されている。固定部材7は底片部71を第2部材6の溝部63に差し込み、固定片部73を第1部材5の溝部53に嵌合させることにより第1部材5及び第2部材6を外れ止めした組み付け状態で保持する。これにより第1部材5及び第2部材6は
図1の矢印A方向への進出が規制される。
【0021】
この実施形態の緩衝装置1は、ゼンマイばね3を保持部材4である第1部材5及び第2部材6の間に配置し、第1部材5及び第2部材6が形成する内部空間にグリス等の潤滑剤を充填する。又、第1部材5のシール部55にはシールリング8を嵌め込んでおき、第1部材5及び第2部材6を固定部材7によって組み付ける。この組み付けにより、ゼンマイばね3の外周部31が第1部材5のばね受け部57及び第2部材6のばね受け部67に当接し、保持部材4を矢印A方向に付勢する。ゼンマイばね3は巻締めされていなくても良く、巻締めされていても良い。前者の場合において、緩衝装置1の組み付けの後に巻締めが必要な場合は、緩衝装置1に組み付けた状態でゼンマイばね3の内端部32を用いて巻締めることができる。
【0022】
この緩衝装置1を構造体2の下部に配置すると、構造体2の振動が保持部材4からゼンマイばね3に伝達されてゼンマイばね3が徐々に縮径する。ゼンマイばね3が縮径することにより径方向に撓むため、ゼンマイばね3は拡径方向への力が強くなる。そして、構造体2から入力する振動(荷重)とゼンマイばね3の荷重とが釣り合うことにより、緩衝装置1は
図1に示す高さB1から高さB2となって安定する。
【0023】
次に、この実施形態の緩衝装置1による振動の緩衝作用を説明する。構造体2からの荷重は第1部材5のばね受け部57からゼンマイばね3に伝達される。
図7はゼンマイばね3に静的な荷重が作用したときの変化を示し、(a)は荷重が作用する前の状態、(b)は荷重が作用したときの状態である。荷重が作用する前においては、内端部32が
図7(a)の位置Z1となっており、この状態で荷重Pを受けるとゼンマイばね3は略菱形形状に弾性変形して撓みを生じる。さらに大きな荷重が加わると、ゼンマイばね3の全体が縮径するような方向(
図8におけるT2方向)のトルクが作用し、このトルクがゼンマイばね3が拡径する方向(
図8におけるT1方向)のトルクを超えるとゼンマイばね3の全体が巻き締まり内端部32がT2方向に移動し、ゼンマイばね3の全体が
図7(b)の矢印方向に巻き締まる。内端部32は
図7(b)の位置Z2に移動し、この状態で構造体2を支える。
【0024】
図8は交番荷重(動的荷重)が作用したときのゼンマイばね3の状態を示し、ゼンマイばね3が拡径する方向のトルクT1に対し、交番荷重によって発生する巻締め方向へのトルクT2が大きい場合、交番荷重の1波形に対しゼンマイばね3の薄板材が滑り、交番荷重の1波形毎に内端部32が徐々にT2方向に移動してゼンマイばね3の全体が縮径作動する。かかる縮径が進行すると、ゼンマイばね3は拡径する方向のトルクT1が増加し、この増加により拡径する方向のトルクT1と巻き締め方向のトルクT2とが釣り合った位置までゼンマイばね3が縮径して安定化する。
【0025】
この安定化以降に交番荷重が作用すると、ゼンマイばね3は
図9の荷重‐撓み特性によって荷重を受ける。
図9の荷重線図は、縮径方向及び拡径方向で差が生じるヒス特性を有しているため、この差によって構造体2の振動を緩衝させることができる。このため、防振や消音作用を行うことができる。なお、ゼンマイばね3が縮径する際には、薄板材間で発生する摩擦抵抗が熱エネルギーに変換されて吸収されるため、振動を徐々に小さくする収斂作用を行うことができる。
【0026】
このような実施形態では、ゼンマイばね3が広範囲の荷重に対して良好で確実な緩衝作用を行うため、緩衝作用の調整が容易であり、広範の機器へ適用することができる。又、皿ばねを用いる必要がないため、皿ばねの荷重に対応した高強度の保持部材が不要となり、軽量化することができる。
【0027】
この実施形態では、ゼンマイばね3の潤滑のために第1部材5及び第2部材6の間に潤滑剤を封入しているが、必要のない場合には潤滑剤を省略しても良い。又、自動車のエンジンの内部のように、潤滑油が常時飛散している環境下においては、保持部材4や固定部材7に穴やスリットを形成して潤滑剤を取り入れるようにしても良い。さらに、緩衝装置1を複数組み合わせて用いることができる。
【0028】
(第2実施形態)
図10は本発明の第2実施形態の緩衝装置1Aを示す。この実施形態では、ゼンマイばね3と、第1部材5及び第2部材6からなる保持部材4とによって一の緩衝体9を形成し、この緩衝体9の複数をカバー11に配置することにより緩衝装置1Aが形成される。
【0029】
