(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。ただし、以下に示す各実施形態は、本発明の技術思想を理解するために例示するものであって、本発明をこの実施形態に特定することを意図するものではない。本発明は、特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。
【0013】
[実施形態及び比較例の非水電解質二次電池]
最初に、実施形態及び比較例に共通する非水電解質二次電池の構成を
図1〜
図3を用いて説明する。この非水電解質二次電池10は、
図3に示したように、正極板11と負極板12とがセパレータ13を介して互いに絶縁された状態で巻回された偏平状の巻回電極体14(実施形態)、14A(比較例)を有している。この偏平状の巻回電極体14、14Aの最外面側は、セパレータ13で被覆されているが、負極板12が正極板11よりも外周側となるようになされている。
【0014】
正極板11は、厚さが10〜20μm程度のアルミニウム又はアルミニウム合金箔からなる正極芯体の両面に、幅方向の一方側の端部に沿って正極芯体が帯状に露出した状態となるように、正極合剤層11aが形成されている。この帯状に露出した正極芯体部分が正極芯体露出部15となる。負極板12は、厚さが5〜15μm程度の銅又は銅合金箔からなる負極芯体の両面に、幅方向の一方側の端部に沿って負極芯体が帯状に露出した状態となるように、負正極合剤層12aが形成されている。この帯状に露出した負極芯体部分が負極芯体露出部16となる。なお、正極芯体露出部15ないし負極芯体露出部16は、それぞれ正極板11ないし負極板12の幅方向の両側の端部に沿って形成してもよい。
【0015】
これらの正極板11及び負極板12を、正極芯体露出部15と負極芯体露出部16とがそれぞれ対向する電極の合剤層と重ならないようにずらし、セパレータ13を挟んで互いに絶縁した状態で偏平状に巻回することにより、偏平状の巻回電極体14、14Aが作製される。なお、実施形態の偏平状の巻回電極体14及び比較例の偏平状の巻回電極体14Aの具体的構成の差異は、後述する。
【0016】
偏平状の巻回電極体14、14Aは、
図2A、
図2B及び
図3に示したように、一方の端には複数枚積層された正極芯体露出部15を備え、他方の端には複数枚積層された負極芯体露出部16を備えている。セパレータ13としては、好ましくはポリオレフィン製の微多孔性膜が二枚あるいは長尺状の一枚を折畳んで使用されており、その幅は正極合剤層11aを被覆できるとともに負極合剤層12aの幅よりも大きいものが使用されている。
【0017】
複数枚積層された正極芯体露出部15は、正極集電体17を介して正極端子18に電気的に接続されている。正極集電体17と正極端子18との間には、電池の内部で発生したガス圧によって作動する電流遮断機構27が設けられている。複数枚積層された負極芯体露出部16は、負極集電体19を介して負極端子20に電気的に接続されている。
【0018】
正極端子18、負極端子20は、
図1A、
図1B及び
図2Aに示したように、それぞれ絶縁部材21、22を介して封口体23に固定されている。封口体23には、電流遮断機構27の作動圧よりも高いガス圧が加わったときに開放されるガス排出弁28も設けられている。正極集電体17、正極端子18及び封口体23は、それぞれアルミニウム又はアルミニウム合金製のものが用いられている。負極集電体19及び負極端子20は、それぞれ銅又は銅合金製のものが用いられている。
【0019】
偏平状の巻回電極体14、14Aは、封口体23側を除く周囲に樹脂材料から形成された絶縁シート24が介在され、一面が開放された角形外装体25内に挿入されている。角形外装体25は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金製のものが用いられる。封口体23は、角形外装体25の開口部に嵌合され、封口体23と角形外装体25との嵌合部がレーザ溶接されている。角形外装体25内には電解液注液口26から非水電解液が注液され、この電解液注液口26は例えばブラインドリベットにより密閉されている。
【0020】
非水電解質二次電池10は、単独であるいは複数個が直列、並列ないし直並列に接続されて各種用途で使用される。なお、この非水電解質二次電池10を車載用途等において複数個直列ないし並列に接続して使用する際には、別途正極外部端子及び負極外部端子を設けてそれぞれの電池をバスバーで接続するとよい。
【0021】
非水電解質二次電池10で用いられている偏平状の巻回電極体14、14Aは、電池容量が20Ah以上の高容量及び高出力特性が要求される用途に用いられるものであり、例えば正極板11の巻回数が43回、すなわち、正極板11の総積層枚数は86枚と多くなっている。なお、巻回数が15回以上、すなわち、総積層枚数が30枚以上であれば、電池サイズを必要以上に大型化せずに容易に電池容量を20Ah以上とすることができる。
