特許第6346046号(P6346046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ハイレックスコーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許6346046-取付構造 図000002
  • 特許6346046-取付構造 図000003
  • 特許6346046-取付構造 図000004
  • 特許6346046-取付構造 図000005
  • 特許6346046-取付構造 図000006
  • 特許6346046-取付構造 図000007
  • 特許6346046-取付構造 図000008
  • 特許6346046-取付構造 図000009
  • 特許6346046-取付構造 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346046
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】取付構造
(51)【国際特許分類】
   E05F 11/48 20060101AFI20180611BHJP
   E05F 11/38 20060101ALI20180611BHJP
   E05F 15/689 20150101ALI20180611BHJP
【FI】
   E05F11/48 D
   E05F11/38 G
   E05F15/689
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-189854(P2014-189854)
(22)【出願日】2014年9月18日
(65)【公開番号】特開2016-61072(P2016-61072A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100129012
【弁理士】
【氏名又は名称】元山 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100149009
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 稔久
(74)【代理人】
【識別番号】100121120
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男
(72)【発明者】
【氏名】沖田 薫
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−123986(JP,A)
【文献】 特開平3−197786(JP,A)
【文献】 米国特許第5970658(US,A)
【文献】 独国実用新案第202007006999(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 11/48
E05F 11/38
E05F 15/689
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールと摺動体との取付構造であって、
前記ガイドレールは、長さを有するガイドレール本体と、前記ガイドレールの幅方向の端部に延在し、前記ガイドレールの長さ方向に沿って設けられた第一屈曲部と、前記第一屈曲部の反対側の端部に設けられた第二屈曲部とを有し、
前記第一屈曲部は、長さ方向に沿って設けられ、前記ガイドレール本体から第一屈曲角で屈曲して前記ガイドレール本体から立ち上がる第一ガイド部と、長さ方向に沿って設けられ、前記第一屈曲角と反対側の前記第一ガイド部の端部における第二屈曲角で屈曲して前記第一ガイド部から立ち上がる保持部とを有し、
前記第二屈曲部は、長さ方向に沿って設けられ、前記ガイドレール本体から屈曲して前記ガイドレール本体の垂直方向に立ち上がる第二ガイド部を有し、
前記摺動体は、
本体と、
前記本体に設けられ、前記第一ガイド部に摺動する被ガイド部と、
前記ガイドレールの幅方向に、前記被ガイド部の外側から前記被ガイド部に向かって突出する保持爪と、
前記第二ガイド部が収容されるガイド溝とを有し、
前記保持爪は、前記被ガイド部側の端面と、前記本体側に面する内側面と、前記端面と前記内側面とが交わる角に面取りされた傾斜面とを有し、
