(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346190
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】電力コンバータ段、コントローラ、及びコントローラに電力を供給する方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20180611BHJP
【FI】
H02M3/155 X
H02M3/155 F
【請求項の数】19
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-538595(P2015-538595)
(86)(22)【出願日】2013年10月16日
(65)【公表番号】特表2015-534447(P2015-534447A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】IB2013059394
(87)【国際公開番号】WO2014064579
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2016年10月13日
(31)【優先権主張番号】61/718,270
(32)【優先日】2012年10月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ウィラエルト ユールゲン マルグリート アントニウス
(72)【発明者】
【氏名】クヴォリク ダリボル
【審査官】
宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−171776(JP,A)
【文献】
特開2002−209302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M3/00−3/44、
7/00−7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力コンバータ・コントローラへの電力供給を提供する電力コンバータ段であって、
前記電力コンバータ段の入力側における第1の電力貯蓄手段と、
前記電力コンバータ段の出力側における第2の電力貯蓄手段と、
一次インダクタンスを含む電力変換のための回路と、
前記電力コンバータ・コントローラに電力を供給するための前記一次インダクタンスに誘導結合された二次インダクタンスと、
を有する電力コンバータ段において、
前記回路は、前記電力コンバータのスタンバイ中、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段まで及び前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段まで前記一次インダクタンスによって、順に電力を輸送し、
前記回路は、前記第1の電力貯蓄手段に貯蓄されている電圧が所定の第1の最小値に達する場合、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段までの電力の輸送を停止し、
前記所定の第1の最小値は、前記電力供給のピーク値より高い、
電力コンバータ段。
【請求項2】
電力コンバータ・コントローラへの電力供給を提供する電力コンバータ段であって、
前記電力コンバータ段の入力側における第1の電力貯蓄手段と、
前記電力コンバータ段の出力側における第2の電力貯蓄手段と、
一次インダクタンスを含む電力変換のための回路と、
前記電力コンバータ・コントローラに電力を供給するための前記一次インダクタンスに誘導結合された二次インダクタンスと、
を有する電力コンバータ段において、
前記回路は、前記電力コンバータのスタンバイ中、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段まで及び前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段まで前記一次インダクタンスによって、順に電力を輸送し、
前記回路は、前記第1の電力貯蓄手段に貯蓄されている電圧が所定の第1の最大値に達する場合、前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段までの電力の輸送を停止する、
電力コンバータ段。
【請求項3】
電力コンバータ・コントローラへの電力供給を提供する電力コンバータ段であって、
前記電力コンバータ段の入力側における第1の電力貯蓄手段と、
前記電力コンバータ段の出力側における第2の電力貯蓄手段と、
一次インダクタンスを含む電力変換のための回路と、
前記電力コンバータ・コントローラに電力を供給するための前記一次インダクタンスに誘導結合された二次インダクタンスと、
を有する電力コンバータ段において、
前記回路は、前記電力コンバータのスタンバイ中、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段まで及び前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段まで前記一次インダクタンスによって、順に電力を輸送し、
前記回路は、前記第2の電力貯蓄手段に貯蓄されている電圧が所定の第2の最小値に達する場合、前記第1の電力貯蓄手段に接続されている電源から電力を受け取る、
電力コンバータ段。
【請求項4】
前記第1の電力貯蓄手段及び/又は第2の電力貯蓄手段はコンデンサである、請求項1、2又は3に記載の電力コンバータ段。
【請求項5】
前記回路は、第1及び第2のスイッチを更に含み、前記一次インダクタンス、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチの配置は、同期ブーストコンバータに対応している、請求項1、2又は3に記載の電力コンバータ段。
【請求項6】