【0022】
このように正極芯体露出部15ないし負極芯体露出部16の総積層枚数が多いと、正極芯体露出部15に正極集電体17を、負極芯体露出部16に負極集電体19を、それぞれ抵抗溶接により取り付ける際に、多数積層された正極芯体露出部15ないし負極芯体露出部16の全積層部分にわたって貫通するような溶接痕15a、16aを形成するには多大な溶接電流が必要である。
【0023】
そのため、
図2A〜
図2Cに示すように、正極板11側では、巻回されて積層された複数枚の正極芯体露出部15は、厚み方向の中央部に収束されてさらに2分割され、偏平状の巻回電極体の厚みの1/4を中心として収束され、その間に正極用中間部材30が配置されている。正極用中間部材30は樹脂材料からなる基体に導電性の正極用導電部材29が複数個、例えば2個保持されている。正極用導電部材29は、例えば円柱状のものが用いられ、それぞれ積層された正極芯体露出部15と対向する側に、プロジェクションとして作用する円錐台状の突起が形成されている。
【0024】
負極板12側では、巻回されて積層された複数枚の負極芯体露出部16は、厚み方向の中央側に収束されてさらに分割され、偏平状の巻回電極体の厚みの1/4を中心として収束され、その間に負極用中間部材32が配置されている。負極用中間部材32は、樹脂材料からなる基体に負極用導電部材31が複数個、ここでは2個が保持されている。負極用導電部材31は、例えば円柱状のものが用いられ、それぞれ積層された負極芯体露出部16と対向する側に、プロジェクションとして作用する円錐台状の突起が形成されている。
【0025】
また、正極用導電部材29の両側に位置する正極芯体露出部15の最外側の両側の表面にはそれぞれ正極集電体17が配置されており、負極用導電部材31の両側に位置する負極芯体露出部16の最外側の両側の表面にはそれぞれ負極集電体19が配置されている。なお、正極用導電部材29は正極芯体と同じ材料であるアルミニウム又はアルミニウム製のものが好ましく、負極用導電部材31は負極芯体と同じ材料である銅又は銅合金製のものが好ましい。正極用導電部材29及び負極用導電部材31の形状は、同じであっても異なっていてもよい。
【0026】
実施形態及び比較例の偏平状の巻回電極体14、14Aにおける正極芯体露出部15、正極集電体17、正極用導電部材29を有する正極用中間部材30を用いた抵抗溶接方法、及び、負極芯体露出部16、負極集電体19、負極用導電部材31を有する負極用中間部材32を用いた抵抗溶接方法は、既に周知であるので、その詳細な説明は省略する。
【0027】
このように正極芯体露出部15ないし負極芯体露出部16を2分割すると、多数積層された正極芯体露出部15ないし負極芯体露出部16の全積層部分にわたって貫通するような溶接痕を形成するために必要な溶接電流は、2分割しない場合と比すると小さくて済むので、抵抗溶接時のスパッタの発生が抑制され、スパッタに起因する偏平状の巻回電極体14の内部短絡などのトラブルの発生が抑制される。
図2Aには、正極集電体17に抵抗溶接により形成された2箇所の溶接跡33が示されており、負極集電体19にも2箇所の溶接跡34が示されている。
【0028】
次に、非水電解質二次電池10における正極板11、負極板12、偏平状の巻回電極体14、14A及び非水電解液の具体的製造方法ないし組成について説明する。
【0029】
[正極板の作製]
正極活物質としては、LiNi
0.35Co
0.35Mn
0.30O
2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を用いた。このリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物と、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、炭酸リチウムとを、それぞれ質量比で87:9:3:1となるように秤量し、分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と混合して正極合剤スラリーを調製した。
【0030】
炭酸リチウムは、正極合剤に対して、0.1〜5.0質量%含有させることが好ましい。正極合剤における炭酸リチウムの含有量が0.1質量%未満であると、炭酸リチウムからの炭酸ガスの発生が少なく、電流遮断機構を迅速に作動させ難くなる。正極合剤における炭酸リチウムの含有量が5.0質量%を超えると、電極反応に関与しない炭酸リチウムの割合が過度に多くなり、電池容量の低下が大きくなる。
【0031】
正極芯体としては厚さ15μmのアルミニウム箔を用い、上記の方法で作製した正極合剤スラリーを、正極芯体の両面にダイコーターによって塗布した。ただし、正極芯体の長手方向に沿う一方の端部(両面ともに同一方向の端部)にはスラリーを塗布せず、その芯体を露出させて、正極芯体露出部15を形成した。次いで、乾燥して分散媒としてのNMPを除去し、ロールプレスによって所定厚さとなるように圧縮し、得られた極板を予め定めた所定寸法に切り出し、実施形態及び比較例に共通して使用する正極板11を作製した。
