【実施例】
【0041】
以下、本発明を、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。また、実施例の中で説明されている特徴の組み合わせすべてが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0042】
実施例1
〔GaN結晶層の形成〕
{10−12}面サファイア基板上にストライプ状にレジストをパターニングし、次いで反応性イオンエッチング(RIE)によりドライエッチングすることで、サファイア基板上に複数本の溝部を形成した。溝部は溝開口幅が3μm、溝の深さが1μm、及び隣接する溝部までの基板主面部分の幅が3μmとなるように形成した。
ドライエッチングの後、レジストを洗浄除去することで溝部形成サファイア下地基板を得た。この溝部形成サファイア下地基板は、基板主面(2インチφ)、基板主面に複数本形成された溝部の側壁から構成される表面露出した結晶成長領域(C面)、及び溝部底面を有する。
作成した溝部形成サファイア下地基板を、MOVPE装置内に、基板上面が上向きになるように石英トレイをセットした後、基板を1150℃に加熱するとともに反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内にキャリアガスとしてH
2を10L/minで流通させ、その状態を10分間保持することにより基板をサーマルクリーニングした。
【0043】
次いで、基板の温度を460℃とすると共に反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスH
2を5L/minの流量で流しながら、そこにV族元素供給源(NH
3)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が5L/min及び5.5μmol/minで基板上にアモルファス上のGaNを約25nm体積させた。続いて基板の温度を1025℃とすると共に反応容器内の圧力を20kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスをH
2として、それを5L/minの流量で流通させることで、基板上に堆積したGaNを再結晶化し、溝部側壁の結晶成長領域に選択的にGaN結晶核を形成した。
続いて、基板の温度を1075℃とすると共に反応容器内の圧力を20kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスをH
2として、それを5L/minの流量で流通させながら、そこにV族元素供給源(NH
3)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が2L/min及び30μmol/minとなるように300分間流し、GaNを成長させることにより、基板の主面に複数本形成された溝部の各側壁から成長したGaN結晶同士を会合し、基板主面に対して平行に表面が形成されるように{11−22}面GaN結晶層を形成した。
【0044】
〔ストライプ状マスキング〕
作成したGaN結晶層(成長表面)上にレジストをスピンコートした。次いでフォトリソグラフィー法にてサファイア基板の溝部に対して90°となる向きにストライプ状にレジストのパターニングを行った。次いでスパッタリングによりSiO
2を100nm成膜した。成膜の後、レジストを洗浄除去することでGaN結晶層上に複数本のストライプを有するSiO
2層を形成した。ストライプ幅は3μm、マスクの高さは100nm、開口幅は3μmであった。
GaN結晶成長表面に対するマスキングの割合、即ち、「成長表面マスク被覆率」、並びに「会合部表面マスク被覆率」は以下の通り定義され、各々次のようにして算出した。
「成長表面マスク被覆率」
=(マスク部分の総面積/GaN結晶表面の面積)×100
「会合部表面マスク被覆率」
=(GaN結晶層表面に存在する会合部のマスキング面積/GaN結晶層表面に存在する結晶会合部の結晶表面における総面積)×100
GaN結晶表面の面積は、下地基板の面積とし、その表面におけるマスク部部の総面積は、ストライプ幅と開口幅の間隔から求められる。「成長表面マスク被覆率」は50%である。
結晶会合部のGaN結晶表面における総面積は、1.01cm
2であり、会合部表面のマスキング部の総面積は、0.50cm
2となる。従って、「会合部表面マスク被覆率」は50%である。
【0045】
〔GaN厚膜の形成〕
作成したマスク付きGaN結晶を、HVPE装置内にマスクがガスの上流を向くように炭素製資料固定台にセットした後、反応管内にN
2ガスを30min流通させ、反応管内をN
2ガス雰囲気下とした。金属原料部が850℃、基板加熱部が1100℃となるように反応管を加熱し、設定温度到達後、25分間保持した。このとき、基板加熱部が500℃に達するまでは反応管内にはN2ガスを流通させ、500℃以上ではH
2ガス、及び、NH
3ガスを流通させた。
次いで、反応管内に設置されたGa金属にHClガスを1.2L/min流通させた。また、NH
3ガスを36L/min、キャリアガスであるH
2ガスを4.1L/min流通し、240分間GaN結晶を成長させた。GaN結晶の膜厚は2500μmであった。
その後、HClガスの流通を止めて、成長を終了させ、基板の冷却を行った。冷却はガスを流通させながら、自然放冷にて行った。冷却時、基板温度が600℃以下になるまではNH
3ガスを5L/mind流通し、600℃以下ではN2ガスを37.7L/min流通した。
基板温度が150℃以下になった時点で、装置内から基板を取り出したところ、その時点においてすでにサファイア下地基板とGaN結晶層とは50%以上の面積で剥離しており、剥離していない部分についてもSUS製のピンセットで容易に剥離できた。
