特許第6346164号(P6346164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346164
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/02 20060101AFI20180611BHJP
   D06F 39/02 20060101ALI20180611BHJP
   D06F 39/08 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   D06F33/02 S
   D06F39/02 Z
   D06F39/08 301A
   D06F39/08 301B
   D06F39/08 301G
   D06F39/02 D
   D06F33/02 T
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-253938(P2015-253938)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2017-113395(P2017-113395A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2017年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹木 宏格
(72)【発明者】
【氏名】内山 具典
【審査官】 青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−515634(JP,A)
【文献】 特開平08−206390(JP,A)
【文献】 特許第4796205(JP,B1)
【文献】 特開2009−226208(JP,A)
【文献】 特開2011−115359(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0122421(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 1/00−51/02
D06F 58/00
D06F 58/02−58/08
D06F 58/10−58/18
D06F 58/20−58/26
D06F 58/28
D06F 59/00−60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯水する水槽と、
前記水槽内に配置された回転槽と、
洗剤が投入され、洗剤を溶解する溶解領域と、
一方が給水弁に接続され、他方は前記溶解領域に給水可能な給水経路と、
前記給水経路の途中に設けられ、ファインバブル水を生成可能な微細気泡発生手段と、
少なくとも給水弁の開閉を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、運転される洗濯コースにおいて、給水により洗剤を溶解させる期間に、洗剤とファインバブル水とを接触させることにより洗剤を溶解する制御を行う洗濯機。
【請求項2】
前記給水経路の途中であって、前記給水弁と前記溶解領域の間に前記微細気泡発生手段を設けた請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記給水弁の下流側であって、前記溶解領域の上流側に微細気泡発生手段を設けた請求項1又は2に記載の洗濯機。
【請求項4】
水を貯水する水槽と、
前記水槽内に配置された回転槽と、
柔軟剤が投入され、柔軟剤を溶解する溶解領域と、
一方が給水弁に接続され、他方は前記溶解領域に給水可能な給水経路と、
前記給水経路の途中に設けられ、ファインバブル水を生成可能な微細気泡発生手段と、
少なくとも給水弁の開閉を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、運転される洗濯コースにおいて、給水により柔軟剤を溶解させる期間に、柔軟剤とファインバブル水とを接触させることにより柔軟剤を溶解する制御を行う洗濯機。
【請求項5】