個々の緩衝体9は、一のゼンマイばね3と、ゼンマイばね3の外周部31が当接するばね受け部57を有した第1部材5及び同様にゼンマイばね3の外周部31が当接するばね受け部67を有した第2部材6からなる保持部材4によって形成されている。第1部材及び第2部材6の組み付けは、第1部材5にフック爪部58を形成すると共に第2部材6にフック凹部68を形成し、フック爪部58をフック凹部68に係合させることにより行われ、これにより第1部材5及び第2部材6が外れ止め状態で組み付けられる。第1部材5及び第2部材6には、ばね受け部57、67が形成されている。これらのばね受け部57、67は、第1実施形態と同様にゼンマイばね3の外周部31が当接する2つの直線部及び2つの直線部を連結する曲線部とによって形成される。
【0030】
カバー11は、共に対向面が開口された矩形箱状となっている上側の第1カバー12及び下側の第2カバー13とによって形成されている。第1カバー12及び第2カバー13の対向面には取付溝12a、13aが形成されている。個々の緩衝体9の第1部材5及び第2部材6には、それぞれの取付溝12a、13aに嵌合する取付突起59、69が形成され、取付突起59、69及び取付溝12a、13aによって個々の緩衝体9がカバー11の定位置に位置決めされて固定される。
【0031】
この実施形態の緩衝装置1Aは、カバー11を構造体(図示省略)に取り付けることにより、構造体2の振動がカバー11を介して個々の緩衝体9の保持部材4に伝達され、保持部材4から個々のゼンマイばね3に伝達される。これにより第1実施形態と同様の緩衝作用を行うことができる。
【0032】
この実施形態における緩衝装置1Aは、
図10(a)で示すように、横向き、縦向きのように互い違いに異なる向きとなるように複数の緩衝体9が横並び状にカバー11内に配置される。これにより個々のゼンマイばね3が互い違いに異なった向きになるように複数の保持部材4が横並び状態でカバー11内に配置される。このように配置することにより、カバー11のどの方向からの荷重であっても受けることができるため、どの方向からの荷重に対しても緩衝作用を発揮することができる。又、複数の緩衝体9を設けているため、大きな荷重を受ける場合や大きな面積が必要な場合に良好に対応することができる。なお、ゼンマイばね3の向きは個々に互い違いで異なることなく、一群で隣接しているゼンマイばね3を同じ向きとし、他群で隣接しているゼンマイばね3とを一群のゼンマイばね3の向きと異なる向きとなるように緩衝体9を配置しても良い。
【0033】
(第3実施形態)
図11は、本発明の第3実施形態の緩衝装置1Bを示す。緩衝装置1Bは四輪自動車のエンジンと、車体とを連結するマウントに適用される。
【0034】
この実施形態の保持部材4は、エンジン側に連結された第1部材5と、車体側に連結された第2部材6とによって形成されている。第1部材5は、エンジンを支持する支持軸21が貫通している。第1部材5は駒形状に形成されており、その外周面には、ゼンマイばね3の外周部31が当接するばね受け部57が等間隔で3箇所に形成されている。従って、ばね受け部57は第1部材5に対し放射状に位置するように形成される。
【0035】
第2部材6は、第1部材5の外側を覆うリング形状となって車体に連結されている。第2部材6の内面における第1部材5のばね受け部57との対向位置には、ばね受け部57に対応したばね受け部67が3箇所に形成されている。従って、ばね受け部67も第2部材6に対し放射状に位置するように形成されている。
【0036】
放射状に位置した第1部材5のばね受け部57及び第2部材6のばね受け部67の間にはゼンマイばね3がそれぞれ配置されている。これによりゼンマイばね3が放射状に配置される。それぞれのゼンマイばね3の外周部31は第1部材5のばね受け部57及び第2部材6のばね受け部67に当接しており、エンジン駆動により生じた交番荷重(振動)が支持軸21から第1部材5に伝達されることにより、第1部材5からそれぞれのゼンマイばね3に伝達される。
【0037】
この実施形態では、交番荷重がそれぞれのゼンマイばね3に作用することにより、それぞれのゼンマイばね3は第1実施形態と同様に縮径及び拡径作動する。このため
図9と同様な荷重‐撓み特性によって交番荷重を受け、縮径方向及び拡径方向で差が生じるヒス特性によって交番荷重(振動)を緩衝させることができる。ゼンマイばね3は共振周波数が高く、又、薄板材で摩擦抵抗が発生するため、エンジンからの振動のように多様なモードの振動に対しても良好な緩衝効果を発揮することができる。これに加えて、この実施形態では、ゼンマイばね3が放射状に配置されているため、調心を自動的に行うことも可能となる。
【符号の説明】
【0038】
1A、1B 緩衝装置
2 構造体
3 ゼンマイばね
4 保持部材
5 第1部材
6 第2部材
31 外周部
32 内端部
57、67 ばね受け部