【0046】
得られたGaN結晶自立基板の特性を、以下の方法で測定した。
〔暗点密度評価〕
得られたGaN結晶自立基板について、走査型電子顕微鏡/カソードルミネッセンス(SEM/CL)装置(日本電子社製JSM―7600F/Gatan社製MonoCL4)を用いて、GaN結晶自立基板の表面の観察を行った。このときの加速電圧は5kV、観察範囲は20μm×20μmとし、観察範囲内に観察された暗点の総数から暗点密度を算出した。
〔クラック本数評価〕
得られたGaN結晶自立基板について、高強度ハロゲン光を照射し、結晶内に存在するクラックの本数を測定した。
〔表面凹凸〕
得られたGaN結晶自立基板について、ノギスを用いて結晶の全表面の最大高低差を評価し、200μm以上の高低差のものを表面凹凸有、200μm未満の高低差のものを表面凹凸無とし判別した。
〔RMS〕
得られたGaN結晶自立基板について、表面の観察を行った。このときの観察視野範囲は140μm×105μmとし、観察視野範囲内の表面粗さ(RMS)を算出した。
【0047】
得られた結晶は、{11−22}面を主面とする、厚みが2500μmで、RMSが300nm未満の自立GaN基板であった。表側にはクラックは確認できなかった。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、割れることなく自発分離して、GaN結晶のみからなっていた。暗点密度は4.09×10
5個/cm
2であった。
【0048】
実施例2
GaN結晶層は実施例1と同様にして形成した。続いて、GaN結晶成長表面上に平面視において1辺5μmの正三角形の各頂点に直径3μmの円が配列された高さ100nmのSiO
2からなるドット状マスクを形成した。次いで、GaN厚膜を実施例1と同様にして形成して、{11−22}面を主面とする、同等の面積を有する、厚みが2500μmで、RMSが300nm未満の自立GaN基板を得た。表側には、1本のクラックが入っていた。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、自発分離してGaN結晶のみからなっていた。暗点密度は9.02×10
5個/cm
2であった。
【0049】
実施例3
GaN結晶層は実施例1と同様にして形成した。続いて、サファイア基板上の溝部に対して平行をなす角度でSiO
2からなるストライプ状マスクを形成した。ストライプ幅、開口幅、マスク高さは実施例1と同じであった。次いで、GaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行い、{11−22}面を主面とする、厚みが2500μmで、RMSが300nm未満の自立GaN基板を得た。表側にはクラックは確認できなかった。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、割れることなく自発分離して、GaN結晶のみからなっていた。暗点密度は2.14×10
6個/cm
2であった。
【0050】
実施例4
GaN結晶層は実施例1と同様にして形成した。続いて、サファイア基板上の溝部に対して1°をなす交差角度でSiO
2からなるストライプ状マスクを形成した。ストライプ幅、開口幅、マスク高さは実施例1と同じであった。次いで、GaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行い、{11−22}面を主面とする、厚みが2500μmで、RMSが300nm未満の自立GaN基板を得た。表側にはクラックは確認できなかった。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、割れることなく自発分離して、GaN結晶のみからなっていた。暗点密度は1.93×10
6個/cm
2であった。
【0051】
実施例5
GaN結晶層は実施例1と同様にして形成した。続いて、サファイア基板上の溝部に対して30°をなす交差角度でSiO
2からなるストライプ状マスクを形成した。ストライプ幅、開口幅、マスク高さは実施例1と同じであった。次いで、GaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行い、{11−22}面を主面とする、厚みが2500μmで、RMSが300nm未満の自立GaN基板を得た。表側には、1本のクラックが入っていた。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、自発分離してGaN結晶のみからなっていた。暗点密度は4.60×10
5個/cm
2であった。
【0052】
実施例6
GaN結晶層は実施例1と同様にして形成した。続いて、サファイア基板上の溝部に対して45°をなす交差角度でSiO
2からなるストライプ状マスクを形成した。ストライプ幅、開口幅、マスク高さは実施例1と同じであった。次いで、GaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行い、{11−22}面を主面とする、厚みが2500μmで、RMSが300nm未満の自立GaN基板を得た。表側にはクラックは確認できなかった。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、割れることなく自発分離して、GaN結晶のみからなっていた。暗点密度は6.17×10
5個/cm
2であった。
【0053】
実施例7
GaN結晶層は実施例1と同様にして形成した。続いて、サファイア基板上の溝部に対して60°をなす交差角度でSiO
