特許第6346324号(P6346324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346324
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】被膜形成鋼棒の生産方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/18 20060101AFI20180611BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20180611BHJP
   B05C 3/09 20060101ALI20180611BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   B05D1/18
   B05D7/14 Z
   B05C3/09
   B05C11/00
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-21801(P2017-21801)
(22)【出願日】2017年2月9日
(62)【分割の表示】特願2012-231393(P2012-231393)の分割
【原出願日】2012年10月19日
(65)【公開番号】特開2017-100131(P2017-100131A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2017年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000201478
【氏名又は名称】前田建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】森嶋 清治
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−211043(JP,A)
【文献】 実開昭48−064462(JP,U)
【文献】 特開平11−197585(JP,A)
【文献】 特開昭51−017234(JP,A)
【文献】 特開平08−335001(JP,A)
【文献】 特開平11−303840(JP,A)
【文献】 特開平10−073118(JP,A)
【文献】 特開2012−014001(JP,A)
【文献】 特開2004−152988(JP,A)
【文献】 特開昭53−064770(JP,A)
【文献】 特開昭58−177176(JP,A)
【文献】 特公昭57−007091(JP,B1)
【文献】 特開平07−155679(JP,A)
【文献】 特開2001−046935(JP,A)
【文献】 特開平03−012262(JP,A)
【文献】 特開2009−101256(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0189909(US,A1)
【文献】 特開平06−182267(JP,A)
【文献】 特開平06−146381(JP,A)
【文献】 実開平06−046079(JP,U)
【文献】 特開2005−107372(JP,A)
【文献】 特開2002−316077(JP,A)
【文献】 特許第6092570(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0100287(US,A1)
【文献】 特開2011−045863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 12/00−13/06
B05C 1/00−3/20
7/00−21/00
B05D 1/00−7/26
B32B 1/00−43/00
E03F 1/00−11/00
H05K 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼棒を回転させながら、塗料に浸漬してから引き上げて周囲に被膜を形成する被膜形成鋼棒の生産方法であって、
前記鋼棒の両端部を保持する保持部と、前記保持部の少なくとも一方に回転駆動力を伝達する回転駆動機構とからなる回転装置を備える鋼棒の被膜形成装置で、前記保持部をほぼ水平方向に複数組並べて配置して、前記ほぼ水平方向に複数組並べて配置した前記保持部により両端部で保持された複数本の前記鋼棒を浸漬させて前記被膜を形成するための塗料を入れた塗料槽と、前記塗料槽の下方に配置したヒーターと、前記回転装置と前記塗料槽とを上下方向に相対移動させる昇降装置と、を備える鋼棒の被膜形成装置を用い、
