(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346188
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】ゼオライトを作製する方法および装置
(51)【国際特許分類】
C01B 39/24 20060101AFI20180611BHJP
B01J 29/08 20060101ALI20180611BHJP
B01J 37/30 20060101ALI20180611BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20180611BHJP
B01J 37/00 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
C01B39/24
B01J29/08 M
B01J37/30
B01J37/08
B01J37/00 Z
【請求項の数】23
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2015-538252(P2015-538252)
(86)(22)【出願日】2013年10月25日
(65)【公表番号】特表2015-532260(P2015-532260A)
(43)【公表日】2015年11月9日
(86)【国際出願番号】CN2013001289
(87)【国際公開番号】WO2014063444
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2016年8月3日
(31)【優先権主張番号】201210417837.7
(32)【優先日】2012年10月26日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201210418315.9
(32)【優先日】2012年10月26日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】509059424
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司石油化工科学研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】周霊萍
(72)【発明者】
【氏名】劉子陽
(72)【発明者】
【氏名】張杰▲しょう▼
(72)【発明者】
【氏名】許明徳
(72)【発明者】
【氏名】張蔚琳
(72)【発明者】
【氏名】田輝平
(72)【発明者】
【氏名】朱玉霞
【審査官】
廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第102049316(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第102050459(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第102049315(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第102451736(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第102050460(CN,A)
【文献】
特開平09−118519(JP,A)
【文献】
特開平03−141114(JP,A)
【文献】
特開昭64−061311(JP,A)
【文献】
特開2009−167068(JP,A)
【文献】
特開2004−083342(JP,A)
【文献】
特表2000−514392(JP,A)
【文献】
特開2006−159044(JP,A)
【文献】
特表2008−535652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20−39/54
B01J 21/00ー38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Na型分子篩交換器、か焼器、分子篩気相超安定化反応器、および気体−固体分離器を備え、当該か焼器の導出口は、気相超安定化反応器の分子篩導入口に接続されており、
上記Na型分子篩交換器は、Na型分子篩を交換するためのものであり、上記か焼器は、上記交換された分子篩をか焼するためのものであり、上記分子篩気相超安定化反応器は、か焼された分子篩に気相化学脱アルミニウムおよびシリコン挿入イオン反応を受けさせるためのものであり、上記気体−固体分離器は、気相超安定化反応器から取り出された上記分子篩を未反応のテトラクロロシランから分離するためのものであり、
上記分子篩気相超安定化反応器は、筒状本体、分子篩導入口、および分子篩導出口を備えており、上記分子篩導入口は、上記筒状本体の一方の端部に設けられており、上記分子篩導出口は、上記筒状本体の反対側の端部に設けられており、高さ方向に関して、上記分子篩導入口が設けられている上記端部は、上記分子篩導出口が設けられている上記反対側の端部より低いところにはない、
ことを特徴とする、分子篩を作製する装置。
【請求項2】
上記反応器は、テトラクロロシラン導入口をさらに備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の、分子篩を作製する装置。
【請求項3】
上記反応器は、筒状反応器またはベルト移送型反応器である、
ことを特徴とする請求項1に記載の、分子篩を作製する装置。
【請求項4】
上記反応器は、重力を利用する輸送装置および機械を利用する輸送装置の少なくともいずれか一方を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の、分子篩を作製する装置。
【請求項5】
上記重力を利用する輸送装置は、往復ピストンコンベヤー、筒状チェーンコンベヤー、らせん状コンベヤー、筒状ベルトコンベヤー、ベルトコンベヤー、またはこれらを組み合わせたもの、から選択され、
上記機械を利用する輸送装置は、重力を利用する筒状のコンベヤーである、
ことを特徴とする請求項4に記載の、分子篩を作製する装置。
【請求項6】
上記反応器は、重力を利用する輸送装置を備えており、上記筒状本体の少なくとも一部または全部は、上記筒状本体の軸の周りを回転するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の、分子篩を作製する装置。
【請求項7】
上記筒状本体の軸と水平面とがなす角度は、0〜90°の範囲内である、
ことを特徴とする請求項1に記載の、分子篩を作製する装置。
【請求項8】
上記筒状本体の軸と水平面とがなす角度は、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、および上述した2つの角度の間の範囲である、
ことを特徴とする請求項1に記載の、分子篩を作製する装置。
【請求項9】
上記反応器は、上記分子篩導入口が設けられた上記筒状本体の上記端部に設けられており、上記分子篩導入口に近接しているテトラクロロシラン導入口を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の、分子篩を作製する装置。
【請求項10】
上記反応器は、少なくとも1枚の捕捉板および少なくとも1枚の堰板の少なくともいずれか一方を備えており、上記捕捉板および上記堰板は、上記筒状本体の内壁の上に載置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の、分子篩を作製する装置。
【請求項11】
上記反応器の上記筒状本体の長さは、5〜200mの範囲内、7〜150mの範囲内、15〜130mの範囲内、または20〜80mの範囲内であり、上記反応器の上記筒状本体の内径は、0.01〜6mの範囲内、0.02〜3mの範囲内、0.1〜2mの範囲内、または0.2〜1.5mの範囲内であり、上記反応器の上記筒状本体の上記内径に対する上記反応器の上記筒状本体の上記長さの比は、1以上、3〜100:1の範囲内、または10〜100:1の範囲内である、
ことを特徴とする請求項1に記載の、分子篩を作製する装置。
【請求項12】
上記筒状本体の軸の周りを回転可能なように構成された上記筒状本体の長さは、上記筒状本体の長さに対して20%以上の範囲内、20〜100%の範囲内、または20〜90%の範囲内である、
ことを特徴とする請求項1に記載の、分子篩を作製する装置。
【請求項13】
上記筒状本体の内部に内筒が設けられており、上記内筒と上記筒状本体との間の環状の空間が反応領域を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の、分子篩を作製する装置。
【請求項14】
上記反応器の上記筒状本体の軸は、上記分子篩導入口から上記分子篩導出口へ向かう方向において、高さ方向に対して単調に下がる、または、高さ方向に対して上がる部分が全くない、
ことを特徴とする請求項1に記載の、分子篩を作製する装置。
【請求項15】
上記反応器の上記筒状本体の軸の全ての点における接線は、上記分子篩導入口から上記分子篩導出口へ向かう方向を上記軸の上記接線の正の方向としており、高さ方向に対してゼロベクトルを有する、または、垂直下方向に対して正のベクトルを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の、分子篩を作製する装置。
【請求項16】
分子篩を気相超安定化反応器に導入する工程と、
キャリアガスの運搬を伴うことなく、上記分子篩を上記気相超安定化反応器の分子篩導入口から上記気相超安定化反応器の分子篩導出口へ移動する工程と、
上記気相超安定化反応器の内部で、上記分子篩をガス状のSiCl4と接触および反応させる工程と、
を含み、
上記気相超安定化反応器は、筒状本体、分子篩導入口、および分子篩導出口を備え、上記分子篩導入口は、上記筒状本体の一方の端部に設けられており、上記分子篩導出口は、上記筒状本体の反対側の端部に設けられており、高さ方向に関して、上記分子篩導入口が設けられている上記端部は、上記分子篩導出口が設けられている上記反対側の端部より低いところにはない、
ことを特徴とする、接触分解触媒を作製する方法。
【請求項17】
上記気相超安定化反応器は、さらにテトラクロロシラン導入口を備える、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
上記分子篩に対するSiCl4の重量比は、0.01〜1の範囲内、0.05〜0.60の範囲内、0.05〜0.30の範囲内のいずれかである、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
上記分子篩と上記ガス状のSiCl4とは、超安定化分子篩を製造するために上記気相超安定化反応器の内部で接触および反応させられ、上記超安定化分子篩は、50%を上回る相対結晶化度を有する、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
上記反応器の内部において上記分子篩とガス状のSiCl4とが接触するときの温度は、250〜700℃の範囲内であり、上記反応器の内部において上記分子篩の反応時間は、10秒間〜100分間の範囲内である、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項21】
上記気相超安定化反応器は、請求項2〜15のいずれか1項に記載の、分子篩を作製する装置が備えている上記気相超安定化反応器である、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項22】
上記気相超安定化反応器は、請求項6に記載の、分子篩を作製する装置が備えている上記気相超安定化反応器であり、
上記反応器は、重力を利用する輸送装置を備えており、上記反応器の上記筒状本体は、直線状の筒状部材であり、上記筒状本体の少なくとも一部は、上記筒状本体の軸の周りを、0.05〜40rpmの範囲内の回転速度で回転するように構成されている、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項23】
上記気相超安定化反応器は、請求項6に記載の、分子篩を作製する装置が備えている上記気相超安定化反応器であり、
上記反応器は、重力を利用する輸送装置を備えており、上記反応器の上記筒状本体は、直線状の筒状部材であり、上記筒状本体の少なくとも一部は、上記筒状本体の軸の周りを、0.1〜15rpmの範囲内の回転速度で回転するように構成されている、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、分子篩を作製する方法、および装置に関する。さらに、本発明は、接触分解触媒を作製する方法に関する。
【0002】
〔背景技術〕
分子篩は、接触分解触媒において広く用いられる材料であり、接触分解触媒の重要な構成要素である。分子篩の特性は、接触分解触媒の反応能力に直接的に影響する。異なる要求に従って、分子篩は、使用上の要件を満たすように、異なる方法で変更され得る。例えば、接触分解触媒に関しては、高いシリカ−アルミナ比を有する分子篩が必要とされると一般的に考えられている。
【0003】
高いシリカ−アルミナ比を有する分子篩の作製においては、下記の方法が存在する:アンモニウムヘキサフルオロケイ酸塩を用いた脱アルミニウム、およびシリコン挿入、水熱脱アルミニウム、およびシリコン挿入、並びに気相脱アルミニウム、およびシリコン挿入(気相超安定化ともいう)。
【0004】
アンモニウムフルオロケイ酸塩を用いた脱アルミニウム、およびシリコン挿入(化学的脱アルミニウム、およびシリコン挿入ともいう)は、高い結晶化度、高いSi/Al比、および高い熱的安定性を有する分子篩を製造することができる。不溶性の物質AlF3、および脱アルミニウムにおいて形成された残留フルオロ珪酸塩は、水熱安定性に影響を及ぼし、環境を汚染する。
【0005】
水熱プロセスは、現在製造業において広く用いられている。しかしながら、脱アルミニウム後のシリコン挿入が遅いために、水熱プロセスにおいて結晶格子が崩壊しやすく、非骨格アルミニウムの断片は、細孔経路をふさぐ。細孔経路は、活性中心への到達可能性に影響を及ぼすだけでなく、熱安定性のさらなる向上にも影響を及ぼす。
【0006】
気相化学的脱アルミニウムおよびシリコン挿入は、一様な脱アルミニウム、および適切なタイミングでのシリコン挿入という特徴を有する。結果として生じる製造物は、高い結晶性の保持力、および良好な熱安定性を有し、さらに、製造物の細孔経路には、障害物がない。
【0007】
CN1121903Cは、希土類元素を含有する高シリカY型ゼオライトを作製する方法を開示している。この方法は、希土類元素を含有するY型ゼオライトが10重量%よりも少ない水含有量になるまで乾燥される工程;テトラクロロシラン:Y型ゼオライトの重量比が0.1〜0.9:1になるように、乾燥空気により運ばれたテトラクロロシランの気体が導入される工程;150〜600℃で10分間から6時間の間、反応が進められる工程:反応後、乾燥空気を用いて5分間から2時間の間、パージが行われ、結果として得られたゼオライトが、ゼオライト中に残留したNa
+、Cl
−、およびAl
3+のような副産物の溶解物を除去するために、非カチオン化された水で洗浄される工程を含む。上記の方法によれば、分子篩は動けなくされ、固定される。さらに、乾燥空気によって運ばれるSiCl
4の気体が用いられ、さらに、反応後に空気を用いてパージされる。この方法は、継続的に行うことができず、低い生産能力を有する。
【0008】
CN1281493Cは、希土類元素を含有する高シリカY型ゼオライト、およびそれを作製する方法を開示している。ゼオライトは、希土類元素を含み、5〜30のSi/Al比、2.430〜2.465nmの初期状態における単位セルサイズ、および、少なくとも0.985の初期状態における単位セルサイズに対する平衡状態における単位セルサイズの比を有する。ゼオライトを作製する方法は、希土類元素を含有するY型ゼオライトをテトラクロロシランに接触させる工程を含む。この接触は、
図1に示すような反応装置において行われる。反応装置は、反応容器(1)、導入口(2)、および気体導出口(3)を含む。攪拌器(4)は、反応容器(1)の内部に設けられている。気体−固体分離器(5)は、気体導出口(3)に取り付けられる。細孔径、および気体−固体分離器(5)に含まれる細孔の多孔性は、気体が細孔を通過することを確実にさせるが、ゼオライトの固体粒子は細孔を通過することができない。撹拌器(4)の撹拌棒は、反応容器(1)を越えて伸びる。撹拌器(4)によって攪拌されている間、希土類元素を含有するY型ゼオライトは、100〜500℃で5分間から10時間の間、テトラクロロシランに接触される。希土類元素を含有するY型ゼオライトのテトラクロロシランに対する重量比は、1:0.05〜0.5である。希土類元素を含有するY型ゼオライトは、3から8のSi/Al比、および2.45〜2.48nmの単位セルサイズを有する。この方法が一般に長い接触時間、例えば数時間を要することは、明らかである。反応前に詰め込むための時間、および反応後に取り出すための時間を考慮すれば、上記脱アルミニウムおよびシリコン挿入反応は、平均して、昼間の勤務時間を通じて多くてたったの1度であり、昼夜の勤務時間を通じてもたったの2度しか実行することができない。さらに、反応容器内での撹拌を要するので、反応容器のサイズは大きすぎてはならない。現状の状況下において、上記脱アルミニウム、およびシリコン挿入反応のための最大の反応容器の製造容量は、600kgである。反応容器のサイズをさらに大きくすることは、不十分な撹拌を招く。従って、上記反応容器を用いた場合、最大で1日当たり1200kgの高シリカ分子篩が得られる。さらに、上記先行技術の方法において、得られた分子篩の高いシリカ含有量を確実にするために、過剰量のSiCl
4が用いられる。過剰量のSiCl
4を使用することは、製造コスト、および環境保護コストを明らかに増加させる。一方で、上記の方法は、人手による詰め込み、人手による取り出し、および反応後の長時間のパイプラインのパージ等の、種々の人手による操作を必要とする。これらの操作は、多くの人手による労働を必要とし、製造効率が低いという問題を有するだけでなく、詰め込みおよび取り出しの間に形成される分子篩のダスト、並びに、過剰量のSiCl
4のせいで、深刻な環境汚染および作業従事者の健康に対する深刻な有害な要因を招く。従って、上記の反応容器を用いた上記の気相超安定化を工業製品の製造に用いることは、難しい。
【0009】
CN102049315Aは、触媒を作製する方法を開示している。この方法は、分子篩が不活性ガス流の伴出を伴う不活性ガス流の中を流される工程、および、分子篩が気体として存在する、流れている状態のSiCl
4に接触させられる工程を含む。分子篩とガス状のSiCl
4との間の接触時間は10秒間から100分間である。次に、気体として存在するSiCl
4に接触させられることによって得られた分子篩は、バインダー、クレイ、および水と混合されてスラリーにされ、接触分解触媒を製造する粒子に成形される。上記の方法によれば、接触分解触媒の作製は、分子篩とSiCl
