特許第6346421号(P6346421)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日揮触媒化成株式会社の特許一覧

特許6346421結晶性アルミナ積層粒子および該結晶性アルミナ積層粒子の製造方法
<>
  • 特許6346421-結晶性アルミナ積層粒子および該結晶性アルミナ積層粒子の製造方法 図000003
  • 特許6346421-結晶性アルミナ積層粒子および該結晶性アルミナ積層粒子の製造方法 図000004
  • 特許6346421-結晶性アルミナ積層粒子および該結晶性アルミナ積層粒子の製造方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346421
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】結晶性アルミナ積層粒子および該結晶性アルミナ積層粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01F 7/02 20060101AFI20180611BHJP
【FI】
   C01F7/02 A
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-173316(P2013-173316)
(22)【出願日】2013年8月23日
(65)【公開番号】特開2014-58438(P2014-58438A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2016年6月24日
(31)【優先権主張番号】特願2012-184138(P2012-184138)
(32)【優先日】2012年8月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】江上 和孝
(72)【発明者】
【氏名】濱村 勇太
【審査官】 西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−279019(JP,A)
【文献】 特開2004−059643(JP,A)
【文献】 特開昭50−104798(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/114727(WO,A1)
【文献】 特開昭58−176123(JP,A)
【文献】 特開平11−021125(JP,A)
【文献】 特開2001−139326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 1/00 − 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベーマイト結晶相のアルミナを主成分とする複数の正方板状アルミナ微粒子が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造をなし、平均長軸の長さが10〜300nm、平均厚みが2〜50nmの範囲にあることを特徴とする結晶性アルミナ積層粒子。
【請求項2】
前記正方板状アルミナ微粒子は、平均粒子径が2〜100nm、平均厚みが1〜20nmの範囲にあり、アスペクト比(平均粒子径/平均厚み)が2〜50の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の結晶性アルミナ積層粒子。
【請求項3】
前記結晶性アルミナ積層粒子において、200℃で焼成した時の比表面積(SA1)と350℃で焼成した時の比表面積(SA2)の比((SA2)/(SA1))が、0.70〜0.95の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の結晶性アルミナ積層粒子。
【請求項4】
請求項1〜のいずれかに記載の結晶性アルミナ積層粒子の製造方法であって、
(Z)工程(z1)または工程(z2)により正方板状アルミナ微粒子の分散液を得る工程、
(A)正方板状アルミナ微粒子の分散液を110〜180℃で1〜30時間水熱処理することにより、複数の正方板状のアルミナ微粒子が、少なくとも2辺が重ならないように積層した構造をなす結晶性アルミナ積層粒子分散液を得る工程、および
(B)前記工程(A)で得られた結晶性アルミナ積層粒子から残留する塩基性物質を除去し、結晶性アルミナ積層粒子分散液を得る工程
を含み、
前記工程(z1)は、(a)アルミン酸塩溶液に酸を添加した後、50〜100℃の温度で処理することにより10〜12の範囲にあるpHを有する、ベーマイト結晶相の正方板状アルミナ微粒子分散液を得る工程、
(b)前記工程(a)において得られた正方板状アルミナ微粒子分散液から残留する溶解性無機塩および未反応物質を除去する工程、および
(c)前記工程(b)で得られた正方板状アルミナ微粒子分散液に、さらに塩基性物質を添加して前記正方板状アルミナ微粒子の大きさを均一化する工程を含み、
前記工程(z2)は、(d)前記工程(a)および前記工程(b)を含まない工程により得られた正方板状アルミナ微粒子を分散液としたのち塩基性物質を添加して前記正方板状アルミナ微粒子の大きさを均一化する工程を含み、
前記塩基性物質は、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化アンモニウムまたは炭酸アンモニウムである
ことを特徴とする結晶性アルミナ積層粒子の製造方法。
【請求項5】
前記工程(B)で得られた結晶性アルミナ積層粒子分散液中に残存する残留塩基性物質の濃度が100ppm以下であることを特徴とする請求項に記載の結晶性アルミナ積層粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の正方板状アルミナ微粒子が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造をなす結晶性アルミナ積層粒子と該結晶性アルミナ積層粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明は、複数の正方板状アルミナ微粒子が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造をなす結晶性アルミナ積層粒子であり、該結晶性アルミナ積層粒子を構成する正方板状アルミナ微粒子については、多数の報告がなされている。
【0003】
特許文献1では、金属塩の水溶液を水の亜臨界ないし超臨界条件である200℃以上、160kg/cm2以上で処理し、金属酸化物の水和物であるオキシ水酸化物も含む金属酸化物微粒子の製造方法が開示されている。この粒子の特徴として、粒度分布が狭く、形状もそろい、結晶性が高く、枝分かれ、双晶がなく2次凝集の少ないことがあげられる。
【0004】
また特許文献2には、水酸化アルミニウムと、(メタ)アクリル酸エステル系の重合体とを、pH調整剤としてナトリウム、カリウム、バリウム、カルシウムおよびストロンチウムより選ばれる少なくとも1種の水酸化物またはアルミン酸塩を添加してpH8以上にした状態で130〜250℃の温度で水熱処理することで板状ベーマイトアルミナの製造方法が開示されている。
【0005】
