(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1感圧性接着剤および前記第2感圧性接着剤が、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレートおよび2−ヒドロキシエチルアクリレートを重合させることによって得られる共重合体である、請求項1〜3のいずれかに記載の仮固定用両面粘着テープ。
前記第1側鎖結晶性ポリマーおよび前記第2側鎖結晶性ポリマーが、少なくとも炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートを重合させることによって得られる重合体である、請求項1〜4のいずれかに記載の仮固定用両面粘着テープ。
前記第1側鎖結晶性ポリマーおよび前記第2側鎖結晶性ポリマーが、ベヘニルアクリレート、ステアリルアクリレート、メチルアクリレートおよびアクリル酸を重合させることによって得られる共重合体である、請求項1〜5のいずれかに記載の仮固定用両面粘着テープ。
前記第1側鎖結晶性ポリマーの前記融点および前記第2側鎖結晶性ポリマーの前記融点がいずれも、45℃以上55℃未満である、請求項1〜6のいずれかに記載の仮固定用両面粘着テープ。
前記発泡剤が、マイクロオーダーの平均粒径を有する中空状のポリマー殻と、前記ポリマー殻の内部に封入されている加熱膨張性物質と、を備えるマイクロバルーン発泡剤である、請求項1〜7のいずれかに記載の仮固定用両面粘着テープ。
前記第1粘着剤層の表面に積層されている第1セパレーターおよび前記第2粘着剤層の表面に積層されている第2セパレーターをさらに備える、請求項1〜9のいずれかに記載の仮固定用両面粘着テープ。
【背景技術】
【0002】
台座上に被加工物を仮固定する仮固定手段として、ワックスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、ワックスを介して台座上に被加工物を仮固定すると、被加工物を台座から剥離したときにワックスが被加工物および台座のそれぞれに残るため、有機溶剤等を使用した洗浄工程が必要になる。
【0003】
一方、他の仮固定手段として、両面粘着テープが知られている。両面粘着テープとして、片面の粘着剤層が一般的なアクリル系粘着剤層であり、他面の粘着剤層が一般的なアクリル系粘着剤層に発泡剤を添加した発泡粘着剤層である、両面粘着テープ(A)が知られている。
【0004】
両面粘着テープ(A)は、アクリル系粘着剤層を台座に、発泡粘着剤層を被加工物にそれぞれ貼着させて、台座上に被加工物を仮固定するものである。両面粘着テープ(A)の剥離は、次の手順で行う。まず、被加工物を研磨加工等した後に、両面粘着テープ(A)を発泡剤が膨張ないし発泡する温度にまで加熱し、発泡粘着剤層の粘着力を低下させる。次に、被加工物を両面粘着テープ(A)から剥離した後、両面粘着テープ(A)を台座から剥離する。
しかし、このような両面粘着テープ(A)を使用すると、研磨加工等の際に発泡剤由来の凹凸が被加工物に転写されて歩留りが低下するという問題があった。
【0005】
また、他の両面粘着テープとして、片面の粘着剤層が一般的なアクリル系粘着剤層であり、他面の粘着剤層が感温性粘着剤層からなる、両面粘着テープ(B)が知られている。感温性粘着剤層は、感圧性接着剤および側鎖結晶性ポリマーを含有し、側鎖結晶性ポリマーの融点以上の温度で粘着力が低下する粘着剤層である。
【0006】
両面粘着テープ(B)は、アクリル系粘着剤層を台座に、感温性粘着剤層を被加工物にそれぞれ貼着させて、台座上に被加工物を仮固定するものである。両面粘着テープ(B)の剥離は、次の手順で行う。まず、被加工物を研磨加工等した後に、被加工物を両面粘着テープ(B)とともに台座から剥離する。次に、両面粘着テープ(B)を側鎖結晶性ポリマーの融点以上の温度にまで加熱して感温性粘着剤層の粘着力を低下させ、被加工物を両面粘着テープ(B)から剥離する。
【0007】
しかし、このような両面粘着テープ(B)を使用すると、被加工物を両面粘着テープ(B)とともに台座から剥離するときの剥離性が悪いため、例えばスパチュラ等をアクリル系粘着剤層と台座との界面に挿入して剥離起点を形成する必要がある。そして、剥離起点を形成するときに加わる外力によって被加工物が破損して歩留りが低下するという問題があった。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<仮固定用両面粘着テープ>
