(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、肥満、及び/又は糖尿病、及び/又は体重減少、及び/又は糖尿病に関連する他の健康問題を治療するための新規な医療用の装置に関する。この装置は、胃腸管の中での栄養物の吸収を妨げる、すなわち栄養物を胃腸管の一部から実質的に分離するのに用いられる。この装置は、侵襲が最少の技術(例えば可視化状態での経食道法や、従来技術で知られている他の方法)を利用して埋め込むことができる。
【0021】
一実施態様では、この装置は、スリーブと、少なくとも1つの固着部材要素を備える。固着部材要素は、従来技術で知られている分離可能な部材要素又は接合剤を用いてスリーブの少なくとも一部に取り付けられる。接合剤としては、デンプン、シアノアクリレート、シリコーン、ウレタン、熱可塑性ポリマー(例えばナイロン、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、ポリウレタン(PU)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)や、従来技術で知られている他のもの)が挙げられる。接合剤は、許容可能な生体適合性を持っていて、コポリマーから形成されることが好ましい。コポリマーとしては、例えばテトラフルオロエチレンペルフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー(TFE/PAVE)、テトラフルオロエチレンペルフルオロメチルビニルエーテルコポリマー(TFE/PMVE)や、これらの組み合わせがある。もちろん、生体吸収性材料として、ポリグリコール酸と炭酸トリメチレンモノマー(PGA/TMC)、ポリグリコール酸とポリ酢酸(PGA/PLA)や、これらの組み合わせも用いることができる。
【0022】
固着部材要素はなくてもよく、スリーブは、他の取り付けメカニズムを通じて患者に取り付けてもよい。例えばスリーブは、従来から知られているさまざまな取り付けメカニズム(例えば縫合糸、ステープル、接着剤、アンカー、フック、又はこれらの組み合わせなど)によって患者の身体構造に直接取り付けることができる。
【0023】
固着部材要素は、スリーブの内表面又は外表面に取り付けることができる。分離可能な部材要素は、能動的部材要素でも、受動的部材要素でも、その組み合わせでもよい。分離可能な能動的部材要素は、分離しやすくするのに外部からの何らかの介入が必要な部材要素である。例えば引っ張りメカニズム(例えば紐、タブや、他の同様のメカニズム)が外部供給源(例えばエネルギー源、化学的供給源、熱源、これらの組み合わせなど)を備えたものが可能である。エネルギー源として、超音波エネルギー、電気化学エネルギー、磁気エネルギーなどが挙げられる。化学的供給源として、さまざまな溶液(例えば少なくとも一時的に胃腸管などのpHを変化させる溶液)が挙げられる。分離可能な受動的部材要素は、外部からの介入なしで時間経過とともに分離される部材要素である。例えば分離可能な受動的部材要素として、所定の身体構造の中で所定の崩壊サイクルを持つ分解性材料が挙げられる。いくつかの実施態様では、分解性材料として、この明細書に記載した生体吸収性材料、生体消化性材料、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0024】
スリーブは、消化された材料(例えば消化しやすいように加工した食物、キームス、胃腸内の材料、胃の中で見られる流体など)を運ぶための導管である。スリーブは、胃腸管の少なくとも一部からの消化された流体及び/又は胃腸液(例えば胆液、膵液)の少なくとも一部を分離できるように設計されている。例えばスリーブは、胃腸管の中にある絨毛の少なくとも一部からのキームスの少なくとも一部を分離することができる。スリーブは、胃腸管の蠕動メカニズム及び/又は輸送メカニズムを実質的に抑制しない一部圧縮可能な導管であり、そのことによってその導管の中を消化された材料を輸送できることが好ましい。
【0025】
スリーブは、分離可能な部材要素を用いて互いに取り付けられた複数の異なる材料を含むことができる。より詳細には、スリーブは、分離可能な部材要素を用いて互いに取り付けられた第1の領域と第2の領域を含むことができる。ここでも、分離可能な部材要素は、すでに説明したように、分離可能な能動的部材要素でも、分離可能な受動的部材要素でもよい。好ましい一実施態様では、分離可能な部材要素は縫合糸を含む。
【0026】
スリーブは複数の異なる材料を含んでいてもよいため、特性(例えば多孔度、ポアサイズ、厚さなど)が異なる複数の領域を形成する。多孔度は%多孔度で表現され、製品の密度とPTFEのバルク密度の商を計算し、その商に100%を掛けることによって決定できる。この計算を行なうため、PTFEのバルク密度を2.2g/ccに取った。
【0027】
消化された材料を胃腸管から完全に分離したいときには、好ましい多孔度は約0%である。時間経過とともに分離の程度を変えたいときには、スリーブのポアを分解可能な材料(例えば所定の時間が経過した後に吸収される生体吸収性材料)で満たすことが好ましい。この場合には、最初のスリーブを多孔性にすること、すなわちそのスリーブが、栄養物及び/又は胃腸液がスリーブの壁を通過するのに充分なサイズのポアを持つようにすることができる。例えばスリーブの多孔度は、約0%〜約85%の範囲又はそれ以上にすることができる。
【0028】
ポアサイズは、ポアの最大サイズの平均として評価することができる。多孔性延伸ePTFE材料では、ポアサイズは、微小繊維の長さの平均によって評価することができる。微小繊維の長さを約20ミクロンにすると、栄養物が胃腸管を通過することができる。スリーブのポアサイズは、約0ミクロン〜6mmの範囲又はそれ以上にすることができる。ポアサイズは、実質的に一様でも一様でなくてもよく、スリーブ全体で変化していてもよい。例えばスリーブをマクロな多孔性にして、6mmの穴がスリーブの少なくとも一部の全体に存在しているようにできる。このようにすることは、従来技術で知られている任意の手段によって可能である。例えばスリーブにパンチで穴を開ける、レーザー処理する、エッチングするといった手段や、これらの組み合わせが挙げられる。ポアサイズは、標的とする栄養物及び/又は胃腸液がスリーブの壁又はその一部を選択的に通過できるような設計にすることができる。
【0029】
