【実施例】
【0044】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[測定方法]
<粒子の表面積測定>
本願微粒子の表面積は、本願微粒子を凍結乾燥機で乾燥させた後、200℃または350℃で3時間乾燥した試料について、表面積測定装置(ユアサアイオニクス株式会社製、マルチソーブ12)を用いて窒素吸着法(BET法)により測定した。200℃で乾燥して得られた値をSA1、350℃で乾燥して得られた値をSA2とする。単位はm
2/gで表示する。
<pH測定>
pHの測定については、25℃のpH4、7および9の標準液で更正が完了したpHメータ(株式会社堀場製作所社製:F22)のガラス電極を溶液中に挿入して、pH測定を実施した。
<塩基性物質の残留量の測定>
塩基性物質量の測定については、JIS K0102 ケルダール法・中和滴定法に準拠して行い、試料に、硫酸銅、硫酸及び硫酸カリウムを加え、有機物を分解した。次に、水酸化ナトリウムを加えてアルカリ性とした後、蒸留し、留出したアンモニアを硫酸に吸収させる)にて有機物を分解させ、露出液中のアンモニウムイオンを中和滴定法(水酸化ナトリウムにて残った硫酸を定量し、アンモニウムイオン量を算出する)にて定量した。
<X線測定>
正方板状結晶性アルミナの結晶相については、X線回折測定装置(SmartLab, 株式会社リガク社製)を用いて、X線源;CuKα、出力;9kW、管電圧;45kV、管電流;200mA、スリット間隔;0.5°、測定角度2θ;10°〜70°、走査速度;10°/分の条件により、X線回折測定で確認した。
[実施例1]
【0045】
<結晶性アルミナ積層粒子(1)分散液の製造方法>
<工程(a)> 100Lのスチームジャケット付タンクへ純水38.743kgを張り込み、これに濃度48質量%の水酸化ナトリウム溶液(関東化学株式会社製、特級)0.815kgを撹拌しながら加えた。
【0046】
この溶液に、アルミン酸ナトリウム(関東化学株式会社製、鹿1級、アルミナ換算39質量%)2.740kgを撹拌しながら溶解した。
さらに、この溶液を撹拌しながら80℃へ昇温し1時間保持することで、完全溶解した希釈アルミン酸ナトリウム水溶液42.298kgを得た。
【0047】
スチームジャケット付10Lタンクに純水6.269kgを張り込み、これに35質量%の塩酸水溶液(関東化学株式会社製、特級)0.453kgを撹拌しながら混合し、さらに80℃まで加温し希釈塩酸6.722kgを得た。
【0048】
この希釈アルミン酸ナトリウム水溶液を80℃に保ったまま、撹拌しながら前記希釈塩酸水溶液を全量添加混合し、さらに撹拌しながら80℃で1時間保持して、pH11.5の正方板状アルミナ微粒子(1a)分散液49.020kgを得た。
<工程(b)> このアルミナ微粒子(1a)分散液を脱気式のプレートフィルターにて脱水し、母液を分離した後、プレートフィルター状に得られたアルミナ微粒子ケーキへ減圧下で80℃温純水50〜100Lを通水し、アルミナ微粒子ケーキに含まれる塩化ナトリウム及び吸着したナトリウムを洗浄除去した。この後十分に減圧下で脱水することでアルミナ微粒子(1b)ケーキ6.667kgを得た。
<工程(c)> このアルミナ微粒子(1b)ケーキ6.667kgへ純水12.983kgを加え、十分に撹拌して分散させアルミナ微粒子希釈分散液19.650kgとし、これに、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(関東化学株式会社製、濃度27質量%)を加え、塩基性物質添加アルミナ微粒子(1c)分散液20.000kgを得た。
<工程(A)> この塩基性物質添加アルミナ微粒子(1c)分散液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、加圧下で24時間反応させ、30〜50nm正方形で、厚みが3〜5nmの大きさの1次結晶粒子5〜10個が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造に凝集した100〜200nmの大きさの2次粒子を形成する結晶性アルミナ積層粒子(1A)分散液を得た。