さらにナノサイズのアルミナ複合酸化物微粒子として、特許文献3にはアルミニウム金属塩水溶液とアルカリ水溶液とを反応させ、ゲル状物質を含む反応混合物を予め製造することで、ベーマイトアルミナ微粒子をゲル中に取り込むという、ゾルゲル法を用いることによりアルミナ微粒子同士の癒着、凝集を防ぐことでナノサイズのアルミナ微粒子が開示されている。
【0006】
特許文献4にはアルミニウム金属塩水溶液中にアルカリ水溶液を添加し、得られた反応混合物中に水酸化アルミニウムのゲル状物質を予め製造することで、ベーマイトアルミナ微粒子をゲル中に取り込むという、ゾルゲル法を用いることによりアルミナ微粒子同士の癒着、凝集を防ぐことでナノサイズのアルミナ微粒子が開示されている。また、得られたアルミナ微粒子は、内部に中空部を有することが開示され、無機充填剤、軽量無機質成形体などの用途が開示されている。
【0007】
しかしながら、正方板状アルミナ微粒子が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造をなす結晶性アルミナ積層粒子についての開示は見られず、その存在についての示唆すらされていない。さらには、その粒子の用途についてもあまり知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平04−050105号公報
【特許文献2】特開2003−002641号公報
【特許文献3】特開2006−056739号公報
【特許文献4】特開2006−143487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、複数の正方板状アルミナ微粒子が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造をなす結晶性アルミナ積層粒子と該結晶性アルミナ積層粒子の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 複数の正方板状アルミナ微粒子が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造をなす結晶性アルミナ積層粒子。
(2) 前記正方板状アルミナ微粒子は、平均粒子径が2〜100nm、平均厚みが1〜20nmの範囲にあり、アスペクト比(平均粒子径/平均厚み)が2〜50の範囲であることを特徴とする上記(1)に記載の結晶性アルミナ積層粒子。
(3) 前記正方板状アルミナ微粒子の平均積層数が、3〜20であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の結晶性アルミナ積層粒子。
(4) 前記正方板状アルミナ微粒子は、ベーマイト結晶相のアルミナを主成分とすることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の結晶性アルミナ積層粒子。
(5) 前記結晶性アルミナ積層粒子は、平均長軸の長さが10〜300nm、平均厚みが2〜50nmの範囲にあることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の結晶性アルミナ積層粒子。
(6) 前記結晶性アルミナ積層粒子において、200℃で焼成した時の比表面積(SA1)と350℃で焼成した時の比表面積(SA2)の比((SA2)/(SA1))が、0.70〜0.95の範囲にあることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の結晶性アルミナ積層粒子。
(7) (A)正方板状アルミナ微粒子の分散液を水熱処理することにより複数の正方板状のアルミナ微粒子が、少なくとも2辺が重ならないように積層した構造をなす結晶性アルミナ積層粒子分散液を得る工程
(B)前記工程(A)で得られた結晶性アルミナ積層粒子から残留する塩基性物質を除去し、結晶性アルミナ積層粒子分散液を得る工程
を含むことを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の結晶性アルミナ積層粒子の製造方法。
(8) (7)の工程(A)で用いる正方板状アルミナ微粒子が
(a)アルミン酸塩溶液に酸を添加した後、50〜100℃の温度で処理することにより10〜12の範囲にあるpHを有する正方板状アルミナ微粒子分散液を得る工程
(b)前記工程(a)において得られた正方板状アルミナ微粒子分散液から残留する溶解性無機塩および未反応物質を除去する工程
(c)前記工程(b)で得られた正方板状アルミナ微粒子分散液に、さらに塩基性物質を添加して前記正方板状アルミナ微粒子の大きさを均一化する工程
を含むことを特徴とする(7)に記載の結晶性アルミナ積層粒子の製造方法。
(9) 前記工程(c)において、塩基性物質として、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウムの塩で水に可溶な化合物から選ばれる少なくとも1種を用いることを特徴とする上記(8)に記載の結晶性アルミナ積層粒子の製造方法。
(10) 前記工程(A)で用いる正方板状アルミナ微粒子の分散液が
(d)工程(a)および工程(b)を含まない工程により得られた正方板状アルミナ微粒子を分散液としたのち塩基性物質を添加して前記正方板状アルミナ微粒子の大きさを均一化する工程
によって得られたものであることを特徴とする上記(7)に記載の結晶性アルミナ積層粒子の製造方法。
(11) 前記工程(A)において、水熱処理の温度が110〜180℃、水熱処理時間が15〜50時間の範囲であることを特徴とする上記(710)に記載の結晶性アルミナ積層粒子の製造方法。
(12) 前記工程(B)で得られた結晶性アルミナ積層粒子分散液中に残存する残留塩基物質の濃度が100ppm以下であることを特徴とする上記(7)〜(11)のいずれかに記載の結晶性アルミナ積層粒子の製造方法。
(13)
上記(1)〜(6)のいずれかに記載の結晶性アルミナ積層粒子の製造方法であって、
(Z)工程(z1)または工程(z2)により正方板状アルミナ微粒子の分散液を得る工程、
(A)正方板状アルミナ微粒子の分散液を110〜180℃で1〜30時間水熱処理することにより、複数の正方板状のアルミナ微粒子が、少なくとも2辺が重ならないように積層した構造をなす結晶性アルミナ積層粒子分散液を得る工程、および
(B)前記工程(A)で得られた結晶性アルミナ積層粒子から残留する塩基性物質を除去し、結晶性アルミナ積層粒子分散液を得る工程
を含み、
前記工程(z1)は、(a)アルミン酸塩溶液に酸を添加した後、50〜100℃の温度で処理することにより10〜12の範囲にあるpHを有する正方板状アルミナ微粒子分散液を得る工程、
(b)前記工程(a)において得られた正方板状アルミナ微粒子分散液から残留する溶解性無機塩および未反応物質を除去する工程、および
(c)前記工程(b)で得られた正方板状アルミナ微粒子分散液に、さらに塩基性物質を添加して前記正方板状アルミナ微粒子の大きさを均一化する工程を含み、
前記工程(z2)は、(d)前記工程(a)および前記工程(b)を含まない工程により得られた正方板状アルミナ微粒子を分散液としたのち塩基性物質を添加して前記正方板状アルミナ微粒子の大きさを均一化する工程を含み、
前記塩基性物質は、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化アンモニウムまたは炭酸アンモニウムである
ことを特徴とする結晶性アルミナ積層粒子の製造方法。
(14)
