【文献】
Matthias Fuchs, et al.,Laser-driven Soft-X-ray undulator source,Nature Physics,英国,Macmilan Publishers Limited,2009年 9月27日,Vol. 5,p. 826-829
【文献】
R. A. Smith,Characterization of a cryogenically cooled high-pressure gas jet for laser/cluster experiments,Review of Scientific Instruments,米国,American Institute of Physics,1998年11月,Vol 69, No. 11,p. 3798-3804
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1つまたは複数の数ピコ秒程度の短パルスと、数ピコ秒のパルス間隔を備えた強力レーザービーム(50)が使用され、このレーザービームが、レーザーの超臨界密度を備えた流体ジェット(52)に集束することを特徴とする請求項1に記載のイオン生成方法。
プラズマに存在するイオンビーム(54)が、数十から数百マイクロメーターのアルミニウム箔のような可動フィルター(57)を用いて、有利にはレーザー軸方向にフィルター処理して、ビームが衝突して損傷した表面を再生することを可能にすることを特徴とする請求項4に記載のイオン生成方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、この欠点を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目標を達成するために、高密度流体のジェットを生成するための方法は、高圧急速ソレノイドバルブ、次いでソレノイドバルブの出口開口部に取り付けられたノズルパイプを用いて、サブミリメートルで原子密度が10
20cm
−3以上のパルス流体ジェットを生成する工程を有することを特徴とする。
【0005】
本発明の一つの態様によれば、本方法は、流体ジェットの原子密度が10
21cm
−3以上の値を有することを特徴としている。
【0006】
本発明の別の態様によれば、本方法は、その流体がヘリウムなどのガスであることを特徴としている。
【0007】
本発明のさらに別の態様によれば、本方法は、その流体が、凝集ジェットなどの二相であることを特徴としている。
【0008】
本発明のさらに別の態様によれば、本方法は、その流体が水などの液体であることを特徴としている。
【0009】
本発明のまた別の態様によれば、上記の方法を実施するため、高原子密度流体ジェット生成装置は、加圧流体源、通過する流体の通路となるチャンネルを高速開閉するための高圧ソレノイドバルブ、及びソレノイドバルブによって生成されたパルス流体ジェットを加速し、生成させるに使用するノズルパイプから成ることを特徴としている。
【0010】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明の装置では、ソレノイドバルブが、ソレノイドとソレノイドバルブを通る流体の通路となるチャンネルを高速開閉する可動部材を有し、その可動部材は、チャンネルに対し横方向に移動可能で、ソレノイドにより生成した磁場の影響下でチャンネルの開放位置にあり、加圧流体の影響下でチャンネルの閉鎖位置に戻ることを特徴としている。
【0011】
本発明のまた別の態様によれば、この装置は、チャンネルに対して垂直方向に磁場が発生し、可動部材をチャンネルの開放位置の方に移動させることにより、チャンネルの周囲の空隙が可動部材で非対称となることを特徴としている。
【0012】
本発明は、また、プラズマ生成方法であり、流体ジェットを用い、真空チャンバー内で、ジェットに対して垂直方向に向いたレーザービームが、ノズルパイプから出たジェットに作用すること特徴とする。
【0013】
本発明によれば、このプラズマ生成方法は、高原子密度で、充分に小さな幅のパルス状流体ジェットが生成され、チャンバー内に真空とするのにターボ分子ポンプなどの超高速ポンプ型が使用できるようにしたことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、このプラズマ生成方法は、チャンバー内に、10
−7バール(bar)の真空が生成されることを特徴とする。
【0015】
