(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346318
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】トランジションピース組立体およびこれを含む燃焼器
(51)【国際特許分類】
F02C 7/18 20060101AFI20180611BHJP
F23R 3/42 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
F02C7/18 C
F23R3/42 D
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-10277(P2017-10277)
(22)【出願日】2017年1月24日
(65)【公開番号】特開2018-3830(P2018-3830A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2017年1月25日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0081029
(32)【優先日】2016年6月28日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507002918
【氏名又は名称】ドゥサン ヘヴィー インダストリーズ アンド コンストラクション カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シム、ヤング サム
【審査官】
金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−286199(JP,A)
【文献】
特開2000−146186(JP,A)
【文献】
特開2007−309247(JP,A)
【文献】
特開2010−175239(JP,A)
【文献】
特開2008−169840(JP,A)
【文献】
特開2015−135111(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0297784(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/18
F23R 3/42
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器ライナーとタービンとを連結するトランジションピースと、
前記トランジションピースを取り囲んでいる衝突スリーブと、
冷却用の空気の通気口として前記衝突スリーブに形成される複数の冷却ホールと、
前記衝突スリーブの内側に形成され、前記複数の冷却ホールを介して供給される前記空気をトランジションピースの両側面に向かって誘導するための複数のガイド部と、
を含むトランジションピース組立体。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記冷却ホールの付近に形成される請求項1に記載のトランジションピース組立体。
【請求項3】
前記ガイド部は、前記衝突スリーブの内側に突出して形成される請求項1または2に記載のトランジションピース組立体。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記トランジションピースの側面に向かって傾斜したテーパ面をなして突出して形成される請求項1〜3のいずれか1項に記載のトランジションピース組立体。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記衝突スリーブの内側に段差をなして形成される請求項1または2に記載のトランジションピース組立体。
【請求項6】
前記ガイド部の段差は、階段形状を有する請求項5に記載のトランジションピース組立体。
【請求項7】
前記ガイド部の段差は、曲線状の輪郭形状を有するように構成される請求項5に記載のトランジションピース組立体。
【請求項8】
圧縮空気を燃料と混合して燃焼させるための燃焼器ライナーと、
請求項1〜7のいずれか1項に記載のトランジションピース組立体と、
を含む燃焼器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランジションピース組立体およびこれを含む燃焼器に関し、より詳細には、ガスタービンのトランジションピースの側面に形成される高温領域を冷却させるための、冷却効率が改善されたトランジションピース組立体およびこれを含む燃焼器に関する。
【背景技術】
【0002】
タービンとは、蒸気、ガスのような圧縮性流体の流れを利用して衝動力または反動力で回転力を得る機械装置であって、蒸気を利用すれば蒸気タービン、燃焼ガスを利用すればガスタービンと呼ばれる。
【0003】
ガスタービンは、大気の空気を吸入して圧縮した後、燃焼器に高圧の空気を供給する圧縮機と、高温・高圧の燃焼ガスを生成するための燃焼器と、燃焼器から吐出される燃焼ガスによって駆動されることで回転軸を回転させるタービンとを含んでなる。ガスタービンの作動原理は、まず、大気の空気を吸入して圧縮機で圧縮した後、燃焼器に送り、高温・高圧のガスを作ってタービンを動作させ、排気ガスを大気中に放出するもので、圧縮、加熱、膨張、放熱の段階からなる。