前記工程(B)で得られた結晶性アルミナ積層粒子分散液中に残存する残留塩基性物質の濃度が100ppm以下であることを特徴とする上記(13)に記載の結晶性アルミナ積層粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、複数の正方板状アルミナ微粒子が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造をなす結晶性アルミナ積層粒子と該結晶性アルミナ積層粒子の製造方法を提供することができる。
【0012】
本発明の結晶性アルミナ積層粒子は、複数の正方板状アルミナ微粒子の集合したものであり粒子表面の凹凸を利用して研磨材としての利用でき、板状という形態から膜強度(曲げ強度、曲げ弾性率、荷重たわみ強度等)向上を狙った樹脂フィラーとして利用できる。
【0013】
また、粒子表面は複数の正方板状アルミナ微粒子が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造であるため、ナノオーダーのフラクタル状の凹凸が形成されている。そのため、その凹凸に起因する光学特性を利用した化粧品、樹脂フィラー、表面コート材(光学散乱、屈折率調整など)へ応用することができる。
【0014】
さらに、表面電荷と粒子形状の相乗効果で有機・無機溶剤塗料等への混合の自由度が広く、耐火難燃材、耐熱材として塗布/成型に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】結晶軸を示す模式図
図2】表面積の減衰曲線
図3】結晶性アルミナ積層粒子のSEM写真
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、まず本発明に係る結晶性アルミナ積層粒子について説明する。
<正方板状アルミナ微粒子>
正方板状アルミナ微粒子の1次粒子の大きさは、アルミナ水和物微粒子の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、50個の粒子について粒子径および厚みを測定し、各々の平均値を求めることができ、平均粒子径が2〜100nm、さらに3〜80nmの範囲にあることが好ましく、平均厚みが1〜20nm、さらには2〜15nmの範囲にあることが好ましい。また、この時、平均粒子径と平均厚みの比(アスペクト比)は、2〜50の範囲にある板状形態にすることが必要である。アスペクト比が1以下の場合、積層した構造をとりにくくなり、塊状となる傾向がある。
【0017】
アルミナ微粒子の1次粒子としては、アルミナ水和物微粒子であればよく、制限はない。特に本発明では、ベーマイトアルミナ水和物微粒子が好ましい。
市販の正方板状形状を有するベーマイトアルミナ水和物微粒子、例えば、Sasol社製 DISPERAL―P2、CATAPAL―A、PURAL―SB、水酸化アルミニウム微粒子、例えば、UOP社製 VERSAL―R3、日本軽金属社製 B703、B1403、昭和電工社製H―42、H―43などを好適に使用することができる。
<結晶性アルミナ積層粒子>
本願発明の結晶性アルミナ積層粒子は、ナノサイズのアルミナ微粒子同士が結晶面を揃えて積み重なるのではなく、ずれた状態(オフセット状態)で積層することにより、複数のアルミナ微粒子同士が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造となす粒子となる。
【0018】
結晶性アルミナ積層粒子の積層数は3〜20である。大きさは、平均長軸の長さが10〜300nm、平均厚みが2〜50nmの範囲である。
結晶性アルミナ積層粒子の大きさは、透過型電子顕微鏡写真(TEM)を用い、50個の粒子について、長軸と短軸の長さおよび厚みを計測し、長軸の長さの平均値および厚みの平均値を求めることができる。
【0019】
また、結晶性アルミナ積層粒子の積層状態は、透過型電子顕微鏡写真(TEM)により確認することができる。
一般に、アルミニウムは両性酸化物であるため、低pH領域では水分子を6つ配位した6配位型アルミニウムカチオン[Al(OH26]3+をとり、これをpH4以下の範囲で中和してできるアルミナヒドロゲルは、6配位型構造をもつAl(OH)3を単位ユニットとした8面体構造を形成し、単位ユニットの辺と頂点を共有したベーマイト構造をとる。
【0020】
さらに、共存するアニオンの影響で結晶軸のa、b軸方向の成長よりc軸の成長が早く、ウィスカー(針)〜ロッド(柱)状の1次粒子形状をとる。
逆に高pH領域では、4配位型のテトラヒドロキソアルミニウムアニオン[Al(OH)4]-をとり、これをpH10以上の範囲で中和してできるアルミナヒドロゲルは4配位型構造をもつ[Al(OH)4]を単位ユニットとした4面体構造を形成し、単位ユニットの稜と辺を酸素元素による架橋結合(μ-OHタイプ)した擬ベーマイト構造となる。
【0021】
さらに、共存するカチオンの影響で結晶軸のa軸よりもb、c軸の成長が早く、板状の1次粒子形状をとる。
このアルミナの性質を利用し、選択的に4配位型構造を単位ユニットとするアルミナヒドロゲルを調製し、その構造を保持したまま結晶成長させることが可能なpH範囲で本発明の1次粒子であるアルミナ微粒子を得られる。
【0022】
本発明のように、アルミナ微粒子が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造をもつ結晶性アルミナ積層粒子が得られた理由は明確ではないが、上記のように結晶の成長軸を規定したアルミナ微粒子を調製し、さらに該微粒子の表面電荷が低いこと、面間に塩基性物質等のイオン性物質の残存が少ないことから粒子面同士の相互作用が弱いことから、粒子の辺または頂点の電荷に支配され、少なくとも2辺が重なることなく積層し、さらに制御された成長軸方向に伸びた構造をもつ粒子が得られたという結晶成長機構と1次粒子であるアルミナ微粒子が積層するとき、アルミナ微粒子自身、表面電荷を有しており、アルミナ微粒子同士が近づいたとき、各々微粒子の表面電荷で誘電分極が起こり、分極が中和される位置で積層した結晶性アルミナ積層粒子が得ら、さらに結晶成長面が制御されているため、成長軸方向に成長したという結晶成長機構を推定している。
【0023】
さらに、積層して得られた本発明の結晶性アルミナ積層粒子の粒子表面は、ナノオーダーの凹凸(フラクタル表面)が形成されており、この凹凸を利用した研磨材のみならず光学系材料などにも利用するができる。
【0024】
少なくとも2辺が重なることなく積層した構造の具体例としては、一方向に傾斜して階段状に積層するもの、4辺がすべて重なることなく傾斜して積層するもの等が含まれるが、これらに限られない。なお4辺がすべて重なって積層する形態は本発明には含まれない。
・比表面積と1次粒子径の関係
一般的に粒子成長には、3つの結晶軸の成長速度が、I.結晶軸すべてほぼ同じ速度で成長する場合、II.結晶軸の成長速度が異なる場合に大別される。1次粒子の平均粒子径の成長に伴う比表面積の変動量は、Iの場合では大きく、IIの場合では小さくなる傾向を示す。
【0025】
さらに、比表面積と結晶成長軸の数との関係に着目すると、結晶成長軸の数が3軸(3軸とも成長する)の場合が、最も比表面積の減衰が早く起こる傾向があり、結晶成長軸の数が2本、1本となるにつれて、減衰が緩慢になる傾向を示す。結晶軸の模式図と、減衰の傾向の模式図をそれぞれ図1および図2に示す。図2において、横軸は時間軸であり、縦軸は比表面積を示す。
