(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回動バーの断面形状をT字形状として、そのT字の幅狭な部位と幅広な部位との間で熱による膨張及び収縮量を異ならせたとしたことを特徴とする請求項1に記載の消音器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の消音器では、温度変化による膜部材の伸縮によって、消音可能な音の周波数がずれてしまい、消音対象とする騒音の消音効果が低下するという問題があった。即ち、従来の消音器では、温度変化によって消音性能がばらつくという問題があった。
【0005】
本発明は、温度変化による消音性能のばらつきを低減することが可能な消音器及びそれを備えた車両用吸気ダクトの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る消音器は、ダクトのダクト壁を貫通する1対の壁孔と、1対の壁孔を塞いだ状態に張られた1対の膜部材と、ダクト壁に沿って延びると共に1対の膜部材の間でダクト壁に対して回動可能に支持された回動バーと、回動バーの両端部から膜部材の膜厚方向に延びて1対の膜部材の中心部に連絡する1対の支持脚部とからなるシーソー部材と、を備えた消音器において、ダクト壁に膜部材を挟んで固定する1対の膜挟持部を設けると共に、それら1対の膜挟持部に膜部材の中心部を露出させる1対の露出孔を形成して、それら1対の露出孔により壁孔を構成し、回動バーのうち膜厚方向で膜部材に近い部位と遠い部位との間で熱による膨張及び収縮量を異ならせ、温度変化に伴う回動バーの曲げ変形によって支持脚部を膜厚方向に往復移動可能とし、1対の露出孔の間で孔径を異ならせて、1対の膜挟持部のうち小径な露出孔を有する小径膜挟持部を、温度が上昇したときに支持脚部が移動する側に配置し、大径な露出孔を有する大径膜挟持部を、温度が低下したときに支持脚部が移動する側に配置したところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の消音器において、回動バーの断面形状をT字形状として、そのT字の幅狭な部位と幅広な部位との間で熱による膨張及び収縮量を異ならせたところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の消音器において、支持脚部の長さは、常温で、膜部材を小径膜挟持部に押し付けた状態にする長さに設定されているところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明に係る車両用吸気ダクトは、車両のエンジンの吸気経路に配置され、請求項1乃至3のうち何れか1の請求項に記載の消音器を備えたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
[請求項1〜4の発明]
請求項1,4の発明では、1対の膜部材を連絡するシーソー部材の回動バーが、膜部材の膜厚方向で膜部材に近い部位と遠い部位との間で熱による膨張及び収縮量が異なっていて、温度変化により回動バーが曲げ変形することによって支持脚部が膜部材の膜厚方向に往復移動可能となっている。また、膜部材を挟む1対の膜挟持部に形成された1対の露出孔は、孔径が異なっていて、1対の膜挟持部のうち小径な前記露出孔を有する小径膜挟持部は、温度が上昇したときに支持脚部が移動する側に配置され、大径な露出孔を有する大径膜挟持部は、温度が低下したときに支持脚部が移動する側に配置されている。従って、膜部材は、温度が上昇すると、小径膜挟持部に押し付けられ、温度が低下すると、大径膜挟持部に押し付けられる。これにより、温度が上昇したときには、膜部材が振動可能な範囲を小さくして膜部材のテンション低下による消音周波数のずれを抑えることが可能となり、温度が低下したときには、膜部材が振動可能な範囲を大きくして膜部材のテンション上昇による消音周波数のずれを抑えることが可能となる。このように、本発明によれば、温度変化による消音器の消音性能のばらつきを抑えることが可能となる。
【0011】