スリーブの異なる領域の特性は、時間経過とともに変化してもよいし、スリーブの埋め込み期間を通じて一定であってもよい。例えば多孔性スリーブの一部の上に生体吸収性材料を用いる場合には、その生体吸収性材料が分解するにつれてスリーブの多孔度が変化することになる。一実施態様では、スリーブで多孔度の異なるさまざまな区画は、分離可能な部材要素を用いて取り付けることができる。より詳細には、スリーブは、分離可能な部材要素を用いて互いに取り付けられた第1の領域と第2の領域を有する。ここでも、分離可能な部材要素として、すでに記載したように分離可能な受動的部材要素又は分離可能な能動的部材要素が可能である。好ましい一実施態様では、分離可能な部材要素は縫合糸を含む。
【0030】
別の一実施態様では、スリーブは、分離可能な部材要素がスリーブの少なくとも一部に取り付けられるように構成した。例えばスリーブは、長手方向の縫い目で分離可能な部材要素に取り付けられるようにすることができる。
【0031】
別の一実施態様では、装置は、患者の十二指腸の中に位置するサイズにされた第一固着部材要素と、その第一固着部材要素に取り付けられていてその第一固着部材要素から延びる第一スリーブを備える。第一スリーブは、近位端と、遠位端と、内表面と、外表面と、近位端から遠位端まで延びる壁部と、壁部にある少なくとも1つの開口部を有する。第二固着部材要素が、患者の胆管の中に位置するサイズにされている。第二スリーブは、第二固着部材要素に取り付けられていてその第二固着部材要素から延びている。
【0032】
スリーブは、スリーブが適切に広がって設置されていること(例えば向き、場所など)を医師が判断できるマーキング、又はスリーブを医師が望む長さに調節することを可能にするマーキングを含むことができる。マーキングとして、侵襲なしに可視化しやすくする放射線不透過性材料、又はこの分野で知られている他の適切な可視化材料も挙げられる。例えばスリーブは、スリーブの長さの少なくとも一部に組み込まれた放射線不透過性材料からなる少なくとも1つの細長いストリップを備えることができる。
【0033】
医師は、必要であると判断したときには、スリーブを肥満及び/又は糖尿病の治療に適した任意の長さに調節することができる。例えばスリーブは、約2cm〜1000cmの範囲の長さを持つことができる。スリーブの長さは約50cm〜200cmの範囲であることが好ましい。
【0034】
スリーブは、異なる幾何学的形状の断面(例えば円、楕円、長円、菱形、正方形や、これらの組み合わせなど)が任意の数ある設計にできる。それに加え、スリーブは、長さ方向に沿って狭く(例えばテーパー形に)なっていてもよい。例えばスある場所でのリーブの断面積は、別の場所での断面積よりも大きくすることができる。スリーブは、円形断面を持つ設計にすることが好ましい。それに加え、スリーブは、狭くなった、又は広がった断面の領域を局所的に含むことができる。
【0035】
スリーブの外径は、そのスリーブを患者の体内にある胃腸管の中にフィットさせることのできるサイズにされていることが好ましい。スリーブの外径は、患者の胃腸管の中で過大なサイズ又は過小なサイズにすることもできる。すなわち最も外側のサイズ(例えば外径)は、胃腸管のサイズよりも大きくすること、又は小さくすることができる。円形断面にするときには、外径は約15mm〜約50mmの範囲であることが好ましく、約20mm〜30mmの範囲であることがより好ましい。
【0036】
スリーブは、胃腸管の蠕動メカニズム及び/又はスリーブの長さに沿った他の輸送メカニズムを可能にするのに充分な可撓性のあるサイズと設計であることが好ましい。厚さは、消化された材料が導管の中を蠕動メカニズム又は他の輸送メカニズムによって輸送できるように選択する。スリーブの厚さは、約0.003mm〜約2.6mmの範囲であることが好ましく、約0.02mm〜約0.7mmの範囲がより好ましい。スリーブの厚さは、スリーブの長さに沿って変化していてもよい。例えばスリーブは、一端でより厚く、他端でより薄くすることができる。
【0037】
従来技術で知られている多数の製造法を利用してスリーブを形成することができる。例えばそうした方法は、押し出し又はその他の方法の形態を取ることができ、胃から出る材料の少なくとも一部を小腸から分離することのできる機械的特性と物理的特性を持つ組成物からスリーブが形成される。例えばスリーブは、消化された材料の少なくとも一部を消化管環境からそのスリーブの中に分離する。この分離が完全であるようにすること、不完全であるようにすること、患者の体内で時間経過とともに変化するようにすること、スリーブの長さに沿って変化するようにすることや、これらを組み合わせることができる。分離は、小腸の一部を下る栄養物の吸収が少なくとも部分的に妨げられるように設計し、そのことによって患者の体重減少が促進されることが好ましい。
【0038】
スリーブは、その全体又は一部を、さまざまな分解性材料、ポリマー材料、合成材料、天然材料、ならびにこれらの組み合わせを用いて構成することができる。いくつかの実施態様では、スリーブは、ブレンド(例えば可塑化された系及び/又はミクロ相非混和系)として混合された多数の成分で構成することができる。形成されたスリーブに適切な反応基が導入されるのであれば、熱硬化系又は化学的架橋系として一般に知られているものを適切な硬化条件下で生成させることができる。形成されたスリーブは、ラミネート又は繊維強化複合体の形態にすることもできる。もちろん、選択された組成物の特性(例えば分子量、及び/又はガラス転移温度、及び/又は結晶性、及び/又は架橋の程度)がスリーブの望ましい特性を決定することになろう。スリーブは、さまざまな治療薬で覆われていてもよい(例えばビタミンコーティング、薬剤コーティングなど)。ビタミンコーティングは、従来の減量療法の患者で実現されている治療用ビタミン療法を真似る、又は補足する設計にすることができる。
【0039】
好ましい一実施態様では、スリーブは、ePTFE材料とFEP材料の複合体から構成される。この複合体は、ラミネートの一方の側にFEP層を持ち、反対側にePTFEを持つ。この複合フイルムは以下の諸特性を持っていた。厚さは約0.002mm〜約0.7mmの範囲だが、約0.02mm〜約0.3mmの範囲がより好ましい。約0.6MPaよりも大きいIPAバブルポイントと、最も弱い方向で少なくとも約75MPaの引っ張り強さ。より好ましいのは、最も強い方向で約309MPaの引っ張り強さも有することである。好ましい一実施態様では、得られるスリーブは、胃腸液(例えばキームス)、胆膵液、消化された食物、胃酸などを透過させない。
【0040】