本発明は、プラズマ生成方法であり、加圧流体源と、流体ジェットを生成する装置と、ノズルパイプの出口で流体ジェットに作用するレーザーと、内部にジェットを生成する装置が位置し、内部でレーザーが流体ジェットに衝突する真空チャンバーと、真空チャンバー内に真空を生成するターボ分子ポンプのような超高速タイプのポンプとからなることを特徴とする。
【0016】
本発明は、プラズマ生成システムの実施方法であり、システムが、レーザー方向に高振動で、全てのイオンが凡そ同じエネルギーを持つ狭いスペクトルのイオンビームを生成し、レーザーの方向に対し垂直方向に高振動で広いスペクトルのイオンを放出するのに使用されることを特徴とする。
【0017】
本発明の態様によれば、プラズマ生成システムの実施方法は、1つまたは複数の数ピコ秒程度の短パルスと、数ピコ秒のパルス間隔を備えた強力レーザービームが使用され、このレーザービームが、非常に高振動でこのレーザーの超臨界密度を備えた流体ジェットに集束することを特徴とする。
【0018】
本発明の別の態様によれば、プラズマ生成システムの実施方法は、プラズマに存在する高振動イオンビームが、数十から数百マイクロメーターのアルミニウム箔のような可動フィルターを用いて、有利にはレーザー軸方向にフィルター処理して、ビームが衝突して損傷した表面を再生することを可能にすることを特徴とする。
【0019】
本発明のまた別の態様によれば、プラズマ生成システムの実施方法は、システムが、高振動ビームを生成するのに使用されることを特徴とする。
【0020】
本発明のまた別の態様によれば、プラズマ生成システムの実施方法は、強力レーザーパルスが、高振動で、かつ10
19atoms/cm
3のような高密度で流体ジェットに集束され、僅かに発散し、短い持続時間の電子ビームを生成し、このビームが空間的に再集束され、再集束されたビームが、無停電電源装置を通過することを特徴とする。
【0021】
本発明のまた別の態様によれば、プラズマ生成システムの実施方法は、無停電電源装置を通ったビームが、電子を偏向させる装置を通過し、X線のみが得られることを特徴とする。
【0022】
本発明のまた別の態様によれば、プラズマ生成システムの実施方法は、交互に変わる極性を有する一連の磁石からなる無停電電源装置が使用され、電子が前記無停電電源装置を通過するとき波打ち、ビームの前方にX線を放出すること特徴とする。
【0023】
本発明のまた別の態様によれば、プラズマ生成システムの実施方法は、X線のスペクトル範囲が、交互に極性が変わる磁石の振動とその磁力を変化させることによりを変ることを特徴とする。
【0024】
本発明は、さらにプラズマ生成システムの実施方法であり、システムが、高振動のガンマビームの生成に用いられることを特徴とする。
【0025】
本発明のまた別の態様によれば、プラズマ生成システムの実施方法は、高振動ガンマビームが、高振動電子ビームを変換して生成され、高振動電子ビームが、強力レーザーパルスと、高振動で、かつ密度が10
19atoms/cm
3のガスジェットの相互作用によって生成されるプラズマから得られることを特徴とする。
【0026】
本発明のまた別の態様によれば、プラズマ生成システムの実施方法は、強力レーザーパルスが、ガスのジェットに集束され、ジェットの長さに適応した焦点距離の集光レンズを使用して、レーザービームが、細分化されることなく規則的に伝播されることを特徴とする。
【0027】
本発明のまた別の態様によれば、プラズマ生成システムの実施方法は、電子ビームが、可動式コンバーターに衝突して、電子がコンバーターの原子との衝突によって速度を下げることで、ガンマ線を放出することを特徴とする。
【0028】
本発明のまた別の態様によれば、プラズマ生成システムの実施方法は、双極磁石などの装置が、電子を偏向し、高振動のガンマ線ビームを得るのに使用されることを特徴とする。
【0029】
本発明のまた別の態様によれば、プラズマ生成システムの実施方法は、システムが、流体ジェットによるレーザーの強力パルス時にクリーニングを行うのに使用されることを特徴とする。
【0030】
本発明のまた別の態様によれば、プラズマ生成システムの実施方法は、パルスの無給電(parasitic)ライトが、プラズマの崩壊を起こすことなく、このライトに対して透明であり、そして流体ジェットによって反射されるレーザーパルスの有用部分でのみ崩壊が起きるために、クリーニングされるレーザーパルスが、レーザーの波長での超臨界密度の流体ジェットに入射されることを特徴とする。
【0031】
本発明のまた別の態様によれば、プラズマ生成システムの実施方法は、システムが、レーザーパルスの空間的および時間的圧縮を行うのに使用されることを特徴とする。
【0032】