【0004】
ガスタービンの圧縮機は、大気から空気を吸入して燃焼器に燃焼用空気を供給する役割を果たし、断熱圧縮過程を経るので、圧力と空気の温度が上昇する。また、燃焼器では、等圧燃焼過程を経て流入した圧縮空気を燃料と混合、燃焼させて高いエネルギーの燃焼ガスを作り出す。
【0005】
燃焼器から出た高温・高圧の燃焼ガスは膨張しながらタービンの回転翼に衝動力・反動力を与えてこれを機械的エネルギーに変換する。前記機械的エネルギーの一部は圧縮機で空気を圧縮するのに必要なエネルギーとして供給され、前記機械的エネルギーの残りは発電機を駆動するのに用いられて電力を発電する。
【0006】
ガスタービンの燃焼器は、ライナー部と、トランジションピースとを含んでなる。ライナー部は、燃料を圧縮空気とともに燃焼させて高温の圧縮ガスを生成し、前記高温の圧縮ガスはタービンに流入して膨張しながら、タービンに連結された回転軸を回転させる。トランジションピース(transition piece)は、燃焼器のライナー部から生成された燃焼ガスをタービン側に伝達するためのもので、高温ガスの速度を増加させる部分である。トランジションピースは、燃焼ガスの高い温度によって破損しないように、外壁部が圧縮機から供給される圧縮空気によって冷却されなければならない。
【0007】
このために、多孔スリーブが前記トランジションピースを取り囲み、多孔スリーブに形成された冷却ホールを通して圧縮機の放出空気が内部に流動し、トランジションピースの外壁部と衝突して外壁部を冷却する。その後、冷却空気は、トランジションピースを取り囲む多孔スリーブとトランジションピースとの間の空間に沿って流動して、ライナー部側に流動する。
【0008】
図7は、ガスタービンの駆動時におけるトランジションピースの温度分布を示す温度分布図であり、この時、
図7に示されているように、トランジションピースの温度分布をみると、トランジションピースの側面に高温の領域が形成されることが分かる。
【0009】
しかし、従来のトランジションピースは、トランジションピースを取り囲む多孔スリーブを含んでいるが、側面に冷却空気が十分に流入せず、冷却が効果的に行われないという問題がある。
これによって、トランジションピースが適切に冷却されず、燃焼ガスの高い温度によって破損する危険性があり、ガスタービンの効率が低下し、ガスタービンの寿命が短くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の問題を解決するためのものであって、トランジションピースの側面に形成される高温領域を冷却させるための、冷却効率が改善されたトランジションピース組立体およびこれを含む燃焼器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための本発明は、燃焼器のライナーとタービンとを連結するトランジションピースと、前記トランジションピースを取り囲んでいる衝突スリーブと、前記衝突スリーブに形成される冷却ホールと、前記衝突スリーブの内側に形成され、空気をトランジションピースの側面に誘導するためのガイド部とを含むトランジションピース組立体を提供する。
【0012】
前記ガイド部は、前記冷却ホール付近に形成されることを特徴とする。
前記ガイド部は、前記衝突スリーブの内側に突出する形態で形成される。
前記ガイド部は、前記トランジションピースの側面に向かって傾斜したテーパ面をなして突出する形態で形成される。
前記ガイド部は、前記衝突スリーブの内側に段差をなして形成される。
前記ガイド部の段差は、階段形状を有することを特徴とする。
前記ガイド部の段差は、曲線状の輪郭形状を有することを特徴とする。
【0013】
また、圧縮空気を燃料と混合して燃焼させるための前記ライナー部と、前記トランジションピース組立体とを含む燃焼器を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るトランジションピース組立体およびこれを含む燃焼器は、衝突スリーブの内側に形成され、空気をトランジションピースの側面に誘導するためのガイド部を含むことで、トランジションピースの側面における冷却空気の流入量を増加させながら高温領域の冷却が効率的に行われるようにすることができる。
これによって、トランジションピースの冷却効率が改善されるので、燃焼ガスの高い温度によってトランジションピース組立体が破損する危険性が低下し、ガスタービンの効率が高くなり、ガスタービンの寿命が伸びるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ガスタービンの燃焼器を概略的に示す側面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るトランジションピース組立体の側断面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係るトランジションピース組立体を示すための他の断面図である。