前記ほぼ水平方向に複数組並べて配置した前記保持部により両端部で保持された複数本の前記鋼棒を、前記回転装置で同時に回転させながら、前記昇降装置で前記塗料槽と前記回転装置を上下方向に相対移動させて、前記塗料槽の塗料に前記鋼棒を浸漬してから前記鋼棒を前記塗料から引き上げて乾燥させ、
前記昇降装置による前記塗料槽と前記回転装置の上下方向への相対移動を繰り返して、前記鋼棒の前記塗料への浸漬と前記塗料から引き上げての乾燥を繰り返すことで、前記鋼棒の周囲に所定厚の前記被膜を形成した被膜形成鋼棒を生産することを特徴とする被膜形成鋼棒の生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被膜形成鋼棒の生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボックスカルバート工の連結継手として鋼棒が用いられる(特許文献1、2等参照)。
このようなボックスカルバート工の連結継手鋼棒において、国上交通省発注工事では防錆・防水のために厚さ1mmのアスファルト系被膜の仕様となっている。
そのアスファルト系被膜の形成は、鋼棒に刷毛で塗って、アスファルトを乾燥させながら1本ずつ所定の厚さになるまで重ね塗りを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−324461号公報
【特許文献2】特開平11−61955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、液だれしないよう乾燥を待ちながら重ね塗りをするため、所定の厚さを満足するまでに時間が掛かる。
しかも、手塗りのため、塗膜厚さに均等性を欠き、過剰に塗り重ねるために、材料のロスが多い。
そして、塗膜厚さに信頼性を欠くため、品質管理の頻度を増やさなければならない。
以上のことから、アスファルト材料費及び労務費にロスが多く、製造コストが高くなっている。
【0005】
本発明の課題は、鋼棒の被膜形成を量産化して、被膜厚さの信頼性を向上し、コストダウンを図ることである。
さらに、本発明は、被膜材料のロスを抑えて、よりコストダウンを図ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、本発明は、
鋼棒を回転させながら、塗料に浸漬してから引き上げて周囲に被膜を形成する被膜形成鋼棒の生産方法であって、
前記鋼棒の両端部を保持する保持部と、前記保持部の少なくとも一方に回転駆動力を伝達する回転駆動機構とからなる回転装置を備える鋼棒の被膜形成装置で、前記保持部をほぼ水平方向に複数組並べて配置して、前記ほぼ水平方向に複数組並べて配置した前記保持部により両端部で保持された複数本の前記鋼棒を浸漬させて前記被膜を形成するための塗料を入れた塗料槽と、前記塗料槽の下方に配置したヒーターと、前記回転装置と前記塗料槽とを上下方向に相対移動させる昇降装置と、を備える鋼棒の被膜形成装置を用いて、
前記ほぼ水平方向に複数組並べて配置した前記保持部により両端部で保持された複数本の前記鋼棒を、前記回転装置で同時に回転させながら、前記昇降装置で前記塗料槽と前記回転装置を上下方向に相対移動させて、前記塗料槽の塗料に前記鋼棒を浸漬してから前記鋼棒を前記塗料から引き上げて乾燥させ、
前記昇降装置による前記塗料槽と前記回転装置の上下方向への相対移動を繰り返して、前記鋼棒の前記塗料への浸漬と前記塗料から引き上げての乾燥を繰り返すことで、前記鋼棒の周囲に所定厚の前記被膜を形成した被膜形成鋼棒を生産することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、鋼棒の被膜形成を量産化して、被膜厚さの信頼性を向上し、コストダウンすることができる。
さらに、被膜材料のロスを抑えて、よりコストダウンすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明を適用した鋼棒の回転装置の一実施形態の構成を示すもので、被膜形成時を示した概略斜視図である。
図2】被膜形成前の鋼棒と本発明による被膜形成鋼棒を並べて示した斜視図である。
図3図1の鋼棒の回転装置の平面図である。
図4図3の鋼棒の回転装置の正面図である。
図5図4の鋼棒の回転装置の側面図である。
図6】実施形態2の鋼棒の回転装置及び塗料槽等の平面図である。
