特許第6346327号(P6346327)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346327
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】デュプレクサ
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/52 20150101AFI20180611BHJP
   H01P 1/213 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   H04B1/52
   H01P1/213 P
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-34747(P2017-34747)
(22)【出願日】2017年2月27日
(62)【分割の表示】特願2015-528929(P2015-528929)の分割
【原出願日】2013年7月29日
(65)【公開番号】特開2017-139770(P2017-139770A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2017年3月27日
(31)【優先権主張番号】102012107877.7
(32)【優先日】2012年8月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500480274
【氏名又は名称】スナップトラック・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】シュミートハマー, エドガー
(72)【発明者】
【氏名】エラ ユハ
【審査官】 前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0070232(US,A1)
【文献】 特開2007−267319(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0019611(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/078095(WO,A1)
【文献】 特表2008−526155(JP,A)
【文献】 国際公開第03/038995(WO,A1)
【文献】 特表2005−502237(JP,A)
【文献】 特開2002−057593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/52
H01P 1/213
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デュプレクサであって、
1つの第1のハイブリッドと1つの第2のハイブリッドとを備え、当該第1のハイブリッドおよび当該第2のハイブリッドの第1の接続端子が入力接続端子となっており、当該第1のハイブリッドおよび当該第2のハイブリッドの第3の接続端子がアイソレーション端子となっており、当該第1のハイブリッドおよび当該第2のハイブリッドは、90°位相差のある出力をそれぞれの第2の接続端子および第4の接続端子に出力するように構成されており、1つのアンテナ接続端子が当該第1のハイブリッドの第1の接続端子と回路接続されており、
1つの第1の受信フィルターが、前記第1のハイブリッドの前記第3の接続端子と1つの受信接続端子との間に回路接続されており、
1つの第1の送信フィルターが、前記第1のハイブリッドの前記第4の接続端子に回路接続されており、
1つの第2の送信フィルターが、前記第1のハイブリッドの前記第2の接続端子に回路接続され、1つの送信接続端子が前記第2のハイブリッドの前記第1の接続端子に回路接続されており、
1つの第1の電力増幅器(PA)が、前記第1の送信フィルターと前記第2のハイブリッドの第2の接続端子との間に回路接続され、1つの第2の電力増幅器(PA)が、前記第2の送信フィルターと前記第2のハイブリッドの前記第4の接続端子との間に回路接続されており、
1つの第1のマッチングネットワーク(MN)が、前記第1の送信フィルターと前記第2のハイブリッドの前記第2の接続端子との間に回路接続され、1つの第2のマッチングネットワーク(MN)が前記第2の送信フィルターと前記第2のハイブリッドの前記第4の接続端子との間に回路接続されている
ことを特徴とするデュプレクサ
【請求項2】
前記第1の電力増幅器(PA)は、前記第1の送信フィルターと前記第2のハイブリッドの前記第2の接続端子との間に回路接続されており、
前記第2の電力増幅器(PA)は、前記第2の送信フィルターと前記第2のハイブリッドの前記第4の接続端子との間に回路接続されており、
さらに前記デュプレクサは、前記送信接続端子と前記第2のハイブリッドの前記第1の接続端子との間に回路接続された1つの第3の電力増幅器(PA)を備える、
ことを特徴とする、請求項1に記載のデュプレクサ。
【請求項3】
前記第1のマッチングネットワーク(MN)は、前記第1の送信フィルターと前記第2のハイブリッドの前記第2の接続端子との間に回路接続されており、
前記第2のマッチングネットワークは、前記第2の送信フィルターと前記第2のハイブリッドの前記第4の接続端子との間に回路接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のデュプレクサ。
【請求項4】