【
図5】本発明の第3実施形態に係るトランジションピース組立体を示すための他の断面図である。
【
図6】本発明の第4実施形態に係るトランジションピース組立体を示すための他の断面図である。
【
図7】ガスタービンの駆動時におけるトランジションピースの温度分布を示す温度分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のトランジションピース組立体およびこれを含む燃焼器に対する好ましい実施形態を、添付した
図1〜
図6を参照して説明する。
【0017】
また、後述する用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語であって、これは使用者、運用者の意図または慣例によって異なり得、以下の実施形態は本発明の権利範囲を限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲に提示された構成要素の例示的な事項に過ぎない。
【0018】
図1は、ガスタービンの燃焼器を概略的に示す側面図、
図2は、本発明の第1実施形態に係るトランジションピース組立体の側断面図、
図3は、トランジションピース組立体を
図2に示すA−A線に沿って切って見た場合の断面図、
図4は、本発明の第2実施形態に係るトランジションピース組立体を示すための他の断面図、
図5は、本発明の第3実施形態に係るトランジションピース組立体を示すための他の断面図であり、
図6は、本発明の第4実施形態に係るトランジションピース組立体を示すための他の断面図である。
【0019】
本発明のトランジションピース組立体が設けられるガスタービン(図示せず)の構成は、従来のガスタービンと同一である。
まず、
図1〜
図3を参照して、本発明の第1実施形態に係るトランジションピース組立体およびこれを含む燃焼器の構造を説明する。
【0020】
図1にはガスタービンの燃焼器1が概略的に示されており、ガスタービンの燃焼器1は、点火部52と、燃焼器ライナー50と、トランジションピース組立体100とを含んでなる。点火部52は、燃料を点火させる部分であり、燃焼器ライナー50は、燃料を圧縮空気とともに燃焼させて高温の圧縮ガスを生成する部分である。本発明の燃焼器1の点火部52および燃焼器ライナー50の構成は、一般的な点火部およびライナーの構成と同一であり、本発明は、トランジションピース組立体100に特徴があることから、これについて詳細に説明する。
【0021】
トランジションピース組立体100は、燃焼器ライナー50から生成された燃焼ガスをタービン(図示せず)側に伝達するためのもので、高温ガスの速度を増加させる部分である。
前記燃焼器1から出た高温・高圧の燃焼ガスはタービン(図示せず)側に流入して膨張しながらタービンの回転翼に衝動力・反動力を与えてこれを機械的エネルギーに変換する。前記機械的エネルギーの一部は圧縮機で空気を圧縮するのに必要なエネルギーとして供給され、前記機械的エネルギーの残りは発電機を駆動するのに用いられて電力を発電する。
【0022】
図2および
図3に示されているように、本発明の第1実施形態に係るガスタービンのトランジションピース組立体100は、ガスタービンの燃焼器ライナー50とタービン(図示せず)とを連結するトランジションピース110と、前記トランジションピース110を取り囲んでいる衝突スリーブ120と、前記衝突スリーブ120に形成される冷却ホール130と、前記衝突スリーブ120の内側に形成され、空気をトランジションピース110の側面に誘導するためのガイド部200とを含む。
【0023】
前記トランジションピース(transition piece)110は、チューブ形状に形成され、ガスタービンの燃焼器ライナー50とタービン(図示せず)とを連結し、燃焼器ライナー50から生成された燃焼ガスをタービン側に伝達するための伝達手段である。燃焼ガスは、トランジションピース110を通して流動速度を増加させながらタービン内に高速流動する。前記トランジションピース110は、燃焼器ライナーの断面形状に合わせて円筒、四角筒などの多様な形状に形成されるが、燃焼器ライナー50と結合される一端部は、対向する燃焼器ライナー50の断面形状と同一に形成され、タービン側と結合される他端部は、対向するタービンの断面形状と同一に形成されることが好ましい。
【0024】
本実施形態において、トランジションピース110の一端は燃焼器ライナー50に連結されるが、一部の適用例では、別個のコネクタ部品がトランジションピース110の一端と燃焼器ライナー50との間に位置してもよい。
【0025】
衝突スリーブ120は、半径方向に離隔した状態で前記トランジションピース110を取り囲み、円筒形状に形成される。したがって、前記トランジションピース110と衝突スリーブ120との間には一定の空間部140が形成される。前記衝突スリーブ120には冷却ホール130が四方を向いて形成されており、前記冷却ホール130は多数の列を成して配列される。前記冷却ホール130は、円形または楕円形に形成される。
【0026】