前記被ガイド部における前記第一ガイド部に接する壁部と前記傾斜面との間には前記第一ガイド部が挿通可能な間隙を有し、
前記保持爪は、前記間隙に前記保持部を挿入して前記第一屈曲部を前記被ガイド部と接触させた状態で、前記第一屈曲部と前記被ガイド部の接触部分を中心に前記ガイドレールを回転させることにより、撓むことが可能な弾性を有し、
前記保持爪が弾性変形することにより、前記第一屈曲部が前記保持爪と前記壁部との間に入り込んだ保持状態にされるとともに、前記第二ガイド部が前記ガイド溝に収容され、
前記保持状態においては、
前記第一屈曲角が前記端面に当接し、前記第二屈曲角が前記壁部に当接することにより、前記ガイドレールが、前記第二ガイド部が前記ガイド溝から抜け出るような前記摺動体との相対回転が抑制された、
取付構造。
【請求項2】
前記取付構造は、車両の窓に固定される前記摺動体としてのキャリアプレートと、前記窓の移動方向に延びる前記ガイドレールとを有するウインドレギュレータに用いられる構造である、請求項1に記載の取付構造。
【請求項3】
前記被ガイド部は、前記保持爪に面する角が面取りされた面取り部を有している、請求項1又は2に記載の取付構造。
【請求項4】
前記保持部を前記間隙に挿入して、前記保持爪を前記被ガイド部の角部分と接触させた状態で、前記ガイドレールを回転させることによって、前記保持部によって前記保持爪を撓ませると、前記保持部を前記保持爪の前記内側面に対向する位置に移動させることができる、請求項1〜3のいずれかに記載の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドレールと摺動体との取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ガイドレールに摺動体が取り付けられた装置としては、昇降用ケーブルが連結した、窓ガラスを保持するキャリアプレートが、窓ガラスの昇降方向に昇降用ケーブルを牽引することにより、ガイドレールを昇降移動するウインドレギュレータが知られている。その構成の代表例としては、昇降用ケーブルは、キャリアプレートに一端が連結され、キャリアプレートを昇降方向に案内するガイドレールの上下両端に設けられたケーブルガイドに掛け回されて、他端がドラムに連結されているものが挙げられる。
【0003】
ウインドレギュレータは、ドラムを駆動モータにより回転駆動することにより、昇降用ケーブルを巻き取り・繰り出し、キャリアプレートを上昇又は下降させて、窓ガラスの昇降移動を行う。
キャリアプレートは、上述のように、ガイドレールによって案内される。キャリアプレートには、ガイドレールを保持する保持部材が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−12684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したようなウインドレギュレータでは、キャリアプレートとガイドレールとは、スライド可能な嵌合構造を形成し、キャリアプレートをガイドレールに取り付ける際に、キャリアプレートはガイドレールのいずれかの一端から嵌められて、そこからガイドレールの中間の位置までスライド移動させられる。
しかし、ガイドレールのいずれかの一端からキャリアプレートを嵌め込んで中間位置までスライド移動していたのでは作業性が劣り、キャリアプレートをガイドレールの中間部分に直接嵌められる、つまり、キャリアプレートをガイドレールのスライド方向から垂直な方向から嵌められることが好ましいのであるが、嵌め込み易くすることができるようにすると、容易に抜けやすくもなるのが通常である。
本発明の課題は、取付構造において、摺動体をガイドレールの中間部分に直接嵌めることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係る取付構造は、ガイドレールと摺動体とを有している。
ガイドレールは、長さを有するガイドレール本体と、ガイドレールの幅方向の端部に延在し、ガイドレールの長さ方向に沿って設けられた第一屈曲部と、第一屈曲部の反対側の端部に設けられた第二屈曲部とを有している。