本発明のまた別の態様によれば、プラズマ生成システムの実施方法は、圧縮された強力レーザーパルスが、高振動、かつ密度が例えば10
19atoms/cm
3の高密度ガスジェットに集束して、パルスのスペクトルの短い波長が、長い波長より前にプラズマに到達し、プラズマの短い波長が、パルスの再圧縮を引き起こせることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、例として、高振動で、10
19atoms/cm
3より大きく、10
21atoms/cm
3やそれ以上の範囲の高密度であるミリメートル又はサブミリメートルの流体ジェットの相互作用によってプラズマを発生させるための装置を示している。そのシステムは、本質的に、例えばヘリウムなどのガス、又は水などの液体が流体源1から加圧器2に送られ、高圧縮された流体が矢印Fで示すようにパルス流体ジェット生成装置4に送られ、数マイクロ秒の持続時間を有し、10
19atoms/cm
3より大きい前述の密度を有するパルスを連続的に生成する。
【0035】
生成装置4は、ソレノイドバルブ5を備え、その可動部材は、非常に低慣性であるため、非常に短い応答時間を有する。例えば、このソレノイドの開閉は、3ミリ秒より短い時間、即ち約300Hzの振動で行うことができる。このソレノイドバルブについてはさらに詳細に後に説明するが、電気制御装置6によって制御される。
【0036】
ノズルパイプ7は、例えば、ソレノイドバルブの出口にねじ込まれるアダプタ8を介してソレノイドバルブの出口に取り付けられる。生成装置4は、例えばターボ分子型10の高速ポンプにより例えば10
−7barの減圧にした密閉チャンバー9に収められる。実際の減圧度は、レーザーとチャンバー内に残った空気分子間の相互作用を回避するためにこの数値以下にするのが好ましい。
【0037】
ノズルパイプ7による発生装置4は、ソレノイドバルブが作動したとき流体の流れを加速および構造化できるように用いられ、この流れが、ノズルパイプ出口でオペレータが所望する特性を有するようにされる。
【0038】
パイプ7から出た流体ジェットがプラズマに変換されなければならないとき、矢印Lによって示されるレーザービームが、矢印Fによって示されるノズルパイプから出た流体ジェットに作用する。
【0039】
図2A及び
図2Bは、例として、
図1の4で示す高振動、かつ高密度流体ジェット発生装置を説明している。
図2Aおよび2Bは、ソレノイドバルブを4で、アダプタを8で、ノズルパイプを7で示している。参照番号12は、ソレノイドバルブの制御装置へのコネクタを示している。
【0040】
ソレノイドバルブ5は、その中心がチャンネル16と軸方向に交差している円筒体であり、チャンネルの周囲に同軸に配置されたソレノイド18を有し、このチャンネルとソレノイドの間に磁化可能材料の壁20があり、したがってソレノイドが通電されたとき、すなわち電流が流れたとき、ソレノイドによって生成した磁場の線が通る。コネクタ12は、末端を円筒体に合わせた円周にして作られる。
【0041】
図2Bに示すように、壁20は、本体14を仕切り、バルブチャンバー22は、この説明の例では、熱磁気素材の中にボール24を収めていて、バルブの軸方向チャンネルを開閉する可動部材となる。チャンバーは、可動部材24が縦方向、チャンネルの軸に対して垂直方向に移動できるように十分に広い。
【0042】
それ故、チャンバーは、壁20で縦方向に仕切られ、図の上部では、実質的に平らな壁26によって壁20に垂直に仕切られ、中心では、チャンネル16がチャンバー22に開放されている。
【0043】
28として記したチャンネルのこの部分は、ノズルパイプ7と連通するチャンネル上部29よりも狭くなっている。ソレノイドバルブが通電されていない休止状態では、可動部材24がチャンネル28を塞ぎ、チャンバー22内の開口部は、この目的のために、エレメント24を密閉するシートとなるように構成されている。
【0044】
横切る壁26の軸方向反対の側面には、チャンバー22は、球状キャップの形をした凹面30を持っていてエレメント24と嵌合し、チャンネル16が開放された中心では、加圧器2と連通するために広いチャンネル部分32を形成している。この目的のために、ソレノイドバルブは、軸方向接続末端部34を有している。
【0045】
ボール形状のエレメント24は、シート26の中央位置と、シートの縦方向に移動した位置との間で横方向に移動できる。シート26の中央位置では、エレメントがチャンネル部分28を塞ぐことでチャンネル16を閉じ、シートの縦方向に移動した位置では、チャンネルが開き、加圧器2からノズルパイプ7へ加圧流体の流れができる。チャンネル16を開く横方向の移動は、ソレノイド18が通電されて発生する磁場の影響によって得られる。
