特許第6346413号(P6346413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6346413セパレータ付き粘着剤層、その製造方法およびセパレータ付きの粘着剤層付き光学フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346413
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】セパレータ付き粘着剤層、その製造方法およびセパレータ付きの粘着剤層付き光学フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/40 20180101AFI20180611BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20180611BHJP
   C09J 7/29 20180101ALI20180611BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20180611BHJP
   C09J 133/14 20060101ALI20180611BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20180611BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20180611BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   C09J7/40
   C09J7/38
   C09J7/29
   C09J133/04
   C09J133/14
   C09J11/06
   B32B27/00 M
   G02B5/30
【請求項の数】6
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2013-122034(P2013-122034)
(22)【出願日】2013年6月10日
(65)【公開番号】特開2014-237785(P2014-237785A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2016年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保井 淳
(72)【発明者】
【氏名】外山 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】石井 孝証
(72)【発明者】
【氏名】藤田 昌邦
【審査官】 佐宗 千春
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−006750(JP,A)
【文献】 特開2013−010836(JP,A)
【文献】 特開2009−196176(JP,A)
【文献】 特開2013−010880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光フィルムの少なくとも片面に、セパレータ付き粘着剤層が貼り合わせているセパレータ付きの粘着剤層付き偏光フィルムであって、
前記偏光フィルムは、厚みが10μm以下である偏光子の少なくとも片面に、透明保護フィルムを有し、
前記セパレータ付き粘着剤層は、セパレータ上に粘着剤層を有し、
前記セパレータは、基材フィルムに、オリゴマー防止層、離型層がこの順で設けられており、かつ、前記離型層は表面抵抗値が1.0×1013Ω/□以上であり、
前記基材フィルムは、ポリエステルフィルムであり、
前記オリゴマー防止層は、シラン化合物および/またはシロキサン化合物により形成された層であり、
前記離型層は、シリコーン系離型剤から得られた層であり、
前記粘着剤層は、ベースポリマーおよびイオン性化合物を含有する粘着剤組成物から形成されており、前記セパレータの離型層に設けられていることを特徴とするセパレータ付きの粘着剤層付き偏光フィルム(但し、前記オリゴマー防止層は、アルミニウムを含む有機化合物を含有するものを除く)。
【請求項2】
前記イオン性化合物が、アルカリ金属塩及び/または有機カチオン−アニオン塩であることを特徴とする請求項1記載のセパレータ付きの粘着剤層付き偏光フィルム
【請求項3】
前記ベースポリマーが、(メタ)アクリル系ポリマーであることを特徴とする請求項1または2記載のセパレータ付きの粘着剤層付き偏光フィルム
【請求項4】
前記(メタ)アクリル系ポリマーが、モノマー単位として、アルキル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシル基含有モノマーを含有することを特徴とする請求項3記載のセパレータ付きの粘着剤層付き偏光フィルム
【請求項5】
前記(メタ)アクリル系ポリマーが、モノマー単位として、アルキル(メタ)アクリレートおよびカルボキシル基含有モノマーを含有することを特徴とする請求項3または4記載のセパレータ付きの粘着剤層付き偏光フィルム
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のセパレータ付きの粘着剤層付き偏光フィルムの製造方法であって、
基材フィルムに、オリゴマー防止層、離型層がこの順で設けられており、かつ、前記離型層の表面抵抗値が1.0×1013Ω/□以上のセパレータの当該離型層に、ベースポリマーおよびイオン性化合物を含有する粘着剤組成物の溶液を塗布する工程、および
前記塗布された粘着剤組成物の溶液を、140℃以上の温度で加熱する工程、
を有する工程によりセパレータ付き粘着剤層を製造する工程と、
さらに、得られたセパレータ付き粘着剤層を、前記偏光フィルムの少なくとも片面に、貼り合わせる工程を含むことを特徴とするセパレータ付きの粘着剤層付き偏光フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セパレータ付き粘着剤層およびその製造方法に関する。さらには、本発明は、前記セパレータ付き粘着剤層を光学フィルムに貼り合わせたセパレータ付きの粘着剤層付き光学フィルムに関する。
【0002】
前記光学フィルムとしては、偏光フィルム、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルムや、反射防止フィルム等の表面処理フィルム、さらにはこれらが積層されているものを用いることができる。前記セパレータ付き粘着剤層付き光学フィルムからセパレータを剥離した、粘着剤層付き光学フィルムは、液晶表示装置、有機EL表示装置、CRT、PDP等の画像表示装置および前面板などの画像表示装置と共に使用される部材が、適用される。
【背景技術】
【0003】
液晶表示装置等の画像表示装置や前面板等には、偏光フィルム等の光学フィルムが用いられる。前記光学フィルムを液晶セルに貼着する際には、通常、粘着剤が使用される。また、光学フィルムの接着は、通常、光の損失を低減するため、それぞれの材料は粘着剤を用いて密着されている。このような場合に、光学フィルムを固着させるのに乾燥工程を必要としないこと等のメリットを有することから、粘着剤は、光学フィルムの片側に予め粘着剤層として設けられた粘着剤層付光学フィルムが一般的に用いられる。粘着剤層付光学フィルムは、通常、セパレータ上に形成した粘着剤層を、光学フィルムに貼り付けることにより製造される。
【0004】
液晶表示装置の製造時、前記粘着剤層付光学フィルム(例えば、粘着剤層付偏光フィルム)を液晶セルに貼り付ける際には、粘着剤層付光学フィルムの粘着剤層からセパレータを剥離するが、当該セパレータの剥離により静電気が発生する。このようにして発生した静電気は、液晶表示装置内部の液晶の配向に影響を与え、不良を招くようになる。また、液晶表示装置の使用時に静電気による表示ムラが生じる場合がある。静電気の発生は、例えば、光学フィルムの外面に帯電防止層を形成することにより抑えることができるが、その効果は少なく、静電気発生を根本的に防止できないという問題点がある。そのため、静電気発生の根本的な位置で発生を抑えるためには、粘着剤層に帯電防止機能を付与することが求められる。粘着剤層に帯電防止機能を付与する手段として、例えば、粘着剤層を形成する粘着剤に、イオン性化合物を配合することが提案されている(特許文献1,2)。
また、粘着剤層付き偏光フィルムとして、偏光フィルムと粘着剤層の間に導電性ポリマーにより帯電防止層を設けること提案されている(特許文献3)。
【0005】
一方、粘着剤層付光学フィルムに用いられるセパレータには、セパレータに用いる基材フィルム(例えば、ポリエステルフィルム)中のオリゴマーが、粘着剤層に移行する課題がある。当該課題を防止するために基材フィルムにオリゴマー防止層(移行防止層)を設けることが提案されている(特許文献4)。特許文献4では、オリゴマー防止層の形成に、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系等の樹脂層や、酸化スズ、酸化インジウム、これらの複合体が用いられている。また、ポリエステルフィルムに、四級アンモニウム塩含有ポリマー含有する塗布層、次いで、金属元素を含む有機化合物を含むオリゴマー防止層を設けることで、ポリエステルフィルムからのオリゴマーの析出を抑えることが提案されている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−128539号公報
【特許文献2】特表2007−536427号公報
【特許文献3】特開2003−246874号公報
【特許文献4】特開2000−227503号公報
【特許文献5】特開2011−093173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、帯電防止機能を付与するために、イオン性化合物を含有する粘着剤層をセパレータ上に形成した場合において、例えば、特許文献5に記載の四級アンモニウム塩含有ポリマーを含有する材料によりオリゴマー防止層をさらに設けた場合には、セパレータに用いる基材フィルム中のオリゴマーの粘着剤層中への移行を十分に抑制することができないことが分かった。これは、粘着剤層中のイオン性化合物と四級アンモニウム塩ポリマーの相性(相溶性)が良好なため、粘着剤層中のイオン性化合物によって、前記オリゴマー防止層の機能が低下するためであると考えられる。
