(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346279
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】力検出器
(51)【国際特許分類】
G01L 1/18 20060101AFI20180611BHJP
【FI】
G01L1/18 A
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-529681(P2016-529681)
(86)(22)【出願日】2015年6月26日
(86)【国際出願番号】JP2015068544
(87)【国際公開番号】WO2015199228
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2018年3月27日
(31)【優先権主張番号】特願2014-132609(P2014-132609)
(32)【優先日】2014年6月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000242633
【氏名又は名称】北陸電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】南 政克
(72)【発明者】
【氏名】澤井 努
【審査官】
細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0083209(US,A1)
【文献】
特開2011−169717(JP,A)
【文献】
特開2011−220865(JP,A)
【文献】
特開2007−248212(JP,A)
【文献】
特開2014−110370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/18 , 1/26
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板の表面上に実装された力センサ素子と、
前記力センサ素子に力を伝達する力伝達部材と、
前記ベース基板の裏面に設けられて外部に露出する半田付け可能な複数の端子とを具備し、
前記ベース基板の前記裏面には、前記力伝達部材から前記力センサ素子に加わる力の仮想延長線が前記ベース基板を通る位置を中心にした所定領域内に半田付け可能な材料によって形成された半田付け部が設けられている力検出器であって、
前記力伝達部材が前記力センサ素子に力を伝達したときに変形する前記力センサ素子の変形領域を前記ベース基板に投影した投影領域が、前記所定領域内に含まれており、
前記複数の端子は、前記ベース基板の四隅にそれぞれ形成された4つの半田付けランド電極からなり、
前記4つの半田付けランド電極の形状は、それぞれ前記投影領域内に前記半田付けランド電極の一部が存在して前記半田付け部を構成するように定められていることを特徴とする力検出器。
【請求項2】
前記4つの半田付けランド電極は、それぞれ隣接する2つの前記半田付けランド電極間の距離が、0.1mm以上になるように形成されている請求項1に記載の力検出器。
【請求項3】
前記4つの半田付けランド電極の輪郭形状は四角形であり、
前記4つの半田付けランド電極のそれぞれの1つの角部が前記投影領域内に位置している請求項2に記載の力検出器。
【請求項4】
前記力センサ素子は、変形領域に複数の拡散抵抗が形成された半導体力センサ素子からなり、
前記力伝達部材は球体からなる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の力検出器。
【請求項5】
ベース基板からなる底壁部と、周壁部と上壁部とからなる収納ケースと、
前記基板の表面上に設けられて前記収納ケース内に収納された力センサ素子と、
前記力センサ素子に力を伝達する力伝達部材と、
前記ベース基板の裏面に設けられて外部に露出する半田付け可能な複数の端子とを具備し、
前記ベース基板の裏面には、前記力伝達部材から前記力センサ素子に加わる力の仮想延長線が前記ベース基板を通る位置を中心にした所定領域内に半田付け可能な材料によって形成された半田付け部が設けられている力検出器であって、
前記力伝達部材が前記力センサ素子に力を伝達したときに変形する前記力センサ素子の変形領域を前記ベース基板に投影した投影領域が、前記所定領域内に含まれており、
前記複数の端子は、前記ベース基板の四隅にそれぞれ形成された4つの半田付けランド電極からなり、