第一屈曲部は、長さ方向に沿って設けられ、ガイドレール本体から第一屈曲角で屈曲してガイドレール本体から立ち上がる第一ガイド部と、長さ方向に沿って設けられ、第一屈曲角と反対側の第一ガイド部の端部において第二屈曲角で屈曲して第一ガイド部から立ち上がる保持部とを有している。
第二屈曲部は、長さ方向に沿って設けられ、ガイドレール本体から屈曲してガイドレール本体から立ち上がる第二ガイド部を有している。
摺動体は、本体と、本体に設けられ、第一ガイド部に摺動する被ガイド部と、ガイドレールの幅方向に、被ガイド部の外側から被ガイド部に向かって突出する保持爪と、第二ガイド部が収容されるガイド溝とを有している。
保持爪は、被ガイド部側の端面と、本体側に面する内側面と、端面と内側面とが交わる角に面取りされた傾斜面とを有している。
被ガイド部における第一ガイド部に接する壁部と傾斜面との間には、第一ガイド部が挿通可能な間隙を有している。
保持爪は、間隙に保持部を挿入して第一屈曲部を被ガイド部と接触させた状態で、第一屈曲部と被ガイド部の接触部分を中心にガイドレールを回転させることにより、撓むことが可能な弾性を有している。
保持爪が弾性変形することにより、第一屈曲部が保持爪と壁部との間に入り込んだ保持状態にされるとともに、第二ガイド部がガイド溝に入り込む。
保持状態においては、第一屈曲角が端面に当接し、第二屈曲角が壁部に当接することにより、ガイドレールが、第二ガイド部がガイド溝から抜け出るような摺動体との相対回転が抑制されている。
【0008】
取り付け動作において、間隙に保持部を挿入して第一屈曲部を被ガイド部と接触させた状態で、第一屈曲部と被ガイド部の接触部分を中心にガイドレールを回転させることにより、保持爪が撓む。したがって、摺動部材の保持爪の内側面が、ガイドレールの保持部に近接して配置できる。以上より、摺動体をガイドレールの中間部分に直接嵌めることができる。
保持状態において、摺動部材の保持爪の内側面が、ガイドレールの保持部に近接して配置されている。したがって、摺動体がガイドレールに保持された状態で摺動可能になっている。
保持状態において、第一屈曲角が端面に当接し、第二屈曲角が壁部に当接することにより、ガイドレールが、第二ガイド部がガイド溝から抜け出るような摺動体との相対回転が抑制されている。したがって、摺動体をガイドレールの中間部分に嵌めた取付構造において、摺動体がガイドレールから脱落しにくい。
【0009】
取付構造は、車両の窓に固定される摺動体としてのキャリアプレートと、窓の移動方向に延びるガイドレールとを有するウインドレギュレータに用いられる構造であってもよい。
この場合、ウインドレギュレータにおいて、キャリアプレートをガイドレールの中間部分に嵌めることができ、さらにキャリアプレートがガイドレールから脱落しにくい。
【0010】
被ガイド部は、保持爪に面する角が面取りされた面取り部を有していてもよい。
この場合、保持部を間隙に挿入する際に、面取り部によって保持部が間隙に案内され、したがって保持部が間隙になめらかに挿入される。
【0011】
保持部を間隙に挿入して、保持爪を被ガイド部の角部分と接触させた状態で、ガイドレールを回転させることによって、保持部によって保持爪を撓ませると、保持部を保持爪の内側面に対向する位置に移動できる。
この場合、ガイドレールの回転によって保持爪を撓ませた状態で、ガイドレールを回転・移動させることで、保持部を保持爪の内側面に対向する位置に移動できる。このようにガイドレールの一連の動作によって保持状態が得られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一見地に係る取付構造では、摺動体をガイドレールの中間部分に直接嵌めることができ、さらに摺動体がガイドレールから脱落しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の1実施形態であるウインドレギュレータの正面図。
図2図1のキャリアプレート及びガイドレールの正面図。
図3図2のIII−III断面図。
図4図3の部分拡大図。
図5】ガイドレールにキャリアプレートを取り付ける動作を説明するための断面図。
図6】ガイドレールにキャリアプレートを取り付ける動作を説明するための模式図。
図7】ガイドレールにキャリアプレートを取り付ける動作を説明するための模式図。