【0008】
本発明は、イオン性化合物を含有する粘着剤層をセパレータ上に形成した場合においても、セパレータに用いる基材フィルム中のオリゴマーの粘着剤層中への移行を抑制することができる、セパレータ付き粘着剤層およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
また本発明は、光学フィルムの少なくとも片面に、前記セパレータ付き粘着剤層が貼り合わせているセパレータ付き粘着剤層付き光学フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記セパレータ付き粘着剤層付き光学フィルムを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち本発明は、セパレータ上に粘着剤層を有するセパレータ付き粘着剤層であって、
前記セパレータは、基材フィルムに、オリゴマー防止層、離型層がこの順で設けられており、かつ、前記離型層は表面抵抗値が1.0×1013Ω/□以上であり、
前記粘着剤層は、ベースポリマーおよびイオン性化合物を含有する粘着剤組成物から形成されており、前記セパレータの離型層に設けられていることを特徴とするセパレータ付き粘着剤層、に関する。
【0012】
前記セパレータ付き粘着剤層において、前記オリゴマー防止層が、シリカ系材料により形成された層であることが好ましい。
【0013】
前記セパレータ付き粘着剤層において、前記イオン性化合物が、アルカリ金属塩及び/または有機カチオン−アニオン塩であることが好ましい。
【0014】
前記セパレータ付き粘着剤層において、前記ベースポリマーとして、(メタ)アクリル系ポリマーを用いることができる。
【0015】
前記(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位として、アルキル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシル基含有モノマーを含有することができる。また、前記(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位として、アルキル(メタ)アクリレートおよびカルボキシル基含有モノマーを含有することができる。



【0016】
また本発明は、前記セパレータ付き粘着剤層の製造方法であって、
基材フィルムに、オリゴマー防止層、離型層がこの順で設けられており、かつ、前記離型層は表面抵抗値が1.0×1013Ω/□以上のセパレータの当該離型層に、ベースポリマーおよびイオン性化合物を含有する粘着剤組成物の溶液を塗布する工程、および、
前記塗布され粘着剤組成物の溶液を、140℃以上の温度で加熱する工程、
を有することを特徴とするセパレータ付き粘着剤層の製造方法、に関する。
【0017】
また本発明は、光学フィルムの少なくとも片面に、
前記セパレータ付き粘着剤層が貼り合わせていることを特徴とする、セパレータ付きの粘着剤層付き光学フィルム、に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明のセパレータ付き粘着剤層に係る粘着剤層は、イオン性化合物を含有しており帯電防止機能を有する。即ち、粘着剤層の表面にイオン性化合物がブリードアウトすることにより、粘着剤層の表面抵抗値を小さくすることで効率的に帯電防止機能が発現すると考えられる。
【0019】
また、本発明のセパレータ付き粘着剤層に係るセパレータは、基材フィルムに、オリゴマー防止層、離型層がこの順で設けられており、かつ、前記離型層は表面抵抗値が1.0×1013Ω/□以上になるように制御されている。このように、本発明では、上記の粘着剤層では表面抵抗値を小さくする一方で、粘着剤層が接触する離型層の表面抵抗値を所定の値以上の大きな値に設計している。かかる大きな値に表面抵抗値が制御された離型層は、粘着剤層からのイオン性化合物のブードアウトによる、オリゴマー防止層の機能低下を抑えることができると考えられる。その結果、イオン性化合物を含有する粘着剤層をセパレータ(離型層)上に形成した場合においても、セパレータに用いる基材フィルム中のオリゴマーの粘着剤層中への移行を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のセパレータ付き粘着剤層は、セパレータ上に粘着剤層を有する構造を有する。前記セパレータは、基材フィルムに、オリゴマー防止層、離型層がこの順で設けられている。
【0021】
上記離型層の表面は、表面抵抗値が1.0×1013Ω/□以上になるように制御される。離型層の表面抵抗値の制御は、例えば、オリゴマー防止層を形成する材料を選択することにより制御することができる。前記表面抵抗値が1×1013Ω/□未満では、離型層自体に帯電防止機能が付与され、粘着剤層からのイオン性化合物のブードアウトによる、オリゴマー防止層の機能低下を十分に抑えることができない。
【0022】
セパレータの基材フィルムとしては、プラスチックフィルムが用いられる。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム等のポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム等の塩化ビニル系フィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリナフチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム;その他、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどが挙げられる。本発明では、前記基材フィルム中のオリゴマーの移行防止を目的とするが、本発明は、前記基材フィルムのなかでも、ポリエステルフィルムを用いた場合に好適に適用できる。
【0023】
前記基材フィルムの厚みは、通常、5〜200μmであり、好ましくは5〜100μmである。オリゴマー防止層の形成にあたり、基材フィルムには、予め、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
【0024】
上記オリゴマー防止層としては、例えば、基材フィルム(例えば、ポリエステルフィルム)中の移行成分、特に、ポリエステルの低分子量オリゴマー成分の移行を防止する為の適宜な材料にて形成することができる。オリゴマー防止層の形成材料としては、無機物若しくは有機物、又はそれらの複合材料を用いることができる。
【0025】
オリゴマー防止層の厚さは、5〜100nmの範囲で適宜に設定することが好ましい。さらには、オリゴマー防止層の厚さは、10〜70nmであるのが好ましい。オリゴマー防止層の形成方法は、特に限定されず、その形成材料により適宜に選択すればよく、例えば、塗布法、スプレー法、スピンコート法、インラインコート法などが用いられる。また、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、スプレー熱分解法、化学メッキ法、電気メッキ法等も用いることができる。
【0026】
オリゴマー防止層の材料の選択により、上記離型層の表面抵抗値を1.0×1013Ω/□以上になるように制御することができる。かかるオリゴマー防止層の材料としては、シリカ系材料を好ましく用いることができる。
【0027】
上記シリカ系材料としては、例えば、下記一般式(I)で表わされるシラン化合物(オルガノシロキサン)が挙げられる。
【化1】
【0028】
上記一般式(I)中、RおよびRは、それぞれ独立して、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基などのようなエポキシ基を含有する有機基、または、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基であり、Rはメトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、または下記一般式(II)で示される基である。nおよびmは、0〜10の整数である。
【化2】
【0029】
上記一般式(II)中、RはR基またはR基と同じ、エポキシ基含有有機基またはアルコキシ基である。
【0030】
上記オルガノシロキサンの具体としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、5,6−エポキシシクロヘキシルトリエトキシシラン、テトラエトキシシランなどの単量体、およびこれら単量体もしくはこれら単量体の混合物の加水分解性生成物(オリゴマー)が例示される。
【0031】
また上記シリカ系材料としては、アミノ基を有するシラン化合物が挙げられる。上記アミノ基を有するシラン化合物として、下記一般式(III)で表されるアルコキシシランが好ましい。
Y−R−Si−(X)3 ……(III)
(上記一般式(III)中、Yはアミノ基、Rはメチレン、エチレン、プロピレン等のアルキレン基、Xはメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、アルキル基、またはこれらの基を有する有機官能基を表す)。
【0032】
アミノ基を有するシラン化合物の具体例としては、例えば、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0033】
その他、上記シリカ系材料としては、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シラン化合物、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基含有シラン化合物などが挙げられる。
【0034】
シリカ系材料の具体的製品としては、例えば、信越化学工業社製KR−401N,X−40−9227,X−40−9247,KR−510,KR−9218,KR−213,KR−217,X−41−1053,X−40−1056,X−41−1805,X−41−1810,X−40−2651,X−40−2652B,X−40−2655A,X−40−2761,X−40−2672等が挙げられる。
【0035】
上記オリゴマー防止層の形成材料には、必要に応じて、金属元素を有する有機化合物(金属キレート等の金属化合物)、触媒等を含有することができる。これら金属有機化合物は、一種類のみを用いてもよく、適宜、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0036】