4との継続的な接触および反応を実現可能である。キャリアガスの流速および筒型反応器の長さを制御することによって、分子篩とSiCl
4との間の接触時間は、制御可能である。従って、筒型反応器における分子篩とSiCl
4との間の接触および反応は、充足される。しかしながら、上述の方法によれば、気相超安定化反応は、分子篩の粉末をSiCl
4ガスと接触および反応させるために運ぶガスを用いて行われる。分子篩を流動化するために、大量のガスが用いられなければならない。SiCl
4に対するキャリアガスの重量比は、10〜250に達する。さもなければ、装置は、容易に詰まる。ガス量の増加は、脱アルミニウム、およびシリコン挿入反応の度合いを強めることが難しいという結果を招き得る。固体を運搬することと、脱アルミニウム、およびシリコン挿入反応の度合いを強めることとの間には、固有のコンフリクトがある。加えて、上記の方法によれば、一定の反応の度合いを実現するために、大量のSiCl
4が必要である。これは気相超安定化反応後のSiCl
4の残留量の増加をもたらす。SiCl
4の残留量の増加は、有害な環境汚染を悪化させるだけでなく、残留ガスの効果的な吸収にとっても好ましくない。
【0010】
CN102049315AおよびCN102452660Aは、高シリカ分子篩を作製するための気相工程を開示している。これらの工程によれば、分子篩とSiCl
4とは、不活性キャリアガスの存在下において接触している。不活性キャリアガスは、分子篩固体粉末が重力ポテンシャルエネルギーに打ち勝つための運動エネルギーを提供することができる。そのため、分子篩固体粉末は、ガス状のSiCl
4と共に反応器の底から上向きに動かされる。その間、分子篩とSiCl
4とは、接触し反応する。CN102452660Aは、混合蒸気を形成するために分子篩とガス状のSiCl
4を含むガスとを混合する工程を開示している(ガス状のSiCl
4を含むガスは、ガス状のSiCl
4であり得る)。混合蒸気において、ガス分子篩は、ガスと共に流れ、流動状態であるガス中のガス状のSiCl
4と接触する。CN102452660Aは、SiCl
4はキャリアガス、および反応物の両方として用いることができることを示唆しているものの、この態様における詳細について検討していない。確かに、この反応において、分子篩は、底から上端へのキャリアガスによって運ばれる。仮に、キャリアガスとして他のいかなる不活性ガスも使用せずSiCl
4のみを使用する場合、大量のSiCl
4ガスを必要とする。しかしながら、分子篩と接触するために大量のSiCl
4ガスを使用する場合、気相超安定化反応の反応温度は、非常に激しい気相超安定化反応という結果をもたらす。そして、気相超安定化反応後、製造された分子篩は、結晶化度において大きく劣っているという結果となるに違いない。大抵、分子篩に対するSiCl
4の重量比が1よりも高い場合、気相超安定化反応の開始段階において、気相超安定化反応は非常に激しい。気相超安定化反応後の、製造された分子篩は、40%を下回り、30%をも下回る小さい相対結晶化度を有する。これは、製造された分子篩の相対結晶化度を保つために好ましくない。さらに、気相超安定化反応後の残留ガスを吸収する観点、および環境汚染の観点から、分子篩固体粉末を運ぶためのキャリアガスとしてSiCl
4を使用する場合、SiCl
4の量が膨大となり、気相超安定化反応後に大量のSiCl
4が残されることは明らかである。残留ガスの吸収は、非常に困難となるし、環境汚染もまた深刻な問題となる。さらにいえば、経済上のコストについて分析すると、SiCl
4は高価であり、キャリアガスとしての大量のSiCl
4を使用することは、経済面からして容認できない。従って、分子篩固体粉末を運ぶためのキャリアガスとしてSiCl
4を使用することは、現実的ではない。従って、CN102452660Aに記載された気相超安定化反応において、分子篩固体粉末を運ぶためのキャリアガスとしてSiCl
4を使用することは、不可能である。
【0011】
〔発明の概要〕
継続的な気相化学脱アルミニウムおよびシリコン挿入(継続的な気相超安定化プロセス)を用いた分子篩および接触分解触媒の製造における上記の課題を解決するために、本発明の1つの目的は、分子篩および接触分解触媒を製造する方法であって、SiCl
4の使用量を削減可能であり、継続的な工業製品の製造に適している方法を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、Na型分子篩から高シリカ分子篩を作製するための装置を提供することである。上記装置は、NaY分子篩の絶え間ない製造から高シリカ分子篩を作製するために利用することができる。そして、上記装置は、気相化学プロセスを用いた高シリカ分子篩の作製におけるSiCl
4の使用量を削減することができる。
【0013】
本発明の一態様において、本発明は、分子篩を気相超安定化反応器に導入する工程と、キャリアガスの運搬を伴うことなく、上記分子篩を上記気相超安定化反応器の分子篩導入口から上記気相超安定化反応器の分子篩導出口へ移動する工程と、上記気相超安定化反応器の内部で、上記分子篩をガス状のSiCl
4と接触および反応させる工程と、を含んでいることを特徴とする分子篩を作製する方法を提供する。
【0014】
本発明の一態様において、本発明は、分子篩を気相超安定化反応器に導入する工程と、キャリアガスの運搬を伴うことなく、上記分子篩を上記気相超安定化反応器の分子篩導入口から上記気相超安定化反応器の分子篩導出口へ移動する工程と、上記気相超安定化反応器の内部で、上記分子篩をガス状のSiCl
4と接触および反応させる工程と、任意に選択可能な洗浄工程の後に、上記接触および反応させる工程によって得られた分子篩を、基質(matrix)および水と共に混合することによってスラリーを作製し、粒子を形成する工程と、を含んでいることを特徴とする接触分解触媒を作製する方法を提供する(すなわち、上記接触および反応させる工程によって得られた分子篩を、直接基質および水と共に混合することによってスラリーを作製し、粒子を形成する、または、上記接触および反応させる工程によって得られた分子篩を洗浄し、その後に、当該分子篩を基質および水と共に混合することによってスラリーを作製し、粒子を形成する)。
【0015】
本発明の一態様において、本発明は、分子篩を作製する装置を提供する。その装置は、Na型分子篩交換器、か焼器、分子篩気相超安定化反応器、および気体−固体分離器を備えている装置であって、上記Na型分子篩交換器は、Na型分子篩を交換するためのものであり、上記か焼器は、上記交換された分子篩をか焼するためのものであり、上記分子篩気相超安定化反応器は、か焼された分子篩に上記気相化学脱アルミニウムおよびシリコン挿入イオン反応(気相超安定化反応とも呼ばれる)を受けさせるためのものであり、上記か焼された分子篩は、上記気相超安定化反応器に導入され、上記分子篩は、キャリアガスの運搬を伴うことなく上記気相超安定化反応器の分子篩導入口から上記気相超安定化反応器の分子篩導出口へ移動され、上記分子篩は、上記気相超安定化反応器の内部でガス状のSiCl
4と接触および反応させられ、上記気体−固体分離器は、気相超安定化反応器から取り出された上記分子篩を未反応のテトラクロロシランから分離するためのものであり、上記気相超安定化反応器は、分子篩導入口、任意に選択可能なテトラクロロシラン導入口、および分子篩導出口を備えており、上記気相超安定化反応器は、上記分子篩導入口から当該気相超安定化反応器の内部に導入された分子篩を、キャリアガスの運搬を伴うことなく上記分子篩導出口へ移動させることができる。
【0016】
好ましくは、上記か焼器の上記分子篩導出口と上記気相超安定化反応器の上記分子篩導入口とは、互いに接続されている。そのため、上記か焼器から供給された上記か焼された分子篩は、反応させられるために上記気相超安定化反応器に直接導入される。従って、絶え間ない製造を実行することができる。この構成によれば、上記分子篩を冷却および梱包、あるいは上記分子篩を収容し、その後、分子篩を導入のために温める必要がない。本発明に係る上記気相超安定化装置は、不活性ガスを用いた分子篩の輸送を行わないため、上記気相超安定化反応器と上記か焼器との間における分子篩の移動を簡単かつ便利に実行することができる。
【0017】
上記分子篩交換器は、既存の分子篩交換器であってもよい。上記分子篩交換器は、交換部および交換された分子篩のためのフィルター部(第2のフィルター部とも呼ぶ)を備えており、第1の乾燥器を更に備えていてもよい。上記第1の乾燥器は、上記交換された分子篩のための上記フィルター部から供給された上記分子篩を乾燥するためのものである。次に、上記乾燥された分子篩は、か焼されるために上記か焼器に導入されてもよい。別の選択として、上記第2のフィルター部から供給された上記交換された分子篩は、乾燥されることなしに、か焼されるために上記か焼器に直接導入されてもよい。上記交換された分子篩のための上記フィルター部は、ベルトフィルターであってもよく、第2のベルトフィルターとも呼ばれる。上記ベルトフィルターを用いることによって、フィルター処理を絶え間なく実行することができる。上記第2のフィルター部は、上記交換器に直接接続されていてもよく、上記第2のベルトフィルターは、上記か焼器に直接接続されていてもよい。
【0018】
上記Na型分子篩は、商業用に流通しているものであってもよいし、既存の方法を用いて合成されたものであってもよい。既存の方法は、一般的に、結晶作用を用いて合成する工程を含んでいる。結晶作用を用いて合成する工程によって得られた製品は、Na型分子篩を製造するために、フィルター処理され、必要があれば乾燥されてもよい。上記装置は、結晶作用を用いて合成する工程によって得られた製品をフィルター処理するフィルター部(第1のフィルター部とも呼ぶ)と、上記第1のフィルター部から供給されるフィルターケーキを乾燥する乾燥器(第2の乾燥器とも呼ぶ)とを更に備えている。好ましくは、上記第1のフィルター部は、ベルトフィルターである(第1のベルトフィルターとも呼ぶ)。上記第1のベルトフィルター、上記第2の乾燥器、上記交換器、上記第2のベルトフィルター、およびか焼器は、互いに連続して接続されている。そのため、上記Na型分子篩は、交換およびか焼のために上記装置を一度通過する。その後、上記Na型分子篩は、脱アルミニウムおよびシリコン挿入の反応のために上記気相超安定化反応器に導入される。
【0019】
本発明によれば、分子篩は、上記気相超安定化反応器の分子篩導入口から上記気相超安定化反応器の分子篩導出口へ、キャリアガスの運搬を伴うことなく移動される。分子篩は、上記気相超安定化反応器の内部で、ガス状のSiCl
4と接触および反応させられる。接触および反応の条件は、以下の通りである。上記分子篩の固体含有量を、高温か焼前の上記分子篩の質量に対する高温か焼後の上記分子篩の質量の質量比(すなわち、か焼に基づく含有量、RIPP32-90 analysis method, Analysis Methods for Petrochemical Industry, (RIPP Test Method), edited by Yang Cuiding et al., Science Press, 1990を参照)として、上記気相超安定化反応器に導入された上記分子篩の固体含有量は、98重量%(燃焼による損失は2重量%未満である)を上回ることが好ましく、か焼温度は、概して800℃であり、上記分子篩の「固体含有量=100%−上記分子篩の水含有量」である。上記気相超安定化反応器に導入されるSiCl
4の重量比は、好ましくは0.01〜1の範囲内であり、より好ましくは0.05〜0.60の範囲内であり、例えば0.05〜0.30の範囲内である。上記分子篩とガス状のSiCl
4との接触温度は、250〜700℃の範囲内であり、例えば300〜650℃の範囲内である。上記気相超安定化反応器の内部での上記分子篩の滞留時間は、10秒間〜120分間の範囲内であり、好ましくは1分間〜60分間である。
【0020】
上記分子篩が、キャリアガスの運搬を伴うことなく、上記気相超安定化反応器の分子篩導入口から上記気相超安定化反応器(以下、上記反応器とも呼ぶ)の導出口へ移動できるようにするために、上記反応器に導入された上記分子篩は、機械を利用する輸送装置および重力を利用する輸送装置の少なくともいずれか一方によって移動可能なように構成されていてもよい。移動している間、上記分子篩は、上記反応器の内部でSiCl
4と接触および反応する。上記反応器に導入された上記分子篩を流動化させるために用いられるガス状のキャリアガスが存在しないため、上記気相超安定化反応器の内部の上記分子篩は、濃厚な相状態に保たれる。上記分子篩の床層は、相対的に高い密度を有する。SiCl
4は、気化されてから上記超安定化反応器に導入されることが好ましい。上記分子篩は、SiCl
4が入っている空間に移動される。ガス状のSiCl
4は、拡散および/または攪拌の効果のもと、上記分子篩の空隙に浸入する。ガス状のSiCl
4は、脱アルミニウムおよびシリコン挿入の反応を行うために、上記分子篩の細孔の内側へさらに拡散する。上記分子篩は、絶え間なく上記気相超安定化反応器の導入口から導出口へ移動されるため、上記分子篩を、上記分子篩導入口を介して、絶え間なく上記反応器に導入することができる。そして、気相超安定化された上記分子篩は、上記反応器の導出口から絶え間なく取り出される。絶え間ない気相超安定化は、実現可能である。上記分子篩を運搬するキャリアガスを導入することが不要であり、また、希釈ガスを用いて希釈または運搬することもないため、上記反応器の容積を明確に減少させることができる。さらに、上記キャリアガスを導入しないことは、上記キャリアガスによって散逸させられる熱量を大幅に抑制することができ、上記キャリアガスの純度を高めるために要するコストを抑制することができる。上記キャリアガスを導入しないことは、副次的に、超安定化の速度を高め、反応時間を短縮することができる。そして、上記キャリアガスを導入しないことは、気相超安定化の度合いを高めることができ、得られた製造物は、よりよい均一性を有する。
【0021】
本発明に係る分子篩および接触分解触媒を作製する方法において、上記分子篩およびSiCl
4は、上記気相超安定化反応器に絶え間なく導入される。上記分子篩は、上記筒状反応器の内部で、重力によって、および/または、加えられた動力学的な力によって、十分に反応させられ、その後に、上記導出口から上記気体−固体分離器に取り出される。固体とガスとは、上記気体−固体分離器において分離される。ガスは、少量の過剰なSiCl
4を吸収するために吸収器に導入され、その後、直接放出される。固体は、上記分離器から絶え間なく取り出されてもよいし、上記分離器の内部に蓄えられ、定期的に取り出されてもよい。従って、本発明に係る分子篩を作製する方法は、上記分子篩とSiCl
4との絶え間ない接触および反応を実現することができる。上記反応器の内部における上記分子篩の滞留時間、および、上記分子篩とSiCl
4との接触時間は、上記分子篩の輸送速度および/または上記反応器の長さを制御することによって、制御可能である。そのため、上記筒状反応器の内部における上記分子篩とSiCl
4との接触時間および反応は、均一かつ十分に実行され得る。反応温度は、ヒーターを備えた筒状反応器を使用することと、上記分子篩の導入量のSiCl
4の導入量に対する比を調整することとによって制御可能である。そのため、異なる反応条件および温度は、制御可能であり、異なる脱アルミニウム度合いを有する上記分子篩の製造物を得ることができる。
【0022】
とりわけ、本発明は、以下の技術的な解決策を提供する。
【0023】
100.筒状本体、分子篩導入口、分子篩導出口、および任意に選択可能なテトラクロロシラン導入口を備え、上記分子篩導入口は、上記筒状本体の一方の端部に設けられており、上記分子篩導出口は、上記筒状本体の反対側の端部に設けられており、高さ方向に関して、上記分子篩導入口が設けられている上記端部は、上記分子篩導出口が設けられている上記反対側の端部より低いところにはない、気相超安定化反応器。
【0024】
101.解決策101を除く解決策100〜111のいずれか1つに係る上記気相超安定化反応器において、上記反応器は、筒状反応器またはベルト輸送反応器である。
【0025】
102.解決策102を除く解決策100〜111のいずれか1つに係る上記気相超安定化反応器において、上記反応器は、重力を利用する輸送装置および/または機械を利用する輸送装置、例えば、往復ピストンコンベヤー、筒状チェーンコンベヤー、らせん状コンベヤー、筒状ベルトコンベヤー、重力を利用する筒状のコンベヤー、ベルトコンベヤー、またはこれらを組み合わせたものを備えている。
【0026】
103.解決策103を除く解決策100〜111のいずれか1つに係る上記気相超安定化反応器において、上記反応器は、重力を利用する輸送装置を備えており、上記筒状本体の少なくとも一部または全部は、上記筒状本体の軸の周りを回転するように構成されている。
【0027】
104.解決策104を除く解決策100〜111のいずれか1つに係る上記気相超安定化反応器において、上記筒状本体の上記軸と水平面とがなす角度は、0〜90°の範囲内、例えば10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、および上述した2つの角度の間の範囲である。
【0028】
105.解決策105を除く解決策100〜111のいずれか1つに係る上記気相超安定化反応器において、上記反応器は、上記分子篩導入口が設けられた上記筒状本体の上記端部に設けられており、上記分子篩導入口に近接しているテトラクロロシラン導入口を備えている。
【0029】
106.解決策106を除く解決策100〜111のいずれか1つに係る上記気相超安定化反応器において、上記反応器は、少なくとも1枚の捕捉板および少なくとも1枚の堰板の少なくともいずれか一方を備えており、上記捕捉板および上記堰板は、上記筒状本体の内壁の上に載置されている。
【0030】
107.解決策107を除く解決策100〜111のいずれか1つに係る上記気相超安定化反応器において、上記反応器の上記筒状本体の長さは、5〜200mの範囲内、7〜150mの範囲内、15〜130mの範囲内、または20〜80mの範囲内であり、上記反応器の上記筒状本体の内径は、0.01〜6mの範囲内、0.02〜3mの範囲内、0.1〜2mの範囲内、または0.2〜1.5mの範囲内であり、上記反応器の上記筒状本体の上記内径に対する上記反応器の上記筒状本体の上記長さの比は、1以上、3〜100:1の範囲内、または10〜100:1の範囲内である。
【0031】
108.解決策108を除く解決策100〜111のいずれか1つに係る上記気相超安定化反応器において、上記筒状本体の軸の周りを回転可能なように構成された上記筒状本体の長さは、上記筒状本体の長さに対して20%以上の範囲内、20〜100%の範囲内、または20〜90%の範囲内である。
【0032】
109.解決策109を除く解決策100〜111のいずれか1つに係る上記気相超安定化反応器において、上記筒状本体の内部に内筒が設けられており、上記内筒と上記筒状本体との間の環状の空間が反応領域を形成する。
【0033】
110.解決策110を除く解決策100〜111のいずれか1つに係る上記気相超安定化反応器において、上記反応器の上記筒状本体の上記軸は、上記分子篩導入口から上記分子篩導出口へ向かう方向において、高さ方向に対して単調に下がる、または、高さ方向に対して上がる部分が全くない。