前記回路は、第3及び第4のスイッチ及び第1及び第2のダイオードを含み、
前記第3のスイッチ及び前記第1のダイオードは、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段へ電力を輸送するためのブーストコンバータを形成するように前記一次インダクタンスと一緒に配されており、
前記第4のスイッチ及び前記第2のダイオードは、前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段へ電力を輸送するバックコンバータを形成するように前記一次インダクタンスと一緒に配されている、
請求項1、2又は3に記載の電力コンバータ段。
【請求項7】
前記一次インダクタンスは、第1のインダクタンス要素及び第2のインダクタンス要素を含み、
前記第1のインダクタンス要素は前記ブーストコンバータに含まれ、前記第2のインダクタンス要素は前記バックコンバータに含まれる、請求項6に記載の電力コンバータ段。
【請求項8】
前記コントローラは、前記電力コンバータのスタンバイ中、前記一次インダクタンスによって、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段まで及び前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段まで、順に電力を輸送するよう前記回路を制御し、
前記コントローラは、更に、前記第1の電力貯蓄手段に貯蓄されている電圧が所定の第1の最小値に達する場合、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段までの電力の輸送を停止するよう前記回路を制御し、
前記所定の第1の最小値は、前記電力供給のピーク値より高い、請求項1に記載の電力コンバータ段のためのコントローラ。
【請求項9】
前記コントローラは、前記電力コンバータのスタンバイ中、前記一次インダクタンスによって、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段まで及び前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段まで、順に電力を輸送するよう前記回路を制御し、
前記コントローラは、更に、前記第1の電力貯蓄手段に貯蓄されている電圧が所定の第1の最大値に達する場合、前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段までの電力の輸送を停止するよう前記回路を制御する、請求項2に記載の電力コンバータ段のためのコントローラ。
【請求項10】
前記コントローラは、前記電力コンバータのスタンバイ中、前記一次インダクタンスによって、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段まで及び前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段まで、順に電力を輸送するよう前記回路を制御し、
前記コントローラは、更に、前記第2の電力貯蓄手段に貯蓄されている電圧が所定の第2の最小値に達する場合、前記第1の電力貯蓄手段に接続されている電源から電力を受け取るよう前記回路を制御する、請求項3に記載の電力コンバータ段のためのコントローラ。
【請求項11】
前記コントローラは、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段まで前記一次インダクタンスによって電力を輸送するようブースト・モードにおいて前記回路を制御する、及び前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段まで前記一次インダクタンスによって電力を輸送するようバック・モードにおいて前記回路を制御する、請求項8、9又は10に記載のコントローラ。
【請求項12】
前記コントローラは、
ひとたび前記二次インダクタンスにより供給される電圧が所定の第2の最大値に到達すると、前記第1の電力貯蓄手段と前記第2の電力貯蓄手段との間の電力の輸送を停止し、
ひとたび前記二次インダクタンスにより供給される前記電圧が所定の第3の最小値まで降下すると、前記第1の電力貯蓄手段と前記第2の電力貯蓄手段との間の電力の輸送を再開する、請求項8、9又は10に記載のコントローラ。
【請求項13】
請求項1に記載の電力コンバータ段及び請求項8に記載のコントローラ、又は請求項2に記載の電力コンバータ段及び請求項9に記載のコントローラ、又は請求項3に記載の電力コンバータ段及び請求項10に記載のコントローラを含む、電力コンバータ。
【請求項14】
電力コンバータのコントローラに電力を供給する方法であって、
請求項1に記載の電力コンバータ段に供給するステップと、
前記電力コンバータのスタンバイ中、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段へ及び前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段まで前記一次インダクタンスによって、順に電力を輸送するステップと、
前記第1の電力貯蓄手段に貯蓄されている電圧が所定の第1の最小値に達する場合、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段までの電力の輸送を停止するステップと、
を有し、前記所定の第1の最小値は、前記電力供給のピーク値より高い、方法。
【請求項15】
電力コンバータのコントローラに電力を供給する方法であって、
請求項2に記載の電力コンバータ段に供給するステップと、
前記電力コンバータのスタンバイ中、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段へ及び前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段まで前記一次インダクタンスによって、順に電力を輸送するステップと、