【0026】
本発明の結晶性アルミナ積層粒子は、正方板状アルミナ微粒子が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造をもつことを特徴としている。正方板状アルミナ微粒子の平均粒子径を変化させて結晶性アルミナ積層粒子を製造した場合、正方板状アルミナ微粒子の平均粒子径が大きくなる変化量と、比表面積の変動量がそれほど大きな変化をしなくなる傾向を示し、比表面積はあるレベルの比表面積の値(m2/g)以下には見かけ上低がらなくなる(減衰する)という傾向がある。
【0027】
以上のことからも、本発明の結晶性アルミナ積層粒子は、特定の結晶軸方向に結晶成長していることが示唆され、正方板状アルミナ微粒子が特定の結晶軸方向にのみ成長していることを示唆しているものと考えられる。
・比表面積と焼成の関係
さらに、本発明の結晶性アルミナ積層粒子の表面積において、200℃で焼成した時の表面積(SA1)と350℃で焼成した時の比表面積(SA2)の比((SA2)/(SA1))が、0.70〜0.95の範囲にあり、さらには0.75〜0.93の範囲にあることが好ましい。
【0028】
無機酸化物粒子の表面積は、焼成温度が上昇すると比表面積は小さくなる傾向を示す。これは、粒子の細孔が焼成により減少することに起因し、比表面積が低下する現象が起こる。
【0029】
本発明の結晶性アルミナ積層粒子は、焼成温度を高くしても比表面積の変化は小さく1次粒子のもつ表面積のオーダーから極端に下がる現象は見られない。このことから、正方板状アルミナ微粒子が、少なくとも2辺は重ならないが、結晶平面をある程度保持して積層した構造を形成していることを示唆していると考えられる。
【0030】
このような、積層構造を形成することで、粒子表面にはナノオーダーの凹凸(フラクタル表面)が形成されているものと考えられる。走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ株式会社製、H−5500)によるSEM写真を図3に示す。
<結晶性アルミナ積層粒子の製造方法>
本発明に係る結晶性アルミナ積層粒子の製造方法は、
(A)正方板状アルミナ微粒子の分散液を水熱処理することにより複数の正方板状のアルミナ微粒子が、少なくとも2辺が重ならないように積層した構造をなす結晶性アルミナ積層粒子分散液を得る工程
(B)前記工程(A)で得られた結晶性アルミナ積層粒子から残留する塩基性物質を除去し、結晶性アルミナ積層粒子分散液を得る工程
を含むものである。
【0031】
正方板状アルミナ微粒子の分散液は、以下の(a)から(c)の工程を含むことによって得られるものであることが好ましい。
但し、工程(a)および(b)を含まない工程により得られた正方板状アルミナ微粒子を用いることもでき、その場合は工程(d)により正方板状アルミナ微粒子の分散液を得ることができる。工程(a)および(b)を含まない工程により得られた正方板状アルミナ微粒子の例としては、前述のベーマイトアルミナ水和物微粒子、例えば、Sasol社製 DISPERAL―P2、CATAPAL―A、PURAL―SB、水酸化アルミニウム微粒子、例えば、UOP社製 VERSAL―R3、日本軽金属社製 B703、B1403、昭和電工社製H―42、H―43などが挙げられる。
【0032】
(a)アルミン酸塩溶液に酸を添加した後、所定の温度で処理することにより所定のpHを有する正方板状アルミナ微粒子分散液を得る工程
(b)前記工程(a)で得られた正方板状アルミナ微粒子分散液から残留する溶解性無機塩および未反応物質を除去する工程
(c)前記工程(b)で得られた正方板状アルミナ微粒子分散液に塩基性物質を添加して処理することによりの大きさを均一化した正方板状アルミナ微粒子分散液を得る工程
正方板状アルミナ微粒子として市販品を用いる場合は、工程(d)により大きさを均一化した正方板状アルミナ微粒子分散液を得ることができる。
【0033】
(d)工程(a)および工程(b)を含まない工程により得られた正方板状アルミナ微粒子を分散液としたのち塩基性物質を添加して前記正方板状アルミナ微粒子の大きさを均一化する工程
次に、この製造方法について各工程を説明すれば、以下のとおりである。
<工程(A)>
この工程では、上記工程(a)〜(c)、または工程(d)により得られた大きさの揃った塩基性物質添加アルミナ微粒子分散液を処理温度110〜180℃、処理時間1〜30時間の範囲で水熱処理をすることで複数の正方板状アルミナ微粒子が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造をなす結晶性アルミナ積層粒子分散液を得る。
【0034】
処理温度は、範囲下限未満では少なくとも2辺が重なることなく積層した構造への進行が進まない可能性があり、範囲上限を超えると凝集しやすくなる傾向にあるので好ましくない。
【0035】
処理時間は、上記の範囲から適宜選択した条件で処理することが好ましい。
<工程(B)>
この工程では、上記工程(A)で得られた、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造をなす結晶性アルミナ積層粒子分散液を限外濾過装置で濃縮し、さらに希釈倍率が1000〜2000倍量の60℃の温純水で洗浄を行い、残留するテトラメチルアンモニウムの濃度が100ppm以下となるまで洗浄を行い、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造をなす結晶性アルミナ積層粒子分散液を得る。洗浄に用いる温純水の量は、上記の範囲から適宜選択した量で洗浄することが好ましい。
【0036】
残留するテトラメチルアンモニウムの濃度は、100ppm以下、さらには50ppm以下であることが好ましい。100ppmを超えると、得られた分散液中で経時変化にともない、正方板状結晶性アルミナ微粒子が凝集する恐れがあるので好ましくない。
<工程(a)>
前記正方板状アルミナ微粒子は、アルミン酸塩を原料として用い、アルミン酸塩と水酸化ナトリウムを反応容器に入れ完全溶解したアルミン酸塩溶液を調製し、この溶液に無機酸または有機酸を添加し、温度50〜100℃の範囲で0.5〜2時間処理することによって、正方板状のアルミナ微粒子分散液を得る。無機酸または有機酸の添加量は、得られる分散液のpHが10〜12の範囲になるように調整する。
【0037】
原料として用いるアルミナとしては、アルミン酸塩を原料として用いることが好ましい。それ以外の硫酸系または硝酸系アルミナを原料に用いた場合、正方板状微粒子が得られなかったり、正方板状微粒子が得られたとしても、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造をなす集合体が得られず、塊状化したものが得られなかったりする傾向がある。
【0038】
無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等、有機酸としてはカルボン酸、スルホン酸等を用いることが可能である。
ここで得られた分散液のpHは10〜12であり、好ましくは10.5〜11.5の範囲であることが好ましい。下限値未満であると、ベーマイト以外の結晶相を有するアルミナ微粒子が得られる傾向があり、本発明の正方板状のアルミナ微粒子が得られにくくなる。上限値を超えるとアルミナ自身の溶解性が高くなりアルミナ微粒子が得られなくなるので好ましくない。