【0046】
この目的のために、磁界は、可動部材24でチャンネルに対して垂直に向いた成分を持たなくてはならない。この成分は、ボール24と壁20との空隙で不規則にすることによって得られる。
【0047】
したがって、この目的のために、この壁は、図面上で、ボール24の左側と右側それぞれにインサート36および37が配置されている。これらのインサートは、壁20の他の部分とは異なる磁気感度を持っている。
【0048】
図に示すように、インサートを種々の異なる形にすることで、磁場回路に非対称性が生じ、磁場に垂直成分が生成し、これがボールの横方向運動を引き起こす。ソレノイドを通電する目的で、ボールはチャンバー内の中心位置に戻る。
【0049】
図3A、3Bは、ソレノイドの別の態様を概略で示している。しかし、構造および機能は、上に述べたと同じである。
実際に、
図3Aでは、ボール24がチャンネルを塞ぐ位置で、チャンネル16を閉じており、
図3Bでは、ソレノイド18が作り出す磁場の影響でボールが横方向に移動した位置で、チャンネルを開いている。
図3Bは、磁場のラインを38で示しており、ボールの所で、インサート36、37で作られた空隙の非対称性によって、横方向に突出している。従って、ボール24の所で磁場は、チャンネル16に垂直な成分を有し、ボールを横方向に移動させる力を発生させている。
【0050】
したがって、ソレノイドが通電されると、磁場の非対称性により本体24が休止位置からシート26のある側に切り替わり、流体がチャンネル16を自由に流れることができる。通電を止めると、本体24は、流れる流体の摩擦により休止位置に戻り、チャンネル16を閉鎖する。
【0051】
切替えシステムは、急速応答を必要とする。例として、ソレノイドバルブの開閉は、約300Hzの振動で、3ミリ秒未満で行われ、ソレノイドによる磁力は、可動体の移動を可能にし、例えば、室温で400bar程度の、1000barまで大きくすることができるかもしれないが、流体によってボール24をシートに押し付けることである。
【0052】
制御可能な電源は、オペレータによって調節できる時間、例として1ピコ秒の間に必要な電力を供給することができる。
これにより、ボール24の振動、そしてソレノイドバルブへ流れる流体の量、すなわち、流速、そして最終的にソレノイドバルブが、その出口でノズルパイプ7に供給する密度を精密に変えることができる。同様に、ある振動期間で、ソレノイドの入口での流体圧力を変化させることができ、それ故に出口での流速を変えることができる。
【0053】
図4Aから4Cは、ソレノイドバルブの出口に位置して、アダプタ8を介してソレノイドバルブに取付けられた出口パイプ7示している。アダプタは、ソレノイドバルブの出口にねじ込まれる。
【0054】
ノズルパイプ7は、アダプタ8に取り付けられ、キャップ45によってアダプタへ固定される。キャップ45は、ソレノイドバルブへねじ止めされ、ねじの通過穴は45で示される。金属リングに囲まれた円形のラバーガスケット45は、高圧回路を密封していることに留意すべきである。金属リングは、アダプタに対してガスケットを均一に押付けることができ、圧力が加わったときにガスケットが移動するのを防止する。
【0055】
図示した例では、ノズルパイプは、ディスク形状の基部38と、ソレノイドバルブを介してチャンネル16と一直線となり、中央穴39が貫通して圧力流体を通過させる中央部分と、出口オリフィス41に向かって先細り、その先端部が短円筒部分44で円錐状内部スペース43と連通した円錐管状部40を有している。
【0056】
したがって、パイプは、集束/発散タイプの音速流を生成する。もちろん、他のタイプのパイプ、例えば、ソニック又はサブソニック流を作り出すことができる円筒形出口オリフィスのあるノズルパイプでも実施できると考えられる。
【0057】
図4のパイプに関し、その寸法では、例として、集束αと発散βの角度が、両方とも40°であることができ、集束と発散の部分の間の小さな筒状部44の直径が、0.1mmであることができる。集束円錐部42は、その出口で直径が0.4mmであることができる。出口パイプを有する流体ジェット発生装置を使用することは、ジェットの幅及び密度が独立しているという大きな利点を有する。
図5および
図6で、この独立性を説明することができる。
【0058】