前記第1の電力貯蓄手段に貯蓄されている電圧が所定の第1の最大値に達する場合、前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段までの電力の輸送を停止するステップと、
を有する、方法。
【請求項16】
電力コンバータのコントローラに電力を供給する方法であって、
請求項3に記載の電力コンバータ段に供給するステップと、
前記電力コンバータのスタンバイ中、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段へ及び前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段まで前記一次インダクタンスによって、順に電力を輸送するステップと、
前記第2の電力貯蓄手段に貯蓄されている電圧が所定の第2の最小値に達する場合、前記第1の電力貯蓄手段に接続されている電源から電力を受け取るステップと、
を有する、方法。
【請求項17】
電力コンバータを制御するためのソフトウェアであって、請求項13に記載の電力コンバータにおいて請求項8に記載のコントローラ上で前記ソフトウェアが走らされた場合、前記電力コンバータのスタンバイ中、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段まで及び前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段まで前記一次インダクタンスによる電力の輸送が順に実行され、前記第1の電力貯蓄手段に貯蓄されている電圧が所定の第1の最小値に達する場合、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段までの電力の輸送が停止されるようにするプログラムコードを有し、前記所定の第1の最小値は、前記電力供給のピーク値より高い、ソフトウェア。
【請求項18】
電力コンバータを制御するためのソフトウェアであって、請求項13に記載の電力コンバータにおいて請求項9に記載のコントローラ上で前記ソフトウェアが走らされた場合、前記電力コンバータのスタンバイ中、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段まで及び前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段まで前記一次インダクタンスによる電力の輸送が順に実行され、前記第1の電力貯蓄手段に貯蓄されている電圧が所定の第1の最大値に達する場合、前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段までの電力の輸送が停止されるようにするプログラムコードを有する、ソフトウェア。
【請求項19】
電力コンバータを制御するためのソフトウェアであって、請求項13に記載の電力コンバータにおいて請求項10に記載のコントローラ上で前記ソフトウェアが走らされた場合、前記電力コンバータのスタンバイ中、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段まで及び前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段まで前記一次インダクタンスによる電力の輸送が順に実行され、前記第2の電力貯蓄手段に貯蓄されている電圧が所定の第2の最小値に達する場合、前記第1の電力貯蓄手段に接続されている電源から電力が受け取られるようにするプログラムコードを有する、ソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力コンバータの通常及びスタンバイ動作の間、電力コンバータの制御回路に給電する補助供給の実施化に関する。詳細には、本発明は、電力コンバータ・コントローラへの電力供給を提供するための電力コンバータ段、このような電力コンバータ段のための電力コンバータ・コントローラ、このような電力コンバータ段及びこのような電力コンバータ・コントローラを含む電力コンバータ、電力コンバータのコントローラに電力を供給する方法及び電力コンバータを制御するためのソフトウェアに関する。
【背景技術】
【0002】
全ての従来の電力コンバータは、前記電力コンバータの制御回路に給電するための補助供給を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記電力コンバータは、1つ以上の電力段を含んでも良く、このような補助供給の実施化に関して知られている幾つかの方法があり、組み合わされることさえできる。1つの取り組み方は、前記補助供給が、(例えば、補助巻線をPFC(Power Factor Correction:力率補正)インダクタ上に配することによって前記PFCに組み込むことにより)電力コンバータの1つ以上の段内に組み込まれること、及び前記補助供給のために使用される動作における1つ以上の電力段を含む。しかしながら、前記電力コンバータが活性化されていない場合、例えば、スタンバイ・モードに設定されている場合、前記補助供給も中断され、前記コンバータ制御回路はもはや電力を供給されない。
【0004】
他の取り組み方は、前記補助供給が組み込まれるのではなく、(例えば、前記バス(又は本線)電圧から給電される、例えば、付加的なフライバック・コンバータを使用することによって)コンバータの独立な部分として実施化されることを含む。この取り組み方は、如何なる動作モードにおいても電力を前記制御回路に独立に供給することを可能にする。しかしながら、この取り組み方の不利な点は、必要とされるより大きい数の構成要素により増大された費用であって、典型的には、個々の構成要素のより大きい費用にある。
【0005】