アルミニウム元素を有する有機化合物の具体例としてはアルミニウムトリス(アセチルアセトネ−ト)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−イソ−プロポキシド−モノメチルアセトアセテート等が例示される。
【0037】
チタン元素を有する有機化合物の具体例としては、例えば、テトラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート等のチタンオルソエステル類;チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、ポリチタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、チタンエチルアセトアセテート等のチタンキレート類等が挙げられる。
【0038】
ジルコニウム元素を有する有機化合物の具体例としては、例えば、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムモノアセチルアセトナート、ジルコニウムビスアセチルアセトナート等が挙げられる。
【0039】
これらの中でも、特にオリゴマー析出防止性能が良好となる点でキレート構造を有するアルミニウム元素を有する有機化合物、チタン元素を有する有機化合物、ジルコニウム元素を有する有機化合物が好ましい。かかる化合物は、「架橋剤ハンドブック」(山下晋三、金子東助編者(株)大成社 平成2年版)にも具体的に記載されている。
【0040】
また、オリゴマー防止層の形成材料には、上記のシリカ系材料以外の水溶性または水分散性のバインダー樹脂を併用してもよい。かかるバインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂等が挙げられる。これらは、それぞれの骨格構造が共重合等により実質的に複合構造を有していてもよい。複合構造を持つバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂グラフトポリエステル、アクリル樹脂グラフトポリウレタン、ビニル樹脂グラフトポリエステル、ビニル樹脂グラフトポリウレタン等が挙げられる。バインダー成分の配合量は、オリゴマー防止層の全量100重量部とし場合に、50重量部以下、さらには30重量部以下の範囲が好ましい。但し、バインダー樹脂としては、四級アンモニウム塩基を有するポリマーは、粘着剤層中のイオン性化合物によって、前記オリゴマー防止層の機能が低下すると考えられるため、本発明で用いるバインダー樹脂からは除くことが好ましい。
【0041】
また、オリゴマー防止層の形成材料には、必要に応じて架橋反応性化合物を含んでいてもよい。架橋反応性化合物の具体例としてはメチロール化またはアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、ブロックポリイソシアネート、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコ−アルミネートカップリング剤等が挙げられる。これらの架橋成分はバインダー樹脂と予め結合していてもよい。
【0042】
上記オリゴマー防止層の形成は、上記のシリカ系材料を、適宜に溶媒に溶解した溶液を、基材フィルムに塗布後、乾燥することにより行うことができる。塗布後の乾燥温度は特に限定されるわけでないが、100〜150℃程度であるのが好ましい。
【0043】
前記オリゴマー防止層には、次いで、離型層が設けられる。離型層は、粘着剤層からの剥離性を高めるために設けられる。離型層の形成材料は、特に制限されず、例えば、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤等が挙げられる。これらのなかでも、シリコーン系離型剤が好ましい。離型層は、上記のオリゴマー防止層上に、塗布層として形成することができる。離型層の厚みは、通常、10〜2000nmであり、好ましくは10〜1000nmであり、さらに好ましくは10〜500nmである。
【0044】
シリコーン系離型としては、例えば、付加反応型シリコーン樹脂が挙げられる。例えば、信越化学工業製KS−774,KS−775,KS−778,KS−779H,KS−847H,KS−847T,東芝シリコーン製TPR−6700,TPR−6710,TPR−6721,東レ・ダウ・コーニング製SD7220,SD7226等が挙げられる。シリコーン系離型の塗布量(乾燥後)は0.01〜2g/m、好ましくは0.01〜1g/m、さらに好ましくは0.01〜0.5g/mの範囲が好ましい。
【0045】
離型層の形成は、例えば、上記の材料を、オリゴマー防止層上に、リバースグラビアコート、バーコート、ダイコート等、従来公知の塗布方式により塗布した後に、通常、120〜200℃程度で熱処理を施すことにより硬化させることにより行うのができる。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
【0046】
本発明のセパレータ付き粘着剤層は、前記セパレータの離型層に、ベースポリマーおよびイオン性化合物を含有する粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する。
【0047】
前記粘着剤層は、粘着剤から形成される。粘着剤としては各種の粘着剤を用いることができ、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤などが挙げられる。前記粘着剤の種類に応じて粘着性のベースポリマーが選択される。
【0048】
前記粘着剤のなかでも、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れる点から、アクリル系粘着剤が好ましく使用される。アクリル系粘着剤は、ベースポリマーとして(メタ)アクリル系ポリマーを含む。(メタ)アクリル系ポリマーは、通常、モノマー単位として、アルキル(メタ)アクリレートを主成分として含有する。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。
【0049】
(メタ)アクリル系ポリマーの主骨格を構成する、アルキル(メタ)アクリレートとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の炭素数1〜18のものを例示できる。例えば、前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、イソミリスチル基、ラウリル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、等を例示できる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらアルキル基の平均炭素数は3〜9であるのが好ましい。
【0050】
また、粘着特性、耐久性、位相差の調整、屈折率の調整などの点から、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートのような芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートは、これを重合したポリマーを前記例示の(メタ)アクリル系ポリマーに混合して用いることができるが、透明性の観点から、芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートは、前記アルキル(メタ)アクリレートと共重合して用いるのが好ましい。
【0051】
(メタ)アクリル系ポリマーにおける前記芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートの割合は、(メタ)アクリル系ポリマーの全構成モノマー(100重量%)の重量比率において、50重量%以下の割合で含有することができる。さらには芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートの含有率は1〜35重量%が好ましく、さらには1〜20重量%が好ましく、さらには7〜18重量%が好ましく、さらには10〜16重量%が好ましい。
【0052】
前記(メタ)アクリル系ポリマー中には、接着性や耐熱性の改善を目的に、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有する、1種類以上の共重合モノマーを共重合により導入することができる。そのような共重合モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐酸基含有モノマーなどが挙げられる。
【0053】
また、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドやN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド、N−アクリロイルモルホリンなどのスクシンイミド系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミドやN−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミドやN−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー、なども改質目的のモノマー例として挙げられる。
【0054】
さらに改質モノマーとして、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマーなども使用することができる。さらには、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン、ビニルエーテル等が挙げられる。
【0055】
さらに、上記以外の共重合可能なモノマーとして、ケイ素原子を含有するシラン系モノマーなどが挙げられる。シラン系モノマーとしては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0056】