【0032】
[負極板の作製]
負極板は次のようにして作製したものを用いた。黒鉛粉末98質量部、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)1質量部、結着剤としてのスチレン−ブタジエンゴム(SBR)1質量部を水に分散させ負極合剤スラリーを調製した。この負極合剤スラリーを厚さ10μmの銅箔からなる負極集電体の両面にダイ負極芯体の長手方向に沿う一方の端部(両面ともに同一方向の端部)にはスラリーを塗布せず、その芯体を露出させて、負極芯体露出部16を形成した。次いで、乾燥し、ロールプレスによって所定厚さとなるように圧縮し、得られた極板を予め定めた所定寸法に切り出し、実施形態及び比較例に共通して使用する負極板12を作製した。
【0033】
[非水電解液の調製]
非水電解液としては、溶媒としてエチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とを体積比(25℃、1気圧)で3:7の割合で混合した混合溶媒に電解質塩としてLiPF
6を1mol/Lとなるように添加し、さらに全非水電解質質量に対してビニレンカーボネートVCを0.3質量%添加したものを用いた。
【0034】
[偏平状の巻回電極体の作製]
上述ようにして作製された負極板12及び正極板11を、最外面側が負極板12となるようにして、それぞれセパレータ13を介して互いに絶縁された状態で巻回した後、偏平状に成形して偏平状の巻回電極体14、14Aを作製した。実施形態の偏平状の巻回電極体14の斜視図は
図4Aに示したとおりであり、
図4AのIVB−IVB線に沿った模式断面図は
図4Bに示したとおりとなる。また、比較例の偏平状の巻回電極体14Aの斜視図は
図5Aに示したとおりであり、
図5AのVB−VB線に沿った模式断面図は
図5Bに示したとおりである。ただし、
図4B及び
図5Bにおいては、最外面側の負極板及びセパレータは、図示省略してある。
【0035】
実施形態の偏平状の巻回電極体14における最外面側の負極板及びセパレータの巻き終り端は、何れも
図4Bに示した正極板11の場合と同様に、天面側を向いている。それに対し、比較例の偏平状の巻回電極体14における最外面側の負極板及びセパレータの巻き終り端は、何れも
図5Bに示した正極板11の場合と同様に、下方を向いている。
【0036】
[過充電試験]
このようにして作製された実施形態の偏平状の巻回電極体14及び比較例の巻回電極体14Aを用いて、それぞれ
図1及び
図2に示した構成の非水電解質二次電池を作製し、過充電試験を行った。充電は、電池電圧が4.2Vに達するまで1Itの定電流で定電流充電を行い、電池電圧が4.2Vに達した後は、4.2Vの定電圧で72時間定電圧充電を継続した。
【0037】
実施形態の非水電解質二次電池及び比較例の非水電解質二次電池とも発煙及び発熱は生じなかった。しかし、比較例の非水電解質二次電池は、実施形態の非水電解質二次電池よりも天面側の電池側面の脹れが大きくなっていることが確認された。
【0038】
このような現象は、次のような理由によるものと考えられる。正極合剤層内に炭酸リチウムが含有されていると、正極板から発生した炭酸ガス(CO
2)は、偏平状の巻回電極体内を天面側に向かって上昇する。その後、偏平状の巻回電極体内の天面側に溜まった炭酸ガスは、偏平状の巻回電極体の巻回軸方向に沿って移動し、偏平状の巻回電極体の外部へ移動する。
【0039】
正極合剤層の表面に炭酸ガスが留まると、この部分では電流が流れないため、過充電状態は停止される。そうすると、この部分からは炭酸ガスの発生が止まり、圧力検知式の電流遮断機構の作動が遅れる懸念がある。
【0040】
最外面側の正極板、負極板及びセパレータの巻き終り端は、実施形態の偏平状の巻回電極体14では何れも天面側を向いているが、比較例の偏平状の巻回電極体14Aでは何れも下方を向いている。そのため、比較例の偏平状の巻回電極体14Aでは、実施形態の偏平状の巻回電極体14の場合よりも偏平状の巻回電極体の内部に留まる炭酸ガスの量は多くなる。これにより、比較例の非水電解質二次電池は、実施形態の非水電解質二次電池よりも天面側の電池側面の膨化が大きくなったものと考えられる。実施形態の偏平状の巻回電極体14を使用した非水電解質二次電池では、偏平状の巻回電極体14内に留まる炭酸ガスの量が少なくなる。すなわち、炭酸ガスの発生量を多くすることができるので、電池の内圧が大幅に上昇する前に迅速にかつ確実に圧力感応式の電流遮断機構を作動させることができるようになり、過充電時の安全性が非常に良好となる。
【0041】
なお、偏平状の巻回電極体の最外周に位置するセパレータの巻き終り部に巻き止めテープを貼り付けることもできる。この場合、巻回電極体内で発生したガスの圧力によりセパレータと巻き止めテープの間に隙間が生じ、この隙間を通じてガスが巻回電極体の外部に抜ける。