ここで、回動バーのうち膜厚方向で膜部材に近い部位と遠い部位との間の熱による膨張及び収縮量の相違は、例えば、2つの部位を線膨張率の異なる材質で構成することで達成されてもよいし、2つの部位の断面形状を異ならせることで達成されてもよい。なお、後者の場合において、請求項2の発明のように、回動バーの断面形状をT字形状として、T字の幅狭な部位と幅広な部位との間で断面積を異ならせた構成とすれば、回動バーに、熱による膨張及び収縮量が異なる部位を容易に形成することが可能となる。
【0012】
また、支持脚部の長さは、常温で、膜部材を大径膜挟持部に押し付けた状態にする長さに設定されてもよいし、請求項3の発明のように、常温で、膜部材を小径膜挟持部に押し付けた状態にする長さに設定されてもよい。何れの場合においても、常温での消音機能の安定化を図ることが可能となるが、常温で膜部材を小径膜挟持部に押し付けた状態にする長さに設定すれば、低温時に大径膜挟持部に移行することにより、低温によって膜部材が硬化することの音への影響も低減することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を
図1〜
図12に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る車両用吸気ダクト10(以下、単に「ダクト10」という)は、一端部が車両のエアクリーナー90側に接続され、他端部から取り込んだ車両外の空気をエンジンへと案内する。ここで、ダクト10は、エンジンからの騒音を伝達する伝達路にもなるので、その騒音を低減させるための消音器20を備えている。
【0015】
ダクト10を構成するダクト壁10Hの一部は、上方に膨出した箱形膨出部11になっている。箱形膨出部11は、ダクト10の軸方向に延びた直方体状をなし、箱形膨出部11の上端に備えたベース壁12には、1対の円形貫通孔13,13(本発明の「壁孔」に相当する。)がダクト10の延在方向に並べて設けられている。そして、それら1対の円形貫通孔13,13をそれぞれ閉塞するように1対の膜部材15,15が張られ、それら1対の膜部材15,15がシーソー部材22にて連絡されることで、膜式の消音器20が形成されている。なお、膜部材15は、膜厚が約0.1〜1.0mmのゴム又は樹脂のシートで構成されている。膜部材15を構成する材質の例としては、例えば、EPDM、TPU、TPO、PVC、PETが挙げられる。
【0016】
具体的には、ベース壁12は、
図2に示すように、箱形膨出部11の側壁上端部に一体形成された第1ベースプレート31の上面に第2ベースプレート32を重ねて構成される。第1ベースプレート31及び第2ベースプレート32は、膜部材15,15を膜厚方向に挟んで固定する。また、
図3に示すように、第1ベースプレート31及び第2ベースプレート32には、膜部材15の中心部を露出させる1対の第1露出孔13Aと1対の第2露出孔13Bとが形成されている。そして、これら第1露出孔13Aと第2露出孔13Bとによって、上述した円形貫通孔13が形成されている。なお、本実施形態では、第1ベースプレート31と第2ベースプレート32によって、本発明の「1対の膜挟持部」が構成されている。
【0017】
図2に示すように、第1ベースプレート31の上面からは、第2ベースプレート32へ向かって円環状突部33,33が突出し、それら円環状突部33,33の内側が第1露出孔13A,13Aになっている。そして、
図3に示すように、円環状突部33,33の先端面が第2ベースプレート32における第2露出孔13B,13Bの開口縁との間で膜部材15,15を挟持している。なお、第1露出孔13Aと第2露出孔13Bとは、同軸に配置されている。
【0018】
図2に示すように、第1ベースプレート31のうち第1露出孔13A,13Aの内側には、内側規制部材34,34が設けられている。内側規制部材34は、例えば、第1露出孔13Aの内周面から円中心に向かって延びた複数の梁部34Cと、第1露出孔13Aと同心円になって複数の梁部34Cの先端部同士を連絡した第1環状部34Aと、複数の梁部34Cの中間部同士の間を連絡した第2環状部34Bとからなる。
【0019】
図3に示すように、内側規制部材34は、第1ベースプレート31の円形貫通孔13の軸方向における中間に位置し、膜部材15,15の内面との間に隙間34Sを介して対向している。隙間34Sは、音に起因した膜部材15,15の振動を許容する大きさになっている。
【0020】
図2及び
