【文献】
Minyoung Park,AP assisted medium synchronization, IEEE 802.11-12/0840r0,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/12/11-12-0840-00-00ah-ap-assisted-medium-synchronization.pptx>,2012年 7月16日,Slides 1-15
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記同期フレームは、Short Training Field(STF)、Long Training Field(LTF)及びSIGNAL(SIG)フィールドを含み、データフィールドを含まないPhysical Layer Packet Data Unit(PPDU)フレームである、請求項1に記載の方法。
前記SIGフィールドは、Basic Service Set Identifier(BSSID)フィールド及び期間フィールドを含む、請求項2に記載の方法。
前記ステーション(STA)以外のSTAのNetwork Allocation Vector(NAV)が、前記期間フィールドの値に基づいて設定される、請求項3に記載の方法。
前記ステーション(STA)のTransmission Opportunity(TXOP)が前記スロット境界と重なることが許容されない場合、チャネルアクセスは、Clear Channel Assessment(CCA)を行わずに開始される、請求項1に記載の方法。
前記CCAは、前記ステーション(STA)がNetwork Allocation Vector(NAV)を設定できるフレームシーケンスまで、又はProbeDelay値と同じ時間期間が過ぎるまで行われる、請求項6に記載の方法。
前記少なくとも1つのスロットの設定情報は、前記ステーション(STA)の制限的なチャネルアクセスが許容される時間区間の設定情報である、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る好適な実施の形態を添付の図面を参照して詳しく説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施の形態を説明するためのもので、本発明の唯一の実施の形態を示すためのものではない。以下の詳細な説明は本発明の完全な理解を提供するために具体的な細部事項を含む。しかし、このような具体的な細部事項なしにも本発明が実施され得るということが当業者には理解される。
【0029】
以下の実施例は、本発明の構成要素と特徴を所定の形態で結合したものである。各構成要素又は特徴は、特別の言及がない限り、選択的なものと考慮すればよい。各構成要素又は特徴は、他の構成要素や特徴と結合していない形態で実施されてもよく、一部の構成要素及び/又は特徴を結合して本発明の実施例を構成してもよい。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更されてもよい。ある実施例の一部の構成や特徴は、他の実施例に含まれてもよく、他の実施例の対応する構成又は特徴に取り替えられてもよい。
【0030】
以下の説明で使われる特定用語は、本発明の理解を助けるために提供されるものであり、このような特定用語の使用は、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で他の形態に変更してもよい。
【0031】
場合によって、本発明の概念が曖昧になることを避けるために、公知の構造及び装置は省略されたり、各構造及び装置の核心機能を中心にしたブロック図の形式で図示されることもある。また、本明細書全体を通じて同一の構成要素には同一の図面符号を付して説明する。
【0032】
本発明の実施例は、無線アクセスシステムであるIEEE 802システム、3GPPシステム、3GPP LTE及びLTE−A(LTE−Advanced)システム、並びに3GPP2システムの少なくとも一つに開示された標準文書によって裏付けることができる。すなわち、本発明の実施例において、本発明の技術的思想を明確にするために説明を省いた段階又は部分は、上記の文書によって裏付けることができる。また、本文書で開示している用語はいずれも上記の標準文書によって説明することができる。
【0033】
以下の技術は、CDMA(Code Division Multiple Access)、FDMA(Frequency Division Multiple Access)、TDMA(Time Division Multiple Access)、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、SC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)などのような様々な無線アクセスシステムに用いることができる。CDMAは、UTRA(Universal Terrestrial Radio Access)やCDMA2000のような無線技術(radio technology)によって具現することができる。TDMAは、GSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)/GPRS(General Packet Radio Service)/EDGE(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)のような無線技術によって具現することができる。OFDMAは、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802−20、E−UTRA(Evolved UTRA)などのような無線技術によって具現することができる。明確性のために、以下では3GPP LTE及び3GPP LTE−Aシステムを中心に説明するが、本発明の技術的思想がこれに制限されるものではない。
【0034】
(WLANシステムの構造)
図1は、本発明を適用できるIEEE 802.11システムの例示的な構造を示す図である。
【0035】
IEEE 802.11構造は複数個の構成要素を含むことができ、それら構成要素の相互作用によって上位層に対してトランスペアレントなSTA移動性を支援するWLANを提供することができる。基本サービスセット(Basic Service Set;BSS)はIEEE 802.11 LANにおける基本的な構成ブロックに該当し得る。
図1では、2個のBSS(BSS1及びBSS2)が存在し、それぞれのBSSのメンバーとして2個のSTAが含まれること(STA1及びSTA2はBSS1に含まれ、STA3及びSTA4はBSS2に含まれる)を例示的に示している。
図1で、BSSを示す楕円は、当該BSSに含まれたSTAが通信を維持するカバレッジ領域を示すものと理解してもよい。この領域をBSA(Basic Service Area)と称することができる。STAがBSAの外へ移動すると、当該BSA内の他のSTAと直接通信できなくなる。
【0036】
IEEE 802.11 LANにおいて最も基本的なタイプのBSSは、独立したBSS(Independent BSS;IBSS)である。例えば、IBSSは、2個のSTAだけで構成された最小の形態を有することができる。また、最も単純な形態であるとともに他の構成要素が省略されている
図1のBSS(BSS1又はBSS2)がIBSSの代表的な例示に該当する。このような構成は、STA同士が直接通信できる場合に可能である。また、このような形態のLANは、あらかじめ計画して構成されるものではなく、LANが必要な場合に構成され、これをアド−ホック(ad−hoc)ネットワークと呼ぶこともできる。
【0037】
STAの電源オン/オフ、STAのBSS領域への入/出などによって、BSSにおいてSTAのメンバーシップが動的に変更することがある。BSSのメンバーになるためには、STAは同期化過程を用いてBSSにジョインすればよい。BSS基盤構造の全てのサービスにアクセスするためには、STAはBSSに関連付けられなければならない。このような関連付け(association)は動的に設定され、分配システムサービス(Distribution System Service;DSS)の利用を含んでもよい。
【0038】
図2は、本発明を適用できるIEEE 802.11システムの他の例示的な構造を示す図である。
図2は、
図1の構造において、分配システム(Distribution System;DS)、分配システム媒体(Distribution System Medium;DSM)、アクセスポイント(Access Point;AP)などの構成要素が追加された形態である。
【0039】
LANにおいて直接的なステーション−対−ステーションの距離はPHY性能によって制限されることがある。このような距離の限界が充分な場合もあれば、より遠い距離のステーション間の通信が必要な場合もある。拡張されたカバレッジを支援するために分配システム(DS)を構成することができる。
【0040】
DSは、BSS同士が相互接続される構造を意味する。具体的に、
図1のようにBSSが独立して存在する代わりに、複数個のBSSで構成されたネットワークの拡張された形態の構成要素としてBSSが存在してもよい。
【0041】
DSは論理的な概念であり、分配システム媒体(DSM)の特性によって特定することができる。これと関連して、IEEE 802.11標準では無線媒体(Wireless Medium;WM)と分配システム媒体(DSM)とを論理的に区別している。それぞれの論理的媒体は互いに異なる目的のために使用され、互いに異なる構成要素によって使用される。IEEE 802.11標準の定義では、このような媒体を互いに同一なものとも、互いに異なるものとも制限しない。このように複数個の媒体が論理的に互いに異なるという点で、IEEE 802.11 LAN構造(DS構造又は他のネットワーク構造)の柔軟性を説明することができる。すなわち、IEEE 802.11 LAN構造は様々に具現することができ、それぞれの具現例の物理的な特性によって独立的に当該LAN構造を特定することができる。
【0042】
DSは複数個のBSSのシームレス(seamless)な統合を提供し、あて先へのアドレスを扱うために必要な論理的サービスを提供することによって移動機器を支援することができる。
【0043】
APとは、関連付いているSTAに対してWMを通じてDSへのアクセスを可能にし、且つSTA機能性を有する個体を意味する。APを通じてBSS及びDS間のデータ移動が行われてもよい。例えば、
図2に示すSTA2及びSTA3は、STAの機能性を有するとともに、関連付いているSTA(STA1及びSTA4)をDSにアクセスさせる機能を持つ。また、いかなるAPも基本的にSTAに該当するため、APはいずれもアドレス可能な個体である。WM上での通信のためにAPによって用いられるアドレスとDSM上での通信のためにAPによって用いられるアドレスは必ずしも同一である必要はない。
【0044】
APに関連付いているSTAのいずれか一つから当該APのSTAアドレスに送信されるデータは、常に非制御ポート(uncontrolled port)で受信され、IEEE 802.1Xポートアクセス個体によって処理されてもよい。また、制御ポート(controlled port)が認証されると、送信データ(又は、フレーム)はDSに伝達されてもよい。
【0045】
図3は、本発明を適用できるIEEE 802.11システムのさらに他の例示的な構造を示す図である。
図3では、
図2の構造にさらに広いカバレッジを提供するための拡張されたサービスセット(Extended Service Set;ESS)を概念的に示す。
【0046】
任意の(arbitrary)大きさ及び複雑度を有する無線ネットワークがDS及びBSSで構成されてもよい。IEEE 802.11システムではこのような方式のネットワークをESSネットワークと称する。ESSは、一つのDSに接続されたBSSの集合に該当し得る。しかし、ESSはDSを含まない。ESSネットワークはLLC(Logical Link Control)層でIBSSネットワークとして見える点が特徴である。ESSに含まれるSTAは互いに通信することができ、移動STAはLLCにトランスペアレントに一つのBSSから他のBSSに(同一ESS内で)移動することができる。
【0047】
IEEE 802.11では、
図3におけるBSSの相対的な物理的位置について何ら仮定しておらず、次のようないずれの形態も可能である。BSSは部分的に重なってもよく、これは、連続したカバレッジを提供するために一般に利用される形態である。また、BSSは物理的に接続していなくてもよく、論理的にはBSS同士間の距離に制限はない。また、BSS同士は物理的に同一位置に位置してもよく、これはリダンダンシーを提供するために用いることができる。また、一つ(又は、一つ以上の)IBSS又はESSネットワークが一つ(又は一つ以上の)ESSネットワークとして同一空間に物理的に存在してもよい。これは、ESSネットワークが存在する位置にアド−ホックネットワークが動作する場合、互いに異なる機関(organizations)によって物理的に重なるIEEE 802.11ネットワークが構成される場合、又は、同一位置で2つ以上の互いに異なるアクセス及び保安政策が必要な場合などにおける、ESSネットワーク形態に該当し得る。