図8】ガイドレールにキャリアプレートを取り付ける動作を説明するための模式図。
図9】ガイドレールにキャリアプレートを取り付ける動作を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)ウインドレギュレータ
図1を用いて、本発明に係るウインドレギュレータの一実施形態を以下に説明する。図1は、ウインドレギュレータの一実施形態を示す正面図である。
ウインドレギュレータ30は、車両のドアパネル(図示せず)に昇降可能に支持される窓ガラス20を昇降移動させる機構である。ウインドレギュレータ30は、ガイドレール31と、キャリアプレート32と、上昇用ケーブル33と、下降用ケーブル34と、駆動部35とを備えている。
【0015】
ガイドレール31は、窓ガラス20の昇降方向に沿って設けられ、キャリアプレート32を窓ガラス20の昇降方向に案内する部材である。ガイドレール31の構造は後に詳細に説明する。
キャリアプレート32は、窓ガラス20の下端部を保持するとともに、ガイドレール31に係合して窓ガラス20の昇降方向に摺動案内される部材である。キャリアプレート32の構造は後に詳細に説明する。
【0016】
図1に示すように、ガイドレール31の上端部には、上昇用ケーブル33の移動方向を転換するための方向転換部材としての上部ケーブルガイド45が設けられている。
上部ケーブルガイド45は、上昇用ケーブル33の移動方向を転換するものであればよく、例えば、ガイドレール31又はガイドレール31の上端部に取り付けられる上部ブラケットに回転自在に支持されたプーリを用いることも可能である。
【0017】
図1に示すように、ガイドレール31の下端には、上昇用ケーブル33及び下降用ケーブル34の巻き取り及び繰り出しを行うための駆動部35が設けられている。
駆動部35は、ドラムハウジング42と、ドラム43と、駆動モータ44とを有している。
ドラムハウジング42は、ガイドレール31の下端部に取り付けられ、上部ブラケット(図示せず)とともに、車両のドアパネル(図示せず)にガイドレール31を固定する。
【0018】
ドラム43は、ドラムハウジング42に回転自在に支持されており、上昇用ケーブル33及び下降用ケーブル34の他端が連結されて、回転することにより上昇用ケーブル33及び下降用ケーブル34の巻き取り及び繰り出しを行う。
駆動モータ44は、ドラムハウジング42に一体的に取り付けられ、ドラム43を正逆両方向に回転駆動する。
【0019】
上昇用ケーブル33及び下降用ケーブル34は、キャリアプレート32を上下方向に牽引するものであり、複数の金属素線または樹脂繊維素線を寄り合わせた公知のものを用いることができる。
上昇用ケーブル33は、一端がキャリアプレート32に連結され、上部ケーブルガイド45に掛け回されて、他端が駆動部35のドラム43に連結されている。
また、下降用ケーブル34は、一端がキャリアプレート32に連結され、他端が駆動部35のドラム43に連結されている。
【0020】
(2)ガイドレール
図2は、キャリアプレート及びガイドレールについてのガイドレール中間付近の拡大正面図であり、図3図2のIII−III断面図である。図2において、図上下方向が長さ方向であり、図左右方向が幅方向であり、図紙面直交方向が面方向である。図3において、図紙面直交方向が長さ方向であり、図左右方向が幅方向であり、図上下方向が面方向である。
ガイドレール31は、例えば、ステンレススチール、アルミニウム合金、その他の硬質の材料で構成することも可能である。
ガイドレール31は、ガイドレール本体37と、第一屈曲部38と、第二屈曲部39とを有している。
【0021】
ガイドレール本体37は、図1に示すように、長さを有するものであり、ガイドレール31の基体である。実施形態では、図1に示すように、ガイドレール本体37は、車両上下方向(長さ方向)に延びている。
第一屈曲部38は、図2及び図3に示すように、ガイドレール31の幅方向の端部に延在しており、つまり、少なくとも端部近傍において幅方向に延びている。また、第一屈曲部38は、ガイドレール31の長さ方向に沿って設けられている。この実施形態では、第一屈曲部38は、ガイドレール本体37の上端から下端にわたって延びている。ただし、第一屈曲部38は、ガイドレール本体37に沿って設けられているものであり、少なくともキャリアプレート32が摺動可能な長さがあればよく、例えば、上端及び/又は下端は欠落している構造であってもよい。
