特許第6346298号(P6346298)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346298
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】流体混合装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 5/00 20060101AFI20180611BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   B01F5/00 D
   B01J19/00 321
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-554002(P2016-554002)
(86)(22)【出願日】2015年8月21日
(86)【国際出願番号】JP2015073482
(87)【国際公開番号】WO2016059874
(87)【国際公開日】20160421
【審査請求日】2017年3月17日
(31)【優先権主張番号】特願2014-210246(P2014-210246)
(32)【優先日】2014年10月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120204
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 巌
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 健一郎
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特表平11−511689(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/131297(WO,A1)
【文献】 特開2006−015272(JP,A)
【文献】 特開2002−346353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 1/00 − 5/26
B01J 19/00 − 19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流体を混合する流体混合装置であって、
複数の階層に分かれて配置された複数の流路単位を備え、
前記流路単位はそれぞれ、1つのみの流入口と、1つのみの流出口と、前記流入口と前記流出口とを連通する複数の分岐流路と、を有し、
互いに異なる階層に位置する一方の前記流路単位の前記流入口と他方の前記流路単位の前記流出口とが連結されて、前記分岐流路のいずれを経ても、流体の流れる流路長がすべて同一または略同一となるように立体流路が構成されており、
前記流入口から前記流出口へ向かう方向を、個々の前記流路単位における流体の流れ方向としたときに、その流れ方向が各階層間で交差しており、
前記複数の階層には、前記流れ方向が互いに逆向きの第1および第2の流路単位をそれぞれ備える上側階層と下側階層の組み合わせが含まれ、
その組み合わせは、前記上側階層の第1の流路単位の前記流入口に流入した液体が、順次、前記下側階層の第1の流路単位、前記上側階層の第2の流路単位を経て、前記下側階層の第2の流路単位の前記流出口から流出するものであることを特徴とする流体混合装置。
【請求項2】
連結されている前記流路単位の流れ方向が、互いに直交している請求項1記載の流体混合装置。
【請求項3】
前記流路単位の分岐流路は、前記流入口から流入した流体を2つに分割してそれら分流流体がそれぞれ離れる方向に導く2つの第1流路と、それぞれの前記第1流路からターンして互いに近づく方向に分流流体を導いて合流させる2つの第2流路とからなる請求項1または2記載の流体混合装置。
【請求項4】
前記2つの第1流路のなす角は90度より大きく180度以下の角度であり、前記2つの第2流路のなす角は180度より小さい角度である請求項3記載の流体混合装置。
【請求項5】
前記第1流路と前記第2流路は直線又は曲線である請求項3または4記載の流体混合装置。
【請求項6】
複数の流路プレートがその厚み方向に重ねられて積層され、一方の流路プレートの表面に形成された溝と、これに重ねられる他方の流路プレートの平面との間に前記流路単位が形成されており、3枚以上の前記流路プレートが重ねられることにより、複数の前記階層が形成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の流体混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流入した複数の流体を混合させて流出する流体混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体混合装置としては、人体摂取物などの試料と試薬を混合させて化学反応させたり、分析したりするマイクロミキサーやマイクロリアクタが挙げられる。特許文献1に開示されている流体混合装置は、流路プレートに溝を設けて流路を形成するものである。この流路は、試料と試薬をそれぞれ導入する2つの流入路と、1つの流出路を備え、2つの流入路に導入された試料と試薬を合流させて流出路に導くようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−284626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された流体混合装置の流路は、平面的であり、試料と試薬は、2つの流入路から合流して流出路まで一方向に流れる。このような平面的な流路では、流体を合流させても、混合効率が悪いという問題がある。また、混合効率を高めるために、合流させる流路を長くしたり、分岐と合流の数を増やしたりすることも考えられるが、このような流路構成では設置面積が大きくなってしまう。