ガイド部200は、前記衝突スリーブ120の内側に形成され、空気をトランジションピース110の側面に誘導するための役割を果たす。そのため、前記ガイド部200は、前記冷却ホール130付近に形成されることが好ましく、第1実施形態によれば、前記ガイド部200は、前記冷却ホール130付近に形成され、前記衝突スリーブ120の内側に突出するように形成される。
【0027】
図3に示されているように、前記ガイド部200は、前記衝突スリーブ120の下部内側に形成され、冷却ホール130付近に配置される。前記ガイド部200は、前記冷却ホール130を通して流入した冷却空気をトランジションピース110の側面の外壁部に向けて誘導できるように突出して形成されている。さらに、前記トランジションピース組立体100のA−A線を切断面とする断面において左右の中心となる中心線aを基準とすると、中心線aより左側に位置した左側冷却ホール130aに流入する冷却空気は左側面に誘導されるようにし、中心線aより右側に位置した右側冷却ホール130bに流入する冷却空気は右側面に誘導されるようにする。
【0028】
このために、左側冷却ホール130aの場合には、それぞれの冷却ホールの右側に位置した衝突スリーブの端部にガイド部200が壁を形成して突出している。これにより、左側冷却ホール130aに流入した冷却空気はそれぞれ右側に突出して形成されたガイド部200によって右側に移動することができず、大部分の冷却空気が左側に移動するように配向される。また、右側冷却ホール130bの場合には、それぞれの冷却ホールの左側に位置した衝突スリーブの端部にガイド部200が壁を形成して突出している。これにより、右側冷却ホール130bに流入した冷却空気はそれぞれ左側に突出して形成されたガイド部200によって左側に移動することができず、大部分の冷却空気が右側に移動するように配向される。
【0029】
したがって、それぞれ左側および右側に冷却空気が集中的に配向され、流動する空気の量が多くなるにつれ、各側面部への冷却空気の流入量も増加する。これによって、トランジションピース110の側面に形成される高温領域を効果的に冷却させることができる。参照として、
図3に冷却空気の移動経路を矢印で示した。
【0030】
次に、
図4を参照して、本発明の第2実施形態に係るガスタービンのトランジションピース組立体2100の構造を説明する。第2実施形態に係るトランジションピース組立体2100は、第1実施形態に係るトランジションピース組立体100の構造およびガイド部の形状のみが異なるだけで、残りの構成は同一である。したがって、トランジションピース110、衝突スリーブ120および冷却ホール130に関する説明は省略し、第1実施形態とは異なる構成を有するガイド部を中心に説明する。
【0031】
図4に示されているように、第2実施形態に係るトランジションピース組立体のガイド部2200は、前記衝突スリーブ120の下部内側に形成され、冷却ホール130付近に位置する。前記ガイド部2200は、第1実施形態に係るトランジションピース組立体のガイド部200と同様に、前記冷却ホール130を通して流入した冷却空気をトランジションピース110の側面の外壁部に向けて誘導できるように突出して形成されている。ただし、前記ガイド部2200は、前記トランジションピース110の側面に向かって傾斜したテーパ面をなして突出するように形成される。さらに、前記トランジションピース組立体2100のA−A線を切断面とする断面において左右の中心となる中心線aを基準とすると、中心線aより左側に位置した左側冷却ホール130aに流入する冷却空気は左側面に誘導されるようにし、中心線aより右側に位置した右側冷却ホール130bに流入する冷却空気は右側面に誘導されるようにする。
【0032】
このために、左側冷却ホール130aの場合には、それぞれの冷却ホールの右側に位置した衝突スリーブの端部にガイド部2200が壁を形成して突出しており、前記ガイド部2200は左側面に向かって傾斜した状態に形成される。これにより、左側冷却ホール130aに流入した冷却空気はそれぞれ右側に突出して形成されたガイド部2200によって右側に移動することができず、大部分の冷却空気が左側に移動するように配向される。さらに、前記ガイド部2200は、左側面に向かって傾斜したテーパ面を形成するため、空気流をより容易に配向させることが可能である。また、右側冷却ホール130bの場合には、それぞれの冷却ホールの左側に位置した衝突スリーブの端部にガイド部2200が壁を形成して突出しており、前記ガイド部2200は、右側面に向かって傾斜した状態に形成される。これにより、右側冷却ホール130bに流入した冷却空気はそれぞれ左側に突出して形成されたガイド部2200によって左側に移動することができず、大部分の冷却空気が右側に移動するように配向される。さらに、前記ガイド部2200は、右側面に向かって傾斜したテーパ面を形成するため、空気流をより容易に配向させることが可能である。
【0033】
したがって、それぞれ左側および右側に冷却空気が集中的に配向され、流動する空気の量が多くなるにつれ、各側面部への冷却空気の流入量も増加する。これによって、トランジションピース110の側面に形成される高温領域を効果的に冷却させることができる。参照として、