前記給水経路の途中であって、前記給水弁と前記溶解領域の間に前記微細気泡発生手段を設けた請求項4に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記給水弁の下流側であって、前記溶解領域の上流側に前記微細気泡発生手段を設けた請求項4又は5に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記微細気泡発生手段を通過しない給水経路を備える請求項1から6のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記制御手段は、前記微細気泡発生手段を通過させる給水経路に水を通水した後に、前記微細気泡発生手段を通過しない給水経路に水を通水する制御を行う請求項7に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記微細気泡発生手段を通過しない給水経路は、多連給水弁のうちの一つの給水弁に接続する給水経路で構成する請求項7に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記回転槽の底部に洗濯物を撹拌するパルセータが設けられており、
前記溶解領域は、前記パルセータの下部に位置する請求項1から9のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項11】
前記溶解領域は前記水槽の底であり、
前記ファインバブル水は前記水槽と回転槽との間に注水され、
前記ファインバブル水は、回転槽内の洗濯物よりも先に、前記溶解領域にあらかじめ投入された洗剤と接触する請求項10に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
その球相当直径が数百μm程度から数十nm程度にわたる微細な気泡を含むファインバブルは、界面活性作用、洗浄効果に優れるなど種々の特性を備えており、広範囲な産業応用が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2013/012069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、ファインバブル水を用い、洗浄能力を向上させた洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る洗濯機は、水を貯水する水槽と、前記水槽内に配置された回転槽と、洗剤が投入され、洗剤を溶解する溶解領域と、一方が給水弁に接続され、他方は前記溶解領域に給水可能な給水経路と、前記給水経路の途中に設けられ、ファインバブル水を生成可能な微細気泡発生手段と、少なくとも給水弁の開閉を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、運転される洗濯コースにおいて、給水により洗剤を溶解させる期間に、洗剤とファインバブル水とを接触させることにより洗剤を溶解する制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る洗濯機の構造を示す縦断面図
図2】実施形態に係る洗濯機の概略構成を示すブロック図
図3】第2実施形態に係る洗濯機の構造を示す縦断面図
図4】第3実施形態に係る洗濯機の構造を示す概略図
図5】実施形態に係る給水弁の開閉タイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、複数の実施形態による洗濯機を、図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について説明する。図1に示す洗濯機10は、外箱12、水槽14、回転槽16、パルセータ18、及びモータ20を備えている。洗濯機10の設置面側つまり鉛直下側を、洗濯機10の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を、洗濯機10の上側とする。
【0008】
洗濯機10は、回転槽16の回転軸が鉛直方向を向いたいわゆる縦軸型の洗濯機である。外箱12は、洗濯機10の外殻を構成している。外箱12は、例えば鋼板等によって略矩形の箱状に形成されており、上部に開口部を有している。水槽14は、外箱12の内部に収容されている。回転槽16は、水槽14の内部に収容されている。水槽14は、上側に開口部を有し、下側に水槽底部を有した有底円筒形状に形成されている。同様に、回転槽16は、上側に開口部を有し、下側に回転槽底部を有した有底円筒形状に形成されている。
【0009】
水槽14は、水槽底部に設けられた図示しない排水口を有している。また、洗濯機10は、図2に示す排水弁52及びこれに接続された図示しない排水ホースを備えている。排水弁52は、例えば電子制御式の電磁弁であり、制御装置46によって駆動制御される。排水弁52が開放されることにより、水槽14内の水は、排水口から排水弁52を経由して洗濯機10の外部へ排出される。
