特許第6346458号(P6346458)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ Next Innovation合同会社の特許一覧

<>
  • 特許6346458-吐出切換装置 図000002
  • 特許6346458-吐出切換装置 図000003
  • 特許6346458-吐出切換装置 図000004
  • 特許6346458-吐出切換装置 図000005
  • 特許6346458-吐出切換装置 図000006
  • 特許6346458-吐出切換装置 図000007
  • 特許6346458-吐出切換装置 図000008
  • 特許6346458-吐出切換装置 図000009
  • 特許6346458-吐出切換装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346458
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】吐出切換装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/048 20060101AFI20180611BHJP
   B67D 3/02 20060101ALI20180611BHJP
   F16K 37/00 20060101ALI20180611BHJP
   F16K 1/00 20060101ALI20180611BHJP
   F16K 31/44 20060101ALI20180611BHJP
   F16K 7/04 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   F16K11/048 Z
   B67D3/02 A
   F16K37/00 E
   F16K1/00 F
   F16K31/44 D
   F16K7/04 Z
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-33837(P2014-33837)
(22)【出願日】2014年2月25日
(65)【公開番号】特開2015-158248(P2015-158248A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2017年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】510202167
【氏名又は名称】Next Innovation合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100096677
【弁理士】
【氏名又は名称】伊賀 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 稔也
(72)【発明者】
【氏名】道脇 裕
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−105138(JP,U)
【文献】 特開2001−123485(JP,A)
【文献】 実開昭52−033732(JP,U)
【文献】 特開2001−074161(JP,A)
【文献】 実開昭58−020000(JP,U)
【文献】 特開2001−301896(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0202611(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/00−11/24
F16K 7/04
F16K 1/00− 1/54
F16K 31/44−31/62
F16K 37/00
B67D 1/00− 3/04
E03C 1/00− 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の流体が流入される第一の空間部と、第二の流体が流入される第二の空間部と、該第一の空間部及び該第二の空間部と連通すると共に吐出孔が形成された連通部と、該第一の空間部及び該連通部間に形成された第一の弁座と、該第二の空間部及び該連通部間に形成された第二の弁座とを有する流体切換部材と、