【0048】
図4は、無線LANシステムの例示的な構造を示す図である。
図4では、DSを含む基盤構造BSSの一例が示されている。
【0049】
図4の例示で、BSS1及びBSS2がESSを構成する。無線LANシステムにおいてSTAはIEEE 802.11のMAC/PHY規定に従って動作する機器である。STAはAP STA及び非−AP(non−AP)STAを含む。Non−AP STAは、ラップトップコンピュータ、移動電話機のように、一般にユーザが直接扱う機器に該当する。
図4の例示で、STA1、STA3、STA4はnon−AP STAに該当し、STA2及びSTA5はAP STAに該当する。
【0050】
以下の説明で、non−AP STAは、端末(terminal)、無線送受信ユニット(Wireless Transmit/Receive Unit;WTRU)、ユーザ装置(User Equipment;UE)、移動局(Mobile Station;MS)、移動端末(Mobile Terminal)、移動加入者局(Mobile Subscriber Station;MSS)などと呼ぶことができる。また、APは、他の無線通信分野における基地局(Base Station;BS)、ノード−B(Node−B)、発展したノード−B(evolved Node−B;eNB)、基底送受信システム(Base Transceiver System;BTS)、フェムト基地局(Femto BS)などに対応する概念である。
【0051】
(リンクセットアップ過程)
図5は、一般のリンクセットアップ(link setup)過程を説明するための図である。
【0052】
STAがネットワークに対してリンクをセットアップし、データを送受信するためには、まず、ネットワークを発見(discovery)し、認証(authentication)を行い、関連付け(association)を確立(establish)し、保安(security)のための認証手順などを行わなければならない。リンクセットアップ過程をセッション開始過程、セッションセットアップ過程と呼ぶこともできる。また、リンクセットアップ過程における発見、認証、関連付け、保安設定の過程を総称して関連付け過程と呼ぶこともできる。
【0053】
図5を参照して例示的なリンクセットアップ過程について説明する。
【0054】
段階S510で、STAはネットワーク発見動作を行うことができる。ネットワーク発見動作はSTAのスキャニング(scanning)動作を含むことができる。すなわち、STAがネットワークにアクセスするためには、参加可能なネットワークを探さなければならない。STAは無線ネットワークに参加する前に互換可能なネットワークを識別しなければならないが、特定領域に存在するネットワーク識別過程をスキャニングという。
【0055】
スキャニング方式には、能動的スキャニング(active scanning)と受動的スキャニング(passive scanning)がある。
【0056】
図5では例示として能動的スキャニング過程を含むネットワーク発見動作を示す。能動的スキャニングにおいて、スキャニングを行うSTAはチャネルを移りながら周辺にどのAPが存在するかを探索するためにプローブ要請フレーム(probe request frame)を送信して、それに対する応答を待つ。応答者(responder)は、プローブ要請フレームを送信したSTAに、プローブ要請フレームに対する応答としてプローブ応答フレーム(probe response frame)を送信する。ここで、応答者は、スキャニングされているチャネルのBSSで最後にビーコンフレーム(beacon frame)を送信したSTAであってもよい。BSSでは、APがビーコンフレームを送信するため、APが応答者となり、IBSSでは、IBSS内のSTAが交互にビーコンフレームを送信するため、応答者が一定でない。例えば、1番チャネルでプローブ要請フレームを送信し、1番チャネルでプローブ応答フレームを受信したSTAは、受信したプローブ応答フレームに含まれたBSS関連情報を保存し、次のチャネル(例えば、2番チャネル)に移動して同一の方法でスキャニング(すなわち、2番チャネル上でプローブ要請/応答の送受信)を行うことができる。
【0057】
図5には示していないが、スキャニング動作は受動的スキャニング方式で行われてもよい。受動的スキャニングにおいて、スキャニングを行うSTAはチャネルを移りながらビーコンフレームを待つ。ビーコンフレームは、IEEE 802.11において管理フレーム(management frame)の一つであり、無線ネットワークの存在を知らせ、スキャニングを行うSTAが無線ネットワークを探して無線ネットワークに参加できるように、周期的に送信される。BSSでAPがビーコンフレームを周期的に送信する役割を担い、IBSSではIBSS内のSTAが交互にビーコンフレームを送信する。スキャニングを行うSTAはビーコンフレームを受信すると、ビーコンフレームに含まれたBSSに関する情報を保存し、他のチャネルに移動しながら各チャネルでビーコンフレーム情報を記録する。ビーコンフレームを受信したSTAは、受信したビーコンフレームに含まれたBSS関連情報を保存し、次のチャネルに移動して同一の方法で次のチャネルでスキャニングを行うことができる。
【0058】
能動的スキャニングと受動的スキャニングとを比較すれば、能動的スキャニングが受動的スキャニングに比べてディレー(delay)及び電力消耗が小さいという利点がある。
【0059】
STAがネットワークを発見した後に、段階S520で認証過程を行うことができる。このような認証過程は、後述する段階S540の保安セットアップ動作と明確に区別するために、第1の認証(first authentication)過程と呼ぶことができる。
【0060】
認証過程は、STAが認証要請フレーム(authentication request frame)をAPに送信し、これに応答してAPが認証応答フレーム(authentication response frame)をSTAに送信する過程を含む。認証要請/応答に用いられる認証フレーム(authentication frame)は管理フレームに該当する。
【0061】
認証フレームは、認証アルゴリズム番号(authentication algorithm number)、認証トランザクションシーケンス番号(authentication transaction sequence number)、状態コード(status code)、検問テキスト(challenge text)、RSN(Robust Security Network)、有限循環グループ(Finite Cyclic Group)などに関する情報を含むことができる。これは、認証要請/応答フレームに含まれ得る情報の一例示に過ぎず、他の情報に置き換わったり、追加の情報がさらに含まれたりしてもよい。
【0062】
STAは認証要請フレームをAPに送信することができる。APは、受信された認証要請フレームに含まれた情報に基づいて、当該STAに対する認証を許容するか否かを決定することができる。APは認証処理の結果を認証応答フレームを通じてSTAに提供することができる。
【0063】
STAが成功的に認証された後に、段階S530で関連付け過程を行うことができる。関連付け過程は、STAが関連付け要請フレーム(association request frame)をAPに送信し、それに応答してAPが関連付け応答フレーム(association response frame)をSTAに送信する過程を含む。
【0064】
例えば、関連付け要請フレームは、様々な能力(capability)に関する情報、ビーコン聴取間隔(listen interval)、SSID(service set identifier)、支援レート(supported rates)、支援チャネル(supported channels)、RSN、移動性ドメイン、支援オペレーティングクラス(supported operating classes)、TIM放送要請(Traffic Indication Map Broadcast request)、相互動作(interworking)サービス能力などに関する情報を含むことができる。
【0065】
例えば、関連付け応答フレームは、様々な能力に関する情報、状態コード、AID(Association ID)、支援レート、EDCA(Enhanced Distributed Channel Access)パラメータセット、RCPI(Received Channel Power Indicator)、RSNI(Received Signal to Noise Indicator)、移動性ドメイン、タイムアウト間隔(関連付けカムバック時間(association comeback time))、重畳(overlapping)BSSスキャンパラメータ、TIM放送応答、QoSマップなどの情報を含むことができる。
【0066】
これは関連付け要請/応答フレームに含まれ得る情報の一例に過ぎず、他の情報に置き換わったり、追加の情報がさらに含まれたりしてもよい。
【0067】
STAがネットワークに成功的に関連付けられた後に、段階S540で保安セットアップ過程を行うことができる。段階S540の保安セットアップ過程は、RSNA(Robust Security Network Association)要請/応答を通じた認証過程ということもでき、上記の段階S520の認証過程を第1の認証(first authentication)過程とし、段階S540の保安セットアップ過程を単純に認証過程と呼ぶこともできる。
【0068】
段階S540の保安セットアップ過程は、例えば、EAPOL(Extensible Authentication Protocol over LAN)フレームを通じた4−ウェイ(way)ハンドシェーキングを通じて、プライベートキーセットアップ(private key setup)をする過程を含むことができる。また、保安セットアップ過程は、IEEE 802.11標準で定義しない保安方式によって行われてもよい。
【0069】
(WLANの進化)
無線LANで通信速度の限界を克服するために比較的最近に制定された技術標準としてIEEE 802.11nがある。IEEE 802.11nは、ネットワークの速度と信頼性を増大させ、且つ無線ネットワークの運営距離を拡張することに目的がある。より具体的に、IEEE 802.11nは、データ処理速度が最大540Mbps以上である高処理率(High Throughput;HT)を支援するとともに、送信エラーを最小化し、データ速度を最適化するために送信端と受信端の両方とも多重アンテナを使用するMIMO(Multiple Inputs and Multiple Outputs)技術に基づいている。
【0070】
無線LANの普及が活性化され、さらにそれを用いたアプリケーションが多様化するに伴って、最近ではIEEE 802.11nが支援するデータ処理速度よりも高い処理率を支援するための新しい無線LANシステムの必要性が台頭している。超高処理率(Very High Throughput;VHT)を支援する次世代無線LANシステムは、IEEE 802.11n無線LANシステムの次のバージョン(例えば、IEEE 802.11ac)であり、MACサービスアクセスポイント(Service Access Point;SAP)で1Gbps以上のデータ処理速度を支援するために最近に新しく提案されているIEEE 802.11無線LANシステムの一つである。
【0071】
次世代無線LANシステムは、無線チャネルを效率的に利用するために複数のSTAが同時にチャネルにアクセスするMU−MIMO(Multi User Multiple Input Multiple Output)方式の送信を支援する。MU−MIMO送信方式によれば、APが、MIMOペアリング(pairing)された一つ以上のSTAに同時にパケットを送信することができる。
【0072】
また、ホワイトスペース(white space)で無線LANシステム動作を支援することが議論されている。例えば、アナログTVのデジタル化による遊休状態の周波数帯域(例えば、54〜698MHz帯域)のようなTVホワイトスペース(TVWS)での無線LANシステムの導入は、IEEE 802.11af標準として議論されている。しかし、これは例示に過ぎず、ホワイトスペースは、許可されたユーザ(licensed user)が優先して使用できる許可された帯域といえる。許可されたユーザは、許可された帯域の使用が許可されたユーザのことを意味し、許可された装置(licensed device)、プライマリユーザ(primary user)、優先的ユーザ(incumbent user)などと呼ぶこともできる。
【0073】