前記第1のハイブリッドの前記第3の接続端子とグラウンドとの間に1つの抵抗素子をさらに備えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデュプレクサ。
【請求項5】
前記第1および第2のハイブリッドが同一の構造を有し、および/または前記第1および第2の送信フィルターが同一の構造を有することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のデュプレクサ。
【請求項6】
前記受信フィルターと前記受信接続端子との間に回路接続された1つの低雑音増幅器をさらに備えることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のデュプレクサ。
【請求項7】
前記第2のハイブリッドの前記第3の接続端子とグラウンドとの間に回路接続された1つのインピーダンス素子をさらに備えることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のデュプレクサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデュプレクサに関し、たとえばモバイル通信装置用のデュプレクサに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル通信装置におけるデュプレクサは、送信信号路からの大きな出力の送信信号が、受信信号路に侵入できず、むしろアンテナを介して放射されることを確実にするための周波数分離器(Frequenzweichen)である。さらにこのアンテナで受信された信号は、できる限り少ない損失でこの受信信号路に導かれなければならない。
【0003】
このためデュプレクサは大きな絶縁性、すなわち送信信号路と受信信号路との間の良好な分離度を備えなければならない。さらにデュプレクサは大きな選択度、すなわち透過周波数に対する小さな挿入損失および阻止周波数に対する大きな挿入損失を備えなければならない。
【0004】
モバイル通信装置においては、さらに加えて、マッチングされていないアンテナインピーダンスを有するアンテナは、大きな送信電力を必要とし、これによって大きな電流消費を必要とする。このためデュプレクサは、アンテナのミスマッチングがこの送信信号路における送信増幅器の動作を阻害しないように、アンテナと少なくとも送信信号路とを、できるかぎりデカップリングしなければならない。アンテナのミスマッチングに対する送信信号路の不感受性もまた高められなければならない。
【0005】
特許文献1には、インピーダンスマッチングされていないアンテナに対し送信信号路の高い絶縁性,高い選択度,および良好なデカップリングを可能とする回路装置が開示されている。
【0006】
さらに設置面積の小さいデュプレクサを提供することが要求されている。さらに、このようなデュプレクサは安価に製造され、かつ大きな電力耐性(Leistungsvertraglichkeit)を備えていなければならない。また長寿命および良好な線形性も要望されている。
【0007】
デュプレクサとは、デュプレクサ回路の回路素子を含み、かつデュプレクサデバイスとして実現されている技術的製品のことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許公開公報第102010046677A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって本発明の課題は、上記のようなデュプレクサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1に記載のデュプレクサによって解決される。従属項は有利な実施例を提示し、これらの従属項に含まれる特徴および以下に説明する特徴は互いに独立して組み合わせることができ、個別に適合したデュプレクサが得られる。
【0011】
デュプレクサは、1つのアンテナ接続端子,1つの送信接続端子,および1つの受信接続端子を備える。さらにこのデュプレクサは、2つの送信フィルターおよび1つの受信フィルターを備え、さらに第1および第2の90°ハイブリッドを備える。ここでこれら2つのハイブリッドの各々は、それぞれ第1,第2、第3,および第4の接続端子を有する。アンテナ接続端子は、第1のハイブリッドの第1の接続端子と回路接続されている。受信フィルターは、第1のハイブリッドの第3の接続端子と受信接続端子の間に回路接続されている。送信フィルターの1つは、第1のハイブリッドの第4の接続端子と第2のハイブリッドの第2の接続端子との間に回路接続されている。もう1つの送信フィルターは、第1のハイブリッドの第2の接続端子と第2のハイブリッドの第4の接続端子との間に回路接続されている。送信接続端子は、第2のハイブリッドの第1の接続端子と回路接続されている。
【0012】
上記のデュプレクサは、第1の担体基板を有するデバイスを備えてよい。この場合送信フィルターの導電体パターンは、この第1の担体基板上に配設されている。
【0013】
従来のデュプレクサ回路は、送信フィルター,受信フィルター,およびインピーダンスマッチング回路を、これらの回路部品の所望の、また調整された相互作用がデュプレクサの透過特性となるように構成しかつ互いに回路接続するというアイデアに基づいている。具体的には、このインピーダンスマッチング回路は受信フィルターと組み合わされて、送信信号周波数のインピーダンスを変化するように働き、上記の送信信号路と受信信号路との間の良好な絶縁が得られるようにする。