前記流体切換部材内に軸方向に移動可能に設けられ、一端に、前記第一の空間部内に配設されて軸方向の一方に移動された際に前記第一の弁座と密接される第一の弁部と、他端に、前記第二の空間部内に配設されて軸方向の他方に移動された際に前記第二の弁座と密接される第二の弁部とを有する弁体と
変位可能に支持され、被押圧部が所定方向に変位されるのに連動する押圧部によって、前記弁体を前記軸方向に移動させる切換レバーとを備えることを特徴とする吐出切換装置。
【請求項2】
前記流体切換部材は、前記弁体が一方に移動されると、前記第一の弁座と前記第一の弁部とが密接され、前記第一の空間部と前記連通部とが閉塞されて、前記第二の空間部と前記連通部の吐出孔とが連通され、前記弁体が他方に移動されると、前記第二の弁座と前記第二の弁部とが密接され、前記第二の空間部と前記連通部とが閉塞されて、前記第一の空間部と前記連通部の吐出孔とが連通されることを特徴とする請求項1に記載の吐出切換装置。
【請求項3】
前記吐出孔と吐出部とを、不通状態又は連通状態を切換可能に設けられる弁手段と、
変位可能に支持され、前記弁手段の閉弁状態位置から該弁手段の開放方向に変位されると、前記弁手段を開放して前記第一の流体又は前記第二の流体を吐出可能な状態とする吐出レバーと、を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の吐出切換装置。
【請求項4】
前記弁手段は、弾性特性を有する弾性弁であり、
前記吐出レバーは、回動可能に支持され、前記弾性弁を押圧して変形させて前記吐出孔及び前記吐出部間を閉塞させて前記第一の流体又は前記第二の流体の吐出を規制すると共に、前記弁手段を開放させる方向に回動されると、前記弾性弁への押圧を解除して前記第一の流体又は前記第二の流体を吐出可能な状態とするように構成されることを特徴とする請求項に記載の吐出切換装置。
【請求項5】
前記切換レバーと前記吐出レバーとは、それぞれ回転軸を有し、これらの回動軸が相異なることを特徴とする請求項又はに記載の吐出切換装置。
【請求項6】
前記吐出レバーは、光透過性の材料で形成され、該吐出レバーを発光させる光源を有することを特徴とする請求項乃至の何れかに記載の吐出切換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一の流体と第二の流体とを供給する給液装置の吐出切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給液装置の一種であるウォータサーバには、例えば、特許文献1のようなものがある。特許文献1のウォータサーバは、サーバ本体の最上部に流体容器を配置し、この流体容器からサーバ本体内の冷水(低温)用の貯留容器及び温水(高温)用の貯留容器に流体を供給して、冷水用の貯留容器の冷却手段で流体を冷却すると共に、温水用の貯留容器の加熱手段で流体を加熱する。そして、ウォータサーバは、冷水用吐出レバーが操作されると、冷水用の貯留容器に接続された冷水用の吐出部から冷水を吐出し、温水用吐出レバーが操作されると、温水用の貯留容器に接続された温水用の吐出部から温水を吐出する。
【0003】
しかしながら、特許文献1のウォータサーバは、冷水用吐出レバーと温水用吐出レバーと冷水用の吐出部と温水用の吐出部等を備える必要があるので、部品点数が多くなってしまう。更に、サーバ本体の前面に、冷水用吐出レバーと温水用吐出レバーとが並べて配設されるので、サーバ本体の小型化の妨げとなる。
【0004】
更に、特許文献1のウォータサーバでは、二つの吐出レバーが並べて配置されるために、冷水用吐出レバーと温水用吐出レバーとを間違えて使用する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−046446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、第一の流体と第二の流体とを切り換えて、共通の吐出孔から吐出させることが可能な吐出切換装置を提供することを目的とする。また、第一の流体と第二の流体との混合流体を容易に得ることが可能な吐出切換装置を得ることを目的とする。
【0007】
更に、本発明は、吐出孔から吐出する流体が切り換わったことを従来よりも容易に認識
可能な吐出切換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る吐出切換装置は、第一の流体が流入される第一の空間部と、第二の流体が
