【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の安全柵2の設置状況図である。壁面材1に突設されたコネクティブ11に連結部3を装着し、連結ピン33によって、係止している。該連結部の支柱基礎部31に支柱部4が立設している。該支柱部間に手摺受部41に支持され水平に架設する手摺部5を備えた安全柵が、壁面の内側(盛土面14側)に全体に渡り、設置されている。本図では、壁面材組立て時にのみならず、盛土施工時の安全対策を勘案して、壁面全延長に、工事期間中設置される状況を示している。
【0018】
図2及び
図3は、コネクティブ11における連結部3及び支柱部4の設置状況の詳細を示すものである。
図10に示すコネクティブの鋼板1枚及び2枚のタイプに、安全柵2を施したものである。
図2(1)側面図、
図2(2)平面図及び
図2(3)正面図には、コネクティブを上下に鋼板で挟み、正面視「ロの字」型の連結部の装着の実施例を示している。
図2(1)及び
図2(3)に示すように、壁材から突設されたコネクティブの鋼板の根元部を残し、コネクティブの上下面を接するように覆い、コネクティブのボルト挿入孔16に連通する位置に連結孔32を設け、連結ピン33によって係止されている。
図2(2)に示すように、コネクティブ端部19より、更に先端方向に支柱基礎部31を設け、その位置に支柱部を立設させている。
【0019】
図2(4)側面図、
図2(5)平面図、
図2(6)A−A断面図に示す連結部3は、前記同様コネクティブ11を上下に鋼板で挟むものではあるが、
図2(4)、
図2(6)に示すように側面視「コの字」型の連結部の装着の例である。本例では、
図2(4)及び(5)に示すように、コネクティブ端部19を跨ぐように支柱基礎部31を設け、その位置に支柱部4を立設させ、その結果、支柱部基礎の端部は、コネクティブ端部より盛土側になる。
【0020】
図3(1)側面図、
図3(2)平面図及び
図3(3)A−A断面図は、
図10(3)に示す鋼板2枚のタイプのコネクティブ11に安全柵2を施したものである。本例において、連結部3は、前記側面視「コの字」型を2枚の鋼板を挟む状態で装着している。この鋼板2枚型のコネクティブに対応する連結部としては、コネクティブの上位にある鋼板のみを挟み込む連結部もあるが、この場合は、連結部である下の鋼板の板厚は補強材12の厚み以下とする必要がある。図は省略する。支柱基礎部は、
図2(4)と同様に、コネクティブ端部上に設けている。
図3(4)〜
図3(6)は、鋼板1枚タイプのコネクティブに直接、台座を有する支柱部を立設させている事例である。
【0021】
本発明に関して、コネクティブ11と連結部3及び支柱部4は、連結部の「ロの字」型若しくは「コの字図」型、連結ピン若しくは連結ボルト・ナット等、異なる組合せによって、種々の構造のものが考えられる。但し、コネクティブに直接支柱部を立設する場合や支柱部基礎31がコネクティブ端部19上にある場合は、以下のことに留意しなければならない。
図9(4−3)若しくは(4−4)に示すような上下方向に複数段のコネクティブが配置されている壁面材の最上段以外の高さのコネクティブに安全柵を設置する場合、支柱部設置には、他の段にあるコネクティブが支障になる。
【0022】
図4は、支柱部4及び手摺受部41並びに手摺部5の詳細を示すものである。(1)〜(4)に4種類の手摺受部41を示すが、枝番(−1)〜(−3)は手摺部側面図、手摺部正面図、手摺部背面図を表す。手摺部は、開口部を挟む複数の支柱部の手摺受部41によって、略水平に支持されている。
図4(1−1)〜(1−3)に示す手摺部は、手摺受部は、両端が螺子きりされたU型の金属棒の中央部に手摺部を配置し、該金属棒の両端部が支柱部の中心線付近の上下に配された2孔を貫通しナットで締め付けることによって、手摺部を水平方向に締付け固定するものである。手摺受部の構造は、種々想定されるが、単に手摺部を水平方向にボルト及びナットで支柱材に固定したのが