【0039】
さらに、処理温度は50〜100℃で、好ましくは70〜90℃の範囲であることが好ましい。50℃未満であるとベーマイト結晶相のアルミナ微粒子の粒子成長が進まないことがあり、100℃を超えると界面濃縮効果によりベーマイト以外の結晶相が成長する傾向があるので好ましくない。ここで、界面濃縮効果とは、沸騰溶媒と気/固相の界面(液面と容器壁との境面)で溶解物がスケール状に析出する状態になることを意味する。
処理時間は、0.5〜2時間であることが好ましい。
【0040】
この工程により得られた正方板状アルミナ微粒子分散液に、さらにアルミン酸塩溶液と無機酸または有機酸を上記と同様の操作により添加することにより、ベーマイト結晶相の結晶成長を促すことができ、得られる正方板状アルミナ微粒子の大きさを制御することが可能となる。
<工程(b)>
この工程では、上記工程(a)で得られた正方板状アルミナ微粒子分散液に、吸引濾過方式により、アルミナ微粒子と母液とを分離した後、80℃の温純水を用いてアルミナ微粒子ケーキの洗浄を行い、ケーキ中に含まれる塩化ナトリウムや吸着したナトリウムイオンを洗浄除去し、この後十分脱水し、正方板状アルミナ微粒子ケーキを得る。
ここで、洗浄に使用する温純水の量は、濾液のpHが10以下程度になるまで、50〜100Lの範囲から適宜選択した条件で洗浄することが好ましい。
<工程(c)>
この工程では、上記工程(b)で得られた正方板状アルミナ微粒子ケーキを分散液化し、さらに塩基性物質を加え、大きさの揃った塩基性物質添加アルミナ微粒子分散液を得る。
【0041】
塩基性物質は、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウムの水に可溶な化合物から選ばれる少なくとも1種の塩基性物質を用いることが可能である。
塩基性物質としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等の水酸化物や炭酸塩または水酸化アンモニウムや炭酸アンモニウムの無機アミンなどを用いることができる。
【0042】
さらに、塩基性物質としては、強塩基性であるものが好ましく、さらにカウンターカチオンが嵩高いものであることが、正方板状粒子の結晶成長および少なくとも2辺が重ることなく積層した構造をなす結晶性アルミナ積層粒子の生成には好ましい。本発明では水酸化テトラメチルアンモニウムを用いることが好ましい。
【0043】
前記塩基性物質の添加量は、含有アルミナに対して3〜25モル%の範囲で添加し、さらには5〜20モル%の範囲であることが好ましい。範囲下限未満では粒子成長の効果か弱くなり微小な粒子しか得られなくなる可能性があり、範囲上限を超えると凝集してしまいやすくなる傾向にあるので好ましくない。
【実施例】
【0044】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[測定方法]
<粒子の表面積測定>
本願微粒子の表面積は、本願微粒子を凍結乾燥機で乾燥させた後、200℃または350℃で3時間乾燥した試料について、表面積測定装置(ユアサアイオニクス株式会社製、マルチソーブ12)を用いて窒素吸着法(BET法)により測定した。200℃で乾燥して得られた値をSA1、350℃で乾燥して得られた値をSA2とする。単位はm2/gで表示する。
<pH測定>
pHの測定については、25℃のpH4、7および9の標準液で更正が完了したpHメータ(株式会社堀場製作所社製:F22)のガラス電極を溶液中に挿入して、pH測定を実施した。
<塩基性物質の残留量の測定>
塩基性物質量の測定については、JIS K0102 ケルダール法・中和滴定法に準拠して行い、試料に、硫酸銅、硫酸及び硫酸カリウムを加え、有機物を分解した。次に、水酸化ナトリウムを加えてアルカリ性とした後、蒸留し、留出したアンモニアを硫酸に吸収させる)にて有機物を分解させ、露出液中のアンモニウムイオンを中和滴定法(水酸化ナトリウムにて残った硫酸を定量し、アンモニウムイオン量を算出する)にて定量した。
<X線測定>
正方板状結晶性アルミナの結晶相については、X線回折測定装置(SmartLab, 株式会社リガク社製)を用いて、X線源;CuKα、出力;9kW、管電圧;45kV、管電流;200mA、スリット間隔;0.5°、測定角度2θ;10°〜70°、走査速度;10°/分の条件により、X線回折測定で確認した。
[実施例1]
【0045】
<結晶性アルミナ積層粒子(1)分散液の製造方法>
<工程(a)> 100Lのスチームジャケット付タンクへ純水38.743kgを張り込み、これに濃度48質量%の水酸化ナトリウム溶液(関東化学株式会社製、特級)0.815kgを撹拌しながら加えた。
【0046】
この溶液に、アルミン酸ナトリウム(関東化学株式会社製、鹿1級、アルミナ換算39質量%)2.740kgを撹拌しながら溶解した。
さらに、この溶液を撹拌しながら80℃へ昇温し1時間保持することで、完全溶解した希釈アルミン酸ナトリウム水溶液42.298kgを得た。
【0047】
スチームジャケット付10Lタンクに純水6.269kgを張り込み、これに35質量%の塩酸水溶液(関東化学株式会社製、特級)0.453kgを撹拌しながら混合し、さらに80℃まで加温し希釈塩酸6.722kgを得た。
【0048】
この希釈アルミン酸ナトリウム水溶液を80℃に保ったまま、撹拌しながら前記希釈塩酸水溶液を全量添加混合し、さらに撹拌しながら80℃で1時間保持して、pH11.5の正方板状アルミナ微粒子(1a)分散液49.020kgを得た。
<工程(b)> このアルミナ微粒子(1a)分散液を脱気式のプレートフィルターにて脱水し、母液を分離した後、プレートフィルター状に得られたアルミナ微粒子ケーキへ減圧下で80℃温純水50〜100Lを通水し、アルミナ微粒子ケーキに含まれる塩化ナトリウム及び吸着したナトリウムを洗浄除去した。この後十分に減圧下で脱水することでアルミナ微粒子(1b)ケーキ6.667kgを得た。
<工程(c)> このアルミナ微粒子(1b)ケーキ6.667kgへ純水12.983kgを加え、十分に撹拌して分散させアルミナ微粒子希釈分散液19.650kgとし、これに、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(関東化学株式会社製、濃度27質量%)を加え、塩基性物質添加アルミナ微粒子(1c)分散液20.000kgを得た。
<工程(A)> この塩基性物質添加アルミナ微粒子(1c)分散液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、加圧下で24時間反応させ、30〜50nm正方形で、厚みが3〜5nmの大きさの1次結晶粒子5〜10個が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造に凝集した100〜200nmの大きさの2次粒子を形成する結晶性アルミナ積層粒子(1A)分散液を得た。
<工程(B)> この結晶性アルミナ積層粒子(1A)分散液を限外濾過装置に入れ、希釈倍率1000〜2000倍量の60℃の温純水にて洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した濃度が(CH34+<10ppmとなるまで洗浄を行い、5質量%アルミナの結晶性アルミナ積層粒子(1)分散液20.000kgを得た。