<工程(B)> この結晶性アルミナ積層粒子(1A)分散液を限外濾過装置に入れ、希釈倍率1000〜2000倍量の60℃の温純水にて洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した濃度が(CH
3)
4N
+<10ppmとなるまで洗浄を行い、5質量%アルミナの結晶性アルミナ積層粒子(1)分散液20.000kgを得た。
【0049】
結晶性アルミナ積層粒子(1)について、性状を表1に示す。
[実施例2]
【0050】
<結晶性アルミナ積層粒子(2)分散液の製造方法>
<工程(a)> 100Lのスチームジャケット付タンクへ純水38.743kgを張り込み、これに濃度48質量%の水酸化ナトリウム溶液(関東化学株式会社製、特級)0.815kgを撹拌しながら加えた。
【0051】
この溶液に、アルミン酸ナトリウム(関東化学株式会社製、鹿1級、アルミナ換算39質量%)2.740kgを撹拌しながら溶解した。
さらに、この溶液を撹拌しながら80℃へ昇温し1時間保持することで、完全溶解した希釈アルミン酸ナトリウム水溶液42.298kgを得た。
【0052】
スチームジャケット付10Lタンクに純水6.316kgを張り込み、これに70質量%の硝酸水溶液(関東化学株式会社製、特級)0.406kgを撹拌しながら混合し、さらに80℃まで加温し希釈硝酸6.722kgを得た。
【0053】
この希釈アルミン酸ナトリウム水溶液を80℃に保ったまま、撹拌しながら前記希釈硝酸水溶液を全量添加混合し、さらに撹拌しながら80℃で1時間保持して、pH11.5の正方板状アルミナ微粒子(2a)分散液49.020kgを得た。
<工程(b)> このアルミナ微粒子(2a)分散液を脱気式のプレートフィルターにて脱水し、母液を分離した後、プレートフィルター状に得られたアルミナ微粒子ケーキへ減圧下で80℃温純水50〜100Lを通水し、アルミナ微粒子ケーキに含まれる硝酸ナトリウム及び吸着したナトリウムを洗浄除去し、この後十分に減圧下で脱水することでアルミナ微粒子(2b)ケーキ6.667kgを得る。
<工程(c)> このアルミナ微粒子(2b)ケーキ6.667kgへ純水12.983kgを加え、十分に撹拌して分散させアルミナ微粒子希釈分散液19.650kgとし、これに、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(関東化学株式会社製、濃度27質量%)を加え、塩基性物質添加アルミナ微粒子(2c)分散液20.000kgを得た。
<工程(A)> この塩基性物質添加アルミナ微粒子(2c)分散液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、加圧下で24時間反応させ、30〜40nm正方形で、厚みが3〜4nmの大きさの1次結晶粒子5〜10個が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造に凝集した100〜200nmの大きさの2次粒子を形成する結晶性アルミナ積層粒子(2A)分散液を得た。
<工程(B)> この結晶性アルミナ積層粒子(2A)分散液を限外濾過装置に入れ、希釈倍率1000〜2000倍量の60℃の温純水にて洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した濃度が(CH
3)
4N
+<10ppmとなるまで洗浄を行い、5質量%アルミナの結晶性アルミナ積層粒子(2)分散液20.000kgを得た。
【0054】
結晶性アルミナ積層粒子(2)について、性状を表1に示す。
[実施例3]
【0055】
<結晶性アルミナ積層粒子(3)分散液の製造方法>
<工程(a)> 100Lのスチームジャケット付タンクへ純水38.743kgを張り込み、これに濃度48質量%の水酸化ナトリウム溶液(関東化学株式会社製、特級)0.815kgを撹拌しながら加えた。
【0056】
この溶液に、アルミン酸ナトリウム(関東化学株式会社製、鹿1級、アルミナ換算39質量%)2.740kgを撹拌しながら溶解した。
さらに、この溶液を撹拌しながら80℃へ昇温し1時間保持することで、完全溶解した希釈アルミン酸ナトリウム水溶液42.298kgを得た。
【0057】
スチームジャケット付10Lタンクに純水6.493kgを張り込み、これに96質量%の硫酸水溶液(関東化学株式会社製、特級)0.229kgを撹拌しながら混合し、さらに80℃まで加温し希釈硫酸6.722kgを得た。