図5は、圧力Pに対する密度Dを示している。圧力はバール(bar)で示され、密度は正規化されている。ポイントは、測定された値である。圧力に対する密度の時間変化は、密度が圧力と共に徐々に増大することを示す直線として描かれる。
【0059】
図6は、種々の高さ、すなわち、パイプの出口からの距離で、縦軸から縦軸に垂直方向にジェット密度の減少を示している。曲線a、b,cは、それぞれ100μm、200μm、300μmの高さを示している。
【0060】
縦軸は、正規化された値、すなわち、各時間で最大密度に基づいた密度Dを示す。横軸は、ジェットに垂直な方向の場所Rをマイクロメートルで定義している。
図5は、圧力を変えることによってピーク密度を継続的に変化させることができることを示しており、
図6からは、レーザーがビームに作用する高さを選ぶことによって、与えられた幅、すなわち半径を選択することができることが分かる。それ故、高さ、そして幅が固定されれば、密度を自由に独立して変化させることができる。
【0061】
本発明による高密度流体生成装置は、密封されたチャンバー9に収められているので、さほど高くない減圧下で動作できる。この装置は、出力に応じて高振動で動作する。出力が相対的に小さいときには振動が大きく、振動が小さいときには高流速となる。これは、ポンプで送るチャンバーの容量と真空ポンプの性能によるものであり、真空ポンプとしてはターボ分子タイプが好適である。
【0062】
上述したように、ノズルパイプは流れを構造化する。構造化の大きさは、プラズマの大きさを決定する。ノズルパイプに供給する圧力は、密度を決定する。与えられたパイプで、圧力と長さを変えることによって、独立して密度を変えることができる。
【0063】
例えば、100〜200μmの流体パルスの比較的高密度領域で、ノズルパイプの出口から非常に近い距離で、レーザービームの影響が大きいことに留意すべきである。レーザービームは、パルスに焦点を当てる。ビームが、パルスの影響の方向に縮んだ直径の円錐度を有するならば、前面46が、出口の軸に垂直でなく、角度γで出口から後方にわずかに傾斜して、レーザービームが、ノズルパイプ出口にできるだけ近くパルスに動作できるようにすることができる。
【0064】
使用される流体については、ヘリウムなどのガスを用いるのが有利であるが、その他任意のガスの使用が可能である。また、プラズマとレーザーの間に効率的な結合に適している液体を使用することができる。
【0065】
得られたシステムは、高振動パルスにより、10
19より大きく、チタン
−サファイア レーザー用の臨界原子密度10
21cm
−3までの範囲にある高密度の流体ジェットを生成することが可能である。パルス振動は、数Hzより大きく300Hzまで、もしくはそれ以上であってもよい。
【0066】
ガスは、加圧器により室温で400barの圧力まで昇圧して供給される。この圧力はもっと高くすることができ、必要であれば、1000barまでも可能である。上述したように、チャンバー内の圧力は10
−7barである。
【0067】
高濃度とパイプの小寸法により流体パルス装置が低質量であるにも拘わらず、バルブによって生成されたパルスの持続時間が短いため、例えばターボ分子タイプの真空ポンプで、損傷することなく、このチャンバー内に真空を作ることが可能である。
【0068】
本発明による装置によって生成できる高振動、高密度ジェットを用いて、本発明は、今日まで開発できなかったような密度と流体ジェット速度の分野を見い出すことができる。したがって、本発明は、多くの実施形態にわたり、例として以下にいくつかを説明する。これらの実施形態は、実施形態の2つの主要領域に分けられる。すなわち、一つは粒子と放射線の生成であり、他方は強力レーザービームの形成である。
【0069】
図7の概略図を参照すると、レーザーの方向に高振動で狭いスペクトルでイオンビームを生成し、レーザーと垂直の方向に高流量で広いスペクトルのイオンを放出する方法とシステムがまず第一に記載されている。スペクトルは、スペクトルの平均エネルギーEと比較したエネルギーの変化ΔΕが1%未満である場合に狭くなると考えられる。
【0070】
この目的のために、例えば、10
17W/cm
2から10
22W/cm
2で、パルスの持続時間が数ピコ秒未満である短いパルスと、数ピコ秒の間にあるパルスでなる強いレーザービームを用いる。このパルスは、さまざまな方法、それ自体既知の方法で、構造化される。
【0071】
既に構造化されたパルスを含むCO
2用の最終増幅器により、一般的には、メインパルスをサブ分割し、次いで分割後に得られたサブパルスをそれぞれ所望の遅延によって遅延させる光学的な方法を用いて構造化される。構造化された強力パルスは、パルスで影響を与える流体からプラズマを生成する。すなわち、レーザーの強度が約1J/cm