図4に冷却空気の移動経路を矢印で示した。
【0034】
次に、
図5を参照して、本発明の第3実施形態に係るガスタービンのトランジションピース組立体3100の構造を説明する。第3実施形態に係るトランジションピース組立体3100は、第1実施形態に係るトランジションピース組立体100の構造およびガイド部の形状のみが異なるだけで、残りの構成は同一である。したがって、トランジションピース110、衝突スリーブ120および冷却ホール130に関する説明は省略し、第1および第2実施形態とは異なる構成を有するガイド部を中心に説明する。
【0035】
図5に示されているように、第3実施形態に係るトランジションピース組立体のガイド部3200は、前記衝突スリーブ120の下部内側に形成され、冷却ホール130付近に位置する。前記ガイド部3200は、冷却ホール130を通して流入した冷却空気をトランジションピース110の側面の外壁部に向けて誘導できるように、前記衝突スリーブ120の内側に段差をなして形成される。さらに、前記トランジションピース組立体3100のA−A線を切断面とする断面において左右の中心となる中心線aを基準とすると、中心線aより左側に位置した左側冷却ホール130aに流入する冷却空気は左側面に誘導されるようにし、中心線aより右側に位置した右側冷却ホール130bに流入する冷却空気は右側面に誘導されるようにする。
【0036】
本実施形態において、前記ガイド部3200の段差は、階段形状からなる。具体的には、左側冷却ホール130aの場合には、それぞれの冷却ホールの左側に位置した衝突スリーブの端部に溝が形成され、左側へいくにつれ、衝突スリーブの厚さが厚くなって階段(step)を形成する。これにより、左側冷却ホール130aの場合には、左側に位置した衝突スリーブが右側に位置した衝突スリーブより高さが低くなるように形成されていて、第1実施形態に係るトランジションピース組立体のガイド部200と同様に、左側冷却ホール130aの右側に突出した壁が形成されたような効果を奏する。したがって、左側冷却ホール130aに流入した冷却空気は右側に移動せず、大部分の冷却空気が左側に位置したガイド部3200に沿って左側に移動するように配向させることが可能である。
【0037】
また、右側冷却ホール130bの場合には、それぞれの冷却ホールの右側に位置した衝突スリーブの端部に溝が形成され、右側へいくにつれ、衝突スリーブの厚さが厚くなって階段(step)を形成する。これにより、右側冷却ホール130bの場合には、右側に位置した衝突スリーブが左側に位置した衝突スリーブより高さが低くなるように形成されていて、第1実施形態に係るトランジションピース組立体のガイド部200と同様に、右側冷却ホール130bの左側に突出した壁が形成されたような効果を奏する。したがって、右側冷却ホール130bに流入した冷却空気は左側に移動せず、大部分の冷却空気が右側に位置したガイド部3200に沿って右側に移動するように配向させることが可能である。
【0038】
したがって、それぞれ左側および右側に冷却空気が集中的に配向され、流動する空気の量が多くなるにつれ、各側面部への冷却空気の流入量も増加する。これによって、トランジションピース110の側面に形成される高温領域を効果的に冷却させることができる。参照として、
図5に冷却空気の移動経路を矢印で示した。
【0039】
次に、
図6を参照して、本発明の第4実施形態に係るガスタービンのトランジションピース組立体4100の構造を説明する。第4実施形態に係るトランジションピース組立体4100は、第3実施形態に係るトランジションピース組立体3100の構造およびガイド部の形状のみが異なるだけで、残りの構成は同一である。したがって、トランジションピース110、衝突スリーブ120および冷却ホール130に関する説明は省略し、第1〜第3の実施形態とは異なる構成を有するガイド部を中心に説明する。
【0040】
図6に示されているように、第4実施形態に係るトランジションピース組立体のガイド部4200は、前記衝突スリーブ120の下部内側に形成され、冷却ホール130付近に位置する。前記ガイド部4200は、第3実施形態に係るトランジションピース組立体のガイド部3200と同様に、冷却ホール130を通して流入した冷却空気をトランジションピース110の側面の外壁部に向けて誘導できるように、前記衝突スリーブ120の内側に段差をなして形成される。ただし、前記ガイド部4200の段差は、曲線状の輪郭形状を有するように構成される。さらに、前記トランジションピース組立体4100のA−A線を切断面とする断面において左右の中心となる中心線aを基準とすると、中心線aより左側に位置した左側冷却ホール130aに流入する冷却空気は左側面に誘導されるようにし、中心線aより右側に位置した右側冷却ホール130bに流入する冷却空気は右側面に誘導されるようにする。さらに、図面に示されていないが、ガイド部4200の形状は、流入した冷却空気をトランジションピース110の外側に誘導できるように、トランジションピース組立体の中心線aから両サイドへいくほど厚さが厚くなる形状であってもよい。
