特許第6346381号(P6346381)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6346381ネットワークシステムにおけるノード障害からの適応回復
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346381
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】ネットワークシステムにおけるノード障害からの適応回復
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/437 20060101AFI20180611BHJP
【FI】
   H04L12/437 S
   H04L12/437 B
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-533560(P2017-533560)
(86)(22)【出願日】2016年1月7日
(65)【公表番号】特表2017-539183(P2017-539183A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(86)【国際出願番号】EP2016050233
(87)【国際公開番号】WO2016113181
(87)【国際公開日】20160721
【審査請求日】2017年6月21日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2015/070665
(32)【優先日】2015年1月14日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】15154958.1
(32)【優先日】2015年2月13日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】チェン ジンユン
(72)【発明者】
【氏名】ツァン シェンリ
【審査官】 野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/008860(WO,A1)
【文献】 特開2013−157926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
H04L 12/437
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のネットワークノードを備えるネットワークシステムにおける障害回復を可能にするためのネットワークノードであって、
前記ネットワークノードが、少なくとも1つの近傍ノードに対する、前記近傍ノードの上流方向及び下流方向の少なくとも一方における論理リンクを、前記近傍ノードの少なくともネットワークレイヤアドレス、リンクレイヤアドレス及びポート識別子を含むネットワーク情報を記憶することによって、作成するよう適応され、前記近傍ノードが、スイッチデバイスに接続されており、前記ポート識別子が、前記スイッチデバイスの、前記近傍ノードが接続されているポートの識別子であり、
前記ネットワークノードが、前記ネットワークノードから前記近傍ノードにビーコン信号を送信するよう適応され、
前記ネットワークノードが、前記近傍ノードからの、前記ビーコン信号に対する肯定応答信号の受信についてチェックするよう適応され、
前記ネットワークノードが、所定の期間の間、前記ビーコン信号に応じた肯定応答信号が受信されない場合には、前記ポート識別子に基づいて、前記スイッチデバイスの、前記近傍ノードが接続されているポートのステータスをチェックするよう適応され、前記スイッチデバイスの前記ポートの前記ステータスが、少なくとも、前記ポートにノードが接続されているかどうかを示し、前記ポートにノードが接続されているときには、前記ポートに接続されているノードのリンクレイヤアドレスを示し、
前記ネットワークノードが、チェックされた前記ポートの前記ステータスに基づいて、前記近傍ノードが交換されているか否かを決定するよう適応され、前記ポートに接続されている前記ノードのリンクレイヤアドレスが、前記ネットワークノードに記憶されている前記近傍ノードのリンクレイヤアドレスと異なる場合には、前記近傍ノードが交換されており、
前記ネットワークノードが、前記近傍ノードが交換されているという決定に応じて、前記近傍ノードを自動的に設定するよう適応されるネットワークノード。
【請求項2】
前記ネットワーク情報が、ネットワークレイヤアドレス、リンクレイヤアドレス、及び前記スイッチデバイスのアドレスを含む請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項3】
前記ネットワークノードが、照明器具デバイスを有し、前記ビーコン信号が、前記ネットワークノードのリンクレイヤアドレス、現在の制御モード、照明シーン及びセンサデータを含む請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項4】