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、設置面積を過大にすることなく流体の混合率を効率良く高めることができる流体混合装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の流体混合装置は、複数の流体を混合する流体混合装置であって、
複数の階層に分かれて配置された複数の流路単位を備え、
前記流路単位はそれぞれ、1つのみの流入口と、1つのみの流出口と、前記流入口と前記流出口とを連通する複数の分岐流路と、を有し、
互いに異なる階層に位置する一方の前記流路単位の前記流入口と他方の前記流路単位の前記流出口とが連結されて、前記分岐流路のいずれを経ても、流体の流れる流路長がすべて同一または略同一となるように立体流路が構成されており、
前記流入口から前記流出口へ向かう方向を、個々の前記流路単位における流体の流れ方向としたときに、その流れ方向が各階層間で交差しており、
前記複数の階層には、前記流れ方向が互いに逆向きの第1および第2の流路単位をそれぞれ備える上側階層と下側階層の組み合わせが含まれ、
その組み合わせは、前記上側階層の第1の流路単位の前記流入口に流入した液体が、順次、前記下側階層の第1の流路単位、前記上側階層の第2の流路単位を経て、前記下側階層の第2の流路単位の前記流出口から流出するものであることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の流体混合装置は、複数の流体が流入されると、立体流路の各流路単位を通って、分流、合流、方向転換が繰り返されるので、流体を効率良く混合して流出させることができる。このとき、流路単位の流れ方向が各階層間で交差しているので、各階層の流路単位を流れるごとに、流体を異なる方向へ分割することができ、さらに分割された流体を合流させ、この分割と合流を方向を変えて繰り返えすことができる。これにより、複数の流体の混合効率を大幅に向上させることができる。さらに、各階層に流路単位を配置するので、階層を増やすことによって流路単位を増やすことができる。これにより、設置面積を変えることなく、複数の流体の混合効率を効率良く高めることができる。
【0008】
本発明の流体混合装置においては、連結されている前記流路単位の流れ方向が、互いに直交していることが好ましい。
【0009】
異なる階層に配置された流路単位の流れ方向を直交させることで、一方の流路単位から次の流路単位に至ったときに流体を直交方向へ分岐させることができるようになり、流体の混合効率を高めることができる。
【0010】
本発明の流体混合装置は、前記流路単位の分岐流路は、前記流入口から流入した流体を2つに分割してそれら分流流体がそれぞれ離れる方向に導く2つの第1流路と、それぞれの前記第1流路からターンして互いに近づく方向に分流流体を導いて合流させる2つの第2流路とからなるものとして構成される。
【0011】
この場合に、前記2つの第1流路のなす角は90度より大きく180度以下の角度であり、前記2つの第2流路のなす角は180度より小さい角度であることが好ましい。また、前記第1流路と前記第2流路は直線又は曲線であることが好ましい。
【0014】
本発明の流体混合装置は、複数の流路プレートがその厚み方向に重ねられて積層され、一方の流路プレートの表面に形成された溝と、これに重ねられる他方の流路プレートの平面との間に前記流路単位が形成されており、3枚以上の前記流路プレートが重ねられることにより、複数の前記階層が形成されているものとして構成できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の流体混合装置は、流路単位の流れ方向が各階層間で交差しているので、各階層の流路単位に流れるごとに、流体を分割することができ、しかもそのような流体の分割と集合を、方向を変えながら繰り返すことができる。よって、複数の流体の混合効率を大幅に向上させることができる。さらに、階層を増やすことで、流路単位を増やすことができので、平面積を広くすることなく、流体の混合効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る流体混合装置の外観を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る流体混合装置の内部に形成される立体流路の構成を説明するための斜視図である。
図3図2に示す立体流路を構成する流路単位の基本形状を説明するための斜視図である。
図4図3に示す流路単位の基本形状の平面図である。
図5図2に示す立体流路に含まれる流路パターンを説明するための斜視図である。