スリーブは、従来技術で知られている連続プロセス又はバッチプロセスで製造することができる。一実施態様では、複数のストリップ状のフイルムをマンドレルの長さ方向に沿って配置することができる。ストリップは、マンドレルの長さに沿って均一な間隔にしても、不均一な間隔にしてもよい。すなわちストリップは、互いに重なっても重ならなくてもよい。好ましい一実施態様では、ストリップはFEPとePTFEの複合フイルムだが、この明細書に記載した他のスリーブ材料も使用できる。この実施態様では、フイルムの接着FEP側が上向きになるように、すなわちマンドレルから離れるように配置することができる。
【0041】
次に、長手方向を向いたフイルムを有するマンドレルを別の複合フイルムで螺旋状に包む。螺旋状に包むフイルムは、すでに使用した複合フイルムと同じ材料でも異なる材料でもよい。FEP接着剤は下向きにマンドレルの方を向けて長手方向のフイルムと接した状態にすることができる。螺旋状包装装置を用いてフイルムを所定のピッチで付着させることができる。ピッチは、マンドレル1回転当たりの前進量と定義される。長手方向に螺旋状に包むプロセスは、1回以上繰り返すことができる。
【0042】
次に、フイルムが層になったこのマンドレルを炉(例えば約250〜400℃(約300〜340℃がより好ましい)の範囲の温度に設定した空気対流炉)の中に入れることができる。このマンドレルは、炉の中で約15〜60分間(約25〜35分間がより好ましい)の時間にわたって加熱することができる。炉から取り出すと、得られたスリーブを室温まで冷却する。あるいは従来技術で知られている他の適切な方法をスリーブの製造で利用することができる。
【0043】
固着部材要素は、自己拡張性固着部材要素、又はバルーン拡張性固着部材要素、又は自己拡張性とバルーン拡張性を組み合わせた固着部材要素のいずれかが可能である。いくつかの実施態様では、固着部材要素は、デバイスの少なくとも一部を胃腸管の一部の中に(例えば幽門の前に、又は幽門を横断して、又は幽門の後に)固定するのに用いられる。他の固着場所も可能であり、例えば食道の中、及び/又は胃と食道の境界、及び/又は胃の中(例えば幽門の前、胃の幽門洞の中)、幽門を横断して、十二指腸球部の中、小腸の中、他の適切な部位のいずれかに配置することができる。
【0044】
固着部材要素は、可撓性で強度のある材料から構成することが好ましい。固着部材要素は、分解可能で生体吸収性の材料、生体消化性材料、ポリマー材料、金属材料や、これらの組み合わせで形成することができる。それに加え、これらの材料は、他の材料(例えばポリマー材料など)で強化すること、及び/又は被覆することができる。被覆は、例えばePTFEなどの熱可塑性コーティングを用いて胃腸管の酸性効果又は塩基性効果を減らすように選択することができる。
【0045】
固着部材要素は、従来技術で知られているように、一定の厚さ及び/又は変化する厚さを持つさまざまな幾何学的形状にすることができる。幾何学的形状として、ステントに関して従来からある多くの形状が可能であり、例えば螺旋状に包まれたステント、Z形ステント、テーパー状ステント、コイル状ステント、これらの組み合わせなどがある。さらに、固着部材要素は、一方の側にフランジを持ち、反対側にコイルの形状を持つ設計にすることができる。固着部材要素は、テーパー状の構成を持つこと、すなわちこの固着部材要素の一端が他端よりも広くなっていることが好ましい。このテーパー状の構成だと、幽門の近く又は遠くによりよく固着されると考えられる。
【0046】
固着部材要素は、時間経過とともに分解する設計にできる。例えば固着部材要素は、身体の酸性環境又は塩基性環境に曝露されると分解する設計にできる。このような設計では、固着部材要素は、生体消化性材料及び/又は生体吸収性材料から構成できる。生体消化性材料として、酸又は塩基で分解する金属と合金(例えば鉄、アルミニウム、クロム合金など)がある。もちろん、時間経過とともに分解する従来から知られている他の材料も、固着部材要素の製造に使用できる。
【0047】
生体吸収性の自己拡張性固着部材要素は、例えばアメリカ合衆国特許出願公開2006/0025852に教示されているようにして製造できる。例えば実質的にチューブ状の形状になった一体型骨組み構造を利用できる。一体型骨組み構造は、この明細書に記載したような生体吸収性材料を含む。一実施態様では、その材料は、加水分解可能な非混合ポリマー材料を、ポリ(グリコリド)とポリ(炭酸トリメチレン)からなる3ブロックコポリマーの形態で含む。
【0048】
別の一実施態様では、固着部材要素は、ニチノールなどの超弾性材料から構成される。この材料は、切断したチューブ材料、又はワイヤ材料から形成することができる。この材料は、約0.01〜0.5mmの範囲又はそれ以上の厚さにされる。この材料は、任意の断面形状(例えば円、楕円、正方形、三角形、リボンなど)を持つことができる。
【0049】
固着部材要素は、従来技術で知られているようにして製造できる(例えばチューブをレーザーで切断する)。一実施態様では、固着部材要素は、ワイヤ(例えばニチノール製ワイヤ)から形成される。ワイヤは、治具上のさまざまな間隔のピンのまわりに配置される。ピンは、望む幾何学的パターンになるように治具の表面に間隔を空けて配置されている。ピンは、続く熱硬化プロセスの間を通じてワイヤを望む形状に保持する働きを持つ。それに加え、治具は、長軸に沿ってテーパ状に、又はまっすぐにすることができる。治具は、ステンレス鋼製の円筒から構成することが好ましい。ワイヤをさまざまなピンのまわりに巻き付けて固着部材要素を形成する。ワイヤの各端部は、終端ユニット(例えばワイヤの端部を保持するネジ頭)の下で終わらせる。
【0050】
ワイヤと治具は、形状硬化温度にした熱源(例えば対流式炉)の中に入れられる。超弾性ニチノールワイヤを用いるときには、形状硬化温度は約440℃〜500℃の範囲であり、約460℃〜480℃がより好ましい。超弾性ニチノールワイヤは、熱源の中に約10〜40分間の時間にわたって入れられるが、時間は約15〜20分間がより好ましい。治具とワイヤは、取り出すと、室温にした水浴の中に沈める。治具を冷却して乾燥させた後、固着部材要素を取り出し、過剰なあらゆるワイヤを切断する。
【0051】