2からなるストライプ状マスクを形成した。ストライプ幅、開口幅、マスク高さは実施例1と同じであった。次いで、GaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行い、{11−22}面を主面とする、厚みが2500μmで、RMSが300nm未満の自立GaN基板を得た。表側には、1本のクラックが入っていた。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、自発分離してGaN結晶のみからなっていた。暗点密度は7.77×10
5個/cm
2であった。
【0054】
実施例8
GaN結晶層は実施例1と同様にして形成した。続いて、サファイア基板上の溝部に対して89°をなす交差角度でSiO
2からなるストライプ状マスクを形成した。ストライプ幅、開口幅、マスク高さは実施例1と同じであった。次いで、GaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行い、{11−22}面を主面とする、厚みが2500μm、RMSが300nm未満の自立GaN基板を得た。表側にはクラックは確認できなかった。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、割れることなく自発分離して、GaN結晶のみからなっていた。暗点密度は4.24×10
5個/cm
2であった。
【0055】
実施例9
〔GaN結晶層の形成〕
{11−23}面サファイア基板上にスパッタリングによりSiO
2を成膜した。次いでストライプ状にレジストをパターニングし、次いで反応性イオンエッチング(RIE)によりドライエッチングすることで、サファイア基板上に複数本の溝部を形成した。溝部は溝開口幅が2μm、溝の深さが1μm、及び隣接する溝部までの基板主面部分の幅が2μmとなるように形成すると共に、基板主面部分をSiO
2からなる結晶成長阻害層で被覆した下地基板を作製した。
ドライエッチングの後、レジストを洗浄除去することで溝部形成サファイア下地基板を得た。この溝部形成サファイア下地基板は、基板主面、複数本形成された溝部の側壁から構成される表面露出した結晶成長領域、及び溝部底面を有する。
作成した溝部形成サファイア下地基板を、MOVPE装置内に、基板上面が上向きになるように石英トレイをセットした後、基板を1150℃に加熱するとともに反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内にキャリアガスとしてH
2を10L/minで流通させ、その状態を10分間保持することにより基板をサーマルクリーニングした。
【0056】
次いで、基板の温度を460℃とすると共に反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスをH
2を5L/minの流量で流しながら、そこにV族元素供給源(NH
3)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が5L/min及び5.5μmol/minで基板上にアモルファス上のGaNを約25nm体積させた。続いて基板の温度を1050℃とすると共に反応容器内の圧力を20kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスをH
2として、それを5L/minの流量で流通させることで、基板上に堆積したGaNを再結晶化し、溝部側壁の結晶成長領域に選択的にGaN結晶核を形成した。
続いて、基板の温度を1050℃とすると共に反応容器内の圧力を20kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスをH
2として、それを5L/minの流量で流通させながら、そこにV族元素供給源(NH
3)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が2L/min及び30μmol/minとなるように180分間流し、GaNを成長させることにより、基板の主面に複数本形成された溝部の各側壁から成長したGaN結晶同士を会合し、基板主面に対して平行に表面が形成されるように{10−11}面GaN結晶層を形成した。
【0057】
〔マスキングとGaN厚膜の形成〕
次いで、このGaN結晶成長表面上へのマスキング及びGaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行いった。「成長表面マスク被覆率」は50%であり、「会合部表面マスク被覆率」は50%であった。
{10−11}面を主面とする、下地基板と同等の面積を有する、厚みが2000μmで、RMSが11.1nmの自立GaN基板を得た。表側には、1本のクラックが入っていた。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、自発分離してGaN結晶のみからなっていた。暗点密度は3.61×10
7個/cm
2であった。
【0058】
実施例10
GaN結晶層は実施例9と同様にして形成した。続いて、マスクの形成を実施例2と同様にして行った。次いで、GaN厚膜の形成を実施例9と同様にして行い、{10−11}面を主面とする、厚みが2000μmで、RMSが16.1nmの自立GaN基板を得た。表側には、1本のクラックが入っていた。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、自発分離してGaN結晶のみからなっていた。暗点密度は3.90×10
7個/cm
2であった。
【0059】
実施例11
〔GaN結晶層の形成〕
{22−43}面サファイア基板上にスパッタリングによりSiO