【0034】
111.解決策111を除く解決策100〜111のいずれか1つに係る上記気相超安定化反応器において、上記反応器の上記筒状本体の上記軸の全ての点における接線は、上記分子篩導入口から上記分子篩導出口へ向かう方向を上記軸の上記接線の正の方向として、高さ方向に対してゼロベクトルを有する、または、垂直下方向に対して正のベクトルを有する。
【0035】
201.Na型分子篩交換器、か焼器、分子篩気相超安定化反応器、および気体−固体分離器を備えている装置であって、上記分子篩気相超安定化反応器は、解決策100〜111に係る分子篩気相超安定化反応器であり、上記か焼器の導出口は、気相超安定化反応器の分子篩導入口に接続されており、上記Na型分子篩交換器は、Na型分子篩を交換するためのものであり、上記か焼器は、上記交換された分子篩をか焼するためのものであり、上記分子篩気相超安定化反応器は、か焼された分子篩に上記気相化学脱アルミニウムおよびシリコン挿入イオン反応を受けさせるためのものであり、上記気体−固体分離器は、気相超安定化反応器から取り出された上記分子篩を未反応のテトラクロロシランから分離するためのものである、分子篩を作製する装置。
【0036】
300.分子篩を気相超安定化反応器に導入する工程と、キャリアガスの運搬を伴うことなく、上記分子篩を上記気相超安定化反応器の分子篩導入口から上記気相超安定化反応器の分子篩導出口へ移動する工程と、上記気相超安定化反応器の内部で、上記分子篩をガス状のSiCl
4と接触および反応させる工程と、を含んでいる分子篩を作製する方法。
【0037】
301.解決策300に係る方法において、上記分子篩に対するSiCl
4の重量比は、0.01〜1の範囲内、0.05〜0.60の範囲内、0.05〜0.30の範囲内のいずれかである。
【0038】
302.解決策300に係る方法において、上記分子篩と上記ガス状のSiCl
4とは、超安定化分子篩を製造するために上記気相超安定化反応器の内部で接触および反応させられ、上記超安定化分子篩は、50%を上回る相対結晶化度を有する。
【0039】
303.解決策300に係る方法において、上記反応器の内部において上記分子篩とガス状のSiCl
4とが接触するときの温度は、250〜700℃の範囲内であり、上記反応器の内部における上記分子篩の反応時間は、10秒間〜100分間の範囲内である。
【0040】
304.解決策300に係る方法において、上記気相超安定化反応器は、解決策100〜111に係る気相超安定化反応器のいずれか1つである。
【0041】
305.解決策300に係る方法において、上記気相超安定化反応器は、解決策103に係る反応器であり、上記反応器の上記筒状本体は、直線状の筒状部材であり、上記筒状本体の少なくとも一部は、上記筒状本体の軸の周りを、0.05〜40rpmの範囲内、好ましくは0.1〜15rpmの範囲内の回転速度で回転するように構成されている。
【0042】
400.分子篩を気相超安定化反応器に導入する工程と、キャリアガスの運搬を伴うことなく、上記分子篩を上記気相超安定化反応器の分子篩導入口から上記気相超安定化反応器の分子篩導出口へ移動する工程と、上記気相超安定化反応器の内部で、上記分子篩をガス状のSiCl
4と接触および反応させる工程と、を含んでいる接触分解触媒を作製する方法であって、上記接触および反応させる工程によって得られた分子篩は、任意に選択可能な洗浄工程の後に、基質および水と共に混合することによってスラリーを作製し、粒子を形成する工程と、を含んでいる接触分解触媒を作製する方法。
【0043】
401.解決策400に係る方法において、上記分子篩に対するSiCl
4の重量比は、0.01〜1の範囲内、0.05〜0.60の範囲内、0.05〜0.30の範囲内のいずれかである。
【0044】
402.解決策400に係る方法において、上記分子篩と上記ガス状のSiCl
4とは、超安定化分子篩を製造するために上記気相超安定化反応器の内部で接触および反応させられ、上記超安定化分子篩は、50%を上回る相対結晶化度を有する。
【0045】
403.解決策400に係る方法において、上記反応器の内部において上記分子篩とガス状のSiCl
4とが接触するときの温度は、250〜700℃の範囲内であり、上記反応器の内部において上記分子篩の反応時間は、10秒間〜100分間の範囲内である。
【0046】
404.解決策400に係る方法において、上記気相超安定化反応器は、解決策100〜111のいずれか1つに係る気相超安定化反応器である。
【0047】
405.解決策400に係る方法において、上記気相超安定化反応器は、解決策103に係る気相超安定化反応器であり、上記反応器の上記筒状本体は、直線状の筒状部材であり、上記筒状本体の少なくとも一部は、上記筒状本体の軸の周りを、0.05〜40rpmの範囲内、好ましくは0.1〜15rpmの範囲内の回転速度で回転するように構成されている。
【0048】
既存の反応ベゼルに基づいた気相超安定化反応器と比較した場合、本発明は、絶え間ない気相超安定化反応を実行することができる。全ての反応を行うための操作は、絶え間なく、かつ、自動的に行うことができる。人手による労働は少なく、かつ、製造効率は高く、かつ、製造品の特性は安定する。本発明は、分子篩の絶え間ない気相超安定化プロセスを実現する。CN1281493Cに開示されたベゼルに基づいたプロセスによれば、昼夜の勤務時間を通じて、最大で1日当たり1200kgの高シリカ分子篩を製造可能である。しかしながら、本発明に係る装置によれば、1時間当たり1000kg、1日当たり24000kgの高シリカ分子篩を製造可能であり、CN1281493Cに開示されたベゼルに基づいたプロセスに対して20倍効率的である。さらに、作業者の労働量は、明確に削減される。従って、本発明に係る装置は、注目に値する経済的な利益を提供可能である。既存の絶え間ない気相超安定化プロセスと比較した場合、本発明は、輸送装置に基づいた反応器を用いる。この構成によれば、分子篩と気化されたSiCl
4ガスとを、比較的高い反応温度で直接接触させることができ、脱アルミニウムおよびシリコン挿入反応を十分に進めることができる。本発明は、既存の分子篩の絶え間ない超安定化技術における、分子篩固体粉末の運搬と、反応時間および気相超安定化反応の程度との相容れない問題を解決するだけでなく、気相超安定化反応の程度を高め、かつ、十分な反応によって、SiCl
4の使用量および残留ガス中のSiCl
4の量を削減する。本発明は、残留ガスの吸収および汚染源による環境汚染を抑制するために好適である。さらに、気相超安定化反応の程度を高めることによって、気相超安定化分子篩の活性度および安定度をさらに向上させることができる。従って、本発明は、触媒作製において上記分子篩の使用量を削減することができ、触媒のコストを抑制することができる。
【0049】
〔図面の説明〕
図1は、従来技術に係る分子篩を作製するための装置の構造図である。
【0050】
図2aおよび
図2bは、本発明に係る分子篩を作製するための装置の構造図である。
【0051】
図3は、実施例2に係る筒状反応器の構造図である。
【0052】
図4は、
図2aおよび
図2bにおいて示された筒状反応器1の軸と水平面との間の角度αの図である。
【0053】
図5は、実施例1に係る筒状反応器の構造図である。
【0054】
図6は、実施例3に係る気相超安定化反応器の構造図である。
【0055】
図7は、実施例3に係る筒状反応器のA−A断面図における捕捉板、および堰板の図であり、7は堰板を示し、8は捕捉板を示し、1は筒状本体を示す。
【0056】
図8は、本発明に係る分子篩を作製するためのデバイスの構造図である。
【0057】
図9は、本発明に係る分子篩のための新しいか焼器を示す。
【0058】
図10は、本発明に係るか焼器、および気相超安定化反応器の間の通信のための接続デバイスを示す。
【0059】
〔発明を実施するための最良の形態〕
本発明に係る分子篩、および接触分解触媒を作製する工程において、分子篩は継続的に気相超安定化反応器へ導入され、分子篩は分子篩導入口から分子篩導出口へ、キャリアガスによる運搬なしに継続的に動かされる。そして、分子篩は、テトラクロロシランガスが継続的に反応器へ導入されている間、超安定化反応を行うための気相超安定化反応器におけるテトラクロロシランガスと接触する。
【0060】
本発明に係る分子篩、および接触分解触媒を作製する方法において、テトラクロロシランガスは、液体状態で反応器へ導入され、反応器で蒸気化され、分子篩と反応する。しかしながら、均一な反応のために、テトラクロロシランガスは蒸気化されて、気相超安定化反応器へ導入されることが好ましい。分子篩と蒸気化テトラクロロシランガスとは、気相超安定化反応器へ導入される。反応器において、テトラクロロシランガスは、脱アルミニウム、およびシリコン挿入反応を行うための、撹拌している間、および/または拡散によって、空隙および分子櫛の微粒子の細孔に入る。分子篩は、重力により、および/または機械的な力により動かされる。テトラクロロシランガスは概して分子篩の移動方向に沿って移動し、分子篩と反応する。気相超安定化反応に起因して、分子篩の空隙中のテトラクロロシランガスの濃度は、分子篩の移動方向に沿ってだんだんと減少する。分子篩が反応器の分子篩導出口に達すると、分子篩中のテトラクロロシランガスの濃度は非常に低いレベルに落ちる。すなわち、テトラクロロシランガスのほとんど全ては、反応器における気相超安定化反応に効果的な反応物として貢献する。従って、テトラクロロシランガスの消費量は減少し、脱アルミニウム、およびシリコン挿入の効果は改善される。
【0061】
本発明の気相超安定化反応器(以下、反応器とも呼ぶ)において、分子篩の気相超安定化反応は流動床、移動床、固定床、またはこれらの組み合わせにおいて行われる。キャリアガスが分子篩を運ぶのに用いられないので、反応物の1つとしての分子篩粒子の濃度は相対的に高い。分子篩粒子は輸送装置により動かされる。本発明においては、テトラクロロシランガスは、希釈するための希釈ガスなしで、反応器へ導入されることができ、他の反応物としてのテトラクロロシランガスの濃度も比較的高い。キャリアガスの運搬なしに反応器において分子篩の移動を達成するために、機械的な(運動力)輸送装置、および/または重力を利用する輸送装置が反応器において用いられる。例えば、往復ピストンコンベヤー、筒状チェーンコンベヤー、らせん状コンベヤー、筒状ベルトコンベヤー、重力を利用する筒状のコンベヤー、ベルトコンベヤー、またはこれらを組み合わせたものを用いることができる。このように、分子篩は反応器の分子篩導入口から反応器の分子篩導出口へ移動されることができる。気相超安定化反応器の分子篩導出口から取り出された分子篩は、次に分離のための気体−固体分離器へ導入される。
【0062】
本発明に係る反応器は、ガス状のSiCl
4を伴う分子篩と接触するという条件を満たすどんな反応器でもあり得る。気相超安定化反応器は、筒状反応器、または輸送反応器(または移動床)であり得る。脱アルミニウム、およびシリコン挿入反応は、筒状反応器、またはベルト輸送反応器において行われることが好ましい。反応器は、分子篩導入口、任意に選択可能なテトラクロロシラン導入口および分子篩導出口を備える。テトラクロロシランガス導入口は、分子篩のためのものと同じ導入口になり得る(すなわち、分子篩とテトラクロロシランとは同じ導入口を有することができる)。あるいは、テトラクロロシラン導入口は、分子篩導入口とは異なる位置に配置することができるが、分子篩導入口と接近していると好ましく、これにより、テトラクロロシランガス、および分子篩は並流し得る。気相超安定化反応器が唯一の導入口を有する場合には、分子篩とSiCl
4との両方が唯一の導入口を介して、反応器の筒状本体に導入される。工業上の継続的な生産における別の装置と協働するため、分子篩は概してか焼器から取り出された熱い分子篩である。すなわち、導入口は、概してか焼器と通じている。従って、好ましくは、気相超安定化反応器は、さらにテトラクロロシラン導入口(第2の導入口)をさらに備える。テトラクロロシラン導入口は、筒状本体の分子篩導入口(第1の導入口)に隣接した位置に配置される。テトラクロロシラン導入口は、分子篩導入口の上流または下流であり得る。テトラクロロシラン導入口は、分子篩導入口の下流にあることが好ましい。上流または下流の関係は、反応器における分子篩の移動方向に関連する(すなわち、分子篩導入口から分子篩導出口への方向は、上流側から下流側への方向である)。
【0063】
本発明によれば、気相超安定化反応器へテトラクロロシランガスが導入された後、運搬のためのキャリアガスは不要であり、よって気相超安定化反応器におけるガスは、テトラクロロシランガス、および分子篩により気相超安定化反応器に導入された例えば空気等のガスを含む。テトラクロロシランガス、および分子篩は、超安定化反応を受ける。超安定化反応においては、分子篩中のアルミニウムを伴う同形置換反応によって、シリコンは分子篩の骨格へ入ることができる。取り除かれたアルミニウム、および塩素は、アルミニウム−塩素混合物を形成する。従って、気相超安定化反応器は、たった1つの導出口を有すればよい(この点では、分子篩導出口と呼んでもよい)。分子篩、分子篩により運び去られたガス、および微量の反応しなかったテトラクロロシランガスは、導出口を介して気相超安定化反応器から取り出され、気体−固体分離器へ導入される。
【0064】
本発明に係る分子篩、および接触分解触媒を作製する方法、および装置においては、気相超安定化反応器は、筒状反応器であり得る。筒状反応器は、分子篩導入口、筒状本体、分子篩輸送装置、分子篩導出口、および任意に選択可能なテトラクロロシラン導入口を含む。筒状反応器は、さらにガス導出口を含む。分子篩の出発物質は気相超安定化反応器の分子篩導入口から筒状本体へ投入され、筒状本体に沿って分子篩導出口へ移動され、気相超安定化反応器から取り出される。テトラクロロシランは任意に選択可能なテトラクロロシラン導入口から気相超安定化反応器へ投入され、分子篩と接触、および反応する。筒状本体は、中で分子篩を動かすことができるいかなる筒であってもよい。例えば、筒は、真っ直ぐな筒、折れ線状に曲げられた筒、湾曲した筒、またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、筒は、一部分が真っ直ぐな筒であり、他の部分が湾曲した筒、またはらせん状の筒が結合した筒であり得る。筒状本体の断面は、例えば、正方形、円形、および多角形のいかなる形状であってもよい。筒状本体は、好ましくは円形筒である。
【0065】
本発明に係る分子篩、および接触分解触媒を作製する方法、および装置においては、気相超安定化反応器は、筒状反応器であり得る。筒状反応器は、筒状本体、導入口、および導出口を備える。導入口および導出口は、筒状本体の両端に配置される。分子篩は、分子篩導入口から投入され、テトラクロロシランと反応する。反応後、分子篩は分子篩導出口から取り出される。取り出された分子篩と微量の未反応のテトラクロロシランとは、気体−固体分離器に入る。分子篩は、筒状反応器において、重力、および/または機械的な運搬により移動させられる。例えば、分子篩は、分子篩導入口から筒状本体を通って分子篩導出口へ、往復ピストンコンベヤー、筒状チェーンコンベヤー、らせん状コンベヤー、筒状ベルトコンベヤー、重力を利用する筒状のコンベヤー、ベルトコンベヤー、またはこれらを組み合わせたものにより移動させられる。分子篩とガス状のSiCl
4との接触時間は、10秒間から120分間の範囲内、例えば1〜60分間の範囲内、または4〜39分間の範囲内であり得る。分子篩とガス状のSiCl
4とは接触中に任意に選択可能に熱されてもよく、分子篩とガス状のSiCl
4の接触温度は、250〜700℃の範囲内であり得る。筒状反応器の長さ(すなわち筒状本体の長さ)は、5〜200mの範囲内であると最適であることが発明者によって発見された。従って、本発明に係る筒状反応器の長さは5〜200mの範囲内であることが好ましく、例えば7〜150mの範囲内、例えば15〜130mの範囲内、または20〜80mの範囲内であることが好ましい。筒状反応器の(内)径は、好ましくは0.01〜6mの範囲内、例えば0.02〜3mの範囲内、例えば0.1〜2mの範囲内、または0.2〜1.5mの範囲内である。筒状本体の長さの筒状本体の内径に対する比率は1以上、例えば3〜100:1の範囲内、または10〜100:1の範囲内である。筒状反応器が0.01〜1.5mの範囲内、例えば0.1〜1.5mの範囲内の直径、および5〜130mの範囲内、例えば15〜130mの範囲内の長さを有するために、分子篩の投入量(流速)は、好ましくは50〜2000kg/時間の範囲内、例えば100〜1500kg/時間の範囲内、または200〜1200kg/時間の範囲内である。上述の状況下において、分子篩とガス状のSiCl
4との継続的な筒状反応器の通過が保証されるだけでなく、分子篩とガス状のSiCl
4との互いの十分な接触、および反応も保証される。同程度の脱アルミニウムの状況下において、本発明は、実質的にガス状のSiCl
4の使用量を減少させることができる。分子篩と熱せられ蒸気化されたSiCl
4とは、継続的な運搬機構下での流動状況において、接触できる。筒状本体は、水平、または傾いていることができ、筒状本体は、筒状本体においてキャリアガスの運搬を伴わずに分子篩が移動することができることを提供することができる。例えば、筒状本体の軸と水平面との間の角度は0〜90°の範囲内、例えば0〜55°の範囲内であり得る。
【0066】
筒状本体は、筒状であり、直線状、折れ線状、らせん状、波状、または他のいかなる形状であってもよい。直線状、および折れ線状は本発明において好ましい。直線状、および折れ線状の筒は、サイズ、および装置が覆う面積を減少させること、および建設の際の困難さを減らすことができるだけでなく、分子篩とSiCl
4との間の十分な反応を達成すること、および分子篩の滞留時間の制御を容易にすることができる。さらに短い筒における十分な接触を保証し、かつ筒状反応器における不均一の反応による劣った品質の分子篩を妨げる、または減少させるために、筒状反応器は、分子篩が重力、および/または機械的な運搬により反応器において移動させられるように構成される。例えば、筒状反応器において継続的な運搬機構が取り付けられること、または分子篩が重力を利用して移動されることが考えられる。こうして、固体粉末の継続的な運搬の問題が解決されるだけでなく、全体の反応物の量が増加する。運搬機構は、分子篩とSiCl
4との流れ、および反応を保証できるいかなる継続的な運搬機構であってもよい。重力を利用する輸送装置、および運動力を利用する輸送装置は、本発明によると好ましい。
【0067】
図2aに示されるように、気相超安定化反応装置は、気相超安定化反応器1、気体−固体分離器2、吸収装置3、およびスラリー混合器4を備える。気相超安定化反応器1は、分子篩導入口(a)、および気相テトラクロロシラン導入口(b)を備えている。気体−固体分離器2は、分子篩導出口(c)を備えている。気体−固体分離器の上端のガス導出口は吸収装置3と通じている。吸収装置3は、テトラクロロシランの吸収後にガスを取り出すためのガス導出口(d)、およびテトラクロロシランを吸収した吸収液を取り出すための吸収液導出口(e)を備えている。スラリー混合器4は、反応後、分子篩導出口(c)から分子篩を受け取る。基質、およびバインダーは、混合された分子篩を形成するためにスラリー混合器へ導入される。本発明によれば、水と混合されスラリーとなった後の気体−固体分離器から得られた分子篩は、触媒の製造に直接用いられる、または乾いた分子篩の粉末が触媒の製造に用いられる。気相超安定化反応を経たばかりの分子篩を洗うことは不必要である。