本発明の目的は、前記電力コンバータの全ての動作モードにおける電力コンバータの制御回路のための補助電力供給を提供すると共に、バス電圧から給電される専用の制御電力供給を提供することによって含まれる付加的な費用を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の見地において、電力コンバータ・コントローラへの電力供給を提供する電力コンバータ段であって、前記電力コンバータ段の入力側における第1の電力貯蓄手段と、前記電力コンバータ段の出力側における第2の電力貯蓄手段と、一次インダクタンスを含む電力変換のための回路と、前記電力コンバータ・コントローラに電力を供給するための前記一次インダクタンスに誘導結合されている二次インダクタンスとを有する電力コンバータにおいて、前記回路は、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段まで及び前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段まで前記一次インダクタンスによって電力を輸送するように制御可能である、電力コンバータが、提示される。
【0007】
本発明の更なる見地において、このような電力コンバータ段のためのコントローラであって、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段まで及び前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段まで前記一次インダクタンスによって電力を輸送するように前記回路を制御するコントローラが、提示される。
【0008】
本発明の更に他の見地において、このような電力コンバータ段及びこのようなコントローラを含む電力コンバータが、提示される。
【0009】
電力コンバータ段に含まれる電力貯蓄手段又はより一般的には電力コンバータ内に貯蓄されている電力が、前記電力コンバータがスタンバイ・モードである場合においてさえも、コントローラへの供給のために使用されることができることが実現された。一次インダクタンスを介するこのような電力貯蓄手段間の電力の輸送が、二次インダクタンスへの電力の輸送も提供し、次いで、前記二次インダクタンスは前記コントローラに供給するからである。しかしながら、この電力の内部輸送は、スタンバイの状態と干渉しない。
【0010】
更に、本発明は、スタンバイ中の前記システムの高い効率の目的に関しても対応することが分かった。解析によって、本発明によるコンバータのスタンバイ損失は、他の既知の解決案の損失よりも高くないことが示された。
【0011】
前記電力コンバータ段が、(上述のコントローラのような)適切な制御装置に結合される又は適当な制御装置を備えている場合、前記電力コンバータ段は、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段まで及び前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段まで前記一次インダクタンスによって電力を輸送するための制御を備えている。
【0012】
前記電力コンバータ段の好ましい実施例において、前記第1の及び/又は第2の電力貯蓄手段は、コンデンサである。
【0013】
既に従来の電力コンバータ又は電力コンバータ段は、コンデンサを、特に、電力貯蓄手段としても使用されることもできるフィルタリング及びバス・コンデンサを備えている。
【0014】
前記電力コンバータ段の好ましい実施例において、前記回路は、更に、第1及び第2のスイッチを含んでおり、前記一次インダクタンス、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチの配置は、同期ブーストコンバータに対応し、好ましくは、前記第1及び第2のスイッチの少なくとも一方はパワーMOSFETであり、即ち、好ましくは前記第1のスイッチはパワーMOSFETである若しくは前記第2スイッチはパワーMOSFETである、又は両スイッチはパワーMOSFETSである。
【0015】
同期ブーストコンバータの設計は、パワーMOSFETスイッチに基づいて費用対効果が高い状態において設計されることができ、単に前記スイッチを制御することによって、1つの方向におけるブースト変換と反対の方向におけるバック変換との間の切替えを可能にする。
【0016】
前記電力コンバータ段の他の実施例において、前記回路は、第3及び第4のスイッチ及び第1及び第2のダイオードを含み、前記第3のスイッチ及び前記第1のダイオードは、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段への電力の輸送のためのブーストコンバータを形成するように、前記一次インダクタンスを一緒に配されており、前記第4のスイッチ及び前記第2のダイオードは、前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段へ電力を輸送するためのバックコンバータを形成するように、前記一次インダクタンスと一緒に配されている。
【0017】
設計又は他の制約によって、上述した同期ブーストコンバータのような配置を設けることが禁止されている場合、ブーストコンバータの配置とバックコンバータ配置とを並列に逆方向において設けることも可能である。
【0018】
前記電力コンバータ段の先述の実施例の変更において、前記一次インダクタンスは、第1のインダクタンス要素及び第2のインダクタンス要素を含み、前記第1のインダクタンス要素は前記ブーストコンバータに含まれ、そして、前記第2のインダクタンス要素は前記バックコンバータに含まれている。
【0019】
前記バックコンバータ及び前記ブーストコンバータ配置の両方による、前記一次インダクタンスの共通の使用が好ましい場合でさえも、前記一次インダクタンスを形成する2つのインダクタンス要素を設けることも可能である。