【0010】
回転槽16は、複数の図示しない孔を有しており、回転槽16の内部と外部とを連通している。孔は、回転槽16の主に円筒状の筒状部分を構成する周壁の全域に形成されている。水槽14内に供給された水は、孔を通って、回転槽16の内外を出入りする。
【0011】
パルセータ18は、回転槽16内の回転槽底部付近に設けられている。パルセータ18は、回転槽16に対して相対的に回転可能である。モータ20は、水槽14の外側にあって水槽底部に設けられている。モータ20は、例えばアウターロータ型のDCブラシレスモータである。モータ20と、回転槽16及びパルセータ18とは、図示しないクラッチによって接続されている。図示しないクラッチは、パルセータ18のみが回転する形態と、パルセータ18と回転槽16とが一体的に回転する形態とを選択的に切り替えることが可能である。パルセータ18は、回転槽16に対して相対的に回転することで、回転槽16の内側に収容された洗濯物を撹拌する。
【0012】
洗濯機10は、その上部に、給水管30、給水弁ユニット32、洗剤ケース44を備えている。給水管30には例えば水道水の蛇口や風呂水の取水手段が接続されており、洗濯に供する源水22が供給される。給水弁ユニット32は、ファインバブル(以下、FBと称する場合がある)側給水弁34及びメイン給水弁36に分岐された給水管30を有している。FB側給水弁34には微細気泡発生器40が接続されており、更にFB管38に接続されている。FB管38はメイン管42を経由して洗剤ケース44に接続されている。この構成により、給水管30に導入された源水22は、FB側給水弁34、微細気泡発生器40及びFB管38を通過するルートと、メイン給水弁36及びメイン管42を通過するバイパスルートに分岐されて洗剤ケース44に接続されており、洗剤ケース44を経由して給水口45から水槽14内に供給される。
【0013】
微細気泡発生器40は内部に設けられた流路を通過する液体の中、この場合水の中に、微細な気泡を発生させる装置である。微細気泡発生器40は、例えば、内部流路を流れる液体の圧力を急激に低下させることにより微細気泡を発生させるキャビテーション方式のものを用いることができる。その他、例えば、加圧溶解方式、高速旋回液流方式、微細孔方式、気液二相流旋回方式などの方式を用いてもよい。また、本出願人が先に出願した特願2014−129097号に記載された微細気泡発生装置を利用することもできる。微細気泡発生器40は泡の球相当直径が50nm〜1μm程度のウルトラファインバブルを含む気泡を主として発生させることができる。本実施形態におけるファインバブルは、泡の球相当直径が50nm〜1μmのウルトラファインバブルを含む。
【0014】
一般に微細気泡は、その気泡の球相当直径によって次のように分類されている。例えば、直径1mm以上の気泡はミリバブル、1μmから数百μm程度の微細気泡はマイクロバブル、1μm未満の微細気泡はウルトラファインバブル又はナノバブルと称されている。また、マイクロバブルとウルトラファインバブルを含む数百μm以下の微細気泡はファインバブルと総称されている。気泡の直径が1μm未満のウルトラファインバブルになると、光の波長よりも小さくなるため視認することができなくなり、液体は透明になる。これらの微細気泡は、総界面面積が大きいこと、浮上速度が遅いこと、内部圧力が大きいこと等の特性により、液体中の物体の洗浄能力に優れていることが知られている。
【0015】
例えば、ウルトラファインバブルは、以下の性質を有している。すなわち、ウルトラファインバブルは、ブラウン運動をしながら長時間水中に滞在する。自己加圧効果による圧壊により生じたエネルギーで物質が分解されフリーラジカルが生成される。気泡表面がマイナスに帯電するため、ウルトラファインバブル同士は反発し合い、結合がない。また、ウルトラファインバブルは、プラスに帯電する有機物を引き寄せる作用を持っている。このような性質から、ウルトラファインバブルは高い洗浄効果を有する。
【0016】
また、マイクロバブルは、負の電荷を帯びているため、液体中に漂う正の電荷を帯びた異物を吸着し易い。そのため、マイクロバブルの圧壊によって破壊された異物は、マイクロバブルに吸着されてゆっくりと液体表面へと浮上する。そして、液体表面に集まった異物を除去することで、液体が浄化される。これにより、高い洗浄能力が発揮される。
【0017】