分解可能な材料には、この明細書に記載してある生体吸収性材料と生体消化性材料が含まれる。生体消化性材料には、消化管の中で同化状態に変換できる材料、又は少なくとも一部が分解されて消化管の中を通過できるようにする材料が含まれる。生体吸収性材料には、以下に示すモノマーのうちの1種類以上がさまざまな量になった生体吸収性のポリマーとコポリマーが含まれる。モノマーの例は、グリコリド、d,1-ラクチド、l-ラクチド、d-ラクチド、p-ジオキサノン(1,4-ジオキサン-2-オン)、炭酸トリメチレン(1,3-ジオキサン-2-オン)、ε-カプロラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、1,4-ジオキセパン-2-オン、1,5-ジオキセパン-2-オンである。身体から排泄できる長さの区画として導入されるか、そのような長さの区画に分解できるポリマーも、生体吸収性であると考えることができ、そのようなポリマーとして、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アミノ酸、無水物、オルトエステル、ホスファジン、アミド、ウレタン、ホスホエステルなどが挙げられる。別のコポリマーは、全体に、又は一部に、ブロックポリマー構造特性、区画化されたポリマー構造特性、ランダムポリマー構造特性、交互になったポリマー構造特性、統計的ポリマー構造特性のいずれかを持っていてもよい。動物由来の生成物(例えばエラスチンやコラーゲン)で体内で吸収性である(例えば酵素によって分解される)もの、又は化学処理を通じて非吸収性にされたもの(例えばグルタルアルデヒドが架橋したウシの囲心腔)も、スリーブ構造体として、又はスリーブ構造体の中で使用することができる。スリーブとして可能な別の成分として、天然由来の多糖や修飾された多糖(例えばキトサン、及び/又はアルギン酸塩、及び/又はヒアルロン酸)が挙げられる。
【0052】
これから本発明のさまざまな実施態様を詳細に参照する。その実施態様の例は、添付の図面に示されている。
【0053】
図1Aは、本発明の一実施態様による埋め込み可能な装置を示している。
図1Bは、
図1Aによる固着部材要素から分離したスリーブを示す。
図1Cは、
図1Aの拡大図である。
【0054】
図1A〜
図1Cを参照すると、埋め込み可能な装置の全体が参照番号100で示されている。この装置100は、スリーブ102と固着部材要素104を備える。固着部材要素104は、分離可能な部材要素106を用いてスリーブ102に取り付けられる。
【0055】
分離可能な部材要素106は、能動的部材要素でも受動的部材要素でもよい。この実施態様では、分離可能な部材要素106は、あるパターンで固着部材要素の一部に取り付けた材料を含む。例えば接着剤を狭いストリップ状の材料として付着させ、固着部材要素の一部をスリーブに取り付けることができる。パターンは、
図1Cに示してあるように固着部材要素104の両側で利用することが好ましい。しかし分離可能な部材要素106は、任意の幾何学的パターン(例えば円、正方形、菱形、リング、線など)で配置することができる。利用するパターンの厚さとタイプが、分離時間に関係する1つの因子となる可能性がある。
【0056】
この実施態様では、分離可能な部材要素は、時間経過とともに分解する材料(例えば、この明細書に記載したような生体吸収性材料と生体消化性材料のうちの少なくとも1つを含む分解可能な材料)の中から選択される。材料は、生体吸収性材料(例えばPGA/PLAや、この分野で知られている他の材料)であることが好ましい。実際には、生体吸収性材料は所定の時間で分解し、スリーブ102が固着部材要素104から離れる。するとスリーブは自由になって胃腸管の残りの部分を移動する。スリーブが離れた後は、スリーブと胃腸管の少なくとも一部の長さにおいて胃腸液からキームスが分離されることはもはやない。
【0057】
図2Aは、本発明の別の一実施態様による埋め込み可能な装置を示している。
図2Bは、
図2Aの装置の部材要素が分離した状態を示している。
図2Cは、異なる特性の複数の区画を持つ
図2Aによる装置を示している。
【0058】
図2A〜
図2Cを参照すると、埋め込み可能な装置の全体が参照番号200で示されている。この装置200は、スリーブと固着部材要素202を備える。固着部材要素202は、従来技術で知られているように接着剤204を用いてスリーブに取り付けられる。接着剤204は、固着部材要素202の任意の部分に、又は固着部材要素202を完全に覆うように付着させることができる。例えば接着剤は、あるパターン(例えば狭いストリップ状の材料)にして付着させ、固着部材要素202の一部をスリーブに取り付けることができる。パターンは、固着部材要素202の両側で用いることが好ましい。ここでも、接着剤204は任意の幾何学的パターン(円、リング、線など)で配置することができる。利用するパターンの厚さとタイプが、強度に関係する1つの因子となる可能性がある。あるいはこの明細書に記載して(例えば
図1A〜
図1Cに示して)あるように、分離可能な部材要素を用いて固着部材要素をスリーブに付着させることもできる。
【0059】
スリーブは、分離可能な部材要素210を用いて同時に配置される第1の部分206と第2の部分208を含む。この実施態様では、スリーブの第1の部分206と第2の部分208は、周辺部が分離可能な能動的部材要素210を用いて取り付けられる。分離可能な能動的部材要素210は、あるパターンに配置された繊維(例えば鎖状の縫い目)である。繊維はフルオロポリマー製縫合糸(例えばePTFE製縫合糸)であることが好ましい。繊維210は、把持と張力印加を容易にするための自由な部分(図示せず)を有するため、従来技術で知られているようにして縫い目が分離する。スリーブの第1の部分206と第2の部分208は同じ材料から構成することができる。あるいはスリーブの第1の部分と第2の部分は、異なる材料から構成してもよい。異なるスリーブ用材料は異なる特性(例えば異なる多孔度)を持つ可能性があるため、
図2Cに示したようにスリーブ全体で吸収率が異なっているようにできる。あるいは第1の部分と第2の部分を例えば接着剤で互いに永続的に接合してもよい。
【0060】
スリーブの複数の部分を接合してその場で長さを調節できるようにすることも可能であろう。例えばそれぞれが分離可能な部材要素を有する6つの同じ区画、又は同じでない区画が取り付けられたスリーブが可能である。このようにすると医師は、スリーブの一部を分離させてその場で長さを調節することができよう。分離可能な部材要素(例えばこの明細書に記載した能動的部材要素及び/又は受動的部材要素)を任意に組み合わせて使用することができる。
【0061】
別の一実施態様では、スリーブの区画は分離可能な受動的部材要素を用いて接合される。分離可能な受動的部材要素は、スリーブの区画を順番に分離できるように設計される。例えばスリーブの最も遠位の区画が最初に分離され、その隣の区画が次に分離され、といった具合にできる。これは、スリーブの長さを段階的に自動調節できる設計である。
【0062】
図3Aは、本発明の別の一実施態様による埋め込み可能な装置を示している。
図3Bは、
図3Aの線A-A'に沿って切断した分離前の装置を端から見た断面図である。
図3Cは、