【0068】
図2bに示されるように、気相超安定化反応装置は、気相超安定化反応器1、気体−固体分離器2、および吸収装置3を備える。気相超安定化反応器1は、分子篩導入口(a)、および気相テトラクロロシラン導入口(b)を備えている。気体−固体分離層2は分子篩導出口(c)を備えている。気体−固体分離器の上端のガス導出口は、吸収装置3に接続している。吸収装置3はテトラクロロシランの吸収後のガスを取り出すためのガス導出口(d)、およびテトラクロロシランが吸収した吸収液体を取り出すための吸収液体導出口(e)が設けられている。分子篩導出口(c)から取り出された分子篩は、洗浄するために洗浄装置4に導入され、洗浄された分子篩を得るためにフィルター部/乾燥部6に導入される。ここで、乾燥は任意に選択可能なステップである。洗浄された分子篩はスラリー混合器5に導入され、洗浄された分子篩は、基質gと混合する(スラリー混合器5へ導入される)ことによってスラリーを作製する。結果として生じるスラリーは、それから、微粒子の形にされるための次のユニットへ導入される。
【0069】
本発明によれば、Na型分子篩交換器は、交換部、および第2のフィルター部を備えていることが好ましい。交換部は、分子篩と交換溶液との間の交換を達成することができるいかなる装置であってもよい。交換部は交換ドラムであってもよく、例えば、円形、または長方形の容器であってもよい。交換器の上端には、分子篩導入口、および交換溶液導入口が設けられている。交換器の底には、分子篩スラリー導出口が設けられている。導出口からのスラリーは、濾過のために第2のフィルター部へ導入される。あるいは、交換領域はベルトフィルター部上に設けられている。交換される分子篩はベルトフィルター部上に置かれ、交換溶液が濾過される。第2のフィルター部は、真空ベルトフィルター部であることが好ましい。例えば、交換ドラムは、円錐形の下端部を有する円筒状のドラムであってもよい。好ましくは、交換ドラムの高さ−直径比(高さに対する内径の比率)は、1:1より大きいことが好ましく、例えば1:1〜5:1の範囲内であることが好ましい。交換ドラムの分子篩導入口と交換ドラムの交換溶液導入口の両方がドラムの上端に設けられている。交換ドラムの分子篩スラリー導出口は、ドラムの底に設けられている。NaY分子篩のための交換は、必要に応じて行われるとよい。例えば交換は、1以上のアンモニウム塩(例えば硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム)、および希土類塩(例えば硝酸希土類元素、塩化希土類元素)と共に行われるとよい。ベルトフィルター部の使用は、分子篩の継続的な交換を達成することができると共に、継続的、かつ自動的にか焼器へ供給することができる。
【0070】
Na型分子篩は商業上利用できる、または既知の方法により作製されるものであってもよい。既知の作製方法は概してゲル合成、結晶化、フィルタリング(用いられるフィルター部は、本発明においては第1のフィルター部とも呼び、好ましくは、真空ベルトフィルター部である)、およびNa型分子篩を製造するために任意に選択可能な乾燥(用いられる乾燥機は、本発明においての第2の乾燥機とも呼ばれる)を含む。
【0071】
か焼器は、温度、および分子篩の固体含有量が要件を満たすために、分子篩を熱するためのものである。目的を達成するためのいかなる既存の装置もか焼器として用いることができる。例えば、分子篩をか焼するための目的が達成されるのならば、例えば回転式のか焼器のような既存の絶え間なくか焼可能なか焼器が用いられることができる。本発明においては、気相超安定化反応器が反応において用いられるので、絶え間なくか焼可能なか焼器と気相超安定化反応装置とを容易に接続できる。好ましくは、か焼温度は200〜650℃の範囲内であり、好ましくは300〜600℃の範囲内である。か焼時間は、概して0.5時間より多く、例えば0.5〜10時間の範囲内である。
【0072】
好ましくは、
図9に示されるような新しいか焼器が、本発明で用いられる。か焼器は、バレル2、およびか焼器のバレルを加熱するための加熱装置1を備える。か焼器のバレル2は、導入口部分24、中間バレル20、および導出口部分25を備える。導入口21、および導出口22は、それぞれ、導入口部分24、および導出口部分25に設けられている。捕捉板3、および堰板4は中間バレル20の内壁に設けられている。か焼器の分子篩導入口から分子篩導出口への捕捉板3の広がりの方向と、中間バレル20(分子篩導入口から導出口への)の軸方向との間の角度は、鋭角であることが好ましい。堰板4は、中間バレル20の軸に対して垂直である。中間バレル20は回転可能である。導入口部分24、および導出口部分25は固定されている。作動中には、中間バレル20は回転し、か焼される分子篩は導入口21において加えられ、そして、か焼された分子篩は、導出口22において集められる。捕捉板3の広がる方向、および中間バレル20の軸方向の間の角度は、鋭角、または鈍角であり、2つの隣接した捕捉板3は接触しない。捕捉板3の数、および堰板4の数は別々に1枚以上であり得る。
図9における数字は下記の手段に対応する:1−炉、10−温度制御装置、11−熱絶縁層、12−発熱システム、13−炉タンク、2−バレル、20−中間バレル、21−導入口、22−導出口、23−接続、および回転機構、24−導入口部分、25−導出口部分、3−捕捉板、4−堰板。
図9における“30°”は捕捉板および軸との間の角度の一例であり、角度を制限するものではない。新しいか焼器は、分子篩を取り出す時間をより均一にすることができ、気相超安定化反応器との直接的な接続を容易にする。中間バレルは、反時計回りの方向、または時計回りの方向に回転することができ、どちらもが、より均一な取り出しを可能にする。か焼器の回転方向が、分子篩導入口から分子篩導出口への中間バレルの環境に沿って伸びる捕捉板の方向と同一であると好ましい。
【0073】
か焼器、および気相超安定化反応器は、分子篩運搬パイプラインの手段により接続されることができる。か焼器の分子篩導出口は、気相超安定化反応器の分子篩導出口の上にある。分子篩がより円滑にか焼器の導出口から気相超安定化反応器の導入口へ移動できるようにするために、分子篩運搬パイプラインの少なくとも1つの区分は傾斜していなければならない。傾斜した区分、および水平面の間の角度は35〜75°の範囲内であり得る。分子篩の流速の制御を容易にするために、接続パイプラインは、分子篩運搬経路を規制するためのバルブ、または仕切板を備えることができる。バルブまたは仕切板が用いられる場合、傾斜区分、および水平面との間の角度は55〜65°の範囲内であり得る。これは、分子篩の流速の制御を容易にする。バルブまたは仕切板の開口の制御により、分子篩の流れは保証される。これは、気相超安定化反応器とか焼器との間のガスの流れを分離することができ、ガス状のテトラクロロシランがか焼器に揺らぎながら浸入することを防止することができる。
【0074】
接続パイプラインの一例は、好ましくは、第1の垂直な区分、第2の垂直な区分、および傾斜区分を有する。
図10に示されるように、第1の垂直な区分511の端部は、か焼器の分子篩導出口に接続されており、他の端部は傾斜区分513の端部に接続されており、傾斜区分513の他の端部は第2の垂直な区分512の端部に接続されており、第2の垂直な区分512の他の端部は気相超安定化反応器の分子篩導入口に接続されている。傾斜区分の軸、および水平面の間の角度は好ましくは30〜80°の範囲内である。接続パイプラインは、好ましくは仕切板514を備えている。仕切板が設けられていることにより、一方では、分子篩の流速は制御されることができ、他方では、接続パイプラインの分子篩の高さは制御されることができる。これはブロック機能を有し、ガス状のテトラクロロシランがか焼器に浸入することを防止する。
図10に示されるように、仕切板が右上の方向へ移動されると、流れの経路が広がることにより、分子篩の流速を増加させることができ、または仕切板上の分子篩の高さを下げることができる。反対に、仕切板が左下の方向へ移動されると、分子篩の流速は減少させることができ、または仕切板上の分子篩の高さを増加させることができる。
【0075】
本装置を用いた分子篩を作成するための工程の流れは
図8に示される。Na型分子篩を合成するための出発物質、例えばシリカ−アルミナテンプレート(a1)、およびアルミン酸ナトリウムの混合物(a2)、ケイ酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、および水等は、合成容器5に加えられ、Na型分子篩、および合成原液を含む結晶化合成産出物を製造するための結晶化が行われる。そして、産出物は、フィルタリングのためにベルトフィルター部21に導入される。結果として生じるフィルターの固まり、および希土類元素塩化物水溶液のような交換溶液は、交換ドラム7に加えられ、スラリーに混合される。一方で、交換ドラムの中のスラリーは、交換ドラムの底から取り出され、フィルタリングのためにベルトフィルター22に導入される。結果として生じる分子篩フィルターの固まりは、か焼のためにか焼器4に導入される。か焼後、200〜600℃の範囲内の分子篩が得られる。結果として生じる分子篩は98重量%以上の固体含有量である。分子篩と出発物質としての熱されたガス状のSiCl
4(b)とは、それぞれ分子篩導入口、およびテトラクロロシラン導入口から筒状反応器1へ供給される。分子篩は、筒状反応器1内のコンベヤー装置により移動され、ガス状のSiCl
4と接触する。筒状反応器1は、筒状反応器1内の反応温度が250〜700℃の範囲内にあることを確実にするため、筒状本体の外壁または筒状本体内に備わるヒーターによって熱される。そして、結果として生じる混合物は、気体−固体分離器2に導入される。気体−固体分離器2においては、分子篩は、気体−固体分離器2の底に留まり、直接的に、または定期的な間隔で取り出される。水と共に洗浄ドラムで洗浄するために、分子篩は加えられる。結果として生じる混合物は、高シリカ分子篩(c)を製造するために、ベルトフィルター部23と共に濾過される。分子篩から分離された未反応のガス状のSiCl
4は気体−固体分離器2の上端にある導出口を介して吸収装置3に導入され、吸収装置3内の吸収体としてのアルカリ性の水溶液と接触する。残留ガス(d)はアルカリ性の水溶液から流出し、吸収装置3の上端にある導出口から取り出される。SiCl
4は、アルカリ性の水溶液と反応し、結果として生じる廃液(e)は、底にある導出口を介して、直接的に、または定期的な間隔で取り出される。
【0076】
本発明の実施形態1によれば、分子篩は重力によって運搬される。筒状本体は、湾曲した筒、または真っ直ぐな筒である。筒状本体の軸と水平面との間の角度は30〜90°の範囲内である。筒状本体は、垂直方向、または傾斜方向に配置されている。傾斜した筒状本体は、筒状本体における分子篩の反応時間の制御を容易にし、分子篩の移動の制御を容易にする。真っ直ぐな筒は好ましい。断面は円形であることが好ましい。筒状本体は傾斜していることが好ましく、その軸と水平面との間の角度は30〜80°の範囲内であることが好ましく、40〜80°の範囲内、または40〜70°の範囲内であることが好ましい。軸と水平面との間の好ましい角度は反応器内の分子篩の高さの制御を容易にし、分子篩の取り出し、円滑で安定した運転、分子篩製品の安定した品質、および、高められた、分子篩の脱アルミニウム、およびシリコン挿入の反応の進み具合を実現可能にする。分子篩導入口、および任意に選択可能なテトラクロロシランガス導入口は筒状本体の端部に設けられている。ここで、筒状本体の端部は反対側の端部より上である。分子篩は筒状本体に入った後、重力により沈下し、超安定化反応を行うために、中のテトラクロロシランガスと混合、および接触する。テトラクロロシランガスは概して分子篩導出口に向かって移動する。テトラクロロシラン濃度は、反応が続くにつれて、反応器の軸方向に沿って減少する。残留テトラクロロシランガスは、分子篩導出口において反応器から取り出される。分子篩導出口は、筒状本体の他方の端部、すなわち、反対側の端部の下方にある、筒状本体の一方の端部に設けられている。反応器のサイズを小さくするために、本発明によれば、分子篩は筒状本体の下部に堆積され、重力により移動させることが好ましく、底に堆積した分子篩の高さは、例えば局部絞り、仕切板、または導出口におけるバルブのような導出口における抵抗の管理により制御され、堆積した分子篩の反応時間は制御されることができる。分子篩が沈下する間、分子篩は、テトラクロロシランガスと接触、および混合される。そして、分子篩は、筒状本体の下部に集まる。テトラクロロシランガスは、分子篩粒子の空隙、および細孔に混ざる。テトラクロロシランガスの一部は分子篩導出口に向かって、分子篩と共に移動し、超安定化し続ける。テトラクロロシランガスは、徐々に消費される。そして未反応のテトラクロロシランガス、および分子篩は、分子篩導出口において筒状本体から取り出され、気体−固体分離器に導入される。気体−固体分離器では、超安定化された分子篩と導入されたガスとは互いに分離される。ガスは、テトラクロロシランガスを吸収するための吸収装置に導入され、分子篩は、気体−固体分離器の底において収集され、直接、または、一定の間隔において気体−固体分離器から取り出される。筒状本体の上部は、分子篩のための沈下領域である。吸収装置では、テトラクロロシランガスは気相である。従って、分子篩が沈下する間、分子篩とテトラクロロシランガスとの間の超安定化が開始する。そして、分子篩は、反応器の下部に堆積され、超安定化の続いている間、分子篩導出口に向かって移動する。分子篩の移動に伴い、分子篩粒子の空隙、および細孔において、テトラクロロシランガスは徐々に反応する。反応器の高さ、沈下領域の高さ、および蓄積層の高さの制御により、反応時間は制御され、分子篩粒子の空隙、および細孔内のテトラクロロシランガスは、可能な限り完全に反応する。形成された蓄積層は、比較的高い耐性を有するので、圧力変動が大きい場合において、分子篩の蓄積層から気体−固体分離器へ直接的に流入するテトラクロロシランガスの導入を防ぐことができる。これは、テトラクロロシランガスの有用性を増加させ、テトラクロロシランガスの使用量を減らすのに役立つことができる。従って、分子篩の反応器の断面の少なくとも一部は分子篩で満たされていることが好ましく、これは、圧力変動のために直接的に導出口から気体−固体分離器に入るテトラクロロシランガスを妨げることができる。従って、反応器のサイズを小さくすることができ、反応効果は保証される。反応器はまた堰板を備える。分子篩は、反対側の端部の上側の筒状本体の一端において筒状本体に供給され、テトラクロロシランガスは同じ端部において筒状本体へ供給され、分子篩と接触される。分子篩は筒状本体の他の端部に向かって筒状本体に沿って移動される。この場合において、分子篩は、筒状本体に蓄積され、反対側の端部よりも下にある筒状本体の端部に向かって重力により移動される。分子篩粒子の空隙内には、テトラクロロシランガス、および筒状本体に分子篩を導入することによって流入したガスが存在し、これらのガスは分子篩と共に移動される。分子篩導出口は、筒状本体の反対側の端部の下の1つの端部に配置され、筒状本体の端部表面で配置され得るか、または端部表面に近接している筒状壁に配置され得る。好ましくは、反応器の筒状本体は、0.1〜2mの範囲内の内径を有する円形の筒状であり、より好ましくは0.15〜1.5mの範囲内である。反応器は1以上の長さ対径の比(筒状本体の内径に対する長さの比)を有し、概して1〜500、例えば1.5〜400:1、好ましくは3〜150:1、例えば10〜100:1である。
【0077】
本発明の実施形態2によれば、反応器は筒状反応器である。筒状反応器は、重力によって分子篩を運搬する。筒状本体において分子篩の移動の制御を容易にするため、より滑らか、かつ安定した分子の移動のため、および反応効果を改良するために、筒状反応器の筒状本体は回転可能に提供される。すなわち、筒状反応器の筒状本体の一部または全てが筒状本体の軸の周りを回転可能である。概して、筒状反応器の回転可能な部分(すなわち、筒状本体の軸の周りを回転可能なように構成される筒状本体)は、反応器の筒状本体の長さの20%以上、20%〜100%の範囲内、または20〜90%の範囲内を含む。回転は、分子篩とSiCl
4との間の接触を著しく増加させることができる。これは、分子篩の超安定化をより滑らか、かつ安定にし、製品品質をより安定させる。この場合において、分子篩導入口は、分子篩導出口の上にあることが好ましく、筒状本体の軸は、水平面に対して角度α(鋭角)を形成することができることが好ましい。角度は、5〜90°の範囲内であり得、好ましくは5〜70°の範囲内、例えば10〜20°の範囲内、20〜50°の範囲内、30〜40°の範囲内、40〜60°の範囲内、または60〜70°の範囲内、および、より好ましくは30〜55°の範囲内である。傾斜した筒状本体は、筒状本体における分子篩の反応時間の制御、および分子篩の移動の制御を容易にすることができ、テトラクロロシラン、および分子篩の混合を促進することができ、反応の均一性を増加させることができる。筒状反応器の筒状本体は、好ましくは真っ直ぐな筒である。好ましくは、分子篩とテトラクロロシランとは、並流する。筒状本体の一部または全てが回転可能に提供される場合には、筒状本体の回転速度は0.05〜40rpmの範囲内、好ましくは0.5〜25rpmの範囲内、例えば0.5〜15rpmの範囲内である。筒状本体が回転可能である場合は、捕捉板、および邪魔板のさまざまな形状が筒状本体の内部に設けられている。捕捉板、および邪魔板は分子篩とSiCl
4とを十分に混合する。邪魔板はまた堰板とも呼び、分子篩の急速な移動(結果として、製品品質の重大な変動を生じる)を妨げることができ、分子篩の一部が反応器を急速に通過することを避けることができる。捕捉板は、分子篩とテトラクロロシランガスとの混合を促進する。捕捉板は、筒状本体の軸と平行に、または傾斜角度(すなわち、筒状本体の軸に対する角度)を有して、一直線に筒状本体の中に溶接されることができる。また、捕捉板は、らせん状のパターン、波状のパターン、または他のパターンで溶接されることができる。捕捉板の数は、1枚以上である。概して、1枚の捕捉板であれば足り、1枚〜6枚の捕捉板であれば好ましい(捕捉板の数とは、断面における数のことを指す)。捕捉板の幅は、例えば、筒状本体の内径の1/100〜1/10の範囲内、例えば1/30〜1/10の範囲内である。任意の形状、および任意の数量の鋼板であって、分子篩の混合を強化することができる小さい鋼板は、撹拌を強化し、物質移動の効果を高めるために捕捉板に取り付けられる。小さい鋼板は、直線形状、螺旋形状、波形状、円形状、またはこれらの組み合わせであり得る。邪魔板は、均等に、または非均等に筒状本体に溶接されることができる。邪魔板の数は0または1枚以上であり得る。邪魔板の幅は、筒状本体に供給される分子篩の予め定められた量により決められる。例えば、邪魔板の幅は、筒状本体の内径の1/100〜1/10の範囲内であってもよい。邪魔板の目的は、反応器内の分子篩の移動を軽減すること、または除くことにある。例えば、邪魔板の目的は、下層の速さが上層の速さより速い状態を軽減すること、または除くことにあり、これにより、反応は均一となり、テトラクロロシランの使用量は減少する。角度αは30〜50°の範囲内であることが好ましく、これは分子篩の運搬を保証できるだけでなく、製品品質の安定化に好都合である。