第1実施形態においては、微細気泡発生器40により上述のように直径が約50nm〜1μm程度の気泡であるウルトラファインバブルが主として発生する。以下、ファインバブルを含む水をファインバブル水と称する。
【0018】
図2は、洗濯機の電気的構成のうち本発明の要旨に関係する部分の電気的構成のブロック図を示している。この図2において、洗濯機10は、洗濯コース内容の操作等を行うための操作パネル48、水槽14内の水位を検知する水位センサ50、パルセータ18を回転するモータ20、FB側給水弁34、メイン給水弁36、排水弁52を備えている。制御装置46は、マイクロコンピュータを主体に構成されたものである。この制御装置46は、洗濯物の洗い、すすぎ及び脱水の洗濯運転等を制御する機能を有している。制御装置46には、操作パネル48、及び、前記水位センサ48からの信号が入力される。
【0019】
制御装置46は、これらの入力信号と、予め備えた制御プログラムに基づいて、モータ20の回転、FB側給水弁34、メイン給水弁36、及び排水弁52の開閉を制御する機能を有している。
【0020】
第1実施形態の作用について図5を参照して説明する。図5は、洗い行程、排水・脱水行程、すすぎ行程、排水行程、最終すすぎ行程、排水・脱水行程における、FB側給水弁34、メイン給水弁36及び柔軟剤側給水弁37の開閉タイミングを示すタイミングチャートである。なお、柔軟剤側給水弁37については後述する第3実施形態において言及する。
【0021】
洗い行程において、まず初めに、制御装置46は、FB側給水弁34を開放する制御を行う。図1に示すように、FB側給水弁34には微細気泡発生器40が接続されている。従って、FB側給水弁34から供給された源水22は、微細気泡発生器40を通過してファインバブル水となり、ファインバブル水はFB管38を通過し、洗剤ケース44に給水される。洗剤ケース44内には洗剤が投入されている。洗剤は洗剤ケース44内でファインバブル水と接触し混合撹拌されることにより溶解される。ここでは洗剤ケース44は洗剤の溶解領域でもある。なお、洗剤ケース44にファインバブル水を供給する前に、源水22として例えば水道水などを例えば少量、洗剤ケース44内に供給して洗剤と源水22を接触させた後に、ファインバブル水を洗剤ケース44に通じる制御としても良い。
【0022】
この時、ファインバブル水は表面にマイナス電荷を有しているため、プラスに帯電しやすい界面活性剤すなわち洗剤を吸着しやすい。このため、ファインバブル水は通常の水道水に比較して短時間で洗剤を水中に分散することができるため、洗剤溶けが良好となる。ファイバブル水と洗剤が撹拌され、洗剤が分散されて溶解した洗剤液が生成される。洗剤液は洗剤ケース44に給水されたファインバブル水の流れに従って流され、給水口45から水槽14内に投入される。なお、ここで、洗剤ケース44に、更に洗剤溶解室を設け、洗剤とファインバブル水を接触、撹拌する構成としてもよい。
【0023】
次に、図5に示すように、制御装置46は、洗い行程の途中までFB側給水弁34を開放して洗剤ケース44内の洗剤を溶解し終わった後、FB側給水弁34を閉塞し、メイン給水弁36を開放する制御を行い、水槽14内を洗濯水で満たす制御を実施する。メイン給水弁36には通常の源水22として例えば水道水が供給される。メイン給水弁36にはメイン管42が接続され、メイン管42には微細気泡発生器40は接続されていないので、源水22は微細気泡発生器40をバイパスする形でそのまま洗剤ケース44に供給され、もし余剰の洗剤があればこれを押し流して洗剤ケース44内を洗浄しつつ、給水口45から水槽14内に給水される。
【0024】
ここで、微細気泡発生器40が例えばキャビテーション方式により微細気泡を発生させる機構を有している場合、微細気泡発生器40内では水路を細径化することで減圧しており、水の流量が低下する。このため、最後まで微細気泡発生器40により生成されたファインバブル水を供給し続けると、全体の給水時間が非常に長くなることになる。そこで、微細気泡発生器40をバイパスし通過しない給水経路であるメイン管42をさらに設けるようにする。これにより、先に微細気泡発生器40を通過する給水経路のFB側給水弁34を開放し、洗剤ケース44に投入された洗剤が無くなった後に、微細気泡発生器40を通過しないバイパス給水経路であるメイン管42を利用して給水することで全体の給水時間を短縮することができる。微細気泡発生器40を通過しないバイパス給水経路であるメイン管42は、洗剤ケース44に接続させず、給水口を水槽14上方に配置して直接給水するようにしてもよい。
【0025】
第1実施形態によれば以下の効果を奏する。