流入される第二の空間部と、該第一の空間部及び該第二の空間部と連通すると共に吐出孔
が形成された連通部と、該第一の空間部及び該連通部間に形成された第一の弁座と、該第
二の空間部及び該連通部間に形成された第二の弁座とを有する流体切換部材と、前記流体
切換部材内に軸方向に移動可能に設けられ、一端に、前記第一の空間部内に配設されて軸
方向の一方に移動された際に前記第一の弁座と密接される第一の弁部と、他端に、前記第
二の空間部内に配設されて軸方向の他方に移動された際に前記第二の弁座と密接される第
二の弁部とを有する弁体と、変位可能に支持され、被押圧部が所定方向に変位されるのに連動する押圧部によって、前記弁体を前記軸方向に移動させる切換レバーとを備える。
【0009】
更に、前記流体切換部材は、前記弁体が一方に移動されると、前記第一の弁座と前記第一の弁部とが密接され、前記第一の空間部と前記連通部とが閉塞されて、前記第二の空間部と前記連通部の吐出孔とが連通され、前記弁体が他方に移動されると、前記第二の弁座と前記第二の弁部とが密接され、前記第二の空間部と前記連通部とが閉塞されて、前記第一の空間部と前記連通部の吐出孔とが連通されるようにしても良い。
【0011】
更に、前記吐出孔と吐出部とを、不通状態又は連通状態を切換可能に設けられる弁手段と、変位可能に支持され、前記弁手段の閉弁状態位置から該弁手段の開放方向に変位されると、前記弁手段を開放して前記第一の流体又は前記第二の流体を吐出可能な状態とする吐出レバーと、を更に備えるようにしても良い。
【0012】
更に、前記弁手段は、弾性特性を有する弾性弁であり、前記吐出レバーは、回動可能に支持され、前記弾性弁を押圧して変形させて前記吐出孔及び前記吐出部間を閉塞させて前記第一の流体又は前記第二の流体の吐出を規制すると共に、前記弁手段を開放させる方向に回動されると、前記弾性弁への押圧を解除して前記第一の流体又は前記第二の流体を吐出可能な状態とするように構成されるようにしても良い。
【0013】
更に、前記切換レバーと前記吐出レバーとは、それぞれ回転軸を有し、これらの回動軸が相異なるようにしても良い。
【0014】
更に、前記吐出レバーは、光透過性の材料で形成され、該吐出レバーを発光させる光源を有するようにしても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、弁体が、流体切換部材の軸方向の一方側に移動されて第一の弁部が第一の弁座と密接されると、第一の空間部及び連通部間が閉塞され、第二の空間部と連通部とが連通され、その一方で、弁体が、流体切換部材の軸方向の他方側に移動されて第二の弁部が第二の弁座と密接されると、第二の空間部及び連通部間が閉塞されて、第一の空間部と連通部とが連通されるので、弁体を流体切換部材の軸方向に移動させるだけで、第一の空間部に流入される第一流体と第二の空間部に流入される第二の流体とを切り換えることが出来、共通の吐出孔から吐出させることが出来る。よって、本発明によれば、従来よりも、部品点数を削減することが出来、小型化を図ることが出来る。
【0018】
更に、本発明によれば、吐出レバーが光透過性の材料で形成されると共に、吐出レバーを発光させる光源を有し、吐出孔から吐出する流体が切り換わった際に、吐出レバーの発光色を切り換えることで、従来よりも、吐出孔から吐出可能な流体を容易に認識させることが出来る。従って、本発明によれば、第一流体と第二の流体とが共通の吐出孔から吐出されるものであっても、冷水と温水とを間違って使用することを防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】吐出切換装置を示した斜視図である。
図2】吐出切換装置を示した分解斜視図である。
図3】吐出切換装置を示した分解側面断面図である。
図4】第二の弁部が第二の弁座と密接され、規制部の押圧部によって弾性弁が押圧されて閉塞されている状態の吐出切換装置を示した側面断面図である。
図5】第二の弁部が第二の弁座と密接され、規制部の押圧部による弾性弁の押圧が解除された状態の吐出切換装置を示した側面断面図である。
図6】第一の弁部が第一の弁座と密接させるために、切換レバーの押圧部が、弁体を付勢部材の付勢力に抗して軸方向の先端側に向けて移動させている状態の吐出切換装置を示した側面断面図である。