図3Aの線A-A'に沿って切断した分離後の装置を端から見た断面図である。
【0063】
図3A〜
図3Cを参照すると、埋め込み可能な装置の全体が参照番号300で示されている。固着部材要素302が接着剤304を用いてスリーブに取り付けられる。接着剤304は、固着部材要素302の任意の部分に付着させてもよいし、固着部材要素302を完全に覆うように付着させてもよい。例えば接着剤304は、固着部材要素302の一部に帯状パターンに付着させることができる。帯のパターンは固着部材要素302の両側で用いることが好ましい。ここでも、接着剤304は任意の幾何学的パターン(例えば円、リング、線など)に配置することができる。利用するパターンの厚さとタイプが、強度に関係する1つの因子となる可能性がある。あるいはこの明細書に記載して(例えば
図1A〜
図1Cに示して)あるように、分離可能な部材要素を用いて固着部材要素をスリーブに取り付けることもできる。
【0064】
この実施態様では、分離可能な部材要素306は、分離可能な受動的部材要素(例えば時間経過とともに分解する分解可能な接着剤)である。分解可能な材料は、生体吸収性接着材料(例えばPGA/PLAや、この分野で知られている他の材料)であることが好ましい。
図3Cは、接着剤306が分解してスリーブが長手方向の縫い目に沿って開いた後の一時点を示している。この実施態様により、胃腸管の中にある絨毛からの吸収を所定の時間の後(例えば3ヶ月後又はそれ以上の時間の後)に自動的に回復させることができる。
【0065】
図4Aは、本発明の別の一実施態様による埋め込み可能な装置を示している。
図4Bは、本発明の別の一実施態様による埋め込み可能な装置を示している。
【0066】
図4Aを参照すると、装置の全体が参照番号400で示されている。固着部材要素402が接着剤404を用いてスリーブに取り付けられる。接着剤404は、固着部材要素402の任意の部分に付着させてもよいし、固着部材要素402を完全に覆うように付着させてもよい。例えば接着剤404は、固着部材要素402の一部に帯状パターンに付着させることができる。帯のパターンは固着部材要素402の両側で用いることが好ましい。ここでも、接着剤404は任意の幾何学的パターン(例えば円、リング、線など)に配置することができる。利用するパターンの厚さとタイプが、強度に関係する1つの因子となる可能性がある。あるいはこの明細書に記載して(例えば
図1A〜
図1Cに示して)あるように、分離可能な部材要素を用いて固着部材要素をスリーブに取り付けることもできる。
【0067】
この実施態様では、スリーブは、多孔度が時間経過とともに変化して異なってくる複数の領域を含む。例えばスリーブは、第1の多孔度である複数の領域406と、第2の多孔度である複数の領域408を含む。第1の多孔度である複数の領域406により、所定の時間が経過した後に栄養物を吸収することができる。すなわちこれらの領域は、所定の時間が経過した後にキームスやそれ以外の胃腸液が小腸の絨毛に到達できる設計にされている。
【0068】
第2の多孔度である複数の領域408は、栄養物の吸収を実質的に最少にするか阻止する(例えばキームスやそれ以外の胃腸液が小腸の絨毛に到達するのを最少にするか阻止する)。この実施態様では、第2の多孔度である複数の領域408は、下にあるスリーブを螺旋状に包むフイルムを備える。螺旋状に包むフイルム408は、ピッチ角が一定でもよいし、ピッチ角が変化してもよい。変化するピッチ角を
図4Bに示してある。ピッチ角は約1〜45°の範囲が好ましく、約20〜30°の範囲がより好ましい。明らかに、螺旋状のフイルムの幅を調節しても同様の結果を実現することができる。あるいは第2の多孔度である複数の領域408は、螺旋状に包むのではなく個別のリングとして取り付けることもできよう。螺旋状に包むフイルムは、多孔度が最小であるか、ポアがないように選択することが好ましい(例えばFEPフイルム)。
【0069】
図5Aは、本発明の別の一実施態様による埋め込み可能な装置を示している。
図5Bは、本発明の別の一実施態様による埋め込み可能な装置を示している。
【0070】
図5Aを参照すると、装置の全体が参照番号500で示されている。固着部材要素502が接着剤504を用いてスリーブに取り付けられる。接着剤504は、固着部材要素502の任意の部分に付着させてもよいし、固着部材要素502を完全に覆うように付着させてもよい。例えば接着剤504は、固着部材要素502の一部に帯状パターンに付着させることができる。帯のパターンは固着部材要素502の両側で用いることが好ましい。ここでも、接着剤504は任意の幾何学的パターン(例えば円、リング、線など)に配置することができる。利用するパターンの厚さとタイプが、強度に関係する1つの因子となる可能性がある。あるいはこの明細書に記載して(例えば
図1A〜
図1Cに示して)あるように、分離可能な部材要素を用いて固着部材要素をスリーブに取り付けることもできる。
【0071】
この実施態様では、スリーブは、多孔度の異なる複数の領域を含む。例えばスリーブは、多孔度が異なる複数の第1の領域506と複数の第2の領域508を含む。複数の第1の領域506により、所定の時間が経過した後に栄養物を吸収することができる。例えばこれらの領域では、所定の時間が経過した後にキームスやそれ以外の胃腸液が小腸の絨毛に到達できるため、この領域に沿って栄養物を吸収することができる。より詳細には、第1の多孔度である複数の領域は、所定の時間が経過した後に分解する分解可能な被覆材料を含む。分解可能な材料として、この明細書に記載した生体吸収性材料又は生体消化性材料が可能である。分解可能な材料は、生体吸収性材料(例えばPGA/PLAや、この分野で知られている他の材料)であることが好ましい。この被覆は、スリーブ全体に、又は選択された部分(例えば離散したリング、又は螺旋状に包む材料)に付着させることができる。
【0072】
第2の多孔度である複数の領域508は、栄養物の吸収を実質的に最少にするか阻止する(例えばキームスやそれ以外の胃腸液が小腸の絨毛に到達するのを最少にするか阻止する)。この実施態様では、第2の多孔度である複数の領域508は、下にあるスリーブを螺旋状に包むフイルムを備える。螺旋状に包むフイルム508は、ピッチ角が一定でもよいし、ピッチ角が変化してもよい。ピッチ角は約1〜45°の範囲が好ましく、約20〜30°の範囲がより好ましい。明らかに、螺旋状のフイルムの幅を調節しても同様の結果を実現することができる。この実施態様では、
図5Aと
図5Bに示してあるように、第2の多孔度である複数の領域508は、螺旋状に包むのではなく個別のリングとして取り付けられる。螺旋状に包むフイルムは、多孔度が最小であるかポアがないように選択することが好ましい(例えばFEPフイルム)。