以下、本発明の一実施形態に係る仮固定用両面粘着テープ(以下、「テープ」と言うことがある。)について、
図1を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態のテープ1は、基材2と、基材2の片面21に積層されている第1粘着剤層3と、基材2の他面22に積層されている第2粘着剤層4と、を備えている。
【0016】
(基材)
本実施形態の基材2は、フィルム状である。フィルム状とは、フィルム状のみに限定されるものではなく、本実施形態の効果を損なわない限りにおいて、フィルム状ないしシート状をも含む概念である。
【0017】
基材2の構成材料としては、例えばポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンポリプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂が挙げられ、例示した合成樹脂のうちポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0018】
本実施形態の基材2は、単層体または複層体のいずれであってもよく、その厚さとしては、5〜250μmであるのが好ましく、12〜188μmであるのがより好ましく、25〜100μmであるのがさらに好ましい。基材2の片面21および他面22には、第1粘着剤層3および第2粘着剤層4に対する密着性を高める上で、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、ブラスト処理、ケミカルエッチング処理、プライマー処理等の表面処理を施すことができる。
【0019】
(第1粘着剤層)
基材2の片面21に積層されている第1粘着剤層3は、被着体が台座であり、第1感圧性接着剤、第1側鎖結晶性ポリマーおよび発泡剤を含有する。
【0020】
第1感圧性接着剤は、粘着性を有するポリマーであり、その具体例としては、天然ゴム接着剤、合成ゴム接着剤、スチレン/ブタジエンラテックスベース接着剤、アクリル系接着剤等が挙げられ、例示したこれらのうちアクリル系接着剤が好ましい。
【0021】
アクリル系接着剤を構成するモノマーとしては、例えば2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートのことを意味するものとする。
【0022】
アクリル系接着剤の具体的な組成としては、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレートおよび2−ヒドロキシエチルアクリレートを重合させることによって得られる共重合体等が挙げられる。また、上述した各モノマーは、2−エチルヘキシルアクリレートを42〜62重量部、メチルアクリレートを30〜50重量部、および2−ヒドロキシエチルアクリレートを3〜13重量部とする割合で重合させるのが好ましい。
【0023】
重合方法としては、特に限定されるものではなく、例えば溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が採用可能である。溶液重合法を採用する場合には、上述したモノマーを溶剤に混合し、40〜90℃程度で2〜10時間程度攪拌すればよい。
【0024】
上述したモノマーを重合させることによって得られる重合体、すなわち第1感圧性接着剤の重量平均分子量としては、15万〜50万であるのが好ましく、20万〜35万であるのがより好ましい。これにより、テープ1を台座から剥離したときに第1粘着剤層3が台座上に残る、いわゆる糊残りが発生するのを抑制することができる。また、第1粘着剤層3の凝集力が高くなりすぎて第1粘着剤層3の粘着力が低くなるのを抑制することができる。重量平均分子量は、重合体をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値である。
【0025】
一方、第1側鎖結晶性ポリマーは、融点を有するポリマーである。融点とは、ある平衡プロセスにより、最初は秩序ある配列に整合されていた重合体の特定部分が無秩序状態になる温度であり、示差熱走査熱量計(DSC)によって10℃/分の測定条件で測定して得られる値のことを意味するものとする。