図6】本実施形態における立体流路内を流れる流体の流れを説明するための斜視図である。
図7図1に示す流体混合装置の構成を説明するための分解斜視図である。
図8図7に示す第2階層を構成する流路プレートの構成を示す斜視図である。
図9図8に示す流路プレートの下面図である。
図10】本実施形態における流路単位の基本形状についての変形例を示す図である。
図11】本実施形態における流路単位の基本形状についての他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の実施形態に係る流体混合装置について詳細に説明する。ここでは、血液などの人体摂取物試料と試薬を混合させる流体混合装置を例に挙げる。ただし、混合すべき流体はこれに限られるものではない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る流体混合装置1の全体構成を示す外観斜視図であり、図2は、流体混合装置1の内部に形成される立体流路の形状を示す図である。
【0019】
図1に示す流体混合装置1は、その最上部に設けられた流体入口2と、最下部に設けられた流体出口3を備える。流体入口2と流体出口3は、流体混合装置1の内部に形成される立体流路4に通じている。複数の流体が流体入口2から流入されると、立体流路4で混合されて流体出口3から流出される。
【0020】
図2に示すように、立体流路4は、上下方向に並ぶ複数の階層に配置された複数の流路単位20によって構成される。これらの流路単位20は、同様の基本形状により構成され、複数の階層に分かれて配置されている。図2に示す立体流路4は、7つの流路単位20が4つの階層に分かれて配置されている。図2以下では、個々の流路単位20を区別するために、個々の流路単位に符号20a〜20gを付して説明することがある。流体入口2から流体が導入されると、流路単位20a→20b→20c→20d→20e→20f→20gの順に流体が流れて、流体出口3から排出される。
【0021】
図2に示す立体流路4の階層を上から第1〜第4階層とすると、第1階層に1つの流路単位20bが配置され、第2階層に2つの流路単位20a、20cが配置されている。第3階層に2つの流路単位20f、20dが配置され、第4階層に2つの流路単位20e、20gが配置されている。
【0022】
ここで、各流路単位20a〜20gの基本形状について図面を参照しながら説明する。図3は本実施形態における流路単位20の基本形状を示す斜視図であり、図4図3に示す流路単位の基本形状の平面図である。
【0023】
図3図4に示すように、流路単位20はそれぞれ、流入口21と、流出口22を備え、流入口21から流入する流体が流出口22に向けて一方向(ここでは水平方向)の流れを形成するように構成される。流入口21から流出口22までの途中には、これらを連通する2つの分岐流路23が形成されている。
【0024】
分岐流路23は、流入口21から流入した流体を2つに分岐し、分流した流体を互いに離れる方向に導く2つの第1流路23a、23bと、各第1流路23a、23bからターンして互いに近づく方向に流体を導いて合流させる2つの第2流路23c、23dとから構成されている。第1流路23a、23bのなす角度αは90度より大きく180度以下であり、第2流路23c、23dのなす角度βは180度より小さい。これにより、分流した流れをターンさせて合流させることができる。図4に示す実施の形態では、第1流路23a、23bのなす角度αが180度で、第2流路23c、23dのなす角度βが90度である。流入口21から流入した流体を効率よく分割させるためには、第1流路23a、23bのなす角度αが180度であることが好ましい。
【0025】
図3に示す流路単位20では、第2流路23c、23dを経て合流した流体をさらに流出口22に導く合流流路23eが連続して形成されている。
【0026】
図2に示す立体流路4では、異なる階層に位置する流路単位20どうしが連結されている。例えば、流路単位20aの流出口22は、その上の階層に位置する流路単位20bの流入口21に連結され、流路単位20bの流出口22は、その下の階層に位置する流路単位20cの流入口21と連結されている。
【0027】
そのため、個々の流路単位20では、流入口21と流出口22の開口方向すなわち、流入口21と流出口22で流体が流れる方向が、流路単位20の流体の流れの方向(図3の紙面)に対して垂直方向に向けられている。
【0028】
流入口21と流出口22は、どの階層の流路単位と接続するかによって、上側または下側のいずれかに向けて開口している。例えば、図2に示す流路単位20aでは、流入口21の開口方向と流出口22の開口方向が共に上向きであるが、流路単位20dでは、流入口21の開口方向が上向きで、流出口22の開口方向が下向きである。図3に示す流路単位20は、流入口21と流出口22の開口方向がともに上向きであり、この流路単位20は流入側の連結される流路単位と流出側に連結される流路単位が、共に上の階層に位置する。
【0029】
