(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記入口(3)は、前記受座(9)の回転によって構成される平面から予め設定された間隔で配置された鳩目によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の糸供給システム。
前記供給装置(20)と前記糸回収装置(1)の前記モータ(15)とに接続される制御ユニット(14)を更に備え、前記制御ユニット(14)が、前記供給装置(20)から来る、回収段階の開始を表す作動信号(SA)を受信することができ、前記モータ(15)に送信する制御信号(SS)を発生させることにより、前記回収ドラム(5)を回転させて前記糸を巻き付けることができることを特徴とする請求項2に記載の糸供給システム。
前記制御ユニット(14)が、更に、前記供給装置(20)から来る、回収段階の停止を表す作動停止信号(SD)を受信することができ、前記モータ(15)に送信する前記制御信号(SS)を発生させることにより、前記回収ドラム(5)を回転させて前記糸を繰り出すことができることを特徴とする請求項7に記載の糸供給システム。
【背景技術】
【0002】
糸は、上流のボビンから来る糸が部分的に巻かれるドラムを備えた供給装置によって供給される。ドラムは、モータによって回転され、下流の繊維機械に向けて糸を繰り出し、同時に、ボビンから来る糸を巻き付ける。
【0003】
公知の供給装置の目的は、繊維機械の作動状態と、したがって、糸が要求される速度が、変化するので、繊維機械に一定の張力で糸を供給することである。この目的で、ドラムの下流に位置するセンサが、繊維機械に送られる糸の張力を測定する。ドラムの作動及び速度は、測定された張力と所望の張力に応じて調節される。
【0004】
例えば、繊維機械によって糸に要求される速度が低下すると、供給装置は、ドラムの回転速度を自動的に低下させ、繊維機械が休止時間の段階中又は繊維機械が糸を供給装置に戻す段階中は、ドラムの回転方向を反対にする。直径が小さい乃至中位の円形機械の場合に関し、往復運動について述べる。この往復運動は、全過程を通じて張力を一定に保つために行われる。この種の供給装置が、ヨーロッパ特許出願公開第1501970B1号に記載されている。
【0005】
ドラムの回転方向が反対になるこれらの段階中、ドラムの上流には、そのため、過剰の糸がもたらされ、この過剰の糸は、繊維機械が再始動すると、自身に絡みついて縺れや破損を生じさせることがある。
【0006】
この点で、特に、回収する糸の量が多い場合、及び/又は糸の弾力性を利用することができない場合には、もたらされた過剰の糸を回収して故障や損傷を防止するため、しばしば、糸回収装置が、供給装置の上流に連結される。
【0007】
公知の回収装置には、メカニカルタイプのものがある。例えば、それらの回収装置は、入口にある糸制動手段と、一端においてバネに連結され、糸を通過させるリングに他端において連結された回収アームを有している。バネは、前記回収アームに連続的に力をかけて、糸の軌道を迂回させ、それにより、糸のストックを供給装置の上流に作り出す。
【0008】
これらの回収装置の例は、ドイツ特許出願公開第199 24 379号、ヨーロッパ特許出願公開第1741 817号、及びスイス特許出願公開第685 712号に見られる。
【0009】
糸を繊維機械に供給する段階中は、ストックを送り出すため、ドラムを回転させるモータは、バネの力に打ち勝たなければならない。
【0010】
逆に、回収段階中は、ドラムは、繊維機械から糸を取り出しつつ、バネは、糸の軌道を迂回させストックを増やす。
【0011】
この種の解決策の限界は、明らかにバネの調節の難しい特質にある。
【0012】
特に、回収アームを制御するバネの力は、ストックを送り出すため、供給段階中は、バネの力は、打ち勝たれなくてはならないが、輪っかやこぶに加えて、糸のドラムへの掴まりを失うこと(滑ること)につながり、その結果、ドラムが糸の供給/回収を制御することができなくなる糸の緩みを見逃すことなしにストックを貯めるため、反転段階中は、糸を回収するのに必要なエネルギーを有していなければならない。
【0013】