【0026】
第1側鎖結晶性ポリマーは、上述した融点未満の温度で結晶化し、且つ融点以上の温度では相転位して流動性を示す。すなわち、第1側鎖結晶性ポリマーは、温度変化に対応して結晶状態と流動状態とを可逆的に起こす感温性を有する。これにより、融点未満の温度では、第1側鎖結晶性ポリマーが結晶状態にあることから、第1粘着剤層3は粘着力を確保することができる。また、融点以上の温度では、第1側鎖結晶性ポリマーが流動性を示すことによって上述した第1感圧性接着剤の粘着性を阻害し、結果として第1粘着剤層3の粘着力を低下させることができる。
【0027】
第1側鎖結晶性ポリマーの融点としては、45℃以上55℃未満であるのが好ましい。これにより、室温(23℃)において第1側鎖結晶性ポリマーが結晶状態にあることから、第1粘着剤層3が室温で粘着力を確保することができ、結果として作業性を向上させることができる。
【0028】
上述した融点は、第1側鎖結晶性ポリマーの組成等を変えることによって調整することができる。第1側鎖結晶性ポリマーを構成するモノマーとしては、例えば炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、炭素数1〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、極性モノマー等が挙げられる。
【0029】
炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばセチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の炭素数16〜22の線状アルキル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられ、炭素数1〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、極性モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基を有するエチレン不飽和単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有するエチレン不飽和単量体等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
【0030】
第1側鎖結晶性ポリマーは、上述した各モノマーのうち少なくとも炭素数16以上、好ましくは炭素数18以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートを重合させることによって得られる重合体であるのがよい。上述した各モノマーは、例えば炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートを30〜100重量部、炭素数1〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを0〜70重量部、極性モノマーを0〜10重量部とする割合で重合させるのが好ましい。
【0031】
第1側鎖結晶性ポリマーの具体的な組成としては、ベヘニルアクリレート、ステアリルアクリレート、メチルアクリレートおよびアクリル酸を重合させることによって得られる共重合体等が挙げられる。また、上述した各モノマーは、ベヘニルアクリレートを35〜45重量部、ステアリルアクリレートを30〜40重量部、メチルアクリレートを15〜25重量部、およびアクリル酸を1〜10重量部とする割合で重合させるのが好ましい。
【0032】
重合方法としては、特に限定されるものではなく、例えば溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が採用可能である。溶液重合法を採用する場合には、上述したモノマーを溶剤に混合し、40〜90℃程度で2〜10時間程度攪拌すればよい。
【0033】