図4(2−1)〜
図4(2−3)である。
図4(3−1)〜
図4(3−3)は、足場の組立て等で用いられる所謂「単管クランプ」(以下単管クランプ46という。)と呼ばれる金具で固定したものである。支柱部や手摺受部や手摺部は、目的外にコネクティブに負担をかけるものであり、仮設材であることも勘案すると、できるだけ軽量、簡易で、設置が容易なものが望ましい。機能的には、複数の支柱部に支持された手摺部が支柱部の盛土側に略水平に設置され、作業員の転落を防止できる構造であればよい。
図4(4−1)〜(4−3)は、前記単管クランプを2箇所に用いて、支柱部と手摺部の間に円管を配して、手摺部を盛土側に前出ししたものである。コネクティブ11に対して直接支柱部を立設する場合には、この前出しの構造を選択せざるを得ない。詳細は「0024」で説明する。
【0023】
図5に、本発明の安全柵2の設置手順を示す。
図5(1)は、p1〜p3の壁面材1に関して、その建込み前は、開口部17であり、その開口部を跨ぐ状態で旧安全柵が設置されている。
図5(2)に示すように、その安全柵を利用して、p1〜p3の壁面材が建て込まれる。次に、盛土部の盛土を進めることによって、連結部3装着に係るコネクティブ11の位置に盛土面14が至る。その段階で旧安全柵を撤去しているのが、
図5(3)の状態である。コネクティブに補強材12端部を連結し、該補強材を盛土面に敷設する。更に、盛土材13敷き均し、締固めを行い、補強材が一定の引張強度を有した段階で、新たな安全柵を設置した状態が
図5(4)である。従って、本発明に係る安全柵は、連結材を装着したコネクティブにかかる補強材の敷設とその後の一部の盛土期間を除いて、工事期間中設置しうる。
【0024】
図6(1)に壁面材1の建て込み状況図を示す。クレーン(図では、ワイヤロープ20のみ表示)によって吊り上げられ所定の開口部17に据えられる。
図6(2)の側面図は、開口部を跨ぐ手摺部5と壁面材に突設するコネクティブ11との位置関係を明示している。従来、壁面材の降下作業の際、安全柵2を撤去しなければならなかったのは、手摺がコネクティブに衝突するのを避けるためである。本発明の安全柵2を施した場合、
図6(2)に示すように、建込みの際、手摺部5が壁面材に突設するコネクティブの支障になることはない。即ち、連結部3がコネクティブに装着されることによって、連結部の先端部は、コネクティブ先端より盛土側に伸長し、支柱部4は、該連結部の盛土側端部付近にある支柱基礎部31に立設される。更に盛土側に水平に架設される手摺部5は、壁面材組立て時の建込みに必要な作業空間を確保できる位置に架設されているためである。また、
図6(3)に示すように、連結部を装着することなく、コネクティブに支柱部を立設して、手摺受部41で盛土側に伸長する部材を備えることによっても同様な効果が得られる。しかしながら、手摺受部の荷重が大きくなり、支柱から伸びた手摺受部は、支柱部からの片持ち構造になっているおり、手摺部の荷重が支柱部や更にコネクティブに悪影響をもたらし、得策ではない。
図6(4)に示すように、多段のコネクティブが装着された壁面材(
図9(4−3)、(4−4)等)への対応に際し、最上段への連結部の装着が適当でないと判断される場合、中段部への連結部の装着には、支柱部がコネクティブ端部19の盛土側になるような連結部を採用しなければならない。
【0025】
図7(1)に示すように、壁面材直近の1mの範囲18において、壁面材への影響等を勘案して、重機による作業は、行われず、人力作業で盛土が行われ、壁面材の建込み作業も含めて、最も作業員の往来著しいエリアとなっている。本発明の安全柵を設置した状況と作業員の関係(概ね身長165cm〜170cm程度の作業員を表示している。)を