【0014】
これに対して本発明は、送信フィルターおよび受信フィルター、場合によってはマッチング用部品を互いに分離するというアイデアに基づいている。そしてアンテナのミスマッチングが、送信信号路における送信信号増幅器の動作への悪影響が僅かであるか、あるいは全く無いようにする。この分離を達成するため、最初に述べたハイブリッドは、最初に述べたように互いに回路接続される。こうして少なくともこの送信信号路のアンテナミスマッチング不感受性が達成される。
【0015】
特許文献1の回路装置も、同様にフィルターの分離のためのハイブリッド(複数)を備えている。ただし少なくとも3つのハイブリッドおよび4つのシングルフィルターのRFフィルター、すなわち3つのハイブリッドおよび2つの完全なデュプレクサ回路がこのフィルターの分離のために必要となっている。これに対して、本発明のデュプレクサは、このフィルターの分離のために2つのハイブリッドと3つのシングルフィルターのみを必要とする。位相シフトネットワークの実現のために必要なアンテナコイルは、極めて容易に実装される。すなわち本発明は、同等な性能の場合に、50%まで省部品化および省スペース化が可能なデュプレクサを提供するものである。
【0016】
受信周波数では、送信フィルターは反射性であってよい。アンテナによって受信された受信信号は、次に第1のハイブリッドから2つの送信フィルターに出力される。これらの信号はこれらの送信フィルターで反射され、再び第1のハイブリッドを通過してこのハイブリッドの第3の接続端子を介して受信フィルターに到達する。上記の送信接続端子からデュプレクサにカップリングされた、受信周波数の周波数成分を含む信号は、第2のハイブリッドを介して上記の反射性の送信フィルターに導かれて反射され、これらの信号がこの第2のハイブリッドを再び通過してグラウンドへ逃がされる。送信周波数領域の送信信号は、今度は上記の2つの送信フィルターを通過することができ、上記の第1のハイブリッドを通過して、直接アンテナに導かれる。
【0017】
すなわちアンテナと送信接続端子との間には、2つの90°ハイブリッドが回路接続されており、これらのハイブリッドは、ある程度のアンテナミスマッチングに対して要求される送信信号路の不感受性のために必要なデカップリングの動作を行う。受信信号周波数でのフィルターの反射性は、この送信周波数領域の外側の周波数でのデュプレクサの極めて良好な絶縁の作用を生じる。上記の特許文献1の回路装置と比較して、回路接続された部品の数が低減されて、対応する1つのデバイスのデバイス形状寸法、たとえば設置面積や部品高さが低減されている。他方では部品数の減少によって、このデュプレクサの温度上昇が低減され、電力耐性が改善されて寿命が長くなる。さらにこれを用いたデバイスの線形性の改善も得られる。さらにこれを用いたデバイスの製造コストが低減される。一方でこの長い寿命と改善された電力耐性によって、また他方で低減された部品数によって、このデュプレクサの信頼性が高められる。
【0018】
このデュプレクサの1つの実施形態においては、このハイブリッドの第1の接続端子(複数)は、入力接続端子(複数)である。出力接続端子であってよい、第2の接続端子と第4の接続端子の出力信号間には、約90°の位相差がある。
【0019】
この際ハイブリッドとして、4つの接続端子およびこれらの接続端子の2つの間の約90°の位相差を有する全ての電力分配回路(Leistungsteilerschaltungen)に用いられる。
【0020】
これらのハイブリッドは、特に1つの多層基板に集積された信号路と容量性または誘導性の回路部品を備えてよい。
【0021】
1つの実施形態においては、デュプレクサは、第2のハイブリッドの第3の接続端子をグラウンドと回路接続するインピーダンス素子を備える。このインピーダンス素子は抵抗素子であってよく、この抵抗素子を介して、受信周波数での信号が送信信号路からグラウンドに逃がされる。
【0022】
本発明によるデュプレクサの1つの実施形態においては、これらのハイブリッドの各々は、第1の接続端子に印加されるHF電力(HF-Leistung)を等しく分配して、接続端子2および4に出力する。こうしてハイブリッドは、接続端子1,2,および4に対して、少なくとも送信周波数または受信周波数の近傍のHF信号で、3dBの電力分配回路として振る舞う。
【0023】
1つの実施形態においては、2つのハイブリッドおよび/または2つの送信フィルターは、同一の構成を有している。
【0024】
こうしてデュプレクサの開発と最適化のコストが低減される。
【0025】
1つの実施形態においては、受信信号は、第1のハイブリッドから送信フィルターに、接続端子2および4から送信される。これらの受信信号は、送信フィルター(複数)で反射され、第1のハイブリッドの第3の接続端子を介して受信フィルターに送信される。
【0026】
1つの実施形態においては、特にこの送信フィルターの通過帯域にないような送信信号(複数)は、第1のデュプレクサの第3の接続端子で互いに打ち消し合う。場合によって残った部分は、グラウンドに逃がされる。
【0027】
1つの実施形態においては、1つの送信周波数帯における送信フィルターでの定在波比は、1つの受信周波数帯域での受信路における定在波比より小さな変動を受ける。
【0028】