【0020】
前記電力コンバータ・コントローラの好ましい実施例において、特に、特に第1及び第2のスイッチを含む前記回路を有する電力コンバータ段であって、前記一次インダクタンス、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチの配置は同期ブーストコンバータに対応し、前記コントローラは、前記一次インダクタンスによって前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段へ電力を輸送するようにブースト・モードにおいて前記回路を制御すると共に、前記一次インダクタンスによって前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段へ電力を輸送するようにバック・モードにおいて前記回路を制御する、電力コンバータ段が提供される。
【0021】
上述したように、前記同期ブーストコンバータの配置が、本発明において有利に使用されることができ、前記ブースト・モード及び前記バック・モードは、単に前記電力コンバータ段内に含まれる前記スイッチを制御することによって切替えられることが可能である。
【0022】
前記電力コンバータ・コントローラの好ましい実施例において、前記コントローラは、前記第1の電力貯蓄手段内に残っている電力が所定の第1の最小値に到達した場合、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段まで電力の輸送を停止する。
【0023】
前記第1の電力貯蓄手段内の電力を特定の閾値よりも高く保持することが好ましく、特に、前記本線から電力の制御されていない取入れ(uncontrolled intake)を回避するために、前記第1の電力貯蓄手段を形成しているコンデンサの両端の電圧を(整流された)前記本線のピーク値よりも高く保持することが、望ましい。
【0024】
前記電力コンバータ・コントローラの先述の実施例の変更において、前記第1の電力貯蓄手段は、電力供給に接続されているコンデンサであって、前記所定の第1の最小値において、前記第1の電力貯蓄手段両端の電圧は前記電力供給のピークの値より高い。前記電力コンバータ・コントローラの好ましい実施例において、前記コントローラは、前記第1の電力貯蓄手段に貯蓄された電力が所定の第1の最大値に到達する場合、及び/又は前記第1の電力貯蓄手段に貯蓄されている前記電圧と前記第2の電力貯蓄手段に貯蓄されている電圧との差が所定の第2の最小値に到達する場合、前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段までの電力の輸送を停止する。
【0025】
このような動作は、前記第1の電力貯蓄手段内に貯蓄されている前記電力を、前記第1の電力貯蓄手段の安全性を危険にさらすかもしれない値よりも低く保持する一方で、電力輸送の方向間の高過ぎる変化レートを回避する。
【0026】
前記電力コンバータ・コントローラの好ましい実施例において、第2の電力貯蓄手段に貯蓄される前記電圧が所定の第3の最小値に到達する場合、前記コントローラは前記第1の電力貯蓄手段に接続している電力供給から電力を受け取るための前記回路を制御する。
【0027】
必要な場合、前記電力貯蓄手段内に、特に、前記第2の電力貯蓄手段内に貯蓄される前記電力は、前記本線から補充されることができる。如何なる場合においても、好ましくは、前記第2の電力貯蓄手段内のエネルギー量のみがこのような最小値未満に降下した場合、エネルギーは前記本線からのみ引き出され、ひとたび最大出力レベルに到達すると、本線から前記第2の電力貯蓄手段への前記エネルギーの輸送は再び停止され、前記最大出力レベルは、構成要素の損傷を回避するように決定される。
【0028】
前記電力コンバータ・コントローラの好ましい実施例において、前記コントローラは、ひとたび前記二次インダクタンスにより供給される電圧が所定の第2の最大値に到達するならば、前記第1の及び前記第2の電力貯蓄手段間の電力の如何なる輸送も停止し、ひとたび前記二次インダクタンスにより供給される前記電圧が所定の第4の最小値に降下するならば、前記第1の及び前記第2の電力貯蓄手段間の電力の輸送を再開する。
【0029】
このような動作は、前記電圧が所望の範囲における前記二次インダクタンスにより供給される又は生成されるように保持し、更に、前記所望の範囲は、電力の輸送が停止される限度(extent)に影響を与え、前記電力の輸送は、可能性のある損失の量に関連する。
【0030】
本発明の他の見地において、電力コンバータのコントローラに電力に供給する方法であって、本発明による電力コンバータ段に供給するステップと、前記電力コンバータのスタンバイ中、今度は、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段まで及び前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段まで前記一次インダクタンスによって電力を輸送するステップとを有する方法が、提供される。
【0031】
更に、本発明の更に他の見地において、電力コンバータを制御するためのソフトウェアであって、本発明によるソフトウェアが、本発明による電力コンバータ内の本発明によるコントローラ上で走らされた場合、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段まで及び記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段まで前記一次インダクタンスを介した電力の輸送を実行させるためのプログラムコード手段を有するソフトウェアが、提示される。
【0032】
添付の特許請求の範囲における請求項1の電力コンバータ段、請求項6のコントローラ、請求項13の前記電力コンバータ、請求項14の電力コンバータのコントローラに電力に供給する方法、請求項15のソフトウェアは、特に、添付の従属請求項に規定されるように、類似の及び/又は同一の好ましい実施例を有するものと理解されたい。