洗い行程の初めに、ファインバブル水を洗剤が投入された洗剤ケース44に供給する制御を実施する構成としたので、洗剤を効率よく分散させた状態で溶解することを可能とした。これにより洗濯時の洗浄効果を向上させた洗濯機10を提供することができる。
【0026】
また、ファインバブル水により洗剤を溶解した後に、微細気泡発生器40を通過しない通常の水道水などの源水22を水槽14に給水する制御を実施する構成としたので、すべての洗濯水をファインバブル水とする場合に比較して、水槽14への給水時間を短縮することを、洗浄効果を低下させることなく可能とすることができる。
なお、ファインバブル水の供給は必ずしも洗い行程の最初でなく、源水22の供給と前後して行われたとしても給水の初期段階であれば実質的に同様の効果を期待し得る。
【0027】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と共通する構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0028】
図3に示すように、第2実施形態に係る洗濯機10は、給水弁ユニット32、微細気泡発生器40を備えているが、FB側給水弁34及び微細気泡発生器40を通過して生成したファインバブル水はFB管38から水槽14−回転槽16間に給水され、まず初めに水槽14底部の洗剤溶解領域60に貯水される構成となっている。また、微細気泡発生器40を通過することなくメイン給水弁36及びメイン管42を通過した源水22も、水槽14−回転槽16間に給水され、水槽14に貯水される構成となっている。洗濯機10は回転槽16側部に洗剤投入口54を有している。洗剤投入口54から投入された洗剤は、洗剤通過道56を通過し回転槽16底部のパルセータ18下部に通じ、一部は洗剤落下口58から水槽14底部にも落下する構成となっている。
【0029】
次に、第2実施形態の作用について図5を参照して説明する。まず初めに、洗剤は洗剤投入口54から投入されており、水槽14底部の洗剤溶解領域60付近に存在している。洗い行程において、制御装置46は、FB側給水弁34を開放する制御を行う。図3に示すように、FB側給水弁34には微細気泡発生器40が装着されている。従って、FB側給水弁34から供給された源水22は、微細気泡発生器40を通過してファインバブル水となり、ファインバブル水はFB管38を通過し、水槽14−回転槽16間に給水され、回転槽16底部に貯水される。制御装置46は、ファインバブル水がパルセータ18に浸る程度に貯水されたことを認識したら、パルセータ18を駆動する制御を実施する。水位の検知は、水槽14内の水位が水位センサ50により検知され、水位信号が制御装置46に送信されることにより実施される。パルセータ18に駆動により、水槽14底部の洗剤溶解領域60においてファインバブル水が撹拌される。これにより、ファインバブル水と洗剤が接触、撹拌され、洗剤がファインバブル水に分散した洗剤液が生成される。
【0030】
制御装置46は、洗剤とファインバブル水を十分に撹拌し洗剤が溶解したと判断した後、FB側給水弁34を閉塞して、メイン給水弁36を開放し、水槽14内に洗濯水を満たす制御を実施する。
【0031】
第2実施形態によれば、第1実施液体と同様の効果を奏する。また、洗剤投入口54、洗剤通過道56及びパルセータ18下に通じる洗剤落下口58を有するため、溶解前の濃い洗剤が洗濯物に直接接触することなく洗剤溶解領域60に投入される。これにより、洗剤とファインバブル水を給水初期に効率的に接触、撹拌することができるため、良好に洗剤を溶解させることができる。
【0032】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る洗濯機10は、第1実施形態、又は第2実施形態に係る洗濯機10の構成に、更に、柔軟剤側給水弁37、柔軟剤管43、柔軟剤ケース62を加えた構成を備えている。以下詳述する。
【0033】
図4に示すように、洗濯機10は、給水弁ユニット32を備えている。給水弁ユニット32は多連、この場合は3連の給水弁であり、FB側給水弁34、メイン給水弁36、及び柔軟剤側給水弁37を備えている。柔軟剤側給水弁37は柔軟剤管43を介して柔軟剤ケース62に接続している。柔軟剤側給水弁37と柔軟剤ケース62の間に微細気泡発生器41を備えている。柔軟剤ケース62内には界面活性剤として柔軟剤が投入されている。微細気泡発生器41を通過した源水22はファインバブル水となり、これが柔軟剤ケース62に供給される。柔軟剤ケース62内で、柔軟剤とファインバブル水が接触、撹拌されて、ファインバブル水に柔軟剤が溶解される。ここでは柔軟剤ケース62は柔軟剤の溶解領域でもある。