最初に述べたように、2つのハイブリッドは、アンテナがマッチングされていない場合にこのアンテナから送信接続端子をデカップリングする。ここでこのマッチングの程度が、定在波比(英表記:SWR=Standing Wave Ratio)となる。したがってこの定在波比は、送信信号に対して、望ましくない定在波比がどの程度送信信号路における増幅器の大きな出力を必要とするかを示す重要なものである。特にモバイル通信装置では、有限なエネルギー量のみが利用可能であるので、送信信号路における条件を満たす定在波比は特に重要である。
【0029】
本発明は、このような条件を満たす定在波比を可能とするものであり、これにより電力増幅器(Leistungsverstarker)の効率を高めるためのエンベロープトラッキングを有意義に利用することができる。この電源電圧変調では、基本的に送信信号のエンベロープが解析される。このエンベロープが、x軸からの小さな距離を有しているほど、小さなHFパワーが放射される。送信信号路の電力増幅器の電源電圧が低減されると、この電力増幅器はより良い効率で動作し、こうして全体のエネルギーが節約される。
【0030】
このため1つの実施形態においては、本発明によるデュプレクサは、送信電力が送信信号のエンベロープに基づいて制御される制御ループを備える。
【0031】
1つの実施形態においては、本発明によるデュプレクサは、送信接続端子と第2のハイブリッドとの間に回路接続されている電力増幅器を備える。
【0032】
1つの実施形態においては、本発明によるデュプレクサは、同相電力増幅器(In-Phase-Leistungsverstarker)およびクアドラチャ電力増幅器(Quadrature-Leistungsverstarker)を備える。この同相電力増幅器は、上記の第1の送信フィルターと共に、上記のハイブリッド(複数)の間の送信信号路の2つの平行なセグメントの1つとして回路接続されていてよく、これに対しクアドラチャ電力増幅器は、常にそれぞれ別の送信フィルターと共に上記の2つのハイブリッドの間の常に別の平行なセグメントとして回路接続されていてよい。
【0033】
ここでこれら2つの電力増幅器の各々は、従来のデュプレクサ回路と比較して半分のHF電力を取り扱うので、このデュプレクサの線形性が改善される。
【0034】
この線形性は、特にトリプルビート特性およびIMD特性に関して改善される。
【0035】
トリプルビート特性では、3つの信号、たとえば2つの送信信号と1つの受信信号が混合される。これから生成される周波数成分は、受信機における好ましくない信号をもたらす可能性があり、雑音レベルを高くする。
【0036】
IMD(IMD=InterModulation Distortion)は、2つの信号の混合であり、同様に受信周波数での周波数成分が発生する可能性がある。
【0037】
1つの実施形態においては、本発明によるデュプレクサは、第1の電力増幅器、同相電力増幅器、およびクアドラチャ電力増幅器を備える。このデュプレクサは、第3のハイブリッドと、第4のハイブリッドと、スイッチ装置とを備える。ここでこの同相電力増幅器およびクアドラチャ電力増幅器は、ハイブリッド3および4の接続端子2と4との間の平行な信号路に回路接続されている。上記のスイッチ装置は、これらのハイブリッド3および4の第2の接続端子をそれぞれグラウンドに接続するかまたは互いに接続している。
【0038】
このようにしてこれら2つの電力増幅器、同相電力増幅器およびクアドラチャ電力増幅器を組み合わせて、信号路への追加接続あるいは信号路からの分離を簡単に実現する可能性が提供される。
【0039】
1つの実施形態においては、第2のハイブリッドの中心周波数は、1つの送信周波数帯域の中心周波数の方向にシフトされる。これによって送信周波数領域における絶縁のさらなる改善が達成される。
【0040】
本発明によるデュプレクサの1つの実施形態においては、ハイブリッドの少なくとも1つは、カップリングされたトランスを備える。こうして一方では、2つの出力接続端子に出力される電力の比を容易に調整することができる。また他方では、このハイブリッドと回路接続された回路部品間のインピーダンスマッチングを容易に得ることができる。
【0041】
本発明によるデュプレクサの1つの実施形態においては、送信フィルターおよび受信フィルターは、音響波で動作する。ここでフィルターとしては、音響表面波(英語:Surface Acoustic Wave,SAW),ガイド音響表面波(英語:Guided Bulk Acoustic Waves,GBAW),および音響体積波(英語:Bulk Acoustic Waves,BAW)で動作するフィルターが用いられる。このようなフィルターは、小さな形状寸法のシングルフィルターが製造可能であるため、デュプレクサデバイスに適合したとりわけ小さなサイズを可能とする。このフィルターおよび/またはハイブリッドを互いに相対的に適切に配置することにより、さらに小さなサイズのデュプレクサを得ることができる。
【0042】
1つの実施形態においては、このデバイスは追加的に、インダクタンス素子を備え、たとえばアンテナインダクタンスとして備える。
【0043】
本発明によるデュプレクサは、送信側または受信側が、それぞれシングルエンド、すなわちグラウンドに対し非対称に駆動されてよく、あるいはバランス、すなわちグラウンドに対し対称に駆動されてよい。このデュプレクサが受信側でシングルエンドあるいはバランスで駆動されるかは、ハイブリッドの数に対して何ら関係がない。これら両方の場合で、2つのハイブリッドのみを必要とする。
