(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6346330
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】粉砕機
(51)【国際特許分類】
B02C 13/18 20060101AFI20180611BHJP
【FI】
B02C13/18 Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-44648(P2017-44648)
(22)【出願日】2017年3月9日
【審査請求日】2017年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】592160788
【氏名又は名称】株式会社グローエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100078695
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健太郎
【審査官】
佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−179297(JP,A)
【文献】
特開2012−061376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 13/00−13/31
B01C 17/00−17/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕形成用の流路に羽根体を有する回転体を設置するものであり、回転体の羽根体に流入口スリットと流出口スリットを形成し、この流入口スリットと流出口スリットの間をこれらスリットの幅よりも広がる空間であるチャンバーとして形成し、該チャンバーは円筒形で、鉛直方向断面の中央部に向かい漸次拡径する楕円形であることを特徴とする粉砕機。
【請求項2】
流入口スリットと流出口スリットおよびチャンバーは、回転体を2枚の板を組み合わせることにより、板相互の隙間として形成する請求項1記載の粉砕機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品用素材から工業素材まで、あらゆる素材のせん断・磨砕・微粒化・分散・乳化・フィブリル化が同時に行える用途範囲の広い粉砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
微粉化を行なう粉砕機としては種々のものがあり、機械式の粉砕機としては渦流式粉砕機やターボ式粉砕機等があるが、下記特許文献は繊維質材料用の機械式粉砕機であって、回転軸と、外周面における回転方向のピッチが8mm〜40mmである複数の羽根を有する、前記回転軸に固定されるロータと、内周面に複数の溝を有し、この内周面が前記ロータの外周面に対して所定の間隙を有する状態で、前記ロータの外側に配置されるライナと、前記ロータの回転手段とを有するものである。
【特許文献1】特開2002−1141号公報
【0003】
この特許文献1の機械式粉砕機によれば、羽根44の外周面におけるピッチP(以下、羽根ピッチPとする)を8mm〜40mmとすることにより、小麦フスマ等の繊維質材料を良好に粉砕して、100μm以下の微粉末にすることができ、各種の食品への好適な添加を可能にできるとある。
【0004】
下記特許文献は簡単な設備で効率良くバイオマス材料を微粉体化することができるバイオマス材料粉砕機、及びそれを用いるバイオマス材料粉砕装置並びに粉砕方法として提案されたものである。
【特許文献2】特開2012−61376号公報
【0005】
この特許文献2はハンマーやローラなどによって衝撃を与えたり、摺り潰したりしてバイオマス材料を微粉体化するのではなく、バイオマス材料を空気中で繰り返し集合・分散させて、バイオマス材料同士を繰り返し衝突させることによって、バイオマス材料を効率的に微粉体化するもので、図
7に示すように粉砕すべきバイオマス材料を受け入れる粉砕容器2と、前記粉砕容器2内に回転可能に支持された回転羽根3a、3bとを備え、前記回転羽根は、互いに間隔をあけて対向する2枚1対の集合板を少なくとも1対有しており、前記2枚1対の集合板は、回転羽根の回転方向前方に向かって互いの間隔が拡開している部分を有している。
【0006】
4は回転羽根3a、3bの回転軸、5は例えば電動機などの駆動源、6は粉砕すべきバイオマス材料の入口、7は粉砕されたバイオマス材料の出口である。
【0007】
集合板を有する回転羽根を粉砕容器内で回転させると、その回転に伴って粉砕容器内には気流が発生し、この気流に乗ってバイオマス材料は舞い上がり、回転する2枚の集合板間の互いの間隔が拡開している部分を、前方から後方へと通過する。この拡開部の通過に際し、バイオマス材料は、2枚の集合板に沿って拡開部後方の間隔の狭い箇所へと集合し、次いで、2枚の集合板間を抜け出ると、より広い空間へと分散する。