【0022】
第二屈曲部39は、図2及び図3に示すように、第一屈曲部38の反対側の端部に設けられ、ガイドレール本体37を挟んで第一屈曲部の幅方向の反対側となっている。第二屈曲部39は、第一屈曲部38側を一端として、ガイドレール31の他端部に設けられており、少なくとも他端部近傍に設けられていればよい。第二屈曲部39も、ガイドレール31の長さ方向に沿って設けられている。この実施形態では、第二屈曲部39は、ガイドレール本体37の上端から下端にわたって伸びている。ただし、第二屈曲部39は、ガイドレール本体37に沿って設けられているものであり、少なくともキャリアプレート32が摺動可能な長さがあればよく、例えば、上端及び/又は下端は欠落している構造であってもよい。
【0023】
第一屈曲部38は、第一ガイド部53と、保持部57とを有している。第一屈曲部38は、実施形態ではS字状に折り曲げられており、ガイドレール本体37から少なくとも2段階で異なる方向に折り曲げていればよく、例えばZ字状であってもよい。
第一ガイド部53は、長さ方向に沿って設けられ、ガイドレール本体37から第一屈曲角51で屈曲してガイドレール本体37から立ち上がり、略L字状となっている。第一ガイド部53は、ガイドレール31とキャリアプレート32の幅方向の移動を規制しつつ、両者の長さ方向への移動を許容するものであり、少なくとも幅方向移動を規制する摺動部分を有していればよい。第一屈曲角51とは、第一ガイド部53とガイドレール本体37とによる角の頂点及びその周辺部分を含む部分である。なお、第一屈曲角51は、この実施形態ではほぼ直角であるが、角度は特に限定されない。また、第一屈曲角51では、角は丸みを帯びているが、その形状は特に限定されない。
【0024】
保持部57は、長さ方向に沿って設けられ、第一屈曲角51と反対側の第一ガイド部53の端部で第二屈曲角55で屈曲して第一ガイド部53から立ち上がる。第一ガイド部53は、横断面において、一端に第一屈曲角51を有し、他端に第二屈曲角55を有する。保持部57は、横断面において、第二屈曲角55を挟んで第一ガイド部53の反対側に設けられ、また第一ガイド部53とで略L字状に形成されている。保持部57は、ガイドレール31とキャリアプレート32とが互いに離れないように保持状態を維持するものであり、少なくとも後述する保持爪75に保持されるものである。保持部57は、この実施形態ではガイドレール本体37と平行に延び、また幅方向外側に延びている。第二屈曲角55とは、第一ガイド部53と保持部57とによる角の頂点及びその周辺部分を含む部分である。なお、第二屈曲角55は、この実施形態では略直角であるが、角度は特に限定されない。また、第二屈曲角55では、角は丸みを帯びているが、その形状は特に限定されない。
【0025】
第二屈曲部39は、第二ガイド部59を有している。第二ガイド部59は、長さ方向に沿って設けられ、ガイドレール本体37から屈曲してガイドレール本体37に対して垂直方向に立ち上がる。第二ガイド部59は、実施形態ではガイドレール本体37とでL字形状に形成され、曲げられることで後述するガイド溝77に収容され、その状態でキャリアプレート32を長さ方向にガイドするものである。第二ガイド部59は、ガイドレール31とキャリアプレート32の幅方向の移動を規制しつつ、両者の長さ方向への移動を許容するものであり、少なくとも幅方向移動を規制する摺動部分を有していればよく、例えば二重折り曲げ構造であってもよい。また、第二ガイド部59はガイドレール本体37に対して垂直以外の状態で立ち上がっていてもよい。なお、この実施形態では、第二ガイド部59は第一ガイド部53より長いが、短くてもよいし同じ長さでもよい。
ガイドレール本体37と第一ガイド部53と第二ガイド部59とにより、凹部としての凹部61が形成されている。
【0026】
(3)キャリアプレート
摺動体としてのキャリアプレート32は、本体71と、被ガイド部73と、保持爪75と、ガイド溝77とを有している。本体71は、基体であり、少なくとも被ガイド部73及び保持爪75が設けられる部分であればよい。