2を超えるとプラズマの“ブレークダウン”によって、イオンと電子によって自由電荷を生成する。
【0072】
もちろん、いくつかのサブパルスで形成された構造化されたパルスの代りに、単一パルスを用いることも可能である。単一パルスに比べて構造化されたパルスを使用する利点は、同じ平均電力で、低いピーク電力でのレーザーにより目的物を崩壊するに容易とすることである。実際、パルスは、プラズマ上に及ぼす放射状圧力により、不規則に穴をあけるピストンのように作動する。強度に比例するこの力は、光速度によって分割される。ハンマーと釘の関係のように、この一連操作を行う装置により材料に穴をあけることが容易になる。必ずというものではないが、レーザーパルス当たりの平均電力の点で、単純に経済的である。
【0073】
この効率的な穿入によりレーザーがそのエネルギーを高温になったプラズマの全電子に伝えることを可能にし、プラズマ物理学によって、レーザーの伝搬方向に向いた全イオンが数パーセント以内でほぼ同じエネルギーを持つ狭いスペクトルのイオンビームを生成する可能性を与えている。
【0074】
イオンの放出はまた、レーザーの伝搬に対し垂直方向であるが、これは指向性ビームの形ではなく、放出されたスペクトルは広い。それ故、
図7の装置は、構造化された、あるいは構造化されていないのいずれかで、高振動でかつこのレーザーの超臨界密度の流体ジェットに集められたパルスのレーザーとからなると考えられる。CO
2レーザーの場合には、密度が10
19cm
−3であり、チタン:サファイア用のレーザーで密度が10
21cm
−3となる。
【0075】
図7では、集められ構造化されたレーザービームが50で示されている。52で示された高振動での流体ジェット上に及ぼすレーザーの力は、レーザーの軸で高振動で狭いペクトルを持つイオンビーム54を生成し、垂直方向に広いスペクトル55を放出させる。
レーザーをフィルターするために、円形のフィルター57、例えば、1cm/sあるいはそれより大きい速度で動き、レーザーがその力で損傷した表面を再生できる可能性がある数10から100μmの厚さのアルミニウムシートが使用される。
図7では、高振動で、狭いペクトルのイオンビームを59で示している。
【0076】
このビームは、スペクトルが狭いため、線量、すなわち、ある厚さで材料中に導入されるエネルギーを堆積するために使用することができる。広幅な放出55は、我々のプラズマのような強電場領域を調べるのに使用することができる。領域の勾配対比をコード化したマップが得られる。
【0077】
図8は、本発明の別の実施形態、すなわち、無停電電源装置に再集束された電子ビームを高流速で噴射して、高振動のX線ビーム生成を示している。
61として示す強力レーザーパルスは、ガスのジェット63に高振動、かつ密度が約10
19atoms/cm
3で集束される。レーザービームが、細分化されることなしに、すなわち分岐した光のような分裂なしに、ジェットの長さに適応した焦点距離の集光レンズが使用され、そのためレーザーは、規則正しく伝播される。
【0078】
研究室での実験では、レーザーの通路にあるある電子が、レーザー域で“捕捉”されることを示した。すなわち、これらの電子は、レーザーに従い、全伝播で高エネルギーに加速される。電子の最終エネルギーは、電子がレーザーに捕捉されるように注入されたジェット領域に依り変わる。
【0079】
電子のエネルギーは、注入域がジェットの入口に位置しているときは高く、相対的に出口に位置するときには低くなる。電子は、レーザーパルスの持続時間に比例した持続時間を有して、僅かに発散したビーム65の形でプラズマから発生し、持続時間内で移動する。高振動ビーム65は、四極電磁石67またはいくつかの四重極を直列に配置して空間的に再集束される。
【0080】
複数の四重極を使用すると、再集束される電子の通路を逐次補正をして操作することができ、これは技術的に実行するに比較的容易であり、一つの強力な四極電磁石を用いるよりも誤差が小さい。
【0081】
磁石の磁場の値は、入射ビームの分散と電子エネルギーに関連している。再集束され、69で示した集束電子ビームは、無停電電源装置71に注入される。無停電電源装置は、異なる極性の一連の磁石からなっていて、電子が、加速電子による電磁放射の物理的原理によって、進行時に“波打ち”し、X線を前方へ放出する。
【0082】