前記ネットワークノードが、前記近傍ノードの、前記少なくとも1つの方向における近傍ノードとの一時的な論理リンクを、前記所定の期間の間、前記ビーコン信号に応じた肯定応答信号が前記近傍ノードから受信されない場合に、ノードのグループ内にマルチキャスト信号を送信し、前記ネットワークノードが前記近傍ノードの前記近傍ノードから応答を受信するときに一時的なリンクリストを構築することによって、確立するよう適応される請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項5】
前記ネットワークノードが、前記スイッチデバイスのリンクレイヤアドレステーブルからの前記近傍ノードのリンクレイヤアドレスを要求し、受信したリンクレイヤアドレスに基づいて、前記近傍ノードが交換されているか否かを決定するよう適応される請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項6】
前記ネットワークノードが、前記ネットワークノードが、前記近傍ノードが交換されていると決定した場合には、前記受信したリンクレイヤアドレスをネットワークレイヤアドレスに変換し、又は割り当てられているネットワークレイヤアドレスについてアドレス解決プロトコルテーブルをチェックし、前記ネットワークノードの設定情報を前記近傍ノードにコピーし、前記近傍ノードにおける近傍情報をアップデートし、前記ネットワークノードの近傍情報を、前記近傍ノードのネットワーク情報で変更するよう適応される請求項5に記載のネットワークノード。
【請求項7】
照明器具デバイスを更に有し、前記ネットワークシステムが、照明ネットワークを有する請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項8】
複数のネットワークノードを備えるネットワークシステムにおける障害回復を可能にする方法であって、
少なくとも1つの近傍ノードに対する、前記近傍ノードの上流方向及び下流方向の少なくとも一方における論理リンクを、前記近傍ノードの少なくともネットワークレイヤアドレス、リンクレイヤアドレス及びポート識別子を含むネットワーク情報を記憶することによって、作成するステップであって、前記近傍ノードが、スイッチデバイスに接続されており、前記ポート識別子が、前記スイッチデバイスの、前記近傍ノードが接続されているポートの識別子であるステップと、
ネットワークノードから前記近傍ノードにビーコン信号を送信するステップと、
前記ネットワークノードにおいて、前記近傍ノードからの、前記ビーコン信号に対する肯定応答信号の受信についてチェックするステップと、
前記ネットワークノードにおいて、所定の期間の間、前記ビーコン信号に応じた肯定応答信号が受信されない場合には、前記ポート識別子に基づいて、スイッチデバイスの、前記近傍ノードが接続されているポートのステータスをチェックするステップであって、前記スイッチデバイスの前記ポートの前記ステータスが、少なくとも、前記ポートにノードが接続されているかどうかを示し、前記ポートにノードが接続されているときには、前記ポートに接続されているノードのリンクレイヤアドレスを示すステップと、
前記ネットワークノードにおいて、チェックされた前記ポートの前記ステータスに基づいて、前記近傍ノードが交換されているか否かを決定するステップであって、前記ポートに接続されている前記ノードのリンクレイヤアドレスが、前記ネットワークノードに記憶されている前記近傍ノードのリンクレイヤアドレスと異なる場合には、前記近傍ノードが交換されているステップと、
前記近傍ノードが交換されているという決定に応じて、前記ネットワークノードによって、前記近傍ノードを自動的に設定するステップとを有する方法。
【請求項9】
複数の、請求項1に記載のネットワークノードと、前記ネットワークノードが接続される複数の関連するポートを含むスイッチデバイスとを有するネットワークシステム。
【請求項10】
前記複数のネットワークノードが、論理循環リンクリストを構成するように論理リンクを作成するよう適応される請求項9に記載のネットワークシステム。
【請求項11】
コンピュータデバイスにおいて実行するときに請求項8のステップを生成するためのコード手段を有するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットプロトコル(IP)ネットワーキングに基づいているネットワーク接続照明制御システムなどであるが、これらに限定されないネットワークシステムにおける障害回復に関する。このようなシステムは、典型的には、埋め込まれたIPノードから成り、前記IPノードは、IPノードに高速データ接続性及び電力を供給する技術、例えば、IPv6による低電力無線パーソナルネットワーク(IPv6 over Low power Wireless Personal Area Network)(6LoWPAN)又はパワー・オーバー・イーサネット(PoE)リンクでのIEEE 802.15.4無線ネットワーキングを介して接続される、照明器具、センサ、及び場合により他のIPデバイスである。