【0049】
結晶性アルミナ積層粒子(1)について、性状を表1に示す。
[実施例2]
【0050】
<結晶性アルミナ積層粒子(2)分散液の製造方法>
<工程(a)> 100Lのスチームジャケット付タンクへ純水38.743kgを張り込み、これに濃度48質量%の水酸化ナトリウム溶液(関東化学株式会社製、特級)0.815kgを撹拌しながら加えた。
【0051】
この溶液に、アルミン酸ナトリウム(関東化学株式会社製、鹿1級、アルミナ換算39質量%)2.740kgを撹拌しながら溶解した。
さらに、この溶液を撹拌しながら80℃へ昇温し1時間保持することで、完全溶解した希釈アルミン酸ナトリウム水溶液42.298kgを得た。
【0052】
スチームジャケット付10Lタンクに純水6.316kgを張り込み、これに70質量%の硝酸水溶液(関東化学株式会社製、特級)0.406kgを撹拌しながら混合し、さらに80℃まで加温し希釈硝酸6.722kgを得た。
【0053】
この希釈アルミン酸ナトリウム水溶液を80℃に保ったまま、撹拌しながら前記希釈硝酸水溶液を全量添加混合し、さらに撹拌しながら80℃で1時間保持して、pH11.5の正方板状アルミナ微粒子(2a)分散液49.020kgを得た。
<工程(b)> このアルミナ微粒子(2a)分散液を脱気式のプレートフィルターにて脱水し、母液を分離した後、プレートフィルター状に得られたアルミナ微粒子ケーキへ減圧下で80℃温純水50〜100Lを通水し、アルミナ微粒子ケーキに含まれる硝酸ナトリウム及び吸着したナトリウムを洗浄除去し、この後十分に減圧下で脱水することでアルミナ微粒子(2b)ケーキ6.667kgを得る。
<工程(c)> このアルミナ微粒子(2b)ケーキ6.667kgへ純水12.983kgを加え、十分に撹拌して分散させアルミナ微粒子希釈分散液19.650kgとし、これに、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(関東化学株式会社製、濃度27質量%)を加え、塩基性物質添加アルミナ微粒子(2c)分散液20.000kgを得た。
<工程(A)> この塩基性物質添加アルミナ微粒子(2c)分散液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、加圧下で24時間反応させ、30〜40nm正方形で、厚みが3〜4nmの大きさの1次結晶粒子5〜10個が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造に凝集した100〜200nmの大きさの2次粒子を形成する結晶性アルミナ積層粒子(2A)分散液を得た。
<工程(B)> この結晶性アルミナ積層粒子(2A)分散液を限外濾過装置に入れ、希釈倍率1000〜2000倍量の60℃の温純水にて洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した濃度が(CH34+<10ppmとなるまで洗浄を行い、5質量%アルミナの結晶性アルミナ積層粒子(2)分散液20.000kgを得た。
【0054】
結晶性アルミナ積層粒子(2)について、性状を表1に示す。
[実施例3]
【0055】
<結晶性アルミナ積層粒子(3)分散液の製造方法>
<工程(a)> 100Lのスチームジャケット付タンクへ純水38.743kgを張り込み、これに濃度48質量%の水酸化ナトリウム溶液(関東化学株式会社製、特級)0.815kgを撹拌しながら加えた。
【0056】
この溶液に、アルミン酸ナトリウム(関東化学株式会社製、鹿1級、アルミナ換算39質量%)2.740kgを撹拌しながら溶解した。
さらに、この溶液を撹拌しながら80℃へ昇温し1時間保持することで、完全溶解した希釈アルミン酸ナトリウム水溶液42.298kgを得た。
【0057】
スチームジャケット付10Lタンクに純水6.493kgを張り込み、これに96質量%の硫酸水溶液(関東化学株式会社製、特級)0.229kgを撹拌しながら混合し、さらに80℃まで加温し希釈硫酸6.722kgを得た。
【0058】
この希釈アルミン酸ナトリウム水溶液を80℃に保ったまま、撹拌しながら前記希釈硫酸水溶液を全量添加混合し、さらに撹拌しながら80℃で1時間保持して、pH11.5の正方板状アルミナ微粒子(3a)分散液49.020kgを得た。
<工程(b)> この正方板状アルミナ微粒子(3a)分散液を脱気式のプレートフィルターにて脱水し、母液を分離した後、プレートフィルター状に得られた調合ヒドロゲルケーキへ減圧下で80℃温純水50〜100Lを通水し、調合ヒドロゲルケーキに含まれる硫酸ナトリウム及び吸着したナトリウムを洗浄除去し、この後十分に減圧下で脱水することでアルミナ微粒子(3b)ケーキ6.667kgを得る。
<工程(c)> このアルミナ微粒子(3b)ケーキ6.667kgへ純水12.983kgを加え、十分に撹拌して分散させアルミナヒドロゲル希釈分散液19.650kgとし、これに、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(関東化学株式会社製、濃度27質量%)を加え、塩基性物質添加アルミナ微粒子(3c)分散液20.000kgを得た。
<工程(A)> この塩基性物質添加アルミナ微粒子(3c)分散液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、加圧下で24時間反応させ、20〜60nm正方で、厚みが2〜6nmの大きさの1次結晶粒子5〜10個が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造に凝集した50〜300nmの大きさの2次粒子を形成する結晶性アルミナ積層粒子(3A)分散液を得た。
<工程(B)> この結晶性アルミナ積層粒子(3A)分散液を限外濾過装置に入れ、希釈倍率1000〜2000倍量の60℃の温純水にて洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した濃度が(CH34+<10ppmとなるまで洗浄を行い、5質量%アルミナの結晶性アルミナ積層粒子(3)分散液20.000kgを得た。
【0059】
結晶性アルミナ積層粒子(3)について、性状を表1に示す。
[実施例4]
【0060】
<結晶性アルミナ積層粒子(4)分散液の製造方法>
<工程(d)> 市販の結晶性アルミナ微粒子パウダー(Sasol社製、DISPERAL−P2、濃度72質量%)0.556kgへ純水19.094kgを加え、十分に撹拌して分散させアルミナヒドロゲル希釈分散液19.650kgとし、これに、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(関東化学株式会社製、濃度27質量%)を加え、塩基性物質添加結晶性アルミナ微粒子(4c)分散液20.000kgを得た。
<工程(A)> この塩基性物質添加アルミナ微粒子(4c)分散液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、加圧下で24時間反応させ、20〜50nm正方で、厚みが4〜8nmの大きさの1次結晶粒子5〜10個が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造に凝集した50〜300nmの大きさの2次粒子を形成する結晶性アルミナ積層粒子(4A)分散液を得た。