第1側鎖結晶性ポリマーの重量平均分子量としては、3,000〜30,000であるのが好ましく、5,000〜20,000であるのがより好ましく、6,000〜11,000であるのがさらに好ましい。これにより、テープ1を台座から剥離したときに糊残りが発生するのを抑制することができる。また、第1側鎖結晶性ポリマーが融点以上の温度で流動性を示したときに、第1粘着剤層3の粘着力を十分に低下させることができる。重量平均分子量は、第1側鎖結晶性ポリマーをGPCによって測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値である。
【0034】
第1側鎖結晶性ポリマーは、固形分換算で第1感圧性接着剤100重量部に対して0.5〜10重量部の割合で配合されているのが好ましく、0.5〜5重量部の割合で配合されているのがより好ましい。これにより、第1側鎖結晶性ポリマーが融点以上の温度で流動性を示したときに、第1粘着剤層3の粘着力を十分に低下させることができる。
【0035】
一方、発泡剤としては、一般的な化学発泡剤および物理発泡剤のいずれもが採用可能である。化学発泡剤には、熱分解型および反応型の有機系発泡剤ならびに無機系発泡剤が含まれる。
【0036】
熱分解型の有機系発泡剤としては、例えば各種のアゾ化合物(アゾジカルボンアミド等)、ニトロソ化合物(N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等)、ヒドラジン誘導体[4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等]、セミカルバジド化合物(ヒドラゾジカルボンアミド等)、アジド化合物、テトラゾール化合物等が挙げられ、反応型の有機系発泡剤としては、例えばイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0037】
熱分解型の無機系発泡剤としては、例えば重炭酸塩・炭酸塩(炭酸水素ナトリウム等)、亜硝酸塩・水素化物等が挙げられ、反応型の無機系発泡剤としては、例えば重炭酸ナトリウムと酸との組み合わせ、過酸化水素とイースト菌との組み合わせ、亜鉛粉末と酸との組み合わせ等が挙げられる。
【0038】
物理発泡剤としては、例えばブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ジクロロエタン、ジクロロメタン等の塩化炭素水素類、フロン等のフッ化塩化炭化水素類等の有機系物理発泡剤;空気、炭酸ガス、窒素ガス等の無機系物理発泡剤等が挙げられる。
【0039】
また、他の発泡剤として、マイクロカプセル化された熱膨張性微粒子である、いわゆるマイクロバルーン発泡剤を採用することができる。マイクロバルーン発泡剤は、熱可塑性または熱硬化性樹脂によって構成されているポリマー殻の内部に、固体、液体または気体からなる加熱膨張性物質を封入したものである。言い換えれば、マイクロバルーン発泡剤は、マイクロオーダーの平均粒径を有する中空状のポリマー殻と、ポリマー殻の内部に封入されている加熱膨張性物質と、を備えるものである。マイクロバルーン発泡剤は加熱によって体積が40倍以上に膨張し、独立気泡形式の発泡体が得られる。したがって、マイクロバルーン発泡剤は、通常の発泡剤に比べて、発泡倍率がかなり大きくなるという特性を有する。このようなマイクロバルーン発泡剤は、市販のものを用いることができ、例えばEXPANCEL社製の「461DU20」等が好適である。
【0040】
発泡剤は、固形分換算で第1感圧性接着剤100重量部に対して5〜30重量部の割合で配合されているのが好ましく、10〜30重量部の割合で配合されているのがより好ましい。これにより、発泡剤が膨脹ないし発泡したときに、第1粘着剤層3の粘着力を十分に低下させることができる。
【0041】
発泡剤が膨脹ないし発泡する温度は、通常、第1側鎖結晶性ポリマーの融点よりも高い温度である。また、発泡剤が膨脹ないし発泡する温度としては、通常、180℃以下であり、90℃で膨脹ないし発泡を開始して120℃で実質的に完全に発泡するのが好ましい。
【0042】
発泡剤の平均粒径としては、特に限定されるものではないが、通常、5〜50μmであるのが好ましく、5〜20μmであるのがより好ましく、5〜10μmであるのがさらに好ましい。平均粒径は、粒度分布測定装置で測定して得られる値である。
【0043】
このような発泡剤とともに、上述した第1感圧性接着剤および第1側鎖結晶性ポリマーを含有する第1粘着剤層3を基材2の片面21に積層するには、例えば第1感圧性接着剤、第1側鎖結晶性ポリマーおよび発泡剤を溶剤に加えた塗布液を、コーター等によって基材2の片面21に塗布して乾燥させればよい。コーターとしては、例えばナイフコーター、ロールコーター、カレンダーコーター、コンマコーター、グラビアコーター、ロッドコーター等が挙げられる。