【0058】
この希釈アルミン酸ナトリウム水溶液を80℃に保ったまま、撹拌しながら前記希釈硫酸水溶液を全量添加混合し、さらに撹拌しながら80℃で1時間保持して、pH11.5の正方板状アルミナ微粒子(3a)分散液49.020kgを得た。
<工程(b)> この正方板状アルミナ微粒子(3a)分散液を脱気式のプレートフィルターにて脱水し、母液を分離した後、プレートフィルター状に得られた調合ヒドロゲルケーキへ減圧下で80℃温純水50〜100Lを通水し、調合ヒドロゲルケーキに含まれる硫酸ナトリウム及び吸着したナトリウムを洗浄除去し、この後十分に減圧下で脱水することでアルミナ微粒子(3b)ケーキ6.667kgを得る。
<工程(c)> このアルミナ微粒子(3b)ケーキ6.667kgへ純水12.983kgを加え、十分に撹拌して分散させアルミナヒドロゲル希釈分散液19.650kgとし、これに、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(関東化学株式会社製、濃度27質量%)を加え、塩基性物質添加アルミナ微粒子(3c)分散液20.000kgを得た。
<工程(A)> この塩基性物質添加アルミナ微粒子(3c)分散液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、加圧下で24時間反応させ、20〜60nm正方で、厚みが2〜6nmの大きさの1次結晶粒子5〜10個が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造に凝集した50〜300nmの大きさの2次粒子を形成する結晶性アルミナ積層粒子(3A)分散液を得た。
<工程(B)> この結晶性アルミナ積層粒子(3A)分散液を限外濾過装置に入れ、希釈倍率1000〜2000倍量の60℃の温純水にて洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した濃度が(CH
3)
4N
+<10ppmとなるまで洗浄を行い、5質量%アルミナの結晶性アルミナ積層粒子(3)分散液20.000kgを得た。
【0059】
結晶性アルミナ積層粒子(3)について、性状を表1に示す。
[実施例4]
【0060】
<結晶性アルミナ積層粒子(4)分散液の製造方法>
<工程(d)> 市販の結晶性アルミナ微粒子パウダー(Sasol社製、DISPERAL−P2、濃度72質量%)0.556kgへ純水19.094kgを加え、十分に撹拌して分散させアルミナヒドロゲル希釈分散液19.650kgとし、これに、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(関東化学株式会社製、濃度27質量%)を加え、塩基性物質添加結晶性アルミナ微粒子(4c)分散液20.000kgを得た。
<工程(A)> この塩基性物質添加アルミナ微粒子(4c)分散液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、加圧下で24時間反応させ、20〜50nm正方で、厚みが4〜8nmの大きさの1次結晶粒子5〜10個が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造に凝集した50〜300nmの大きさの2次粒子を形成する結晶性アルミナ積層粒子(4A)分散液を得た。
<工程(B)> この結晶性アルミナ積層粒子(4A)分散液を限外濾過装置に入れ、希釈倍率1000〜2000倍量の60℃の温純水にて洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した濃度が(CH
3)
4N
+<10ppmとなるまで洗浄を行い、5質量%アルミナの結晶性アルミナ積層粒子(4)分散液20.000kgを得た。
【0061】
結晶性アルミナ積層粒子(4)について、性状を表1に示す。
[比較例1]
<塊状結晶性アルミナ粒子(R1)分散液の製造方法>
<工程(a)> 50Lのスチームジャケット付タンクへ純水26.345kgを張り込み、これに濃度48質量%の水酸化ナトリウム溶液(関東化学株式会社製、特級)0.554kgを撹拌しながら加えた。
【0062】
この溶液に、アルミン酸ナトリウム(関東化学株式会社製、鹿1級、アルミナ換算39質量%)1.863kgを撹拌しながら溶解した。