更に、入口にある糸制動手段は、回収アームの作動段階中、糸が実際に、入力ボビンからではなく、ドラムから取り出されるように、調節されなければならない。したがって、糸制動手段は、回収段階においては、バネによってかけられる力よりも強い力を糸にかけなければならない。
【0014】
最後に、糸制動手段及び回収バネの力は、糸が供給され、回収される張力に左右されることに留意すべきである。
【0015】
上述の解決策によって生じる他の問題は、供給装置に到達する前に糸にかけられる予張力の蓄積である。これらの予張力は、通常の供給段階中は、モータによって打ち勝たれなければならず、そのため、それらの予張力は、特に、加速段階中、モータの駆動を制限する。この駆動の低下は、出るとすぐに最終製品の品質を損なう張力のピークを生じさせることがある又は糸を破損させることがあるのは明らかである。
【0016】
入ってすぐに糸に過剰な張力をかけることは、供給した糸の典型的な特性(撚りの数、カバリング、その他)の劣化を引き起こすことがある又は、細い糸の場合には、それらの細い糸を切断点すれすれにすることがある。
【0017】
他の形態では、回収装置は、空気圧タイプのものである。この場合には、糸は、糸に対して吹き付けられる又は吸引される空気の流れによって迂回される。この種の回収装置においても、糸がボビンによってではなく供給装置によって回収されることを確実にするには、上流に制動手段が必要である。
このタイプの回収は、供給装置への取り込み時のおける張力の問題に歯止めをかけるが、繊維機械に必ずしも設けられているとは限らない圧縮空気回路の使用を必要とする。このように、圧縮空気回路は、常に使用できるわけではなく、エネルギーの面から見て、より費用がかかるのは確実である。
【0018】
公知の解決策(バネを使用するにしても空気を使用するにしても)の他の欠点は、回収装置によって回収することのできる糸の量が、回収装置の大きさに正比例するので、限られていることである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付図面を参照すると、参照符号1が、本発明による糸回収装置を、全体として示している。
【0027】
以下において、より明らかになるように、糸回収装置1は、繊維機械への糸「F」の供給装置20と連結させて、本発明の他の観点に係る糸「F」の供給装置30を構成することができる。
【0028】
糸回収装置1は、繊維機械による製造方法が、供給装置2の近くで糸が回収されることを必要とする場合には何時でも、そのようにすることができることが好ましい。
【0029】
好ましい実施の形態では、糸回収装置1は、供給装置20の上流に作動的に連結されている。この場合には、供給装置20は、張力が一定のタイプのものである。
【0030】
供給装置20は、糸「F」が巻き着けられるドラム21と、ドラム21に連結されたモータ26を備えている。
【0031】
モータ26によるドラム21の回転は、ドラム21の下流の糸「F」が、繊維機械に向かって繰り出され、より多くの糸「F」が上流のボビンからドラム21に巻き付けられるようにする。
【0032】
この場合は、供給装置が、繊維機械の作動段階に適合するように糸「F」を供給するという点で、「積極作動」供給装置と称する。
【0033】
供給装置20は、供給装置20の出口に配置された張力センサ22も備えている。
【0034】
張力センサ22は、糸「F」に作用する張力の値の測定値を表す張力信号「ST」を発生する。
【0035】
処理ユニット25が、張力センサ22に接続されており、張力信号「ST」を受信する。測定された張力値は、処理ユニット25によって、例えば、使用する糸「F」の種類及び作業の種類に基づいて、ユーザによって設定された基準値と比較される。
【0036】
処理ユニット25は、測定した張力値を基準値と比較した後、ドラム21に設定される角速度の変化を表す補償信号「SC」を発生して、基準張力値に戻るまで、張力の変化を補償する。
【0037】
より正確には、ドラム21の角速度は、測定した張力値の関数として増減する。特に、繊維機械の停止又は休止時間中、この角速度は、常に張力を一定に維持し続ける目的で、相殺される即ち実際には逆向きにされる。
【0038】
この場合には、ドラム21の回転の速度が逆向きになっている間、ドラムは、供給装置20の入口24において上流の糸の一部分を繰り出す。この糸は、糸回収装置1によって回収される。
【0039】