磁石の変動振動とその磁力は、X線放出のスペクトル範囲を定義する。その磁石が電子の注入エネルギーと同じに調整されているとき、電子が多くなるに従いX線放出力が増加するが、無停電電源装置で波打ち、得られたX線スペクトルは狭い。すなわち、相と構造的放出には一致がみられる。
【0083】
双極磁石73は、無停電電源装置の出口に配置され、電子を偏向させ、X線ビームを保持する。X線ビームは、参照番号75で示し、偏向された電子ビームは、参照番号77で示している。ビーム75は、高振動のX線粒子ビームで、パルス状Xレーザーを形成する。
【0084】
図8に係る装置は、ガスジェットの密度と電子のエネルギーを調節して、四極電磁石と無停電電源装置の特性を最適状態に一致させている。したがって、
図8は、強力レーザー61と高振動ジェット63との相互作用からパルスX線レーザーを実現していることを説明している。
【0085】
図9は、本発明の第3の実施形態を示しており、循環コンバーターによる高振動電子ビームの変換による高振動ガンマビームの製造システムである。
この実施形態では、強力レーザーパルス77が、高振動、かつ約10
19atoms/cm
3の高密度のガスジェット79に集束されている。レーザーを集束するために、ジェットの長さに適応した焦点距離の集光レンズを使用して、レーザービームは、細分化されることなく、すなわち分岐した光の分裂なしに規則的に伝播する。
【0086】
第2の実施形態で説明したように、研究室での実験では、レーザーの通路の電子が、レーザー域で“捕捉”され、伝搬での高エネルギー位置で加速されていることを示している。
【0087】
上記したように、電子の最終エネルギーは、電子がレーザーにより捕捉されるように注入されるジェット領域に依り変わる。電子は、レーザーパルスの振動に応じた振動を備えて、僅かに発散したビーム81の形でのプラズマから出現し、移動する。
電子ビームは、例えば、1cm/秒以上の速度で移動する典型的に厚さ1mmのタンタリウムシートでなる循環コンバーター83を有している。このタンタリウムシートは、レーザーの衝撃で損傷を受けた表面を再生できる。
【0088】
電子がコンバーターに入っている間、原子の衝突によって原子は遅くなり、これが“ブレムストラールング(Bremsstrahlung)”として知られる効果によって、ビームの形体で前方にガンマ線を放出する。このように、高振動のガンマ線のビーム85が得られる。
【0089】
双極磁石87の間でコンバーターと交差したこの電子ビームは、高振動のガンマ線ビーム88を得る可能性があり、偏光された電子ビーム89で電子の偏光を引き起こす。
【0090】
図9による装置は、従って、高振動でガンマ線ビームが得られる可能性がある。ジェット79に対しての循環コンバーターの与えられた位置で、コンバーターの厚さを変えることによって、その出口で得られるガンマ線の数、すなわちガンマ源の光度とガンマ源の大きさを変化させることができる。これらのガンマ線は、高密度物質を調査し、吸収対比と50μmの典型的な解像度で物質の断層撮影をするに使用されるグラフマップが得られる可能性がある。
【0091】
第4の実施形態は、以下に記載するが、強力レーザーパルス形成の第二領域と関連している。この実施形態は、
図10によるプラズマミラーの導入によって強力パルスのクリーニングを推奨している。
【0092】
強力レーザーパルスでは、メインパルスは、その強度が中程度のとき、共に相互作用は望ましくは達成され、それが目標物の構造を不確定にする物質の早期のブレークダウンを引き起こす可能性があるので、相互使用に厄介となる無給電ライト(増幅自発放出またはASE)に先行される。この無給電ライトはメインパルスと同じ波長で、同じ変更である。光学選択は容易ではない。一方、メインパルスよりもはるかに低い強度により、無給電ライトと区別することができる。
【0093】
図10に示すように、参照番号90で示したフィルターされたレーザーパルスは、用いたレーザーの波長にとって超臨界密度で、流体ジェット92に入射する。このジェット92は、プラズマのブレークダウンが起きない限り、パルスに透明である。
【0094】
これにより、レーザーのレーザービームの表面領域あたりのエネルギーが、1J/cm
2未満または、与えられたパルス基準と同等で、強度が10
10W/cm
2未満で、流体ジェットが透明であり、パルスが通過する。これらの制限を超えると、流体はすぐにブレークダウンし、超臨界プラズマが表面に生じ、レーザーはこれ以上突き抜けることができない。そのため、パルスの残りは反射される。
【0095】
図10は、反射されたレーザーパルスを94で、98で示したノズルパイプがある流体ジェット92を通過するレーザーパルスを96で示している。