【背景技術】
【0002】
自動化システム及び照明システムは、通信ネットワークを利用する。過去数年にわたって、数多くのタイプのネットワークが、提案されており、用いられている。特定の導入のニーズを達成するためにデバイス及びネットワークを設定する作業は、コミッショニング(commissioning)として知られている。コミッショニングは、その最も広い意味においては、無線及び物理的環境の調査、デバイスの配置、パラメータの設定、アプリケーション・バインディング、ネットワーク及びデバイスパラメータの最適化、並びに適正な動作のテスト及び検証を含む広範な作業を包含する。多くの場合、設置者の技能及びワークフロー慣行、デバイスの識別しやすさ及びアクセスしやすさ、並びに他の無線又は有線システムとの相互運用性及び共存を含む、技術的ではない問題及び幾分技術的な問題が考慮される必要がある。コミッショニングプロセスは、多くのステップ、即ち、(時として発見及びバインディングと呼ばれる)ネットワークを見つけ、ネットワークに加わる、又はネットワークを作成するステップ、セキュリティアソシエーションを確立するステップ、デバイス及びサービスを発見するステップ、並びに制御関係を確立するステップを含む。
【0003】
通信ネットワークにおいて、ノードは、接続ポイント、再分配ポイント又は通信エンドポイント(何らかの端末装置)であり得る。ノードの定義は、関連するネットワーク及びプロトコルレイヤに依存する。物理ネットワークノードは、ネットワークに取り付けられ、通信チャネルを通じて情報を送信、受信又は転送することができるアクティブな電子デバイスである。
【0004】
一般的には、照明制御システムには、2つのタイプの論理トポロジ構造がある。一方は、コントローラとアクチュエータとの間の通信を管理し、システムの健全性を監視する中央デバイス又はコントローラ、所謂、「マスタ」又は「エリアコントローラ」を有する集中型システムである。他方は、コントローラが、アクチュエータと直接通信し、健全性の監視が、オフィス管理スタッフの定期的な検査によって実現される分散アーキテクチャである。
【0005】
ネットワークシステムにおいてノード(例えば、照明又はセンサなど)が故障する場合、ノードは、交換され、再コミッショニングされる必要がある。なぜなら、新しいノードは、より広いネットワークシステム内でのノードの適正な動作のために必要とされるコンフィギュレーションデータ及び設定を含まない又は知らないからである。中央コントローラのない分散アーキテクチャにおいては、様々な照明デバイスを監視し、自動的に交換デバイスをコミッショニングすることができる中央デバイスがないので、照明器具障害の検出及び交換後の回復は困難である。
【0006】
特許出願US 20130262937においては、ネットワークノードが、スイッチ内のサブネットマネージャからのデータと組み合わせてハートビート・メカニズムを用いることによって、そのネットワークシステム内の異なるノードが故障しているかどうかをチェックすることを可能にする方法が示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ネットワークシステムのための効果的なメンテナンスソリューションを提供するための方法及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的は、請求項1に記載の装置、請求項7に記載の方法、請求項9に記載のネットワークノード、請求項11に記載のネットワークシステム、及び請求項13に記載のコンピュータプログラムによって達成される。
【0009】
従って、ネットワークノードのグループによって構成されるリンクリストトポロジは、故障又は動作不良ネットワークノードの、その近傍ノードによる検出を可能にし、故に、この近傍ノードは、交換ノードを識別するために、接続されているスイッチデバイスに、故障しているネットワークノードが接続されているポートのポートステータスを問い合わせることができる。それによって、IPベースの又は他のインテリジェント照明システムのための適応障害回復が、特に、エリアコントローラ及び/又は照明サーバのないシステム構造のために、供給され得る。
【0010】
これは、特許出願US 20130262937と異なる。なぜなら、本発明は、交換ノードを検出することを目的としており、それによって、改善された障害処理を可能にするのに対して、前述の特許出願は、ネットワーク内のノードが故障しているかどうかをチェックするのに必要な時間を減らすことを目的としているからである。
【0011】