言い換えれば、供給装置20は、繊維機械の上流に形成された余分な糸「F」の第1の回収を行う。糸回収装置1は、供給装置20から回収され、前記供給装置20の上流に形成された余分な糸「F」の第2の回収を行う。
【0040】
糸回収装置1は、供給装置20の上流に連結することのできる支持構造体2を備えている。すなわち、糸回収装置1は、供給する糸「F」が巻き付けられるボビン(図示せず)と、供給装置20、特に、入口24との間に配置される。
【0041】
この点に関して、支持構造体2には、糸回収装置1を繊維機械又は供給装置20に直接連結する連結手段(図示せず)が備わっている。
【0042】
糸回収装置1はまた、糸「F」の入口3と出口4を備えている。
【0043】
図示のように、入口3及び出口4は、それぞれ支持構造体2に固定された鳩目によって構成されていることが好ましい。
【0044】
そのほか、出口4の鳩目は、省くことができる。この場合には、糸回収装置1を出る糸「F」は、供給装置20の入口24によって誘導される。
【0045】
入口鳩目3を通って入る糸「F」は、ボビンから来る一方、出口鳩目4を出る糸「F」は、入口24を通って供給装置20に入る。
【0046】
入口鳩目3と出口鳩目4との間の糸「F」は、所定の経路をたどる。
【0047】
糸回収装置1は、支持構造体2に回転自在に取り付けられたドラム5も備えている。ドラム5は、入口鳩目3と出口鳩目4との間に作動的に配置されている。言い換えれば、糸「F」は、その経路に沿って、ドラム5を交錯する。
【0048】
ドラム5は、回転することができるように、モータ15に連結されている。
【0049】
ドラム5は、支持構造体2から延びる実質的に円筒状の側壁6を有している。円状のクラウン7が、支持構造体2の反対側の端において、実質的に円筒状の側壁6に固定されている。
【0050】
図示のように、糸回収装置1のドラム5は、供給装置20のドラム21と、実質的に等しい直径を有している。
【0051】
円状のクラウン7は、ドラム5の回転の軸線「A」から離れる方向に、実質的に円筒状の側壁6から突出している。
【0052】
円状のクラウン7は、ドラム5の縁8を構成している。
【0053】
ドラム5は、糸「F」が入口鳩目3から出口鳩目4へと進行する際に、糸「F」を収容する受座9を有している。したがって、受座9は、入口鳩目3と出口鳩目4との間に、作動的に配置されている。
【0054】
受座は、ドラム5の縁8に形成されている。詳細には、受座9は、ドラム5の円状のクラウン7に形成されている。これに関連して、ドラム5の縁8には、セラミック要素10が固定されている。セラミック要素10は、リングであることが好ましい。より正確には、セラミック要素10は、円状のクラウン7に固定されている。使用中、糸「F」がセラミック要素10を通り抜け、セラミック要素10は、受座9を構成する。
【0055】
図示しない実施の形態の一つでは、セラミック要素10は、セラミック又は他の材料でできた穴のあいた鋸歯状になった溝付きガイドからなり、全面的に独立して作動段階に応じて、糸「F」が、前記セラミック要素に引っかかる又は前記セラミック要素から外れることができるようにしている。
【0056】
本発明によれば、ドラム5は、作動停止配置構成と、作動配置構成との間で切り変え可能である。
【0057】
作動停止配置構成では、受座9は、入口鳩目3及び出口鳩目4と、実質的に整列している。
【0058】
図示のように、この作動停止配置構成における入口鳩目3と出口鳩目4との間の、所定の迂回がされていない糸「F」の経路は、厳密には直線状ではなく、入口鳩目3と受座9との間の直線状部分と、受座9と出口鳩目4との間の直線状部分からなる折れ線によって表されることに留意すべきである。
【0059】
ともかく、迂回されていない糸「F」の経路は、
図1及び
図4に示すように、糸回収装置1の正面図では、整列している。
【0060】
言い換えれば、迂回がされていない糸「F」の経路は、ドラム5の回転の軸線「A」を通る糸回収装置1の対称面上にある。作動停止配置構成では、糸「F」は、ドラム5に巻き付けられていない。しかしながら、作動配置構成では、受座9は、入口鳩目3及び出口鳩目4に対して、大きく逸れ不整列である。
【0061】
言い換えれば、作動配置構成では、受座9が移動して、糸「F」は、その所定の経路から逸れて迂回する。