【0044】
第1粘着剤層3の厚さとしては、10〜50μmであるのが好ましく、10〜30μmであるのがより好ましく、15〜25μmであるのがさらに好ましい。
【0045】
なお、第1粘着剤層3には、例えば架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤等の各種の添加剤を添加することができ、例示した添加剤のうち架橋剤を添加するのが好ましい。架橋剤としては、例えばイソシアネート化合物等が挙げられる。架橋剤は、固形分換算で第1感圧性接着剤100重量部に対して0.1〜10重量部の割合で添加するのが好ましく、0.1〜5重量部の割合で添加するのがより好ましく、0.1〜2重量部の割合で添加するのがさらに好ましい。
【0046】
上述した第1粘着剤層3における第1感圧性接着剤、第1側鎖結晶性ポリマー、発泡剤および架橋剤の特に好ましい配合としては、これらが重量比で、第1感圧性接着剤:第1側鎖結晶性ポリマー:発泡剤:架橋剤=100:1〜3:10〜15:0.5〜1になる比率が挙げられる。
【0047】
(第2粘着剤層)
上述した基材2の他面22に積層されている第2粘着剤層4は、被着体が被加工物であり、第2感圧性接着剤および第2側鎖結晶性ポリマーを含有し、第2側鎖結晶性ポリマーの融点以上の温度で粘着力が低下する感温性粘着剤層である。
【0048】
第2感圧性接着剤は、その重量平均分子量が、上述した第1感圧性接着剤の重量平均分子量よりも大きいのが好ましい。これにより、第2粘着剤層4の凝集力が第1粘着剤層3の凝集力よりも向上することから、被加工物を保持する保持力が向上し、結果として被加工物をテープ1とともに台座から剥離するときに、被加工物がテープ1から脱落するのを抑制することができる。
【0049】
第2感圧性接着剤の重量平均分子量としては、30万〜70万であるのが好ましく、40万〜60万であるのがより好ましく、この数値範囲内で、第2感圧性接着剤の重量平均分子量を、第1感圧性接着剤の重量平均分子量よりも大きくするのが好ましい。これにより、被加工物をテープ1から剥離したときに糊残りが発生するのを抑制しつつ、上述した効果を得ることができる。
【0050】
第2感圧性接着剤の組成等は、上述した第1感圧性接着剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第2感圧性接着剤のその他の構成は、上述した第1感圧性接着剤と同様であるので、説明を省略する。
【0051】
一方、第2側鎖結晶性ポリマーは、上述した第1側鎖結晶性ポリマーと同様に、その融点が45℃以上55℃未満であるのが好ましい。また、第2側鎖結晶性ポリマーの重量平均分子量は、3,000〜30,000であるのが好ましく、5,000〜20,000であるのがより好ましく、6,000〜11,000であるのがさらに好ましい。第2側鎖結晶性ポリマーは、固形分換算で第2感圧性接着剤100重量部に対して0.5〜10重量部の割合で配合されているのが好ましく、0.5〜5重量部の割合で配合されているのがより好ましい。
【0052】
第2側鎖結晶性ポリマーの融点、組成、重量平均分子量、配合量等は、上述した第1側鎖結晶性ポリマーと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第2側鎖結晶性ポリマーのその他の構成は、上述した第1側鎖結晶性ポリマーと同様であるので、説明を省略する。
【0053】
上述した第2感圧性接着剤および第2側鎖結晶性ポリマーを含有する第2粘着剤層4は、その厚さが、上述した第1粘着剤層3の厚さよりも小さいのが好ましい。言い換えれば、第1粘着剤層3の厚さが、第2粘着剤層4の厚さよりも大きいのが好ましい。本実施形態では、第1粘着剤層3の厚さが、第2粘着剤層4の厚さよりも大きく構成されている。このような構成によれば、テープ1を介して被加工物を台座に押し付けたとき、台座に貼着する厚肉の第1粘着剤層3が台座の表面形状に沿って拡がり、接触面積が大きくなることから、被加工物の仮固定状態を安定させることができる。また、被加工物に貼着する薄肉の第2粘着剤層4が、テープ1の外周部からはみ出し難くなることから、はみ出した余分な第2粘着剤層4によって被加工物が汚染されるのを抑制することができる。