また、共重合モノマーとしては、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物等の(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を2個以上有する多官能性モノマーや、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどの骨格にモノマー成分と同様の官能基として(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を2個以上付加したポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどを用いることもできる。
【0057】
(メタ)アクリル系ポリマーは、全構成モノマーの重量比率において、アルキル(メタ)アクリレートを主成分とし、(メタ)アクリル系ポリマー中の前記共重合モノマーの割合は、特に制限されないが、前記共重合モノマーの割合は、全構成モノマーの重量比率において、0〜20%程度、0.1〜15%程度、さらには0.1〜10%程度であるのが好ましい。
【0058】
これら共重合モノマーの中でも、接着性、耐久性の点から、ヒドロキシル基含有モノマーが好ましく用いられる。ヒドロキシル基含有モノマーは分子間架橋剤との反応性に富むため、得られる粘着剤層の凝集性や耐熱性の向上のために好ましく用いられる。ヒドロキシル基含有モノマーはリワーク性の点で好ましい。共重合モノマーとして、ヒドロキシル基含有モノマーを含有する場合、その割合は、0.01〜15重量%が好ましく、0.03〜10重量%がより好ましく、さらには0.05〜7重量%が好ましい。
【0059】
カルボキシル基含有モノマーは耐久性とリワーク性を両立させる点で好ましい。共重合モノマーとして、カルボキシル基含有モノマーを含有する場合、その割合は、0.05〜10重量%が好ましい。特に、カルボキシル基含有モノマーの割合が少なくなると、基材フィルム中のオリゴマーが移行して析出しやすくな。本発明は、カルボキシル基含有モノマーの割合が、4重量%以下の場合に、特に有効である。カルボキシル基含有モノマーの割合は、0.05〜4重量%が好ましく、0.1〜3重量%がより好ましく、さらには0.2〜2重量%が好ましい。
【0060】
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーは、通常、重量平均分子量が50万〜300万の範囲のものが用いられる。耐久性、特に耐熱性を考慮すれば、重量平均分子量は70万〜270万であるものを用いることが好ましい。さらには80万〜250万であることが好ましい。重量平均分子量が50万よりも小さいと、耐熱性の点で好ましくない。また、重量平均分子量が300万よりも大きくなると、塗布するための粘度に調整するために多量の希釈溶剤が必要となり、コストアップとなることから好ましくない。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
【0061】
このような(メタ)アクリル系ポリマーの製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、各種ラジカル重合などの公知の製造方法を適宜選択できる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
【0062】
なお、溶液重合においては、重合溶媒として、例えば、酢酸エチル、トルエンなどが用いられる。具体的な溶液重合例としては、反応は窒素などの不活性ガス気流下で、重合開始剤を加え、通常、50〜70℃程度で、5〜30時間程度の反応条件で行われる。
【0063】
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などは特に限定されず適宜選択して使用することができる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜のその使用量が調整される。
【0064】
重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬社製、VA−057)などのアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
前記重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー100重量部に対して、0.005〜1重量部程度であることが好ましく、0.02〜0.5重量部程度であることがより好ましい。
【0066】
なお、重合開始剤として、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを用いて、前記重量平均分子量の(メタ)アクリル系ポリマーを製造するには、重合開始剤の使用量は、モノマー成分の全量100重量部に対して、0.06〜0.2重量部程度とするのが好ましく、さらには0.08〜0.175重量部程度とするのが好ましい。
【0067】
連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノールなどが挙げられる。連鎖移動剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー成分の全量100重量部に対して、0.1重量部程度以下である。
【0068】
また、乳化重合する場合に用いる乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などが挙げられる。これらの乳化剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0069】
さらに、反応性乳化剤として、プロペニル基、アリルエーテル基などのラジカル重合性官能基が導入された乳化剤として、具体的には、例えば、アクアロンHS−10、HS−20、KH−10、BC−05、BC−10、BC−20(以上、いずれも第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE10N(旭電化工社製)などがある。反応性乳化剤は、重合後にポリマー鎖に取り込まれるため、耐水性がよくなり好ましい。乳化剤の使用量は、モノマー成分の全量100重量部に対して、0.3〜5重量部、重合安定性や機械的安定性から0.5〜1重量部がより好ましい。
【0070】
本発明の粘着剤組成物は、前記ベースポリマー(例えば、(メタ)アクリル系ポリマー)に加えて、イオン性化合物を含有する。イオン性化合物としては、アルカリ金属塩及び/または有機カチオン−アニオン塩を好ましく用いることができる。アルカリ金属塩は、アルカリ金属の有機塩および無機塩を用いることができる。なお、本発明でいう、「有機カチオン−アニオン塩」とは、有機塩であって、そのカチオン部が有機物で構成されているものを示し、アニオン部は有機物であっても良いし、無機物であっても良い。「有機カチオン−アニオン塩」は、イオン性液体、イオン性固体とも言われる。
【0071】
<アルカリ金属塩>
アルカリ金属塩のカチオン部を構成するアルカリ金属イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムの各イオンが挙げられる。これらアルカリ金属イオンのなかでもリチウムイオンが好ましい。
【0072】
アルカリ金属塩のアニオン部は有機物で構成されていてもよく、無機物で構成されていてもよい。有機塩を構成するアニオン部としては、例えば、CHCOO、CFCOO、CHSO、CFSO、(CFSO、CSO、CCOO、(CFSO)(CFCO)NS(CFSO、PF、CO2−、や下記一般式(1)乃至(4)、
(1):(C2n+1SO (但し、nは1〜10の整数)、
(2):CF(C2mSO (但し、mは1〜10の整数)、
(3):S(CFSO (但し、lは1〜10の整数)、
(4):(C2p+1SO)N(C2q+1SO)、(但し、p、qは1〜10の整数)、で表わされるものなどが用いられる。特に、フッ素原子を含むアニオン部は、イオン解離性の良いイオン化合物が得られることから好ましく用いられる。無機塩を構成するアニオン部としては、Cl、Br、I、AlCl、AlCl、BF、PF、ClO、NO、AsF、SbF、NbF、TaF、(CN)、などが用いられる。アニオン部としては、(CFSO、(CSO、等の前記一般式(1)で表わされる、(ペルフルオロアルキルスルホニル)イミドが好ましく、特に(CFSO、で表わされる(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが好ましい。
【0073】
アルカリ金属の有機塩としては、具体的には、酢酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CSON、Li(CFSOC、KOS(CFSOK、LiOS(CFSOK等が挙げられ、これらのうちLiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CSON、Li(CFSOC等が好ましく、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CSON等のフッ素含有リチウムイミド塩がより好ましく、特に(ペルフルオロアルキルスルホニル)イミドリチウム塩が好ましい。
【0074】
また、アルカリ金属の無機塩としては、過塩素酸リチウム、ヨウ化リチウムが挙げられる。
【0075】
<有機カチオン-アニオン塩>
本発明で用いられる有機カチオン−アニオン塩は、カチオン成分とアニオン成分とから構成されており、前記カチオン成分は有機物からなるものである。カチオン成分として、具体的には、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピロリン骨格を有するカチオン、ピロール骨格を有するカチオン、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
【0076】
アニオン成分としては、例えば、Cl、Br、I、AlCl、AlCl、BF、PF、ClO、NO、CHCOO、CFCOO、CHSO、CFSO、(CFSO、AsF、SbF、NbF、TaF、(CN)、CSO、CCOO、((CFSO)(CFCO)NS(CFSO、や下記一般式(1)乃至(4)、
(1):(C2n+1SO (但し、nは1〜10の整数)、