被ガイド部としての被ガイド部73は、本体71のガイドレール31側に設けられ、ガイドレール31の第一ガイド部53によって長さ方向にガイドされるようになっており、少なくとも第一ガイド部53によってガイドされることで本体71の幅方向移動が規制されている。本体71と被ガイド部73は、例えば、合成樹脂材料などの一体成形により形成される。
【0027】
保持爪としての保持爪75は、ガイドレール31の幅方向に、被ガイド部73の外側から被ガイド部73に向かって突出する。
ガイド溝としてのガイド溝77には、第二ガイド部59が収容される。ガイド溝77は、断面において図上下方向に延びる細長い形状であり、キャリアプレート32の図1上下方向に貫通して伸びている。ガイド溝77は、ガイドレール31の第二ガイド部59によって長さ方向にガイドされるようになっており、少なくとも第二ガイド部59によってガイドされることで本体71の幅方向(図左右方向)の移動が規制されている。
【0028】
図4を用いて、保持爪75を説明する。図4は、図3の部分拡大図である。
保持爪75は、端面79と、内側面81と、傾斜面83とを有している。
端面としての端面79は、幅方向において被ガイド部73に面する側にある。つまり、端面79は、被ガイド部73に対する接近・離反方向において被ガイド部73に面する側にあり、ガイドレール本体37に面する側の端面である。
内側面としての内側面81は、本体71側に面する。内側面81は、キャリアプレート32に対するガイドレールの本体71が存在する側を外側として、内側に面するように設けられ、本体71と面方向に所定の距離だけ離れており、両者の間には空間が確保されている。
傾斜面としての傾斜面83は、端面79と内側面81とが交わる角に面取りされてなる。傾斜面83は端面79と内側面81とに対して鈍角となるように設けられているが、少なくとも端面79に対して斜めの面であればよく、例えば平面、曲面であってもよい。
【0029】
被ガイド部73は、保持爪75側に、壁部85を有している。壁部85は、この実施形態では、図4の断面において第一ガイド部53に面する方向に延びる壁である。壁部85には、後述するように、第一ガイド部53が接すればよいので、例えば面であってもよいし、線又は点で第一ガイド部53と接触するように形成されてもよい。
壁部85と傾斜面83との間には、保持部57が挿通可能な間隙87が形成されている。間隙87は、少なくとも保持爪75と壁部85の角部との間で保持部57が挿入可能な空間であればよい。より詳細には、例えば図6に示すように、間隙87においては、傾斜面83と、被ガイド部73に接しておりかつ傾斜面83に平行な仮想線Lとの距離S1が、保持部57の厚みと同じ程度であって、保持部57が挿入可能であればよい。
なお、この実施形態では、被ガイド部73の壁部85側の角部は、ガイドレール本体37と壁部85とが交わる部位であり、面取りされた面取り部89となっている。ただし、角部が、傾斜面83と略平行な斜面となって間隙87を形成してもよく、面取りされていない構成であってもよい。
【0030】
(4)取付構造
ガイドレールと摺動体との取付構造について説明する。取付構造であるウインドレギュレータのガイドレールとキャリアプレートは、ガイドレールに摺動体をガイドレール本体の長さ方向に亘って設けられた面の面方向から取り付けるものであって、ガイドレールと摺動体とがあればよい。本発明の取付構造は、例えば、各種ドアに適用できる。また、本発明の取付構造は、ワイヤー又は駆動部を有さない摺動構造にも適用できる。
保持爪75は、間隙87に保持部57を挿入して第一屈曲部38を被ガイド部73と接触させた状態で、第一屈曲部38と被ガイド部73の接触部分を中心にガイドレール31を回転させることにより、撓むことが可能な弾性を有している。ガイドレール31の回転は、第一屈曲部38によって間隙87の幅が拡大するように保持爪75が撓むように回転すればよく、接触部分において長さ方向に伸びる軸中心の回転である。
【0031】
実施形態では、被ガイド部73に接触するのは第一屈曲部38の保持部57であるが、第一屈曲部38の他の部分であってもよい。実施形態では、第一屈曲部38に接触するのは被ガイド部73の面取り部89の面である(図5(b)、図6)が、他の部分であってもよいし、面ではなく線又は点で接触するように第一屈曲部38と保持部57とが構成されてもよい。実施形態では、ガイドレール31が回転して保持爪75を撓ませるときに、保持部57が、被ガイド部73と保持爪75との間に入って、傾斜面83及び内側面81に当接しながら、保持爪75を開かせる。