【0054】
第2粘着剤層4の厚さとしては、5〜40μmであるのが好ましく、5〜20μmであるのがより好ましく、5〜15μmであるのがさらに好ましく、この数値範囲内で、第1粘着剤層3の厚さを、第2粘着剤層4の厚さよりも大きくするのが好ましい。
【0055】
なお、第2粘着剤層4には、第1粘着剤層3と同様に、架橋剤を添加するのが好ましい。架橋剤は、固形分換算で第2感圧性接着剤100重量部に対して0.1〜10重量部の割合で添加するのが好ましく、0.1〜5重量部の割合で添加するのがより好ましく、0.1〜1重量部の割合で添加するのがさらに好ましい。
【0056】
上述した第2粘着剤層4における第2感圧性接着剤、第2側鎖結晶性ポリマーおよび架橋剤の特に好ましい配合としては、これらが重量比で、第2感圧性接着剤:第2側鎖結晶性ポリマー:架橋剤=100:1〜5:0.4〜0.6になる比率が挙げられる。
第2粘着剤層4のその他の構成は、上述した第1粘着剤層3と同様であるので、説明を省略する。
【0057】
上述した本実施形態のテープ1は、第1粘着剤層3の表面31に積層されている第1セパレーター5、および第2粘着剤層4の表面41に積層されている第2セパレーター6をさらに備えている。これにより、第1粘着剤層3の表面31および第2粘着剤層4の表面41をそれぞれ保護することができる。
【0058】
第1セパレーター5および第2セパレーター6としては、例えばポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等からなるフィルムの表面に、シリコーン、フッ素等の離型剤を塗布したものが挙げられる。また、第1セパレーター5および第2セパレーター6のそれぞれの厚さとしては、10〜110μmであるのが好ましい。
【0059】
第1セパレーター5および第2セパレーター6は、互いの組成、厚さ等が同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施形態では、第1セパレーター5はポリエチレンフィルムの表面にシリコーンを塗布したものであり、第2セパレーター6はポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にシリコーンを塗布したものである。また、本実施形態では、第1セパレーター5の厚さが、第2セパレーター6の厚さよりも大きい。
【0060】
本実施形態のテープ1は、第1粘着剤層3の23℃における180°剥離強度が2〜16N/25mmであるのが好ましく、6〜12N/25mmであるのがより好ましい。これにより、台座に対する固定力を得ることができる。第1粘着剤層3の180°剥離強度は、23℃の雰囲気温度におけるポリエチレンテレフタレートフィルムに対する180°剥離強度をJIS Z0237に準じて測定して得られる値である。
【0061】
また、本実施形態のテープ1は、第2粘着剤層4の23℃における180°剥離強度が0.5〜10N/25mmであるのが好ましく、1〜3.5N/25mmであるのがより好ましい。これにより、サファイアガラス等の被加工物に対する固定力を得ることができる。第2粘着剤層4の180°剥離強度は、23℃の雰囲気温度におけるサファイアガラスに対する180°剥離強度をJIS Z0237に準じて測定して得られる値である。
【0062】
<被加工物の仮固定方法>
次に、本発明の一実施形態に係る被加工物の仮固定方法について、上述したテープ1を用いる場合を例にとって、
図2を参照して詳細に説明する。
【0063】
本実施形態では、まず、
図2(a)に示すように、テープ1を介して台座100上に被加工物200を仮固定している状態から、
図2(b)に示すように、被加工物200をテープ1とともに台座100から剥離する。
【0064】
具体的に説明すると、被加工物200としては、所望のものを採用することができ、特に限定されないが、LED基板の素材であるサファイアガラス等が好適である。本実施形態の被加工物200は、サファイアガラスである。また、台座100としては、例えばセラミック製のものが挙げられる。
【0065】
被加工物200は、