図4に示すように、第2ベースプレート32のうち1対の第2露出孔13B,13Bに挟まれた部分からは、シーソー部材22を回動可能に支持するための1対の支持突部18,18が上方に突出している。1対の支持突部18,18は、1対の膜部材15,15の中心間を結ぶ方向と直交する方向に並べて配置され、各支持突部18の上部には、断面U字状の支持溝19(
図4参照)が形成されている。また、第2ベース部材32の外縁部からは、包囲壁32Hが起立している。この包囲壁32Hには、例えば、消音器20を覆うための図示しないケースが嵌合される。
【0021】
上述したように、1対の膜部材15,15は、シーソー部材22によって連絡されている。
図2に示すように、シーソー部材22は、ダクト10の延在方向に沿って延びた回動バー24と、その回動バー24の両端部から垂下した1対の支持脚部25,25とを備えている。
【0022】
図2及び
図3に示すように、各支持脚部25の下端部からはフランジ部25Fが側方に張り出し、支持脚部25の下端面の中心部から丸棒状の貫通シャフト25Tが突出している。そして、貫通シャフト25T,25Tが膜部材15,15の中心部に形成された中心孔15A,15A(
図3には、一方の中心孔15Aのみが示されている)に挿通されている。また、貫通シャフト25Tには、膜部材15,15より下方から膜固定ワッシャ25Wが挿通されて接着剤にて固定され、それら膜固定ワッシャ25Wとフランジ部25Fとの間に膜部材15,15の中心部が挟まれている。なお、上述した内側規制部材34の第1環状部34A(
図2参照)の内径は、膜固定ワッシャ25Wの外径より大きくなっていて、膜固定ワッシャ25Wと内側規制部材34との干渉を回避するようになっている。
【0023】
図5に示すように、回動バー24の中心部からは、丸棒状の回動中心シャフト23,23が側方に突出している。回動中心シャフト23,23は、支持突部18,18に回動可能に支持されている。詳細には、
図2に示すように、回動中心シャフト23,23は、支持突部18,18に形成された支持溝19の底面19M(
図4参照)に支持され、これにより、シーソー部材22が回動中心シャフト23,23を中心にして回動可能となっている。
【0024】
ところで、
図6に示すように、本実施形態の回動バー24の断面形状は、上側部分が下側部分より幅狭になったT字形状になっていて、上側の幅狭部24Aの熱による膨張及び収縮量が下側の幅広部24Bの熱による膨張及び収縮量より大きくなっている。また、
図7(A)に示すように、回動バー24は、常温(本ダクト10が通常に使用される環境温度で、例えば、23℃)では、膜部材15,15と平行な直線状に配置されている。これにより、回動バー24は、高温になると、中央部が上方に膨出するように湾曲し、低温になると、中央部が下方に膨出するように湾曲する。
【0025】
具体的には、常温から温度が上昇すると、
図7(A)から
図7(B)への変化に示すように、回動バー24は、第2ベースプレート32の支持突部18,18(
図2参照)に支持される中央部に対して両端部が下方に配置されるように湾曲し、支持脚部25,25が、下方へ押し下げられる。一方、常温から温度が低下すると、
図7(A)から
図7(C)への変化に示すように、回動バー24は、中央部に対して両端部が上方に配置されるように湾曲し、支持脚部25,25が上方へ引き上げられる。なお、
図7(A)〜
図7(C)には、回動中心シャフト23の中心軸を通る水平面から支持脚部25,25の下端部までの距離がL1〜L3で示されていて、L2>L1>L3となっている。
【0026】
ここで、
図8(A)及び
図8(B)に示すように、本実施形態では、第1ベースプレート31に形成された第1露出孔13Aの直径D1は、第2ベースプレート32に形成された第2露出孔13Bの直径D2よりも小径となっている。従って、支持脚部25が押し下げられて膜部材15が第1ベースプレート31に押し付けられた場合の膜部材15が振動可能な範囲は、支持脚部25が引き上げられて膜部材15が第2ベースプレート32に押し付けられた場合の膜部材15が振動可能な範囲よりも小さくなっている。なお、第1露出孔13Aが本発明の「小径な露出孔」に相当し、第2露出孔13Bが本発明の「大径な露出孔」に相当する。また、第1ベースプレート31は、本発明の「小径膜挟持部」に相当し、第2ベースプレート32は、本発明の「大径膜挟持部」に相当する。