この実施形態では、流体ジェット92は、特に液体で、高振動の高密度流体ジェット92が、選択的ミラーとして作用している。このミラーは、それ故、入射パルス90の始めで無給電中位レーザー強度を吸収し、より制御された条件下で相互作用を得るに使用されるパルス94の形で強い強度を反射している。
【0096】
強いレーザーパルスを形成する第5の実施形態は、パルスの空間的および時間的な圧縮が得られるものである。
この実施形態では、高強度レーザーパルスが、より高振動で、かつ10
19atoms/cm
3程度の密度であるガスジェット内に集束される。ジェットの長さに適応した焦点距離の集光レンズが使用されるので、レーザーは、細分化されることなく、規則的に伝播する。
【0097】
このパルスは、実際、相対位相シフトの複数の波長から構成されている。そして、プラズマは、波長によって異なる位相遅延を誘導する効果を有する。小さな波長は大きな波長よりプラズマ内での移動が遅い。
【0098】
したがって、もしプラズマの入口で、レーザーパルスの二つの異なる波長間にある相対的な相シフトが適切に行われれば、すなわち、もし低波長が高波長よりも前にプラズマに到達するならば、(周波数は、ポジティブに生成されるといわれている)プラズマ内の移動が、成分と再同期できる方法、すなわち、スペクトル成分を相に戻して、プラズマはすぐにパルスの再加圧するのに寄与する。周波数ドリフトは、“ダズラー(DAZZLER)”の名前で市販されている装置を用い、例えば、それ自体既知の方法で得ることができる。
【0099】
相のスペクトル成分を入れての再加圧は、フーリエ式dt.DW=一定から直接導き出される。したがって、パルスの広いスペクトル成分DWがパルスへ短い振動dtを与える。それ故、もしプラズマが過剰にエネルギーを吸収しない場合には、出口では、より短い、より強いパルスを得ることができる。
【0100】
この原則は広く文献に記載されていることに留意すべきである。これまでこのタイプの圧縮は、時間の経過とともに弱まり、数Hzより低い振動のみをサポートし、60%のエネルギー効率(エネルギー伝送速度)を有する格子を備えて実装されている。本発明の装置は、約20%のエネルギー効率で高振動流体ジェットの圧縮を可能にしている。同様に、強力なパルスによって形成されたプラズマは、ケール(Kerr)効果によってパルスの空間的集束を引き起こし、従って、ジェットの出力パルスを増加させることができる。
【0101】
本発明は、10
21atoms/cm
3以上の原子密度で達成することが示された。この特性によって、本発明は、パイプからプラズマとして出るガスジェットをイオン化する強力レーザーは、それ以上伝搬できないことから、臨界密度プラズマと呼ばれるものを実現可能にしている。
この物理的密度は、次式で与えられる。
Nc[cm
−3]〜1.1X10
21/L
2[μm]
Lは使用するレーザーの波長である。
【0102】
したがって、本発明により、0.750μmより大きい波長のパワーレーザーで臨界原子密度が得ることができる。特に、現在科学で使用されるパワーレーザーの大半を構成するチタン:サファイアレーザー(L=0.81μm)で臨界濃度に達することができる。
このことは、この密度により、レーザープラズマ相互作用が、非常に効率的な結合、すなわち、レーザーエネルギーからプラズマの内部エネルギーへのほぼ完全な変換を確実にするので、非常に有益である。
【0103】
一方、本発明は、強力レーザーパルスの非線形時間圧縮を得ることを可能にしている。この目的のために強力レーザーパルスは、約10
19atoms/cm
3の密度でより高振動でのガスジェットに集束している。ジェットの長さに適応した集光レンズ(Focusing optics)を使用しているので、レーザーは、細分化なしで、規則的に伝播される。
【0104】
強力パルスがガスジェットを通過する際に、プラズマの光学指数(optical index)を変化させ、他方では、パルスと共に移動する非常に高い振幅のプラズマ波を発生させる。これら非線形効果の両方とも、パルスの後部が前部より早く移動して、パルスの圧縮を引き起こす持つ時間領域のある周波数領域で、パルスに作用している。
【0105】
この処理により、短い強力なパルスが、例えば、ガスを数ミリメートル以上で、すぐに圧縮することができ、したがって、圧縮して構造を破壊するリスクなしに超強力なパルスを生成する。この高振動、高密度を用いることは、わずか100μm以上の高振動でこの処理を実行可能にすることができ、これは、現在の高振動で強力レーザーを形成するに使用されている技術に代わるものである。