【0062】
図2及び
図5に示すように、迂回させられた糸「F」は、ドラム5に、特に、ドラム5の側部6に巻き着く。ドラム5に巻き付けられた糸「F」の部分は、受座9と出口鳩目4との間の部分であることに留意すべきである。
【0063】
糸回収装置1の作動配置構成において、糸「F」が辿る迂回した経路は、糸回収装置1の作動停止配置構成において糸「F」が辿る迂回していない経路よりも長いことにも留意すべきである。実際、作動配置構成は、糸「F」の回収が、供給装置20の上流で必要な時にセットされる。このことは、本明細書において、以下により明確になるであろう。
【0064】
作動停止配置構成から作動配置構成への切り換え及びその逆の切り換えは、ドラム5を回転させること、その結果、受座9、すなわちセラミック要素10を配置転換させることにより行われる。このドラム5の回転は、モータ15が司る。
【0065】
ドラム5と受座9は、原理上、いかなる回転数及び/又は回転の一部分でも、回転を行うことができる。当然、ドラム5に課された回転数が大きいほど、回収される糸「F」の量が多い。
【0066】
入口鳩目3は、ドラム5から、入口鳩目3と受座9との間の糸「F」の部分が、ドラム5の回転に巻き込まれない距離にあることが好ましい。言い換えれば、入口鳩目3は、受座9の回転によって構成される平面から予め設定された距離に配置され、前記平面は、基準面と見なされる。
【0067】
したがって、実際に、糸「F」の回収段階中、糸回収装置1は、ボビンから糸を取り込まず、供給装置20のドラム21から来る糸のみを取り込む。
【0068】
糸回収装置1はまた、入口鳩目3の上流に配置された糸制動手段16を備えている。この糸制動手段16は、ボビンからの糸の回収を阻止する働きはせず、単に安定化機能を有するだけである。したがって、糸制動手段の調節は、重要ではなく、糸回収装置1の作動には全く影響がない。
【0069】
入口鳩目3は、ドラム5の回転の軸線「A」に、実質的に沿って配置されていることが好ましい。
【0070】
入口鳩目3は、支持構造体2から延びる突起部11に、取り付けられている。
【0071】
出口鳩目4は、ドラム5の側壁6に面している。更に、出口鳩目4は、受座9の回転により描かれる平面に関して、入口鳩目3と反対側に配置されている。このようにして、受座9と出口鳩目4との間にある糸「F」の部分が、間違いなくドラム5の回転に巻き込まれ、ドラムの側壁6に巻き付けられる。
【0072】
糸回収装置1は、モータ15に連結された制御ユニット14を備え、糸回収装置の作動を制御している。更に、制御ユニット14は、ドラム5と受座9の位置状態を、絶えず把握することができる。
【0073】
更に、制御ユニット14は、使用に際し、糸回収装置1のモータ15の作動を、供給装置20の要求に合わせるよう、供給装置20に接続される。
【0074】
繊維機械の種々の作動段階が入れ替わるので、糸回収装置1と供給装置20との間の同期化に必要な両装置間の調和作動は、いろいろな方法で行うことができる。例示として、調和作動は、適正に構成されたシリアルバス、デジタル入出力又はアナログ入出力を用いて行うことができる。
【0075】
詳細には、供給装置20のドラム21が減速する又は回転速度を逆にすると、制御ユニット14は、供給装置20の処理ユニット25によって発生され、回収を作動させる要求を表す作動信号「SA」を受信する。言い換えると、作動信号「SA」は、作動停止配置構成から作動配置構成へとドラム5を切り換えることを課するものである。
【0076】
制御ユニット14が、作動信号「SA」を受信すると、制御ユニット14は、プログラム可能な特殊制御信号「SS」を用いて、最小の電流/トルクを、モータ15にかけ始め、これが、ドラム5を、糸の回収に対応する方向に回転させることになる。
【0077】
制御ユニット14は、このようにして、ドラム5を、作動停止配置構成から作動配置構成にする。
【0078】
モータ15にかけられる電流/トルクは、非常に弱いので、必要量の糸が回収されるとすぐに、回収ドラム5の回転が停止するのは、明らかである。
【0079】
システム30の運転を増大させるのに、モータ15にかける電流/トルクは、初期段階ではより強くして、糸の緩みを防止し、その後、時間又は回収された糸の量に応じて自動的に低下させることができる。