(2):CF(C2mSO (但し、mは1〜10の整数)、
(3):S(CFSO (但し、lは1〜10の整数)、
(4):(C2p+1SO)N(C2q+1SO)、(但し、p、qは1〜10の整数)、で表わされるものなどが用いられる。なかでも特に、フッ素原子を含むアニオン成分は、イオン解離性の良いイオン化合物が得られることから好ましく用いられる。特に、アニオン成分は、フッ素含有イミドアニオンが好ましい。
【0077】
≪フッ素含有イミドアニオン≫
前記フッ素含有イミドアニオンとしては、例えば、ペルフルオロアルキル基を有するイミドアニオンを例示できる。
具体的には、前記例示のアニオン成分のなかの、(CFSO)(CFCO)N、や前記一般式(1)、(2)、(4)、
(1):(C2n+1SO (但し、nは1〜10の整数)、
(2):CF(C2mSO (但し、mは1〜10の整数)、
(4):(C2p+1SO)N(C2q+1SO)、(但し、p、qは1〜10の整数)、で表わされるものなどが用いられる。これらフッ素含有イミドアニオンは、イオン解離性の良いイオン性化合物が得られることから好ましく用いられる。また、前記フッ素含有イミドアニオンは、炭素数1〜4のフッ化アルキル基またはフッ化アルキレン基を有するものが、表面抵抗値を小さく制御でき静電気ムラを抑えるうえで好ましい。前記フッ素含有イミドアニオンとしては、(CFSO、(CSO、等の前記一般式(1)で表わされる、(ペルフルオロアルキルスルホニル)イミドが好ましく、特に(CFSO、で表わされる(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが好ましい。
【0078】
有機カチオン−アニオン塩の具体例としては、上記カチオン成分とアニオン成分との組み合わせからなる化合物が適宜選択して用いられる。本発明では、当該カチオン−アニオン塩のなかでも、カチオンがオニウムである、オニウム−アニオン塩を用いるのが好ましい。
【0079】
<オニウム>
前記オニウム−アニオン塩におけるカチオン部を構成するオニウムとしては、オニウムイオンになる原子がプロトン化したものである。また、本発明のオニウムは、二重結合、三重結合等の不飽和結合によってオニウム塩を形成していないものが偏光子劣化の抑制の点から好ましい。即ち、本発明のオニウムとしては、有機基等による置換によってオニウムイオンを形成した有機オニウムが好ましい。
【0080】
また、前記有機オニウムにおける有機基としては、アルキル基、アルコキシル基、アルケニル基等を例示できる。これらのなかでも、偏光子劣化を抑えるうえから、不飽和結合を有しないものが好ましい。アルキル基の炭素数は例えば、1〜12から選択することができるが、好ましくは1〜8であり、さらに好ましくは1〜4である。有機オニウムとしては、全ての置換基が、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルオニウムであることが好ましい。アルキル基は直鎖または分岐鎖を用いることができるが、直鎖が好ましい。また、有機オニウムが環状構造を有する場合は、オニウムが5員環もしくは6員環を有し、その他の置換基が、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
【0081】
前記オニウムとしては、特に制限はないが、例えば、含窒素オニウム、含硫黄オニウム、含リンオニウム、等が挙げられる。これらのなかでも含窒素オニウム、含硫黄オニウムが好ましい。
【0082】
含窒素オニウムとしては、アンモニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリン骨格を有するカチオン、ピロール骨格を有するカチオン、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、等が挙げられる。これらのなかでも、偏光子劣化の点から、アンモニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオンが好ましく、特に、ピロリジニウムが好ましい。具体的な含窒素オニウムとしては、テトラアルキルアンモニウムカチオン、アルキルピペリジニウムカチオン、アルキルピロリジニウムカチオンが好ましい。
【0083】
含硫黄オニウムとしは、スルホニウムカチオン等が挙げられる。また含リンオニウムとしては、ホスホニウムカチオン等が挙げられる。
【0084】
前記オニウム−アニオン塩は、上記オニウム成分とアニオン成分との組み合わせからなる化合物が適宜選択して用いられる。本発明では、当該オニウム−アニオン塩のなかでも、アニオンがフッ素含有イミドアニオンである、オニウム−フッ素含有イミドアニオン塩が好ましい。
【0085】
オニウム−フッ素含有イミドアニオン塩の具体例としては、上記オニウム成分とフッ素含有イミドアニオン成分との組み合わせからなる化合物が適宜選択して用いられ、含窒素オニウム塩、含硫黄オニウム塩および含リンオニウム塩から選ばれるいずれか少なくとも1種が好適に用いられる。さらには、アンモニウム塩、ピロリジニウム塩、ピペリジニウム塩およびスルホニウム塩から選ばれるいずれか少なくとも1種が好適に用いられる。
【0086】
例えば、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、N,N―ジエチル―N―メチル―N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N―ジエチル―N―メチル―N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−へキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−へキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、などが挙げられる。これらの市販品として、例えば、「CIL−314」(日本カーリット社製)、「ILA2−1」(広栄化学社製)などが使用可能である。
【0087】
また、例えば、テトラメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルエチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルオクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラエチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、などが挙げられる。
【0088】
また、例えば、1−ジメチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘキシルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へプチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へキシルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へプチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ペンチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1―プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘキシルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へプチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘキシルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1―エチル−1−ヘプチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1―ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘキシルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1―へプチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘキシルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へプチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1―プロピル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ペンチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル‐1−エチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘキシルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1へプチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘプチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド,1−エチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘキシルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルニル)イミド、1−エチル−1−へプチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1―ジブチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドなどが挙げられる。
【0089】
また、上記化合物のオニウム成分の代わりに、トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、トリブチルスルホニウムカチオン、トリヘキシルスルホニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオン、ジメチルデシルスルホニウムカチオン、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、テトラヘキシルホスホニウムカチオンを用いた化合物などが挙げられる。