<工程(B)> この結晶性アルミナ積層粒子(4A)分散液を限外濾過装置に入れ、希釈倍率1000〜2000倍量の60℃の温純水にて洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した濃度が(CH34+<10ppmとなるまで洗浄を行い、5質量%アルミナの結晶性アルミナ積層粒子(4)分散液20.000kgを得た。
【0061】
結晶性アルミナ積層粒子(4)について、性状を表1に示す。
[比較例1]
<塊状結晶性アルミナ粒子(R1)分散液の製造方法>
<工程(a)> 50Lのスチームジャケット付タンクへ純水26.345kgを張り込み、これに濃度48質量%の水酸化ナトリウム溶液(関東化学株式会社製、特級)0.554kgを撹拌しながら加えた。
【0062】
この溶液に、アルミン酸ナトリウム(関東化学株式会社製、鹿1級、アルミナ換算39質量%)1.863kgを撹拌しながら溶解した。
さらに、この溶液を撹拌しながら80℃へ昇温し1時間保持することで、完全溶解した希釈アルミン酸ナトリウム水溶液28.762kgを得た。
【0063】
スチームジャケット付10Lタンクに純水4.321kgを張り込み、これに純度98質量%の塩化アルミニウム・九水和物(関東化学株式会社製、鹿特級)0.250kgを撹拌しながら混合し、さらに80℃まで加温し希釈塩化アルミニウム水溶液4.571kgを得た。
【0064】
この希釈アルミン酸ナトリウム水溶液を80℃に保ったまま、撹拌しながら前記希釈塩化アルミニウム水溶液を全量添加混合し、さらに撹拌しながら80℃で1時間保持して、pH11.5のアルミナ微粒子(R1a)分散液33.333kgを得た。
<工程(b)> このアルミナ微粒子(R1a)分散液を脱気式のプレートフィルターにて脱水し、母液を分離した後、プレートフィルター状に得られたアルミナ微粒子ケーキへ減圧下で80℃温純水50〜100Lを通水し、アルミナ微粒子ケーキに含まれる塩化ナトリウム及び吸着したナトリウムを洗浄除去し、この後十分に減圧下で脱水することでアルミナ微粒子(R1b)ケーキ6.667kgを得た。
<工程(c)> このアルミナ微粒子(R1b)ケーキ6.667kgへ純水12.983kgを加え、十分に撹拌して分散させアルミナ微粒子希釈分散液19.650kgとし、これに、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(関東化学株式会社製、濃度27質量%)0.350kgを加え、塩基性物質添加アルミナ微粒子(R1c)分散液20.000kgを得た。
<工程(A)> この塩基性物質添加アルミナ微粒子(R1c)分散液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、加圧下で24時間反応させ、40〜80nm正方で、厚みが4〜8nmの大きさの1次結晶粒子が5〜10個が塊状に凝集した150〜400nmの大きさの2次粒子を形成する塊状結晶性アルミナ粒子(R1A)分散液を得た。
<工程(B)> この塊状結晶性アルミナ粒子(R1A)分散液を限外濾過装置に入れ、希釈倍率1000〜2000倍量の60℃の温純水にて洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した濃度が(CH34+<10ppmとなるまで洗浄を行い、5質量%アルミナの結晶性アルミナ粒子(R1)分散液20.000kgを得た。得られた結晶性アルミナ微粒子自身が、正方板状として整ったモノが少ない状態であった。
【0065】
塊状結晶性アルミナ粒子(R1)について、性状を表1に示す。
[比較例2]
<塊状結晶性アルミナ粒子(R2)分散液の製造方法>
<工程(a)> 50Lのスチームジャケット付タンクへ純水26.345kgを張り込み、これに濃度48質量%の水酸化ナトリウム溶液(関東化学株式会社製、特級)0.554kgを撹拌しながら加えた。
【0066】
この溶液に、アルミン酸ナトリウム(関東化学株式会社製、鹿1級、アルミナ換算39質量%)1.863kgを撹拌しながら溶解した。
さらに、この溶液を撹拌しながら80℃へ昇温し1時間保持することで、完全溶解した希釈アルミン酸ナトリウム水溶液28.762kgを得た。
【0067】
スチームジャケット付10Lタンクに純水4.182kgを張り込み、これに98質量%の硝酸アルミニウム・九水和物(関東化学株式会社製、鹿特級)0.389kgを撹拌しながら混合し、さらに80℃まで加温し希釈硝酸アルミニウム水溶液4.571kgを得た。
【0068】
この希釈アルミン酸ナトリウム水溶液を80℃に保ったまま、撹拌しながら前記希釈硝酸アルミニウム水溶液を全量添加混合し、さらに撹拌しながら80℃で1時間保持して、pH11.5のアルミナ微粒子(R2a)分散液33.333kgを得た。
<工程(b)> このアルミナ微粒子(R2a)分散液を脱気式のプレートフィルターにて脱水し、母液を分離した後、プレートフィルター状に得られたアルミナ微粒子ケーキへ減圧下で80℃の温純水50〜100Lを通水し、アルミナ微粒子ケーキに含まれる硝酸ナトリウム及び吸着したナトリウムを洗浄除去し、この後十分に減圧下で脱水することでアルミナ微粒子(R2b)ケーキ6.667kgを得る。
<工程(c)> このアルミナ微粒子(R2b)ケーキ6.667kgへ純水12.983kgを加え、十分に撹拌して分散させアルミナ微粒子希釈分散液19.650kgとし、これに、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(関東化学株式会社製、濃度27質量%)0.350kgを加え、塩基性物質添加アルミナ微粒子(R2c)分散液20.000kgを得た。
<工程(A)> この塩基性物質添加アルミナ微粒子(R2c)分散液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、加圧下で24時間反応させ、40〜60nm正方で、厚みが4〜6nmの大きさの1次結晶粒子が5〜10個が塊状に凝集した150〜300nmの大きさの2次粒子を形成する塊状結晶性アルミナ粒子(R2A)分散液を得た。
<工程(B)> この塊状結晶性アルミナ粒子(R2A)分散液を限外濾過装置に入れ、希釈倍率1000〜2000倍量の60℃の温純水にて洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した濃度が(CH34+<10ppmとなるまで洗浄を行い、5質量%アルミナの塊状結晶性アルミナ粒子(R2)分散液20.000kgを得た。得られたアルミナ粒子は正方板状ではなく、直方体状でありさらに角が丸みを帯びた形状であった。
【0069】
塊状結晶性アルミナ粒子(R2)について性状を表1に示す。
[比較例3]
<塊状結晶性アルミナ粒子(R3)分散液の製造方法>
<工程(a)> 50Lのスチームジャケット付タンクへ純水26.345kgを張り込み、これに濃度48質量%の水酸化ナトリウム溶液(関東化学株式会社製、特級)0.554kgを撹拌しながら加えた。
【0070】
この溶液に、アルミン酸ナトリウム(関東化学株式会社製、鹿1級、アルミナ換算39質量%)1.863kgを撹拌しながら溶解した。
さらに、この溶液を撹拌しながら80℃へ昇温し1時間保持することで、完全溶解した希釈アルミン酸ナトリウム水溶液28.762kgを得た。
【0071】