第1のオプションによれば、前記ネットワーク情報は、ネットワークレイヤアドレス、リンクレイヤアドレス、前記スイッチデバイスのアドレス及び前記近傍ノードが接続されている前記ポートの識別子を含み得る。それによって、前記近傍ノードの状態をチェックし、前記近傍ノードが交換されているか否かを決定するのに十分な情報が、前記ネットワークノードにおいて、直接、入手可能である。
【0012】
前記第1のオプションと組み合わされ得る第2のオプションによれば、前記ネットワークノードは、照明器具デバイスを有し、前記ビーコン信号は、前記ネットワークノードのリンクレイヤアドレス、現在の制御モード、照明シーン及びセンサデータを含む。従って、前記ビーコン信号は、照明システムのための制御情報を前記ネットワークを通して伝達するために用いられ得る。
【0013】
上記の第1及び第2のオプションのいずれか1つと組み合わされ得る第3のオプションによれば、前記装置は、前記近傍ノードの、前記少なくとも1つの方向における近傍ノードとの一時的な論理リンクを、前記所定の期間の間、前記ビーコン信号に応じた肯定応答信号が前記近傍ノードから受信されない場合に、ノードのグループ内にマルチキャスト信号を送信し、それが前記近傍ノードの前記近傍ノードから応答を受信するときに一時的なリンクリストを構築することによって、確立するよう適応され得る。前記一時的なリンクは、2つの近傍ノードが交換される場合であっても、近傍情報が利用可能なままであることから、前記システムがよりロバストにされ得るという利点を供給する。
【0014】
上記の第1乃至第3のオプションのいずれかと組み合わされ得る第4のオプションによれば、前記装置は、前記スイッチデバイスのリンクレイヤアドレステーブルからの前記近傍ノードのリンクレイヤアドレスを要求し、受信したリンクレイヤアドレスに基づいて、前記近傍ノードが交換されているか否かを決定するよう適応され得る。それによって、前記ネットワークノードは、前記ネットワークノードの近傍ノードが交換されているかどうかを、単に、前記受信したリンクレイヤアドレスと、前記ネットワークノードの近傍リストに記憶されているリンクレイヤアドレスを比較することによって、容易に決定することができる。
【0015】
上記の第1乃至第4のオプションのいずれかと組み合わされ得る第5のオプションによれば、前記装置は、それが、前記近傍ノードが交換されていると決定した場合には、前記受信したリンクレイヤアドレスをネットワークレイヤアドレスに変換し、又は割り当てられているネットワークレイヤアドレスについてアドレス解決プロトコルテーブルをチェックし、前記ネットワークノードの構成情報を前記近傍ノードにコピーし、前記近傍ノードにおける近傍情報をアップデートし、前記ネットワークノードの近傍情報を、前記近傍ノードのネットワーク情報で変更するよう適応され得る。それによって、ノード交換後の自動再構成が達成され得る。
【0016】
上記の第1乃至第5のオプションのいずれかと組み合わされ得る第6のオプションによれば、前記複数のネットワークノードは、論理循環リンクリストを構成するように前記論理リンクを作成するよう適応され得る。前記循環リンクリストトポロジは、各ノードが、前記ネットワーク内の前記ノードの地理的位置に関係なく、近傍ノードを有することを確実にする。
【0017】
上記の装置は、ディスクリートハードウェア構成要素を備えるディスクリートハードウェア回路、集積チップ、若しくはチップモジュールの配列されたものをベースにした、又はメモリに記憶される、コンピュータ可読媒体に書き込まれる、若しくはインターネットなどのネットワークからダウンロードされるソフトウェアルーチン又はプログラムによって制御される信号処理装置若しくはチップをベースにしたネットワークノードにおいて実施され得ることに注意されたい。
【0018】
請求項1の装置、請求項7の方法、請求項9のネットワークノード、請求項11のネットワークシステム、及び請求項13のコンピュータプログラムは、とりわけ従属請求項において規定されているような、同様な及び/又は同一の好ましい実施例を有することは理解されるだろう。
【0019】
本発明の好ましい実施例も、従属請求項又は上記の実施例と各々の独立請求項の任意の組み合わせであり得ることは理解されるだろう。
【0020】
下記の実施例を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例によるネットワークシステムの概略的な配線トポロジを示す。
図2】第1実施例によるネットワークシステムの概略的な循環リンクリストトポロジを示す。
図3】第1実施例によるリンクリストトポロジにおけるビーコン及び応答通信の概略図を示す。
図4A】第1実施例による循環リンクリストトポロジにおけるノード障害の概略図を示す。
図4B】第1実施例による循環リンクリストトポロジにおける結果として生じるスイッチデバイスとの通信の概略図を示す。
図5A】第2実施例による一時的なブリッジリンクの概略図を示す。
図5B】第2実施例による結果として生じる一時的なリンクリストの概略図を示す。