【0090】
また、上記のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの代わりに、ビス(ペンタフルオロスルホニル)イミド、ビス(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミド、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホニルノナフルオロブタンスルホニルイミド、ヘプタフルオロプロパンスルホニルトリフルオロメタンスルホニルイミド、ペンタフルオロエタンスルホニルノナフルオロブタンスルホニルイミド、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドアニオンなどを用いた化合物などが挙げられる。
【0091】
オニウム−フッ素含有イミドアニオン塩以外のオニウム−アニオン塩としては、上記オニウム成分とフッ素含有イミドアニオン塩以外のアニオン成分との組み合わせからなる化合物が適宜選択して用いられる。例えば、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−へキシルピリジニウムテトラフルオロボレート、2−メチル−1−ピロリンテトラフルオロボレート、1−エチル−2−フェニルインドールテトラフルオロボレート、1,2−ジメチルインドールテトラフルオロボレート、1−エチルカルバゾールテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−へキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、3−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、ジアリルジメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、ジアリルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、ジアリルジメチルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、グリシジルトリメチルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−ブチル−3メチルピリジン−1−イウムトリフルオロメタンスルホナートなどが挙げられる。
【0092】
また、イオン性化合物としては、前記のアルカリ金属塩、有機カチオン−アニオン塩の他に、塩化アンモニウム、塩化アルミニウム、塩化銅、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸アンモニウム等の無機塩が挙げられる。これらイオン性化合物は単独でまたは複数を併用することができる。
【0093】
本発明の粘着剤組成物におけるイオン性化合物の割合は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.0001〜5重量部が好ましい。前記イオン性化合物が0.0001重量部未満では、帯電防止性能の向上効果が十分ではない場合がある。前記イオン性化合物は、0.01重量部以上が好ましく、さらには0.1重量部以上であるのが好ましい。一方、前記イオン性化合物は5重量部より多いと、耐久性が十分ではなくなる場合がある。前記イオン性化合物は、3重量部以下が好ましく、さらには1重量部以下であるのが好ましい。前記イオン性化合物の割合は、前記上限値または下限値を採用して好ましい範囲を設定できる。
【0094】
さらに、本発明の粘着剤組成物には、架橋剤を含有することできる。架橋剤としては、有機系架橋剤や多官能性金属キレートを用いることができる。有機系架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、過酸化物系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イミン系架橋剤などが挙げられる。多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等が挙げられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子等が挙げられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物等が挙げられる。
【0095】
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤および/または過酸化物形架橋剤が好ましい。イソシアネート系架橋剤に係る化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマー及びこれらイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパンなどと付加したイソシアネート化合物やイソシアヌレート化物、ビュレット型化合物、さらにはポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどと付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネートなどを挙げることができる。特に好ましくは、ポリイソシアネート化合物であり、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートからなる群より選択される1種またはそれに由来するポリイソシアネート化合物である。ここで、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートからなる群より選択される1種またはそれに由来するポリイソシアネート化合物には、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリオール変性ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリオール変性水添キシリレンジイソシアネート、トリマー型水添キシリレンジイソシアネート、およびポリオール変性イソホロンジイソシアネートなどが含まれる。例示したポリイソシアネート化合物は、水酸基との反応が、特にポリマーに含まれる酸、塩基を触媒のようにして、迅速に進む為、特に架橋の早さに寄与し、好ましい。
【0096】
過酸化物としては、加熱または光照射によりラジカル活性種を発生して粘着剤組成物のベースポリマーの架橋を進行させるものであれば適宜使用可能であるが、作業性や安定性を勘案して、1分間半減期温度が80℃〜160℃である過酸化物を使用することが好ましく、90℃〜140℃である過酸化物を使用することがより好ましい。
【0097】
用いることができる過酸化物としては、たとえば、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:90.6℃)、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.4℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(1分間半減期温度:103.5℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:109.1℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:110.3℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジ−n−オクタノイルパーオキシド(1分間半減期温度:117.4℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(1分間半減期温度:124.3℃)、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド(1分間半減期温度:128.2℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(1分間半減期温度:136.1℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:149.2℃)などが挙げられる。なかでも特に架橋反応効率が優れることから、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)などが好ましく用いられる。
【0098】
なお、過酸化物の半減期とは、過酸化物の分解速度を表す指標であり、過酸化物の残存量が半分になるまでの時間をいう。任意の時間で半減期を得るための分解温度や、任意の温度での半減期時間に関しては、メーカーカタログなどに記載されており、たとえば、日本油脂株式会社の「有機過酸化物カタログ第9版(2003年5月)」などに記載されている。
【0099】
架橋剤の使用量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましく、さらには0.03〜10重量部が好ましい。なお、架橋剤が0.01重量部未満では、粘着剤の凝集力が不足する傾向があり、加熱時に発泡が生じるおそれがあり、一方、20重量部より多いと、耐湿性が十分ではなく、信頼性試験等で剥がれが生じやすくなる。
【0100】
上記イソシアネート系架橋剤は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記ポリイソシアネート化合物架橋剤を0.01〜2重量部含有してなることが好ましく、0.02〜2重量部含有してなることがより好ましく、0.05〜1.5重量部含有してなることがさらに好ましい。凝集力、耐久性試験での剥離の阻止などを考慮して適宜含有させることが可能である。
【0101】