図7】第一の弁部が第一の弁座と密接され、規制部の押圧部による弾性弁の押圧が解除された状態の吐出切換装置を示した側面断面図である。
図8】第二の弁部が第二の弁座と密接されている状態の吐出切換装置を示した平面断面図である。
図9】第一の弁部が第一の弁座と密接されている状態の吐出切換装置を示した平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を適用した吐出切換装置及び吐出レバーについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【0021】
<1.吐出切換装置の構成の説明>
本発明を適用した吐出切換装置1は、例えば、給液装置の一種であるウォータサーバのサーバ本体の前面に配置されると共に、冷水(低温)用の貯留容器と接続されると共に、サーバ本体内の温水(高温)用の貯留容器と接続され、冷水用の貯留容器の冷却素子等で冷却された冷水と温水用の貯留容器の加熱素子で加熱された温水とを切り換えて、共通の吐出部から吐出させることが出来る。
【0022】
具体的に、図1図4に示すように、吐出切換装置1は、冷水用の貯留容器(不図示)及び温水用の貯留容器(不図示)と接続されて冷水及び温水が供給されると共に共通の吐出孔13が形成された流体切換部材2と、流体切換部材2内に軸方向に移動可能に設けられ、吐出孔13から吐出される流体を切り換える弁体3と、弁体3を流体切換部材2の軸方向に移動させて吐出孔13から吐出される流体を切り換えさせる切換レバー4と、吐出孔13から吐出される流体を制限する吐出レバー5とを備える。
【0023】
図3及び図4に示すように、流体切換部材2は、合成樹脂等の材料で設けられた円筒部材で構成されており、内部に、第一の流体である冷水が流入される第一の空間部10と、第二の流体である温水が流入される第二の空間部11と、第一の空間部10及び第二の空間部11と連通すると共に吐出孔13が形成された連通部12とを有する。
【0024】
これら第一の空間部10、第二の空間部11及び連通部12は、流体切換部材2内の軸方向の基端側から先端側に向けて、第一の空間部10、連通部12、第二の空間部11の順に軸線を一致させて直線的に配置されている。更に、第一の空間部10と第二の空間部11とは、略同径で形成されている。連通部12は、第一の空間部10及び第二の空間部11よりも縮径となるように形成されている。
【0025】
また、第一の空間部10と連通部12との間には、第一の弁座14が形成され、第二の空間部11と連通部12との間には、第二の弁座15が形成されている。第一の弁座14及び第二の弁座15は、例えば、連通部12に向うに従って次第に縮径となる傾斜部で構成されている。
【0026】
なお、第一の空間部10と第二の空間部11とは、連通部12よりも拡径となるように形成されていれば、異なる径で形成されていても良い。
【0027】
また、流体切換部材2には、図2及び図3に示すように、流体切換部材2の軸方向と略直交する幅方向の一端側の第一の空間部10に対応する位置に、冷水用の貯留容器と連結されたチューブやパイプ等から成る第一の吐出路(不図示)と接続されると共に、第一の吐出路と第一の空間部10とを連通する第一の連通孔16aを有する筒状の第一の接続部16が設けられている。すなわち、第一の空間部10には、第一の接続部16の第一の連通孔16aを介して、冷水用の貯留容器から冷水が供給される。なお、第一の接続部16は、幅方向の他端側に設けるようにしても良い。
【0028】
更に、流体切換部材2には、幅方向の他端側の第二の空間部11に対応する位置に、温水用の貯留容器と連結されたチューブやパイプ等から成る第二の吐出路(不図示)と接続されると共に、第二の吐出路と第二の空間部11とを連通する第二の連通孔17aを有する筒状の第二の接続部17が設けられている。すなわち、第二の空間部11には、第二の接続部17の第二の連通孔17aを介して、温水用の貯留容器から温水が供給される。なお、第二の接続部17は、幅方向の一端側に設けるようにしても良い。
【0029】