図2(a)に示すように、第1粘着剤層3を台座100に、第2粘着剤層4を被加工物200にそれぞれ貼着させた状態のテープ1を介して、台座100上に仮固定されている。これにより、被加工物200を研磨加工等しても、発泡剤由来の凹凸が被加工物200に転写されて歩留りが低下するのを抑制することができる。
【0066】
そして、テープ1を、上述した第1側鎖結晶性ポリマーの融点以上の温度であり且つ発泡剤が膨張ないし発泡する温度に加熱する。これにより、第1側鎖結晶性ポリマーが融点以上の温度で流動性を示し、さらに発泡剤が膨脹ないし発泡することから、第1粘着剤層3の粘着力を十分に低下させることができる。その結果、
図2(b)に示すように、被加工物200をテープ1とともに台座100から矢印A方向へスムーズに剥離することができ、それゆえ剥離の際に外力が加わることによって被加工物200が破損して歩留りが低下するのを抑制することができる。テープ1を加熱する加熱手段としては、例えばヒータ等が挙げられる。
【0067】
なお、第1粘着剤層3の粘着力の低下に伴って、第2粘着剤層4においても、通常、含有している第2側鎖結晶性ポリマーの融点以上の温度になって粘着力が低下するが、その粘着力は完全には消失しないことから、大きな外力が加わらない限り被加工物200を第2粘着剤層4によって固定し続けることができる。
【0068】
被加工物200をテープ1とともに台座100から剥離した後、テープ1を、第2側鎖結晶性ポリマーの融点以上の温度に加熱して第2粘着剤層4の粘着力を低下させ、
図2(c)に示すように、被加工物200をテープ1から矢印B方向へ剥離する。このとき、テープ1によれば被加工物200に糊残りが発生し難いことから、洗浄工程を簡易化または省略することができる。
【0069】
以下、合成例および実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の合成例および実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の説明で「部」は重量部を意味する。
【0070】
(合成例1:第1感圧性接着剤)
2−エチルヘキシルアクリレートを52部、メチルアクリレートを40部、2−ヒドロキシエチルアクリレートを8部、および重合開始剤としてパーブチルND(日油社製)を0.3部の割合で、それぞれトルエン200部に加え、60℃で5時間攪拌して、これらのモノマーを重合させた。得られた共重合体の重量平均分子量は25万であった。
【0071】
(合成例2:第2感圧性接着剤)
攪拌時の温度を60℃に代えて55℃にし、パーブチルND(日油社製)を0.3部に代えて0.2部にし、溶剤をトルエンに代えて酢酸エチル:ヘプタン=7:3(重量比)にした以外は、合成例1と同様にして、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレートおよび2−ヒドロキシエチルアクリレートを重合させた。得られた共重合体の重量平均分子量は45万であった。
【0072】
(合成例3:第1,第2側鎖結晶性ポリマー)
ベヘニルアクリレートを40部、ステアリルアクリレートを35部、メチルアクリレートを20部、アクリル酸を5部、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタンを6部、および重合開始剤としてパーヘキシルPV(日油社製)を1.0部の割合で、それぞれトルエン100部に加え、80℃で5時間攪拌して、これらのモノマーを重合させた。得られた共重合体の重量平均分子量は8,000、融点は50℃であった。
【0073】
合成例1〜3の各共重合体を表1に示す。なお、重量平均分子量は、共重合体をGPCで測定し、得られた測定値をポリスチレン換算することによって得た。融点は、共重合体をDSCで10℃/分の測定条件で測定することによって得た。
【実施例】
【0075】
<両面粘着テープの作製>
まず、合成例1〜3で得た各共重合体、発泡剤および架橋剤を表2に示す組み合わせで混合して混合物を得た。表2中、比率は、固形分換算した重量比を示す。
【0076】
合成例1〜3で得た各共重合体と、表2中の第1,第2感圧性接着剤、および第1,第2側鎖結晶性ポリマーとの関係は、以下のとおりである。
第1感圧性接着剤:合成例1
第2感圧性接着剤:合成例2
第1側鎖結晶性ポリマー:合成例3
第2側鎖結晶性ポリマー:合成例3
【0077】