【0008】
集合板を有する回転羽根は高速で回転するので、バイオマス材料は、2枚の集合板間の互いの間隔が拡開している部分を繰り返し通過し、集合と分散を繰り返すことによって、バイオマス材料同士が互いに衝突して、より小さなサイズへと粉砕されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献1の機械式粉砕機では羽根ピッチを限定するものであり、羽根ピッチPが40mmを超えると繊維質材料の粉砕効率が悪くなり、100μm以下に粉砕された繊維質の微粉末を良好な効率で得ることができない。逆に、羽根ピッチPは、小さすぎても効率は低下し、8mm未満では、やはり、良好な効率で、100μm以下に粉砕された繊維質の微粉末を得ることができない。
【0010】
前記特許文献2の粉砕装置は、回転羽根と、この回転羽根で上下に挟まれる2枚1対の集合板をもって粉砕部を構成するものであるが、構造が複雑であり、目詰まりを起こし易く、高速回転に耐えられないおそれもある。
【0011】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、所定部分を繰り返し通過し、集合と分散を繰り返すことによって、材料同士が互いに衝突して、より小さなサイズへと粉砕できることを、効率良く実現できる簡易かつコンパクトな装置としての粉砕機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、粉砕形成用の流路に羽根体を有する回転体を設置するものであり、回転体の羽根体に流入口スリットと流出口スリットを形成し、この流入口スリットと流出口スリットの間を
これらスリットの幅よりも広がる空間であるチャンバーとして形成
し、該チャンバーは円筒形で、鉛直方向断面の中央部に向かい漸次拡径する楕円形であることを要旨とするものである。
【0013】
請求項1記載の本発明によれば、流入口スリットと流出口スリットの間のチャンバーにはここに材料が入ることで衝突が起こり、粉砕されて出て行き、かかるチャンバーを繰り返し通過し、集合と分散を繰り返すことによって、材料が互いに衝突して、より小さなサイズへと粉砕される。
【0014】
そして、チャンバーは回転体の羽根体内部に形成されたものであり、羽根体外部に別部材等を設けて形成するものでなく、羽根体自体の形状で形成できるので、単純構造でかつ堅牢で、高速回転に耐えられるものとなる。また、構造が単純なことでコンパクトで耐久性に富む。
【0015】
また、チャンバーは
円筒形で、かつ、楕円形とすることで材料の集合と分散を無理なく繰り返すことができ、また、流出口スリットの個所で衝突を効果的に惹起することができる。
【0016】
請求項
2記載の本発明は、流入口スリットと流出口スリットおよびチャンバーは、回転体を2枚の板を組み合わせることにより、板相互の隙間として形成することを要旨とするものである。
【0017】
請求項
2記載の本発明によれば、流入口スリットと流出口スリットおよびチャンバーを最小限部材で同時に成形できるものである。
【発明の効果】
【0018】
以上述べたように本発明の粉砕機は、所定部分を繰り返し通過し、集合と分散を繰り返すことによって、材料同士が互いに衝突して、より小さなサイズへと粉砕できることを、効率良く実現できる簡易かつコンパクトなものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の粉砕機の第1実施形態を示す説明図、
図2は同上回転体13部分の斜視図で、図中8は粉砕形成用の流路であり、この粉砕形成用の流路8は一例として材料(原料)投入口9と製品排出口10を有するケーシング11内に形成するものとした。
【0020】
回転体13は粉砕機能を有するものとして羽根体12を有し、粉砕形成用の流路8に設置するものであり、羽根体12に流入口スリット15と流出口スリット16を形成し、この流入口スリット15と流出口スリット16の間を
これらスリットの幅よりも広がる空間である円筒形のチャンバー(隔室)17として形成した。
【0021】
流入口スリット15は粉砕形成用の流路8の流入方向に開口するものであり、流出口スリット16は粉砕形成用の流路8の流出方向に開口する。
【0022】
また、
円筒形のチャンバー17はこれら流入口スリット15と流出口スリット16間に位置するものとして
鉛直方向断面の中央部に向かい漸次拡径する楕円形の断面のものが好適である。
【0023】
図示の例は、羽根体12は回転体13の中心から十字方向に突出する直方体の細長体であり、流入口スリット15と流出口スリット16はこの細長体の側方で長さ方向に対向して形成する。
【0024】
前記
円筒形のチャンバー17は羽根体12の内側を削って凹部としてこれを形成した。
【0025】
製造の容易性を考慮して、回転体13は2枚の板部材を組み合わせることにより、流入口スリット15と流出口スリット16およびチャンバーは17を同時形成できるものであり、2枚の板部材のうちの片側の部材を