例えば、WSで動作するAP及び/又はSTAは、許可されたユーザに対する保護(protection)機能を提供しなければならない。例えば、WS帯域で特定帯域幅を有するように規約(regulation)上分割されている周波数帯域である特定WSチャネルを、マイクロホン(microphone)のような許可されたユーザが既に使用している場合、許可されたユーザを保護するために、AP及び/又はSTAは当該WSチャネルに該当する周波数帯域は使用することができない。また、AP及び/又はSTAは、現在フレーム送信及び/又は受信のために使用している周波数帯域を許可されたユーザが使用するようになると、当該周波数帯域の使用を中止しなければならない。
【0074】
そのため、AP及び/又はSTAは、WS帯域中の特定周波数帯域の使用が可能か否か、すなわち、当該周波数帯域に許可されたユーザが存在するか否かを把握する手順を先行しなければならない。許可されたユーザが特定周波数帯域に存在するか否かを把握することをスペクトルセンシング(spectrum sensing)という。スペクトルセンシングメカニズムとして、エネルギー探知(energy detection)方式、信号探知(signature detection)方式などが活用される。受信信号の強度が一定値以上であれば、許可されたユーザが使用中であると判断したり、DTVプリアンブル(preamble)が検出されると、許可されたユーザが使用中であると判断すればよい。
【0075】
また、次世代通信技術としてM2M(Machine−to−Machine)通信技術が議論されている。IEEE 802.11無線LANシステムでもM2M通信を支援するための技術標準がIEEE 802.11ahとして開発されている。M2M通信は、一つ以上のマシン(Machine)が含まれる通信方式を意味し、MTC(Machine Type Communication)又は事物通信と呼ばれることもある。ここで、マシンとは、人間の直接的な操作や介入を必要としない個体(entity)を意味する。例えば、無線通信モジュールが搭載された検針機(meter)や自動販売機のような装置を含めて、ユーザの操作/介入無しで自動でネットワークに接続して通信を行うことができるスマートフォンのようなユーザ機器もマシンの例示に該当し得る。M2M通信は、デバイス間の通信(例えば、D2D(Device−to−Device)通信)、デバイスとサーバー(application server)間の通信などを含むことができる。デバイスとサーバー間の通信の例示としては、自動販売機とサーバー、POS(Point of Sale)装置とサーバー、電気、ガス又は水道検針機とサーバー間の通信が挙げられる。その他にも、M2M通信ベースのアプリケーション(application)には、保安(security)、運送(transportation)、ヘルスケア(health care)などが含まれてもよい。このような適用例の特性を考慮すると、一般に、M2M通信は、数多くの機器が存在する環境でたまに少量のデータを低速で送受信することを支援できるものでなければならない。
【0076】
具体的に、M2M通信は多数のSTAを支援できるものでなければならない。現在定義されている無線LANシステムでは、一つのAPに最大2007個のSTAが関連付けられる場合を仮定するが、M2M通信ではそれよりも多い個数(約6000個)のSTAが一つのAPに関連付けられる場合を支援する方案が議論されている。また、M2M通信では低い送信速度を支援/要求するアプリケーションが多いと予想される。これを円滑に支援するために、例えば、無線LANシステムでは、TIM(Traffic Indication Map)要素に基づいてSTAが自身に送信されるデータの有無を認知できるが、TIMのビットマップサイズを減らす方案が議論されている。また、M2M通信では送信/受信間隔が非常に長いトラフィックが多いと予想される。例えば、電気/ガス/水道の使用量のように長い周期(例えば、1ケ月)ごとに大変少ない量のデータをやり取りすることが要求される。そのため、無線LANシステムでは、一つのAPに関連付けられ得るSTAの個数が非常に多くなっても、一つのビーコン周期の間にAPから受信するデータフレームが存在するSTAの個数が大変少ない場合を效率的に支援する方案が議論されている。
【0077】
このように無線LAN技術は急速に進化しつつあり、前述の例示に加えて、直接リンクセットアップ、メディアストリーミング性能の改善、高速及び/又は大規模の初期セッションセットアップの支援、拡張された帯域幅及び動作周波数の支援などのための技術が開発されている。
【0078】
(媒体アクセスメカニズム)
IEEE 802.11に基づく無線LANシステムにおいて、MAC(Medium Access Control)の基本アクセスメカニズムは、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)メカニズムである。CSMA/CAメカニズムは、IEEE 802.11 MACの分配調整機能(Distributed Coordination Function、DCF)とも呼ばれるが、基本的に「listen before talk」アクセスメカニズムを採用している。このような類型のアクセスメカニズムによれば、AP及び/又はSTAは送信を開始するに先立ち、所定の時間区間(例えば、DIFS(DCF Inter−Frame Space)の間に無線チャネル又は媒体(medium)をセンシング(sensing)するCCA(Clear Channel Assessment)を行うことができる。センシングの結果、媒体が遊休状態(idle status)と判断されると、当該媒体を通じてフレーム送信を始める。一方、媒体が占有状態(occupied status)と感知されると、当該AP及び/又はSTAは自分の送信を開始せず、媒体アクセスのための遅延期間(例えば、任意バックオフ周期(random backoff period))を設定して待った後、フレーム送信を試みることができる。任意バックオフ周期の適用から、複数のSTAはそれぞれ異なった時間待った後にフレーム送信を試みることが期待されるため、衝突(collision)を最小化することができる。
【0079】
また、IEEE 802.11 MACプロトコルはHCF(Hybrid Coordination Function)を提供する。HCFはDCFとPCF(Point Coordination Function)に基づく。PCFは、ポーリング(polling)ベースの同期式アクセス方式で、全ての受信AP及び/又はSTAがデータフレームを受信できるように周期的にポーリングする方式のことをいう。また、HCFは、EDCA(Enhanced Distributed Channel Access)とHCCA(HCF Controlled Channel Access)を有する。EDCAは、提供者が複数のユーザにデータフレームを提供するためのアクセス方式を競合ベースとするものであり、HCCAは、ポーリングメカニズムを用いた非競合ベースのチャネルアクセス方式を用いるものである。また、HCFは、WLANのQoS(Quality of Service)を向上させるための媒体アクセスメカニズムを含み、競合周期(Contention Period;CP)、非競合周期(Contention Free Period;CFP)のいずれにおいてもQoSデータを送信することができる。
【0080】
図6は、バックオフ過程を説明するための図である。
【0081】
図6を参照して任意バックオフ周期に基づく動作について説明する。占有(occupy又はbusy)状態だった媒体が遊休(idle)状態に変更されると、複数のSTAはデータ(又はフレーム)送信を試みることができる。この時、衝突を最小化するための方案として、STAはそれぞれ任意バックオフカウントを選択し、それに該当するスロット時間だけ待機した後、送信を試みることができる。任意バックオフカウントは、擬似−任意整数(pseudo−random integer)値を有し、0乃至CW範囲の値のいずれか一つに決定され得る。ここで、CWは、競合ウィンドウ(Contention Window)パラメータ値である。CWパラメータは初期値としてCWminが与えられるが、送信失敗の場合(例えば、送信されたフレームに対するACKを受信できなかった場合)に2倍の値を取ることができる。CWパラメータ値がCWmaxになると、データ送信に成功するまでCWmax値を維持しながらデータ送信を試みることができ、データ送信に成功する場合にはCWmin値にリセットされる。CW、CWmin及びCWmax値は2
n−1(n=0,1,2,…)に設定されることが好ましい。
【0082】
任意バックオフ過程が始まると、STAは、決定されたバックオフカウント値によってバックオフスロットをカウントダウンする間に続けて媒体をモニタする。媒体が占有状態とモニタされるとカウントダウンを止めて待機し、媒体が遊休状態になると残りのカウントダウンを再開する。
【0083】
図6の例示で、STA3のMACに送信するパケットが到達した場合に、STA3はDIFSだけ媒体が遊休状態であることを確認し、直ちにフレームを送信することができる。一方、残りのSTAは、媒体が占有(busy)状態であることをモニタして待機する。その間にSTA1、STA2及びSTA5のそれぞれでも送信するデータが発生することがあり、それぞれのSTAは、媒体が遊休状態とモニタされると、DIFSだけ待機した後に、それぞれ選択した任意バックオフカウント値によってバックオフスロットのカウントダウンを行うことができる。
図6の例示では、STA2が最も小さいバックオフカウント値を選択し、STA1が最も大きいバックオフカウント値を選択した場合を示す。すなわち、STA2がバックオフカウントを終えてフレーム送信を始める時点でSTA5の残余バックオフ時間はSTA1の残余バックオフ時間よりも短い場合を例示する。STA1及びSTA5は、STA2が媒体を占有する間に暫くカウントダウンを止めて待機する。STA2の占有が終了して媒体が再び遊休状態になると、STA1及びSTA5はDIFSだけ待機した後に、止めていたバックオフカウントを再開する。すなわち、残余バックオフ時間だけの余りのバックオフスロットをカウントダウンした後にフレーム送信を始めることができる。STA5の残余バックオフ時間がSTA1よりも短かったため、STA5がフレーム送信を始めるようになる。一方、STA2が媒体を占有する間にSTA4でも送信するデータが発生することがある。このとき、STA4の立場では、媒体が遊休状態になるとDIFSだけ待機した後、自身が選択した任意バックオフカウント値によるカウントダウンを行ってフレーム送信を始めることができる。
図6の例示では、STA5の残余バックオフ時間がSTA4の任意バックオフカウント値と偶然に一致する場合を示し、この場合、STA4とSTA5間に衝突が発生することがある。衝突が発生する場合はSTA4、STA5両方ともACKを受けることができず、データ送信に失敗することになる。この場合、STA4とSTA5はCW値を2倍に増やした後に任意バックオフカウント値を選択してカウントダウンを行うことができる。一方、STA1は、STA4とSTA5の送信によって媒体が占有状態である間に待機しているが、媒体が遊休状態になると、DIFSだけ待機した後、残余バックオフ時間が経過するとフレーム送信を開始することができる。
【0084】
(STAのセンシング動作)
前述したように、CSMA/CAメカニズムは、AP及び/又はSTAが媒体を直接センシングする物理的キャリアセンシング(physical carrier sensing)の他、仮想キャリアセンシング(virtual carrier sensing)も含む。仮想キャリアセンシングは、隠れたノード問題(hidden node problem)などのように媒体アクセスで発生し得る問題を補完するために用いられる。仮想キャリアセンシングのために、無線LANシステムのMACはネットワーク割当ベクトル(Network Allocation Vector;NAV)を用いることができる。NAVは、現在媒体を利用していたり又は利用する権限のあるAP及び/又はSTAが、媒体を使用可能な状態になるまで残っている時間を、他のAP及び/又はSTAに指示(indicate)する値である。したがって、NAVに設定された値は、当該フレームを送信するAP及び/又はSTAによって媒体の利用が予定されている期間に該当し、NAV値を受信するSTAは、当該期間において媒体アクセスが禁止される。NAVは、例えば、フレームのMACヘッダ(header)の「duration」フィールドの値によって設定されてもよい。
【0085】
また、衝突可能性を低減するために堅牢な衝突検出(robust collision detect)メカニズムが導入された。これについて
図7及び
図8を参照して説明する。実際にキャリアセンシング範囲と送信範囲は同一でないこともあるが、説明の便宜のために両者は同一であると仮定する。
【0086】
図7は、隠れたノード及び露出されたノードを説明するための図である。
【0087】
図7(a)は、隠れたノードに対する例示であり、STA AとSTA Bとが通信中にあり、STA Cが送信する情報を持っている場合である。具体的に、STA AがSTA Bに情報を送信している状況であるにもかかわらず、STA CがSTA Bにデータを送る前にキャリアセンシングを行う際、媒体が遊休状態にあると判断することがある。これは、STA Aの送信(すなわち、媒体占有)をSTA Cの位置ではセンシングできないこともあるためである。このような場合、STA BはSTA AとSTA Cの情報を同時に受け、衝突が発生することになる。このとき、STA AをSTA Cの隠れたノードということができる。