【0078】
筒状本体の一部または全部が回転可能に設けられている場合において、筒状本体は、好ましくは反応器内のテトラクロロシランの濃度を増加させるのに好都合である内筒を備え、反応の進み具合を増進させ、テトラクロロシランの消費量を減少させ、物質移動を促進させる。内筒は、筒状本体と同軸であり得る。内筒は円形筒であり得る。内筒の外形は好ましくは筒状本体の内径の1/4〜3/4の範囲内である。好ましくは、回転可能な筒状本体は、内筒を備えている。
【0079】
本発明の実施形態2による気相超安定化反応器は
図3に示される。気相超安定化反応器は、反応器の筒状本体、分子篩導入口31、ガス状のテトラクロロシラン導入口41、分子篩導出口51、内筒61、およびガス導出口71を備えている。捕捉板11、および邪魔板21は、反応器の筒状本体に設けられている。反応器はさらに、筒状本体のための(図示を省略する)回転駆動機構を備える。テトラクロロシラン、および分子篩は、それぞれテトラクロロシラン導入口41、および分子篩導入口31を介して、内筒61と気相超安定化反応器の筒壁との間の環状の空間に導入され、接触、および反応される。捕捉板11は、分子篩とテトラクロロシランとの混合に好都合な筒状本体内の分子篩タンブルを作製することができる。邪魔板21は、分子篩が反応器の筒状壁を滑落することを妨げることができ、これは、分子篩が滑らか、かつ安定して移動することに好都合であり、上側の分子篩よりも下側の分子篩が速く移動することを妨げることに好都合であり、さらに製品品質を安定化することに好都合である。内筒61の導入は、分子篩を環状の空間において反応させ、これは分子篩の品質の安定化、および熱損失の減少に好都合である。気体−固体分離器は、SiCl
4ガスとの接触後に分子篩を収集するためのものである。
【0080】
本発明の実施形態3によれば、反応器は、分子篩を運搬するための動力学的な力で運搬する装置を利用し、反応器内で分子篩を移動させる。動力学的な力で運搬する装置はいずれの装置であってもよく、分子篩とガス状のSiCl
4との反応器内での継続的な移動および反応を可能にするよう設けられている。装置は、例えば、往復ピストンコンベヤー、筒状チェーンコンベヤー、らせん状コンベヤー、筒状ベルトコンベヤー、重力を利用する筒状のコンベヤー、ベルトコンベヤー、またはこれらを組み合わせたものであってもよい。動力学的な力で運搬する装置の利用により、分子篩は筒状反応器内で移動することができ、分子篩粒子の空隙、および細孔内のガスはまた、分子篩と共に気相超安定化反応器の導出口へ移動する。
【0081】
一例を挙げると、分子篩は筒状ベルトコンベヤーと共に運搬される。筒状ベルトコンベヤーのために、ベルトコンベヤーは、閉じられた筒状反応器の内部に取り付けられる。分子篩とガス状のSiCl
4とは、筒状反応器の1つの端部における上側導入口からベルトコンベヤー上へ落ち、ベルトコンベヤーと共に筒状反応器の他方の端部における下側導出口へ移動される。ベルトコンベヤー上において、反応物は十分に反応する。ベルトコンベヤーは、継続的に用いられるいずれのコンベヤーであってもよい。ベルトコンベヤーの長さ、および幅は、筒状反応器の導入口、および導出口の位置、ならびに分子篩の供給量による。好ましくは、ベルトコンベヤー上の分子篩の厚さは20cm未満であり、10cm未満であることが好ましい。分子篩がベルト運搬装置と共に移動する場合において、筒状本体と水平面との間の角度αは、0〜45°の範囲内であり、好ましくは0〜25°の範囲内である。
【0082】
分子篩を移動させるためのベルト運搬装置を有する反応器は
図5に示される。分子篩供給原料、およびテトラクロロシランは、反応器の一端における分子篩導入口端部12、およびテトラクロロシラン導入口22から反応器へ導入される。分子篩粒子は、ベルト運搬装置52上に落ち、ベルト運搬装置52上のコンベヤーにより移動させられる。分子篩の上方の空間は、脱アルミニウム、およびシリコン挿入の超安定化反応に貢献するために、分子篩粒子の空隙へ放散され、そして細孔へ放散されるテトラクロロシランで満たされる。反応後の分子篩は、反応器の他端における導出口32に落ち、反応器から取り出される。分子篩の反応のために、分子篩の移動方向においてガス状のテトラクロロシランの濃度は徐々に減少する。導出口32の開口の程度は制御され、分子篩は特定の比率で取り出される。過剰量のテトラクロロシランが導出口32から取り出されることを妨げるために、分子篩は導出口32において固定の高さで堆積される。ガス導出口62は、テトラクロロシラン、および反応器から分子篩と共に混入した空気を抜くためのものである。このように、テトラクロロシランのスクイーズ効果(squeezing effect)のために、反応器へ流入する分子篩が混入した空気は、テトラクロロシランの効果の下、分子篩粒子の空隙から上側のガス層へ放散することができる。一定の、または不定の間隔で、上側のガス層におけるガスを抜くことにより、反応は滑らか、かつ安定的に行われることができる。ガス導出口62から抜かれたガスは、テトラクロロシランガスの回復のために冷却されてもよい。冷却されていないガスは、少量の中のテトラクロロシランを除くために吸収された後、発散されることができる。通常、コンベヤー上の分子篩の厚さは、厚すぎてはならず、好ましくは10cm未満であり、例えば5cm未満である。
【0083】
機械的な運搬のために、往復ピストンコンベヤーは、分子篩を移動させるために用いられることができる。往復ピストンコンベヤーは、複数のピストン押込み棒と共に形成され、閉じられた筒状反応器内に取り付けられた循環運搬装置である。筒状反応器は、上層と下層とに分離される。上層は、ピストン棒により、筒状反応器の上側の導入口から来る分子篩とガス状のSiCl
4とを前方へ押し込むための空間であり、下層は、後方へ移動するピストン棒のために設けられた空間である。このように、継続的な供給を伴う循環反応システムが形成される。
【0084】
機械的な運搬のために、好ましくは、分子篩を移動させる筒状チェーンコンベヤーを用いるとよい。筒状チェーンコンベヤーはスプロケットホイール、リムホイール、チェーン、ディスク、循環運搬用チューブ、導入口、および導出口を備えており、チェーンは、スプロケットホイール、およびリムホイール上に掛けられ、ディスクは、回転するチェーン内に垂直に差し込まれており、循環運搬用チューブは、チェーンの外に設けられ、スプロケットホイール、リムホイール、チェーン、ディスク、および循環運搬用チューブは閉じた材料運搬ループを形成する。分子篩導入口に近いテトラクロロシラン導入口を設置することにより、テトラクロロシランの移動方向、および分子篩の移動方向は、実質的に同一となり得る。反応筒の内径に対する筒状チェーンコンベヤーのチェーン間の距離の比は、1:1〜1:100の範囲内、例えば1:2〜1:20となり得る。反応器の筒状本体の内径に対する隣接ディスク間の距離の比は、1よりも少なく、好ましくは1/4〜1/2の範囲内である。
【0085】
気相超安定化反応器内において、分子篩を移動させるのにらせん状コンベヤーを用いることもまた好ましい。らせん状コンベヤーは、軸付らせん状コンベヤー、および軸無らせん状コンベヤーを備える。軸無らせん状コンベヤーは、中心軸を有さない。軸無らせん状コンベヤーは、物質を移動させるための特定の柔軟性を有する、スチール製の一体化された螺旋を利用する。従って、強い縺れ耐性(anti-entangling performance)を有し、中心軸による乱れが起こらない。軸付らせん状コンベヤーは、継続的な運搬装置であり、物質を移動させるためのらせん状のスチールディスクの回転を利用する。この類の運搬装置は、水平状態に置かれるか、または傾斜状態に置かれる。分子篩を筒状本体内で移動させることができる限りにおいて、らせん状コンベヤーの螺旋ピッチに対する特別な要求はない。例えば、螺旋のピッチは筒状本体の内径の1/100〜1/10の範囲内であり得る。
【0086】
好ましくは、気相超安定化反応器の筒状本体は真っ直ぐな筒である。分子篩は、反応器の少なくとも1つの場所において筒状本体内を占めることができる。すなわち、筒状反応器の少なくとも1つの場所において、筒状本体の断面は分子篩で満たされる。このように、分子篩は封止機能を有してもよく、これによりテトラクロロシランガスが、圧力変動のために、気体−固体分離器へ速く流入しすぎることはない。
【0087】
本発明の実施形態4によれば、分子篩の運搬はまた、動力学的な力、および重力の組み合わせにより行われる。これをここでは“結合運搬方式”と呼ぶ。この場合において、分子篩の移動は、重力により、および機械的な運搬装置により制御される。機械的な運搬装置の制御により、反応器における分子篩の滞留時間は調節されることができ、分子篩とテトラクロロシランとの反応時間は制御されることができる。この様に、筒状反応器での分子篩の反応は、より均一になることができ、逆混合は減らされることができる。結合運搬方式において、好ましい筒状反応器は、真っ直ぐな筒状反応器であり、筒状本体の軸と水平面との間の角度は好ましくは25〜55°の範囲内である。この様に、分子篩の脱アルミニウム、およびシリコン挿入のための気相超安定化反応が達成されるだけでなく、機械的な運搬装置の力は比較的小さくされ得る。これは、反応器内の分子篩の移動の制御を容易にし、反応をより均一にし、装置整備を減らすという利益を有する。好ましい機械的な運搬装置は、例えば、往復ピストンコンベヤー、筒状チェーンコンベヤー、らせん状コンベヤー、およびベルトコンベヤーである。好ましくは、筒状本体は、傾斜状態で配置される。筒状本体の軸と水平面との間の角度は25〜55°であることが好ましく、これは、作製された分子篩の安定性を高め、生成物の分布を向上させる。
【0088】
本発明はさらに気体−固体分離ステップ、および吸収ステップを含み、従って、本発明の装置は、さらに気体−固体分離器、および吸収装置を含む。気体−固体分離ステップは、気相の未反応のテトラクロロシランから、反応後、分子篩を分離し、かつ分子篩における未反応のテトラクロロシランを可能な限り取り除く。気体−固体分離は、気体−固体分離器において行われる。吸収ステップは、気体−固体分離の結果物である気体中のテトラクロロシランの吸収であり、吸収装置において行われる。上記の気体−固体分離目的を達成する種々の容器は、本発明の気体−固体分離器として用いられることができる。本発明は、気体−固体分離器の形状を特に限定しない。例えば、気体−固体分離器は、円筒状の形状であってもよい。さらに、好ましい方式においては、気体−固体分離器の下部は、端部に開口を有する円錐形である。従って、得られた分子篩は、開口から取り出されることができる。反応後の混合器の中の気体の成分が上方の開口から取り出されるよりもむしろ可能な限り吸収装置に入るために、気体−固体分離器と(反応器の)導出口との接続点は、円錐形が始まる部分より上にあることが好ましい。さらに好ましくは、気体−固体分離器と(反応器の)導出口との接続点は、気体−固体分離器の中段上部に配置される。気体−固体分離器は、後述するように、上端の開口を介して吸収装置に接続される。
【0089】
気体−固体分離器において、固体分子篩は、気体から分離され高シリカ分子篩生成物を生じさせる。気体−固体分離器は、概して、導入口、および上部気体導出口を備える。筒状本体の一端は、気体−固体分離器と接続されている。気体−固体分離器の断面積は、筒状反応器の筒状本体の断面積よりも大きい。これにより、反応後の分子篩の粉末の沈下を達成することができ、気体−固体分離を完了する。気体−固体分離器の断面積は、筒状反応器の筒状本体の断面積より大きい。これにより、反応後の分子篩の粉末の重力による沈下を達成させることができ、従って気体−固体分離を達成することができる。さらに好ましくは、筒状反応器の筒状本体の断面積に対する気体−固体分離器の断面積の比は、2〜10:1の範囲内であり、これにより分子篩の速い沈下を達成することができる。さらに、分子篩が気体−固体分離器へ十分に沈下することを保証するために、本発明に係る気体−固体分離器の高さは5m以上であることが好ましく、例えば、5〜10mの範囲内である。より好ましくは、気体−固体分離器の導入口は、気体−固体分離器の中段に配置されている。これは一方で、気体−固体分離器の底に沈下する分子篩が撹拌されないことを保証し、他方で、十分な沈下時間を保証することができる。反応器、および気体−固体分離器は、わずかな負圧において動作するように構成されていてもよく、例えば、気体−固体分離器の真空度は、100Pa〜90kPaの範囲内であってもよく、好ましくは1kPa〜80kPaである。
【0090】
さらに好ましくは、気体−固体分離器は、分離による結果として生じる分子篩固体を取り出すための底部固体導出口を更に備える。さらに好ましくは、気体−固体分離器は、底部固体導出口の開閉を制御するためのバルブをさらに備える。これにより、気体−固体分離器内に集められた分子篩固体は、適時に取り出される。
【0091】
気体−固体分離器から取り出された分子篩は、スラリーを形成するために洗われることなく、基質、および水と共に直接混合されてもよい。気相超安定化反応は、脱アルミニウム、およびシリコン挿入工程であるため、この反応工程は、大量の塩化アルミニウムを生成する。一方では、反応の出発物質はテトラクロロシランを含む。テトラクロロシランと水との接触は、シリカゲル、および塩酸を直ちに生成する。反応の完了後、分子篩はテトラクロロシランおよび塩化アルミニウムを運ぶ。テトラクロロシランおよび塩化アルミニウムは、触媒のゲル形成において、バインダーとして用いられる。これにより、触媒の作製におけるバインダーの使用を減らすことができ、さらに水の消費、固体の消費、および酸性のガスの発生を減らすことができるので、かなりの量の環境汚染を減らすことができ、また、廃棄物の回収性および有用性を向上させる。本工程は、触媒作製手順を短くすることができ、分子篩洗浄のための水の量を減らすことができ、分子篩の洗浄の間における希土類元素の損失を減らすことができ、スラリー中の希土類イオンを触媒作製へ再利用することにより、希土類元素の有用性を増加させることができ、高効率で出発物質を利用することができる。
【0092】
気体−固体分離器から取り出された分子篩は、洗浄されてもよい。洗浄は、既存の方法に従って行われてもよい。例えば、洗浄は、脱イオン水、または純水と共に行われてもよい。通常、洗浄は、洗浄された分子篩が0.5重量%未満のNa
2O含有量を有する程度で行われ、洗浄の結果物として生じる分子篩はスラリーを形成するために基質と混合される。そしてスラリーは、噴霧乾燥される。
【0093】
本発明によれば、気体−固体分離器のガス導出口からのガスは、ガスに含まれるテトラクロロシランを除くための吸収にさらされる。
図2a、
図2b、および
図8に示されるように、吸収は、吸収装置3で行われることが好ましい。吸収材は、吸収装置3に収納されており、未反応のSiCl
4を、排出基準を満たすまで吸収するのに用いられる。吸収装置3は、未反応のSiCl
4を吸収するのに用いられ、これにより気体−固体分離器2からのガスは排出基準を満たすことができる。吸収装置3としては、SiCl
4を吸収することができる限りにおいて、従来技術において慣例的に用いられる様々な吸収装置を用いることができる。一般的に、SiCl
4は水酸化ナトリウム水溶液のようなアルカリ性溶液に吸収されるか、または水に吸収される。本発明においては、吸収装置3は、好ましくは、ガス導入口、吸収性液体導入口、および2つの導出口を備えている。ガス導入口は、気体−固体分離器と接続されており、好ましくは、吸収装置の中段上部に配置されている。2つの導出口はそれぞれ吸収装置の上端および底に配置されており、それぞれ、ガスの放出、およびの廃液の吸収のためにある。放出ガスにおけるSiCl
4の含有量が十分小さいことを保証するために、複数の吸収装置は直列に接続されていることが好ましい。直列に接続された複数の吸収装置は、SiCl
4の多段の吸収を形成する。吸収装置のガス導出口は、誘導ドラフトファンに接続されていてもよい。
【0094】
本発明の気相超安定化反応器はまた、反応器内の中身を温めるためのヒーターを備えていてもよい。ヒーターは、通常用いられている加熱方式によって実現されてもよい。種々のヒーターが用いられ得る。例えば、加熱ベルトは反応器の外壁を覆うか、;電気炉加熱ワイヤは反応器の外壁に取り付けられるか、;または、反応器は水蒸気で加熱される/反応器内のらせん状のコイルで加熱される/熱放射により加熱される/マイクロ波により加熱される。好ましくは、本発明において、ヒーターは、電気加熱ベルト、水蒸気ジャケットおよびらせん状ヒーターのいずれか1つ、または複数を組み合わせたものであってもよい。これらのヒーターは、分子篩の導入口、テトラクロロシラン導入口、筒状本体の外壁、および/または筒状本体内に取り付けられている。熱交換器は、通常用いられている熱交換方式によって実現されてもよい。例えば、固体SiCl
4は、水蒸気または別の蒸気と共に熱交換されてもよい。筒状反応器の内容物の温度は取り付けられているヒーターによって制御され、これにより、分子篩の供給温度に関する要求が低減される。さらに、最終の脱アルミニウムおよびシリコン挿入分子篩に関する要求に従い、反応器の導入口から導出口への異なる部分での温度は、同じ、または異なるレベルで制御されてもよい。ヒーターが取り付けられなくても、反応器内の内容物の温度は、分子篩とSiCl
4との反応熱によって調整される。例えば、SiCl
4に対する分子篩の供給量の比は、工程を単純化することができる。脱アルミニウムの進み具合が異なる分子篩生成物は、分子篩とガス状のSiCl
4との接触温度が異なるように制御することによって得ることができる。
【0095】
より正確に筒状反応器における温度を制御可能にするために、ヒーターは、例えば電気ヒートテープ(並列の電気ヒートテープ)または電気炉熱ワイヤ等の電気ヒーターであることが好ましい。一方では、筒状本体は、多段に分けられ、1つの電気ヒートテープ、または電気炉熱ワイヤが筒状本体の各段の外壁を包む。このように、温度測定装置は、各々筒状本体内に取り付けられていてもよい。脱アルミニウム、およびシリコン挿入反応に関する温度要求、ならびに各々の温度測定装置に従って、筒状本体の各段の実際の温度が測定され得る。筒状本体の各段の外壁を包む電気ヒートテープの電流および電圧の制御により、筒状本体の各段の温度が制御され得る。例えば、筒状本体の各段の長さは2〜20mの範囲内であってもよく、好ましくは2〜8mの範囲内である。
【0096】
分子篩とガス状のSiCl
4との接触温度の制御は、反応器へ入る分子篩の温度、およびガス状のSiCl
4の温度から独立であってもよい。分子篩およびガス状のSiCl