前記4つの半田付けランド電極の形状は、それぞれ前記投影領域内に前記半田付けランド電極の一部が存在して前記半田付け部を構成するように定められていることを特徴とする力検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加えられた力の大きさに応じた信号を出力する力検出器に関し、特に電極間の短絡を阻止して小型化を図ることできる力検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
力伝達球に加えられた力が力センサ素子に伝達され、力センサ素子は伝達された力の大きさに応じた信号を出力する力検出器が実用化されている。力伝達球及び力センサ素子は収納ケースに収納されており、力伝達球の最上部は収納ケースの上壁部に形成された貫通孔から突出し、力センサ素子は収納ケースの底壁部の内壁面と力伝達球の最下部との間に配置されている。収納ケースの底壁部(または底壁部近くの側壁部)には、力センサ素子に接続された入出力端子が外部に露出しており、底壁部の外壁面の側に配置される基板に半田付けによって接続されることにより、力検出器が基板に実装される。
【0003】
小型の力検出器を半田付けにより基板に実装する際には、収納ケースの底壁部の撓みに起因する検出精度のバラツキを解消または低減するために、力伝達球の最下部と対向する位置に半田付け部を設けるようにしている(特許文献1、特開2011−169717号公報)。この半田付け部において収納ケースの底壁部と基板とを半田付けすることにより、力検出器の入出力端子を基板上の電極に半田付けしたときに底壁部と基板との間に生じる隙間を埋めることができるので、力伝達球を通じて力センサ素子に上方から力が加えられても、力センサ素子の下方に位置する収納ケースの底壁部が撓んで力の一部を吸収することがなくなる。その結果、検出精度のバラツキを抑えることができる。
【0004】
上述のような検出精度のバラツキを防止する構成の原理を
図3に示す。なお
図3においては、収納ケースは底壁部42だけを示してある。
図3(a)に示すように、力センサ素子40は収納ケースの底壁部42の内壁面中央部上に置かれている。底壁部42の外壁面上には、
図3(b)に示すように、半田付けランドパターンが形成されている。半田付けランドパターンを介して力センサ素子は基板48上の図示しない半田付け電極に半田部44,46を介して接続されている。
図3(b)は底壁部42の外壁面上のランドパターンを示す。正方形の底壁部42の外壁面の四隅近くに配置された4つのランドパターン50は、それぞれ力センサ素子40の入出力端子として機能し、基板48上の電極と半田部44によりそれぞれ接続される。これに対しランドパターン52は、力センサ素子40には電気的に接続されておらず、半田部46により底壁部42の外壁面と基板48との間の隙間の一部を埋めるものである。すなわち力センサ素子40に、
図3(a)で見て下方向きの力fがかかると、もしもランドパターン52の位置に半田46が存在しなければ、底壁部42は基板48に対して四隅近くの半田44により支持されているだけであるため、底壁部42の中心近くは基板48に接近する方向に撓んで力fの少なくとも一部を吸収してしまい、検出精度にバラツキが生じる。半田部46があれば、底壁部42は撓むことがなく、よって力センサ素子40は力fの大きさに正確に対応した信号を出力することができる。
【0005】
また特開2011−220865号公報(特許文献2)には、フォースセンサパッケージのパッケージ基板の裏面に、センサ構造部の接着固定位置と平面的に重複させて固定用端子を設ける構造が開示されている。特に
図6(b)及び(c)に示された具体的な構造では、SMD端子31と固定用端子32とが一体に設けられた兼用端子33が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−169717号公報
【特許文献2】特開2011−220865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
力検出器は、交換や修理等の必要性に応じて、半田付けされた基板から取り外さなければならない場合がある。
図4に示す力検出器を基板から取り外す場合、半田を加熱して溶解することになる。このとき、底壁部42の四隅の半田44は底壁部42の外周部近傍に位置しているので、例えば半田コテを基板48上の電極または電極に付着した半田部44に当てることで直接加熱することができる。しかしながら底壁部42の中心近くに位置する半田46には半田コテを当てることができない。
【0008】