【0044】
本発明によるデュプレクサは、位相シフタネットワークの実現のための回路部品、たとえば送信信号路と受信信号路との間のインピーダンスマッチング用の部品、たとえばアンテナコイルを用いた部品を備えてよい。さらにこのデュプレクサは、信号品質を改善するために、送信信号路に並列コイルを備えてよい。この並列コイルによって送信信号路における電力増幅器のマッチングの改善が達成される。
【0045】
受信信号はハイブリッドを通って伝送され、0°と90°とにシフトされた信号に分割される。これらの信号は、送信フィルターで反射され、ハイブリッドによって再び0°と90°で位相変化されて加算される。全体としてこの加算の際に、第1の信号に対しては0°の位相状態が得られ、第2の信号に対しては180°の位相状態が得られる。
【0046】
このデュプレクサをLTE(LTE=Long-Term Evolution)システムに用いることが可能である。1つの送信フィルターの代わりに2つの送信フィルターが存在しているので、それぞれのフィルターが処理する電力は、半分に減少される。特に、電力超過の可能性およびその大きさを表すクレストファクタが大きいLTEシステムでは、その寿命が大幅に長くなる。
【0047】
デュプレクサの種々の回路部品の入力インピーダンスおよび出力インピーダンスとしては、35Ω,50Ω,および100Ωが用いられる。ここでアンテナは50Ωで接続されていてよい。バランス実装された信号ラインは、100Ωのインピーダンスを有してよい。電力増幅器は、たとえば7Ωの出力インピーダンスを有してよい。送信フィルターは、35Ωの入力インピーダンスを有してよい。トランスネットワークは、電力増幅器の出力インピーダンスを送信フィルターの入力インピーダンスに変換することができる。
【0048】
具体的には、トランスネットワークは、一段で実装されていてよい。送信フィルターの入力インピーダンスの35Ωを出力インピーダンスの50Ωに変換することはこの送信フィルター自身によって行うことができる。同様に受信フィルターは、50Ωの100Ωへのインピーダンス変換を自分自身で行うことができる。
【0049】
以下のような送信周波数(TX)および受信周波数(TX)の使用が可能である。

【0050】
帯域5,6,8,12,13,14,17,18,19,20および26の送信周波数は、相対的に近接している。送信接続端子側のハイブリッドは、2つ以上の周波数帯が考慮されるように実装されてよい。電力増幅器は通常多少広帯域で動作するので、ここで1つの電力増幅器で複数の周波数帯域をカバーすることができ、こうして高効率とすることができる。具体的には、固定された周波数帯域を有する送信フィルターの代わりにチューニング可能な送信フィルターを用いることが可能である。こうして少ない送信フィルターによって、多数の周波数帯域すなわち広い周波数領域をカバーすることができる。
【0051】
対応する小さな構造のデバイスが、以下のような特徴を有することによって得られる。
【0052】
導電体パターン、たとえば送信フィルターは、担体基板の第1の面上に配設されていてよい。受信フィルターおよびインダクタンス素子の導電体パターンは、たとえば第1の担体基板の第2の面上または第2の担体基板上に配設されている。
【0053】
1つの実施形態においては、ハイブリッドの少なくとも1つは、IPD(集積された受動的デバイス、Integriertes Passives Schaltungselement、英語:Integrated Passive Device)またはカップリングされたトランス(複数)として実装されている。
【0054】
このハイブリッドのIPDもカップリングされたトランスも、容易に、しかしながら効率的に、多層基板に適宜集積することができ、基板の上または基板の下または基板内に配設されている他の回路部品と回路接続することができる。
【0055】
1つの実施形態においては、少なくとも1つのハイブリッドの第2の接続端子は、デバイス内またはデバイス上に配設された抵抗素子を介してグラウンドと回路接続されている。
【0056】
1つの実施形態においては、送信フィルターおよび受信フィルターは、2つの基板と共にサンドイッチ構造で配設されている。ハイブリッドの配線パターンは、別の基板に組み込まれている。このサンドイッチ構造およびこの別の基板は、導電性の接続部(複数)を介して回路接続されている。サンドイッチ構造をもちいることにより、高い集積度が得られる。このサンドイッチ構造とこの別の基板との組み合わせにより、集積密度がさらに大きくなる。この大きな集積密度のために、種々の回路素子が非常に密集して配設されるが、最初に述べたハイブリッドによるフィルターの回路接続および分離のおかげで極めて良好な絶縁が得られる。
【0057】
1つの実施形態においては、本発明によるデュプレクサは、第1,第2,またはもう1つの別の基板内または基板上に配設されている電力増幅器を備える。とりわけ、半導体技術に基づいた能動的な回路部品を受動的な回路部品と共に、1つの同じデバイスおよび/または基板に一緒に集積化することが可能である。SESUB(Silicon-Embedding Substrate)集積化技術は、容量性素子であるコンデンサ,誘導性素子であるインダクタンス,および,バリスタまたはSAWフィルターデバイスおよびBAWフィルターデバイスのような受動的電子デバイスの集積だけでなく、半導体デバイスの集積も可能とする。SESUBを用いて、特に、多数の入力接続端子および出力接続端子を有する高度に集積されたASICチップ(ASIC=Application-Specific Integrated Circuit)およびコントローラチップも、直接基板層に埋設することができる。さらに複数のデバイスを、1つの基板上にまたは1つの基板積層体上に配設して回路接続することができる。こうして小さなサイズのモジュールおよびSIP(英語:System In Package)が実現される。具体的には、従来のデバイスと比較して部品高さを約35%低減することができる。