4の温度は、任意であり得る。分子篩とガス状のSiCl
4との接触後、すぐに反応が進むように、好ましくは、気相超安定化反応器に導入される分子篩の温度は200〜600℃の範囲内であり、SiCl
4の温度は60〜150℃の範囲内である。か焼された分子篩の温度は概して300℃かそれ以上なので、分子篩の上記温度は、反応器およびか焼器の結合による反応の開始において得ることができる。すなわち、好ましくは、分子篩は、か焼器から取り出された直後のものである。一方で、これは、脱アルミニウムおよびシリコン挿入反応を開始するための脱アルミニウムおよびシリコン挿入反応のための熱源として、か焼後の分子篩の高温を利用することができるので、エネルギーを保存することができる。他方で、これは、分子篩を加熱するための時間を短くすることができるので、反応は、相対的に短時間において十分に行われることができる。
【0097】
本工程は、さらに
図2aを参照して説明される。出発物質としての200〜600℃の範囲内の分子篩(a)、および熱交換されたガス状のSiCl
4(b)は、各々筒状反応器1(反応器は任意にヒーターを備えることができる)へ導入される。分子篩とガス状のSiCl
4とは、筒状反応器1において接触され、反応され、分子篩導出口まで移動する。筒状反応器1は、筒状本体における反応温度が250〜700℃の範囲内に適合するように、筒状本体の外壁上、および/または筒状本体内に取り付けられたヒーターにより熱せられてもよい。そして、反応混合物は、気体−固体分離器2へ導入される。気体−固体分離器2において、反応により得られた高シリカ分子篩(c)は、気体−固体分離器2の底に沈下し、直接的に、または定期的な間隔で取り出され、バインダーとしての基質とスラリーを形成するための粘土とを混合するためにスラリー混合器4へ導入される。得られたスラリーは、触媒粒子を形成するための、噴霧乾燥機のような粒子形成装置へ導入される。ガス状のSiCl
4は、気体−固体分離器2の上端の導出口を介して吸収装置3へ導入され、吸収装置3において、アルカリ性の水溶液のような吸収剤と接触する。残留ガス(d)はアルカリ性の水溶液から流出し、吸収装置3の上端の導出口から取り出される。SiCl
4は、アルカリ性の水溶液と反応し、廃液(e)は、底の導出口を介して、直接的に、または定期的な間隔で取り出される。
【0098】
本工程は、さらに
図2bを参照して説明される。200〜600℃の範囲内の分子篩(a)と、出発物質としての熱交換されたガス状のSiCl
4(b)とは、それぞれ筒状反応器1(反応器は任意にヒーターを備える)へ導入される。分子篩とガス状のSiCl
4(b)とは筒状反応器において、接触、および反応され、分子篩導出口へ移動される。筒状反応器1は、250〜700℃の範囲内に筒状反応器の反応温度を調整するために、筒状本体の外壁、および/または筒状本体内に取り付けられたヒーターにより熱せられることができる。そして、反応混合物は、気体−固体分離器2へ導入される。気体−固体分離器2において、反応により得られた高シリカ分子篩(c)は、気体−固体分離器2の底に沈下し、直接的に、または定期的な間隔で取り出され、洗浄のために洗浄装置4へ導入され、そして、濾過、および乾燥をするためのフィルター部/乾燥部6へ導入され、そして、スラリー混合器5へ導入され、スラリー形成のためにスラリー混合器5へ導入された基質(g)と混合される。得られたスラリーは、触媒粒子を形成するために、噴霧乾燥機のような粒子形成装置へ導入される。未反応のSiCl
4は、気体−固体分離器2の上端の導出口を介して反応器3へ導入され、反応器3内のアルカリ性の水溶液のような吸収剤と接触される。残留ガス(d)は、アルカリ性の水溶液から脱し、吸収装置3の上端の導出口から取り出される。SiCl
4は、アルカリ性の水溶液と反応し、廃液(e)は底の導出口を介して、直接的に、または定期的な間隔で取り出される。
【0099】
本プロセスはさらに
図8を参照して説明される。結晶体合成容器5からの結晶体合成生成物は、濾過のための真空ベルトフィルター21へ導入される。分子篩フィルターの固まり(cake)は、交換ドラム7の上端を通って交換ドラム7へ導入され、交換ドラム7に対するある交換率で導入される交換水溶液と混合され、そして、交換ドラム7において交換される。一方では、交換ドラムの底からの分子篩含有スラリーは、フィルタリングのために真空ベルトフィルター22へ導入される。分子篩フィルターの固まりは、か焼のためにか焼器4へ導入され、200〜600℃の範囲内の温度、好ましくは300〜600℃の範囲内の温度を有する分子篩が得られる。得られた分子篩と、出発物質としての熱されたガス状のSiCl
4(b)とは、それぞれ筒状反応器1(反応器は任意でヒーターを備える)へ導入される。分子篩と、ガス状のSiCl
4(b)とは筒状反応器1において接触し、反応し、分子篩導出口まで移動される。筒状反応器1は、筒状本体における反応温度が250〜700℃の範囲内に調整されるように、筒状本体の外壁、および/または筒状本体内に取り付けられているヒーターにより熱せられる。そして、反応混合物は、気体−固体分離器2へ導入される。気体−固体分離器2では、反応により得られた高シリカ分子篩は、気体−固体分離器2の底に沈下し、直接的または周期的な間隔で取り出され、洗浄するために洗浄ドラム8に導入され、そして、増大したSi/Al比高シリカ分子篩(c)を得るために、真空ベルトフィルター23を用いてフィルター処理される(または、洗浄するために洗浄ドラム8に導入されずに、ゲル形成装置に導入されて、スラリーを形成するための接触分解触媒を調製するために他の材料と混合され、そして、触媒粒子に形作られる)。未反応のガス状のSiCl
4は、気体−固体分離器2の上端の導出口を介して吸収装置3へ導入され、吸収装置3の上端の導出口から取り出される。残留ガス(d)は、アルカリ性の水溶液から脱し、吸収装置3の上端の導出口から取り出される。SiCl
4は、アルカリ性の水溶液と反応され、廃液(e)は、底の導出口を介して、直接的に、または周期的な間隔で取り出される。
【0100】
本発明は、さまざまな分子篩の気相脱アルミニウムおよびシリコン挿入において用いられる。例えば、分子篩はY型分子篩であることができ、Y型分子篩は、0〜18重量%の範囲内の希土類元素、4〜6の範囲内のSi/Al比(SiO
2/Al
2O
3モル比)を有し得る。
【0101】
本発明は、また、さまざまなNa型分子篩の気相脱アルミニウムおよびシリコン挿入に用いられることができる。例えば、Na型分子篩は、NaY分子篩である。NaY分子篩を合成するためのテンプレート剤、シリカ−アルミナゲル、および水の混合物は、結晶化されている(結晶体合成は、例えばCN101468804Bで開示されているような既存の方法に従って行われる)。結晶化生成物は濾過され、結果として生じたフィルターの固まりは、NaY分子篩を得るために任意で乾燥される。NaY分子篩は、イオン−交換装置に導入され、イオン−交換にさらされ、NaY分子篩は異なる交換度合いを得ることができる。イオン−交換は、既存の方法に従って行われ、例えば、アンモニウム塩、および/または希土類元素塩をイオン−交換に用いることができる。アンモニウム塩は、例えば1以上の塩化アンモニウム、硝酸塩アンモニウム、および硫酸塩アンモニウムであり、希土類元素塩は、例えば塩化希土類元素、および/または硝酸塩希土類元素である。
【0102】
例えば、NaY分子篩は、異なる希土類元素含有物を伴うY型分子篩を得るために、希土類元素を伴って、または希土類元素を伴わずに交換されることができる。Y型分子篩は、0〜18重量%の希土類元素含有物、4〜6のSi/Al比(Si
2/Al
2O
3モル比)を有することができる。本工程に従って得られた分子篩は、接触分解触媒の作製に用いることができる。接触分解触媒の作製のための基質のような他の出発物質、および操作手順は、従来技術においてよく知られたものであってもよい。例えば、基質は、接触分解触媒を作製するための1以上のバインダーおよび粘土のように用いることができる。例えば、接触分解触媒の総重量に基づき、結果として生じる触媒において、分子篩の含有量は、5〜50重量%であり、バインダー(酸化物のような)の含有量は0.5〜50重量%であり、粘土の含有量は5〜90重量%である。バインダーは、1以上のアルミナ、酸化アルミニウム三水和物、アルミナゾル、シリカゾル、シリカ−アルミナゲル、シリカ−アルミナゾル、およびそれらの前駆体である。粘土は、1以上のカオリン、メタハロイサイト、モンモリロナイト、珪藻岩、ハロイサイト、サポナイト、レクトライト、海泡石、アタパルジャイト、ハイドロタルサイト、およびベントナイトであり得る。スラリーへの混合、および粒子を形作る方法は、従来技術において慣例的なものであり、本発明においてはここで詳しく述べない。
【0103】
本発明はまた下記の技術的解決策を備える。
【0104】
a−1.接触分解触媒を作製するための工程は、分子篩が気相超安定化反応器へ導入され、分子篩は、気相超安定化反応器の分子篩導入口から気相超安定化反応器の分子篩導出口へ、キャリアガスの運搬を伴わずに移動され、分子篩は、気相超安定化反応器内のガス状のSiCl
4と接触および反応され、接触および反応の結果として生じた分子篩は基質と混合されスラリーとなり、粒子を形作る。
【0105】
a−2.解決策a−1に係る工程において、気相超安定化反応器では、分子篩とガス状のSiCl
4との接触温度は250〜700℃の範囲内であり、気相超安定化反応器における分子篩の滞留時間は10秒間から100分間である。
【0106】
a−3.解決策a−1に係る工程において、“分子篩は、気相超安定化反応器の分子篩導入口から気相超安定化反応器の分子篩導出口へ、キャリアガスの運搬を伴わずに移動される”ことは、ベルトコンベヤー、筒状チェーンコンベヤー、らせん状コンベヤー、往復ピストンコンベヤー、重力を利用する筒状のコンベヤー、またはこれらを組み合わせたものを用いることにより実現される。
【0107】
a−4.解決策a−1に係る工程において、気相超安定化反応器は、分子篩導入口、テトラクロロシラン導入口、反応器の筒状本体、および分子篩導出口を備え、分子篩導入口は、分子篩導出口の上にある。
【0108】
a−5.解決策a−1、またはa−4に係る工程において、分子篩とテトラクロロシランとは、同じ導入口を有するか、または分子篩導入口、およびテトラクロロシラン導入口は、気相超安定化反応器の同じ端部に配置される。
【0109】
a−6.解決策a−4に係る工程において、反応器の内径に対する長さの比は、1よりも大きく、好ましくは3〜100:1の範囲内である。
【0110】
a−7.解決策a−1に係る工程において、気相超安定化反応器は、分子篩導入口、テトラクロロシラン導入口、反応器の筒状本体、および分子篩導出口を備え、反応器の筒状本体と水平面との間の角度は30〜90°の範囲内であり、分子篩導入口は筒状本体の上端に配置されており、分子篩導出口は筒状本体の下端に配置されており、分子篩導出口は気体−固体分離装置に接続されており、テトラクロロシラン導入口と分子篩導入口との間の距離はテトラクロロシラン導入口と分子篩導出口との間の距離よりも大きく、分子篩は反応器において重力により移動される。
【0111】
a−8.解決策a−7に係る工程において、反応器の筒状本体の軸と水平面との間の角度は40〜80°の範囲内である。
【0112】
a−9.解決策a−1に係る工程において、気相超安定化反応器は、分子篩導入口、テトラクロロシラン導入口、反応器の筒状本体、および分子篩導出口を備え、反応器の筒状本体の少なくとも一部は、筒状本体の軸の周りを回転可能なように構成されている。
【0113】
a−10.解決策a−1またはa−9に係る工程において、反応器の筒状本体は、真っ直ぐな筒であり、筒状本体の少なくとも一部は、0.05〜40rpm、好ましくは0.1〜15rpmの回転速度で筒状本体の軸の周りを回転することができる。
【0114】
a−11.解決策a−1またはa−9に係る工程において、筒状本体の軸の周りを回転可能な気相超安定化反応器の一部は、堰板および捕捉板を備える。
【0115】
a−12.解決策a−9に係る工程において、筒状本体と水平面との間の角度は5〜80°の範囲内である。
【0116】
a−13.解決策a−9からa−12のいずれか1つに係る工程において、内筒は反応器の筒状本体に設けられ、分子篩とテトラクロロシランとは、筒状本体と内筒の間の環状の空間において接触し反応する。
【0117】
a−14.解決策a−13に係る工程において、反応器の筒状本体の内径に対する内筒の外形の比は1/4〜3/4の範囲内である。
【0118】
a−15.解決策a−1に係る工程において、気相超安定化反応器は、分子篩導入口、テトラクロロシラン導入口、反応器の筒状本体、および分子篩導出口を備えており、反応器の筒状本体は、機械的な運搬装置を備えており、機械的な運搬装置は、気相超安定化反応器の分子篩導入口から分子篩導出口へ分子篩を移動させる。
【0119】
a−16.解決策a−15に係る工程において、機械的な運搬装置はベルトコンベヤー、往復ピストンコンベヤー、筒状チェーンコンベヤー、らせん状コンベヤー、またはこれらを組み合わせたものである。
【0120】
a−17.解決策a−15またはa−16に係る工程において、反応器の筒状本体の軸と水平面との間の角度は0〜70°の範囲内である。
【0121】
a−18.解決策a−17に係る工程において、反応器の筒状本体と水平面との間の角度は25〜55°の範囲内である。
【0122】
a−19.解決策a−1に係る工程において、反応器は筒状本体であり、反応器の筒状本体は5〜200mの長さを有し、筒状本体は0.1〜6mの内径を有する。
【0123】
a−20.解決策a−19に係る工程において、反応器の筒状本体は0.2〜1.5mの内径を有する。
【0124】
a−21.解決策a−1またはa−20に係る工程において、分子篩の流速は50〜2000kg/時間である。
【0125】
b−1.接触分解触媒を作製するための工程では、分子篩が気相超安定化反応器へ導入され、分子篩が気相超安定化反応器の分子篩導入口から気相超安定化反応器の導出口へ、キャリアガスの運搬を伴わずに移動され、気相超安定化反応器において、分子篩はガス状のSiCl
4と接触されて反応され、接触および反応の結果物として生じた分子篩は洗浄され、そして、基質と混合されスラリーとなり、粒子へ形作られる。
【0126】
b−2.解決策b−1に係る工程において、気相超安定化反応器では、分子篩の接触温度、およびガス状のSiCl
4は250〜700℃の範囲内であり、気相超安定化反応器の分子篩の反応時間は10秒間から100分間である。
【0127】
b−3.解決策b−1に係る工程において、“分子篩が気相超安定化反応器の分子篩導入口から気相超安定化反応器の導出口へ、キャリアガスの運搬を伴わずに移動される”とは、ベルトコンベヤー、筒状チェーンコンベヤー、らせん状コンベヤー、往復ピストンコンベヤー、重力を利用する筒状のコンベヤー、またはこれらを組み合わせたものを用いることにより達成される。
【0128】
b−4.解決策b−1に係る工程において、気相超安定化反応器は、分子篩導入口、テトラクロロシラン導入口、反応器の筒状本体、および分子篩導出口を備え、分子篩導入口は分子篩導出口の上にある。
【0129】
b−5.解決策b−1またはb−4に係る工程において、分子篩とテトラクロロシランとは、同じ導入口を有する、または分子篩導入口およびテトラクロロシラン導入口は、気相超安定化反応器の同じ端部に配置されている。
【0130】
b−6.解決策b−4に係る工程において、反応器の内径に対する長さの比は3〜100:1の範囲内である。
【0131】
b−7.解決策b−1に係る工程において、気相超安定化反応器は、分子篩導入口、テトラクロロシラン導入口、反応器の筒状本体、および分子篩導出口を備え、反応器の筒状本体と水平面との間の角度は30〜90°の範囲内であり、分子篩導入口は筒状本体の上端に配置され、分子篩導出口は筒状本体の下端に配置され、分子篩導出口は気体−固体分離装置と接続されており、テトラクロロシラン導入口と分子篩導入口との間の距離はテトラクロロシラン導入口と分子篩導出口との間の距離よりも大きく、分子篩は反応器において重力によって移動される。
【0132】
b−8.解決策b−7に係る工程において、反応器の筒状本体の軸と水平面との間の角度は40〜80°の範囲内である。
【0133】
b−9.解決策b−1に係る工程において、気相超安定化反応器は、分子篩導入口、テトラクロロシラン導入口、反応器の筒状本体、および分子篩導出口を備え、反応器の筒状本体の少なくとも一部は、筒状本体の軸まわりを回転可能なように構成される。
【0134】
b−10.解決策b−1またはb−9に係る工程において、反応器の筒状本体は真っ直ぐな筒であり、筒状本体の少なくとも一部は、0.05〜40rpm、好ましくは0.1〜15rpmの回転速度で筒状本体の軸の周りを回転可能である。
【0135】
b−11.解決策b−1またはb−9に係る工程において、筒状本体の軸周りを回転可能な気相超安定化反応器の一部は、堰板および捕捉板を備える。
【0136】
b−12.解決策b−9に係る工程において、筒状本体と水平面との間の角度は5〜80°の範囲内である。
【0137】
b−13.解決策b−9からb−12のいずれか1つに係る工程において、内筒は反応器の筒状本体に設けられ、分子篩とテトラクロロシランンとは、筒状本体と内筒との間の環状の空間において、接触されて反応される。
【0138】
b−14.解決策b−13に係る工程において、反応器の筒状本体の内径に対する内筒の外形の比は、1/4〜3/4である。
【0139】
b−15.解決策b−1に係る工程において、気相超安定化反応器は、分子篩導入口、テトラクロロシラン導入口、反応器の筒状本体、および分子篩導出口を備え、反応器の筒状本体は、機械的な運搬装置を備え、機械的な運搬装置は、気相超安定化反応器の分子篩導入口から分子篩導出口へ分子篩を移動させることができる。
【0140】
b−16.解決策b−15に係る工程において、機械的な運搬装置は、ベルトコンベヤー、往復ピストンコンベヤー、筒状チェーンコンベヤー、らせん状のコンベヤー、またはこれらを組み合わせたものである。
【0141】
b−17.解決策b−15またはb−16に係る工程において、反応器の筒状本体の軸と水平面との間の角度は、0〜70°の範囲内である。
【0142】
b−18.解決策b−17に係る工程において、反応器の筒状本体と水平面との間の角度は25〜55°の範囲内である。
【0143】
b−19.解決策b−1に係る工程において、反応器は筒状反応器であり、反応器の筒状本体は、5〜200mの範囲内の長さを有し、筒状本体は0.1〜6mの内径を有する。
【0144】
b−20.解決策b−19に係る工程において、反応器の筒状本体は、0.2〜1.5mの内径を有する。
【0145】
b−21.解決策b−1またはb−20に係る工程において、分子篩の流速は、50〜2000kg/時間である。
【0146】
c−1.分子篩を作製する工程は、分子篩が気相超安定化反応器へ導入される工程、分子篩が気相超安定化反応器の分子篩導入口から気相超安定化反応器の導出口へ、キャリアガスの運搬を伴わずに移動される工程、気相超安定化反応器において分子篩がガス状のSiCl
4と接触し、反応される工程を含む。
【0147】