【0041】
本実施形態において、前記ガイド部4200の段差は、曲線状の輪郭形状を有するように構成される。具体的には、左側冷却ホール130aの場合には、それぞれの冷却ホールの左側に位置した衝突スリーブの端部に溝が形成され、前記溝は、曲線をなして凹状に形成され、これによって左側へいくほど徐々に衝突スリーブの高さが高くなって段差を形成する。ここで、前記溝は、凹形状に限定されず、曲線状に形成される凸形状、波形状などのいずれでも構わない。これにより、左側冷却ホール130aの場合には、左側に位置した衝突スリーブが右側に位置した衝突スリーブより高さが低くなるように形成されていて、第1実施形態に係るトランジションピース組立体のガイド部200と同様に、左側冷却ホール130aの右側に突出した壁が形成されたような効果を奏する。したがって、左側冷却ホール130aに流入した冷却空気は右側に移動せず、大部分の冷却空気が左側に位置したガイド部4200に沿って左側に移動するように配向させることが可能である。さらに、前記ガイド部4200は、曲線状に形成され、徐々に高さが高くなって段差を形成するため、急激に段差を形成するより、冷却空気のエネルギーの損失なく空気流を容易に配向させることができる。
【0042】
また、右側冷却ホール130bの場合には、それぞれの冷却ホールの右側に位置した衝突スリーブの端部に溝が形成され、前記溝は、曲線をなして凹形状に形成され、これによって右側へいくほど徐々に衝突スリーブの高さが高くなって段差を形成する。ここで、前記溝は、凹形状に限定されず、曲線に形成される凸形状、波形状などのいずれでも構わない。これにより、右側冷却ホール130bの場合には、右側に位置した衝突スリーブが左側に位置した衝突スリーブより高さが低くなるように形成されていて、第1実施形態に係るトランジションピース組立体のガイド部200と同様に、右側冷却ホール130bの左側に突出した壁が形成されたような効果を奏する。したがって、右側冷却ホール130bに流入した冷却空気は左側に移動せず、大部分の冷却空気が右側に位置したガイド部4200に沿って右側に移動するように配向させることが可能である。さらに、前記ガイド部4200は、曲線状に形成され、徐々に高さが高くなって段差を形成するため、急激な段差を形成するよりも、冷却空気のエネルギーの損失なく空気流を容易に配向させることができる。
【0043】
したがって、それぞれ左側および右側に冷却空気が集中的に配向され、流動する空気の量が多くなるにつれ、各側面部への冷却空気の流入量も増加する。これによって、トランジションピース110の側面に形成される高温領域を効果的に冷却させることができる。参照として、
図6に冷却空気の移動経路を矢印で示した。
【0044】
次に、本発明のガスタービンのトランジションピース組立体100、2100、3100、4100においてトランジションピース110が冷却される過程を簡略に説明する。
【0045】
前記燃焼器ライナー50内で燃焼された燃焼ガスの温度は、約1500℃と非常に高温のガスであるため、前記トランジションピース110は、燃焼ガスの高い温度によって破損しないように、外壁部が圧縮機から供給される圧縮空気によって冷却されなければならない。
【0046】
圧縮機から排出された圧縮冷却空気は、前記衝突スリーブ120に形成された多数の冷却ホール130を通して前記トランジションピースと衝突スリーブとの間の空間部140に進入して、トランジションピースの外壁部とぶつかって外壁部を冷却させる。この時、前記衝突スリーブの下部に位置した冷却ホールに流入した冷却空気は、衝突スリーブの下部内側に形成されたガイド部200、2200、3200、4200に沿って流れの向きが誘導され、左側冷却ホール130aに流入した冷却空気はトランジションピース110の左側面に、右側冷却ホール130bに流入した冷却空気はトランジションピース110の右側面に配向させられる形で移動する。
【0047】
このように、ガイド部200、2200、3200、4200によってトランジションピース110の側面部に冷却空気が誘導されるにつれ、側面部への空気の流入量が増加する。これによって、流速の増加によって圧力が下降し、衝突スリーブ120の外部流体と対比して低い圧力を形成して衝突スリーブの内部に空気が流入する。結果的に、トランジションピース110の側面部に形成される高温領域の冷却が効率的に行われる。
【0048】
前記トランジションピースと衝突スリーブとの間の空間部140でトランジションピース110の外壁部を冷却させた冷却空気は、燃焼器ライナー50側の空間部に移動してライナーの外壁部も冷却させた後、結果的に、燃焼器内の燃焼ガスと混合される。
【符号の説明】
【0049】
1 燃焼器
50 燃焼器ライナー
52 点火部
100 トランジションピース組立体
110 トランジションピース
120 衝突スリーブ
130 冷却ホール
140 空間部
200 ガイド部
2100 トランジションピース組立体
2200 ガイド部
3100 トランジションピース組立体
3200 ガイド部
4100 トランジションピース組立体
4200 ガイド部