これに対して特許文献2に示されたパッケージ基板の裏面の兼用端子のように、SMD端子と固定用端子とを兼用する兼用端子を設けると、兼用端子の固定用端子部分にはSMD端子に半田コテを当てることにより、半田コテの熱を固定用端子部分まで伝達することができる。しかしながらこのような兼用端子を採用した場合、小型化をすればするほど固定用端子部分と他のSMD端子との間の距離が短くなり、端子(電極)間で短絡が発生する危険性が高くなる問題がある。
【0009】
本発明の目的は、電極間の短絡を阻止して、小型化を図ることができる力検出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の力検出器は、ベース基板の表面に実装された力センサ素子と、力センサ素子に力を伝達する力伝達部材と、ベース基板の裏面に設けられて外部に露出する半田付け可能な複数の端子とを具備している。そして、力伝達部材から力センサ素子に加わる力の仮想延長線がベース基板を通る位置を中心にした所定領域内に半田付け可能な材料によって形成された半田付け部が設けられている。
【0011】
本発明においては、力伝達部材が力センサ素子に力を伝達したときに変形する力センサ素子の変形領域をベース基板に投影した投影領域が、前述の所定領域内に含まれており、複数の端子が、ベース基板の四隅にそれぞれ形成された4つの半田付けランド電極からなる。そして4つの半田付けランド電極の形状は、それぞれ前述の投影領域内に
半田付けランド電極の一部が存在して半田付け部を構成するように定められている。本発明では、投影領域内に存在する4つの半田付けランド電極の一部が全て、半田付け部を構成する。その結果、本発明によれば、投影領域に、従来のように、専用の半田付け部が存在することはないので、ベース基板の裏面に専用の半田付け部を設けるスペースを設ける必要がない。そのため本発明によれば、従来よりも力検出器の小型化を図ることが可能になる。
【0012】
本発明の力検出器を実装用基板に半田付けにより実装する際には、力伝達部材から力センサ素子に加わる力の仮想延長線が基板を通る位置を中心にした所定領域内に形成された半田付け部を実装用基板上の電極に半田付けすることにより、力伝達部材から力センサ素子に加わる力による基板の撓みの発生を防止することができる。また力検出器を実装用基板から取り外す際には、力検出器の複数の端子のうち、いずれか一つの端子を加熱することにより、半田付け部に付着した半田が溶融する。その結果、前述の所定領域内に半田付け部を設けて収納ケースの底壁部の撓みを抑制した場合でも、一部が半田付け部を構成している端子に外部から熱を加えることにより半田付け部に付着した半田を溶融させて、力検出器を基板から取り外すことができる。
【0013】
半田付け部を構成する4つの半田受けランド電極の一部の位置及び大きさは、力検出器の構成により異なる。すなわち各力検出器全体及び各部材の寸法、形状または材質等、特に力センサ素子の底面部の形状、収納ケースの底壁部の厚み及び材質、力センサ素子が底壁部の内壁面に占める面積及び位置、及び力伝達部材から力センサ素子に加わる力の大きさ等を考慮して、4つの半田受けランド電極の一部の位置及び大きさは定められる。
【0014】
なお4つの半田付けランド電極は、短絡防止のために、それぞれ隣接する2つの
半田付けランド電極間の距離が、0.1mm以上になるように形成するのが好ましい。なおこの距離は、半田付け技術の改善によりさらに小さくすることが可能である。
【0015】
また、具体的には、4つの半田付けランド電極の輪郭形状は、例えば四角形状とすることができる。この場合には、4つの半田付けランド電極のそれぞれの1つの角部が、前述の投影領域内に位置するように、半田付けランド電極の形状寸法を定めるのが好ましい。
【0016】
さらに、力センサ素子は、変形領域に複数の拡散抵抗が形成された半導体力センサ素子からなり、力伝達部材は球体からなるようにすることがきる。
【0017】
なお、端子に熱を加える方法には、力検出器側の端子に直接熱を加える方法だけでなく、基板上の電極に熱を加えて間接的に半田付け部に熱を加えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は本発明の力検出器の一つの実施の形態を示し、
図1(a)は基板に力検出器が実装された状態を示す平面図であり、
図1(b)は
図1(a)のb−b断面図であり、
図1(c)は収納ケースの底壁部の外壁面に形成されたランド電極を示す図である。
【
図2】(a)及び(b)はそれぞれ、本発明の力検出器の他の実施の形態及びさらに他の実施の形態を示す
図1(b)と同様の図である。
【
図3】(a)及び(b)は、従来の力検出器における検出精度のバラツキ防止の原理を説明するために用いる図である。
【