【0042】
巻き止めテープとしては、基材表面に粘着層が形成されているものを用いることが好ましい。基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン(PP)、ポリアリレート、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリ4フッ化エチレン等のフィルム、あるいはそれらの複合体等が挙げられる。なかでも、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミドが好ましい。粘着層としては、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、アクリル系粘着剤、アクリレート系接着剤等を用いることができる。なかでも、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤が好ましい。
【0043】
粘着層としては、非水電解質に含まれる非水溶媒に触れることにより粘着性が低下するものが好ましい。これにより、非水電解質と共に巻回電極体が角形外装体に収納された状態では、巻回電極体から巻き止めテープが剥がれ易くなっている。したがって、巻回電極体内でガスが発生した場合、巻き止めテープに邪魔されることなく、巻回電極体からガスが容易に天面方向に排出される。粘着層がゴム系粘着剤からなると、非水溶媒に触れたゴム系粘着剤は膨潤し、巻き止めテープは巻回電極体から容易に剥がれる状態となる。したがって、粘着層としてはゴム系粘着剤が最も好ましい。
【0044】
なお、本発明の非水電解質二次電池で使用し得る正極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出することが可能な化合物であれば適宜選択して使用できる。これらの正極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出することが可能なLiMO
2(但し、MはCo、Ni、Mnの少なくとも1種である)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物、すなわち、LiCoO
2、LiNiO
2、LiNi
yCo
1−yO
2(y=0.01〜0.99)、LiMnO
2、LiCo
xMn
yNi
zO
2(x+y+z=1)や、LiMn
2O
4又はLiFePO
4などを一種単独もしくは複数種を混合して用いることができる。さらには、リチウムコバルト複合酸化物にジルコニウムやマグネシウム、アルミニウムなどの異種金属元素を添加したものも使用し得る。
【0045】
非水電解質の溶媒としては、特に限定されるものではなく、非水電解質二次電池に従来から用いられてきた溶媒を使用することができる。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート(VC)などの環状カーボネート;ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)などの鎖状カーボネート;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステルを含む化合物;、プロパンスルトンなどのスルホン基を含む化合物;1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,2−ジオキサン、1,4−ジオキサン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテルを含む化合物;ブチロニトリル、バレロニトリル、n−ヘプタンニトリル、スクシノニトリル、グルタルニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、1,2,3−プロパントリカルボニトリル、1,3,5−ペンタントリカルボニトリルなどのニトリルを含む化合物;ジメチルホルムアミドなどのアミドを含む化合物などを用いることができる。特に、これらのHの一部がFにより置換されている溶媒が好ましく用いられる。また、これらを単独又は複数組み合わせて使用することができ、特に環状カーボネートと鎖状カーボネートとを組み合わせた溶媒や、さらにこれらに少量のニトリルを含む化合物やエーテルを含む化合物が組み合わされた溶媒が好ましい。
【0046】
また、非水電解質の非水系溶媒としてイオン性液体を用いることもでき、この場合、カチオン種、アニオン種については特に限定されるものではないが、低粘度、電気化学的安定性、疎水性の観点から、カチオンとしては、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、4級アンモニウムカチオンを、アニオンとしては、フッ素含有イミド系アニオンを用いた組合せが特に好ましい。
【0047】