【0032】
そして、保持爪75が弾性変形することにより、第一屈曲部38が、保持部57が間隙87に入り込んだ状態から、保持爪75と壁部85との間に更に入り込むことが可能となる。そして、キャリアプレート32が更に回転することにより、更に入り込んだ状態となって第一屈曲部38が保持爪75の内側の空間に収容されて、キャリアプレートに対する保持状態とされるとともに、第二ガイド部59がガイド溝77に入り込む。保持爪75が弾性変形するとは、保持爪75が広がった状態に変形し、そこから元に戻ったことを意味する。一旦広がった保持爪75が元の状態に戻ることにより、保持爪75と壁部85との間に入り込んだ保持部57が保持状態となる。保持状態とは、第一屈曲部38が保持爪75と壁部85との間から脱けないようになることを意味する。以上より、取り付け動作において、間隙87に保持部57を挿入して第一屈曲部38を被ガイド部73と接触させた状態で、第一屈曲部38と被ガイド部73の接触部分を中心にガイドレール31を回転させることにより、保持爪75が撓む。なお、第一屈曲部38が保持爪75と壁部85との間に入り込んだ保持状態にされるタイミングと、第二ガイド部59がガイド溝77に入り込むタイミングは、同時であってもよいし、前後してもよい。
【0033】
以上より、図4に示すように、キャリアプレート32の保持爪75の内側面81が、ガイドレール31の保持部57に近接して配置するようにできる。以上より、キャリアプレート32をガイドレール31の中間部分において面方向から直接嵌めることができる。
【0034】
図4の保持状態において、保持爪75の内側面81が、ガイドレール31の保持部57に近接して配置されている。したがって、キャリアプレート32が、ガイドレール31に保持された状態で摺動可能になっている。
保持状態においては、第一屈曲角51が端面79に当接し、第二屈曲角55が壁部85に当接することにより、ガイドレール31が、第二ガイド部59がガイド溝77から抜け出るようなキャリアプレート32との相対回転が抑制されている。したがって、キャリアプレート32をガイドレール31の中間部分に嵌めた取付構造において、キャリアプレート32がガイドレール31から脱落しにくい。ここでの相対回転とは、長さ方向に伸びる軸中心の回転の意味である。なお、前述の通りガイドレール31とキャリアプレート32との相対回転が抑制されていればよいので、第一屈曲角51と端面79の当接と、第二屈曲角55と壁部85との当接は同時に生じていなくてもよい。また、相対回転の抑制とは、第二ガイド部59がガイド溝77から抜け出ることが生じない程度の抑制であればよい。
【0035】
(5)取付動作
図5を用いて、キャリアプレート32をガイドレール31の中間部分に嵌める動作を説明する。図5は、ガイドレールにキャリアプレートを取り付ける動作を説明するための断面図である。
【0036】
図5(a)に示すように、ガイドレール31の第一屈曲部38を間隙87に差し込むように配置する。このときに、保持部57は、傾斜面83(図4)によって案内されることで、図5(b)に示すように、間隙87内にスムーズに移動する。
このように保持部57を被ガイド部73と接触させた状態で、ガイドレール31を保持部57と被ガイド部73の接触部分を中心に回転させる(矢印Aを参照)。すると、保持爪75が、被ガイド部73から離れる方向に撓む(矢印Bを参照)。
【0037】
さらに、図5(c)に示すように、ガイドレール31を回転させながら移動することで(矢印Cを参照)、保持部57を保持爪75の内側に移動させるとともに、第二ガイド部59をガイド溝77に入れる。
その結果、図5(d)に示すように、取付が完了する。この状態では、保持部57が、保持爪75の内側に配置されている。また、図4に示すように、第一ガイド部53が、被ガイド部73の壁部85と保持爪75の端面79との間に配置されている。さらに、第二屈曲部39が、ガイド溝77内に入り込んでいる。
【0038】
