(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、車両用ドアロック装置の一実施形態について説明する。なお、以下では、車両の前後方向を「前後方向」といい、車両の高さ方向上方及び下方をそれぞれ「上方」及び「下方」という。
【0015】
図1に示すように、車両のボデーの側部に適宜の支持部材(図示略)を介して支持されるドアとしてのスライドドア10は、前後方向への移動に伴ってボデーに形成された乗降用の開口を開閉する。このスライドドア10内には、ボデー側と係合することでスライドドア10を全閉状態で保持する全閉ドアロック装置11及びスライドドア10を全閉状態又は半ドア状態(閉止状態)で保持するクローザ・リリース装置12が設置されるとともに、ボデー側と係合することでスライドドア10を全開状態で保持する全開ドアロック装置13が設置されている。
【0016】
クローザ・リリース装置12は、半ドア状態にあるスライドドア10を電動で全閉状態まで閉作動させる。また、クローザ・リリース装置12は、リリースケーブルC1を介してスライドドア10内に設置された周知のリモコン(リモートコントローラ)14に機械的に連係されるとともに、該リモコン14にオープンケーブルC2を介して機械的に連係されている。クローザ・リリース装置12は、その電動による解除操作力がリリースケーブルC1、リモコン14及びオープンケーブルC2を介して伝達されることで、スライドドア10の全閉状態での保持を解除する。
【0017】
なお、リモコン14は、スライドドア10の外面又は内面に露出する操作ハンドル15に接続されており、クローザ・リリース装置12は、操作ハンドル15の手動による解除操作力がオープンケーブルC2を介して伝達されることで、同様にスライドドア10の全閉状態での保持を解除する。
【0018】
また、リモコン14は、オープンケーブルC3,C4を介して全閉ドアロック装置11及び全開ドアロック装置13にそれぞれ機械的に連係されており、クローザ・リリース装置12の電動による解除操作力又は操作ハンドル15の手動による解除操作力を全閉ドアロック装置11及び全開ドアロック装置13に伝達する。このとき、全閉ドアロック装置11がスライドドア10の全閉状態での保持を解除し、あるいは全開ドアロック装置13がスライドドア10の全開状態での保持を解除する。
【0019】
図2に示すように、クローザ・リリース装置12は、スライドドア10の後端面に沿って広がってこれに締結される、例えば金属板からなるベースプレート21を有するとともに、該ベースプレート21に設置されたラッチ機構22を有する。このラッチ機構22は、ベースプレート21に軸支された互いに平行な一対の回転軸23,24にそれぞれ一体回動するように連結されたラッチ25及びポール26を有する。
【0020】
ラッチ25には、略U字状の係合凹部25aが形成されている。そして、ラッチ25は、係合凹部25aを挟んでその一側及び他側(
図2において反時計回転方向及び時計回転方向の側)にそれぞれ第1爪部25b及び第2爪部25cを形成する。また、ラッチ25は、第1爪部25bの長手方向中間部から突出する第3爪部25dを形成する。周方向において、第1爪部25bの先端部の第2爪部25cに対向する端面及び第3爪部25dの第1爪部25bに対向する端面は、フルラッチ係合面25e及びハーフラッチ係合面25fをそれぞれ形成する。このラッチ25は、ベースプレート21に一端の掛止されたラッチ付勢ばね(図示略)の他端が掛止されることで図示時計回転方向に回動する側に付勢されるとともに、該ベースプレート21に設置されたラッチストッパ(図示略)に当接することで当該方向への回動が規制され、所定の初期回動位置(以下、「アンラッチ位置」という)に保持される。なお、ラッチ25は、回転軸23を挟んで第3爪部25dの反対側にアーム状の被押圧突片25gを突出する。
【0021】
一方、ポール26は、回転軸24からその径方向一側(
図2の左側)に延出する略鉤爪状の係合端部26aを形成する。このポール26は、ポール付勢ばね(図示略)により図示反時計回転方向に回動する側、即ち係合端部26aを図示下側に移動させる側に付勢され、所定の初期回動位置に保持される。