さらに、非水電解質に用いる溶質としても、従来から非水電解質二次電池において一般に使用されている公知のリチウム塩を用いることができる。そして、このようなリチウム塩としては、P、B、F、O、S、N、Clの中の一種類以上の元素を含むリチウム塩を用いることができ、具体的には、LiPF
6、LiBF
4、LiCF
3SO
3、LiN(FSO
2)
2、LiN(CF
3SO
2)
2、LiN(C
2F
5SO
2)
2、LiN(CF
3SO
2)(C
4F
9SO
2)、LiC(C
2F
5SO
2)
3、LiAsF
6、LiClO
4、LiPF
2O
2などのリチウム塩及びこれらの混合物を用いることができる。特に、非水電解質二次電池における高率充放電特性や耐久性を高めるためには、LiPF
6を用いることが好ましい。
【0048】
また、溶質としては、オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩を用いることもできる。このオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩としては、LiBOB(リチウム−ビスオキサレートボレート)の他、中心原子にC
2O
42−が配位したアニオンを有するリチウム塩、例えば、Li[M(C
2O
4)
xR
y](式中、Mは遷移金属、周期律表の13族,14族,15族から選択される元素、Rはハロゲン、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基から選択される基、xは正の整数、yは0又は正の整数である。)で表わされるものを用いることができる。具体的には、Li[B(C
2O
4)F
2]、Li[P(C
2O
4)F
4]、Li[P(C
2O
4)
2F
2]などがある。ただし、高温環境下においても負極の表面に安定な被膜を形成するためには、LiBOBを用いることが最も好ましい。
【0049】
なお、上記溶質は、単独で用いるのみならず、2種以上を混合して用いても良い。また、溶質の濃度は特に限定されないが、非水電解液1リットル当り0.8〜1.7モルであることが望ましい。更に、大電電流での放電を必要とする用途では、上記溶質の濃度が非水電解液1リットル当たり1.0〜1.6モルであることが望ましい。
【0050】
本発明の一局面の非水電解質二次電池において、その負極に用いる負極活物質は、リチウムを可逆的に吸蔵・放出できるものであれば特に限定されず、例えば、炭素材料や、リチウム金属、リチウムと合金化する金属或いは合金材料や、金属酸化物などを用いることができる。なお、材料コストの観点からは、負極活物質に炭素材料を用いることが好ましく、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェーズピッチ系炭素繊維(MCF)、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス、ハードカーボンなどを用いることができる。特に、高率充放電特性を向上させる観点からは、負極活物質として、黒鉛材料を低結晶性炭素で被覆した炭素材料を用いることが好ましい。
【0051】
セパレータとしては、従来から非水電解質二次電池において一般に使用されている公知のものを用いることができる。具体的には、ポリエチレンからなるセパレータのみならず、ポリエチレンの表面にポリプロピレンからなる層が形成されたものや、ポリエチレンのセパレータの表面にアラミド系の樹脂が塗布されたものを用いても良い。
【0052】
正極とセパレータとの界面ないし負極とセパレータとの界面には、従来から用いられてきた無機物のフィラーを含む層を形成することができる。このフィラーとしても、従来から用いられてきたチタン、アルミニウム、ケイ素、マグネシウムなどを単独もしくは複数用いた酸化物やリン酸化合物、またその表面が水酸化物などで処理されているものを用いることができる。また、このフィラー層の形成は、正極、負極、あるいはセパレータに、フィラー含有スラリーを直接塗布して形成する方法や、フィラーで形成したシートを、正極、負極、あるいはセパレータに貼り付ける方法などを用いることができる。
【0053】
[その他の発明1]
その他の発明1に係る非水電解質二次電池は、
正極芯体上に正極合剤層が形成された正極板と、
負極芯体上に負極合剤層が形成された負極板と、
前記正極板及び前記負極板がセパレータを挟んで互いに絶縁された状態で巻回された巻回電極体と、
非水電解質と、
前記正極板及び前記負極板の少なくとも一方に電気的に接続された圧力感応式の電流遮断機構と、
外装体と、を有し、
前記正極合剤層内には炭酸リチウムが含有されており、
前記非水電解質にリチウムビス(オキサラト)ホウ酸塩(Li[B(C
2O
4)
2])が含有されたものを用いる。
【0054】
非水電解質二次電池は、充放電を繰り返すと抵抗上昇により正極・負極電位の不均一化が生じる。このため、充放電サイクル後は、電池が過充電状態になっても、炭酸リチウムの分解反応が不均一になるため、圧力検知式の電流遮断機構が迅速に作動し難くなる虞がある。