図3に示すと中心の回転軸が挿通する軸挿孔14を形成したボス部18から羽根体構成部材を4方に突き出るように突設した。
【0026】
羽根体12が4枚の場合はボス部18は正方形であり、その側方の面にU字形にえぐれた凹部を形成した前記羽根体構成部材が4方に突き出るように突設される。
【0027】
このようにして、
図3に示す片側の部材を前後に組み合わせて
図2に示すような回転体13を構成すると、前記羽根体構成部材同士の隙間が前記流入口スリット15と流出口スリット16を形成し、前記羽根体構成部材のU字形にえぐれた凹部が合わさって断面
楕円形のチャンバー17を形成する。
【0028】
片側の部材相互の結合は中央部の溶接もしくはねじ止め、その他の結合手段で行う。
【0029】
なお、羽根体12の先端面は閉鎖面としてもよいが、流入口スリット15と流出口スリット16、チャンバー17が抜ける切り欠きを有したものでもよい。
【0030】
ボス部18に形成する軸挿孔14には回転軸に設けるキーが係合するキー溝19を設けた。
【0031】
図1に示すようにケーシング11にモーター20を取り付け、その回転軸21に回転体13を取り付ける。
【0032】
次に使用法について説明すると、モーター20で回転体13を回転させると、
図4に示すようにチャンバー17の中は減圧となる。
【0033】
材料(原料)は材料(原料)投入口9に投入され、粉砕形成用の流路8を介して製品排出口10から出ていくが、回転体13の羽根体12の内部を通過し、流入口スリット15と流出口スリット16の間の
円筒形のチャンバー17はここに材料が入ることで衝突が起こり、粉砕されて出て行く。
【0034】
図5は本発明の他の実施形態を示すもので、回転体13の数を増やすか、もしくは羽根体12の組み合わせの数を増すことにより、流入口スリット15と流出口スリット16とその間の
円筒形のチャンバー17の数を増やしたものである。
【0035】
図示の例は、片面のみにえぐれた凹部を形成した羽根体構成部材と、両面にえぐれた凹部を形成した羽根体構成部材とを組み合わせて、回転体13の数を増やさずに羽根体12の上下段の数を増やした。
【0036】
次に本発明の効果を試すために行って試験の結果を述べる。モーター20として、マルチミル駆動ベース 三菱3.7kw 2Pを使用した。
(その1)
原料として米を用いた。
周波数:90Hz 5400rpm
回収機:120Hz
分級羽根:8枚
で、原料を手で投入し、4アンペアを超えない様に加減した。発熱はあまり無く粉砕は良好。10μアンダーで粉砕出来た。
【0037】
(その2)
原料として茶葉(茎と葉の混合)を用いた。
周波数:90Hz 5400rpm
回収機:120Hz
分級羽根:8枚
で、原料を手投入し、3.2アンペアを超えない様に加減しながら、350gを30分で投入した。10μアンダーで粉砕出来た。
【0038】
図
6に粉砕された製品の平面図である顕微鏡写真を示す。写真の一目盛りが13μである。
【0039】
(その3)
原料として乾燥よもぎを用いた。
周波数:90Hz 5400rpm
回収機:120Hz
隙間:6mm(流入口スリット15と流出口スリット16)
分級羽根有で綿状の物と粉末の混合になった。
【0040】
(その4)
原料として椎茸を用いた。
周波数90Hz 5400rpm
回収機:70Hz
隙間:7mm(流入口スリット15と流出口スリット16)
分級羽根8枚
で、綿状にならずに微粉になった。10μアンダーで粉砕出来た。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の粉砕機の1実施形態を示す説明図である。
【
図2】本発明の粉砕機の1実施形態を示す回転体部分の斜視図である。
【
図3】本発明の粉砕機の1実施形態を示す回転体構成部材の斜視図である。
【
図5】本発明の粉砕機の他の実施形態を示す説明図である。
【
図6】本発明の粉砕機より得た製品の平面図である。
【符号の説明】
【0042】
1…バイオマス材料粉砕機 2…粉砕容器
3a、3b…回転羽根 4…回転軸
5…駆動源 6…入口
7…出口 8…粉砕形成用の流路
9…材料(原料)投入口 10…製品排出口
11…ケーシング 12…羽根体
13…回転体 14…軸挿孔
15…流入口スリット 16…流出口スリット
17…チャンバー 18…ボス部
19…キー溝 20…モーター
21…回転軸
【要約】
【課題】所定部分を繰り返し通過し、集合と分散を繰り返すことによって、材料同士が互いに衝突して、より小さなサイズへと粉砕できることを、効率良く実現できる簡易かつコンパクトな装置としての粉砕機を提供する。
【解決手段】粉砕形成用の流路に羽根体を有する回転体を設置するものであり、回転体の羽根体に前記流路の流入方向に開口する流入口スリットと流路の流入方向に開口する流出口スリットを形成し、この流入口スリットと流出口スリットの間を広がるチャンバーとして形成した。
【選択図】
図1