スチームジャケット付10Lタンクに純水3.981kgを張り込み、これに57質量%の硫酸アルミニウム・十四〜十八水和物(関東化学株式会社製、鹿特級)0.590kgを撹拌しながら混合し、さらに80℃まで加温し希釈硫酸アルミニウム水溶液4.571kgを得た。
【0072】
この希釈アルミン酸ナトリウム水溶液を80℃に保ったまま、撹拌しながら前記希釈硫酸アルミニウム水溶液を全量添加混合し、さらに撹拌しながら80℃で1時間保持して、pH11.5のアルミナ微粒子(R3a)分散液33.333kgを得た。
<工程(b)> このアルミナ微粒子(R3a)分散液を脱気式のプレートフィルターにて脱水し、母液を分離した後、プレートフィルター状に得られたアルミナ微粒子ケーキへ減圧下で80℃の温純水50〜100Lを通水し、アルミナ微粒子ケーキに含まれる硫酸ナトリウム及び吸着したナトリウムを洗浄除去し、この後十分に減圧下で脱水することでアルミナ微粒子(R3b)ケーキ6.667kgを得る。
<工程(c)> このアルミナ微粒子(R3b)ケーキ6.667kgへ純水12.983kgを加え、十分に撹拌して分散させアルミナヒドロゲル希釈分散液19.650kgとし、これに、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(関東化学株式会社製、濃度27質量%)0.350kgを加え、塩基性物質添加アルミナ微粒子(R3c)分散液20.000kgを得た。
<工程(A)> この塩基性物質添加アルミナ微粒子(R3c)分散液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、加圧下で24時間反応させ、30〜70nm正方で、厚みが3〜7nmの大きさの1次結晶粒子が5〜10個が塊状に凝集した100〜300nmの大きさの2次粒子を形成する塊状結晶性アルミナ粒子(R3A)分散液を得た。
<工程(B)> この塊状結晶性アルミナ粒子(R3A)分散液を限外濾過装置に入れ、希釈倍率1000〜2000倍量の60℃の温純水にて洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した濃度が(CH34+<10ppmとなるまで洗浄を行い、5質量%アルミナのアルミナ粒子(R3)分散液20.000kgを得た。得られた塊状結晶性アルミナ粒子(3)は正方板状ではなく、直方体状でありさらに角が丸みを帯びた形状であった。
【0073】
塊状結晶性アルミナ粒子(R3)について、性状を表1に示す。
[比較例4]
<塊状結晶性アルミナ粒子(R4)分散液の製造方法>
<工程(d)> 市販の水酸化アルミニウム試薬(和光純薬工業株式会社製、特級、濃度95質量%)1.610kgへ純水18.040kgを加え、十分に撹拌して分散させ水酸化アルミニウム懸濁液19.650kgとし、これに、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(関東化学株式会社製、濃度27質量%)0.350kgを加え、塩基性物質添加水酸化アルミニウム(R4c)懸濁液20.000kgを得た。
<工程(A)> この塩基性物質添加水酸化アルミニウム(R4c)懸濁液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、加圧下で24時間反応させ、600〜900nm正方で、厚みが400〜800nmの大きさの1次結晶粒子が8〜15個が塊状に凝集した4000〜4600nmの大きさの2次粒子を形成する塊状結晶性アルミナ粒子(R4A)懸濁液を得た。
<工程(B)> この塊状結晶性アルミナ粒子(R4A)懸濁液を限外濾過装置に入れ、希釈倍率1000〜2000倍量の60℃の温純水にて洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した濃度が(CH34+<10ppmとなるまで洗浄を行い、5質量%アルミナのアルミナ粒子(R4)懸濁液20.000kgを得た。得られた塊状結晶性アルミナ粒子(R4)は正方板状ではなく、直方体及び立方体状の不揃いな形状であった。
【0074】
塊状結晶性アルミナ粒子(R4)について、性状を表1に示す。
[比較例5]
<塊状結晶性アルミナ粒子(R5)分散液の製造方法>
<工程(d)> 市販の正方板状ではない結晶性アルミナ微粒子パウダー(Sasol社製、Catapal−200、濃度80質量%)0.500kgへ純水19.150kgを加え、十分に撹拌して分散させアルミナ懸濁液19.650kgとし、これに、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(関東化学株式会社製、濃度27質量%)0.350kgを加え、塩基性物質添加結晶性アルミナ(R5c)懸濁液20.000kgを得た。
<工程(A)> この塩基性物質添加結晶性アルミナ(R5c)懸濁液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、加圧下で24時間反応させ、40〜100nm正方で、厚みが30〜70nmの大きさの1次結晶粒子が5〜8個が塊状に凝集した200〜400nmの大きさの2次粒子を形成する塊状結晶性アルミナ粒子(R5A)懸濁液を得た。
<工程(B)> この塊状結晶性アルミナ粒子(R5A)懸濁液を限外濾過装置に入れ、希釈倍率1000〜2000倍量の60℃の温純水にて洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した濃度が(CH34+<10ppmとなるまで洗浄を行い、5質量%アルミナのアルミナ粒子(R5)懸濁液20.000kgを得た。得られた塊状結晶性アルミナ粒子(R5)は正方板状ではなく、直方体及び立方体状の不揃いな形状であった。
【0075】
塊状結晶性アルミナ粒子(R5)について、性状を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
本発明の結晶性アルミナ積層粒子は、粒子表面の凹凸を利用して研磨材としての利用でき、板状という形態から膜強度(曲げ強度、曲げ弾性率、荷重たわみ強度等)の向上が得られる。
【0078】
粒子表面のフラクタル状の凹凸が形成されているため、の凹凸に起因する光学散乱、屈折率調整などの光学特性を発揮できる。
まだ粒子形状が特定の積層構造をしていることにより、表面電荷との相乗効果に起因して有機および/または無機溶媒系塗料等への混合の自由度が広という技術的効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の結晶性アルミナ積層粒子は、板状微粒子の集合したものであり粒子表面の凹凸を利用して研磨材としての利用でき、板状という形態から膜強度(曲げ強度、曲げ弾性率、荷重たわみ強度等)向上を狙った樹脂フィラーとして利用できる。
【0080】
さらに、粒子表面は、複数の正方板状アルミナ微粒子が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造であるためナノオーダーのフラクタル状の凹凸が形成されているため、それに起因する光学特性が期待でき、このことを利用した化粧品、樹脂フィラー、表面コート材(光学散乱、屈折率調整など)への応用できる。
【0081】
表面電荷と粒子形状の相乗効果で有機・無機溶剤塗料等への混合の幅が広く、耐火難燃材、耐熱材として塗布/成型に利用できる。
図1
図2
図3