また、流体切換部材2には、図3に示すように、軸方向及び幅方向と略直交する上下方向の下方の連通部12に対応する位置に、連通部12と連通する吐出孔13を有する筒状の第三の接続部18が設けられている。この第三の接続部18は、流体切換部材2の軸方向の先端側の上下方向の下方側に所定距離離間させて配置されて、支持片19によって支持された筒状の吐出部20と弾性弁21を介して連通されている。
【0030】
第三の接続部18と吐出部20とを連通する弾性弁21は、図3及び図4に示すように、例えば、シリコンゴム等のゴム材料や合成樹脂材料等、弾性、可撓性、伸縮性等の特性を有する材料で形成された筒状部材であって、半径方向及び軸方向に変形及び復元可能に設けられている。また、弾性弁21は、一方の端部近傍の内壁面に形成された凹環状又は凸環状の嵌合部21aと第三の接続部18の外壁面に形成された凸環状又は凹環状の嵌合部18aとが嵌合されると共に、他方の端部の内壁面に形成された凹環状又は凸環状の嵌合部21bと吐出部20の外壁面に形成された凸環状又は凹環状の嵌合部20aとが嵌合されることで、第三の接続部18及び吐出部20間に取り付けられている。そして、弾性弁21は、第三の接続部18の吐出孔13から供給された冷水又は温水を吐出部20に供給し、吐出部20から冷水又は温水を吐出させる。なお、弾性弁21は、第三の接続部18及び吐出部20に嵌合させて取り付けることに限定されるものではなく、弾性弁21と第三の接続部18との間及び弾性弁21と吐出部20との間の水密性を確保出来れば、接着等、その他従来公知の如何なる取付方法で取り付けるようにしても良い。
【0031】
また、流体切換部材2内には、図3及び図4に示すように、弁体3が基端側を突出させた状態で流体切換部材2の軸方向に移動可能に設けられていると共に、第二の空間部11を形成する蓋部材22と弁体3との間に設けられたバネ等の付勢部材23によって流体切換部材2の軸方向の基端側に付勢されている。
【0032】
この弁体3は、合成樹脂等の材料で設けられており、連通部12に挿通される中間部30と、中間部30の基端側に中間部30よりも拡径となるように形成されて第一の空間部10内に配設される第一の拡径部31と、中間部30の先端側に中間部30よりも拡径となるように形成されて第二の空間部11内に配設される第二の拡径部32とを有する。
【0033】
更に、中間部30と第一の拡径部31との間には、流体切換部材2の軸方向の先端側に移動された際に第一の弁座14と密接される第一の弁部33が設けられ、中間部30と第二の拡径部32との間には、流体切換部材2の軸方向の基端側に移動された際に第二の弁座15と密接される第二の弁部34が設けられている。第一の弁部33及び第二の弁部34は、第一の弁座14及び第二の弁座15に対応するように、例えば、中間部30に向うに従って次第に縮径となる傾斜状に形成され、この傾斜面に、シリコンゴムやエラストマ−等のゴム材料や合成樹脂材料等、弾性特性を有する弾性材料を一体成形して弾性体が設けられている。
【0034】
また、弁体3は、図3及び図4に示すように、第一の分割体3aと第二の分割体3bとの二部材で構成されている。第一の分割体3aは、中間部30と第一の拡径部31と第一の弁部33とから成り、第二の分割体3bは、第二の拡径部32と第二の弁部34とから成る。更に、第一の分割体3aは、中間部30の先端面にネジ孔35を有し、第二の分割体3bは、第一の分割体3aと対向する基端側の対向面にネジ孔35と螺合可能なネジ部36を有している。ここで、第一の分割体3aと第二の分割体3bとはねじ締結によって締結固定するように構成されているが、勿論、ねじ締結に限定されるものではない。
【0035】
これにより、弁体3は、第一の空間部10の開口部10aから中間部30を連通部12に挿通させつつ、第一の拡径部31を第一の空間部10内に配設させ、次いで、第二の空間部11の開口部11aから第二の拡径部32を第二の空間部11内に配設させつつ、中間部30のネジ孔35にネジ部36を螺合させることで、容易に流体切換部材2内に配設することが出来る。更に、その後、第二の空間部11の開口部11aから付勢部材23を第二の空間部11内に配設させて、蓋部材22で第二の空間部11の開口部11aを閉塞して第二の空間部11を密閉させると共に、可撓性キャップ部材24で第一の空間部10の開口部10aから突出した弁体3の基端側(第一の拡径部31)を覆って第一の空間部10を密閉させることで、弁体3は、流体切換部材2内に収容される。
【0036】