【0033】
本発明の好ましい実施例は、前記従属請求項又は対応する独立請求項に関する上述の実施例の如何なる組み合わせでも良いと理解されたい。
【0034】
本発明のこれら及び他の見地は、以下記載されている実施例を参照することによって明らかになり説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明による電力コンバータの実施例を示している。
【
図2】
図1に示される前記電力コンバータのための電力コンバータ段の実施例の詳細を示している。
【
図3】前記電力コンバータ段の動作を例示しているフローチャートを示している。
【
図4】本発明の制御動作の一実施例によるシミュレーション波形を示している。
【
図5】本発明の制御動作の一実施例によるシミュレーション波形を示している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明による電力コンバータ1の実施例である。
【0037】
電力コンバータ1は、本線入力(図示略)に及びフィルタリング・コンデンサ4(第1の電力貯蓄手段)に接続されているブリッジ整流器10を含んでいる。フィルタリング・コンデンサ4は、電力コンバータ段2にも接続されており、電力コンバータ段2は一次巻線6(一次インダクタンス)を含んでいる。一次巻線6は、二次又は補助巻線7(二次インダクタンス)に誘導結合されており、二次又は補助巻線7は、電力コンバータ1のコントローラ3に電力を供給する。示されている実施例において、電力コンバータ段2は、電力コンバータ1の第1の段であり、従ってバス・コンデンサ5(第2の電力貯蓄手段)に接続されており、バス・コンデンサ5は、電力コンバータ1の第2の又は出力段11に接続されている。前記出力段は、負荷(図示略)に電力を供給するために配されている。
【0038】
上述の配置は、基本的には、本明細書の冒頭に述べられた組み込まれた補助供給を備える従来の電力コンバータの配置に対応している。
【0039】
しかしながら、電力コンバータ段2及びコントローラ3の内部配置及び前記電力コンバータ1のスタンバイ中の動作が、従来の場合と異なる。
【0040】
図2は、
図1に示されている電力コンバータ1のための電力コンバータ段2の実施例の詳細を示している。
【0041】
電力コンバータ段2は、前記第1の電力貯蓄手段として作用しているフィルタリング・コンデンサ4及び前記第2の電力貯蓄手段として作用しているバス・コンデンサ5に接続されている。電力コンバータ段2は、一次巻線6(補助巻線7と誘導結合されている)、第1のパワーMOSFET8(第1のスイッチ)及び第2のパワーMOSFET9(第2のスイッチ)を含んでいる。一次巻線6及び第2のスイッチ9は、フィルタリング・コンデンサ4及びバス・コンデンサ5(これらは両方とも接地に接続されている)への接続の間に一列に設けられ、第1のスイッチ8は、一次巻線6と第2のスイッチ9との間の点に接続されると共に、接地にも接続されている。この種の回路は、同期ブーストコンバータとして知られている。
【0042】
本発明の代替的な実施例(図示略)は、並列に設けられたブーストコンバータ配置及びバックコンバータ配置を含み、前記第1の電力貯蓄手段は、前記ブーストコンバータのためのソース及び前記バックコンバータのための負荷として配される一方で、前記第2の電力貯蓄手段は、前記ブーストコンバータのための負荷及び前記バックコンバータのためのソースのために配される。前記ブーストコンバータ及び前記バックコンバータは、専用の要素によって設けられることもでき、前記ブーストコンバータ及び前記バックコンバータは、共通のインダクタンスを共有することも考えられる。
【0043】
しかしながら、
図2に示される実施例において、ブーストコンバータ又はバックコンバータのスイッチ及びダイオードは、スイッチ8及び9(パワーMOSFET)により提供され、この結果、前記回路は、(異なる方向のエネルギーの流れに対するものであっても)ブーストコンバータとして及びバックコンバータとしての両方として作用することができる。
【0044】
動作の通常モード(組み込まれた補助供給を備える従来の電力コンバータの動作に対応する)において、電力コンバータ段2はブースト・モードで動作され、前記負荷(図示略、第2の段11を介する)によって必要とされるエネルギーは、バス・コンデンサ5に供給される。同時に、補助巻線7を介して、エネルギーは、コントローラ3に供給される。
【0045】
スタンバイ・モードにおいて、バス・コンデンサ5からのエネルギーは、コントローラ3に給電するために(即ち前記補助供給を生成するために)使用される。エネルギーは、バス・コンデンサ5からフィルタリング・コンデンサ4まで及びこの逆に輸送され、エネルギーが補助巻線7に供給されることを可能にする。
【0046】
電力コンバータ段2の制御アルゴリズムは、以下のように記載される。
【0047】