図5(e)に示すように、この状態からガイドレール31を回転させることで(矢印Dを参照)第二屈曲部39をガイド溝77から脱け出させようとしても、図4に示すように、第一屈曲角51が端面79に当接し、第二屈曲角55が壁部85に当接することにより、ガイドレール31がキャリアプレート32に対して回転することが抑制されている。したがって、キャリアプレート32をガイドレール31の中間部分に嵌めた取付構造において、キャリアプレート32がガイドレール31から脱落しにくい。
【0039】
上記の説明に加えて、キャリアプレート32をガイドレール31の中間部分に嵌める動作を模式的に説明する。図6図9は、ガイドレールにキャリアプレートを取り付ける動作を説明するための模式図である。
【0040】
図6に示すように、ガイドレール31の第一屈曲部38を間隙87に差し込むように配置する。このときに、保持部57は、傾斜面83によって案内されることで、図6に示すように、間隙87内にスムーズに移動する。
このように保持部57を被ガイド部73と接触させた状態で、図7に示すように、ガイドレール31を保持部57と被ガイド部73の接触部分を中心に回転させる(矢印Aを参照)。すると、保持爪75が、被ガイド部73から離れる方向に撓む(矢印Bを参照)。
【0041】
図7に示すように、保持部57は、保持部57を保持爪75の内側面81側に移動可能になるまで保持爪75を移動させた状態で、根元側部分が被ガイド部73を支点として、先端側部分が保持爪75の内側面81に荷重を付与している。以上より、保持部57は、図6の状態において保持爪75に荷重を確実に付与できる長さを有している必要がある。
【0042】
さらに、図8に示すように、ガイドレール31を回転させながら移動することで(矢印Cを参照)、保持部57を保持爪75の内側面81側に移動させるとともに、第二屈曲部39をガイド溝77に入れる。
その結果、図9に示すように、取付が完了する。この状態では、保持部57が、保持爪75の内側に配置されている。また、第一ガイド部53が、被ガイド部73の壁部85と保持爪75の端面79との間に配置されている。さらに、第二屈曲部39が、ガイド溝77内に入り込んでいる。なお、壁部85と端面79との間の隙間S2は、第一ガイド部53の厚みと同じか又はわずかに大きい。また、ガイド溝77の溝幅S3は、第二屈曲部39の厚みと同じか又はわずかに大きい。
【0043】
図9に示すように、この状態からガイドレール31を回転させることで(矢印Dを参照)第二屈曲部39をガイド溝77から脱け出させようとしても、第一屈曲角51が端面79に当接し、第二屈曲角55が壁部85に当接することにより、ガイドレール31がキャリアプレート32に対して回転することが抑制されている。したがって、キャリアプレート32をガイドレール31の中間部分に嵌めた取付構造において、キャリアプレート32がガイドレール31から脱落しにくい。
より具体的には、上述の効果を有するためには、第一ガイド部53が所定長さ以上を有しており、かつ、保持爪75が第一屈曲角51を支持する厚みを有していること(端面79の下部が第一屈曲角51に対応する位置又はその近傍まで伸びていること)が好ましい。
【0044】
(6)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、自動車の窓ガラスを昇降駆動するためのウインドレギュレータに適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
20 :窓ガラス
30 :ウインドレギュレータ
31 :ガイドレール
32 :キャリアプレート
33 :上昇用ケーブル
34 :下降用ケーブル
35 :駆動部
37 :ガイドレール本体
38 :第一屈曲部
39 :第二屈曲部
42 :ドラムハウジング
43 :ドラム
44 :駆動モータ
45 :上部ケーブルガイド
51 :第一屈曲角
53 :第一ガイド部
55 :第二屈曲角
57 :保持部
59 :第二ガイド部
61 :凹部
71 :本体
73 :被ガイド部
75 :保持爪
77 :ガイド溝
79 :端面
81 :内側面
83 :傾斜面
85 :壁部
87 :間隙
89 :面取り部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9