図7図6の鋼棒の回転装置及び塗料槽等の正面図である。
図8図7の鋼棒の回転装置及び塗料槽等の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は本発明を適用した鋼棒の回転装置の一実施形態の構成を示すもので、Rは丸い鋼棒、1は鋼棒Rの回転装置、2は作業台、3は鋼棒Rの一端部を保持する保持部、4は鋼棒Rの他端部を保持する保持部、5は回転駆動機構である。
【0012】
図示のように、鋼棒Rの回転装置1は、作業台2の上に、その一側に沿って鋼棒Rの一端部を各々保持する複数(図示例では10個)の保持部3を水平方向に等間隔あけて並べて備えるとともに、他側に沿って鋼棒Rの他端部を保持する複数の保持部4を一側の保持部3と対向させて備えている。そして、一側の各保持部3に回転駆動力をそれぞれ伝達する回転駆動機構5を備えている。
【0013】
図2は鋼棒Rを示すもので、図示しないボックスカルバートを連結する継手として用いられる鋼棒Rは、図2上部に示すように、両端部に雄ねじ部nをそれぞれ有している。
この鋼棒Rは、その両端部の雄ねじ部nを除き、本発明の被膜形成方法によって、図2下部に示したように、周囲に防錆・防水用のアスファルト系塗料で厚さ1mm程度の被膜cが形成された被膜形成鋼棒となる。
【0014】
図3から図5は鋼棒Rの回転装置1の詳細を示す三面図で、一側の保持部3は、鋼棒Rの端部の雄ねじ部nを通す鞘管31の先端に、雄ねじ部nが鋼棒Rの径の相違に応じて各々ねじ込まれる大径ナット32及び小径ナット33を同軸上にその順で溶接等にて固定して構成されている。
【0015】
また、他側の保持部4は、鞘管41により構成されている。
【0016】
なお、両側の鞘管31・41は、作業台2の上部に両側部に沿って各々固定されたラック21の上面において、図示例では、水平方向に等間隔あけて並べてそれぞれ回転自在に複数(図示例では10本)備えられている。
【0017】
そして、回転駆動機構5は、作業台2の上部の一側に固定されたモータ51の駆動軸に備えるスプロケット52と、作業台2の上部に軸受され、一側の保持部3の小径ナット33を同軸上に各々溶接等にて固定した複数(図示例では10枚)のスプロケット53と、その複数のスプロケット53を挟んでモータ51のスプロケット52に対向するスプロケット54と、これらスプロケット52・53・54に巻き付けたチェーン55とから構成されている。
さらに、チェーン55の浮き上がりを防止する複数(図示例では2枚)のスプロケット56及び1個のローラ57が設けられている。
【0018】
以上の保持部3・4及び回転駆動機構5を、図4及び図5に示すように、作業台2の上及びその下に上下2段配置して備えている。
そして、この上下2段の回転駆動機構5・5を、図5に示したように、各々のスプロケット53の間にスプロケット53が位置するように互い違いに配置する。これにより、上下2段の保持部3・4が互い違いに配置された構成となっている。
【0019】
次に、以上の鋼棒Rの回転装置1を用いて行う鋼棒Rの被膜形成方法について説明する。
ここで、使用するアスファルト系塗料、例えばゴムとアスファルトを主原料としたエマルジョンタイプの一液性ゴムアスファルト系塗料は、図示しない塗料槽及びヒーター等で予め所定温度に加熱しておく。
【0020】
先ず、実施形態では、20本の鋼棒Rを回転装置1にセットする。
すなわち、作業台2の上下の各ラック21の上面において、鋼棒Rの雄ねじ部nの一方を鞘管41に通してから、雄ねじ部nの他方を鞘管31に通して大径ナット32または小径ナット33のいずれかにねじ込む。
こうして、上下10本ずつで計20本の鋼棒Rを回転装置1に平行にセットする。
【0021】
次に、モータ51の駆動により、スプロケット52及びチェーン55を介してスプロケット53を回転させて、一側の保持部3を同時に回転させる。
これにより、保持部3の大径ナット32または小径ナット33のいずれかに雄ねじ部nをねじ込んだ、上下10本ずつ平行配置された計20本の鋼棒Rが同時に回転する。
【0022】
次に、平行配置で回転する上下20本の鋼棒Rに対し、予め所定温度に加熱されたアスファルト系塗料を、図1に示すように、作業員がスプレーガン6により吹き付けてから乾燥させた後、再度吹き付けて乾燥させる。
この工程を所定の塗膜厚(実施形態では1mm程度)になるまで繰り返す。
【0023】
この塗料吹き付け工程において、鋼棒Rの両端部の雄ねじ部nは、鞘管31、大径ナット32及び小径ナット33と鞘管41とによりそれぞれ覆われて養生・保護される。