【0080】
より進んだ実施の形態では、作動信号「SA」には、回収の要請だけでなく、供給装置20によって回収される糸「F」の量/速度に関する情報も、含めることができる。この場合、供給装置20は、ドラム21と連携するエンコーダ(図示せず)も有しており、このエンコーダを用いて供給ドラム21の回転の速度と方向を測定する。
【0081】
この実施の形態では、制御ユニット14は、ドラム5の回転速度が、同じでもよく異なっていてもよい2個のドラム間の直径の差にも基づく予め決められた比率に応じて、供給装置20のドラム21の回転速度に対応するよう、糸回収装置1のドラム5に連結されたモータ15を、やはり制御信号「SS」を用いて制御する。言い換えると、糸回収装置1のドラム5は、供給装置20のドラム21と電気軸が一致している。したがって、糸「F」の回収中、糸回収装置1のドラム5の回転は、供給装置20のドラム21の回転と、ぴったりと同期化されている。そのほか、制御信号「SS」は、回収する糸「F」の量と速度に応じて、ドラム5に設定された回転数を課すことにより、ドラム5のモータ15を制御してもよい。
【0082】
この配置構成においても、システム30をより素早く反応させ、糸の緩みを防止するためには、初期段階中は、より早い速度で回収し、その後は適正な回収速度に減速するよう、この速度比率を変えられることが好ましい。
【0083】
制御ユニット14は、エンコーダ(場合によりモータ5に組み込まれてもよい)を通じて、作動信号「SA」の存在中、糸回収装置1のドラム5の回転数又は部分的な回転割合を測定することにより実際に回収された糸「F」の量を正確に把握することが好ましい。
【0084】
供給装置20が、糸「F」の供給を再開すると(すなわち、ドラム21が、供給の方向に回転を再開すると)、供給装置は、糸回収装置1の制御ユニット14に、回収段階を中断する指令を表す作動停止信号「SD」を、送信する。これは、この作動停止信号「SD」が、実際に糸のストックがドラム5にある場合には、回収した糸を、全部又は部分的に、供給装置20に戻すため、糸供給装置1のドラム5の回転の中断及び回転方向の逆転をさせることを意味する。
【0085】
すなわち、作動停止信号「SD」は、ドラム5の作動配置構成から作動停止配置構成への切り換えを行わせるものである。
【0086】
この時点で、制御ユニット14は、糸の供給を促進するため、糸回収装置1のドラム5を、作動配置構成から作動停止配置構成に切り換えなければならない。
【0087】
ドラム5が先に回収した糸「F」を繰り出す時のドラム5の最大回転数は、回収段階中に先に行われた回転数又は部分的な回転割合と等しいことに留意すべきである。
【0088】
糸回収装置1のドラム5を作動停止配置構成に戻すため、制御ユニット14は、最も簡単な実施の形態では、ドラム5の状態に関して(比例、比例・積分、比例・積分・微分(P、PI、PID))制御ループを閉じてもよい。そのほか、制御ユニット14は、制御信号「SS」を用いて、初期状態に達するまで、モータに最小の電流/トルクをかけてもよい。
【0089】
より発展した別の実施の形態では、作動停止信号「SD」は、回収を停止して供給を再開する要請を含むことができるだけでなく、供給装置20によって供給される糸の量/速度を表すこともできる。これに関し、供給装置20は、エンコーダ(図示せず)も有しており、このエンコーダによって、前記供給装置20のドラム21の回転の速度と方向を測定する。
【0090】
この段階では、制御ユニット14は、やはり制御信号「SS」を用いて、糸回収装置のドラムの回転速度が、予め設定された比率に従い、供給装置20のドラム21の回転速度に対応するよう、糸回収装置1のドラム5に連結されたモータ15を制御する。
【0091】
言い換えれば、先に回収した糸「F」を戻す間でも、糸回収装置1のドラム5は、供給装置20のドラム21と電気軸が一致している。すなわち、先に回収した糸「F」の戻しと、糸回収装置1のドラム5の回転は、供給装置20のドラム21の回転と、ぴったりと同期している。
【0092】
この場合においても、システム30をより素早く反応させるため、供給装置20のモータ26が、回収中に発生した予張力に打ち勝つことを防止することにより、システム30は、初期段階の間はより高速で供給し、その後は、適正な回収速度に減速するため、この速度比率を変えることができる。