【0022】
ここで、ラッチ機構22の基本的な動作について説明する。
スライドドア10が開放されている状態では、アンラッチ位置に保持されるラッチ25は、ボデーに固着されたストライカ29に係合凹部25aを対向させる。つまり、係合凹部25aは、スライドドア10の閉作動に伴うストライカ29の進入経路を開放している。また、所定の初期回動位置に保持されるポール26は、係合端部26aを第3爪部25dの上方に配置する。なお、このときのラッチ機構22の状態をアンラッチ状態(解除状態)という。
【0023】
次に、スライドドア10の閉作動に伴い、係合凹部25a内にストライカ29が進入したとする。この際、ストライカ29により係合凹部25aの内壁面が押圧されることで、ラッチ25は、ラッチ付勢ばねに抗して図示反時計回転方向に回動し、ハーフラッチ係合面25fに係合端部26aが係止されることで回り止めされる。このとき、スライドドア10は、係合凹部25aにおいてストライカ29と係合してこれを抜け止めする半ドア状態にある。このときのラッチ機構22の状態をハーフラッチ状態といい、ラッチ25の回動位置をハーフラッチ位置という。
【0024】
続いて、スライドドア10の更なる閉作動に伴い、係合凹部25a内にストライカ29が更に進入したとする。この際、ストライカ29により係合凹部25aの内壁面が押圧されることで、ラッチ25は、ラッチ付勢ばねに抗して図示反時計回転方向に更に回動し、
図2に示すように、フルラッチ係合面25eに係合端部26aが係止されることで回り止めされる。このとき、スライドドア10は、係合凹部25aにおいてストライカ29と係合してこれを抜け止めする全閉状態にある。このときのラッチ機構22の状態をフルラッチ状態(係合状態)といい、ラッチ25の回動位置をフルラッチ位置という。
【0025】
また、ハーフラッチ状態又はフルラッチ状態において、ポール26がポール付勢ばねに抗して図示時計回転方向に回動すると、係合端部26aによるハーフラッチ係合面25f又はフルラッチ係合面25eの係止が解除される。このとき、ラッチ25は、例えばシール部材の反発力などでスライドドア10が開作動し始めることに伴い、係合凹部25a内から退出するストライカ29により係合凹部25aの内壁面が押圧されることで、図示時計回転方向に回動する。そして、スライドドア10は、係合凹部25aにおけるストライカ29との係合を解除して開放可能となる。
【0026】
なお、
図3に示すように、クローザ・リリース装置12は、例えばロータリスイッチからなるラッチスイッチ80を有する。このラッチスイッチ80は、ラッチ25の回動位置(アンラッチ位置等)を検出するためのものである。また、クローザ・リリース装置12は、回転軸24に一体回動するように連結されたポール駆動レバー27を有する。ポール駆動レバー27の先端部は、上方に向かって凸になるように湾曲されて被押圧部27aを形成する。なお、被押圧部27aが下方に移動するポール駆動レバー27の回動方向は、前述のラッチ25との係合状態を解除するポール26の回動方向に一致している。
【0027】
ベースプレート21には、車両の前方に向かって広がる、例えば金属板からなるベースプレート30が締結されている。ベースプレート30は、ベースプレート21とは別にスライドドア10に締結されている。このベースプレート30の前方下部には、図示しないECU(電子制御装置)により駆動制御されるアクチュエータ31が設置されている。このアクチュエータ31は、電動モータ32と、該電動モータ32の回転軸の回転を減速する減速機構33とを有する。なお、減速機構33の出力軸には、ピニオン33aが固着されている。
【0028】