【0073】
図6は、本発明の別の一実施態様による埋め込み可能な装置を示している。
【0074】
図6を参照すると、埋め込み可能な装置の全体が参照番号600で示されている。この明細書に記載してあるように、固着部材要素602が接着剤604を用いてスリーブに取り付けられる。あるいは固着部材要素は、やはりこの明細書に記載して(例えば
図1A〜
図1Cに示して)あるように、分離可能な部材要素を用いてスリーブに取り付けることができる。装置は、側枝部分606も備えることができ、そこには別の固着部材要素608を含めることができる。この実施態様では、側枝部分606を総胆管(図示せず)に挿入して胆管からの排出を可能にしつつ、キームスやそれ以外の胃腸液が小腸から除外されるようにすることができる。スリーブは、この明細書に記載してあるように、多孔度が異なる複数の領域を持つように構成できる。
【実施例】
【0075】
以下の実施例は、本発明のさまざまな実施態様をいかにして実現できるか、及び/又は利用できるかを示しているが、本発明の範囲をこれらの実施例に制限する意図はない。
【0076】
[実施例1]
この実施例では、スリーブを製造し、分離可能な部材要素(例えば生体吸収性材料)を用いてスリーブに取り付けた。外径が約26mmで長さが約46cmのステンレス鋼製マンドレルを入手した。ePTFE製犠牲チューブをマンドレルに被せて引っ張った。犠牲チューブは、壁の厚さが約0.01mm、長さが約40cm、内径が約20mmであった。この犠牲チューブを用いてスリーブを構成したが、犠牲チューブはあとで廃棄することになる。
【0077】
次に、実質的にポアがなくて感熱接着剤層FEPを一方の側に有するePTFEフイルムを入手した。この複合フイルムは、幅が約150mm、厚さが約0.0025mm、イソプロピルアルコールバブルポイント(IBP)が約0.6MPa超、長さ方向(最も強い方向)の引っ張り強さが約309MPaであった。
【0078】
この第1のフイルムを長さ約40cmに切断した。感熱接着剤が上側に載ったこの第1のフイルムを犠牲チューブの最上部に長手方向に配置した。第1のフイルムを重なりが約3mmになるようにして配置し、切断することにより、2層シームを作り出した。最も強い方向がマンドレルの長軸と実質的に平行な方向を向くようにして第1のフイルムを付着させた。
【0079】
実質的にポアのないePTFEフイルムを一方の面に、感熱接着剤層FEPを反対側の面に有する第2のフイルムを取得した。第2のフイルムは幅が約25.4mm、厚さが約0.0025mm、IBPが約0.6MPa超、長さ方向(最も強い方向)の引っ張り強さが約309MPaであった。
【0080】
次に、接着剤が下側に載った第2のフイルムを、長手方向に包まれたフイルムの上に螺旋状に巻いた。螺旋状に巻いたフイルムの露出している端部を熱で接合した(マクマスター・カー社(サンタ・フェ・スプリングズ、カリフォルニア州)から入手できるウェラー・ソルダリング・アイアン、モデルEC2002)。
【0081】
製造したこの組立体、すなわちマンドレルと、犠牲チューブと、第1のフイルム層と、第2のフイルム層を、約320℃に設定した強制空気炉(モデルNT-1000、グリーブ社(ラウンド・レイク、イリノイ州))の中に約15分間にわたって入れて第1のフイルム層と第2のフイルム層を接合させ、犠牲チューブの表面にスリーブを形成した。この組立体を炉から取り出し、放置して周囲温度まで冷却した。
【0082】
直径約0.51mmのニチノール製ワイヤ(部品番号SE508、ニチノール・デバイシーズ・アンド・コンポーネンツ社(フレモント、カリフォルニア州))を用いて内径が約25.4mmの自己拡張ステントを有する固着部材要素を構成した。ニチノール製ワイヤを直径約25.4mmのステンレス鋼製ピン治具に巻き付けた。ピン治具は直径が約1.52mmのピンを備えており、そのピンは、単一のリングとなるように、すなわち山が6つあるジグザグのパターンになるように配置した。隣り合った2つの山の鉛直方向の距離、すなわち第1の山の曲率半径の中心から隣の山の曲率半径の中心までの距離は、約19.1mmであった。ワイヤの端部をネジでピン治具に固定した。治具を約450℃に設定した強制空気炉(モデルHRF、カーボライト炉、シェフィールド、イギリス国)の中に約12分間にわたって入れた。治具を炉から取り出し、水の中で急冷して周囲温度にした。形成された固着部材要素を治具から外し、ワイヤの端部を望むように切断した。
【0083】
マンドレル上の犠牲チューブの上に配置されたままのスリーブの一端の上に固着部材要素を配置した。固着部材要素の部分に直径約0.51mmの銅製ワイヤを螺旋状に1層巻き、固着部材要素をその場所に一時的に保持した。次に、PLAが85重量%でPGAが15重量%のPLA/PGA樹脂(Durect(登録商標)社、ペルハム、アラバマ州)を取得し、アセトン(エース・ハードウエア社(オークブルック、イリノイ州)からのパーツ番号12271)に溶かした。この実施例では、スリーブを製造し、分離可能な部材要素(例えば生体吸収性材料)を用いて固着部材要素に取り付けた。ブラシを用い、約60重量%のアセトン溶液と約40重量%のPLA/PGA(85/15)を固着部材要素とその下にあるスリーブ材料に付着させた。放置して溶液を風乾させた。銅製ワイヤを外して廃棄し、分離可能な部材要素を用いて固着部材要素を取り付けたスリーブをマンドレルから外した。最後に、完成したデバイスの内面から犠牲チューブを外した。
【0084】
[実施例2]
この実施例では、長手方向の一部に沿って分離可能な部材要素を有するスリーブを製造した。分離可能な部材要素により、所定の時間が経過した後にスリーブを離すことができるため、絨毛とキームスの間の接触を増やすことが可能である。
【0085】
外径が約26mmで長さが約46cmのステンレス鋼製マンドレルを取得した。ePTFE製犠牲チューブをマンドレルに被せて引っ張った。犠牲チューブは壁の厚さが約0.01mm、長さが約40cm、内径が約20mmであった。この犠牲チューブを用いてスリーブを構成したが、犠牲チューブはあとで廃棄することになる。
【0086】
次に、一方の面に感熱接着剤層FEPが載った実質的にポアのないePTFEフイルムを取得した。この複合フイルムは幅が約15.2cm、厚さが約0.0025mm、IBPが約0.6MPa超、長さ方向(最も強い方向)の引っ張り強さが約309MPaであった。
【0087】