【0088】
図7(b)は、露出されたノード(exposed node)に対する例示であり、STA BがSTA Aにデータを送信している状況で、STA CがSTA Dに送信する情報を持っている場合である。この場合、STA Cがキャリアセンシングを行うと、STA Bの送信によって媒体が占有された状態であると判断することができる。そのため、STA CがSTA Dに送信する情報を持っていても、媒体占有状態とセンシングされたため、媒体が遊休状態になるまで待たなければならない。しかし、実際にはSTA AはSTA Cの送信範囲外にあるため、STA Cからの送信とSTA Bからの送信とがSTA Aの立場では衝突しないこともあるため、STA Cは、STA Bが送信を止めるまで余計に待機することになる。このとき、STA CをSTA Bの露出されたノードということができる。
【0089】
図8は、RTSとCTSを説明するための図である。
【0090】
図7のような例示的な状況で衝突回避(collision voidance)メカニズムを效率的に利用するために、RTS(request to send)とCTS(clear to send)などの短いシグナリングパケット(short signaling packet)を利用することができる。両STA間のRTS/CTSは周囲のSTAがオーバーヒヤリング(overhearing)できるようにし、この周囲のSTAが上記両STA間の情報送信の有無を考慮するようにすることができる。例えば、データを送信しようとするSTAがデータを受けるSTAにRTSフレームを送信すると、データを受けるSTAはCTSフレームを周囲のSTAに送信することによって、自身がデータを受けることを知らせることができる。
【0091】
図8(a)は、隠れたノード問題を解決する方法に関する例示であり、STA AとSTA CがいずれもSTA Bにデータを送信しようとする場合を仮定する。STA AがRTSをSTA Bに送ると、STA BはCTSを自身の周囲にあるSTA A及びSTA Cの両方に送信する。その結果、STA CはSTA AとSTA Bのデータ送信が終わるまで待機し、衝突を避けることとなる。
【0092】
図8(b)は、露出されたノード問題を解決する方法に対する例示であり、STA AとSTA B間のRTS/CTS送信をSTA Cがオーバーヒヤリングすることによって、STA Cは自身が他のSTA(例えば、STA D)にデータを送信しても衝突が発生しないことと判断することができる。すなわち、STA Bは周囲の全てのSTAにRTSを送信し、実際に送るデータを持っているSTA AのみがCTSを送信するようになる。STA CはRTSを受信できるだけで、STA AのCTSは受信できないため、STA AはSTA Cのキャリアセンシング外にあるということがわかる。
【0093】
(電力管理)
前述したように、無線LANシステムではSTAが送受信を行う前にチャネルセンシングを行わなければならないが、チャネルを常にセンシングすることはSTAの持続的な電力消耗を引き起こす。受信状態での電力消耗は送信状態での電力消耗と大差がないため、受信状態を持続することも、電力の制限された(すなわち、バッテリーによって動作する)STAには大きな負担となる。したがって、STAが持続的にチャネルをセンシングするために受信待機状態を維持すると、無線LAN処理率の側面で特別な利点もなく電力を非効率的に消耗することになる。このような問題点を解決するために、無線LANシステムではSTAの電力管理(power management;PM)モードを支援する。
【0094】
STAの電力管理モードはアクティブ(active)モード及び電力節約(power save;PS)モードに区別される。STAは基本的にアクティブモードで動作する。アクティブモードで動作するSTAは、アウェイク状態(awake state)を維持する。アウェイク状態は、フレーム送受信やチャネルスキャニングなどの正常動作が可能な状態である。一方、PSモードで動作するSTAはスリープ状態(sleep state)(又は、ドーズ(doze)状態)とアウェイク状態(awake state)を切り替えながら動作する。スリープ状態で動作するSTAは、最小限の電力で動作し、フレーム送受信もチャネルスキャニングも行わない。
【0095】
STAがスリープ状態でできるだけ長く動作するほど電力消耗が減るため、STAの動作期間が増加する。しかし、スリープ状態ではフレーム送受信が不可能なため、無条件に長く動作するわけにはいかない。スリープ状態で動作するSTAがAPに送信するフレームを有すると、アウェイク状態に切り替えてフレームを送信すればよい。一方、APがSTAに送信するフレームがある場合、スリープ状態のSTAはそれを受信できないことはもとより、受信するフレームが存在するということも把握できない。したがって、STAは自身に送信されるフレームの存在有無を確認するために(また、存在するならそれを受信するために)特定周期に従ってアウェイク状態に切り替える動作が必要なことがある。
【0096】
図9は、電力管理動作を説明するための図である。
【0097】
図9を参照すると、AP 210は、一定の周期でビーコンフレーム(beacon frame)をBSS内のSTAに送信する(S211、S212、S213、S214、S215、S216)。ビーコンフレームには、TIM(Traffic Indication Map)情報要素(Information Element)が含まれる。TIM情報要素は、AP 210が自身と関連付いているSTAに対するバッファされたトラフィックが存在し、フレームを送信する旨を知らせる情報を含む。TIM要素には、ユニキャスト(unicast)フレームを知らせるために用いられるTIMと、マルチキャスト(multicast)又はブロードキャスト(broadcast)フレームを知らせるために用いられるDTIM(delivery traffic indication map)がある。
【0098】
AP 210は、3回のビーコンフレームを送信する度に1回ずつDTIMを送信することができる。STA1 220及びSTA2 230はPSモードで動作するSTAである。STA1 220及びSTA2 230は、所定の周期のウェイクアップインターバル(wakeup interval)ごとにスリープ状態からアウェイク状態に切り替えて、AP 210によって送信されたTIM要素を受信できるように設定されてもよい。それぞれのSTAは、自身のローカルクロック(local clock)に基づいてアウェイク状態に切り替える時点を計算することができ、
図9の例示ではSTAのクロックがAPのクロックと一致すると仮定する。
【0099】
例えば、所定のウェイクアップインターバルは、STA1 220がビーコンインターバルごとにアウェイク状態に切り替わってTIM要素を受信できるように設定されてもよい。そのため、STA1 220は、AP 210が最初にビーコンフレームを送信する時(S211)にアウェイク状態に切り替わり得る(S221)。STA1 220は、ビーコンフレームを受信してTIM要素を獲得することができる。獲得されたTIM要素が、STA1 220に送信されるフレームがある旨を指示すると、STA1 220は、AP 210にフレーム送信を要請するPS−Poll(Power Save−Poll)フレームをAP 210に送信することができる(S221a)。AP 210は、PS−Pollフレームに対応してフレームをSTA1 220に送信することができる(S231)。フレーム受信を完了したSTA1 220は再びスリープ状態に切り替わって動作する。
【0100】
AP 210が二番目にビーコンフレームを送信するにあたり、他の装置が媒体にアクセスするなどして媒体が占有された(busy medium)状態であるから、AP 210は正確なビーコンインターバルに合わせてビーコンフレームを送信できず、遅延された時点に送信することがある(S212)。この場合、STA1 220はビーコンインターバルに合わせて動作モードをアウェイク状態に切り替えるが、遅延送信されるビーコンフレームを受信できず、再びスリープ状態に切り替わる(S222)。
【0101】
AP 210が三番目にビーコンフレームを送信する時、当該ビーコンフレームはDTIMと設定されたTIM要素を含むことができる。ただし、媒体が占有された(busy medium)状態であるから、AP 210はビーコンフレームを遅延して送信する(S213)。STA1 220は、ビーコンインターバルに合わせてアウェイク状態に切り替わって動作し、AP 210によって送信されるビーコンフレームからDTIMを獲得することができる。STA1 220が獲得したDTIMは、STA1 220に送信されるフレームはなく、他のSTAのためのフレームが存在する旨を指示する場合を仮定する。この場合、STA1 220は、自身が受信するフレームがないことを確認し、再びスリープ状態に切り替わって動作することができる。AP 210はビーコンフレーム送信後にフレームを該当のSTAに送信する(S232)。
【0102】
AP 210は、四番目にビーコンフレームを送信する(S214)。ただし、STA1 220は、その以前の2回にわたるTIM要素受信から、自身に対するバッファされたトラフィックが存在するという情報が獲得できなかったため、TIM要素受信のためのウェイクアップインターバルを調整してもよい。又は、AP 210によって送信されるビーコンフレームにSTA1 220のウェイクアップインターバル値を調整するためのシグナリング情報が含まれた場合、STA1 220のウェイクアップインターバル値が調整されてもよい。本例示で、STA1 220はビーコンインターバルごとにTIM要素受信のために運営状態を切り替えたが、3回のビーコンインターバルごとに1回起床するように運営状態を切り替えるように設定してもよい。したがって、STA1 220は、AP 210が四番目のビーコンフレームを送信し(S214)、五番目のビーコンフレームを送信する時点に(S215)スリープ状態を維持するため、TIM要素を獲得することができない。
【0103】
AP 210が六番目にビーコンフレームを送信する時(S216)、STA1 220はアウェイク状態に切り替わって動作し、ビーコンフレームに含まれたTIM要素を獲得することができる(S224)。TIM要素は、ブロードキャストフレームが存在する旨を指示するDTIMであるから、STA1 220はPS−PollフレームをAP 210に送信することなく、AP 210によって送信されるブロードキャストフレームを受信すればよい(S234)。一方、STA2 230に設定されたウェイクアップインターバルはSTA1 220に比べて長い周期に設定されてもよい。そのため、STA2 230は、AP 210が五番目にビーコンフレームを送信する時点(S215)にアウェイク状態に切り替わってTIM要素を受信することができる(S241)。STA2 230は、TIM要素から、自身に送信されるフレームが存在することがわかり、フレーム送信を要請するためにAP 210にPS−Pollフレームを送信することができる(S241a)。AP 210はPS−Pollフレームに対応してSTA2 230にフレームを送信することができる(S233)。
【0104】
図9のような電力節約モードの運営のためにTIM要素には、STAに送信されるフレームが存在するか否かを指示するTIM、又はブロードキャスト/マルチキャストフレームが存在するか否かを指示するDTIMが含まれる。DTIMはTIM要素のフィールド設定によって具現することができる。
【0105】
図10乃至
図12は、TIMを受信したSTAの動作を詳しく説明するための図である。
【0106】
図10を参照すると、STAは、APからTIMを含むビーコンフレームを受信するためにスリープ状態からアウェイク状態に切り替わり、受信したTIM要素を解釈して、自身に送信されるバッファされたトラフィックがあることを確認できる。STAは、PS−Pollフレームの送信のための媒体アクセスのために他のSTAと競合(contending)を行った後に、APにデータフレーム送信を要請するためにPS−Pollフレームを送信することができる。STAによって送信されたPS−Pollフレームを受信したAPは、STAにフレームを送信することができる。STAはデータフレームを受信し、それに対する確認応答(ACK)フレームをAPに送信することができる。以降、STAは再びスリープ状態に切り替わればよい。
【0107】
図10のように、APは、STAからPS−Pollフレームを受信した後、所定の時間(例えば、SIFS(Short Inter−Frame Space))後にデータフレームを送信する即時応答(immediate response)方式によって動作することができる。一方、APがPS−Pollフレームを受信した後に、STAに送信するデータフレームをSIFS時間の間に用意できなかった場合は、遅れた応答(deferred response)方式によって動作してもよく、それについて