さらに、この溶液を撹拌しながら80℃へ昇温し1時間保持することで、完全溶解した希釈アルミン酸ナトリウム水溶液28.762kgを得た。
【0063】
スチームジャケット付10Lタンクに純水4.321kgを張り込み、これに純度98質量%の塩化アルミニウム・九水和物(関東化学株式会社製、鹿特級)0.250kgを撹拌しながら混合し、さらに80℃まで加温し希釈塩化アルミニウム水溶液4.571kgを得た。
【0064】
この希釈アルミン酸ナトリウム水溶液を80℃に保ったまま、撹拌しながら前記希釈塩化アルミニウム水溶液を全量添加混合し、さらに撹拌しながら80℃で1時間保持して、pH11.5のアルミナ微粒子(R1a)分散液33.333kgを得た。
<工程(b)> このアルミナ微粒子(R1a)分散液を脱気式のプレートフィルターにて脱水し、母液を分離した後、プレートフィルター状に得られたアルミナ微粒子ケーキへ減圧下で80℃温純水50〜100Lを通水し、アルミナ微粒子ケーキに含まれる塩化ナトリウム及び吸着したナトリウムを洗浄除去し、この後十分に減圧下で脱水することでアルミナ微粒子(R1b)ケーキ6.667kgを得た。
<工程(c)> このアルミナ微粒子(R1b)ケーキ6.667kgへ純水12.983kgを加え、十分に撹拌して分散させアルミナ微粒子希釈分散液19.650kgとし、これに、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(関東化学株式会社製、濃度27質量%)0.350kgを加え、塩基性物質添加アルミナ微粒子(R1c)分散液20.000kgを得た。
<工程(A)> この塩基性物質添加アルミナ微粒子(R1c)分散液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、加圧下で24時間反応させ、40〜80nm正方で、厚みが4〜8nmの大きさの1次結晶粒子が5〜10個が塊状に凝集した150〜400nmの大きさの2次粒子を形成する塊状結晶性アルミナ粒子(R1A)分散液を得た。
<工程(B)> この塊状結晶性アルミナ粒子(R1A)分散液を限外濾過装置に入れ、希釈倍率1000〜2000倍量の60℃の温純水にて洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した濃度が(CH
3)
4N
+<10ppmとなるまで洗浄を行い、5質量%アルミナの結晶性アルミナ粒子(R1)分散液20.000kgを得た。得られた結晶性アルミナ微粒子自身が、正方板状として整ったモノが少ない状態であった。
【0065】
塊状結晶性アルミナ粒子(R1)について、性状を表1に示す。
[比較例2]
<塊状結晶性アルミナ粒子(R2)分散液の製造方法>
<工程(a)> 50Lのスチームジャケット付タンクへ純水26.345kgを張り込み、これに濃度48質量%の水酸化ナトリウム溶液(関東化学株式会社製、特級)0.554kgを撹拌しながら加えた。
【0066】
この溶液に、アルミン酸ナトリウム(関東化学株式会社製、鹿1級、アルミナ換算39質量%)1.863kgを撹拌しながら溶解した。
さらに、この溶液を撹拌しながら80℃へ昇温し1時間保持することで、完全溶解した希釈アルミン酸ナトリウム水溶液28.762kgを得た。
【0067】
スチームジャケット付10Lタンクに純水4.182kgを張り込み、これに98質量%の硝酸アルミニウム・九水和物(関東化学株式会社製、鹿特級)0.389kgを撹拌しながら混合し、さらに80℃まで加温し希釈硝酸アルミニウム水溶液4.571kgを得た。
【0068】
この希釈アルミン酸ナトリウム水溶液を80℃に保ったまま、撹拌しながら前記希釈硝酸アルミニウム水溶液を全量添加混合し、さらに撹拌しながら80℃で1時間保持して、pH11.5のアルミナ微粒子(R2a)分散液33.333kgを得た。
<工程(b)> このアルミナ微粒子(R2a)分散液を脱気式のプレートフィルターにて脱水し、母液を分離した後、プレートフィルター状に得られたアルミナ微粒子ケーキへ減圧下で80℃の温純水50〜100Lを通水し、アルミナ微粒子ケーキに含まれる硝酸ナトリウム及び吸着したナトリウムを洗浄除去し、この後十分に減圧下で脱水することでアルミナ微粒子(R2b)ケーキ6.667kgを得る。