【0027】
本実施形態の消音器20の構成に関する説明は以上である。次に、消音器20の動作について説明する。エンジンは、ダクト10を通して吸気を行って作動する。すると、そのエンジンによる吸気音が騒音となって、ダクト10内を吸気方向と逆向きに進み、その騒音を、消音器20で低減させることができる。その消音メカニズムは、以下の通りである。
【0028】
即ち、音波は所定周期で圧力が変化する波であるから、一方の膜部材15は、騒音の音波を受波すると、その騒音の周波数で内側に膨出した状態と外側に膨出した状態とを交互に繰り返すように振動する。ここで、膜部材15,15同士の間はシーソー部材22で連絡されているので、一方の膜部材15が騒音の音波を受けて所定周期で振動すると、それに従動して他方の膜部材15も同じ所定周期で振動する、このとき、一方の膜部材15の膨出方向と他方の膜部材15の膨出方向は常に互いに逆向きになる。これにより、一方の膜部材15が受けた騒音の音波とは逆位相のキャンセル波が他方の膜部材15から送波され、騒音を低減させることが可能となる。
【0029】
ところで、温度が変化すると、膜部材15、15のテンションが変化する。その結果、膜部材15の振動周波数が変化して、消音器20が消音可能な音の周波数(以下、「消音周波数」という。)がずれるという問題が生じ得る。しかしながら、本実施形態の消音器20では、以下に説明するように、消音周波数のずれを抑制することが可能となっている。
【0030】
具体的には、本実施形態では、常温において支持脚部25が膜部材15を第1ベースプレート31に軽く押し付ける長さに設定されている。そして、温度が上昇すると、膜部材15のテンションが下がり、膜部材15の振動周波数が低くなろうとする。ここで、消音器20では、上述の如く、回動バー24の湾曲により膜部材15が第1ベースプレート31に押し付けられ、膜部材15が振動可能な範囲が第1露出孔13Aの大きさを維持する。そして、膜部材15のテンションが低下した分をシーソー部材22の変形で取り戻す。このように、本実施形態の消音器20では、温度上昇に伴う膜部材15のテンションの低下による振動周波数の低下が、膜部材15のテンションを取り戻すことで抑えられ、消音周波数のずれが抑えられる。
【0031】
また、温度が低下すると、膜部材15のテンションが上がり、膜部材15の振動周波数が高くなろうとする。このとき、膜部材15は、回動バー24の湾曲により第2ベースプレート32に押し付けられ、膜部材15が振動可能な範囲が第2露出孔13Bの大きさとなる。その結果、膜部材15の振動可能な範囲が広くなり、膜部材15の振動周波数が低くなろうとする。このように、本実施形態の消音器20では、温度低下に伴う膜部材15のテンションの上昇による振動周波数の上昇が、膜部材15の振動可能な範囲を広くすることで抑えられ、消音周波数のずれが抑えられる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の消音器20では、温度が上昇したときには、膜部材15にテンションがかかるようにして、膜部材15のテンション低下による消音周波数のずれが抑えられ、温度が低下したときには、膜部材15が振動可能な範囲を大きくして膜部材15のテンション上昇による消音周波数のずれが抑えられる。これにより、消音器20では、温度変化による消音性能のばらつきを抑えることが可能となる。また、消音器20では、回動バー24の断面形状をT字形状にして、T字の幅狭な部位と幅広な部位との間で熱による膨張及び収縮の量を異ならせた構成としたので、回動バー24に、熱による変形を容易に起こさせることが可能となる。
【0033】
[確認実験]
本発明の効果を実験により確認した。この確認実験では、本発明に係る実施品1と、実施品1において第1露出孔13Aと第2露出孔13Bを同じ大きさにし且つ回動バー24の断面形状を変更した比較品1のそれぞれについて、消音周波数の温度依存性を調べた。
【0034】