このフイルムを長さ約40cmに切断した。次に、このフイルムを、感熱接着剤を上にして、犠牲チューブの最上面に長手方向に配置した。このフイルムを配置した後、重なりが3mmになるようにして切断し、2層のシームを作り出した。このフイルムの最も強い方向がマンドレルの長軸と実質的に平行な方向を向くようにしてこのフイルムを付着させた。その後、シームを溶接用の鉄(マクマスター・カー社(サンタ・フェ・スプリングズ、カリフォルニア州)から入手できるウェラー・ソルダリング・アイアン、モデルEC2002)で熱接合させた。
【0088】
製造したこの組立体、すなわちマンドレルと、犠牲チューブと、フイルムを、約320℃に設定した強制空気炉(モデルNT-1000、グリーブ社(ラウンド・レイク、イリノイ州))の中に約15分間にわたって入れてフイルムを接合し、犠牲チューブの表面にスリーブを形成した。この組立体を炉から取り出し、放置して周囲温度まで冷却した。
【0089】
直径約0.51mmのニチノール製ワイヤ(部品番号SE508、ニチノール・デバイシーズ・アンド・コンポーネンツ社(フレモント、カリフォルニア州))を用いて内径が約25.4mmの自己拡張性ステントを有する固着部材要素を構成した。ニチノール製ワイヤを直径約25.4mmのステンレス鋼製ピン治具に巻き付けた。ピン治具は直径が約1.52mmのピンを備えており、そのピンは、単一のリングとなるように、すなわち山が6つあるジグザグのパターンになるように配置した。隣り合った2つの山の鉛直方向の距離、すなわち第1の山の曲率半径の中心から隣の山の曲率半径の中心までの距離は、約19.1mmであった。ワイヤの端部をネジでピン治具に固定した。治具を約450℃に設定した強制空気炉(モデルHRF、カーボライト炉、シェフィールド、イギリス国)の中に約12分間にわたって入れた。治具を炉から取り出し、水の中で急冷して周囲温度にした。形成された固着部材要素を治具から外し、ワイヤの端部を望むように切断した。
【0090】
マンドレル上の犠牲チューブの上に配置されたままのスリーブの一端の上に固着部材要素を配置した。固着部材要素の部分に上記のフイルムを2回巻き付けた。フイルムの強い方向をマンドレルの長軸に垂直な方向に向け、フイルムの接着剤側を下に向けた。フイルムの縁部を溶接用の鉄(マクマスター・カー社(サンタ・フェ・スプリングズ、カリフォルニア州)から入手できるウェラー・ソルダリング・アイアン、モデルEC2002)を用いて加熱し、その場で合体させた。
【0091】
幅が約25.4mm、厚さが約0.013mm、メタノールバブルポイント(MBP)が約7kPa、長さ方向(最も強い方向)の引っ張り強さが約77Maの第2の犠牲チューブを固着部材要素とスリーブの上に配置した。次に、7〜10層の犠牲ePTFEフイルムを第2の犠牲チューブの上に螺旋状に巻いた。これら7層のフイルムと第2の犠牲チューブの目的は、続く加熱プロセスの間を通じて圧縮力を下にある要素に及ぼし、非多孔性ePTFEフイルムをステントと取り付けることである。
【0092】
この組立体全体を、約320℃に設定したグリーブ炉の中で約15分間にわたって加熱した後、炉から取り出し、放置して空冷した。第2の犠牲チューブと、犠牲チューブに螺旋状に巻かれた7〜10層の犠牲ePTFEフイルムを外して廃棄した。この組立体の残部をマンドレルから外した後、第1の犠牲スリーブを外すことにより、第1の犠牲スリーブを固着部材要素及びスリーブから分離した。スリーブの両端を切断して全長を約32.9cmにした。すなわち固着部材要素の部分は長さが約1.9cmであり、固着していない部分は長さが約31cmであった。
【0093】
スリーブは分離可能な部材要素(例えば固着部材要素に取り付けられていない部分に沿ったシーム)を備えていた。分離可能な部材要素は、バルーンカテーテル又はこの分野で知られているそれと同様のデバイスを用いて分離すること(例えば内圧を印加することによって破壊すること)ができよう。
【0094】
長さが約25.4cm、外径が約4.7mmのステンレス鋼性チューブ(スモール・パーツ社、マイアミレーク、フロリダ州)から構成した分離ツールを用いてこの特徴をテストした。それに加え、外径が約6.35mm、長さが約7.62cmのシリコーン製チューブ(ジャマック社、ウェザーフォード、テキサス州)を用いて分離ツールを構成した。
【0095】
PVCバーストックから加工した気密プラグを挿入して密着させることにより、ステンレス鋼製チューブの一端を閉じた。加工したPVCバーストックの直径は、ステンレス鋼製チューブの内径と同等であった。ドリルを用い、ステンレス鋼製チューブの壁を貫通する穴を、気密プラグのある端部から約5.1cmの位置に開けた。ドリルによる穴は直径が約3.18mmであった。
【0096】
シリコーン製チューブをステンレス鋼製チューブの上に配置し、ドリルで開けた穴が中心に来るようにした。糊を付けたリネン糸でシリコーン製チューブの各端部を縛った。すなわち直径が約0.254mmの糸を各端部に取り付けた。シリコーン製チューブのまわりに糸を約30回巻いてそのシリコーン製チューブをステンレス鋼製チューブに取り付けた。次に、シアノアクリレート糊を糸に付着させてその糸がその場にさらに保持されるようにした。次にルアー取り付け具をステンレス鋼製チューブの開放端に取り付けることにより、あとで膨張ツールを接続できるようにした。
【0097】
この実施例で得られたスリーブに分離ツールを挿入し、膨張ツール(パーツ番号622510、B.ブラウン社、ベツレヘム、ペンシルヴェニア州)を用いて膨張させることにより、スリーブに径方向の力を加えた。圧力は、約4気圧/分の速度で増加させ、スリーブのシームを分離した。すなわちシームを約4気圧の圧力で破壊した。
【0098】
[実施例3]
この実施例では、所定の時間が経過した後に多孔度が変化するスリーブを製造した。より詳細には、多孔性領域と非多孔性領域を持つスリーブを構成した。多孔性領域は、所定の時間が経過した後に分解する生体吸収性材料で覆った。
【0099】
外径が約26mm、長さが約46cmのステンレス鋼製マンドレルを取得した。ePTFE製犠牲チューブをマンドレルに被せて引っ張った。犠牲チューブは壁の厚さが約0.01mm、長さが約40cm、内径が約20mmであった。この犠牲チューブを用いてスリーブを構成したが、犠牲チューブはあとで廃棄することになる。
【0100】
次に、一方の面に感熱接着剤層FEPが載った実質的にポアのないePTFEフイルムを取得した。この複合フイルムは幅が約15.2cm、厚さが約0.01mm、MBPが約7MPa、長さ方向(最も強い方向)の引っ張り強さが約77MPaであった。このフイルムを、感熱接着剤の側を上にし、重なりが3mmになるようにして犠牲チューブの最上面に長手方向に2層巻くことにより、4層のシームを作り出した。このフイルムの最も強い方向がマンドレルの長軸と実質的に平行な方向を向くようにしてこのフイルムを付着させた。