図6】第2実施例による障害回復処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施例は、ここでは、IPベースのネットワークにおいて実施される適応回復プロシージャをベースにして記載されており、動作不良又は故障ノードの交換後のネットワーク回復のために必要とされる時間及び手間の量が、以前のノード(即ち、動作不良ノード)の構成に従って交換ノードを自動的に再構成する回復メカニズムを供給することによって、減らされている。
【0023】
様々な実施例によれば、少なくともネットワークノードのグループが、各ネットワークノード(例えば照明器具)が少なくとも1つの方向におけるその近傍ノード(即ち、上流近傍及び/又は下流近傍ノード)のIPアドレスを知るリンクリストトポロジを作成するよう適応され、リンクリストトポロジのネットワークノードが、それらの上流及び/又は下流近傍ノードにビーコンを送信するよう適応され、上流及び/又は下流近傍ノードが、ビーコンを受け取ったことを通知するよう適応される。更に、ネットワークノードが、交換ノードを識別するために、故障しているネットワークノードが接続されているポートのポートステータスをスイッチノードに問い合わせるよう適応される。
【0024】
以下の実施例においては、有線のIPベースのインテリジェント照明システム内の、会議室又はパーソナルオフィスのような所定のエリア内の9個の照明器具のグループが供給されている。照明器具は、電気ランプの使用により人工光を生成するために用いられる電気デバイスと理解されるべきである。それは、複数の従来の照明に取って代わるよう設計される多用途及び多機能器具であってもよい。自動化照明器具は、現場及び用途に依存して、従来の照明のストックに対する用途の広い経済的な追加になり得る。なぜなら、自動化照明器具は、適切なプログラミングにより、それらの多くの光学的特徴を素早く変化させ、照明の「雰囲気(personality)」を非常に素早く変えることかできることからである。実施例のインテリジェントネットワーク接続照明システムは、リレー、占有センサ、光電池、照明制御スイッチ又はタッチスクリーン、及び(火災報知器、又は暖房、換気及び空調(HVAC)などの)他のビルシステムからの信号を更に含み得る。
【0025】
図1は、3本のバスラインを持つ関連する制御バス30を介して照明制御スイッチ(例えば、分電盤)20に接続される、#1乃至#9と示されている9個の照明器具10を備える第1実施例による概略的な配線トポロジを示している。従って、物理的トポロジ構造は、スター型構造であり、3つの照明器具10(即ち、#1乃至#3、#4乃至#6及び#7乃至#9)が、各々、スター型構造の関連する1つの枝に接続される。
【0026】
コミッショニング段階において、これらの9個の照明器具10が、グループ化され、プログラムされ、各照明器具10に設けられるメモリに、少なくとも1つの方向における最も近い近傍ノード(即ち、近傍照明器具)のネットワーク情報が書き込まれる。このネットワーク情報は、最も近い近傍ノードのネットワークレイヤアドレス(例えば、IPアドレス)及びリンクレイヤアドレス(例えば、メディアアクセスコントロール(MAC)アドレス)、並びにこの最も近い近傍ノードが接続される制御スイッチ20におけるスイッチアドレス及びポート名を含み得る。
【0027】
図2は、第1実施例によるネットワークシステムの概略的な循環リンクリストトポロジを示している。図2が示しているものから推測され得るように、照明器具10の、(図2においては矢印40によって示されている)各々の最も近い近傍照明器具10に対する記憶されたリファレンスが、論理上、循環リンクリストを形成する、即ち、照明器具#1は、照明器具#2のIPアドレスを記憶し、照明器具#9は、#1のIPアドレスを記憶するなどである。
【0028】
図3は、第1実施例によるリンクリストトポロジにおけるビーコン及び応答通信の概略図を示している。
【0029】
通常動作中、照明器具グループ内通信が行われ、各照明器具10は、(図3において破線両方向矢印50によって示されているように)所定の間隔でその近傍照明器具にビーコンパケットを送り、応答、例えば、肯定応答(ACK)パケットを受け取る。それによって、両方の近傍照明器具が、互いが適切に動作していることを知る。ビーコンパケットの内容は、送信元のMACアドレスであってもよく、現在の制御モード(例えば、自動制御モード又は手動制御モード)、照明シーン(即ち、照明器具が実行している現在の照明シーンプリセット、例えば、会議シーンに対応するプリセット1又はリラックスシーンに対応するプリセット2)、及びセンサデータ(例えば、(占有状態のような)センサの状態、照度レベルなど)も含んでもよい。
【0030】
照明器具障害には幾つかの理由があり得る。停電又は断線ケーブルなどの場合には、照明器具は交換されないだろう。しかしながら、照明器具それ自体が、動作不良などにより故障している場合には、故障照明器具は、取り付けられるだろう新しい交換照明器具に交換されるだろう。