図11を参照して説明する。
【0108】
図11の例示で、STAがスリープ状態からアウェイク状態に切り替わってAPからTIMを受信し、競合を経てPS−PollフレームをAPに送信する動作は、
図10の例示と同一である。APがPS−Pollフレームを受信したが、SIFSの間にデータフレームを用意できなかった場合、データフレームを送信する代わりにACKフレームをSTAに送信してもよい。APは、ACKフレーム送信後にデータフレームが用意されると、競合を行った後、データフレームをSTAに送信することができる。STAはデータフレームを成功的に受信したことを示すACKフレームをAPに送信し、スリープ状態に切り替わればよい。
【0109】
図12は、APがDTIMを送信する例示に関するものである。STAはAPからDTIM要素を含むビーコンフレームを受信するためにスリープ状態からアウェイク状態に切り替わってもよい。これらのSTAは、受信したDTIMから、マルチキャスト/ブロードキャストフレームが送信されることがわかる。APは、DTIMを含むビーコンフレームを送信後に、PS−Pollフレームの送受信動作無しで直ちにデータ(すなわち、マルチキャスト/ブロードキャストフレーム)を送信することができる。これらのSTAは、DTIMを含むビーコンフレームを受信してから引き続きアウェイク状態を維持しながらデータを受信し、データ受信が完了した後再びスリープ状態に切り替わればよい。
【0110】
(TIM構造)
図9乃至
図12を参照して上述したTIM(又は、DTIM)プロトコルに基づく電力節約モード運営方法において、STAは、TIM要素に含まれたSTA識別情報から、自身のために送信されるデータフレームが存在するか否かを確認することができる。STA識別情報は、STAとAPとの関連付け(association)時にSTAに割り当てられた識別子であるAID(Association Identifier)に関する情報であってよい。
【0111】
AIDは一つのBSS内ではそれぞれのSTAに対する固有の(unique)識別子として使われる。一例として、現在無線LANシステムにおいてAIDとしては1から2007までのいずれか一つの値を割り当てることができる。現在定義されている無線LANシステムでは、AP及び/又はSTAが送信するフレームにはAIDのために14ビットを割り当てることができ、AID値は16383まで割り当てることができるが、2008〜16383は予備(reserved)値として設定されている。
【0112】
既存の定義によるTIM要素は、一つのAPに多数(例えば、2007個を超える)のSTAが関連付けられ得るM2Mアプリケーションの適用には適していない。既存のTIM構造をそのまま拡張するとTIMビットマップのサイズが過大になるため、既存のフレームフォーマットでは支援することができず、また、低い伝送レートのアプリケーションを考慮するM2M通信に適していない。また、M2M通信では、一つのビーコン周期の間に受信データフレームが存在するSTAの個数は大変少ないと予想される。したがって、このようなM2M通信の適用例を考慮すれば、TIMビットマップのサイズは大きくなるが、大部分のビットが0値を有する場合が多く発生すると予想されるため、ビットマップを效率的に圧縮する技術が要求される。
【0113】
既存のビットマップ圧縮技術として、ビットマップの先頭部分に連続する0を省略し、オフセット(offset)(又は、開始点)値で定義する方案がある。しかし、バッファされたフレームが存在するSTAの個数は少ないが、それぞれのSTAのAID値の差が大きい場合には圧縮効率が高くない。例えば、AIDが10と2000の値であるただ2つのSTAに送信するフレームのみがバッファされている場合、圧縮されたビットマップの長さは1990であるが、両端を除いてはいずれも0の値を有することになる。一つのAPに関連付けられ得るSTAの個数が少ない場合にはビットマップ圧縮の非効率性があまり問題にならないが、STAの個数が増加する場合は、このような非効率性が全体システム性能を阻害する要素になることもある。
【0114】
これを解決するための方案として、AIDを複数のグループに分けてより効果的なデータ送信を行うようにすることができる。各グループには、指定されたグループID(GID)が割り当てられる。このようなグループベースで割り当てられるAIDについて
図13を参照して説明する。
【0115】
図13(a)は、グループベースで割り当てられたAIDの一例を示す図である。
図13(a)の例示では、AIDビットマップの先頭部におけるいくつかのビットを、GIDを示すために用いることができる。例えば、AIDビットマップにおける先頭の2ビットを用いて4個のGIDを示すことができる。AIDビットマップの全体長がNビットである場合、先頭の2ビット(B1及びB2)の値は当該AIDのGIDを示す。
【0116】
図13(b)は、グループベースで割り当てられたAIDの他の例を示す図である。
図13(b)の例示では、AIDの位置によってGIDを割り当てることができる。このとき、同一のGIDを使用するAIDはオフセット(offset)及び長さ(length)の値で表現することができる。例えば、GID 1がオフセットA及び長さBで表現されると、ビットマップ上でA乃至A+B−1のAIDがGID 1を有するということを意味する。例えば、
図13(b)の例示で、全体1乃至N4のAIDが4個のグループに分割されると仮定する。この場合、GID 1に属するAIDは1乃至N1であり、このグループに属するAIDはオフセット1及び長さN1で表現することができる。次に、GID 2に属するAIDをオフセットN1+1及び長さN2−N1+1で表現することができ、GID 3に属するAIDをオフセットN2+1及び長さN3−N2+1で表現することができ、GID 4に属するAIDをオフセットN3+1及び長さN4−N3+1で表現することができる。
【0117】
このようなグループベースで割り当てられるAIDが導入されると、GIDによって異なる時間区間にチャネルアクセスを許容できるようにすることによって、多数のSTAに対するTIM要素不足の問題を解決すると同時に、効率的なデータの送受信を行うことができる。例えば、特定時間区間では特定グループに該当するSTAにのみチャネルアクセスが許容され、残り他のSTAにはチャネルアクセスが制限(restrict)されてもよい。このように特定STAにのみアクセスが許容される所定の時間区間を、制限されたアクセスウィンドウ(Restricted Access Window;RAW)と呼ぶこともできる。
【0118】
GIDによるチャネルアクセスについて
図13(c)を参照して説明する。
図13(c)では、AIDが3個のグループに分けられている場合、ビーコンインターバルによるチャネルアクセスメカニズムを例示的に示す。一番目のビーコンインターバル(又は、一番目のRAW)は、GID 1に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスが許容される区間で、他のGIDに属するSTAのチャネルアクセスは許容されない。これを具現するために、一番目のビーコンにはGID 1に該当するAIDのみのためのTIM要素が含まれる。二番目のビーコンフレームにはGID 2を有するAIDのみのためのTIM要素が含まれ、これによって二番目のビーコンインターバル(又は、二番目のRAW)の間には、GID 2に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスのみが許容される。三番目のビーコンフレームには、GID 3を有するAIDのみのためのTIM要素が含まれ、これによって三番目のビーコンインターバル(又は、三番目のRAW)の間には、GID 3に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスのみが許容される。四番目のビーコンフレームには再びGID 1を有するAIDのみのためのTIM要素が含まれ、これによって四番目のビーコンインターバル(又は、四番目のRAW)の間には、GID 1に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスのみが許容される。続いて、五番目以降のビーコンインターバル(又は、五番目以降のRAW)のそれぞれにおいても、当該ビーコンフレームに含まれたTIMで指示される特定グループに属したSTAのチャネルアクセスのみが許容されてもよい。
【0119】
図13(c)では、ビーコンインターバルによって許容されるGIDの順序が循環的又は周期的である例示を示しているが、これに制限されることはない。すなわち、TIM要素に特定GIDに属するAIDのみを含めることによって、特定時間区間(例えば、特定RAW)の間に、これら特定AIDに該当するSTAのみのチャネルアクセスを許容し、残りのSTAのチャネルアクセスは許容しない方式で動作してもよい。
【0120】
前述したようなグループベースAID割当方式は、TIMの階層的(hierarchical)構造と呼ぶこともできる。すなわち、全体AID空間を複数個のブロックに分割し、0以外の値を持つ特定ブロックに該当するSTA(すなわち、特定グループのSTA)のチャネルアクセスのみが許容されるようにすることができる。これによって、大きいサイズのTIMを小さいブロック/グループに分割して、STAがTIM情報を維持しやすくし、STAのクラス、サービス品質(QoS)、又は用途によってブロック/グループが管理しやすくなる。
図13の例示では2−レベルの階層を示しているが、2つ以上のレベルの形態で階層的構造のTIMが構成されてもよい。例えば、全体AID空間を複数個のページ(page)グループに分割し、それぞれのページグループを複数個のブロックに区別し、それぞれのブロックを複数個のサブ−ブロックに分割することができる。このような場合、
図13(a)の例示の拡張として、AIDビットマップにおいて先頭のN1個のビットはページID(すなわち、PID)を示し、その次のN2個のビットはブロックIDを示し、その次のN3個のビットはサブ−ブロックIDを示し、残りのビットがサブ−ブロック内のSTAビット位置を示す方式で構成されてもよい。
【0121】
以下に説明する本発明の例示において、STA(又は、それぞれのSTAに割り当てられたAID)を所定の階層的なグループ単位に分割して管理する様々な方式が適用されてもよく、グループベースAID割当方式は上記の例示に制限されるものではない。
【0122】
(改善されたチャネルアクセス方案)
図14は、PS−Pollメカニズムを説明するための図である。
図14は、
図11に示したPS−Pollメカニズムの具体的な例示に該当する。
【0123】
前述したように、STAは、自身にAPから送信されるデータが存在するか否かをビーコンのTIM要素から確認することができる。自身に送信されるデータが存在することを確認したSTAは、APからのデータ(すなわち、下りリンク(DL)データ)を要請するためにAPにPS−Pollフレームを送信することができる。PS−Pollフレームを受信したAPは、競合(contention)を経てSTAにデータを送信することができる。具体的に、データを送信しようとするAPが、データを受信するSTAにRTSフレームを送信し、データを受信するSTAはCTSフレームを送信することによって自身がデータを受信することを知らせることができる。これによって、APはデータフレームをSTAに送信し、ACKフレームを受信することができる。この場合、APはSTAに1回に1個のPSDU(Physicallayer Service Data
Unit)しか送信できない。そのため、APがSTAに送るデータの量が多い場合は、STAからの新しいPS−Pollに応答して競合を経てデータを送信しなければならず、非効率的なデータ送信が行われることがある。
【0124】
図15は、U−APSDメカニズムを説明するための図である。
【0125】
U−APSD(Unscheduled−Automatic Power Save Delivery)メカニズムによれば、U−APSDサービス期間(service period;SP)を用いるために、STAはAPに要請送信期間(requested transmission duration)を知らせることができ、APは上記SPにおいてSTAにフレームを送信することができる。U−APSDメカニズムによれば、STAは自身のSPを用いてAPから1回に複数のPSDUを受信することができる。
【0126】
図15を参照すると、STAは、ビーコンのTIM要素から、APが自身に送信しようとするデータがあることを認知することができる。以降、STAが所望の時点にトリガーフレーム(Trigger frame)をAPに送信することによって、自身のSPが始まったことをAPに知らせながら、APにデータを送信することを要請することができる。APはトリガーフレームに対する応答としてACKを送信することができる。その後、APは競合を経てSTAにRTSを送信し、STAからCTSフレームを受信した後、STAにデータを送信することができる。ここで、APが送信するデータは、一つ以上のデータフレームで構成することができる。APが最後のデータフレームを送信する時、当該データフレームにおけるEOSP(End Of Service Period)を1に設定してSTAに送信すると、STAはそれを認知してSPを終了することができる。これで、STAはAPに成功的なデータ受信を知らせるACKを送信することができる。このように、U−APSDメカニズムによれば、STAは、自身が希望する時に自身のSPを開始してデータを受信することができ、一つのSPにおいて複数のデータフレームを受信することができるため、より効率的なデータの受信が可能となる。