2を成膜した。次いでストライプ状にレジストをパターニングし、次いで反応性イオンエッチング(RIE)によりドライエッチングすることで、サファイア基板上に複数本の溝部を形成した。溝部は溝開口幅が3μm、溝の深さが1μm、及び隣接する溝部までの基板主面部分の幅が3μmとなるように形成すると共に、基板主面部分をSiO
2からなる結晶成長阻害層で被覆した下地基板を作製した。
ドライエッチングの後、レジストを洗浄除去することでサファイア下地基板を得た。このサファイア下地基板は、基板主面、複数本形成された溝部の側壁から構成される表面露出した結晶成長領域、及び溝部底面を有する。
作成したサファイア下地基板を、MOVPE装置内に、基板上面が上向きになるように石英トレイをセットした後、基板を1150℃に加熱するとともに反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内にキャリアガスとしてH
2を10L/minで流通させ、その状態を10分間保持することにより基板をサーマルクリーニングした。
【0060】
次いで、基板の温度を460℃とすると共に反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスH
2を5L/minの流量で流しながら、そこにV族元素供給源(NH
3)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が5L/min及び5.5μmol/minで基板上にアモルファス上のGaNを約25nm体積させた。続いて基板の温度を1000℃とすると共に反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスをH
2として、それを5L/minの流量で流通させることで、基板上に堆積したGaNを再結晶化し、溝部側壁の結晶成長領域に選択的にGaN結晶核を形成した。
続いて、基板の温度を1000℃とすると共に反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスをH
2として、それを5L/minの流量で流通させながら、そこにV族元素供給源(NH
3)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が2L/min及び30μmol/minとなるように300分間流し、GaNを成長させることにより、基板の主面に複数本形成された溝部の各側壁から成長したGaN結晶同士を会合し、基板主面に対して平行に表面が形成されるように{20−21}面GaN結晶層を形成した。
【0061】
〔マスキングとGaN厚膜の形成〕
次いで、このGaN結晶成長表面上へのマスキング及びGaN厚膜の形成を実施例1と同様に行った。「成長表面マスク被覆率」は50%であり、「会合部表面マスク被覆率」は50%であった。
{20−21}面を主面とする、下地基板と同等の面積で、厚みが2200μmで、RMSが280nmの自立GaN基板を得た。表側にはクラックは確認できなかった。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、割れることなく自発分離して、GaN結晶のみからなっていた。暗点密度は6.45×10
7個/cm
2であった。
【0062】
実施例12
GaN結晶層は実施例11と同様にして形成した。続いて、実施例2と同様にしてドット状のマスクを形成した。次いで、GaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行い、{20−21}面を主面とする、厚みが2200μm、RMSが237.8nmの自立GaN基板を得た。表側にはクラックは確認できなかった。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、自発分離してGaN結晶のみからなっていた。暗点密度は7.55×10
7個/cm
2であった。
【0063】
実施例13
GaN結晶層は実施例11と同様にして形成した。続いて、サファイア基板上の溝部に対して平行及び垂直をなす角度でSiO
2からなる格子状マスクを形成した。ストライプ幅、開口幅、マスク高さは実施例3と同じであった。次いで、GaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行い、{20−21}面を主面とする、厚みが2200μm、RMSが257.2nmの自立GaN基板を得た。表側にはクラックは確認できなかった。裏側には下地基板のサファイアが一部付着していたが、自発分離してGaN結晶のみからなっていた。暗点密度は7.09×10
7個/cm
2であった。
【0064】
比較例1
GaN結晶層は実施例1と同様にして形成した。次いで、マスク形成無しにGaN厚膜の形成を実施例1と同様にして行い、{11−22}面を主面とする、厚み2500μmの自立GaN基板を得た。表面は1500μmを超える凹凸があった。表側には25本のクラックが入っていた。暗点密度は1.18×10
8個/cm
2であった。
【0065】
【表1】
【0066】
実施例1および比較例1のクラック本数から、マスキングによってクラックが大きく低減する効果が認められる。また、実施例1〜13および比較例1の表面凹凸の有無から、マスクによって200μm以上の高低差を有する凹凸が大きく低減される効果が認められる。さらに、実施例1〜13のRMSから、マスキングによって表面平坦性が向上していることが分かる。
特に{10−11}面GaN結晶(実施例10)では、HVPE法による結晶形成後の結晶成長炉から取り出した時点における窒化ガリウム結晶表面平坦性が、MOVPE法によるものと同等以上の表面平坦性を有する高品質のGaN結晶自立基板が得られることが認識できる。