図4】(a)乃至(d)は、本発明の力検出器の他の実施の形態の平面図、右側面図、底面図及び
図4(a)のd−d線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の力検出器の実施の形態の一例について説明する。
【0020】
図1(a)及び(b)において、本発明の力検出器は、収納ケース10と、収納ケース10の内部に収納された力センサ素子12と、力センサ素子12に力を伝達する力伝達部材としての力伝達球14と、収納ケース10に固定されて外部に露出する半田付け可能な複数の端子である4つのランド電極16[
図1(c)参照]とを有する。
【0021】
収納ケース10は、ベース基板22からなる底壁部と、周壁部24と上壁部28とを備えている。収納ケース10のベース基板22の内壁面即ち表面上には力センサ素子12が載置され、ベース基板22の外壁面即ち裏面には輪郭が四角形形状を呈する4つの半田付けランド電極16が固定されている。そして周壁部24は、ベース基板22の外周縁部から
図1(b)において上方に延びており、上方から見た輪郭形状は四角形状を有している。そして上壁部28は、周壁部24の開口部を覆うように水平方向に延び、中心には貫通孔26が設けられている。
【0022】
力伝達球14は、上方部分が上壁部28の貫通孔26から上方に突出し、下方部分が力センサ素子12に当接しており、上方から加わる力を力センサ12に伝達する。
【0023】
力センサ素子12は、半導体力センサ素子である。半導体力センサは、シリコン基板にボロン等を拡散することによってダイアフラム領域(変形領域)にブリッジ回路を構成する4つの拡散抵抗が形成されていて、力伝達球14により伝達される力を、ピエゾ抵抗効果を利用して電気信号に変換して出力するものである。
【0024】
力検出器は、ブリッジ回路のための4つの入出力端子(Vcc、+OUTPUT、GND、−OUTPUT)として、
図1(c)に示すような4つに分割された形状の半田付けランド電極16を底壁部22の外壁面に具備している。
図1(c)に示すように、収納ケース10のベース基板22の四隅にそれぞれ形成された4つの半田付けランド電極16は、4つの正方形でベース基板22の裏面の大部分を覆う大きさを有している。これらの半田付けランド電極16は半田濡れ性の良好な金属からなる電極パターンをベース基板22の裏面に露出するように形成されている。本実施の形態では、4つのランド電極16の4つの角部のうち、ベース基板22の中央部に位置する4つの角部16Aが全体として、半田付け部30aを構成する。
【0025】
図1(c)のランド電極形状においては、4つの半田付けランド電極16の4つの角部16Aは、力伝達球14から力センサ素子12に加わる力の仮想延長線Lがベース基板22を通る位置を中心にした所定領域R1内に含まれる。本実施の形態における所定領域R1は、
図1(b)及び
図1(c)に示すように、力センサ素子12の底面の外側輪郭をベース基板22の裏面に投影した一辺の寸法がd2の四角形形状の輪郭を有している。そして4つの角部16Aによって構成される半田付け部30aは、力伝達球14が力センサ素子12に力を伝達したときに変形する力センサ素子12の変形領域(ダイアフラム部)をベース基板22に投影した一辺の寸法がd1の四角形形状の輪郭を有する投影領域R2に含まれている。すなわち、4つのランド電極16それぞれの、ベース基板22の正方形の外壁面の中心点に最も近い1つの角部16Aが、投影領域R2内に位置している。
【0026】
力検出器は、
図1(a)に示すように、実装用基板20の表面に設けた半田付け電極19に半田部18を介して半田付けランド電極16が接合されて実装用基板20に実装される。実装用基板20上の半田付け電極19間の隙間及び4つの半田付けランド電極16間の隙間寸法は、半田部18によって隣接する半田付け電極19どうしまたは隣接する半田付けランド電極16どうしが半田により短絡されないように定められている。具体的には、短絡防止のために、4つのランド電極16及び半田付け電極19は、それぞれ隣接する2つの電極間の距離が0.1mm以上になるように形成されている。
【0027】
4つのランド電極16と半田付け電極19とを半田部18により接続することにより、実装用基板20に実装された力センサ素子12に加わる力は半田付け部30aを介して実装用基板20へと伝わる。その結果、ベース基板22の撓みを抑制ないし防止することができる。
【0028】