<工程(c)> このアルミナ微粒子(R2b)ケーキ6.667kgへ純水12.983kgを加え、十分に撹拌して分散させアルミナ微粒子希釈分散液19.650kgとし、これに、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(関東化学株式会社製、濃度27質量%)0.350kgを加え、塩基性物質添加アルミナ微粒子(R2c)分散液20.000kgを得た。
<工程(A)> この塩基性物質添加アルミナ微粒子(R2c)分散液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、加圧下で24時間反応させ、40〜60nm正方で、厚みが4〜6nmの大きさの1次結晶粒子が5〜10個が塊状に凝集した150〜300nmの大きさの2次粒子を形成する塊状結晶性アルミナ粒子(R2A)分散液を得た。
<工程(B)> この塊状結晶性アルミナ粒子(R2A)分散液を限外濾過装置に入れ、希釈倍率1000〜2000倍量の60℃の温純水にて洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した濃度が(CH
3)
4N
+<10ppmとなるまで洗浄を行い、5質量%アルミナの塊状結晶性アルミナ粒子(R2)分散液20.000kgを得た。得られたアルミナ粒子は正方板状ではなく、直方体状でありさらに角が丸みを帯びた形状であった。
【0069】
塊状結晶性アルミナ粒子(R2)について性状を表1に示す。
[比較例3]
<塊状結晶性アルミナ粒子(R3)分散液の製造方法>
<工程(a)> 50Lのスチームジャケット付タンクへ純水26.345kgを張り込み、これに濃度48質量%の水酸化ナトリウム溶液(関東化学株式会社製、特級)0.554kgを撹拌しながら加えた。
【0070】
この溶液に、アルミン酸ナトリウム(関東化学株式会社製、鹿1級、アルミナ換算39質量%)1.863kgを撹拌しながら溶解した。
さらに、この溶液を撹拌しながら80℃へ昇温し1時間保持することで、完全溶解した希釈アルミン酸ナトリウム水溶液28.762kgを得た。
【0071】
スチームジャケット付10Lタンクに純水3.981kgを張り込み、これに57質量%の硫酸アルミニウム・十四〜十八水和物(関東化学株式会社製、鹿特級)0.590kgを撹拌しながら混合し、さらに80℃まで加温し希釈硫酸アルミニウム水溶液4.571kgを得た。
【0072】
この希釈アルミン酸ナトリウム水溶液を80℃に保ったまま、撹拌しながら前記希釈硫酸アルミニウム水溶液を全量添加混合し、さらに撹拌しながら80℃で1時間保持して、pH11.5のアルミナ微粒子(R3a)分散液33.333kgを得た。
<工程(b)> このアルミナ微粒子(R3a)分散液を脱気式のプレートフィルターにて脱水し、母液を分離した後、プレートフィルター状に得られたアルミナ微粒子ケーキへ減圧下で80℃の温純水50〜100Lを通水し、アルミナ微粒子ケーキに含まれる硫酸ナトリウム及び吸着したナトリウムを洗浄除去し、この後十分に減圧下で脱水することでアルミナ微粒子(R3b)ケーキ6.667kgを得る。
<工程(c)> このアルミナ微粒子(R3b)ケーキ6.667kgへ純水12.983kgを加え、十分に撹拌して分散させアルミナヒドロゲル希釈分散液19.650kgとし、これに、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(関東化学株式会社製、濃度27質量%)0.350kgを加え、塩基性物質添加アルミナ微粒子(R3c)分散液20.000kgを得た。
<工程(A)> この塩基性物質添加アルミナ微粒子(R3c)分散液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、加圧下で24時間反応させ、30〜70nm正方で、厚みが3〜7nmの大きさの1次結晶粒子が5〜10個が塊状に凝集した100〜300nmの大きさの2次粒子を形成する塊状結晶性アルミナ粒子(R3A)分散液を得た。
<工程(B)> この塊状結晶性アルミナ粒子(R3A)分散液を限外濾過装置に入れ、希釈倍率1000〜2000倍量の60℃の温純水にて洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した濃度が(CH