使用した発泡剤および架橋剤は、以下のとおりである。
発泡剤:平均粒径が6〜9μmであり、発泡開始温度が90℃以上であるEXPANCEL社製のマイクロバルーン発泡剤「461DU20」
架橋剤:日本ポリウレタン工業社製のイソシアネート化合物「コロネートL−45E」
【0078】
次に、得られた混合物を酢酸エチルによって固形分が30重量%となるように調整し、塗布液を得た。そして、得られた塗布液をポリエチレンテレフタレートからなる厚さ100μmのフィルム状の基材に塗布して乾燥させ、両面粘着テープを得た。乾燥は、ヒータを使用して第1,第2粘着剤層毎に行った。乾燥条件は、以下のとおりである。
第1粘着剤層:80℃×10分
第2粘着剤層:100℃×10分
【0079】
得られた両面粘着テープにおいて、第1,第2粘着剤層のそれぞれの厚さは、以下のとおりである。
第1粘着剤層の厚さ:20μm
第2粘着剤層の厚さ:10μm
【0080】
<評価>
得られた両面粘着テープについて、剥離強度、発泡剥離性、糊残り性および研磨性を評価した。各評価方法を以下に示すとともに、その結果を表2に示す。
【0081】
(剥離強度)
第1,第2粘着剤層の23℃の雰囲気温度における180°剥離強度を評価した。まず、23℃の雰囲気温度において、第1粘着剤層を上側にし、第2粘着剤層を市販両面テープを介してステンレス鋼板に固定した。次に、第1粘着剤層に厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを貼着した。そして、ロードセルを用いて300mm/分の速度でポリエチレンテレフタレートフィルムを第1粘着剤層から180°剥離した。このときの180°剥離強度をJIS Z0237に準拠して測定し、第1粘着剤層の23℃の雰囲気温度における180°剥離強度を評価した。第2粘着剤層の23℃における180°剥離強度は、第2粘着剤層を介して両面粘着テープをサファイアガラスに貼着し、両面粘着テープをサファイアガラスから180°剥離した以外は、第1粘着剤層と同様にして評価した。各評価結果を、表2中の「剥離強度」の欄にそれぞれ示す。
【0082】
(発泡剥離性)
まず、23℃の雰囲気温度において、第1粘着剤層を介して両面粘着テープをセラミック板に貼着した。次に、第1側鎖結晶性ポリマーの融点以上の温度であり且つ発泡剤が膨張ないし発泡する温度である130℃にまで雰囲気温度を昇温した。このとき、両面粘着テープがセラミック板からテープの自重のみによって剥離するか否かを目視観察した。なお、評価基準は、以下のように設定した。
○:120秒以内に剥離した。
△:120秒を超え、かつ300秒以内に剥離した。
×:300秒以内に剥離しなかった。
【0083】
(糊残り性)
まず、23℃の雰囲気温度において、両面粘着テープの各面をサファイアガラスに貼着した。次に、第1粘着剤層については雰囲気温度130℃で両面粘着テープを発泡剥離し、第2粘着剤層については雰囲気温度60℃で両面粘着テープを剥離した。そして、剥離後のサファイアガラスの表面を目視観察することによって、糊残り性(残渣)を評価した。なお、評価基準は、以下のように設定した。
○:サファイアガラスに若干の糊残り(残渣)が観察されたが、実使用上は問題のない範囲であった。
△:サファイアガラスに糊残り(残渣)が観察された。
×:サファイアガラスに多量の糊残り(残渣)が観察された。
【0084】
(研磨性)
まず、23℃の雰囲気温度において、第1粘着剤層を介して両面粘着テープを研磨機の定盤に貼着した。次に、第2粘着剤層を介して厚さ635μmのサファイアガラスからなる板状の被加工物を両面粘着テープに貼着した。そして、研磨条件を以下のように設定した。
研磨機:定盤サイズ36インチ
研磨圧力:170kgf/軸
定盤回転数:45rpm
スラリー:コロイダルシリカ
研磨布:不織布タイプ
雰囲気温度:23℃
研磨時発熱温度範囲:23〜45℃
【0085】
上述の研磨条件で、被加工物を厚さ620μmにまで研磨した。このとき、第1,第2粘着剤層にズレが生じたか否かを目視観察することによって研磨性を評価した。なお、目視観察は、研磨中ないし研磨後に行った。また、評価基準は、以下のように設定した。
○:第1,第2粘着剤層のいずれにもズレが生じなかった。
×:第1,第2粘着剤層のうち少なくとも一方にズレが生じた。
【0086】
【表2】