また、ベースプレート30には、ピニオン33aの斜め後上方で該ピニオン33aの軸心と略平行に中心線の延びる第1支持軸としての略円柱状の第1支持ピン34が固着されるとともに、該第1支持ピン34には、例えば金属板からなる第1回転体としてのアクティブレバー35が軸支されている。すなわち、アクティブレバー35は、第1支持ピン34が貫通してこれに軸支される略円形の支持部36を有する。また、アクティブレバー35は、第1支持ピン34を中心とする径方向において支持部36の外側に配置される略円弧状の連結部37を有するとともに、該連結部37の第1支持ピン34を中心とする周方向一側(図示時計回転方向の側)の端部及び支持部36同士を第1支持ピン34を中心とする径方向に接続する接続部38を有する。そして、アクティブレバー35は、支持部36の外周部、連結部37の内周部及び接続部38の側壁により、第1支持ピン34を中心とする周方向他側(図示反時計回転方向の側)に開口する凹部としての略扇状の溝部35aを形成する。
【0029】
連結部37の外周部には、複数の外歯からなるギヤ部37aが形成されており、該ギヤ部37aにおいてアクチュエータ31のピニオン33aに噛合する。従って、アクティブレバー35は、ピニオン33aが回転することでその回転方向に応じた方向に第1支持ピン34の周りを回動する。ギヤ部37aの周方向中間部でピニオン33aに噛合する
図3に示すアクティブレバー35の回動位置を「中立位置」という。
【0030】
なお、連結部37の接続部38側寄りの内周部には、複数の内歯からなる第1係合部及び内歯車としての内歯車部37bが形成されている。また、連結部37の内周部には、基本的に内歯車部37b(内歯)の歯元円の径と同等の内径を有して内歯車部37bから第1支持ピン34を中心とする周方向他側(図示反時計回転方向の側)に延びる解放部37cが形成されている。さらに、アクティブレバー35は、支持部36から第1支持ピン34を中心とする斜め後下方の径方向に延出片39を延出する。この延出片39の第1支持ピン34から離間する先端部は、前方に転向して接続部38の近傍で連結部37に接続されている。
【0031】
ベースプレート30には、アクティブレバー35の溝部35a内で第1支持ピン34の中心線と略平行に中心線の延びる第2支持軸としての略段付き円柱状の第2支持ピン40が固着されるとともに、該第2支持ピン40には、例えば金属板からなる第2回転体としてのリリースレバー41が軸支されている。すなわち、リリースレバー41は、第2支持ピン40が貫通してこれに軸支される略円形のレバー支持部42を有する。このレバー支持部42も、アクティブレバー35の溝部35a内に位置している。レバー支持部42の外周部には、
図3における斜め前下方の角度位置で複数の外歯からなる第2係合部及び外歯車としてのギヤ部42aが形成されており、該ギヤ部42aにおいてアクティブレバー35の内歯車部37bに噛合可能となっている。これら内歯車部37b及びギヤ部42aが板厚の範囲で少なくとも一部が重なっていることはいうまでもない。
【0032】
また、リリースレバー41は、レバー支持部42から第2支持ピン40を中心とする斜め後上方の径方向に略弓形のレバー突片43を延出する。なお、リリースレバー41には、レバー支持部42及びレバー突片43の境界部に略円弧状の段差41aが設定されている。レバー突片43は、段差41aを介することでレバー支持部42に対しアクティブレバー35の板厚分だけ紙面に直交する手前側にずれており、その長手方向中間部において連結部37と干渉することなくこれを乗り越える。
【0033】
リリースレバー41は、ベースプレート30に一端の掛止された、例えばコイルスプリングからなる付勢部材90の他端が掛止されることで図示時計回転方向に回動する側に付勢されるとともに、ベースプレート30に形成されたストッパ片30aに当接することで当該方向への回動が規制される。このとき、リリースレバー41は、所定の初期回動位置に保持される。
【0034】
図4に併せ示すように、リリースレバー41が初期回動位置にあるとき、該リリースレバー41は、中立位置にあるアクティブレバー35の内歯車部37bの図示反時計回転方向の側に先行してギヤ部42aを配置している。そして、
図5への変化で示すように、アクティブレバー35が図示反時計回転方向に回動すると、所定の空走区間を経てギヤ部42aに内歯車部37bが噛合する。これにより、アクティブレバー35の図示反時計回転方向への回動に伴って、リリースレバー41が付勢部材90の付勢力に抗して図示反時計回転方向に回動し始める。なお、レバー支持部42は、基本的にギヤ部42a(外歯)の歯先円の径と同等の外径を有するものの、連結部37には解放部37cが形成されていることでこれと干渉することはない。