【0055】
これに対し、その他の発明1によると、リチウムビス(オキサラト)ホウ酸塩(LiBOB)を含有する非水電解質を用いているため、正極もしくは負極活物質の表面上に薄くて極めて安定したリチウムイオン伝導層からなる安定な保護層が形成される。この保護膜の存在に起因して、充放電を繰り返しても正極板の反応抵抗の増加が抑制され、正極板の電位分布のムラが小さくなる。そのため、電池が過充電状態となった際、正極板に含まれる炭酸リチウムが均一に分解し易くなり、炭酸ガスが正極板の表面全体から均一に発生するようになる。これにより、過充電時に電池の内圧が大幅に上昇する前に迅速にかつ確実に圧力感応式の電流遮断機構を作動させることができるようになり、過充電時の安全性が非常に良好となる。なお、その他の発明1においては、偏平状の巻回電極体の巻き終り部の正極板、負極板及びセパレータの向きについては特に限定されない。
【0056】
正極合剤層中の炭酸リチウム濃度は正極合剤質量に対して0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。また、非水電解質中のLiBOBの含有量は、非水電解質の調製時おいて、正極合剤質量に対して0.5質量%以上3質量%以下であることが好ましく、2.2質量%以上3質量%以下であることがより好ましい。
【0057】
LiBOBは、その添加量によっては初期の充放電時に全てのLiBOBが正極もしくは負極活物質の表面の保護被膜形成に消費されてしまい、非水電解液中に実質的にLiBOBが存在しない場合が生じることがあるが、この場合も本発明に含まれる。従って、非水電解質二次電池に対して初回の充電を行なう前の状態で、非水電解液中にLiBOBが含有されていればよい。
【0058】
[参考実験]
次に、実験例1〜6のそれぞれの非水電解質二次電池における正極板及び非水電解液の具体的製造方法ないし組成について説明する。なお、正極板及び非水電解液以外の構成は、上記実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0059】
[正極板の作製]
(実験例1〜3及び6用)
リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi
0.35Co
0.35Mn
0.30O
2)と、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、それぞれ質量比で88:9:3となるように秤量し、分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と混合して正極合剤スラリーを調製した。この正極合剤スラリーを用いて、上記実施形態と同様の方法で正極板を作製した。
【0060】
(実験例4、5用)
実験例4及び5用の正極板としては、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi
0.35Co
0.35Mn
0.30O
2)と、炭素粉末と、PVdFとを、それぞれ質量比で88:9:3となるように秤量し、さらにこれらの合計量(正極合剤の全質量)に対して炭酸リチウムを0.93質量%となるように添加し、NMPと混合して調製した正極合剤スラリーを用いた以外は、実験例1〜3及び6の場合と同様にして作製したものを用いた。
【0061】
[非水電解液の調製]
(実験例1〜3用)
溶媒としてエチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とを体積比(25℃、1気圧)で3:7の割合で混合した混合溶媒に電解質塩としてLiPF
6を1mol/Lとなるように添加したものを用い、さらにこれらの全質量に対してビニレンカーボネートVCを0.3質量%添加したものを基本非水電解液として用意した。実験例1〜3用の非水電解液としては、この基本非水電解液中に、正極合剤の全質量に対して、LiBOBを1.8質量%(実験例1)、2.2質量%(実験例2)及び2.6質量%添加したものを、それぞれ用いた。
【0062】
(実験例4〜6用)
実験例4〜6用の非水電解液としては、上記の基本非水電解液中に、正極合剤の全質量に対して、LiBOBを0.99質量%(実験例4)、0.89質量%(実験例5)及び0.99質量%(実験例6)となるように添加したものを用いた。実験例6の非水電解液においては、さらに、過充電抑制剤としてのシクロヘキシルベンゼン(CHB)を正極合剤の全質量に対して2.98質量%となるように添加した。
【0063】
[実験例1〜3]
実験例1〜3の角形非水電解質二次電池を用い、25℃において、次の充放電条件で予備実験を行った。25℃の室温下において、25Aの充電電流で充電深度50%になるまで充電した状態で、40A、80A、120A、160A、200A及び240Aの電流で10秒間放電を行い、それぞれの電池電圧を測定し、各電流値と電池電圧とをプロットして放電時におけるI−V特性から出力を算出した。なお、放電によりずれた充電深度は25Aの定電流で充電することにより元の充電深度に戻した。なお、充放電は1気圧、25℃条件で行った。その後、270A以下の電流を60秒以内の時間充電又は放電するパルス充放電を、充電容量と放電容量の合計が5000Ah以上となるまで行った。