【0024】
そして、上段及び下段の各10本ずつの鋼棒Rを、上段の鋼棒Rの間に下段の鋼棒Rが位置するよう互い違いに配置したので、上段の鋼棒Rの隙間から下段の鋼棒Rにアスファルト系塗料を吹き付けて、アスファルト系塗料を無駄なく吹き付けることができる。
【0025】
以上の被膜形成方法により得られる効果は、次のとおりである。
1)吹き付けにより、塗布作業時間を短縮できる。
2)鋼棒Rの回転により被膜cの塗膜厚を均―にできる。
3)鋼棒Rの回転により液だれを抑制し、材料ロスを低減できる。
4)同時に複数(実施形態では20本)の被膜形成鋼棒Rの製作ができる。
5)上段及び下段の鋼棒Rを互い違いに配置したので、塗料を無駄なく吹き付けられる。
【0026】
以上、実施形態の回転装置1を用いて行う鋼棒Rの被膜形成方法によれば、20本の鋼棒Rを平行に並べて同時に回転させながら、その周囲にアスファルト系塗料を吹き付け、乾燥させて防錆・防水用の被膜cを形成するので、鋼棒Rの両端部の雄ねじ部nを除いた周囲への被膜cの形成を量産化して、被膜cの厚さの信頼性を向上し、コストダウンすることができる。
【0027】
さらに、上段及び下段の各10本ずつの鋼棒Rを互い違いに配置して、上段の鋼棒Rの隙間から下段の鋼棒Rにアスファルト系塗料を吹き付けて、アスファルト系塗料を無駄なく吹き付けることができるので、被膜cを形成するアスファルト系塗料のロスを抑えて、よりコストダウンすることができる。
【0028】
(変形例1)
以上の実施形態1においては、保持部を上下方向に互い違いに2段配置したが、保持部を単純に上下2段配置としてもよく、さらに、保持部は1段のみの配置であってもよい。
また、実施形態1では、塗料の吹き付けとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、刷毛による塗料の塗布であってもよい。
さらに、鋼棒の本数、保持部、回転駆動機構の構成、被膜(塗料)の種類等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0029】
(実施形態2)
図6から図8は実施形態2の鋼棒Rの回転装置101及び塗料槽107等の構成を示す三面図で、102は作業台、103は鋼棒Rの両端部を保持する保持部、104はサイドガイド、105は回転駆動機構、106はローラである。
【0030】
図示のように、鋼棒Rの回転装置101は、鋼棒Rの両端部を各々保持する保持部103、作業台102の上に、その一側に沿って鋼棒Rの両端部を各々保持する複数(図示例では10個)の保持部3を水平方向に等間隔あけて並べて、且つ対向させて備えている。そして、両側の各保持部3に回転駆動力をそれぞれ伝達する回転駆動機構105を備えている。
【0031】
保持部103は、作業台102の上の両側に沿って各々固定した平行するサイドガイド104にそれぞれ形成した10本の保持溝141と、その内側に沿って各々設けられて、回転駆動機構105により回転駆動されるローラ106とにより構成される。
すなわち、保持溝141は、鋼棒Rの両端部の雄ねじ部nをその径の相違に応じて保持できる略V字状に形成されている。また、鋼棒Rの両端部の雄ねじ部nは、隣り合う2個のローラ106の間に各々保持されて回転する。
【0032】
回転駆動機構105は次のように構成される。
すなわち、作業台102の上部の一側に固定されたモータ151の駆動軸に備えるスプロケット152と、その上方で作業台102に軸受されたスプロケット153とに歯付きベルト155が巻き付けられている。
【0033】
そして、スプロケット153は長尺軸154に設けられていて、この長尺軸154は作業台102の両側で各々軸受されて、その両端には、作業台102の両側に各々位置するスプロケット156が設けられている。
さらに、作業台102の両側において、このスプロケット156と、作業台102の上部において、水平方向に等間隔あけて並べて軸受された複数(図示例では10枚)のスプロケット157と、その複数のスプロケット157を挟んでスプロケット156に対向するスプロケット158とにチェーン159が巻き付けられている。
【0034】
また、複数並んだスプロケット157には、その同軸上にローラ106が各々固定して設けられている。
鋼棒Rは、作業台102の上の両側のサイドガイド104の略V字状の保持溝141において、スプロケット157と一体に回転するローラ106の隣り合う2個の間に雄ねじ部nが各々保持されて回転する。