【0127】
一方、前述した
図14及び
図15の例示のように、隠れたノード問題を防止するためにデータ送受信時にRTS/CTSフレームを交換することは、データ送信側にも受信側にも多量のシグナリングオーバーヘッドを誘発することになる。また、
図15の例示のように、STAがトリガーフレームを送信してAPにデータ送信を要請した時点から、APがSTAに送るデータを用意し、データ送信のための競合を経て、RTS/CTSフレームの送受信以降に実際にデータ送信を開始するまでは相当の時間がかかるため、STAにとって多量の電力消耗が発生することがある。
【0128】
例えば、隠れたノード環境では、他のSTAが送信するPS−PollフレームをオーバーヒヤリングできないSTAがあり、複数のSTAからPS−Pollが同時に送信されて衝突が発生することもある。しかも、M2M通信のように、一つのAPに多数のSTAが関連付いている環境では、隠れたノード問題がより発生しやすくなる。また、隠れたノード問題を解決するための既存のCTS/RTSフレーム交換などの方法を用いるとしても、M2M通信に適した低電力STAなどにとっては、CTS/RTSフレーム送受信による電力消耗も大きな負担となり得る。
【0129】
(改善されたCCA動作)
本発明では、CCA動作に関する新しい規則(rule)を提案する。具体的に、STAがドーズ状態(又は、スリープ状態)からアウェイク状態に切り替わる場合に行う新しいCCA規則について提案する。
【0130】
電力節約モードで動作するSTAが上りリンクトラフィックを送信するためには、ドーズ状態からアウェイク状態に切り替わった後にCCA過程を行わなければならない。例えば、あるSTAがドーズ状態からアウェイク状態に切り替わったタイミングに、他のSTAが送受信を行ってチャネルを占有中である場合もある。このような場合に、起床したばっかりのSTAは、他のSTAの送受信が存在するか否かを確認(すなわち、CCAを実行)して、チャネルが占有中でない時にのみ送信を行うことによって、他のSTAの送受信を保護することができる。
【0131】
既存のIEEE802.11標準では、STAがドーズ状態からアウェイク状態に切り替わる場合に適用されるCCA規則が次のように定義されている:「送信をするためにアウェイク状態に切り替わるSTAは、自身のNAVを正確に設定できるようにするフレームシーケンスが検出されるまで、又はプローブディレイ(ProbeDelay)と同じ時間期間が過ぎるまで、CCAを行わなければならない(A STA that is changing from Doze to Awake in order to transmit shall perform CCA until a frame sequence is detected by which it can correctly set its NAV, or until a period of time equal to the Probe Delay has transpired)。」
上記CCA規則は、NAVを正確に設定し得るフレームシーケンスが検出されるまでCCAが行われなければならず、その時間はProbeDelay値に制限されるという意味で解釈することができる。
【0132】
ここで、NAVは、それぞれのSTAごとに保有している指示子であり、STAのCCA機能によってWM(Wireless Medium)が占有(busy)中である旨センシングした場合にも、そうでない場合にも、前記STAが前記WM上への送信を開始してはならない時間期間を指示する指示子である。フレームシーケンスは、一つのデータ単位(例えば、MSDU(MAC Service Data Unit)を送信する一つ以上のフレームを意味する。仮に一つのMSDUが複数個のフラグメント(fragment)に分割されて複数個のフレームを通じて送信される場合に、これら複数個のフラグメントはいずれも同一の一つのフレームシーケンス番号を有する。プローブディレイは、STAがドーズ状態からアウェイク状態に変更された場合における送信に先立って適用されなければならない遅延値を意味する。プローブディレイは、例えば、最大PPDU(PLCP(Physical Layer Convergence Protocol)Packet Data Unit)送信時間に設定することができる。すなわち、プローブディレイは、NAVが設定され得るフレームシーケンスが検出されない場合に適用することができる。
【0133】
前述した既存のCCA規則は、既存のシステムでは大した問題なくSTA間の送信の衝突を防止することができたが、サービスカバレッジの広いBSSが導入される進展したシステム(例えば、IEEE802.11ahシステム)では、次のような問題点が予想される。
【0134】
例えば、あるSTAがNAVを正確に設定し得るフレームシーケンスを検出してCCAを行い、チャネルが遊休状態であると判断した時点で送信を開始する場合にも、次のような隠れたノード環境では、当該チャネルで進行している他のSTAの送受信を保護できないという問題が発生することもある。
【0135】
図16は、隠れたノード環境における既存方式によるCCA動作を説明するための図である。
【0136】
図16の例示で、STA1、STA2及びAP1は同一BSSに属し、AP2は他のBSSに属する場合を仮定する。また、STA1とSTA2は互いに隠れたノードである状況を仮定する。
【0137】
図16の例示のように、STA2がAP1にデータフレームを送信している中に、STA1がドーズ状態からアウェイク状態に切り替わることがある。起床したSTA1は、自身の属したBSSではなく他のBSSに属したAP2のビーコンフレームを受信(又は、オーバーヒヤリング)でき、該ビーコンフレームに含まれたパラメータ(例えば、durationフィールド)に基づいて自身の(すなわち、STA1の)NAVを正確に設定することができる。すなわち、現在CCA規則では、NAVを正確に設定できるフレームシーケンスでさえあれば、当該フレームシーケンスの送信主体にかかわらずに、当該フレームシーケンスを検出するまでのみCCAを行う。その後、STA1は前記設定されたNAVの期間だけ送信を行わず、NAVが満了すると競合を経て(例えば、バックオフ動作を行って)チャネルアクセスを行うことができる。ここで、STA1はチャネルアクセスのために、自身の属したBSSのAP(すなわち、AP1)にPS−Pollフレームを送信する。これによって、STA2のデータフレーム送信と、STA1のPS−Pollフレームの送信とが衝突するようになる。このような問題は、現在チャネルを使用しているSTA2のデータフレームを、STA2と隠れたノード関係にあるSTA1で受信(又は、オーバーヒヤリング)できなかったことに起因する。すなわち、既存のCCA規則によれば、隠れたノード状況でSTA1が他のBSSの任意のフレームを通じて自身のNAV値を正確に設定できるようになると、STA1と隠れたノード関係にあるSTA2の送信を保護できないという問題が生じうる。
【0138】
そこで、本発明では上記のような問題を防止するための新しいCCA規則を提案する。本発明で提案する新しいCCA規則は次のように定義できる:「送信をするためにアウェイク状態に切り替わるSTAは、
同一BSS内で自身のNAVを正確に設定できるようにするフレームシーケンスが検出されるまで、又はプローブディレイ(ProbeDelay)と同じ時間期間が過ぎるまで、CCAを行わなければならない(A STA that is changing from Doze to Awake in order to transmit shall perform CCA until a frame sequence
in the same BSS is detected by which it can correctly set its NAV、or until a period of time equal to the ProbeDelay has transpired)。」
NAVを正確に設定できるフレームシーケンスが検出されるまでCCAを行わなければならず、その時間はProbeDelay値に制限されるということは既存のCCA規則と同一であるが、新しいCCA規則によれば、フレームシーケンスが同一BSSに属するフレームシーケンスでなければならないという条件が追加されたことがわかる。すなわち、同一BSSに属するフレームシーケンスによってNAVが正確に設定されるまではCCAを行わなければならない。
【0139】
新しいCCA規則によれば、
図16のような状況でSTA1がAP2のビーコンフレームをオーバーヒヤリングし、該ビーコンフレームはNAVを正確に設定できるフレームシーケンスに該当する場合であっても、このビーコンフレームはSTA1と同じBSSで送信されるフレームシーケンスに該当しないため、STA1は続けてCCAを行わなければならない。すなわち、STA1は、同一BSSで送信されるとともにNAVを正確に設定できるフレームシーケンスを受信するまでは続けてCCAを行うため、STA2のデータフレーム送信中に隠れたノードにあるSTA1が送信を行うことを防止することができる。
【0140】
(ターゲットアウェイクタイム)
前述したように既存のCCA規則は、STAがドーズ状態からアウェイク状態に切り替わる場合にCCAを行うことと定義している。STAがCCAを行うとそれによる電力消耗が発生する。本発明では、このような電力消耗を除去又は減少させ得るターゲットアウェイクタイム(target awake time)という新しい概念を提案する。
【0141】
ターゲットアウェイクタイムとは、APがSTAに設定及び伝達する値であり、電力節約モードで動作するSTAがドーズ状態からアウェイク状態に切り替わるタイミングを指示する情報である。また、ターゲットアウェイクタイムで起床するSTAはCCAを行う必要がないように設定されてもよい。
【0142】
そのため、ターゲットアウェイクタイムに関連するプロトコルを次のように定義できる:「ターゲットアウェイクタイムで、(1)送信をするためにアウェイク状態に切り替わるSTAは、プローブディレイ(ProbeDelay)と同じ時間期間が過ぎるまでCCAを行わない;(2)TXOP又はTXOP内の送信は、ターゲットアウェイクタイムを渡って含まれない(At the target awake time、(1) A STA that is changing from Doze to Awake in order to transmit does not perform CCA until a period of time equal to the ProbeDelay has transpired; (2) A TXOP or transmission within a TXOP shall not extend across a target awake time)。」
ここで、TXOP(Transmission Opportunity)は、特定STAがWM上でのフレーム交換を開始する権利を持つ時間インターバルとして定義され、開始タイミング及び最大期間値によって設定され得る。
【0143】
前記(1)は、ターゲットアウェイクタイムの設定に従って起床するSTAは、NAV設定のためのCCAを行わないことを意味する。具体的に、ターゲットアウェイクタイムにドーズ状態からアウェイク状態に切り替わったSTAは、NAV設定のためのCCAを行わないで直ちにバックオフ過程及びチャネルアクセス動作を開始することができる。
【0144】
ここで、ターゲットアウェイクタイムで起床したSTAがCCA自体を行ってはならないというように制限的に解析してはならない。すなわち、必要な場合にはSTAがターゲットアウェイクタイムで所定の時間の間にCCAを行うようにすることもできる。この場合、STAがCCAを行う所定の時間は、プローブディレイよりも短い時間に設定することができる。
【0145】
前記(2)は、ターゲットアウェイクタイムではいかなる送受信も許容されないように設定すればよいということを意味する。例えば、TXOPが進行中だったとすれば、当該TXOPはターゲットアウェイクタイムになる前に中断するように設定することができる。言い換えると、TXOPはターゲットアウェイクタイムと重ならないように設定することができる。また、ターゲットアウェイクタイムが後述のように時間スロットの境界としての意味を持つ場合に、TXOPがそれら時間スロットの境界を越えないことに設定することができる。
【0146】
APはビーコンインターバル(すなわち、一つのビーコンフレーム送信タイミング以降から続くビーコンフレーム送信タイミングまでの時間期間)内に複数個のターゲットアウェイクタイムを設定でき、このターゲットアウェイクタイム設定についてSTAに知らせることができる。
【0147】