【0093】
作動停止配置構成になると、糸回収装置1のドラム5は、糸の供給を停止し、糸は再びワイヤ/糸のボビンから来るようになるのは、明らかである。
【0094】
作業の2つの段階、すなわち、糸回収装置1による糸の回収と糸の供給は、繊維機械の作動状態、又は特に、警報状態に応じて、供給装置20から中断させる又は切り換えることができるのは、明らかである。
【0095】
別の実施の形態(図示せず)では、糸回収装置1は、供給装置20に組み込まれている。
【0096】
他の実施の形態(図示せず)では、糸回収装置1は、供給装置の下流に連結されている。 この場合、供給装置は、「消極作用」タイプのものである。
【0097】
この実施の形態では、供給装置20は、ボビンから来る糸が巻き付けられる固定された又は回転自在なドラムを備えている。特に、所定の巻き数で、糸が、ドラムに巻き付けられる。
【0098】
繊維機械は、自立して、供給装置によってドラムに巻き付けられた糸を、取り込む。この場合には、糸は、繊維機械の再開した作用(return action)だけによってドラムから繰り出されるので、供給段階中にドラムを回転させる必要がないことに留意すべきである。このため、このタイプの装置は、「消極作用」供給装置と呼ぶ。
【0099】
糸がドラムに巻き付けられる速度は、糸がドラムから繰り出される速度と異なっていてもよく、ドラムは糸を格納する働きをするだけであることは、明らかである。
【0100】
ドラムの下流で、供給装置20は、糸に作用して糸を予め設定した張力値に維持する張力付与機構を備えている。
【0101】
例えば、張力付与機構は、ドラムと軸線が同じの環状の支持体に載置されたリングからなる制動手段を備えている。糸は、ドラムを離れると、リングと環状の支持体の間を通過する。リングは、糸の張力を決定する糸に作用する力を増強又は低下させるため、それぞれ、より大きな又はより小さな程度で、環状の支持体に押圧される。リングは、供給装置の処理ユニットによって制御される、例えば磁性の、アクチュエータによって操作される。
【0102】
張力センサが、ドラムの下流に配置され、供給装置を出る糸の張力を測定する。特に、張力センサは、測定した張力の値を表す張力信号を発生させ、その張力信号を処理ユニットに送信する。
【0103】
処理ユニットは、リングが環状の支持体に押圧される力の値を表す制動信号を発生させる。この制動信号は、張力信号を予め設定した張力値と比較した後に発生される。
【0104】
記載した全ての信号(例えば、作動信号「SA」、指令信号「SS」、作動停止信号「SD」、張力信号及び制動信号)は、目的に適した任意のモードで、例えば、任意の種類のシリアル通信で、及びアナログ若しくはデジタルインターフェースを介して、送信することができることに留意すべきである。
【0105】
この実施の形態の第1の変更形態では、糸回収装置1は、ドラムと張力センサとの間に、配置されている。
【0106】
この場合、供給装置の処理ユニットは、その作動を種々の作動段階に応じて同期化させるため、糸回収装置1の制御ユニットに接続されている。
【0107】
この場合においても、糸回収装置1による糸の回収機能は、供給装置20の要請によって生じるものである。しかし、供給装置20が、モータの回転の方向を用いて糸回収装置1を制御し同期化した先に説明した解決策とは異なり、この場合には、供給装置の電子制御ユニットは、他の情報を用いて糸回収装置を同期化しなければならない。
【0108】
したがって、供給装置の処理ユニットは、張力センサによって測定された張力に関する情報及び供給された糸の量(LFA、すなわち、Longueur de Fil Absorbee、Absorbed yarn length per course:コースあたりの取り込まれた糸の長さ)に関する情報を用いることにより、糸回収装置1の回収機能を何時作動させるかを決定しなければならない。実際には、供給装置の処理ユニットは、繊維機械による糸の要求が停止したことを認識し、測定した張力が設定した張力よりも弱いことを検知すると、回収装置1による糸の回収段階を作動させる。
【0109】
次いで、処理ユニットは、張力信号及び/又は制動信号に基づいて、作動信号を発生させて回収装置1のドラムを作動させる。作動信号は、上述の実施の形態と同様の態様で挙動する。