【0035】
ここで、第2支持ピン40について説明する。
図6に示すように、ベースプレート30には、第2支持ピン40と同心の略円形の取付孔30bが形成されるとともに、リリースレバー41には、取付孔30bの内径よりも大きい内径を有してこれと同心の略円形の支持孔41bが形成されている。一方、第2支持ピン40は、取付孔30bの内径と同等の外径を有して該取付孔30bに圧入・固着される略円柱状の取付部40aを有するとともに、支持孔41bの内径と同等の外径を有して該支持孔41bに回動自在に挿入される略円柱状の支持軸部40bを有する。また、第2支持ピン40は、取付孔30bを貫通する取付部40aの先端に接続される略円錐台状の抜け止め部40cを有するとともに、支持孔41bを貫通する支持軸部40bの先端に接続される該支持軸部40bよりも拡径された略円盤状の抜け止め部40dを有する。さらに、第2支持ピン40は、抜け止め部40dに接続される該抜け止め部40dよりも拡径された略円盤状のフランジ40eを有する。
【0036】
従って、リリースレバー41は、支持孔41bの周縁部がベースプレート30及び抜け止め部40dにより挟まれた状態で軸線方向に抜け止めされる。また、フランジ40eの外径は、少なくとも内歯車部37bの歯先にフランジ40eの径方向で重なるように設定されており、噛合状態にあるギヤ部42a及び内歯車部37bの噛合位置(係合状態にある第1係合部及び第2係合部の係合位置)をベースプレート30と協働してそれらの板厚方向に挟み込む。
【0037】
図3に示すように、リリースレバー41(レバー突片43)の先端には、リリースケーブルC1の端末が掛止されており、リリースレバー41が初期回動位置から回動することでリリースケーブルC1をクローザ・リリース装置12側に引っ張るように構成されている。つまり、クローザ・リリース装置12の電動による解除操作力は、リリースレバー41が初期回動位置から回動することで発生する。
【0038】
ベースプレート30には、第1支持ピン34の上方でその中心線と略平行に中心線の延びる略円柱状の支持ピン45が固着されるとともに、該支持ピン45には、例えば金属板からなるオープンレバー46が軸支されている。このオープンレバー46は、支持ピン45を中心とする上方の径方向に略弓形の第1レバー突片47を延出するとともに、支持ピン45を中心とする下方の径方向にアーム状の第2レバー突片48を延出する。そして、第1レバー突片47の先端は、ポール駆動レバー27の被押圧部27aの上方で下方に向かって凸になるように湾曲されて押圧部47aを形成する。
【0039】
オープンレバー46は、第2レバー突片48の先端においてオープンケーブルC2の端末が掛止されている。従って、オープンケーブルC2がリモコン14側に引っ張られると、オープンレバー46は、支持ピン45を中心に図示反時計回転方向に回動する。このとき、オープンレバー46は、押圧部47aにおいてポール駆動レバー27の被押圧部27aを下方に押圧することで、該被押圧部27aが下方に移動するようにポール駆動レバー27が回動する。これにより、ポール駆動レバー27と一体回動するポール26がラッチ25との係合状態を解除する。つまり、クローザ・リリース装置12の電動による解除操作力又は操作ハンドル15の手動による解除操作力は、オープンケーブルC2がリモコン14側に引っ張られてオープンレバー46が回動するかたちでクローザ・リリース装置12に伝達される。
【0040】