また半田付け部30aは各半田付けランド電極16の一部により形成されているので、実装用基板20に実装された本実施の形態の力検出器の半田付け部30aに付着した半田部18は、各半田付けランド電極16に熱を加えることにより溶融する。従って、各半田付けランド電極16を加熱することにより、力検出器を容易に基板20から取り外すことができる。本実施の形態においては各半田付けランド電極16はベース基板22の裏面の縁から中心寄りに配置されているので、各半田付けランド電極16を直接加熱することはできず、実装用基板20の半田付け電極にコテを当てることにより間接的に加熱される。
【0029】
また半田付け部を含むランド電極パターンは、可能な限り偏りを生じることなく底壁部の撓みを抑制できるように、対称性を有することが好ましい。例えば
図1(c)に示したベース基板22の外壁面上のランド電極パターンは、正方形の2組の対向する2辺の中心を結ぶ2本の中心線、及び2本の対角線について線対称であり、且つ正方形の中心点について点対称である。
【0030】
半田付け部がその内に形成される所定領域、及び投影領域の範囲は、各力検出器の種類により異なる。
図2(a)及び
図2(b)には、
図1に示した力センサ素子12とはそれぞれ異なる構造の力センサ素子が搭載された力検出器が示されている。
【0031】
図2(a)の力検出器における力センサ素子36は、
図1の力センサ素子12と比較すると、やや広い変形領域を有し、従って投影領域R2も
図1(c)の投影領域R2よりやや広くなっている。
図2(b)の力センサ素子38は変形領域をなすダイアフラムを周縁の台座が支持する構造であり、やはり投影領域R2は
図1(c)の投影領域R2よりやや広くなっている。
【0032】
図4(a)乃至(d)には、本発明の力検出器の他の実施の形態の、平面図、右側面図、底面図及び
図4(a)のd−d線断面を示している。本実施の形態において、
図1に示した実施の形態の力検出器と同様の部分には、
図1に付した符号の数に100の数を付した符号を付して説明を省略する。
図1の実施の形態と
図4の実施の形態とを比較すると、力センサ素子112の構成、収納ケース110の構造、半田付けランド電極116の形状及び位置とが異なる。力センサ素子112はガラス製の基台112Aの上に半導体力センサ素子112Bが実装された構造を有している。そして半導体力センサ素子112Bの上にはゲル状の保護層113が形成されている。また収納ケース110は、金属製のキャップと回路基板とから構成されている。回路基板はベース基板122を構成する。半導体センサ素子112Bとベース基板122を構成する回路基板上の電極とはワイヤーボンディング106により接続されている。特に本実施の形態では、収納ケース110のベース基板122を構成する長方形形状の回路基板の裏面に形成した半田付けランド電極116が、長方形形状を呈しており、かつ長方形形状の底面の角部に完全に一致した状態で形成されている。その結果、本実施の形態によれば、力検出器を取り外す際に、外部からの熱を半田付けランド電極116に直接伝えることができる。なおランド電極116の位置及び大きさと、力センサ素子112の位置及び大きさとの関係、並びに隣り合う半田付けランド電極116間の距離等の定め方は、上記実施の形態と同じである。したがって本実施の形態でも、4つの半田付けランド電極116の4つの角部のうち、ベース基板122の中央部に位置する4つの角部116Aが、それぞれ半田付け部130aを構成する。また短絡防止のために、4つのランド電極116は、それぞれ隣接する2つの電極間の距離が0.1mm以上になるように形成されている。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明によれば、力伝達部材が力センサ素子に力を伝達したときに変形する力センサ素子の変形領域をベース基板に投影した投影領域内に存在する4つの半田付けランド電極の一部全てにより、半田付け部を構成するので、従来のように、専用の半田付け部が存在することはない。したがってベース基板の裏面に専用の半田付け部を設けるスペースを設ける必要がなく、従来よりも力検出器の小型化を図ることが可能になる。また本発明の力検出器によると、所定領域内に半田付け部を設けることで収納ケースの底壁部の撓みを抑制して検出精度のバラツキの発生を防止することができるとともに、端子に熱を加えることにより半田付け部に付着した半田を溶融させて、力検出器を基板から取り外すことができる。
【符号の説明】
【0034】
R2 投影領域
R1 所定領域
10,110 収納ケース
12,112 力センサ素子
14,114 力伝達球
16,116 半田付けランド電極
18 半田
20 基板
22,122 ベース基板(底壁部)
24 周壁部
26 貫通孔
28 上壁部
30a,30b,130a 半田付け部
36,38 力センサ素子