スタンバイ・バック・モードにおいて、電力コンバータ段2は、バックコンバータとして働き、バス・コンデンサ5からフィルタリング・コンデンサ4へエネルギーを輸送する。このモードの間、第2スイッチ9のみが動作される。フィルタリング・コンデンサ4の両端の電圧は、増大する。前記本線からの電力の取入れを防止するために、フィルタリング・コンデンサ4の両端のこの電圧の最小値は、フィルタリング・コンデンサ4を前記本線から分離するための幾つかの他の手段が使用されていない限り、(ブリッジ整流器10を介して)整流された本線の電圧のピークより高くなければならない。スタンバイ中、電力コンバータ段2は、前記バス電圧(バス・コンデンサ5両端の電圧)とフィルタリング・コンデンサ4両端の電圧との間の差が所与の値(所定の第2の最小値)に到達するまで、バック・モードにおいて動作される。代替的には又は付加的には、バス・コンデンサ5両端の電圧に対する差に拘らず、ひとたび前記フィルタリング・コンデンサ両端の電圧が所与の値(所定の第1の最大値)に到達するならば、前記バック・モードの動作を、終了することができる。フィルタリング・コンデンサ4両端の電圧が、自身の最大値(即ちバス・コンデンサの電圧に対する差に基づいてか、又は絶対的にかの何れにおいても)に到達する場合、電力コンバータ段2は(スタンバイ)ブースト・モードで動作され、エネルギーは前記フィルタリング・コンデンサ4からバス・コンデンサ5まで輸送して戻される。このモードにおいて第1のスイッチのみが動作される。電力コンバータ段2は、フィルタキャパシタ両端の電圧が最小値(所定の第1の最小値)に到達するまで、ブースト・モードにおいて働く。この最小値は、エネルギーが前記本線から前記コンバータへ輸送されることが防止されなければならない場合、整流された前記本線の前記ピーク値よりもいくらか高くなければならない。
【0048】
バス・コンデンサ5両端の電圧が低過ぎる場合(即ち所定の第3の最小の値に到達する)場合において、電力コンバータ段2は、ブースト・モード(スタンバイのままである前記第2の段11を除いて、通常動作に対応する)において動作され、この結果、エネルギーは、前記本線からバス・コンデンサ5まで供給される。このモードは、前記バス電圧の値が自身の公称値に到達するまで、アクティブである。この後、前記電力コンバータ段は、バックブースト・モード(ただし、前記スタンバイはまだ適用可能である)において再び動作される。
【0049】
上述された制御アルゴリズムに加えて、他の制御ループが提供される。このヒステリシス制御ループは、補助供給電圧の値をチェックする。所与の最大値(所定の第2の最大値)に到達する場合、前記電力コンバータ段2は停止され、即ちホールドモードに設定される。前記電圧値が自身の最小レベル(所定の第4の最小の値)にまで降下する場合、前記電力コンバータ段の動作は、自身が前記ホールドモードに入る前にあった状態まで回復される。
【0050】
図3は、電力コンバータ段2の動作100を示しているフローチャートを示している。
【0051】
スタンバイ・モード(ステップ101)に入ると、当該動作は、スタンバイ・バック・モード102(上述を参照)へ進み、次いで、スタンバイ・ブースト・モード103(上述を参照)及び通常ブースト・モード104(上述を参照)が続く。
【0052】
スタンバイ・バック・モード102において、前記電力コンバータ段は、前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段へ電力を輸送するバック・モードに入るように制御され(ステップ105)、これにより前記二次インダクタンスを介して前記コントローラに電力を供給する。前記第1の電力貯蓄手段両端の電圧は、所定の第1の最大値に対してチェックされ(ステップ106)、前記電圧が高過ぎる場合、当該動作はスタンバイ・ブースト・モード103へ進む。前記第1の電力貯蓄手段両端の電圧が高過ぎない場合、前記二次インダクタンスにより供給される電圧は、所定の第2の最大値に対してチェックされる(ステップ107)。前記電圧が高過ぎない場合、当該動作はチェック106に戻る。前記二次インダクタンスを供給される前記電圧が、前記所定の第2の最大値に到達する又は前記所定の第2の最大値を超える場合、前記前記第2の電力貯蓄手段から前記第1の電力貯蓄手段への電力の輸送は停止され(ステップ108)、この状態は、チェック(ステップ109)が、前記二次インダクタンスにより供給される電圧が低過ぎる(即ち所定の第4の最小値以下まで降下する)ことを決定するまで、保持される。このような場合、前記電力コンバータ段は、再び前記バック・モードに入るように制御される(ステップ105)。
【0053】
スタンバイ・ブースト・モード103に入ると、前記電力コンバータ段は、前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段へ電力を輸送するブースト・モードにあるように制御され(ステップ110)、これにより電力を前記二次インダクタンスを介して前記コントローラに供給する。前記第1の電力貯蓄手段両端の電圧は、所定の第1の最小の値に対してチェックされ(ステップ111)、前記電圧が低過ぎる場合、当該動作は、通常のブースト・モード104へ進む。前記第1の電力貯蓄手段両端の電圧が低過ぎない場合、前記二次インダクタンスにより供給される電圧は前記所定の第2の最大値に対してチェックされる(ステップ112)。前記電圧が高すぎない場合、当該動作はチェック111に戻る。前記二次インダクタンスにより供給される電圧が前記所定の第2の最大値に到達する又は前記所定の第2の最大値を超える場合、前記前記第1の電力貯蓄手段から前記第2の電力貯蓄手段への電力の輸送は停止され(ステップ113)、この状態は、チェック(ステップ114)が前記二次インダクタンスにより供給される前記電圧が低過ぎる(即ち前記所定の第4の最小値以下に降下する)と決定するまで、保持される。このような場合、前記電力コンバータ段は再び前記ブースト・モードにあるように制御される(ステップ110)。
【0054】
通常のブースト・モード104に入ると、前記第2の電力貯蓄手段両端の電圧は、所定の第3の最小値に対してチェックされる(ステップ115)。前記電圧が低過ぎる場合、当該動作はスタンバイ・バック・モード102へ進む。前記電圧が低過ぎる場合、前記電力コンバータ段は、通常のブースト・モード(通常の動作に対応する、即ちスタンバイではない)であるように制御され(ステップ116)、これは、前記第2の電力貯蓄手段両端の電圧が十分に高いとみなされるまで(ステップ117におけるチェック)維持される。
【0055】