このように、異なる階層に位置する流路単位20どうしは、流入口21と流出口22とが連結されて全体として立体流路4を構成する。すなわち、流路単位20の流入口21はその流路単位20が配置される階層とは異なる階層の流路単位の流出口22に接続され、流路単位20の流出口22はその流路単位20が配置される階層とはさらに異なる階層の流路単位の流入口21に接続される。このように、各階層の流路単位を接続することによって様々な流路パターンを構成することができる。
【0030】
図5では、図2に示す立体流路4の一部、すなわち流路単位20b〜20eを取り出して示している。
【0031】
図5に示す流路パターンでは、各流路単位20b〜20eの流体の流れ方向が互いに90度の角度で交差している。本明細書では、図4に示すように、個々の流路単位20において、流入口21の中心と流出口22の中心とを結び且つ図4の紙面と平行な中心線Ofの方向を流体の流れ方向としている。図5に示す流路パターンでは、互いに連結されている各流路単位20b〜20eの流体の流れ方向が全て直交している。すなわち連結される流路単位20の中心線Ofどうしが直交している。流路単位20bの流れの方向(中心線Ofの方向)はXYZ直交座標のX方向であり、流路単位20cの流れの方向はY方向である。流路単位20dの流れの方向はX方向であり、流路単位20bの流れの方向と逆向きである。流路単位20eの流れの方向はY方向であり、流路単位20cの流れの方向と逆向きである。
【0032】
このように構成することにより、各階層の流路単位を流れるごとに、流体をその流れ方向を垂直に分割して分流することができ、しかも方向を変えながら繰り返すことができる。これにより、複数の流体の混合効率を大幅に向上させることができる。また、図5に示すように、流体混合装置1内を一回転するような流れを形成することができるため、流路全体の設置面積を小さくすることができる。
【0033】
図2に示す立体流路4では、第1階層に位置する流路単位20bの流入口21が下方に向けられ、第2階層に位置する流路単位20aの流出口22に接続されている。流路単位20bの流出口22は下方へ向けられ、第2階層の流路単位20cの流入口21に接続されている。第2階層の流路単位20cの流出口22は下方へ向けられ、第3階層の流路単位20dの流入口21に接続されている。流路単位20dの流出口22は下方に向けられ、第4階層の流路単位20eの流入口21に接続されている。流路単位20eの流出口22は上方に向けられ、第3階層に位置する流路単位20fの流入口21に接続されている。そして、流路単位20fの流出口22は、第4階層に位置する流路単位20gの流入口21に接続されている。
【0034】
全ての流路単位20a〜20gにおいて、連結している流路単位どうしの流れ方向(中心線Ofの方向)が直交している。
【0035】
そして、流体入口2が、流路単位20aの流入口21に通じており、流体出口3が、流路単位20gの流出口22に通じている。
【0036】
図6は、図5に示す流路単位20c、20d、20eを通るときの流体の流れを説明している。図6に示すように、流体が方向を変えてZ方向から流路単位20cの流入口21に流入すると、その流体は、流路単位20cの分岐流路23(第1流路23a、23b)によって2つに分割されてX方向において互いに逆向きに分流し、その後、第2流路23c、23dを通過しターンしてY方向に合流して流出口22に導かれる。その流体の流れは、90度向きを変えてZ方向から流路単位20dの流入口21に流入し、流路単位20dの分岐流路23によって2つに分割されてY方向において互いに逆向きに分流し、その後ターンしてX方向に合流して流出口22に導かれる。その流体の流れは、90度方向を変えてZ方向から流路単位20eの流入口21に流入し、流路単位20eの分岐流路23によって2つに分割されてX方向において互いに逆向きに分流し、その後ターンしてY方向に合流して流出口22に導かれる。
【0037】
このように、流路単位20cに入って流れが分割される方向(X方向)と、次の流路単位20dに入って流れが分割される方向(Y方向)と、次の流路単位20eに入って流れが分割される方向(X方向)が常に交差する方向、好ましくは直交する方向となるため、流体の混合効率を大幅に向上させることができる。
【0038】
次に、このような立体流路4の積層構造について詳細を説明する。図2に示すような立体流路4は、各流路単位20a〜20gを配管で作成してこれらを接続して構成してもいいが、実施の形態のように、各階層を複数の流路プレートで構成し、各流路プレートに形成した溝によって流路単位を構成することが好ましい。
【0039】
図1に示す流体混合装置1は、各流路単位20a〜20gを溝で形成した流路プレート11〜14を重ねることによって、立体流路4を構成している。図7は、本実施形態にかかる流体混合装置1の分解斜視図である。図8は、図7に示す上から第2段目の流路プレート12の構成を示す斜視図であり、図9はその下面図である。
【0040】
図7に示すように、流体混合装置1は、上から第1〜第4階層を構成する流路プレート11〜14とベースプレート15とが重ねて構成されている。流路プレート11には、流体入口2と、流路単位20bが形成されている。流路プレート12には、流路単位20a、20cが形成されている。流路プレート13には、流路単位20d、20fが形成されている。流路プレート14には、流路単位20e、20gが形成されている。ベースプレート15には、流体出口3が形成されている。
【0041】