【0064】
その後、25℃の室温下において、25Aの充電電流で充電深度50%になるまで充電した状態で、40A、80A、120A、160A、200A及び240Aの電流で10秒間放電を行い、それぞれの電池電圧を測定し、各電流値と電池電圧とをプロットして放電時におけるI−V特性から出力を算出した。このようにして求められた初初期出力及びサイクル後出力に基づいて以下の計算式よりサイクル後の出力維持率(%)を求めた。結果を、非水電解液中のLiBOB含有量とともに表1に示した。
サイクル後出力維持率(%)=(サイクル後出力/初期出力)×100
【0066】
表1は、正極合剤中に過充電抑制剤としての炭酸リチウムを含有しておらず、非水電解液中にLiBOBを含有させた場合のサイクル後出力維持率を示している。表1に示した結果によれば、サイクル後出力維持率は、非水電解液中にLiBOBの含有量が1.8質量%と少ない実験例1では74%と最も低く、非水電解液中のLiBOBの添加量が2.2質量%以上である実験例2及び3ではサイクル後出力維持率が78%と良好な結果が得られた。非水電解液中にLiBOBを添加すると、電池の充放電を繰り返しても正極板の反応抵抗の増加が抑制されていると考えられる。したがって、充放電を繰り返しても、正極板の電位分布のムラが小さく、正極板に炭酸リチウムが含まれる場合、炭酸リチウムが均一に分解し易くなり、炭酸ガスが正極板の表面全体から均一に発生すると考えられる。
【0067】
[実験例4〜6]
実験例4〜6の角形非水電解質二次電池を用い、次の充放電条件で第1及び第2の過充電試験を行った。第1の過充電試験は、25℃において、電池電圧が4.2Vに達するまで1Itの定電流で充電を行い、電池電圧が4.2Vに達した後は、4.2Vの定電圧で72時間充電を継続した。この時流れた電気量(充電容量)を実験例4の結果を100%とした相対値で表した。第2の過充電試験は、実験例4及び5の角形非水電解質二次電池についてのみ、25℃で1Itの定電流で電池電圧が30Vに達するまで定電流充電を行い、発煙ないし発熱の有無を調べた。結果をまとめて表2に示した。
【0069】
表2に示した結果から以下のことがわかる。実験例4及び5の角形非水電解質二次電池に対する第1過充電試験では、4.2Vの定電圧充電を継続すると、両者とも満充電状態となって、充電電流は実質的に「0」に収束していることを示している。これは、充電電流は、副反応に消費されることがなく、過充電抑制剤としての炭酸リチウムの分解には使用されていないことを示している。
【0070】
これに対し、実験例6の角形非水電解質二次電池に対する第1過充電試験では、4.2Vの定電圧充電を継続すると、充電容量は実験例4の角形非水電解質二次電池の充電容量の3.18倍(318%)にも達している。これは、実験例6の角形非水電解質二次電池では、満充電状態となってもさらに副反応によって充電電流が消費され、充電電流が流れ続けていることを示している。したがって、実験例6の角形非水電解質二次電池では、非水電解液中に過充電抑制剤としてのCHBが添加されているため、満充電状態となった後に流れる充電電流はCHBの分解反応に消費されていると考えられる。
【0071】
さらに、実験例4及び5の角形非水電解質二次電池に対して行われた第2過充電試験の結果によれば、いずれも電流遮断機構が作動し、発煙、発熱ともに見られなかった。このことは、正極合剤層内には炭酸リチウムが含有されており、非水電解質として製造時にLiBOBが添加されたものを用いると、過充電時に電池の内圧が大幅に上昇する前に迅速にかつ確実に電流遮断機構を作動させることができ、過充電時の安全性が非常に良好となっていることを示している。
【0072】
[その他の発明2]
その他の発明2に係る非水電解質二次電池は、
正極芯体上に正極合剤層が形成された正極板と、
負極芯体上に負極合剤層が形成された負極板と、
前記正極板及び前記負極板がセパレータを挟んで互いに絶縁された状態で巻回された巻回電極体と、
非水電解質と、
前記正極板及び前記負極板の少なくとも一方に電気的に接続された圧力感応式の電流遮断機構と、
外装体と、
を有し、
前記正極合剤層内には炭酸リチウムが含有されており、
前記非水電解質にジフルオロリン酸リチウムが含有されたものを用いる。
【0073】
その他の発明2によると、ジフルオロリン酸リチウムを含有する非水電解質を用いているため、初期の充放電時にジフルオロリン酸リチウムとリチウムとが反応して正極板及び負極板の表面に良質な保護被膜が形成される。この保護被膜は、正極の反応抵抗を低下させ、正極電位を均一にさせる。これにより、出力特性が良好となるとともに、過充電時に電池の内圧が大幅に上昇する前に迅速にかつ確実に圧力感応式の電流遮断機構を作動させることができるようになり、過充電時の安全性が非常に良好となる。なお、その他の発明2においては、偏平状の巻回電極体の巻き終り部の正極板、負極板及びセパレータの向き