【0058】
1つの実施形態においては、本発明によるデュプレクサは、たとえばインピーダンスマッチングのための、少なくとも1つのマッチングネットワークを備える。このマッチングネットワークは、上記の第1,第2,またはもう1つに別の基板内にまたは基板上に配設されていてよい。
【0059】
1つの実施形態においては、本発明によるデバイスは、1つの回路基板、たとえば外側の周辺回路上に配設され、この回路基板と接続されかつ回路接続される。
【0060】
このようなデュプレクサは、モバイル通信装置の既に存在している周辺回路、たとえばフロントエンド回路に容易に組み込むことができる。
【0061】
1つの実施形態においては、本発明によるデュプレクサは、DSSPパッケージ技術で製造されている。DSSPはDie-Sized SAW Packageの略であり、これによりCSSPデバイス(CSSP=Chip-Sized SAW Package)と比較して85%まで小型化されたデバイスが可能である。
【0062】
以下では、本発明によるデュプレクサを、実施形態例とこれに付随する概略図を参照して詳細に説明する。これらの図で示す特徴は、個別にあるいは組み合わせて使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】本発明によるデュプレクサの1つの単純な実施形態を示す。
図2】本発明によるデュプレクサの別の1つの構成を示す。
図3】送信信号路に2つの増幅器を有する本発明によるデュプレクサの1つの構成を示す。
図4】送信信号路にマッチングネットワークを有する本発明によるデュプレクサの1つの構成を示す。
図5】スイッチ装置の第1のスイッチ設定を有する本発明によるデュプレクサの1つの構成を示す。
図6】スイッチ設定を変更した図5に示すスイッチ装置の構成を示す。
図7】フィルターとハイブリッドの可能な接続構造を示す。
図8】2つのチップ基板のサンドイッチ構造を示す。
図9】高い集積度を有するデュプレクサの1つの構成を示す。
図10】0°/90°の3dBハイブリッドの構成を示す。
図11】熱伝導構造を有するデュプレクサの1つの構成を示す。
図12】高い集積度を有するデュプレクサのもう1つの構成を示す。
図13】2つの0°/90°の3dBハイブリッドが並んだ構成を示す。
【0064】
図1は、第1のハイブリッドHYB1および第2のハイブリッドHYB2を有する本発明によるデュプレクサの1つの基本形態を示す。第1のハイブリッドHYB1の第2の接続端子IIと第2のハイブリッドHYB2の第3の接続端子IIIとの間には、送信フィルターTFが回路接続されている。第1のハイブリッドHYB1の第3の接続端子IIIと第2のハイブリッドHYB2の第2の接続端子IIとの間には、もう1つの送信フィルターが、上記の送信フィルターTFと並列に回路接続されている。これら2つの送信フィルターは、このように送信信号路TXPの並列なセグメントで回路接続されている。その第1の接続端子Iを介して、この第1のハイブリッドHYB1はアンテナANTと回路接続されている。この送信信号路TXPには、この第1のハイブリッドHYB1の第3の接続端子IIIと、受信接続端子RTとの間に送信フィルターRFが回路接続されている。
【0065】
第2のハイブリッドHYB2の第1の接続端子Iは、送信接続端子TTと回路接続されている。第2のハイブリッドHYB2の第3の接続端子IIIは、インピーダンス素子を介して、たとえば抵抗素子REを介して、グラウンドGNDと回路接続されている。
【0066】
このようなデュプレクサDUを用いて、最初に述べた本発明の課題が解決される。
【0067】
図2は、2つの送信フィルターTFがバンドパスフィルターBPF1,BPF2として構成されている本発明によるデュプレクサの1つの実施形態を示す。受信信号路と回路接続されている第1のハイブリッドHYB1の接続端子は、インピーダンス素子IEを介してグラウンドと回路接続されている。受信フィルターも、同様にバンドパスフィルターBPF3として構成されている。ここでこの受信フィルターBPF3は、バラン(BALUN,Balanced/Unbalanced Converter)として用いられてよく、バランス入力される受信信号が低雑音増幅器LNA(英語:Low-Noise Amplifier)にさらに導かれ、こうしてこの受信接続端子RTはバランス実装されている。送信接続端子TTと第2のハイブリッドHYB2との間には、電力増幅器PA(英語:Power Amplifier)が回路接続されている。
【0068】
図3は、本発明によるデュプレクサの1つの構成を示し、ここでは図2の電力増幅器PAの代わりまたは追加として、送信信号路の2つの並列のセグメントにそれぞれ別の電力増幅器が回路接続されている。このように送信信号路の1つのセグメントは、1つの同相電力増幅器を備え、これに対しもう1つのセグメントは1つのクアドラチャ電力増幅器PAQを備える。これら2つの増幅器PAI,PAQと第1のハイブリッドHYB1との間には、適合した送信フィルターBPF1,BPF2が回路接続されている。しかしながらこれらの増幅器は、これらのフィルターと第1のハイブリッドとの間に回路接続されていてもよい。