なお、第一の分割体3aと第二の分割体3bとの接続は、後に容易に分離可能であるので、一方にネジ孔35を設けて他方にネジ部36を設けて螺合させることが好ましいが、圧入や接着等のその他従来公知の接続方法で接続しても良い。
【0037】
そして、弁体3は、図7及び図9に示すように、流体切換部材2の軸方向の先端側に移動されて第一の弁部33が第一の弁座14と密接されると、第一の空間部10及び連通部12間を閉塞し、第二の空間部11と連通部12とを連通させる。その一方で、弁体3は、図4及び図8に示すように、流体切換部材2の軸方向の基端側に移動されて第二の弁部34が第二の弁座15と密接されると、第二の空間部11及び連通部12間を閉塞して、第一の空間部10と連通部12とを連通させる。
【0038】
第一の空間部10の開口部10aから突出した弁体3の基端側を覆って第一の空間部10を密閉させる可撓性キャップ部材24は、図3及び図4に示すように、例えば、シリコンゴム等のゴム材料や合成樹脂材料等、弾性、可撓性、伸縮性等の特性を有する材料で形成された有底筒状部材であって、半径方向及び軸方向に変形及び復元可能に設けられている。また、可撓性キャップ部材24は、例えば、開口部近傍の内壁面に形成された凹環状又は凸環状の嵌合部24aと流体切換部材2の基端側の端部の外壁面に形成された凸環状又は凹環状の嵌合部10bとが嵌合されることで、流体切換部材2に取り付けられている。これにより、可撓性キャップ部材24は、内部に弁体3の突出部を収容しつつ、第一の空間部10を密閉させる。
【0039】
なお、可撓性キャップ部材24は、蛇腹状に設けて、半径方向及び軸方向に変形及び復元可能に設けるようにしても良い。更に、可撓性キャップ部材24は、流体切換部材2に嵌合させて取り付けることに限定されるものではなく、第一の空間部10を密閉させることが出来れば、接着等、その他従来公知の如何なる取付方法で取り付けるようにしても良い。
【0040】
また、流体切換部材2には、図2図4に示すように、流体切換部材2の下面から流体切換部材2の軸方向の基端側に向けて突設された支持部25に、弁体3を流体切換部材2の軸方向に移動させて吐出孔13から吐出される流体を切り換えさせる切換レバー4が回転自在に設けられている。
【0041】
この切換レバー4は、合成樹脂等の材料で設けられ全体としては略クランク状を成すように形成されており、弁体3を押圧する押圧部40と、ユーザ等によって押圧される被押圧部41と、押圧部40及び被押圧部41とを連結させる連結部42とを有する。押圧部40は、連結部42の一端に連結部42に対して一方の側に湾曲して凸設され、被押圧部41は、連結部42の他端に連結部42に対して押圧部40と反対側の他方の側に湾曲して設けられている。
【0042】
更に、押圧部40及び連結部42の境界部には、支持部25の第一の支持凹部25aに回動支持される回動軸43が設けられている。更に、押圧部40及び連結部42には、回動軸43を支持部25の第一の支持凹部25aに支持させる際や切換レバー4が回動される際に切換レバー4と支持部25との干渉を避けるための開口部44が形成されている。
【0043】
そして、被押圧部41は、図1に示すように、吐出レバー5の開口部50内に配置される。更に、図5に示すように、被押圧部41の他端部には、吐出レバー5が流体切換部材2の軸方向の基端側に回動された際に、切換レバー4と吐出レバー5との間にユーザ等のコップや指等が挟まれないように保護するために、保護部45が設けられている。この保護部45は、例えば、吐出レバー5が軸方向の基端側に最大限に回動された際にできる隙間を覆うことが可能なように、被押圧部41の他端に軸方向の基端側に湾曲して設けられている。
【0044】
この切換レバー4は、図6に示すように、ユーザ等によって被押圧部41が流体切換部材2の軸方向の基端側に向けて押圧されると、回動軸43を中心に、押圧部40が流体切換部材2の軸方向の先端側に向けて回動される。すると、弁体3は、押圧部40によって、付勢部材23の付勢力に抗して流体切換部材2の軸方向の先端側に向けて移動される。これにより、切換レバー4は、図4及び図8に示すように、付勢部材23によって第二の弁部34が第二の弁座15と密接されて第一の空間部10と連通部12とが連通されている状態から、図7及び図9に示すように、第一の弁部33が第一の弁座14と密接されて第二の空間部11と連通部12とが連通させる状態へと切り換えることが出来る。