c−2.解決策c−1に係る工程において、反応器における分子篩とガス状のSiCl
4の接触温度は、250〜700℃の範囲内であり、気相超安定化反応器における分子篩の反応時間は10秒間から100分間である。
【0148】
c−3.解決策c−1に係る工程において、“分子篩が気相超安定化反応器の分子篩導入口から気相超安定化反応器の導出口へ、キャリアガスの運搬を伴わずに移動される工程”とは、ベルトコンベヤー、筒状チェーンコンベヤー、らせん状コンベヤー、往復ピストンコンベヤー、重力を利用する筒状のコンベヤー、またはこれらの組み合わせを用いることにより達成される。
【0149】
c−4.解決策c−1に係る工程において、気相超安定化反応器は、分子篩導入口、テトラクロロシラン導入口、反応器の筒状本体、および分子篩導出口を備え、分子篩は分子篩導出口の上にある。
【0150】
c−5.解決策c−1またはc−4に係る工程において、分子篩とテトラクロロシランとは同じ導入口を有するか、分子篩導入口およびテトラクロロシラン導入口は、気相超安定化反応器の同じ端部に配置される。
【0151】
c−6.解決策c−4に係る工程において、反応器の内径に対する長さの比は3〜100:1の範囲内である。
【0152】
c−7.解決策c−1に係る工程において、気相超安定化反応器は、分子篩導入口、テトラクロロシラン導入口、反応器の筒状本体、および分子篩導出口を備え、反応器の筒状本体と水平面との間の角度は30〜90°の範囲内であり、分子篩導入口は筒状本体の上端に配置され、分子篩導出口は筒状本体の下端に配置され、分子篩導出口は気体−固体分離装置と接続され、テトラクロロシラン導入口と分子篩導入口との間の距離は、テトラクロロシラン導入口と分子篩導出口との間の距離よりも大きく、分子篩は反応器内で重力により移動される。
【0153】
c−8.解決策c−7に係る工程において、反応器の筒状本体の軸と水平面との間の角度は40〜80°の範囲内である。
【0154】
c−9.解決策c−1に係る工程において、気相超安定化反応器は、分子篩導入口、テトラクロロシラン導入口、反応器の筒状本体、および分子篩導出口を備え、反応器の筒状本体の少なくとも一部は、筒状本体の軸の周りを回転可能なように構成される。
【0155】
c−10.解決策c−1またはc−9に係る工程において、反応器の筒状本体は真っ直ぐな筒であり、筒状本体の少なくとも一部は、0.05〜40rpm、好ましくは0.1〜15rpmの回転速度で筒状本体の軸の周りを回転可能である。
【0156】
c−11.解決策c−1またはc−9に係る工程において、筒状本体の軸の周りを回転可能な気相超安定化反応器は堰板および捕捉板を備える。
【0157】
c−12.解決策c−9に係る工程において、筒状本体と水平面との間の角度は5〜80°の範囲内である。
【0158】
c−13.解決策c−9からc−12のいずれか1つに係る工程において、内筒は反応器の筒状本体内に設けられ、分子篩とテトラクロロシランとは、筒状本体および内筒の間の環状の空間において接触されて反応される。
【0159】
c−14.解決策c−13に係る工程において、反応器の筒状本体の内径に対する内筒の外径の比は1/4〜3/4の範囲内である。
【0160】
c−15.解決策c−1に係る工程において、気相超安定化反応器は、分子篩導入口、テトラクロロシラン導入口、反応器の筒状本体、および分子篩導出口を備え、反応器の筒状本体は、機械的な運搬装置を備え、機械的な運搬装置は、気相超安定化反応器の分子篩導入口から分子篩導出口へ分子篩を移動させることができる。
【0161】
c−16.解決策c−15に係る工程において、機械的な運搬装置はベルトコンベヤー、往復ピストンコンベヤー、筒状チェーンコンベヤー、らせん状コンベヤー、またはこれらの組み合わせである。
【0162】
c−17.解決策c−15またはc−16に係る工程において、反応器の筒状本体の軸と水平面との間の角度は0〜70°の範囲内である。
【0163】
c−18.解決策c−17に係る工程において、反応器の筒状本体と水平面との間の角度は25〜55°の範囲内である。
【0164】
c−19.解決策c−1に係る工程において、反応器は筒状反応器であり、反応器の筒状本体は5〜200mの範囲内の長さを有し、筒状本体は0.1〜6mの内径を有する。
【0165】
c−20.解決策c−19に係る工程において、反応器の筒状本体は0.2〜1.5mの内径を有する。
【0166】
c−21.解決策c−1またはC−20に係る工程において、分子篩の流速は50〜2000kg/時間の範囲内である。
【0167】
d−1.分子篩を作製する装置は、Na型分子篩交換装置、か焼器、分子篩気相超安定化反応器、および気体−固体分離器を備え、Na型分子篩交換装置はNa型分子篩を交換するためのものであり、か焼器は、交換された分子篩をか焼するためのものであり、分子篩気相超安定化反応器は、か焼された分子篩を気相化学脱アルミニウムおよびシリコン挿入反応にさらすためのものであり、気体−固体分離器は、気相超安定化反応器から取り出された分子篩を未反応のテトラクロロシランから分離するためのものであり、気相超安定化反応器は分子篩導入口、テトラクロロシラン導入口、および分子篩導出口を備え、気相超安定化反応器は、分子篩導入口から導入された分子篩をキャリアガスの運搬を伴わずに、分子篩導入口から分子篩導出口へ移動させることができる。
【0168】
d−2.解決策d−1に係る装置において、“気相超安定化反応器の分子篩導入口から気相超安定化反応器の分子篩導出口へ、キャリアガスの運搬を伴わない移動”は、ベルトコンベヤー、筒状チェーンコンベヤー、らせん状コンベヤー、往復ピストンコンベヤー、重力を利用する筒状のコンベヤー、またはこれらの組み合わせを用いることにより達成される。
【0169】
d−3.解決策d−1に係る装置において、気相超安定化反応器は、分子篩導入口、テトラクロロシラン導入口、反応器の筒状本体、および分子篩導出口を有し、分子篩導入口は分子篩導出口の上にある。
【0170】
d−4.解決策d−1またはd−3に係る装置において、分子篩とテトラクロロシランとは同じ導入口を有するか、分子篩導入口およびテトラクロロシラン導入口は気相超安定化反応器の同じ端部に配置される。
【0171】
d−5.解決策d−1に係る装置において、気相超安定化反応器は、分子篩導入口、テトラクロロシラン導入口、反応器の筒状本体、および分子篩導出口を備え、反応器の筒状本体と水平面との間の角度は30〜90°の範囲内であり、分子篩導入口は筒状本体の上端に配置され、分子篩導出口は筒状本体の下端に配置され、分子篩導出口は気体−固体分離装置と接続され、テトラクロロシラン導入口と分子篩導入口との間の距離は、テトラクロロシラン導入口と分子篩導出口との間の距離よりも大きく、分子篩は反応器において重力により移動される。
【0172】
d−6.解決策d−5に係る装置において、反応器の筒状本体の軸と水平面との間の角度は40〜80°の範囲内である。
【0173】
d−7.解決策d−1に係る装置において、気相超安定化反応器は分子篩導入口、テトラクロロシラン導入口、反応器の筒状本体、および分子篩導出口を備え、反応器の筒状本体の少なくとも一部は、筒状本体の軸の周りを回転可能なように構成される。
【0174】
d−8.解決策d−1またはd−7に係る装置において、気相超安定化反応器の筒状本体は真っ直ぐな筒であり、筒状本体の少なくとも一部は0.05〜40rpm、好ましくは0.1〜15rpmの回転速度で筒状本体の軸の周りを回転することができる。
【0175】
d−9.解決策d−1またはd−7に係る装置において、筒状本体の軸の周りを回転することができる気相超安定化反応器は堰板および捕捉板を備える。
【0176】
d−10.解決策d−7に係る装置において、筒状本体と水平面との間の角度は5〜80°の範囲内である。
【0177】
d−11.解決策d−7またはd−10に係る装置において、内筒は反応器の筒状本体に設けられ、分子篩とテトラクロロシランとは筒状本体および内筒の間の環状の空間において接触して反応する。
【0178】
d−12.解決策d−11に係る装置において、反応器の筒状本体の内径に対する内筒の外径の比は1/4〜3/4の範囲内である。
【0179】
d−13.解決策d−1に係る装置において、気相超安定化反応器は、分子篩導入口、テトラクロロシラン導入口、反応器の筒状本体、および分子篩導出口を備え、反応器の筒状本体は、機械的な運搬装置を備え、機械的な運搬装置は、ベルトコンベヤー、往復ピストンコンベヤー、筒状チェーンコンベヤー、らせん状コンベヤー、またはこれらの組み合わせを備える。
【0180】
d−14.解決策d−13に係る装置において、反応器の筒状本体の軸と水平面との間の角度は0〜70°の範囲内である。
【0181】
d−15.解決策d−14に係る装置において、反応器の筒状本体と水平面との間の角度は25〜55°の範囲内である。
【0182】
d−16.解決策d−1に係る装置において、反応器は筒状反応器であり、反応器の筒状本体は5〜200mの範囲内の長さを有し、筒状本体は0.1〜6mの範囲内の内径を有する。
【0183】
d−17.解決策d−16に係る装置において、反応器の筒状本体は0.2〜1.5mの範囲内の内径を有する。
【0184】
d−18.解決策d−1からd−17のいずれかに係る装置において、反応器の内径に対する長さの比は3〜100:1の範囲内である。
【0185】
d−19.解決策d−1に係る装置において、か焼器は、か焼器のバレル、およびか焼器のバレルを熱するための発熱装置を備え、か焼器のバレルは導入口、導出口、および導入口と導出口との間の中間バレルを備え、中間バレルは堰板および捕捉板を備える。
【0186】
d−20.解決策d−19に係る装置において、捕捉板の延長方向とか焼器のバレルの軸方向との間の角度は鋭角か鈍角である。
【0187】
d−21.解決策d−20に係る装置において、角度は0°より大きくかつ45°未満である。
【0188】
d−22.解決策d−1に係る装置において、Na型分子篩交換装置は、交換器、第2のベルトフィルター部を含み、任意でさらに第1の乾燥機を含み、交換器は、交換イオンを有するNa型分子篩を交換するものであり、第2のベルトフィルターは、交換された分子篩から、交換する原液を分離するためのものであり、第1の乾燥機は、第2のベルトフィルターから得られた交換された分子篩を乾燥するためのものである。
【0189】
d−23.分子篩を作製する工程は、修飾するために、d−1からd−22の解決法のいずれかに従い、Na型分子篩を装置へ導入する工程を含む。
【0190】
d−24.解決策d−23に係る工程において、気相超安定化反応器では、分子篩とガス状のSiCl
4との接触温度は250〜700℃の範囲内であり、気相超安定化反応器における分子篩の反応時間は10秒間から100分間である。
【0191】
d−25.解決策d−23に係る工程において、か焼器のか焼温度は300〜500℃の範囲内である。
【0192】
d−26.解決策d−23に係る工程において、交換器におけるNa型分子篩を伴う交換のための交換イオンは、1以上の希土類元素イオンおよびアンモニウムイオンを含む。
【0193】
d−27.解決策d−23に係る工程において、追加されたNa型分子篩の量は50〜2000kg/時間である。
【0194】
<実施例>
以下に、本発明は下記の実施例と共にさらに説明され、本発明を限定するように解釈されてはならない。
【0195】
〔実施例1〕
分子篩気相シリコン挿入装置は、
図2aまたは
図2bまたは
図8に従って、3mmの厚さのNiCr18Tiのステンレススチールで作製された。気体−固体分離器2の上部は径が6mであり高さが14mである円筒であった。下部は開口を有する円錐形であった。円錐形は45°の円錐角を有していた。バルブは開口に設けられていた。導出口は気体−固体分離器の上端から1m離れた位置に配置された。吸収装置3は、水酸化ナトリウム水溶液(10モル/L)を収容していた。吸収装置3および気体−固体分離器2は水酸化ナトリウム水溶液中に挿入された導管を介して接続されていた。
【0196】
反応器1は、
図5に示されるような筒状反応器であった。筒状本体は、80mの全長を有していた。筒状本体は0.8mの径を有していた。反応器の筒状本体は環状形状で作製されていた。反応器は真っ直ぐな筒の上層、および真っ直ぐな筒の下層を含んでいた。真っ直ぐな筒の上層および下層は水平に取り付けられていた。軸と水平面との間の角度は0°であった。真っ直ぐな筒の上層および下層の2つの端部は、それぞれ曲った筒に接続されていた。曲った筒の各々は、半円形状内にあった。ベルトコンベヤー52は、環状筒状本体の中に置かれていた。各々の曲った筒は6mの長さを有していた。真っ直ぐな筒の上層および下層は34mであった。このように、筒状本体は概して環状形状であった。ベルトコンベヤー52は、環状筒状本体内に置かれていた。環状筒状本体の1つの端部において、第1の導入口12(分子篩導入口)は、上層上に配置されていた。第2の導入口22は第1の導入口の下流であり、第1の導入口から2m離れて配置されていた。環状筒状本体の他の端部において、ガス導出口62は上層に配置されていて、導出口32は下層に配置されていた。ガス導出口62は、ガス導出口を介して分子篩が失われることを防ぐために、気体−固体分離器に取り付けられていた。分子篩は運搬ベルト上で移動された。ベルトコンベヤーは錆止めの金属ベルトで作製されていた。金属ベルトの幅は、環状筒状本体の径とほぼ等しかった。
図5に示されているように、分子篩は、反応器の左上部分において、第1の導入口12から反応器の筒状本体へ入り、反応器の筒状本体の上層において運搬ベルト52上に降下し、運搬ベルトと共に右へ移動した。テトラクロロシランガスは、第2の導入口(テトラクロロシラン導入口22)から反応器へ入り、概してガス導出口62に向かって流れた。移動中、テトラクロロシランガスおよび分子篩は、脱アルミニウムおよびシリコン挿入の超安定化反応器にさらされた。ガス濃度は次第に減少した。ガス導出口62に到達したとき、気相におけるテトラクロロシランの濃度は非常に低くなり、脱アルミニウムおよびシリコン挿入の反応速度も非常に遅くなった。ガスはガス導出口62から取り出された。分子篩は、曲った筒領域へ運搬ベルトと共に移動され、運搬ベルトから分離され、分子篩導出口32を介して気相超安定化反応器から取り出された。分子篩から分離された後、運搬ベルトは、筒状本体の下層を通り抜けて分子篩導入口へ戻った。
【0197】
か焼器から来て、350℃の温度を有するY型分子篩を含む希土類元素(固体含有量98.5重量%、希土類元素含有量=15.0重量%、Si/Al比(シリカ/アルミナ)5.26、Na
2O含有量4.8重量%、以下同様)、および90℃の温度を有するSiCl
4ガスは、各々第1の導入口12および第2の導入口22から、筒状反応器1の筒状本体へ連続的に供給された。一方では、筒状反応器の環状筒状本体は10段に分割されており、各々の段は10mであった。各々の筒状本体の外壁は、筒状反応器を熱するための電気ヒートテープで包まれており、そして、筒状反応器1における各々の加熱段の温度は400℃であった。SiCl
4の流速は、流量計によって制御された。SiCl
4の分子篩に対する重量比は0.25であり、分子篩の供給量は800kg/時間であり、筒状反応器1における滞留時間は10分間であった。反応の1.5時間後、分子篩は、高シリカ分子篩A1を得るために円錐形の底の開口を介して気体−固体分離器2から取り出された。A1および非カチオン化された水は、混合されてスラリーとなり、洗浄され、濾過され、主たる特性が表1に挙げられている高シリカ分子篩Aを得るために120℃で乾燥された。運搬ベルト上の分子篩の高さは、約2cmであった。分子篩の厚みが大き過ぎて非均一性が起こらないように、レベル制限板は反応器の筒状本体内に取り付けられることができる。レベル制限板と運搬ベルトとの間の距離を制御することにより、運搬ベルト上の分子篩層の厚さは制御される。
【0198】
〔実施例2〕
分子篩気相シリコン挿入装置は、
図2aまたは
図2bまたは
図8に従って、3mmの厚さのNiCr18Tiのステンレススチールで作製された。気体−固体分離器2の上部は径が6mであり高さが14mである円筒であった。下部は開口を有する円錐形であった。円錐形は45°の円錐角を有していた。バルブは開口に設けられていた。導出口は気体−固体分離器の上端から1m離れた位置に配置された。吸収装置3は、水酸化ナトリウム水溶液(10モル/L)を収容していた。吸収装置3および気体−固体分離器2は水酸化ナトリウム水溶液中に挿入された導管を介して接続されていた。
【0199】
筒状反応器1の筒状本体は、60mの長さを有し、真っ直ぐな筒であった。反応器の筒状本体の軸と水平面との間の角度は45°であった。筒状本体は1mの内径を有していた。
図3に示されるように、分子篩は重力により運搬された。筒状本体は45°傾けられた。分子篩導入口の中心は、上端面から1m離れていた。テトラクロロシラン導入口はその端面から2.5m離れていた。筒状本体の中間部分(回転可能な部分で、53mの全長を有し、導入口端面から4m離れている)は5r/分で回転した。筒状本体の回転可能な部分の内部は3つの捕捉板11が設けられていた。捕捉板は5cmの幅を有し、筒状本体の軸と平行であり、筒状壁と捕捉板の交差線の切歯板(incisal plane)に垂直である。一方で、筒状本体の内壁は2つの堰板21に溶接されており、第1の堰板は分子篩導入口端面から30m離れ、第2の堰板は分子篩導入口端面から55m離れ、反対側の端面から5m離れていた。2つの堰板は円形の輪の形状であり、8cmの高さを有し、筒状本体の軸に垂直であった。筒状本体の一端において、導入口31に取り付けられており、第2の導入口41は第1の導入口から1.5m離れていた。筒状本体の他端において、導出口51およびガス導出口71が配置されていた。筒状本体の中間に、60cmの外径および筒状本体と同じ高さを有する断熱胴が配置されていた。断熱胴は熱損失を減少させるためのものであり、気相超安定化反応を均一にした。
【0200】
図3に示されるように、か焼器から届いたY型分子篩を含み、300℃の温度を有する希土類元素(固体含有量98.5重量%、希土類元素含有量=15.0重量%、Si/Al比5.26、Na
2O含有量4.8重量%)、および80℃の温度を有するSiCl
4ガスは、第1の導入口31と第2の導入口41とのそれぞれから連続的に筒状反応器1の筒状本体へ供給された。一方で、筒状反応器の筒状本体は12段に分割され、各々の段は5mであった。筒状本体の各々の外壁は、筒状反応器を温めるために電気ヒートテープで包まれており、それにより、筒状反応器1の温度は300℃であった(分子篩導出口の温度)。SiCl
4の流速は流速計によって制御された。SiCl
4の分子篩に対する重量比は0.05であり、分子篩の供給量は1000kg/時間であり、筒状反応器1における分子篩の滞留時間は5分間であった。反応の1時間後、分子篩は、分子篩B1を得るために、円錐形の底の開口を介して、気体−固体分離器2から取り出された。B1および非カチオン化された水は、混合されてスラリーとなり、洗浄され、濾過され、主たる特性が表1に挙げられている高シリカ分子篩Bを得るために120℃で乾燥された。
【0201】
〔実施例3〕
分子篩気相シリコン挿入装置は、
図2aまたは
図2bまたは