【0069】
図4は、本発明によるデュプレクサの1つの構成を示し、ここでは送信信号路に並列に設けられたセグメントに、インピーダンスマッチングのためのマッチングネットワークMN1,MN2が配設されており、たとえば第2のハイブリッドHYB2と送信フィルターBPF1,BPF2との間、またはこれらの送信フィルターと第1のハイブリッドHYB1との間に配設されている。
【0070】
図5は、送信信号路の任意の追加部分を示し、この追加部分は送信接続端子TTと第2のハイブリッドHYB2との間に回路接続されてよい。この任意の追加部分は第3のハイブリッドHYB3および第4のハイブリッドHYB4を備え、これらの間には並列の部分路にそれぞれ電力増幅器PAI,PAQが回路接続されている。第3のハイブリッドHYB3の1つの接続端子および第4のハイブリッドHYB4の1つの接続端子は、スイッチ装置SWAと回路接続されている。このスイッチ装置SAWは、2つのスイッチを備え、それぞれ少なくとも2つの切替状態を有してよい。1つの切替状態に対応して、これらの2つのハイブリッドHYB3,HYB4は、それぞれ1つの抵抗素子REを介してグラウンドに回路接続される。この別の切替状態では、これらのハイブリッドHYB3,HYB4の接続端子は互いに接続される。こうしてこの同相電力増幅器PAIおよびクアドラチャ電力増幅器PAQのバイパスが得られる。送信電力が大きい場合には、これらの電力増幅器PAI,PAQが必要とされる。これら2つのハイブリッドHYB3およびHYB4のそれぞれの接続端子は、終端抵抗を介してグラウンドと接続される。この終端抵抗は、抵抗素子REで示されている。増幅される信号は、次にまず第1の電力増幅器PA1によって増幅される。続いてこの増幅された信号は、第4のハイブリッドHYB4を通って分割され、それぞれの信号が増幅される。続いてこうして増幅された信号は、第3のハイブリッドHYBを通って再び1つの単一の信号に合体され、たとえば図1に示す第2のハイブリッドにさらに導かれる。
【0071】
必要とされる電力が小さい場合には、これらのハイブリッドHYB3,HYB4のそれぞれの2つの接続端子は、スイッチ装置SWAを介して互いに回路接続される。電力が小さい場合には、これらの電力増幅器PAI,PAQは停止されてよく、この場合これらは大きな反射性を有するものとなる。第1の電力増幅器PA1から出力される電力は、これらの電力増幅器PAI,PAQで反射されて、第4のハイブリッドHYB4の絶縁ポートを介し、そして第3のハイブリッドHYB3の絶縁ポートを介して、これらの電力増幅器PAI,PAQの出力に送られる。そこからこの電力は再び反射され、ハイブリッドHYB3の接続端子を介して通常通りの、たとえば図1に示す第2のハイブリッドHYB2の方向に送られる。
【0072】
図5は、電力増幅器PAI,PAQが第1の電力増幅器PA1を補助する場合を示している。図6は、これらの電力増幅器PAI,PAQが停止されており、第1の電力増幅器PA1から出力される電力が第4のハイブリッドHYB4によって直接第3のハイブリッドHYB3にカップリングされる場合を示している。
【0073】
図7は、ハイブリッドHYB1,HYB2,送信フィルターTFとこれに隣接した受信フィルターRFの可能な構成を示す。特許文献1の回路装置と比較して、回路部品の数が低減されているので、これらの回路部品を1つの第1の基板の面上で同一平面で配設すれば、小型化したデュプレクサデバイスを得ることができる。
【0074】
図8は、1つの第1の基板SU1および1つの第2の基板SU2を有する1つのデュプレクサデバイスの断面を示す。第1の基板SU1および第2の基板SU2は、連結されて1つのサンドイッチ構造を形成している。送信フィルターTXのフィルターパターンFSは、これらの基板の1つ、たとえば第1の基板SU1の上面に配設されていてよい。受信フィルターRXのフィルターパターンFSは、この第1の基板に向いた、第2の基板SU2の面に配設されていてよい。ハイブリッドHYBの回路素子、たとえばインダクタンス素子INDは、同様に、この第1の基板に向いた、第2の基板SU2の面に配設されていてよい。1つのハイブリッドまたは複数のハイブリッドHYBの回路素子は、具体的にはカップリングされたトランスのコイルであってよい。この図8に示すデバイスは、さらに複数のバンプ接続部BUを備えてよく、これらのバンプ接続部によってこのサンドイッチ構造は、このデュプレクサの他の回路部品と回路接続されていてよい。
【0075】
同様に図9は、1つのデュプレクサデバイスの実施形態を例示し、このデュプレクサデバイスでは、上記の第1の基板SU1および上記の第2の基板SU2を含むサンドイッチ構造がバンプ接続部を介して、さらなる第3の基板SU3と接続されかつ回路接続されている。この第3の基板SU3は、集積された回路素子および/またはさらなる回路素子を有する多層基板であってよい。同様にこの第3の基板SU3は、集積化された受動的な回路部品IPD1,IPD2を備えてよい。これらの回路部品IPD1,IPD2は、この基板SU3の中間層に配設されていてよく、貫通接続部TPを介して別の回路部品と回路接続されていてよい。これらの基板SU1,SU2,SU3を含むデバイスは、さらにもう1つの基板または1つの回路基板CBと接続されかつ回路接続されていてよい。ここでこれらの基板SU1,SU2,SU3のそれぞれおよびとりわけ第3の基板SU3は、SESUB技術または任意の他の集積化技術を用いてよい。具体的には必要とされるハイブリッドは、IPDとして1つのSESUB基板に集積されていてよい。こうしてこのデュプレクサは極めてコンパクトに構成できるのにかかわらず、良好な絶縁を達成することができる。特にこのハイブリッドを含むデュプレクサは、ハイブリッドを有しない標準的なデュプレクサより目立たない程度に大きいものを得ることができる。