【0034】
この時、ファインバブル水は表面にマイナス電荷を有しているため、プラスに帯電しやすい界面活性剤すなわち柔軟剤を吸着しやすい。このため、ファインバブル水は通常の水道水に比較して短時間で柔軟剤を水中に分散することができるため、柔軟剤を良好に溶解することが可能となる。柔軟剤がファインバブル水に溶解して柔軟剤水となり、これが水槽14に供給される。この場合、柔軟剤ケース62に、柔軟剤とファインバブル水を接触、撹拌して柔軟剤をファインバブル水に溶解させる溶解室すなわち溶解領域を設けてもよい。
【0035】
また、洗剤ケース44に接続するFB管38は微細気泡発生器40を有し、FB側給水弁34により給水制御がされる。また、洗剤ケース44に接続する給水経路であるメイン管42は微細気泡発生器40を有しておらず、メイン給水弁36により給水制御され、これは微細気泡発生器40を通らないいわゆるバイパスルートでもある。洗剤ケース44は供給管39を介して水槽14に給水可能に構成される。
【0036】
図4では、外箱12、回転槽16その他の構成を簡略化して水槽14のみを代表して描いているが、具体的な構造は、図1又は図3における外箱12、水槽14、回転槽16、パルセータ18、モータ20の構成を同様である。例えば、本実施形態を、実施形態1に係る洗濯機10に適用すれば、柔軟剤ケース62から供給される柔軟剤水は水槽14及び回転槽16に上方から供給される。また、本実施形態を、実施形態2に係る洗濯機10に適用すれば、柔軟剤ケース62から供給される柔軟剤水は、水槽14−回転槽16間に供給され、水槽14底部に貯水される。
【0037】
第3実施形態の作用について説明する。図5に示すように、最終すすぎ行程において、制御装置46は、柔軟剤側給水弁37を開放することにより、源水22を、柔軟剤管43を介して微細気泡発生器41に供給する。微細気泡発生器41を通過する際に、源水22はファインバブル水となり、柔軟剤ケース62に供給される。柔軟剤ケース62には柔軟剤が投入されている。よってファインバブル水は柔軟剤ケース62においてまず柔軟剤と接触、撹拌され、ファインバブル水に柔軟剤が溶解した柔軟剤液が生成する。生成した柔軟剤液は、柔軟剤管43を通過して、水槽14内に供給される。
【0038】
次に、柔軟剤ケース62内の柔軟剤が溶けきった後に、制御装置46は柔軟剤側給水弁37を閉塞し、メイン給水弁36を開放する。メイン給水弁36を通過する源水22は洗剤ケース44を通過し、供給管39を介して水槽14に供給される。これにより、源水22とファインバブル水に柔軟剤が溶解した柔軟剤水が水槽14に満たされる。
【0039】
第3実施形態に係る洗濯機10によれば以下の効果を奏する。
最終すすぎ行程の初めに、ファインバブル水を柔軟剤が投入された柔軟剤ケース62に供給する制御を実施する構成としたので、柔軟剤を効率よく分散させた状態でファインバブル水に溶解することを可能とした。これにより柔軟剤が衣類へ浸透やすくなり、洗濯後の衣類がより柔らかな仕上がりとなるため、最終すすぎ時の柔軟効果を向上させた洗濯機10を提供することができる。
【0040】
また、ファインバブル水により柔軟剤を溶解した後に、通常の水道水などの源水22を水槽14に給水する制御を実施する構成としたので、すべてのすすぎ水をファインバブル水とする場合に比較して、水槽14への全体の給水時間を短縮することを、柔軟効果を向上させた状態で行うことができる。
【0041】
上記第1から第3実施形態の説明において、洗濯機10として、回転槽の回転軸が鉛直方向を向いたいわゆる縦軸型の洗濯機を例示して説明したが、これに限らない。例えば洗濯機10が、回転槽の回転軸が水平又は後方へ向かって下降傾斜したいわゆる横軸型のドラム式洗濯機であってもよい。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
図面中、10は洗濯機、14は水槽、16は回転槽、44は洗剤ケース(溶解領域)、30は給水管(給水経路)、34はFB側給水弁、36はメイン給水弁、37は柔軟剤側給水弁、38はFB管(給水経路)、39は供給管(給水経路)、42はメイン管(給水経路)、43は柔軟剤管(給水経路)、40、41は微細気泡発生器、46は制御装置、60は洗剤溶解領域、62は柔軟剤ケース(溶解領域)、を示す。
図1
図2
図3
図4
図5