前記過酸化物は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記過酸化物0.01〜2重量部であり、0.04〜1.5重量部含有してなることが好ましく、0.05〜1重量部含有してなることがより好ましい。加工性、リワーク性、架橋安定性、剥離性などの調整の為に、この範囲内で適宜選択される。
【0102】
なお、反応処理後の残存した過酸化物分解量の測定方法としては、たとえば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定することができる。
【0103】
より具体的には、たとえば、反応処理後の粘着剤組成物を約0.2gずつ取り出し、酢酸エチル10mlに浸漬し、振とう機で25℃下、120rpmで3時間振とう抽出した後、室温で3日間静置する。次いで、アセトニトリル10ml加えて、25℃下、120rpmで30分振とうし、メンブランフィルター(0.45μm)によりろ過して得られた抽出液約10μlをHPLCに注入して分析し、反応処理後の過酸化物量とすることができる。
【0104】
さらに、本発明の粘着剤組成物には、シランカップリング剤を含有することできる。シランカップリング剤を用いることにより、耐久性を向上させることができる。シランカップリング剤としては、具体的には、たとえば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤などが挙げられる。
【0105】
前記シランカップリング剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記シランカップリング剤0.001〜5重量部が好ましく、さらには0.01〜1重量部が好ましく、さらには0.02〜1重量部がより好ましく、さらには0.05〜0.6重量部が好ましい。耐久性を向上させ、液晶セル等の光学部材への接着力を適度に保持する量である。
【0106】
さらに本発明の粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、制御できる範囲内で、還元剤を加えてのレドックス系を採用してもよい。
【0107】
前記粘着剤組成物により、粘着剤層を形成するが、粘着剤層の形成にあたっては、架橋剤全体の添加量を調整することとともに、架橋処理温度や架橋処理時間の影響を十分考慮することが好ましい。
【0108】
使用する架橋剤によって架橋処理温度や架橋処理時間は、調整が可能である。架橋処理温度は170℃以下であることが好ましい。
【0109】
また、かかる架橋処理は、粘着剤層の乾燥工程時の温度で行ってもよいし、乾燥工程後に別途架橋処理工程を設けて行ってもよい。
【0110】
また、架橋処理時間に関しては、生産性や作業性を考慮して設定することができるが、通常0.2〜20分間程度であり、0.5〜10分間程度であることが好ましい。
【0111】
本発明のセパレータ付き粘着剤層は、上記セパレータの離型層上に、上記粘着剤組成物を含有する溶液を塗布した後、乾燥して粘着剤層を形成することにより製造することができる。なお、粘着剤組成物の塗布にあたっては、適宜に、重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
【0112】
粘着剤組成物の塗布方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法が挙げられる。
【0113】
上記塗布膜を加熱乾燥する際の温度は、好ましくは40℃〜200℃であり、さらに好ましくは、50℃〜180℃であり、特に好ましくは70℃〜170℃である。架橋剤として過酸化物を用いた架橋を行う際の加熱温度は140℃以上、さらには150℃以上であるのが、架橋効率、生産性の点から好ましい。
【0114】
乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、好ましくは30秒〜3分であり、特に40秒〜2分が、生産性と乾燥効率、架橋効率の点から好ましい。
【0115】
粘着剤層の厚さは、特に制限されず、例えば、1〜100μm程度である。好ましくは、2〜50μm、より好ましくは2〜40μmであり、さらに好ましくは、5〜35μmである。
【0116】
本発明の粘着剤層のゲル分率は、粘着剤層の形成時(初期)において高い方が好ましい。ゲル分率が高くなると、フィルム間の異物による打痕の発生を抑制することができ、また、粘着剤層を形成した後に、直ちに、裁断などの加工をすることができる。粘着剤層のゲル分率は70重量%以上であるのが好ましく、さらには80重量%以上であるのが好ましい。粘着剤層のゲル分率は、例えば、加熱条件によって制御することができる。前記加熱温度を140℃以上に設定することでゲル分率を70重量%以上することができ、前記加熱温度を150℃以上に設定することでゲル分率を80重量%以上することができる。ゲル分率は実施例の記載に従って測定される。
【0117】
本発明のセパレータ付き粘着剤層は、光学フィルムの少なくとも片面に、貼り合わせて、粘着剤層を光学フィルムに移着されて、セパレータ付きの粘着剤層付き光学フィルムを形成することできる。
【0118】
前記光学フィルムとしては、液晶表示装置等の画像表示装置の形成に用いられるものを用いることができ、その種類は特に制限されない。例えば、光学フィルムとしては偏光フィルムがあげられる。偏光フィルムは偏光子の片面または両面には透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。
【0119】
また偏光子としては厚みが10μm以下の薄型の偏光子を用いることができる。薄型化の観点から言えば当該厚みは1〜7μmであるのが好ましい。このような薄型の偏光子は、厚みムラが少なく、視認性が優れており、また寸法変化が少ないため耐久性に優れ、さらには偏光フィルムとしての厚みも薄型化が図れる点が好ましい。
【0120】
偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。
【0121】
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作成することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液や水浴中でも延伸することができる。
【0122】
薄型の偏光子としては、代表的には、特開昭51−069644号公報や特開2000−338329号公報や、WO2010/100917号パンフレット、PCT/JP2010/001460の明細書、または特願2010−269002号明細書や特願2010−263692号明細書に記載されている薄型偏光膜を挙げることができる。これら薄型偏光膜は、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂ともいう)層と延伸用樹脂基材を積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法によ得ることができる。この製法であれば、PVA系樹脂層が薄くても、延伸用樹脂基材に支持されていることにより延伸による破断などの不具合なく延伸することが可能となる。
【0123】
前記薄型偏光膜としては、積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法の中でも、高倍率に延伸できて偏光性能を向上させることのできる点で、WO2010/100917号パンフレット、PCT/JP2010/001460の明細書、または特願2010−269002号明細書や特願2010−263692号明細書に記載のあるようなホウ酸水溶液中で延伸する工程を含む製法で得られるものが好ましく、特に特願2010−269002号明細書や特願2010−263692号明細書に記載のあるホウ酸水溶液中で延伸する前に補助的に空中延伸する工程を含む製法により得られるものが好ましい。
【0124】
偏光子と透明保護フィルムとの接着処理には、接着剤が用いられる。接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル等を例示できる。前記接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられ、通常、0.5〜60重量%の固形分を含有してなる。上記の他、偏光子と透明保護フィルムとの接着剤としては、紫外硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等が挙げられる。電子線硬化型偏光フィルム用接着剤は、上記各種の透明保護フィルムに対して、好適な接着性を示す。また本発明で用いる接着剤には、金属化合物フィラーを含有させることができる。
【0125】
また光学フィルムとしては、例えば反射板や反透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視覚補償フィルム、輝度向上フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層となるものがあげられる。これらは単独で光学フィルムとして用いることができる他、前記偏光フィルムに、実用に際して積層して、1層または2層以上用いることができる。
【0126】
本発明のセパレータ付き粘着剤層付き光学フィルムは、実用に際しては、セパレータを剥離して、粘着剤層付光学フィルムとして用いられる。粘着剤層付光学フィルムは液晶表示装置等の各種画像表示装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セル等の表示パネルと粘着剤層付き光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による粘着剤層付き光学フィルムを用いる点を除いて特に限定は無く、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型、VA型、IPS型などの任意なタイプのものを用いうる。
【0127】
液晶セル等の表示パネルの片側又は両側に粘着剤層付き光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による粘着剤層付き光学フィルムは液晶セル等の表示パネルの片側又は両側に設置することができる。両側に光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散層、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散シート、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【実施例】