【0035】
塗料槽107は、作業台102の上部内方に組み込まれていて、両側部に鋼棒Rを挿入する溝を有している。
この塗料槽107は、作業台102の内部の前後左右に配置したジャッキ108により四隅部で昇降可能に支持されている。このジャッキ108は、実施形態では手動式だが、油圧または電動等による自動式でもよい。
【0036】
さらに、作業台102の内部には、塗料槽107の下方に位置する複数(図示例では左右2台)のヒーター109が配置されている。このヒーター109は、塗料槽107に入れられたアスファルト系塗料を所定温度に加熱するもので、実施形態ではガスヒーターだが、電気ヒーターでもよい。
【0037】
次に、以上の鋼棒Rの回転装置101を用いて行う鋼棒Rの被膜形成方法について説明する。
ここで、塗料槽107内のアスファルト系塗料は、ヒーター109により予め所定温度に加熱しておく。
【0038】
先ず、ジャッキ108を作動させて塗料槽107を下降させた状態で、実施形態では、10本の鋼棒Rを回転装置101にセットする。
すなわち、作業台102上の両側のサイドガイド104の保持溝141に、鋼棒Rの両端部の雄ねじ部nをそれぞれ挿入して隣り合う2個のローラ106の間に各々保持させる。
こうして、10本の鋼棒Rを回転装置101に平行にセットする。
【0039】
次に、モータ151の駆動により、スプロケット152・153、歯付きベルト155、スプロケット156及びチェーン159を介してスプロケット157を回転させて、両側の保持部3を同時に回転させる。
すなわち、ローラ106を全て回転して、両側において、隣り合う2個のローラ106の間に両端部の雄ねじ部nで各々保持した、平行配置された10本の鋼棒Rが同時に回転する。
【0040】
次に、平行配置で回転する10本の鋼棒Rに対し、ジャッキ108を作動させて塗料槽107を上昇させて、塗料槽107の両側の溝に鋼棒Rの両端部の雄ねじ部nを除く部分の略下半部を、塗料槽107内の所定温度に加熱されたアスファルト系塗料に浸漬させてから乾燥させた後、再度浸漬させて乾燥させる。
この工程を所定の塗膜厚(実施形態では1mm程度)になるまで繰り返す。
【0041】
この塗料浸漬工程において、鋼棒Rの両端部の雄ねじ部nは、塗料槽107の両側方に突出して保護される。
【0042】
以上の被膜形成方法により得られる効果は、次のとおりである。
1)浸漬により、塗布作業時間を短縮できる。
2)鋼棒Rの回転により被膜cの塗膜厚を均―にできる。
3)鋼棒Rの回転により液だれを抑制し、材料ロスを低減できる。
4)同時に複数(実施形態では10本)の被膜形成鋼棒Rの製作ができる。
5)塗料に浸漬したので、塗料を無駄なく使用できる。
【0043】
以上、実施形態2の回転装置101及び塗料槽107を用いて行う鋼棒Rの被膜形成方法によっても、前述した実施形態1と同様、鋼棒Rの両端部の雄ねじ部nを除く周囲への被膜cの形成を量産化して、被膜cの厚さの信頼性を向上し、コストダウンすることができる。
【0044】
(変形例2)
以上の実施形態2においては、塗料槽を上下動したが、鋼棒の回転装置を上下動してもよい。
また、塗料槽または鋼棒の回転装置の上下動に代え、浸漬後に塗料槽から塗料をドレーンさせてもよい。この方が装置の構成が簡素でコスト上も有利となる。
さらに、鋼棒の本数、保持部、回転駆動機構の構成、塗料槽の構成等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0045】
R 鋼棒
n 雄ねじ部
c 被膜
1 鋼棒の回転装置
2 作業台
21 ラック
3 保持部
31 鞘管
32 大径ナット
33 小径ナット
4 保持部
41 鞘管
5 回転駆動機構
51 モータ
52 スプロケット
53 スプロケット
54 スプロケット
55 チェーン
56 スプロケット
57 ローラ
6 スプレーガン
101 鋼棒の回転装置
102 作業台
103 保持部
104 サイドガイド
141 保持溝
105 回転駆動機構
151 モータ
152 スプロケット
153 スプロケット
154 長尺軸
155 チェーン
156 スプロケット
157 スプロケット
158 スプロケット
159 チェーン
106 ローラ
107 塗料槽
108 ジャッキ
109 ヒーター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8