アクティブレバー35の延出片39の先端部には、第1支持ピン34の中心線と略平行に中心線の延びる略円柱状の支持ピン50が固着されるとともに、該支持ピン50には、例えば金属板からなるクローザレバー51が軸支されている。このクローザレバー51は、支持ピン50を中心とする後方の径方向に延びるレバー突片52を有する。このレバー突片52の先端は、紙面に直交する手前側に起立して略L字状の押上壁52aを形成する。クローザレバー51は、適宜の保持部材により実質的にアクティブレバー35と一体回動するように保持されており、該アクティブレバー35が中立位置にあるときに、ハーフラッチ位置にあるラッチ25の被押圧突片25gの下方に押上壁52aを配置する。従って、アクティブレバー35と共にクローザレバー51が図示時計回転方向に回動すると、押上壁52aにより被押圧突片25gの押圧されるラッチ25がハーフラッチ位置からフルラッチ位置へと回動する。このとき、半ドア状態にあるスライドドア10が全閉状態になることは既述のとおりである。なお、アクティブレバー35が中立位置から図示時計回転方向に回動するとき、レバー支持部42を解放部37cが移動することで、リリースレバー41が初期回動位置のままであることはいうまでもない。
【0041】
ベースプレート30には、ピニオン33aの上方で、例えばロータリスイッチからなる中立スイッチ70が設置されている。この中立スイッチ70は、回路基板及び該回路基板との電気的な接続状態を切り替える可動切片を内蔵しており、該可動切片と一体回動する操作軸70aの軸線は、ピニオン33aの軸線と略平行に延びている。そして、操作軸70aには、例えば樹脂材からなる略扇状の中立スイッチレバー71が一体回動するように連結されている。
【0042】
中立スイッチレバー71の外周部には、複数の外歯からなるギヤ部71aが形成されており、該ギヤ部71aにおいてアクティブレバー35のギヤ部37aに噛合する。従って、中立スイッチレバー71は、アクティブレバー35が回動することでその回動方向に応じた方向に操作軸70aの周りを回動する。アクティブレバー35の回動に伴って中立スイッチレバー71と共に操作軸70aの回動する中立スイッチ70は、アクティブレバー35が中立位置にあることを検出するためのものである。
【0043】
次に、本実施形態の作用について説明する。
まず、ラッチ機構22がフルラッチ状態又はハーフラッチ状態にあり、
図4に示すように、アクティブレバー35及びリリースレバー41がそれぞれ中立位置及び初期回動位置にあるとする。この状態で、ECUによりアクチュエータ31を駆動してアクティブレバー35を図示反時計回転方向に回動させると、一定の空走区間を経て内歯車部37bがリリースレバー41のギヤ部42aに噛合することで、
図5への変化で示すように、リリースレバー41が図示反時計回転方向に回動し始める。
【0044】
このとき、リリースケーブルC1がクローザ・リリース装置12側に引っ張られることで、リモコン14の周知の機能で該リモコン14側にオープンケーブルC2が引っ張られる。これに伴い、オープンレバー46が支持ピン45の周りを回動して、その押圧部47aでポール駆動レバー27の被押圧部27aを下方に押圧する。これにより、ポール駆動レバー27と共にポール26が回動することで、該ポール26によるラッチ25の回り止めが解除され、スライドドア10が解放可能となる。なお、アクチュエータ31の駆動は、例えばラッチスイッチ80によりラッチ25がアンラッチ位置にあることが検出されることでECUにより停止される。
【0045】
特に、第2支持ピン40には、噛合状態にある内歯車部37b及びギヤ部42aの噛合位置をベースプレート30と協働してそれらの板厚方向に挟み込むフランジ40eが形成されていることで、内歯車部37b及びギヤ部42aの板厚方向へのずれが抑制される。
【0046】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、フランジ40eは、噛合状態にあるギヤ部42a及び内歯車部37bの噛合位置(係合状態にある第1係合部及び第2係合部の係合位置)をベースプレート30と協働してそれらの板厚方向に挟み込む。従って、ギヤ部42a(リリースレバー41)に対する内歯車部37b(アクティブレバー35)の板厚方向へのずれ(がた)を抑制することができ、それら内歯車部37b及びギヤ部42aの噛合の外れを抑えることができる。このように、ベースプレート30及びフランジ40eの協働により、内歯車部37b及びギヤ部42aの噛合状態をより安定的に保持することができる。また、第2支持ピン40に一体形成のフランジ40eを利用することで、例えば前述の板厚方向へのずれ抑え用のプレートを別設する場合に比べて部品点数及びコストの増大を抑制することができる。