【0031】
図4A及び4Bは、各々、第1実施例による循環リンクリストトポロジにおける、照明器具障害、及び結果として生じる図1の制御スイッチ20との通信の概略図を示している。
【0032】
図4Aの例においては、照明器具#5が、図4Aにおいて×付き破線両方向矢印52及び53によって示されているように、両方向の最も近い近傍ノードとの通信が失敗するように、オフラインである。
【0033】
従って、障害により、照明器具#5はネットワークから分離され、循環リンクリストトポロジの下流側の最も近い近傍照明器具#4は、故障照明器具#5から、そのビーコンパケットに対する応答を受け取らないだろう(×付き破線両方向矢印52)。更に、循環リンクリストトポロジの上流側の最も近い近傍照明器具#6は、故障照明器具#5からビーコンを受け取らないだろう。数間隔後、最も近い近傍照明器具#4及び#6は、照明器具#5がオフラインであると決定するだろう。
【0034】
図4Bに示されているように、オフラインの決定に応じて、近傍照明器具#4及び#6は、故障照明器具#5のポートを、ポートが再びオンラインになるまでチェックし続けるために、制御スイッチ20と通信する。
【0035】
しかしながら、照明器具#5の後に、照明器具#6が故障し、照明器具#6の交換が終わっている場合、交換された新しい照明器具#6aは、新しい照明器具#5aが、古い照明器具#6又は新しい照明器具#6aの近傍情報を全く持たないことから、その構成のアップデートを受け取らない。これを考慮して、ネットワークシステムをよりロバストにするために、第2実施例による付加的なメカニズムが取り入れられる。
【0036】
図5A及び5Bは、各々、第2実施例による一時的なブリッジリンク54及び結果として生じる一時的なリンクリストの概略図を示している。第2実施例によれば、図5Aに図示されているように、照明器具#4及び#6は、それらが照明器具#5はオフラインであると決定したときには、一時的なリンク54を確立する。これを達成するため、照明器具#4は、故障照明器具の近傍照明器具#6をサーチするマルチキャストパケットを照明器具グループに送る。
【0037】
照明器具#4が照明器具#6からの応答を受け取るとき、照明器具#4は、図5Bに図示されているように、近傍履歴を記憶するそのメモリにおいて一時的なリンクリスト60を構築し得る。近傍履歴の一時的なリンクリスト60は、最も近い近傍照明器具#5に、ミッシングリンクを示す無効フラグ(n)で印がつけられ、照明器具#6の一時的なリンク情報が付加される照明器具#4の近傍リスト(NL)を含む。照明器具#6においても、事前近傍情報を記憶するよう、同様のリンクリストが構築され得る。
【0038】
照明器具#5が再びオンラインになるとき、その最も近い近傍照明器具#4及び#6は、制御スイッチ20に設けられるMACテーブルから交換照明器具#5のMACアドレスを受け取ることができると共に、新しく受け取った照明器具#5のMACアドレスと、それらのメモリに記憶されているMACアドレスを比較することができる。
【0039】
照明器具#4及び#6が、MACアドレスが変えられていないと決定する場合には、それらは、照明器具#5が交換されておらず、システム全体が通常動作に戻ることができると結論を下し、所定の間隔でビーコンパケットを送ることができる。
【0040】
そうではなく、照明器具#4及び#6が、MACアドレスが変えられていると決定する場合、それらは、照明器具#5が、壊れ、又は故障し、次いで、交換されたと結論を下すことができ、自動構成が行われる。これを達成するため、照明器具#4は、取得されたMACアドレスをIPバージョン6(IPv6)に変換する、又は割り当てられているMACアドレスについて(ネットワークレイヤアドレスの、リンクレイヤアドレスへの変換のために供給される)アドレス解決プロトコル(APR)テーブルをチェックする。次いで、照明器具#4は、前記照明器具#4自身の構成を、新しい照明器具#5aのメモリにコピーし、新しい照明器具#5aのメモリ内の近傍情報をアップデートする。それと同時に、照明器具#4及び#6は、それら自身の近傍リストにおけるそれら自身の近傍情報を、新しい照明器具#5aのネットワーク情報で変更する。
【0041】
構成後、システムは、通常動作に復帰する。
【0042】
図6は、第2実施例による照明システムのネットワークノード(例えば、照明器具#4)の、その近傍ノード(例えば、照明器具#5)の障害後の、システム回復プロシージャのフローチャートを示している。
【0043】