【0110】
更に、処理ユニットは、この回収を停止する。すなわち、処理ユニットは、測定した張力が、予め設定した張力値に達すると又は予め設定した張力をほんの少しだけ超えると、すぐに作動停止信号を送信する。
【0111】
供給装置の処理ユニットは、回収装置1と繊維機械との間で起こり得る糸の緩みを防止するため、繊維機械によるLFA糸要求速度の微分係数及び/又は張力の動向をチェックすることにより、糸の回収要請を予測することができることが好ましい。
【0112】
供給装置の処理ユニットは、制動装置の制御に関する情報を用いることにより回収機能を最適化することもできることが好ましい。実際、処理ユニットが、読み取った張力が設定した張力よりも弱く、既に処理ユニットの最大制動力又はその一部分をかけていることを認識する時には、糸が所望の張力で出て行くように維持するためには、回収機能を作動させることが必要だということを意味する。
【0113】
この実施の形態の第2の変更形態では、回収装置1は、供給装置の下流に、特に、供給装置の張力センサの下流に配置されている。
【0114】
この場合、回収装置1は、制御ユニットに接続された自身の張力センサを有している。この回収装置自身の張力センサは、回収装置1を出て行く糸の張力を測定し、測定した張力値を表す自身の張力信号を発生させる。
【0115】
この場合には、回収装置1は、プログラムされた張力値を把握しており、全面的に独立して、単に回収装置1の出口にある自身の張力センサと同期化されて稼働することが明らかである。
【0116】
この場合、回収装置1は、供給装置20に対して全面的に独立していてもよいし、又は張力情報を、供給装置20の制動状態と組み合わせて用いてもよい。そのため、回収装置1は、供給装置20からではなく、専ら自身の張力センサから来る情報に基づいて作動してもよい。
【0117】
これまで説明した全ての実施の形態では、インターフェース、供給装置20の処理ユニット25及び回収装置1の制御ユニット14を介して、作動停止信号「SD」及び作動信号「SA」に加えて、他の情報(警報状態、稼働状態、その他)を交信できることが明らかである。
【0118】
回収装置1における回収を行うのに用いるモータ15の種類は、全く重要でないことに留意すべきである。実際、どの種類のモータでも、この仕事を容易に行うことができる。
【0119】
簡易化した実施の形態では、回収装置1のドラム5は、モータよりもむしろバネ(図示せず)、好ましくは定荷重バネによって動かすことができる。
【0120】
この場合、回収装置1は、他の公知の解決策と非常に似てはいるがより小さく、制限のない量の糸を回収することができ、その構造の形態のおかげで、糸がボビンから回収されるのを防止するのに上流の制動手段が不要となることが明らかである。
【0121】
他の実施の形態では、回収装置1は、これまでに説明した糸「F」を供給する装置とは異なる糸「F」を供給する装置(例えば、出口に張力センサを有しない貯蔵供給装置)に連結することができる。
【0122】
更に、回収装置1は、供給装置20に機械的に固定してもよく、又は機械的に独立して供給装置20から幾分距離をおいて配置してもよい。
【0123】
先に述べたように、本発明は、糸「F」を供給するためのシステム30にも対象としており、この糸を供給するためのシステムは、回収装置1と、回収装置1に作動的及び/又は構造的に連結された供給装置20を備えている。
【0124】
回収装置1は、供給装置20だけに作動的に連結されていることに留意すべきである。言い換えると、回収装置1は、供給装置20が糸「F」を供給する繊維機械には、直接連結されていない。
【0125】
本発明は、提起した目的を達成するものである。
【0126】
実際、本発明による回収装置は、特に、入ってくる糸に応力(予張力)をかけることなく、システム全体としての運転を限定することなしに、上流の糸「F」のより効率的な回収を可能にするものである。
【0127】
回転も自在な受座を有する回転ドラムの使用は、何ら縺れをつくる危険又は回収した糸に過剰な張力をかける危険なしに、糸「F」を迅速かつ安全に迂回させることを可能にする。
【0128】
特に、説明した回収装置は、繊維機械のいろいろな作動段階に応じて、最も適した張力で、糸を繊維機械に供給することを可能にするものである。