【0047】
(2)本実施形態では、フランジ40eの外径は、少なくとも内歯車部37bの歯先にフランジ40eの径方向で重なるように設定されていることで、徒に大径化することなく噛合状態にある内歯車部37b及びギヤ部42aの板厚方向へのずれを抑制することができる。
【0048】
(3)本実施形態では、リリースレバー41は、溝部35a内に配置された第2支持ピン40の周りに回動自在に支持されるとともに、ギヤ部42aにおいて溝部35aを形成する内歯車部37bと噛合可能である。従って、リリースレバー41を第1支持ピン34の近傍に集約配置することができ、ひいては装置全体としてより小型化することができる。
【0049】
(4)本実施形態では、内歯車部37bは、相対的に第1支持ピン34を中心とする周方向の寸法を確保しやすい連結部37の内周部に形成されていることで、その分、内歯車部37bの内歯のモジュール(歯の大きさ)を大きくすることができ、内歯車部37b及びギヤ部42aの噛合強度を増加することができる。
【0050】
(5)本実施形態では、アクティブレバー35及びリリースレバー41間の回転伝達を、それらの重なる板厚の範囲で係合(噛合)可能な内歯車部37b及びギヤ部42aによって実現した。従って、例えばリリースレバーにその板厚方向にフランジ状の被押圧部を起立させて該被押圧部をアクティブレバーで押圧して回転伝達する場合のように、リリースレバーに対する被押圧部の曲げ加工を行わなくてもよい。これにより、製造工数及びコストを削減することができる。
【0051】
あるいは、例えばリリースレバーにその板厚方向に突出するピン状の被押圧部を固着して該被押圧部をアクティブレバーで押圧して回転伝達する場合のように、リリースレバーに対し被押圧部を別設しなくてもよい。これにより、部品点数及びコストを削減することができる。
【0052】
また、リリースレバー41にフランジ状やピン状の被押圧部を設ける必要がないため、該リリースレバー41をより薄型化することができる。なお、リリースレバー41には、レバー突片43をアクティブレバー35(連結部37)の外側に延ばすための段差41aが設定されている。しかしながら、段差41aに要する寸法はアクティブレバー35の板厚相当でよいことから、アクティブレバー35の板厚よりも大きい寸法を要するフランジ状やピン状の被押圧部を設ける場合に比べれば、依然としてより薄型なリリースレバー41となる。
【0053】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・
図7に示すように、内歯車部37bに代えて、連結部37の接続部38側寄りの内周部を解放部37cに対して第1支持ピン34側に突出させた略扇状の第1係合部61を有するアクティブレバー60を採用してもよい。そして、ギヤ部42aに代えて、レバー支持部42の接続部38側寄りの外周部を第2支持ピン40側に凹ますことで、レバー支持部42の接続部38から離間する側の外周部を相対的に第2支持ピン40を中心とする径方向に突出させた略扇状の第2係合部66を有するリリースレバー65を採用してもよい。
【0054】
リリースレバー65が前記リリースレバー41と同様の初期回動位置にあるとき、該リリースレバー65は、前記アクティブレバー35と同様の中立位置にあるアクティブレバー60の第1係合部61の図示反時計回転方向の側に先行して第2係合部66を配置する。従って、アクティブレバー60が図示反時計回転方向に回動すると、所定の空走区間を経て第2係合部66に第1係合部61が当接する。そして、アクティブレバー60の図示反時計回転方向への回動に伴い、周方向において第1係合部61の第2係合部66に対向する端面が、周方向において該第2係合部66の第1係合部61に対向する端面を押圧することで、リリースレバー65が付勢部材90の付勢力に抗して図示反時計回転方向に回動し始める。このとき、リリースケーブルC1がクローザ・リリース装置12側に引っ張られることは前記実施形態と同様である。この場合、ベースプレート30及びフランジ40eの協働で、係合状態にある第1係合部61及び第2係合部66の押圧位置(係合位置)をそれらの板厚方向に挟み込めばよい。このように変更をしても前記実施形態の(1)、(3)、(5)と同様の効果が得られる。