については特に限定されない。
【0074】
[参考実験]
次に、実験例7〜9のそれぞれの非水電解質二次電池における正極板及び非水電解液の具体的製造方法ないし組成について説明する。なお、正極板及び非水電解液以外の構成は、上記実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0075】
[正極板の作製]
(実験例7〜9用)
上記実験例1〜3、6と同様の方法で正極板を作製した。
【0076】
[非水電解液の調製]
(実験例7用)
実験例
7用の非水電解液としては、溶媒としてエチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とを体積比(25℃、1気圧)で3:7の割合で混合した混合溶媒に電解質塩としてLiPF
6を1mol/Lとなるように添加し、さらに全非水電解質質量に対してビニレンカーボネートVCを0.3質量%添加したものを用いた。
【0077】
(実験例8、9用)
実験例8及び9用の非水電解液としては、実験例7の非水電解液中にさらにジフルオロリン酸リチウムを正極合剤の全質量に対して0.62質量%(実験例8)、1.24質量%(実験例9)、となるように添加したものを用いた。
【0078】
[実験例7〜9]
実験例7〜9の角形非水電解質二次電池を用い、次の充放電条件で予備実験を行った。25℃の室温下において、25Aの充電電流で充電深度50%になるまで充電した状態で、40A、80A、120A、160A、200A及び240Aの電流で10秒間放電を行い、それぞれの電池電圧を測定し、各電流値と電池電圧とをプロットして放電時におけるI−V特性から出力を算出した。なお、放電によりずれた充電深度は25Aの定電流で充電することにより元の充電深度に戻した。なお、充放電は1気圧、25℃条件で行った。結果を、非水電解液中のジフルオロリン酸リチウム含有量とともに表3に示した。
【0080】
表3は、正極合剤中に過充電抑制剤としての炭酸リチウムを含有しておらず、非水電解液中にジフルオロリン酸リチウムを含有させた場合の常温出力特性を示している。表3に示した結果によれば、非水電解液中にジフルオロリン酸リチウムを含有していない実験例7の出力特性は最も低く、非水電解液中のジフルオロリン酸リチウムの添加量の増大に伴って出力特性が良好となっていることが確認された。このことは、非水電解液中にジフルオロリン酸リチウムを添加すると、少なくとも正極の反応抵抗が低下することを示しているものと考えられる。したがって、正極板の電位分布のムラが小さく、正極板に炭酸リチウムが含まれる場合、炭酸リチウムが均一に分解し易くなり、炭酸ガスが正極板の表面全体から均一に発生すると考えられる。
【0081】
なお、ジフルオロリン酸リチウムの含有量は、非水電解質の調製時に、正極合剤質量に対して0.1質量%以上2質量%以下であることが好ましい。
【0082】
[その他]
上記の実施形態、その他の発明1、その他の発明2においては、圧力感応式の電流遮断機構を備えた非水電解質二次電池について示した。本願に記載の上記の発明において、圧力感応式の電流遮断機構の代わりに、圧力感応式の強制短絡機構を備えた非水電解質二次電池とすることが考えられる。
【0083】
強制短絡機構としては、
図6に示すように封口板23における負極端子20の近傍に設けられることが好ましい。
図7は、
図6の強制短絡機構50が設けられた部分の拡大図である。
図7Aは強制短絡機構50の作動前の状態を示し、
図7Bは強制短絡機構50の作動後の状態を示す。
【0084】
図7Aに示すように、金属製の封口体23が正極板11に電気的に接続された弁部51を有し、この弁部51の外側に負極板12に電気的に接続された板状の導電部材52を配置する。弁部51は金属製であり、封口体23に一体的に形成されていてもよい。また、封口体23とは別体の弁部51を封口体23に接続してもよい。ここで、導電部材52は負極端子20に接続されており、負極集電体19を介して負極板12に電気的に接続されている。なお、導電部材52、負極端子20及び負極集電体19は絶縁部材22により封口体23とは電気的に絶縁されている。
【0085】
電池が過充電状態となり電池内部の圧力が所定値以上となった場合、
図7Bに示すように、弁部51が外側(
図7B中では上側)に変形し、導電部材52に接触する。弁部51は金属製で正極板11に電気的に接続され、また導電部材52は負極板12に電気的に接続されているため、弁部51と導電部材52が接触することにより正極板11と負極板12が短絡した状態となる。これにより、電極体内に充電電流が流れ込むことを防止できる。また、電極体内のエネルギーを速やかに放出することができる。このようにして、電池が過充電状態になった場合に安全性を確保することができる。