【0045】
その一方で、切換レバー4は、ユーザ等による被押圧部41の押圧が解除されると、付勢部材23によって弁体3が流体切換部材2の軸方向の基端側に向けて移動されるのに伴って、押圧部40が流体切換部材2の軸方向の基端側に向けて回動されて、被押圧部41が流体切換部材2の軸方向の先端側に向けて回動されて、押圧前の状態に戻る。
【0046】
また、流体切換部材2には、図2及び図4に示すように、流体切換部材2の支持部25に、吐出孔13から吐出部20に供給される流体を制限する吐出レバー5が回転自在に設けられている。
【0047】
この吐出レバー5は、ポリエステル、アクリル、ポリスチレン、AS,エポキシ、ポリカーボネート等の光透過性を有する合成樹脂等で設けられた板部材で構成されている。更に、吐出レバー5の一端部には、切換レバー4の被押圧部41を露出させるための開口部50が形成されている。更に、この開口部50の一端部には、第一の支持凹部25aよりも流体切換部材2の軸方向の先端側に形成された支持部25の第二の支持凹部25bに回動可能に支持される回動軸51が設けられている。すなわち、吐出レバー5は、切換レバー4とは回転中心位置が異なるように設けられている。
【0048】
更に、吐出レバー5には、図4に示すように、流体切換部材2の軸方向の先端側の一面の上端部側に、弾性弁21を半径方向に押圧して変形させて閉塞させる規制部52が設けられている。この規制部52は、図2に示すように、流体切換部材2の軸方向の先端側の一面から先端部側に突設されており、幅方向に向けて配置された棒状の押圧部52aと、押圧部52aと先端側の一面とを連結させる連結部52b,52bとで構成されている。
【0049】
更に、吐出レバー5の回動軸51には、図4に示すように、吐出レバー5を流体切換部材2の軸方向の先端側に付勢させる付勢部材53が設けられている。この付勢部材53は、例えばトーションばねであって、コイル部が回動軸51に挿通され、一方のアーム部が規制部52の押圧部52aに係合され、他方のアーム部が支持部25に形成された凸状のアーム係合部25cに係合されている。
【0050】
従って、吐出レバー5は、通常時、図4に示すように、付勢部材53によって流体切換部材2の軸方向の先端側に付勢されて、規制部52の押圧部52aによって弾性弁21を半径方向に押圧して変形させて閉塞させている。そして、吐出レバー5は、図5に示すように、ユーザ等によって流体切換部材2の軸方向の基端側に向けて付勢部材53の付勢力に抗して押圧されると、回動軸51を中心に流体切換部材2の軸方向の先端側に向けて回動される。この際、吐出レバー5の開口部50の最下端の回動軌道L2が被押圧部41と干渉しないので、吐出レバー5だけを流体切換部材2の軸方向の基端側に回動させることが出来る。すると、規制部52の押圧部52aが弾性弁21から離間されて、弾性弁21への押圧が解除される。すると、弾性弁21は、復元して、第三の接続部18の吐出孔13から吐出された冷水又は温水を吐出部20に供給し、吐出部20から冷水又は温水を吐出させる。
【0051】
その一方で、吐出レバー5は、ユーザ等による押圧が解除されると、図4に示すように、付勢部材53によって流体切換部材2の軸方向の先端側に向けて回動されて、規制部52の押圧部52aによって弾性弁21を半径方向に押圧して変形させて閉塞させて、第三の接続部18の吐出孔13から吐出部20への冷水又は温水の供給を停止させる。
【0052】
また、図2に示すように、吐出レバー5の上端面には、吐出レバー5内に光を照射して吐出レバー5を発光させる光源60が設けられている。具体的に、光源60は、例えば、赤色の光を照射する赤色LEDと青色の光を照射する青色LEDとで構成され、吐出レバー5の開口部50に対して幅方向の一端側の上端面と他端側の上端面とにそれぞれ設けられている。更に、光源60は、吐出レバー5内に光を照射するために、発光面を吐出レバー5側に向けて取り付けられている。
【0053】