【0055】
・前記実施形態において、両ベースプレート21,30を一体形成してもよい。
・前記実施形態において、アクティブレバー35及びリリースレバー41の板厚は、互いに同等であってもよいし、異なっていてもよい。
【0056】
・前記実施形態において、接続部38に代えて、連結部37の第1支持ピン34を中心とする周方向他側(
図3において反時計回転方向の側)の端部及び支持部36同士を第1支持ピン34を中心とする径方向に接続する接続部を採用してもよい。
【0057】
また、接続部38に加えて、連結部37の第1支持ピン34を中心とする周方向他側(
図3において反時計回転方向の側)の端部及び支持部36同士を第1支持ピン34を中心とする径方向に接続する接続部を設けてもよい。つまり、支持部36の外周部、連結部37の内周部及び両接続部の側壁により、略扇状の凹部を形成するアクティブレバーであってもよい。
【0058】
・前記実施形態において、アクティブレバー35及びリリースレバー41間の回転伝達の速度伝達比は一定でなくてもよい。例えば、ラッチ25との係合を解除し得るポール26の回動量相当までリリースレバーが回動した時点で、アクティブレバーに対するリリースレバーの回転速度が遅くなるように係合する第1係合部及び第2係合部であってもよい。あるいは、ラッチ25との係合を解除し得るポール26の回動量相当までリリースレバーが回動した時点で、アクティブレバーの回動に関わらずリリースレバーの回動が停止するように係合する第1係合部及び第2係合部であってもよい。
【0059】
・前記実施形態において、係合状態にあるラッチ機構を解除するアクチュエータ31の駆動は、例えばピニオン33aがギヤ部37aの終端に到達して回転不能になることによるモータロック(モータ電流の急増等)が検出されることでECUにより停止されてもよい。
【0060】
・前記実施形態において、第2支持ピン40は、第1支持ピン34を中心とする径方向において、溝部35aよりも外側に位置していてもよい。
・前記実施形態において、フランジ40eの直径は、ギヤ部42aのピッチ円の径よりも若干小さくてもよい。
【0061】
・前記実施形態において、連結部37の内周部に形成した内歯車部37bに代えて、支持部36の外周部に複数の外歯からなるギヤ部を形成してもよい。そして、当該ギヤ部に噛合可能なギヤ部42aに代わるギヤ部をリリースレバー41に形成してもよい。そして、この場合であっても、ベースプレート30及び第2支持ピンのフランジ(40e)の協働で、噛合状態にある両ギヤ部の噛合位置をそれらの板厚方向に挟み込めばよい。
【0062】
・前記実施形態において、第1支持ピン34にフランジ40eに準じたフランジを形成して、ベースプレート30との協働で、ギヤ部37a及びピニオン33aの噛合位置をそれらの板厚方向に挟み込み、あるいはギヤ部37a及び中立スイッチレバー71のギヤ部71aの噛合位置をそれらの板厚方向に挟み込んでもよい。あるいは、中立スイッチレバー71を軸支する支持軸(第2支持軸)を設けるとともに、該支持軸にフランジ40eに準じたフランジを形成して、ギヤ部37a及び中立スイッチレバー71のギヤ部71aの噛合位置をそれらの板厚方向に挟み込んでもよい。
【0063】
特に、第2支持ピン40に準じて係合関係のある一対のレバー(回転体)の一方の支持軸にフランジに設けて、ベースプレートとの協働による板厚方向への挟み込みを複数箇所で行うようにすれば、前述の板厚方向へのずれ抑え用の別設のプレートを採用する場合のように、該プレートの形状の複雑化や、これに起因する質量の増加を解消することができる。
【0064】
・本発明は、互いに重なる板厚の範囲で係合可能な一対のレバー(回転体)であれば、例えばリモコン14を構成するレバー等に適用してもよい。
・本発明は、例えばスイング式のドアに適用してもよいし、車両の後部に配置されるバックドアに適用してもよい。