各流路単位20a〜20gはそれぞれ、各流路プレート11〜14の下側に形成された溝と、この溝を覆うように密着している隣接する流路プレートまたはベースプレートの平面との間に形成されている。このように、各流路プレート11〜14の下側に各流路単位20a〜20gの溝を形成した場合には、各流路単位の流入口21と流出口22とをそれぞれ接続する接続流路は、各流路プレート11〜14の上側に貫通して形成される貫通孔によって構成される。
【0042】
例えば図8図9に示すように、流路プレート12においては、その下側に流路単位20aと20cの溝が形成されており、その上側には流路単位20aの流入口21と流出口22に接続する接続流路24、25が形成されている。こうして、流路単位20a〜20gは、図7の矢印で示すように接続されて立体流路4が構成される。
【0043】
このように、本実施形態にかかる流体混合装置1においては、各階層を構成する流路プレート11〜14に各流路単位20a〜20gを形成することによって、上述した立体流路4を構成することができる。これによれば、流路単位20a〜20gを配管で構成して接続する場合よりも極めて簡単な構成で、本実施形態にかかる立体流路4を構成することができる。
【0044】
なお、図7に示す流路プレート12〜14のように、1つの流路プレートに2つの流路単位を形成する場合には、その2つの流路単位を流路単位の流入口から流出口までの流れの方向を180度反転して形成することで、設置面積を少なくすることができる。このように1つの流路プレートに形成する流路単位の数を増やしたり、その密集度を高めたりするほど設置面積を減らすことができる。
【0045】
さらに、流路プレート12の流路単位20a、20cはそれぞれ、流路プレート14の流路単位20e、20gと同じ方向になるので、これら流路プレート12、14は同じものを用いることができる。しかも、流路プレート14よりも下側に、流路プレート13、14と同じものをこの順で交互に積層するだけという簡単な構成で、図5に示す流路パターンを増やすことができる。流路パターンを増やすほど混合効率が高くなるので、より簡単に混合効率を高めることができる。
【0046】
なお、本実施形態において、流路単位20a〜20gの基本形状は図4に示すものに限られるものではない。例えば図10に示すように、分岐流路23を曲線で構成するようにしてもよい。図10は、第2流路23c、23dを曲線にしたものであるが、第1流路23a、23bを曲線にしてもよい。また、図4に示す流路単位20a〜20gの基本形状では、第2流路23c、23dに合流流路23eを接続した場合を例に挙げたが、図11に示すように合流流路はなくてもよい。図11は、第2流路23c、23dの合流部に流出口22を形成した場合である。このような図10図11に示す基本形状の流路単位20a〜20gによって構成した立体流路であっても、図4に示す基本形状の流路単位20a〜20gによって立体流路4と同様の効果を奏することができる。
【0047】
また、図3図4に示す流路単位20において、流入口21と流出口22を互いに入れ替えた構成であってもよい。
【0048】
以上により、本実施形態にかかる流体混合装置1においては、複数の階層に複数の流路単位20a〜20gを配置し、各流路単位20a〜20gの流れ方向が各階層間で交差するように配置することにより、流路単位20a〜20gを流れる層流をその境界面に垂直に分割することができ、これを繰り返すことができる。これにより、流体の混合率を大幅に向上させることができる。
【0049】
しかも、各階層に複数の流路単位20a〜20gをその流れの方向が90度ずつ変わるように配置することで、流体混合装置1内を回転するような流れを形成することができる。これにより、立体流路4全体の設置面積をよりコンパクトにすることができる。さらに、立体流路4の流路パターンを追加するだけで、層流をその境界面に垂直に分割する回数を増加することができる。これにより、設置面積を変えることなく、流体の混合率をさらに向上させることができる。
【0050】
なお、本実施形態において図2に示す立体流路4を上下逆さにして用いることもできる。この場合、図4に示す流体の流れの方向は逆になる。これによっても、各流路単位の流れ方向が各階層間で交差するように配置されるので、流路単位を流れる層流をその境界面に垂直に分割することができ、これを繰り返すことができる。これにより、図2に示す立体流路4の場合と同様に、流体の混合率を大幅に向上させることができる。
【0051】
また、上記実施形態では、本発明を人体摂取物などの試料と試薬を混合させる流体混合装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではなく、複数の流体を混合させる様々な流体混合装置に適用することができる。例えば本発明を液体燃料と水を混合させる流体混合装置に適用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 流体混合装置
2 流体入口
3 流体出口
4 立体流路
11〜14 流路プレート
20 流路単位
20b〜20g 各流路単位
21 流入口
22 流出口
23 分岐流路
24、25 接続流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11