【0101】
次に、上記のフイルムと同じ特性を持つが、幅が約1.3cmである点が異なる4層のフイルムを、長手方向に付着させたフイルムの長さに沿って約30°の角度で螺旋状に巻いた。シームを加熱してその場で接合した(マクマスター・カー社(サンタ・フェ・スプリングズ、カリフォルニア州)から入手できるウェラー・ソルダリング・アイアン、モデルEC2002)。黒インクのドットを約2cmの間隔でフイルムに付着させた。
【0102】
FEPからなる感熱接着剤層が一方の側に載った実質的にポアのないePTFEフイルムを取得した。この複合フイルムは幅が約2cm、厚さが約0.0025mm、IBPが約0.6MPa超、長さ方向(最も強い方向)の引っ張り強さが約309MPaであった。2つのインクマークの間にはすべて、以前に螺旋状に巻いたフイルムのまわりにこのフイルムを1層巻き付け、上記の局所的熱源を用いてその場で加熱して接合させた。
【0103】
次に、この組立体全体を、約320℃に設定した強制空気炉(モデルNT-1000、グリーブ社(ラウンド・レイク、イリノイ州))の中に約15分間にわたって入れた。この組立体を炉から取り出し、放置して周囲温度まで冷した。次にこの組立体をマンドレルから外した後、得られたフイルム製チューブから犠牲チューブを外した。得られたePTFEフイルム製チューブは、このチューブの長さに沿って同じ幅の多孔性バンドと非多孔性バンドを交互に備えていた。すなわちフイルム製チューブの領域には非多孔性フイルムがないため、そのような領域は壁の厚さ全体にポアを保持していた。
【0104】
PLAが85重量%でPGAが15重量%のPLA/PGA樹脂(Durect(登録商標)社、ペルハム、アラバマ州)を取得し、アセトン(エース・ハードウエア社(オークブルック、イリノイ州)からのパーツ番号12271)に溶かした。より詳細には、ブラシを用い、約60重量%のアセトン溶液と約40重量%のPLA/PGA(85/15)を、その下にあるePTFEフイルムの多孔性領域に付着させた。このようにして、フイルム製チューブからなるスリーブのポアを生体吸収性材料で覆った。
【0105】
[実施例4]
この実施例では、長さに沿ってポアサイズが変化するスリーブを製造した。外径が約26mm、長さが約46cmのステンレス鋼製マンドレルを取得した。ePTFE製犠牲チューブをマンドレルに被せて引っ張った。犠牲チューブは壁の厚さが約0.01mm、長さが約40cm、内径が約20mmであった。この犠牲チューブを用いてスリーブを構成したが、犠牲チューブはあとで廃棄することになる。
【0106】
感熱接着剤層(FEP)が一方の側に載った多孔性ePTFEフイルムを取得した。この複合フイルムは幅が約150mm、厚さが約0.01mm、MBPが約7MPa、長さ方向(最も強い方向)の引っ張り強さが約77MPaであった。
【0107】
マンドレルの一端からスタートし、このフイルムを、感熱接着剤の側を上にし、犠牲チューブの長さの半分の最上面に重なりが3mmになるようにして長手方向に2層巻いて切断することにより、4層のシームを作り出した。このフイルムの最も強い方向がマンドレルの長軸と実質的に平行な方向を向くようにしてこのフイルムを付着させた。
【0108】
感熱接着剤層が一方の側に載った実質的にポアのないePTFEフイルムを取得した。この複合フイルムは幅が約150mm、厚さが約0.0025mm、IBPが約0.6MPa超、長さ方向(最も強い方向)の引っ張り強さが約309MPaであった。長さ20cmのこのフイルムを接着剤を上にし、重なりが3mmになるようにして犠牲チューブの長さの残り半分に長手方向に1層巻いて切断することにより、2層のシームを作り出した。このフイルムは以前に付着させたフイルムの上に約13mm延びていた。このフイルムの最も強い方向がマンドレルの長軸と実質的に平行な方向を向くようにしてこのフイルムを付着させた。シームを加熱して接合させた(マクマスター・カー社(サンタ・フェ・スプリングズ、カリフォルニア州)から入手できるウェラー・ソルダリング・アイアン、モデルEC2002)。
【0109】
次に、この組立体全体を、約320℃に設定した強制空気炉(モデルNT-1000、グリーブ社(ラウンド・レイク、イリノイ州))の中に約15分間にわたって入れた。この組立体を炉から取り出し、放置して周囲温度まで冷した。次にこの組立体をマンドレルから外した後、得られたスリーブから犠牲チューブを外した。得られたスリーブは、多孔性区画と非多孔性区画で構成されていた。
【0110】
試験法:
【0111】
このセクションでは、フイルムの引っ張り強さの測定について記述する。シリーズ2714コード・アンド・ヤーン・グリップを取り付けたインストロン社のモデル第5560番引っ張り試験機械(カントン、マサチューセッツ州)を用いて引っ張り力のピークを測定し、10個のサンプルについて平均した。顎部の隔たりは10.2cmであり、クロス-ヘッドの速度は200mm/分であった。最大負荷ピーク力の10個の測定値の平均を使用した。10個のサンプルの幅の平均を計算した。厚さはミツトヨ社のスナップゲージのモデル第547-400番(中津川市、日本国)で測定した。厚さの10個の測定値の平均を使用した。引っ張り強さは、引っ張り力のピークとテストしたサンプルの断面積の商として計算した。
【0112】
ASTM E128-99の一般的な指示に従ってバブルポイント測定を実施した。イソプロピルアルコール(ユニヴァー社、カークランド、ワシントン州)又はメチルアルコール(フィッシャー・ケミカル社、フェアローン、ニュージャージー州)を試験液体として使用した。試験は、直径約2.54cmの試験用固定装置を用いて実施した。圧力は約1.4kPa/秒で増加させた。第1の気泡流に対応する圧力をバブルポイントとした。イソプロピルアルコールを用いて実施した試験ではイソプロピルアルコールバブルポイント(IBP)が得られ、メチルアルコールを用いて実施した試験ではメチルアルコールバブルポイント(MBP)が得られた。試験装置の制約のため、約0.6MPaを超えるIBP測定はできなかった。バブルポイントの値は、5回の測定の平均を表わす。
【0113】
本発明の精神又は範囲を逸脱することなくさまざまな変更やバリエーションが本発明において可能であることは、当業者には明らかであろう。したがって、そのような変更やバリエーションが添付の請求項及びそれと同等なものの範囲に入るのであれば、本発明にそのような変更やバリエーションが含まれるものとする。