図9に示すように、実施品1は、全長L1が400[mm]で、内径D3が60[mm]のダクト10に、第1実施形態と同様の消音器20を備えた構造をなしている。消音器20における第1露出孔13Aの直径D1は、61[mm]、第2露出孔13Bの直径D2は、63[mm]となっている。また、回動バー24の長さは、80[mm]、幅狭部24Aの幅W1は、2[mm]、幅狭部24Aの高さH1は、1.5[mm]、幅広部24Bの幅W2は、6[mm]、幅広部24Bの高さH2は、3[mm]になっている(
図6参照)。また、膜部材15,15は、共に膜厚が0.3[mm]のEPDMで構成されている。一方、比較品1では、第1露出孔13Aの直径D1と第2露出孔13Bの直径D2が共に61[mm]となっている。また、比較品1における回動バー24は、
図10に示されるように、上下対称な断面十字形状になっていて、具体的には、実施品1における幅広部24Bの上下に幅狭部24Aを備えた構造となっている。
【0035】
(実験方法)
図9に示すように、実施品1におけるダクト10の始端部の開口にスピーカー92を対向配置すると共に、ダクト10の始端部と終端部に始端マイク91Aと終端マイク91Bを配置する。そして、23℃(常温)、100℃(高温)、−30℃(低温)の各温度で、スピーカー92を介して出力する音の周波数を20〜180[Hz]の範囲で変更しながら、始端マイク91A及び終端マイク91Bにて拾音する。終端マイク91Bは、ダクト10の延長線に対して45度傾斜した直線上でダクト10の終端から距離L2が10cmとなる位置に配置した。そして、周波数毎に終端マイク91Bによる拾音量から始端マイク91Aによる拾音量を差し引いた減音量を求め、
図11のグラフg1を作成した。また、同様の手順で、実施品1に代わりに比較品1を用いて
図12のグラフg2を作成した。
【0036】
(実験結果)
まず、23℃(常温)での実験結果について見ると、実施品1及び比較品1は共に、周波数が75Hz付近の音を最も減音していることが分かる。次に、100℃(高温)での実験結果について見ると、比較品1は、最も減音される音の周波数(以下、「最大消音周波数」という。)が55Hz付近まで低くなっているのに対し(
図12参照)、実施品1は、最大消音周波数が75Hz付近のままになっている(
図11参照)。以上のことから、実施品1は、比較品1に対して、23℃(常温)から温度が上昇したときの最大消音周波数のずれが小さいことが分かる。
【0037】
次に、−30℃(低温)での実験結果について見ると、比較品1は、最大消音周波数が110Hz付近であるのに対し(
図12参照)、実施品1は、最大消音周波数が90Hz付近である(
図11参照)ことが分かる。このことから、実施品1は、比較品1に対して、23℃(常温)から温度が低下したときの最大消音周波数のずれが小さいことが分かる。
【0038】
以上を纏めると、23℃(常温)から温度が上昇した場合と23℃(常温)から温度が低下した場合の何れの場合においても、実施品1では、比較品1よりも最大消音周波数のずれが小さくなっている。このことから、本発明に係る実施品1では、比較品1に対して、温度変化による消音性能のばらつきが低減できていることが確認された。
【0039】
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0040】
(1)上記実施形態では、回動バー24の断面形状がT字形状であったが、
図13(A)に示すような二等辺三角形状であってもよいし、
図13(B)に示すような半円形状であってもよいし、
図13(C)に示すような蒲鉾形状であってもよい。
【0041】
(2)
図14に示すように、回動バー24の断面形状を、上側に幅広部24B、下側に幅狭部24Aが配置されたT字形状とすると共に、
図15に示すように、第1ベースプレート31の第1露出孔13Aを、第2ベースプレート32の第2露出孔13Bより大径にしてもよい。
【0042】
(3)上記実施形態では、回動バー24の断面形状をT字形状にすることで、回動バー24の上側部分と下側部分との間で熱による膨張及び収縮の量を異ならせていたが、回動バー24の上側部分と下側部分とを線膨張率の異なる材質で構成することで、熱による膨張及び収縮の量を異ならせてもよい。具体的には、2色成形等によって、回動バー24の上側部分を樹脂(例えば、ポリプロピレン)で構成し、下側部分を補強材(例えば、ガラス繊維)入りの樹脂(ポリプロピレン)で構成してもよい。