図7(2)に示す。(a)〜(b)の盛土期間は、下方のコネクティブでは躓き、上方のコネクティブでは肩の接触等が最も発生しやすい期間であり、P1を挟む両側の壁面材のコネクティブに装着された連結部から支柱部4が立設され、手摺部5は全区間に渡って設置されている。従って、本安全柵は、直接的又は視線誘導効果によって、躓きや接触を防止する役割を果たす。また、(c)の盛土面において、連結材を設置するコネクティブは設置しやすい高さであり、次の壁面材を安全に建て込めるものであることを示している。
【実施例2】
【0026】
図8では、本発明によるコネクティブ11の目的外使用に関して、十分な強度を有しない場合の補強措置を備えた安全柵2を示す。
図8(1)は、コネクティブを上下に鋼板で挟み、上方の鋼板の一方端部を支柱部基礎31として、支柱部を立設させる正面視「ロの字」型の連結部3の中央側面断面を表示している。この連結部の上下の鋼板について、他方端部を伸長するとともに、コネクティブ突設位置の壁面の上面若しくは下面で接するように、L字型に加工された片持ち補強部34を示している。図では、上面及び下面の両方で補強する片持ち補強部を表している。特に、上面への補強は、壁面材1の建込時手摺部5に、該壁面材が衝突して、支柱部に壁面側に倒れ込む方向に大きな力が働いた場合等に、作業員の転落防止を勘案した時その効果を発揮する。また、上下両面への補強に関しては、安全柵を設置した時のコネクティブの片持ち梁としての強度に不足が生じる時など採用を検討する必要がある。補強部に関しては、側面視「コの字」型に関しても同様であり、鋼板2枚タイプのコネクティブに関しても同様であるので図面は省略する。
図8(2)は、側面視「コの字」型の連結部に等辺山形鋼を図のように立設し、支柱部としたものである。補強部としては、該形鋼の一方の内面に回転軸を有し回動する平板で、一方端は、壁面材の壁面に達し、他方端は前記山形鋼の他方の内面に達する、厚みが山形鋼と同程度の平板を設置するものである。該平板は、山形鋼側上角、壁面側下角に丸面の面取り状の加工を施している。該加工によって、図に示すように、前記形鋼の立設方向の上方から、壁面への水平方向までの90度の回動が自在であり、水平方向で係止した時、支柱部に壁面方向への倒れ込みを抑止し、コネクティブの片持ち部を補強するものである。
図8(1)の上面補強と同様な効果を発揮する。
【0027】
支柱部4の下方端が盛土面に達することによって、コネクディブ11への負担を軽減する補強となり得る。
図8(3)は、コネクティブに装着された連結部3に設置された支柱部が連結部で垂直方向に固定されると同時に、連結部を貫通し、下方の盛土面に至る支柱延伸部47を有する構造を示したものである(盛土面の表示は省略している。)。
図8(3)は、鋼板2枚タイプのコネクティブに正面視「ロの字」型の連結部の側面版が連結部端部より突出し、延設された帯体が支柱部を環装している。 盛土部に到達した支柱部基礎は、支柱に係る荷重の一部を盛土面が負担することとなり、目的が達成される。
図8(4)は、鋼板2枚タイプのコネクティブに正面視「ロの字」型の連結部が装着されているが、支柱部内部に支柱心棒47を入れ子式に有しており、支柱部を連結部に固定する際には、支柱部基礎の支柱中心部に設けられた支柱心棒貫通孔35を貫通して心棒先端が盛土面に達するとともに、心棒の上方端付近の螺子きりされた個所が支柱部基礎に固定されたナットと螺合する構造になっている。支柱に係る荷重の一部を盛土面が負担することとなるとともに、盛土の進行によって、心棒下方端が盛土面下に沈下した場合においても、心棒を回転させることによって、容易に引き抜くことができる。また、支柱部心棒の直径をボルト挿入孔以下とすることによって、コネクティブに支柱部を立設する安全柵に対しても設置可能である。このような支柱延伸部等は、片持ち補強部を備えた安全柵においても設置可能である。