【0076】
図10は、IPD技術を用いた、0°/90°3dBハイブリッドの例示的な実施形態を示す。このハイブリッドは、少なくとも2つの電磁的に互いにカップリングされたコイルを備え、これらのコイルはカップリングのために重なり合って配設されている。このハイブリッドは、各接続面T1,T2,T3,T4を介して接続可能である。
【0077】
具体的には、IPD技術を用いて、1つのSESUB基板に形成されたハイブリッドを隣接して配設することができる。
【0078】
同様に終端抵抗をIPD技術で実装することも可能である。
【0079】
2つのハイブリッドを1つにまとめたハイブリッド(Zwei-in-eins-Hybriden)のコイル(複数)は、この際互いに任意の方向に向いていてよい。これらのハイブリッドは、同じように隣接して配設されてもまたは鏡面対称(spiegelverkehrt)に配設されていてよく、たとえば軸対称または点対称で隣接して配設されていてよい。
【0080】
図11は、第3の基板SU3が、集積された回路部品を有する多層基板として実装されているデュプレクサデバイスの構成を示す。同様にこの第3の基板は、IPD技術を用いたIPD1,2に、少なくとも1つの電力増幅器PAおよび1つまたは2つのハイブリッドを備える。電力増幅器PAは、半導体素子(複数)を備えており、これら半導体素子では熱損失が発生し得るが、この熱は熱伝導性の貫通接続部(複数)(英語:thermal bias,TV)を介して回路基板CBに逃がすことができる。この回路基板CBはメインボードであってよい。この熱的貫通接続部TVを通って排出される熱は、この熱の放散のために、大面積であるいは厚く設けられたメタライジング部に与えることができる。この際この熱は具体的には外部の周辺回路、たとえば回路基板CBに逃がすことができる。
【0081】
図12は、1つのデュプレクサデバイスの構成を示し、このデュプレクサでは、第3の基板SU3における1つの回路ブロックが1つの電力増幅器PA,IPD技術を用いた少なくとも1つのハイブリッド,および1つのマッチングネットワークMNを備える。
【0082】
もう1つの別の回路ブロックには、IPD技術を用いた1つのアンテナマッチング回路ANT−IPDが配設されている。こうしてPA側の第2のハイブリッドは、電力増幅器と同じチップ上に自動的に実現される。
【0083】
ハイブリッドのインピーダンスが電力増幅器のインピーダンスとほぼ等しくならなけらばならない場合は、インピーダンス変換ネットワークが設けられる。このインピーダンス変換ネットワークは、直接電力増幅器のチップ上で実現されてよく、または分離されたチップとして実現されてよい。
【0084】
ハウジングに、デュプレクサの音響部分のDSSPタイプのハウジング技術を用いてよい。
【0085】
図13は、インダクタンス素子(複数)を有する2つの0°/90°ハイブリッドHYBの例を示し、これらはIPD技術を用いて製造され、かつ隣接して配設されている。以上により良好な電気的特性を有する非常にコンパクト構造が可能となる。
【0086】
本発明によるデュプレクサは、上記の実施形態の1つまたは図に示された例に限定されない。これらの実施形態およびそれらの特徴および、たとえばさらなるハイブリッド等のさらなる回路部品,さらなる増幅器,さらなる受動的回路部品,およびさらなる基板を含むような変形例との組み合わせも本発明の実施形態例となるものである。
【符号の説明】
【0087】
ANT : アンテナ
AT : アンテナ接続端子
BPF1,BPF2: バンドパスフィルター
BPF3 : バンドパスフィルター
BU : バンプ接続部
DU : デュプレクサ
FS : フィルターパターン
GND : グラウンド(Masse)
HYB : ハイブリッド
HYB1,HYB2 : 第1,第2のハイブリッド
HYB3,HYB4 : 第3,第4のハイブリッド
IE : インダクタンス素子
IND : インダクタンス素子
IPD1,IPD2 :集積化された複数の受動的回路部品
LNA : 低雑音増幅器
MN1,MN2 : インピーダンスマッチングネットワーク
PA : 電力増幅器
PAI : 同相電力増幅器
PAQ : クアドラチャ電力増幅器
RE : 抵抗素子
RF : 受信フィルター
RT : 受信接続端子
RXP : 受信信号路
SU1,SU2,SU3 : 基板
SWA : スイッチ装置
T1,T2,T3,T4 : カップリングされたトランスの接続端子
TF : 送信フィルター
TM : 熱の排出のためのメタライジング部
TT : 送信接続端子
TV : 熱的ビア
TXP : 送信信号路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図12
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