図17は、本発明に係るターゲットアウェイクタイムが設定される場合のチャネルアクセス動作の一例を示す図である。
【0148】
電力節約モードで動作するSTAにターゲットアウェイクタイムが設定される場合、ドーズ状態のSTAは、設定されたターゲットアウェイクタイム(
図17のTAT)に該当するタイミングでアウェイク状態に切り替わってよい。一つのビーコンインターバルにおいて複数個のTATが設定されてもよいが、
図17では明瞭性のために一つのTATのみを例示的に示す。一つのビーコンインターバルは、あるビーコンフレームが送信されるタイミングからTBTT(Target Beacon Transmission Time)までの時間期間と表現することができる。TBTTは次のビーコン送信タイミングに該当する。
【0149】
本発明の提案によって、TATから起床したSTAはCCA過程を行わず、直ちにバックオフ過程を経てデータフレームを送信することができる。例えば、
図16のSTA1のようにアウェイク状態に切り替わった後に、NAVを正確に設定できるフレームシーケンスを受信するまでCCAを行う既存の動作と違い、
図17の例示では、TATでアウェイク状態に切り替わったSTAは、プローブディレイに相応する時間までCCAを行わなくて済む。
【0150】
また、TATが設定されるSTAは、TXOPがTATを含まないように設定されてもよい。この場合、進行中だったTXOPは、TATに該当するタイミング以前に中断すればよい。
図17の例示では、STAがビーコンフレームを受信した後に他のSTA(例えば、AP)との送受信動作(すなわち、複数個のデータフレームの送信(又は、受信)と複数個のACKフレームの受信(又は、送信))が行われるTXOPは、TAT以前に中断することを示す。
【0151】
図18は、本発明に係るターゲットアウェイクタイム情報要素フォーマットの一例を示す図である。
【0152】
図18の例示のようなターゲットアウェイクタイム情報要素(Information Element;IE)はAPからSTAに伝達することができる。ターゲットアウェイクタイムIEは、ビーコンフレーム、プローブ応答フレーム、関連付け応答フレームのような既存のフレームにさらに含まれて送信されてもよく、又はターゲットアウェイクタイムIEを送信するための新しいフォーマットのフレームに含まれて送信されてもよい。
【0153】
図18で、要素ID(elementID)フィールドは、当該IEがターゲットアウェイクタイムIEであることを示す値に設定することができる。長さ(Length)フィールドは、後続フィールドの長さを所定の単位(例えば、オクテット(octet)単位)で表現する値に設定することができる。これらの後続フィールドは、ターゲットアウェイクタイム開始オフセット(Target Awake Time Start Offset)フィールド、ターゲットアウェイクタイムインターバル(Target Awake Time Interval)フィールド、ターゲットアウェイクタイム#nでのターゲットアウェイクSTA又はGID(Target Awake STAs or GID at Target Awake Time #n)フィールドなどを含むことができる。
【0154】
ターゲットアウェイクタイム開始オフセットフィールドは、ターゲットアウェイクタイムの開始タイミングを示すフィールドであり、所定の基準タイミングからターゲットアウェイクタイムが離れている値に設定することができる。ここで、所定の基準タイミングはTBTTであってもよい。例えば、ターゲットアウェイクタイム開始オフセットは、ターゲットアウェイクタイムの開始タイミングがTBTTからどれくらい後にあるかを示すことができる。
図18では、ターゲットアウェイクタイム開始オフセットフィールドが4オクテットの長さを持つとしたが、これに制限されるものではなく、ターゲットアウェイクタイム開始オフセットが有し得る値の範囲などによって様々な大きさのフィールドとして定義されてもよい。
【0155】
ターゲットアウェイクタイムインターバルフィールドは、連続した2個のターゲットアウェイクタイム間の時間間隔を示すフィールドである。例えば、一つのビーコンインターバル内で複数個のターゲットアウェイクタイムが設定される場合に、最初のターゲットアウェイクタイムのタイミングはターゲットアウェイクタイム開始オフセットによって決定することができ、後続するターゲットアウェイクタイムのタイミングはターゲットアウェイクタイム開始オフセット値からターゲットアウェイクタイムインターバルの値だけ離れたタイミングと設定することができる。例えば、複数個のターゲットアウェイクタイム間の間隔は、ターゲットアウェイクタイムインターバルで与えられる値と同一に設定してもよい。
【0156】
図19は、本発明に係るターゲットアウェイクタイムインターバルを説明するための図である。
【0157】
図19に示すように、ターゲットアウェイクタイムインターバルは時間スロットと理解してもよい。すなわち、STAが起床してチャネルアクセスを行い得る複数個のタイミング(すなわち、複数個のターゲットアウェイクタイム)が設定される場合に、これら複数個のタイミング間の時間間隔をスロット(すなわち、ターゲットアウェイクタイムインターバル)で表現することもできる。この場合、ターゲットアウェイクタイムはスロット境界(slot boundary)と理解してもよい。
【0158】
前述した本発明の提案のように、ターゲットアウェイクタイムで起床したSTAは、CCAを行うことなく直ちにバックオフ過程を経てチャネルアクセスを行うことができるため、ターゲットアウェイクタイムインターバルは、ターゲットアウェイクタイムで起床したSTAに制限的にチャネルアクセスが許容される(すなわち、ターゲットアウェイクタイムが設定されていない他のSTAのチャネルアクセスは禁止される)時間区間と表現することもできる。したがって、一つ以上のターゲットアウェイクタイムインターバルを含む時間区間(例えば、
図19の3個のTATインターバルで構成される時間区間)を、本発明では制限的アクセスウィンドウ(Restricted Access Window:RAW)と表現することもできる。すなわち、
図18のようなターゲットアウェイクタイムインターバルの時間上の位置及び長さを知らせる情報はRAW設定情報と理解されてもよく、この情報はAPが決定してSTAに知らせてもよい。
【0159】
図18ではターゲットアウェイクタイムインターバルフィールドが4オクテットの長さを持つとしたが、これに制限されず、ターゲットアウェイクタイムインターバルが有し得る値の範囲などによって様々な大きさのフィールドとして定義されてもよい。
【0160】
図18を再び参照すると、ターゲットアウェイクタイム#nでのターゲットアウェイクSTA又はGIDフィールド(以下では、「ターゲットアウェイクSTAフィールド」と略す)は、#n番のターゲットアウェイクタイム(Target Awake Time #n)でチャネルアクセスが許容されるSTAの識別情報を含むことができる。ターゲットアウェイクタイム#n(n=1,2,…)は、一つのビーコンインターバル内で複数個のターゲットアウェイクタイムが設定される場合に、それらに対して順に割り当てられるインデックスであってもよい。
【0161】
また、ターゲットアウェイクSTAフィールドは複数個のサブフィールドを含むことができ、一つのサブフィールドが、一つのターゲットアウェイクタイムでチャネルアクセスが許容される一つ又は複数個のSTAの識別子(例えば、AID)を含むことができる。一つのサブフィールドに含まれるSTAの識別子(すなわち、一つのターゲットアウェイクタイム#nでチャネルアクセスが許容されるSTAの識別情報のリスト)を示す一例として、4ビットサイズのAIDの範囲(range)情報(すなわち、{開始AID,終了AID}で表現する方式)を用いてもよい。
【0162】
また、
図18に示すように、ターゲットアウェイクSTAフィールドの一つのサブフィールドの長さが4オクテットであり、n個のサブフィールドが含まれる場合に、ターゲットアウェイクSTAフィールドの長さは4*nオクテットであってもよい。ただし、これに制限されるものではなく、一つのターゲットアウェイクタイムにチャネルアクセスが許容され得るSTAの個数、又は一つのAP内のSTAの個数、STAの識別子情報のタイプ(例えば、完全なAIDフィールド又は部分(partial)AIDフィールド)などによってターゲットアウェイクSTAフィールドは様々な大きさを有してもよい。
【0163】
仮に、複数個のSTAが一つのMU−MIMOグループにグループ化(又は、ペアリング)される場合は、ターゲットアウェイクSTAフィールドにグループ識別子(GID)が含まれてもよい。例えば、複数個のターゲットアウェイクタイムインターバル(又は、RAWを構成する複数個のスロット)に対して、GIDに基づくSTAグループに対するチャネルアクセス許容区間は、ターゲットアウェイクタイムインターバル(又は、スロット)単位で割り当てられてもよい。
【0164】
(同期フレーム)
前述したように、APによってSTAにターゲットアウェイクタイム(又は、スロット境界)が設定される場合に、当該STAはCCAなくチャネルアクセスを行うことができる。さらにいうと、TXOPがターゲットアウェイクタイム(又は、スロット境界)を渡って含まれないように設定される場合に、ターゲットアウェイクタイム(又は、スロット境界)でアウェイク状態に切り替わるSTAは、CCAを行うことなく直ちにチャネルアクセスを行うことができる。
【0165】
OBSS(Overlapping BSS)環境では、一つのBSSで設定するターゲットアウェイクタイムにSTAが起床してチャネルアクセスを行うタイミングに、他のBSSで送受信が行われることもあり、衝突が発生することがある。また、様々な原因によって、ドーズ状態にあるSTAのクロック(clock)が同一BSS内の他のSTAのクロックと時間同期が取れていない場合もあり、このような場合、アウェイク状態に切り替わるSTAのチャネルアクセスは、当該BSSに属した他のSTAの送信と衝突することもある。
【0166】
したがって、ターゲットアウェイクタイム(又は、スロット境界)でSTAが起床して直ちにCCAを行わずにチャネルアクセスをすることを容易にする(facilitate)ために、本発明ではAPがSTAに時間同期のためのフレーム(以下、同期フレーム)を送信することを提案する。具体的に、本発明では、APがSTAのターゲットアウェイクタイム(又は、スロット境界)に合わせて当該STAに同期フレームを送信することができる。ここで、同期フレームは、STAの上りリンク送信のための場合は、上りリンク同期フレームと呼ぶことができる。
【0167】
このような本発明の提案によれば、ターゲットアウェイクタイム(又は、スロット境界)でドーズ状態からアウェイク状態に切り替わるSTAが同期フレームを聴取でき、これを用いてBSSと同期を取った後にチャネルアクセスプロトコルを開始することができる。
【0168】
また、本発明では、同期フレームをNDP(Null Data Packet)フレームフォーマットとすることを提案する。本発明によれば、ターゲットアウェイクタイム(又は、スロット境界)でドーズ状態からアウェイク状態に切り替わるSTAが直ちにチャネルアクセス動作を行うようにするためには、非常に短い時間に媒体(又は、チャネル)に対する同期化を達成しなければならず、既存のフレームフォーマットに比べてデータフィールドを含まないため非常に短い長さを持つNDPフレームの形態で同期フレームを構成することが好ましい。これによれば、STAが同期フレームを受信するためにかかる電力の消耗も最小化することができる。
【0169】
図20は、本発明の一例に係るNDPフレームフォーマットについて説明するための図である。
【0170】
図20(a)は、既存の基本的なIEEE802.11 PPDU(PLCP(Physical Layer Convergence Protocol) Packet Data Unit)フレームフォーマットを示す。
【0171】
既存のPPDUフレームフォーマットは、STF(Short Training Field)、LTF(Long Training Field)、SIG(SIGNAL)フィールド、及びデータ(Data)フィールドで構成される。最も基本的な(例えば、non−HT(High Throughput))PPDUフレームフォーマットは、L−STF(Legacy−STF)、L−LTF(Legacy−LTF)、SIGフィールド及びデータフィールドだけで構成されてもよい。また、PPDUフレームフォーマットの種類(例えば、HT−mixedフォーマットPPDU、HT−greenfieldフォーマットPPDU、VHT(Very High Throughput)PPDUなど)によって、SIGフィールドとデータフィールドとの間に追加の(又は、他の種類の)STF、LTF、SIGフィールドが含まれてもよい。
【0172】
STFは、信号検出、AGC(Automatic Gain Control)、ダイバーシティ選択、精密な時間同期などのための信号であり、LTFは、チャネル推定、周波数誤差推定などのための信号である。STFとLTFを合わせてPCLPプリアンブル(preamble)と称することができ、PLCPプリアンブルはOFDM物理層の同期化及びチャネル推定のための信号ということができる。