【0128】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも重量基準である。以下に特に規定のない室温放置条件は全て23℃65%RHである。
【0129】
<(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量の測定>
(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定した。
・分析装置:東ソー社製、HLC−8120GPC
・カラム:東ソー社製、G7000HXL+GMHXL+GMHXL
・カラムサイズ:各7.8mmφ×30cm 計90cm
・カラム温度:40℃
・流量:0.8ml/min
・注入量:100μl
・溶離液:テトラヒドロフラン
・検出器:示差屈折計(RI)
・標準試料:ポリスチレン
【0130】
製造例1
<アクリル系ポリマー(A)の調製>
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた反応容器に、ブチルアクリレート99部および4−ヒドロキシブチルアクリレート1部を含有するモノマー混合物を仕込んだ。さらに、前記モノマー混合物(固形分)100部に対して、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチルと共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を60℃付近に保って7時間重合反応を行った。その後、得られた反応液に、酢酸エチルを加えて、固形分濃度30%に調整した、重量平均分子量160万のアクリル系ポリマー(A)の溶液を調製した。
【0131】
製造例2
<アクリル系ポリマー(B)の調製>
製造例1において、モノマー混合物として、ブチルアクリレート96部、アクリル酸3部および4−ヒドロキシブチルアクリレート1を含有するモノマー混合物を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、重量平均分子量160万のアクリル系ポリマー(B)の溶液を調製した。
【0132】
実施例1
<粘着剤組成物の調製>
上記で得られたアクリル系ポリマー(A)溶液の固形分100部に対して、架橋剤として、トリメチロールプロパンキシリレンジイソシアネート(三井化学社製:タケネートD110N)0.1部と、ジベンゾイルパーオキサイド0.3部と、γ−グリシドキシプロピルメトキシシラン(信越化学工業社製:KBM−403)0.2部、さらにイオン性化合物として、1−エチル−1−メチルピロリジニウム・トリフルオロメタンスルホニルイミド1部を配合して、粘着剤組成物の溶液を得た。
【0133】
<セパレータの調製>
≪オリゴマー防止層の形成≫
オルガノシロキサン(エチルシリケート48:コルコート社)をイソプロピルアルコールで固形分濃度1%に希釈して塗布液を調製した。当該塗布液を、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(基材フィルム:PETフィルム)の片面に、乾燥後の厚みが50nmになるようにグラビアコーターにより塗布した後、120℃で乾燥して、オリゴマー防止層を形成した。
【0134】
≪離型層の形成≫
シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製):20重量部および硬化剤(PL−50T:信越化学製):0.2重量部を、メチルエチルケトン/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1)350重量部で希釈して、シリコーン系離型剤の溶液を調製した。当該シリコーン系離型剤の溶液を、上記オリゴマー防止層に、乾燥後の厚みが100nmになるようにグラビアコーターにより塗布した後、120℃で乾燥して、離型層を形成して、基材フィルム/オリゴマー防止層/離型層の構成を有するセパレータを得た。
【0135】
<セパレータ付き粘着剤層の作成>
上記で調製した粘着剤組成物の溶液を、上記セパレータの離型層上にファウンテンコータで均一に塗布した後、150℃の空気循環式恒温オーブンで60秒間乾燥して、前記離型層の表面に厚さ20μmの粘着剤層を形成して、セパレータ付き粘着剤層を得た。
【0136】
≪偏光フィルムの作成≫
薄型偏光子を作製するため、まず、非晶性PET基材に9μm厚のPVA層が製膜された積層体を延伸温度130℃の空中補助延伸によって延伸積層体を生成し、次に、延伸積層体を染色によって着色積層体を生成し、さらに着色積層体を延伸温度65度のホウ酸水中延伸によって総延伸倍率が5.94倍になるように非晶性PET基材と一体に延伸された4μm厚のPVA層を含む光学フィルム積層体を生成した。このような2段延伸によって非晶性PET基材に製膜されたPVA層のPVA分子が高次に配向され、染色によって吸着されたヨウ素がポリヨウ素イオン錯体として一方向に高次に配向された高機能偏光子を構成する、厚さ4μmのPVA層を含む光学フィルム積層体を生成することができた。更に、当該光学フィルム積層体の偏光子の表面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布しながら、けん化処理した80μm厚のトリアセチルセルロースフィルムを貼合せたのち、非晶性PET基材を剥離し、薄型偏光子を用いた偏光フィルムを作製した。
【0137】
<粘着剤層付き偏光フィルムの作成>
次いで、上記偏光フィルムの薄型偏光子に、上記セパレータ付き粘着剤層を貼り合わせ、粘着剤層を移着させて、セパレータ付きの粘着剤層付き偏光フィルムを得た。
【0138】
実施例2〜6および比較例1〜7
実施例1において、<粘着剤組成物の調製>にあたり、アクリル系ポリマーの種類、イオン性化合物の種類、配合量を;≪オリゴマー防止層の形成≫にあたり、オリゴマー防止層の形成剤の種類を;<セパレータ付き粘着剤層の作成>にあたり加熱条件(温度、時間)を、それぞれ、表1に示すように変えたこと以外は実施例1と同様にして、セパレータ付き粘着剤層の作成し、さらに、セパレータ付きの粘着剤層付偏光フィルムを作製した。
【0139】
上記実施例および比較例で得られた、セパレータ付き粘着剤層およびセパレータ付きの粘着剤層付偏光フィルムについて以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0140】
<粘着剤層のゲル分率の測定>
セパレータ付き粘着剤層から、粘着剤層を約0.2gを採取し、予め重量を測定したフッ素樹脂(TEMISH NTF-1122日東電工(株)製)(Wa)に包み、当該粘着剤層が漏れないように縛った後、重量(Wb)を測定し、サンプル瓶に入れた。酢酸エチルを40cc加えて7日間放置した。その後、フッ素樹脂を取り出し、アルミカップ上で130℃、2時間乾燥させ、サンプルを含むフッ素樹脂の重量(Wc)を測定し、次式(I)によりゲル分率を求めた。
ゲル分率(重量%)=(Wc−Wa)/(Wb−Wa)×100
【0141】
<離型層の表面抵抗値の測定方法>
セパレータの離型層の表面の表面抵抗値(Ω/□)を三菱化学アナリテック社製MCP−HT450を用いて測定した。
【0142】
<帯電防止性能:静電気ムラの評価>
作製された粘着剤層付偏光フィルムを100mm×100mmの大きさに切断し、液晶パネルに貼り付けた。このパネルを10000cdの輝度を持つバックライト上に置き、静電気発生装置であるESD(SANKI社製,ESD−8012A)を用いて5kvの静電気を発生させることで液晶の配向乱れを起こした。その配向不良による表示不良の回復時間(秒)を、瞬間マルチ測光検出器(大塚電子社製,MCPD−3000)を用いて測定し、下記基準で評価した。
○:表示不良が1秒以上10秒未満で消失した。
×:表示不良が10秒以上で消失した。
【0143】
<PETオリゴマー移行量の測定方法>
セパレータ付きの粘着剤層付偏光フィルムを60℃、90%RHの条件下で500時間放置した後、セパレータを除去した。粘着剤層付偏光フィルムから、粘着剤層(サンプル)を約0.025g採取して、クロロホルム1mlを加え室温で18時間振とうした後、アセトニトリルを5ml加え抽出を行い、3時間振とうした。得られた溶液を0.45mlメンブランフィルターでろ過し試料を調製した。3量体のPETオリゴマーの標準品を一定濃度に調整し、検量線を作成し、その検量線を用いて粘着剤中に含まれるPETオリゴマー量(ppm)を求めた。検量線は、PETオリゴマー濃度(ppm)が分かっているサンプルを用いて、HPLCで測定して作成した。
HPLC装置:Agilent Technologies製 1200シリーズ
測定条件
カラム:Agilent Technologies製ZORBAX SB-C18
カラム温度:40℃
カラム流量:0.8ml/min
溶離液組成:水/アセトニトリル逆相グラジエント条件
注入量:5μl
検出器:PDA
定量方法:PETオリゴマー3量体の標準試料をクロロホルムで溶解後、アセトニトリルで希釈し一定の濃度で標品を調製した。そのHPLC面積と調整濃度から検量線を作成し、サンプルのPETオリゴマー量を求めた。
【0144】
【表1】
【0145】
表1において、イオン性化合物における、
「*1」は1−エチル−1−メチルピロリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド;
「*2」はトリブチルメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド;
「*3」はリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、を示す。
オリゴマー防止層における「シリカ系」は、実施例1で用いたオリゴマー防止層の形成剤と同じであり、「4級アンモニウム塩」は、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩をモノマー単位として含有するアクリルポリマー(対イオン:メチルスルホネート塩)60部、ポリエチレングリコール含有アクリレートポリマー30部およびオキサゾリン架橋剤(エポクロスWS500,株式会社日本触媒製)10部の混合物である。