3)
4N
+<10ppmとなるまで洗浄を行い、5質量%アルミナのアルミナ粒子(R3)分散液20.000kgを得た。得られた塊状結晶性アルミナ粒子(3)は正方板状ではなく、直方体状でありさらに角が丸みを帯びた形状であった。
【0073】
塊状結晶性アルミナ粒子(R3)について、性状を表1に示す。
[比較例4]
<塊状結晶性アルミナ粒子(R4)分散液の製造方法>
<工程(d)> 市販の水酸化アルミニウム試薬(和光純薬工業株式会社製、特級、濃度95質量%)1.610kgへ純水18.040kgを加え、十分に撹拌して分散させ水酸化アルミニウム懸濁液19.650kgとし、これに、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(関東化学株式会社製、濃度27質量%)0.350kgを加え、塩基性物質添加水酸化アルミニウム(R4c)懸濁液20.000kgを得た。
<工程(A)> この塩基性物質添加水酸化アルミニウム(R4c)懸濁液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、加圧下で24時間反応させ、600〜900nm正方で、厚みが400〜800nmの大きさの1次結晶粒子が8〜15個が塊状に凝集した4000〜4600nmの大きさの2次粒子を形成する塊状結晶性アルミナ粒子(R4A)懸濁液を得た。
<工程(B)> この塊状結晶性アルミナ粒子(R4A)懸濁液を限外濾過装置に入れ、希釈倍率1000〜2000倍量の60℃の温純水にて洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した濃度が(CH
3)
4N
+<10ppmとなるまで洗浄を行い、5質量%アルミナのアルミナ粒子(R4)懸濁液20.000kgを得た。得られた塊状結晶性アルミナ粒子(R4)は正方板状ではなく、直方体及び立方体状の不揃いな形状であった。
【0074】
塊状結晶性アルミナ粒子(R4)について、性状を表1に示す。
[比較例5]
<塊状結晶性アルミナ粒子(R5)分散液の製造方法>
<工程(d)> 市販の正方板状ではない結晶性アルミナ微粒子パウダー(Sasol社製、Catapal−200、濃度80質量%)0.500kgへ純水19.150kgを加え、十分に撹拌して分散させアルミナ懸濁液19.650kgとし、これに、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(関東化学株式会社製、濃度27質量%)0.350kgを加え、塩基性物質添加結晶性アルミナ(R5c)懸濁液20.000kgを得た。
<工程(A)> この塩基性物質添加結晶性アルミナ(R5c)懸濁液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、加圧下で24時間反応させ、40〜100nm正方で、厚みが30〜70nmの大きさの1次結晶粒子が5〜8個が塊状に凝集した200〜400nmの大きさの2次粒子を形成する塊状結晶性アルミナ粒子(R5A)懸濁液を得た。
<工程(B)> この塊状結晶性アルミナ粒子(R5A)懸濁液を限外濾過装置に入れ、希釈倍率1000〜2000倍量の60℃の温純水にて洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した濃度が(CH
3)
4N
+<10ppmとなるまで洗浄を行い、5質量%アルミナのアルミナ粒子(R5)懸濁液20.000kgを得た。得られた塊状結晶性アルミナ粒子(R5)は正方板状ではなく、直方体及び立方体状の不揃いな形状であった。
【0075】
塊状結晶性アルミナ粒子(R5)について、性状を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
本発明の結晶性アルミナ積層粒子は、粒子表面の凹凸を利用して研磨材としての利用でき、板状という形態から膜強度(曲げ強度、曲げ弾性率、荷重たわみ強度等)の向上が得られる。
【0078】
粒子表面のフラクタル状の凹凸が形成されているため、の凹凸に起因する光学散乱、屈折率調整などの光学特性を発揮できる。
まだ粒子形状が特定の積層構造をしていることにより、表面電荷との相乗効果に起因して有機および/または無機溶媒系塗料等への混合の自由度が広という技術的効果を奏する。