【0173】
SIGフィールドは、RATEフィールド及びLENGTHフィールドを含むことができる。RATEフィールドは、データの変調及びコーディングレートに関する情報を含むことができる。LENGTHフィールドは、データの長さに関する情報を含むことができる。さらに、SIGフィールドはパリティ(parity)ビット、SIG TAILビットなどを含むこともできる。
【0174】
データフィールドは、SERVICEフィールド、PSDU(PLCP Service Data Unit)、PPDU TAILビットを含むことができ、必要な場合には埋め草(padding)ビットを含むこともできる。SERVICEフィールドの一部ビットは、受信端におけるデスクランブラの同期化のために用いることができる。PSDUは、MAC層で定義されるMAC PDUに対応し、上位層で生成/利用されるデータを含むことができる。PPDU TAILビットはエンコーダを0状態にリターンするために用いることができる。埋め草(padding)ビットは、データフィールドの長さを所定の単位に合わせるために用いることができる。
【0175】
図20(b)は、既存のCTSフレームフォーマットを示す図である。
【0176】
既存のCTSフレームは、MACフレームフォーマットとして定義され、種類によって区別すると制御フレーム(Control Frame)に該当する。MACフレームは、基本的に、MACヘッダー、フレームボディー、及びFCS(Frame Check Sequence)で構成される。MACフレームは、MAC PDUで構成されて、
図20(a)のPPDUフレームフォーマットのデータ部分におけるPSDUを通じて送信/受信されてもよい。
【0177】
図20(b)の例示で、CTSフレームフォーマットは、フレーム制御(frame control)フィールド、期間(Duration)フィールド、RA(Receiving Address)フィールド、及びFCSフィールドで構成される。期間フィールドは、当該フレームなどを送信するための時間に設定することができ、これを他のSTAのNAV設定に用いることができる。RAフィールドは、CTSフレームを受信するSTAのアドレスに該当する。ここで、フレーム制御フィールド、期間フィールド、RAフィールドがMACヘッダーを構成する。フレーム制御フィールドは、フレーム送信/受信に必要な制御情報を含むことができる。期間フィールドは、当該フレームなどを送信するための時間に設定することができ、これを他のSTAのNAV設定に用いることができる。RAフィールドは、CTSフレームを受信するSTAのアドレスに該当する。ここで、フレーム制御フィールド、期間フィールド、RAフィールドがMACヘッダーを構成する。すなわち、CTSフレームフォーマットは、フレームボディー無しでMACヘッダー及びFCSだけで構成される。
【0178】
フレーム制御フィールドは、プロトコルバージョン(Protocol Version)フィールド、Typeフィールド、Subtypeフィールド、To DSフィールド、From DSフィールド、MF(More Fragment)フィールド、Retryフィールド、PM(Power Management)フィールド、MD(More Data)フィールド、PF(Protected Frame)フィールド、及びOrderフィールドで構成することができる。
【0179】
図20(c)は、本発明で提案するNDPフレームフォーマットを示す。NDPフレームは、データパケットを含まないフレーム構造を意味する。すなわち、NDPフレームは、
図20(a)において先頭におけるPLCPプリアンブル部分とSIGフィールドのみを含み、残りの部分(すなわち、データフィールド)は含まないフレームフォーマットを意味する。本発明では、チャネルアクセスのためにSTAがAPに送信するフレームとAPがSTAに送信するフレームに対して、
図20(c)のようなNDPフレームフォーマットを用いることによって、STAの電力消耗を低減し、遅延時間を減らすことができる。例えば、本発明で提案する同期フレームとしてNDPフレームを用いることができる。
【0180】
具体的に、前述した本発明の提案のように、APが特定STAのために設定するターゲットアウェイクタイムでアウェイク状態に切り替わるSTAは、CCAを行わずにチャネルアクセスを行うことができる。当該STAが媒体(又は、チャネル)に速やかに同期化することを容易にするために、APはSTAにNDPフレームで構成される同期フレームを送信することができる。
【0181】
図20(c)のようにNDPフレームフォーマットを構成する場合に、
図20(a)のデータフィールド(例えば、
図20(b)のMAC制御フレーム)が含まれないため、データフィールドに属するPSDU(すなわち、MACフレーム)のフレーム制御フィールドに該当する情報も含まれない。しかし、NDPフレームを送受信するために最小限の制御情報はNDPフレーム内に含まれなければならない。そのために、本発明では、
図20(c)のSIGフィールドに同期化のための最小限の制御情報が含まれることを提案する。
【0182】
すなわち、前述したように、NDPフレームは、STF、LTF、SIGフィールドだけで構成される。ここで、STF及びLTFフィールドは、SIGフィールドをデコードするために必要なチャネル推定信号(又は、シーケンス)で構成される。SIGフィールドは、複数のサブフィールドで構成することができる。例えば、SIGフィールドは、期間(Duration)サブフィールド及びBSSID(BSS Identifier)サブフィールドなどを含むことができる。また、SIGフィールドは、上記2つのサブフィールドに加えて他のサブフィールドを含んでもよい。上記サブフィールドの順序は特に制限されず、例示的なものである。
【0183】
BSSIDサブフィールドは、
図20(c)のNDPフレーム(すなわち、同期フレーム)を送信するAPを識別するための情報である。また、BSSIDサブフィールドは、BSSIDの短縮された(abbreviated)形態で定義される部分BSSID(Partial BSSID;PBSSID)に該当してもよい。また、BSSIDサブフィールドは、当該APを識別するための用途の所定の形態のID値(例えば、新しい形態のBSSID、又は既存のBSSIDをハッシュ(hashing)した結果値など)に該当してもよい。
【0184】
サブフィールドは、当該NDPフレーム(すなわち、同期フレーム)を受信するSTA以外の他のSTAがNAVを設定する用途に用いられてもよい。すなわち、期間サブフィールドは、CTSフレーム自体の送信に必要な時間又はデータ/管理フレームを送信し、ACKを受信するために必要な時間などを示す値に設定することができ、これによって、他のSTAはその時間の間には送信を行わないようにNAVを設定することができる。
【0185】
又は、NDPフレーム(すなわち、同期フレーム)を受信するSTAにとっては、期間サブフィールドの値が0である場合、当該NDPフレーム(すなわち、同期フレーム)を受信すると直ちに当該STAのチャネルアクセスが許容されることと解釈されてもよい。期間サブフィールドの値が0でない場合、当該NDPフレーム(すなわち、同期フレーム)を受信した時点から期間サブフィールドの値に該当する時間後に当該STAのチャネルアクセスが許容されることと解釈されてもよい。期間サブフィールドの値が0である場合、CF(Contention Free)−ENDフレームと同一の役割を持ち、期間サブフィールドの値が0以外の場合、CF(Contention Free)−Pollフレームと類似の用途に用いられてもよい。
【0186】
CRCサブフィールドは、NDPフレームのSIGフィールドに対するエラー検出のために用いることができる。
【0187】
あるSTAのターゲットアウェイクタイム(又は、スロット境界)で、当該STAにAPが同期フレームとして
図20(c)のNDPフレームを送信することができる。
【0188】
図21は、本発明の一例に係るチャネルアクセス方法を説明するための図である。
【0189】
段階S2110で第1のSTA(例えば、AP)は第2のSTA(例えば、non−AP STA)に一つ以上のスロット(又は、ターゲットアウェイクタイムインターバル)、一つ以上のスロット境界(又は、ターゲットアウェイクタイム)に関する設定情報を提供することができる。
【0190】
段階S2120で、第1のSTAは第2のSTAのスロット境界(又は、ターゲットアウェイクタイム)で同期フレームを送信することができる。同期フレームは、
図20(c)のようなNDPフレームで構成されてもよく、BSSID情報と期間(Duration)情報を含むことができる。
【0191】
段階2130で、第2のSTAは、第1のSTAによって設定されたスロット境界(又は、ターゲットアウェイクタイム)でアウェイク状態に切り替わって上記段階S2120で同期フレームを受信した後、チャネルアクセスを行うことができる。仮に、TXOPのスロット境界重畳が禁止される場合、第2のSTAはCCAを行うことなく直ちに段階S2130でチャネルアクセスを開始することができる。チャネルアクセス開始は競合を経て(すなわち、バックオフ過程を経て)フレームを送信することを含む。
【0192】
図21で説明した通り、NDPフレームで構成された同期フレームを用いて、スロット境界(又は、ターゲットアウェイクタイム)でアウェイク状態に切り替わる第2のSTAがCCAを行わずにチャネルアクセスを行うため、第2のSTAの電力消耗を最小化することができる。
【0193】
前述した本発明の様々な実施例で説明した事項は、独立して適用されてもよく、又は2つ以上の実施例が同時に適用されるように具現されてもよい。
【0194】
図22は、本発明の一実施例に係る無線装置の構成を示すブロック図である。
【0195】
AP10は、プロセッサ11、メモリー12、送受信器13を備えることができる。STA20は、プロセッサ21、メモリー22、送受信器23を備えることができる。送受信器13及び23は、無線信号を送信/受信することができ、例えば、IEEE 802システムに基づく物理層を具現することができる。プロセッサ11及び21は、送受信器13及び21と接続して、IEEE 802システムに基づく物理層及び/又はMAC層を具現することができる。プロセッサ11及び21は、前述した本発明の様々な実施例に係る動作を行うように構成されてもよい。また、前述した本発明の様々な実施例に係るAP及びSTAの動作を具現するモジュールがメモリー12及び22に格納され、プロセッサ11及び21によって実行されてもよい。メモリー12及び22は、プロセッサ11及び21の内部に含まれてもよく、又はプロセッサ11及び21の外部に設けられて、プロセッサ11及び21と公知の手段によって接続されてもよい。
【0196】
このようなAP及びSTA装置の具体的な構成は、前述した本発明の様々な実施例で説明した事項が独立して適用されたり、又は2つ以上の実施例が同時に適用されるように具現されてもよく、重複する内容は明確性のために説明を省略する。
【0197】
上述した本発明の実施例は様々な手段を用いて具現することができる。例えば、本発明の実施例は、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェア又はそれらの結合などによって具現することができる。
【0198】
ハードウェアによる具現の場合、本発明の実施例に係る方法は、一つ又はそれ以上のASICs(Application Specific Integrated Circuits)、DSPs(Digital Signal Processors)、DSPDs(Digital Signal Processing Devices)、PLDs(Programmable Logic Devices)、FPGAs(Field Programmable Gate Arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって具現することができる。
【0199】
ファームウェアやソフトウェアによる具現の場合、本発明の実施例に係る方法は、以上で説明された機能又は動作を実行するモジュール、手順又は関数などの形態で具現することができる。ソフトウェアコードは、メモリーユニットに保存され、プロセッサによって駆動されてよい。メモリーユニットは、プロセッサの内部又は外部に設けられ、既に公知の様々な手段によってプロセッサとデータを交換することができる。
【0200】
以上開示された本発明の好ましい実施例についての詳細な説明は、当業者が本発明を具現して実施できるように提供された。以上では本発明の好適な実施例を参照して説明したが、当該技術の分野における熟練した当業者に理解されるように、本発明の領域から逸脱しない範囲内で本発明を様々に修正及び変更することもできる。例えば、当業者は、上記の実施例に記載された各構成を互いに組み合わせる方式で用いてもよい。したがって、本発明は、ここに開示されている実施形態に制限されるものではなく、ここに開示されている原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えるためのものである。