図8に従った、3mmの厚さのNiCr18Tiのステンレススチールで作製された。反応器の筒状本体の軸と水平面との間の角度は55°であった。筒状本体の内径は0.5mであった。気体−固体分離器2の上部は径が6mであり高さが14mである円筒であった。下部は開口を有する円錐形であった。円錐形は45°の円錐角を有していた。バルブは開口に備わっていた。導出口は気体−固体分離器の上端から1m離れた位置に配置されていた。吸収装置3は、水酸化ナトリウム水溶液(10モル/L)を収容していた。吸収装置3および気体−固体分離器2は水酸化ナトリウム水溶液中に挿入された導管を介して接続されていた。
【0202】
気相超安定化反応装置は
図6に示されていた。分子篩は、気相超安定化反応器において重力によって移動された。反応器は、分子篩導入口5、ガス状のテトラクロロシラン導入口6を設けた。反応器1の筒状本体は、分子篩導入口端12、回転可能な部分11、および分子篩導出口端13を含む真っ直ぐな筒であった。分子篩導入口端12および分子篩導出口端13は支柱9により支えられていた。ドライバー3は、回転可能な部分11を筒状本体1の軸の周りを回転するように運転した。支柱2は回転可能な部分11を支えるように用いられた。回転可能な部分は、捕捉板8および堰板7が設けられていた。回転可能な部分11、分子篩導入口端12、および分子篩導出口13の接続は、アクティブ接続であり、環境に対して密封されていた。分子篩の導出口は導出口端13の端面に配置されていた。端面は邪魔板が設けられた。邪魔板を適合することにより、分子篩導出口のサイズは適合される。この例において、筒状本体は、円柱状の真っ直ぐな筒であった。筒状本体の長さは12mであり、回転可能な部分11の長さは9mであり、分子篩導入口端12の長さは1.8mであり、分子篩導出口端13の長さは1.2mであり、筒状本体1の内径は0.8mであった。筒状本体の軸と水平面との間の角度は35°であった。筒状本体1の回転可能な部分11は5r/分で回転された。筒状本体の内側は、3つの捕捉板8が設けられていた。捕捉板は5cmの高さを有し、軸に平行であり、筒壁および捕捉板の交差線の切歯板に垂直であった。一方で、筒状本体の内壁上に2つの堰板7が溶接された。それらの板面は筒状本体1の軸に垂直であった。それらの高さは6cmである。第1の堰板は分子篩導入口端面から3m離れており、第2の堰板は分子篩導入口端面から6m離れていた。
図7は
図6のA−A断面の説明であった。
【0203】
か焼器から届いたY型分子篩を含み、300℃の温度を有する希土類元素(固体含有量98.5重量%、希土類含有量=15.0重量%、Si/Al比5.26、Na
2O含有量4.8重量%)、および80℃の温度を有するSiCl
4ガスは、分子篩導入口5および気相テトラクロロシラン導入口6からそれぞれ筒状反応器の筒状本体に連続的に供給された。筒状本体の回転可能な部分11の外壁は、筒状反応器を熱するために1つの電気ヒートテープで包まれ、それにより、筒状反応器1における温度は300℃であった(反応器分子篩導出口の温度)。SiCl
4の流速は流速計により制御されていた。分子篩に対するSiCl
4の重量比は0.05であり、分子篩の供給量は1000kg/時間であり、筒状反応器1における分子篩の滞留時間は5分間であった。反応の1時間後、分子篩は、分子篩C1を得るために、円錐形の底における開口を介して、気体−固体分離器2から取り出された。C1および非カチオン化された水は混合されてスラリーとなり、洗浄され、濾過され、主たる特性が表1に挙げられている高シリカ分子篩Cを得るために120℃で乾燥された。
【0204】
〔比較例1〕
CN102049315Aの例1において開示された方法に従って、分子篩Eは作製された。用いられた、希土類元素を含むY型分子篩は、実施例1におけるY型分子篩と同じであった。当該Y型分子篩は、5m間隔で複数の段階に分割された。加熱ベルトは、各段階を加熱するために各々の段階に設けられた。反応温度および反応時間は、実施例3の反応温度および反応時間と同じであった(300℃および5分間)。テトラクロロシランの分子篩に対する比は0.3であった。供給量は1トン/時間であった。洗浄後、分子篩Eは得られた。対応する未洗浄の分子篩(反応後)はE1として記された。これらの特性は表1に挙げられた。同じ反応温度および反応時間の下、本発明は、よりよい脱アルミニウム効果を示し、使用されたテトラクロロシランの量が著しく減少することが分かる。
【0205】
〔比較例2〕
比較例1におけるテトラクロロシランおよび分子篩の重量比を0.16に調整して、分子篩Fを得た。その主たる特性が表1に挙げられた。
【0206】
本発明によれば、単位セルサイズ、相対的結晶化度、および骨組のSi/Al比は、エックス線粉末回折の方法により定められた。実験道具:ドイツのジーメンスAG製のD5005X線粉末回折装置。実験条件:Cu対陰極、Kα放射線、固体検出器、40kVの管電圧、40mAの管電流、2秒当たり0.02°のステップのステップ走査、5〜70°のスキャン領域範囲。
【0207】
本発明によれば、分子篩の格子崩壊温度は、微分熱分析方法(differential thermal analysis method)により定められた。実験道具:アメリカのDupont製のDupont1600熱分析器。実験条件:キャリアガスとして空気、40mL/分の流速、10℃/分の加熱速度。
【0208】
本発明によれば、比表面積は、吸窒静的容量測定の方法(nitrogen adsorption static volumetric method)により定められる。実験道具:Micromeritics製のASAP2400吸窒分析器。実験条件:サンプルは、1.33Paの300℃下で4時間減圧および脱ガスされ、そして、77Kの下、液体窒素と接触され、等温の吸着、脱着、吸着測定、脱着等温および比表面積はBET式によって定められた。
【0209】
本発明によれば、物質の組成は、蛍光X線分析方法により定められた。実験道具:日本の理化学工業株式会社製の3271蛍光X線分析器。実験条件:粉末サンプルは圧縮および形作られ、ロジウム対陰極、50kVの励磁電圧、50mAの励磁電流、シンチレーション計数器および比例計数管を用いた各要素のスペクトル線強度の検知、外部標準方法を用いた要素の含有量の定量的分析および半定量的分析の実施。
【0211】
工業用REYとの比較において、本発明に従って作製された分子篩は、増加する骨組のSi/Al比(SiO
2/Al
2O
3モル比)を有することが表1から分かる。良好な脱アルミニウム効果およびシリコン挿入効果を示した。さらに、工業用REYとの比較において、本発明に従って作製された分子篩では、相対的結晶化度、格子崩壊温度および比表面積が改良され、Na
2O含有量が減少したことが表1から分かる。本発明に従って作製された分子篩は良好な特性を有することが示された。
【0212】
〔実施例4〜6〕
以下の実施例では、実施例1〜3に係る高シリカ分子篩と共に作製された触媒を示した。
【0213】
分子篩、カオリン、疑似ベーマイト、およびアルミナゾルを38:30:22:10(乾量基準)の重量比で混合してスラリーとした後、450℃で噴霧乾燥して球状接触分解触媒を製造した。分子篩は、それぞれ高シリカ分子篩A、BおよびC(実施例1〜3)であり、触媒A−1、A−2、およびA−3が得られた。これらの主たる特性は表2に挙げられた。
【0214】
〔実施例7〜9〕
分子篩、カオリン、疑似ベーマイト、およびアルミナゾルを38:30:18:9(乾量基準)の重量比で混合してスラリーとした後、450℃で噴霧乾燥し、非カチオン化された水で洗浄して球状接触分解触媒を製造した。分子篩は、それぞれ高シリカ分子篩A1、B1、およびC1(実施例1〜3)であり、触媒A−4、A−5、およびA−6が得られた。これらの主たる特性は表2に挙げられた。
【0215】
〔比較例3〕
実施例4〜6において、触媒を作製するために工業用REY分子篩を用いた。工業用REY分子篩は、2回の希土類元素交換および1回のか焼を経てNaY分子篩から得られた。主たる特性は表1に挙げられた。得られた触媒は、参照触媒CC−1として記され、主たる特性は表2に挙げられた。
【0216】
〔比較例4〕
実施例6において、分子篩Eを用い、その他は、変更せずに触媒CC−2を得た。
【0217】
〔比較例5〕
比較例4における分子篩Eの代わりに同量の分子篩E1が用い、触媒CC−3を得た。
【0219】
本発明によれば、強熱減量は、以下の通りに規定される。強熱減量は、か焼前の重量に対する高温か焼により減少した重量の比であり(すなわち、燃焼による減量は、RIPP32−90分析方法(Analysis Methods for Petrochemical Industry (RIPP Test Method), edited by Yang Cuiding et al., Science Press, 1990)を参照)、か焼温度は一般に800℃であり、か焼時間は2時間であり、か焼後のサンプルは乾燥機内で冷却された後、重量が量られる。
【0220】
本発明によれば、触媒の細孔容積は、以下の通りに規定される。細孔容積は、水滴法によって測定される。40メッシュから200メッシュのサンプルが600℃の下で2時間か焼される。冷却した後、25mLのサンプルが100mLの三角フラスコに添加される。添加されたサンプルの重量(w
2)が測定される。水の想定量の90%が添加されるまで、蒸留水が酸のビュレットと共に滴下される。フラスコストッパをきつく詰めた後、フラスコを約20秒間激しく振動させる。その後、滴定がゆっくりと実行される。放熱に起因する温度上昇が速すぎる場合は、フラスコは氷水によって室温にまで冷却される。滴定は、サンプルがフラスコの壁面に少なくとも2秒間くっ付くことができる(滴定の終点)まで行われる。滴定において使用された蒸留水の容積(V
H2O)は記録された。サンプルの水滴細孔容積は、V
g=V
H2O/w
2−0.01であった。
【0221】
本発明によれば、触媒の摩耗指数は、以下の通りに規定される。触媒の吹付乾燥されたサンプルは、600℃の下で2時間か焼される。冷却された後、10gのサンプルが流動摩耗指数テスタの垂直管内に配置される。含湿圧縮空気は、一定の流速で底部から管内に導入される。1時間流動化した後、濾紙シリンダ(微粉捕集器)における微粉が破棄される。新しい濾紙シリンダは、さらに4時間の流動化に用いられる。微粉捕集器における微粉の重量(w
1)および垂直管内の残留サンプルの重量(w
2)が測定される。以下の式に基づき、流動摩擦指数が算出される:AI=w
1/(w
1+w
2)/4。試験環境:搬送ガスとして空気が使用され;流速が140mL/分であり;加熱速度が10℃/分である。
【0222】
本発明によれば、触媒の見かけのかさ密度は、以下の通りに規定される。サンプルの見かけのかさ密度は、自由沈降法によって判定される。試験装置は、20mmの内径を有する25mL計量用のシリンダである。シリンダは、25mLの目盛で丁度切断されており、平坦な状態で固定されている。測定の間、シリンダは漏斗の下に配置され、サンプルが漏斗内に注がれる。余剰の触媒はスクラッパによって取り除かれ、シリンダ外の触媒は拭き取られる。シリンダの重さを測ることにより、触媒の見かけのかさ密度(単位:g/mL)を算出することができる。
【0223】
本発明によれば、触媒のスクリーニング分布および平均粒径は、レーザ法によって規定される。
【0224】
〔触媒の接触分解特性の試験〕
サンプルの軽油マイクロ活性を測定するために、標準方法RIPP92−90(Analysis Methods for Petrochemical Industry (RIPP Test Method), edited by Yang Cuiding et al., Science Press, 1990を参照)に基づき、軽油マイクロ活性評価が行われる。触媒の負荷量は5.0gである。反応温度は460℃である。サンプルの油は、235〜337℃の蒸留範囲を持つDagangディーゼル軽油である。製品の組成は、ガスクロマトグラフィによって分析される。軽油マイクロ活性は、製品の組成に基づいて算出される。表2に結果が示されている。
【0225】
軽油マイクロ活性(MA)=(ガソリン(<216℃(製品内))の収率+ガスの収率+コークスの収率)/合計原料×100%
重油分解特性の評価条件:触媒は、800℃および100%蒸気の下で12時間熟成された後、ACE(固定流動床)上に配置される。原料は、Wuhun III重油(表3参照)であり、反応温度=500℃であり、触媒/油の重量比=4である。
ここで、転換率=ガソリンの収率+液化ガスの収率+コークスの収率
軽油の収率=ガソリンの収率+ディーゼル油の収率
液体の収率=液化ガス+ガソリン+ディーゼル油
コークス分離度=コークス生産率/転換率である。
【0226】
上述の方法に基づき、実施例4〜6ならびに比較例3および比較例4の触媒は評価され、その結果は表4に列挙されている。
【0227】
表2から、REY分子篩に基づく触媒と比較して、本分子篩に基づく触媒の方が、より高い細孔容積および比表面積を有していることが分かる。マイクロ活性は、著しく改善した。搬送ガスによる搬送に基づく触媒と比較して、本触媒の特性は悪くなるどころかより良好になっている。
【0230】
表4の結果から、参照用触媒CC−1と比較して、本発明に基づいて(活性成分として)準備された分子篩によって生成された触媒の方が、より高い転換率、ならびにより高い軽油および液体の収率だけでなく、より低いコークス分離度を有していることが分かる。参照用触媒CC−2と比較して、本方法ではテトラクロロシランの使用量が激しく減少しているが、本触媒はより良好な軽油および液体の収率を有している。
【0231】
〔実施例10〕
NaY分子篩(Sinopec製のQilu Division、Si/Al比が4.95であり、Na
2O=13.5%であり、相対的結晶化度が85%である)、および塩化希土類溶液が、RE
2O
3:分子篩:水=0.18:1:100の重量比で交換ドラムに導入された。交換温度は75℃であり、交換時間は1時間であった。得られたスラリーは、ベルトフィルターによって濾過された。濾過後、濾過ケーキは乾燥機に送られた。乾燥された分子篩はか焼器に送られた。か焼器における分子篩の導出口、および気相超安定化反応器における分子篩の導入口は、
図10に示したような接続装置によって連通された。当該接続装置は、3つの部分を有していた。垂直部分511は、か焼器における分子篩の導出口と連通していた。垂直部分512は、気相超安定化反応器における分子篩の導入口と連通していた。傾斜部分513の軸と水平面との間の角度は60°であった。傾斜部分513は、垂直部分511および垂直部分512に接続された。部材514は、パドルをなし、傾斜部分513の軸に対して垂直であった。パドル514は、傾斜部分513における分子篩の経路サイズを制御するために、傾斜部分513の断面上で移動可能であった。傾斜部分513の内部を外部環境から隔離するために、パドル514と傾斜部分513との接続部分は、密封材料によって密封されていた。部分511,512,513は、600mmの内径を持つ円管であった。
【0232】
気相超安定化反応器は、実施例2の気相超安定化反応器であった。反応条件は、実施例2と同様であった。使用されたか焼器は
図9に示された。中間バレル20の内壁に、捕捉板3および堰板4が設けられていた。全バレル2は、1mの直径を有していた。全バレル2は、7mの長さを有していた。導入部分24および導出部分25は、各々0.5mの長さを有していた。中間バレル20は、6mの長さを有していた。堰板4は、環状板であり、中間バレル20の内壁に対して垂直に溶接されていた。堰板4は、10cmの高さを有し、5mmの厚さを有していた。2つの堰板4が存在していた。6mの長さを持つ中間バレル20は、3つの段階に均等に分けられていた。中間バレル20は、第1段階の位置を得るために、当該中間バレル20の軸に沿って、中間バレル20と導入部分24との接続部分から導出部分25に向かって2m伸展していた。中間バレル20は、第2段階の位置を得るために、さらに4m伸展していた。堰板4によって均等に分割された3段階の中間バレル20の内壁においては、捕捉板3が各段階に設けられていた。捕捉板3は長方形であった。捕捉板3における長さ方向と中間バレル20の軸との間の角度は30°であった。捕捉板3は、中間バレル20の内壁に垂直に溶接されていた。当該捕捉板3の高さは10cmであり、厚さは5mmであった。堰板4によって均等に分割された3段階の中間バレル20の内壁においては、3つの捕捉板3が中間バレル20の状態に沿って各段階に等間隔に設けられていた。中間バレル20は、回転機構23によって回転するように構成されていた。中間バレル20に沿った捕捉板3の回転方向は、分子篩の導入方向から分子篩の導出方向へと進展していた。
【0233】
か焼器全体は水平線に対して傾斜角度が1°のバレル2の軸方向に配置されていた。導入口21の方が高い位置にあり、導出口22の方が低い位置にあった。
【0234】
か焼器は、400℃のか焼温度にまで加熱された。中間バレル20は、回転された(その回転方向は、分子篩導出口から分子篩導入口までの状態に沿って捕捉板が伸展する方向と同じであった)。か焼されるY型分子篩は、バレル2の導入口から連続的にバレル2内に添加された。か焼されるY型分子篩は、中間バレルの回転効果を受けながら、か焼のために中間バレル20に送られた。か焼されるY型分子篩は、か焼器のバレル2の導出口22で回収された。中間バレル2の所定の回転速度1.8rpmの下、か焼時間は1時間であり、か焼器の導出口にある分子篩の固形成分は98.5重量%よりも多く、分子篩の温度は310℃であった。
【0235】
試験の結果、か焼器はより良好な取り出しの均一性を有していることが示された。試験は以下の通りに行われた。50kgの材料が上述のか焼器に加えられた。その後、分子篩はか焼器の導出口で回収された。分子篩の取り出し時間は56〜64分間であり、100%の分子篩を回収することができたことが分かる。軸に平行な捕捉板を持つか焼器が用いられ、材料が3つの部分に加えられた:第1部分:25〜29分間、全取り出し量の10%、第2部分:40〜44分間、全取り出し量の30%、第3部分:52〜60分間、全取り出し量の60%。か焼器は、か焼器の容積を削減するために好適なより均一な取り出しを有していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0236】
【
図1】従来技術に係る分子篩を作製するための装置の構造図である。
【
図2a】本発明に係る分子篩を作製するための装置の構造図である。
【
図2b】本発明に係る分子篩を作製するための装置の構造図である。
【
図4】
図2aおよび
図2bにおいて示された筒状反応器1の軸と水平面との間の角度αの図である。
【
図6】実施例3に係る気相超安定化反応器の構造図である。
【
図7】実施例3に係る筒状反応器のA−A断面図における捕捉板、および堰板の図であり、7は堰板を示し、8は捕捉板を示し、1は筒状本体を示す。
【
図8】本発明に係る分子篩を作製するためのデバイスの構造図である。
【
図9】本発明に係る分子篩のための新しいか焼器を示す。
【
図10】本発明に係るか焼器、および気相超安定化反応器の間の通信のための接続デバイスを示す。