プロシージャは、サイレント(オフライン)照明器具(例えば、照明器具#5)のポートが第1の所定の間隔でチェックされるステップ601から始まる。次いで、ステップ602において、サイレント照明器具のポートが再びアクティブになっているかどうか、即ち、照明器具が再びオンラインになっているかどうかがチェックされる。アクティブになっていない場合には、プロシージャは、ステップ601及び602を、ステップ602において、サイレント照明器具のポートが再びアクティブになっていると決定されるまで、繰り返す。ステップ602において、照明器具が再びオンラインになっていると決定される場合には、プロシージャは、(例えば、得られたアドレス情報に基づいて)照明器具が交換されたかどうかがチェックされるステップ603に進む。交換されていない場合には、プロシージャは、近傍の状態が、例えば、ビーコンを送信し、応答を待つことによって、第2の所定の間隔でチェックされるステップ606に進む。ステップ603において、照明器具が交換されたと決定される場合には、プロシージャは、ステップ604へ分岐し、上流近傍(例えば、照明器具#6)の構成及びアドレス情報が交換照明器具(例えば、照明器具#5a)に転送される。次いで、後続ステップ605において、自身の近傍情報が、交換照明器具に変えられる。最後に、プロシージャは、近傍の状態が第2の所定の間隔でチェックされるステップ606に進む。
【0044】
上記の実施例によれば、ノード障害は自動的に検出されることができ、システムはノード交換から適応的に回復することができる。これを達成するため、ノードのグループが、循環リンクリストを構成し、それらの最も近い近傍ノードに周期的なパケットを送信する。ノードがオフラインになった後には、前記ノードの両方の近傍ノードが、そのノードが接続されるスイッチポートを監視する。前記ノードが再びオンラインになったとき、前記ノードの近傍ノードは、前記ノードが交換されたかどうかをチェックする。次いで、交換が決定された場合には、自動回復が開始される。
【0045】
本発明は、上記の実施例には限定されず、IP通信をベースにした業務用及び家庭用ネットワーク接続照明制御システム、屋内及び屋外照明、オフィス照明ネットワーク、ビル制御又はビルオートメーションネットワーク、有線及び無線ネットワーク、並びに混合配置などの、あらゆるタイプのネットワークのあらゆるタイプのネットワークノードのために用いられ得ることに注意されたい。
【0046】
要約すると、分散ネットワークにおける障害回復のための方法及び装置であって、各ネットワークノードが、前記ネットワークノードの、少なくとも1つの方向における近傍ノードのネットワークアドレスを知るリンクリストが作成され、各ネットワークノードが、前記ネットワークノードの近傍ノードにビーコンを送信し、前記ネットワークノードの近傍ノードに、前記ビーコンを受け取ったことを通知させ、ネットワークノードが、交換ノードを識別するために、故障している近傍ノードが接続されているポートのポートステータスをスイッチデバイスに問い合わせる方法及び装置が記載されている。
【0047】
様々な実施例によるネットワークシステムの構成要素の記載されている動作は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段として、及び/又は専用ハードウェアとして実施され得る。より具体的には、図6に示されているもののような記載されているプロシージャは、コンピュータプログラムのプログラムコード手段として、及び/又は専用ハードウェアとして実施され得る。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又は固体媒体などの適切な媒体に分散及び/又は記憶されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムを介するなどの他の形態で配信されてもよい。
【0048】
本発明を、図面において図示し、上記の説明において詳細に説明しているが、このような図及び説明は、説明的なもの又は例示的なものとみなされるべきであって、限定するものとみなされるべきではない。本発明は、ネットワークノードとして前記ランプ又は照明器具を備える開示されている実施例に限定されない。本発明は、IPベースの若しくは他の照明システム、例えば、PoEシステム、又は他のIPベースの設備におけるあらゆるタイプの負荷、センサ、スイッチなどと関連して実施され得る。
【0049】
請求項に記載の発明を実施する当業者は、図面、明細及び添付の請求項の研究から、開示されている実施例に対する他の変形を、理解し、達成し得る。請求項において、「有する」という用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。
【0050】
請求項において列挙されている幾つかのアイテムの機能を単一のプロセッサ又は他のユニットが実現してもよい。単に、特定の手段が、相互に異なる従属請求項において引用されているという事実は、これらの手段の組み合わせが有利になるように用いられることができないことを示すものではない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6