図3に示されている制御は、コントローラ3がフィルタリング・コンデンサ4(第1の電力貯蓄手段)及びバス・コンデンサ5(第2の電力貯蓄手段)両端の電圧が所望の範囲に留まるように注意することを提供すると共に、前記コントローラへの前記電力供給が所定の範囲に留まることを保証する。
【0056】
図4及び
図5は、本発明の制御動作の実施例によるシミュレーション波形を示している。
【0057】
図4aの上側の波形は、補助供給の電圧200が2つの閾値間(この場合、基本的に4.2V及び4.8V)で変化することを示している。上側の閾値に到達する度に、前記電力コンバータ段は、ホールド状態(期間201、及び
図3のステップ108又は113を参照)に至る。下側の閾値まで降下した場合、前記動作は回復される(
図4bを参照)。
【0058】
前記フィルタリング・コンデンサ両端の電圧V
filterが上側の閾値に到達した後(
図4cを参照)、前記電力コンバータ段は前記スタンバイ・ブースト・モード(期間202を参照)に設定される。この電圧V
filterが下側の閾値に到達した後、前記電力コンバータ段はバックモード(期間203を参照)において動作される。前記エネルギーが前記コントローラの前記補助回路を提供するために使用されるので、前記バス電圧V
bus(即ち前記バス・コンデンサ両端の電圧)の値は、時間とともに徐々に減少する。
【0059】
図5は、
図4のものと同じシミュレーションからの結果を、ただ、より長い期間にわたって示している。
図5は、前記電力コンバータ段が、前記バス電圧が自身の下側の閾値(0ms−12ms)に到達するまでスタンバイ・バック・ブースト・モード(期間204を参照)において動作されることを示している。この時点から、前記電力コンバータ段は、通常のブースト・モード(周期205を参照)において動作され、前記本線(12ms−16ms)から前記バス・コンデンサを充電する。この後、これは、バック・ブースト・モード(周期204を参照)に戻る。動作の如何なるモードにおいても、エネルギーは、前記補助供給へ輸送される。
【0060】
本発明を利用することによって、電力コンバータ段(特に、入力電力段)は、前記電力コンバータに含まれるバス・コンデンサ両端の過電圧を生じることなく、スタンバイの間、作動されることができる。前記動作のモードの各々において、エネルギーは、補助巻線を介して前記制御回路へ輸送される。
【0061】
前記電力コンバータ段は、スタンバイ中に動作されるが、損失は、特に電力コンバータ段のバースト動作のおかげで、非常に低いものであると予想されることができる。前記電力コンバータ段が、殆どの時間、前記ホールドモードにおいて動作するように、全体のシステムが容易に設計されることができる。
【0062】
本発明の1つの実施化によれば、前記補助供給は、電力コンバータの前記段の1つに組み込まれ、従来の組み込まれた補助電力供給と比較して、技術的な変化は、バッファコンデンサ両端の過電圧の危険を冒すことなく、かつ、前記負荷(例えば、照明アプリケーションにおけるLED)を活性化させることなく、前記組み込まれた補助供給が前記電力コンバータのスタンバイ動作の間も使用されることができることを可能にする前記電力コンバータの段が設けられることである。補助巻線は、コンバータの1つ以上の電力段の前記インダクタ内に組み込まれている。受動的な半導体の代わりに、前記対応する電力段は、能動的な半導体を有する。例えば、ブーストコンバータが考えられる(PFC入力段として使用される)場合、2つの半導体スイッチ(例えば、MOSFET)がスイッチ及びダイオードの代わりに使用され、結果として、いわゆる同期ブーストコンバータをもたらす。前記コンバータのコントローラは、電力が両方の方向に輸送されることができるように前記電力段を駆動することができる。PFC段の実施例を考えると、前記コントローラは、ブースト及びバック・モードの両方において、前記PFCを動作させることができる。ブースト・モードで動作される場合、エネルギーは前記電力コンバータの前記第1の段と前記第2の段との間に設けられるバス・コンデンサへ輸送され、バック・モードにおいて動作される場合、エネルギーが(前記本線に接続されている)ブリッジ整流器と前記第1の段との間に設けられる前記フィルタリング・コンデンサに輸送される。前記補助供給が前記入力電力段に組み込まれているので、前記ダイオードブリッジと前記入力電力段(即ち前記フィルタリング・コンデンサ)との間に配される前記コンデンサ両端の電圧は、前記コンバータのスタンバイ中、電力が前記本線から配電されないことを保証するために、前記整流された本線の電圧のピークの値より高いように保持される。
【0063】
添付の請求項において、「有する」なる語は他の要素又はステップを排除するものではなく、単数形は複数形を排除するものではない。
【0064】
値が下限と上限と(これらを含む)の間にあるという指示も理解されるべきであり、前記値は、前記下限及び前記上限の前記値を含む所与の範囲内の如何なる値も有し得る。
【0065】
単一のユニット又は装置は、添付の請求項において詳述される幾つかの項目の機能を達成することができる。特定の手段が、相互に異なる従属請求項において引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利になるように使用されることができないと示すものではない。
【0066】
検出、測定、切換及び制御の類の動作は、コンピュータプログラム(又はソフト)のプログラムコード手段として及び/又は専用ハードウェアとして実施化されることができる。
【0067】
ソフト製品又はコンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又は他のハードウェアの一部として供給される、光記憶媒体又は固体媒体のような適切な媒体上に記憶される/(配布されることもできるが、例えば、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介して、他の形態において配布されることもできる。