そして、図4に示すように、光源60は、例えば、流体切換部材2の支持部25や可撓性キャップ部材24や弁体3の基端部等に設置され、マイコン等の制御部材と電気的に接続された切換スイッチ61等によって切換レバー4の押圧部40が流体切換部材2の軸方向の先端側に回動されたことが検出されると、制御部材によって青色LEDの駆動が停止されて、赤色LEDが駆動されて、吐出レバー5を赤く発光させる。その一方で、光源60は、切換スイッチ61等によって切換レバー4の押圧部40が流体切換部材2の軸方向基端側に回動されたことが検出されると、制御部材によって赤色LEDの駆動が停止されて、青色LEDが駆動されて、吐出レバー5を青く発光させる。
【0054】
また、図2に示すように、吐出レバー5の下端側には、光源60から照射された光を拡散させる半円状又は半楕円状の第一の光拡散部62が設けられている。この第一の光拡散部62は、エラストマ−、ポリプロピレン、ポリエチレン、シリコン等の光拡散性を有する合成樹脂等で構成されており、例えば二色成形等によって吐出レバー5と一体に設けられている。更に、吐出レバー5の側面部及び下端面には、第一の光拡散部62と同様に、光源60から照射された光を拡散させる層状の第二の光拡散部63が設けられている。この第二の光拡散部63は、第一の光拡散部62と同様に、エラストマ−、ポリプロピレン、ポリエチレン、シリコン等の光拡散性を有する合成樹脂等で構成されており、例えば二色成形等によって吐出レバー5と一体に設けられている。なお、第二の光拡散部63の代わりに、エラストマ−、ポリプロピレン、ポリエチレン、シリコン等の光拡散性を有する合成樹脂等で形成された光拡散シートを吐出レバー5の側面部及び下端面に貼り付けるようにしても良い。
【0055】
これにより、吐出レバー5は、吐出部20から冷水が吐出可能な場合、青色LEDから吐出レバー5内に青色の光が照射されて、光拡散部62によってその光が均一に拡散されることで、青色に発光され、吐出部20から温水が吐出可能な場合、赤色LEDから吐出レバー5内に赤色の光が照射されて、光拡散部62によってその光が均一に拡散されることで、赤色に発光される。従って、吐出レバー5は、何色に発光しているかを確認することで、吐出部20から吐出可能な流体を容易に認識することが出来る。
【0056】
なお、光源60は、赤色LEDと青色LEDとで構成されることに限定されるものではなく、その他の色を照射するLEDを組み合わせて構成しても良い。更に、光源60は、赤色LEDと青色LEDと緑色LED等で構成される等、二つ以上のLEDで構成されるようにしても良い。更に、光源60は、幅方向の一端側の上端面に赤色LEDを設け、幅方向の他端側の上端面に青色LEDを設ける等、幅方向の一端側の上端面に第一の色を照射するLEDを設け、幅方向の他端側の上端面に第二の色を照射するLEDを設けるようにしても良い。更に、光源60は、幅方向の一端側の上端面及び/又は他端側の上端面に、赤色LEDだけを設ける等、幅方向の一端側の上端面及び/又は他端側の上端面に、第一の色を照射するLEDだけを設けて、吐出部20から冷水が吐出可能な場合、吐出レバー5を発光させず、吐出部20から温水が吐出可能な場合、吐出レバー5を赤色に発光させる等、LEDの駆動のオンオフで吐出部20から吐出可能な流体を認識させるようにしても良い。更に、例えば、吐出部20から温水が吐出可能な場合には、吐出レバー5を点滅させるようにしても良い。また、光源から発せられる光は、吐出レバー5内を透過させるのではなく、吐出レバー5を外部から照射して照らしても良い。
【0057】
また、切換スイッチ61は、流体切換部材2の支持部25や可撓性キャップ部材24や弁体3の基端部等に設置されることに限定されるものではなく、切換レバー4の回動を検出することが出来れば、その他の如何なる箇所に設置するようにしても良い。
【0058】
<2.吐出切換装置による吐出流体の切換方法の説明>
<2−1.冷水>
次に、吐出切換装置1によって冷水を吐出部20から吐出させる際の一連の動作について説明する。
【0059】
先ず、吐出切換装置1は、光源60の青色LEDから吐出レバー5内に青色の光が照射されて光拡散部62によってその光が均一に拡散されることで、吐出レバー5の光拡散部62の部分が青色に発光されている。従って、吐出切換装置1は、図4に示すように、第二の弁部34が第二の弁座15と密接されて第一の空間部10と連通部12とが連通されている状態に設定されており、吐出部20から冷水が吐出可能であることを容易にユーザ等に告知することが出来る。
【0060】
次いで、吐出切換装置1は、図5に示すように、吐出レバー5がユーザ等によって流体切換部材2の軸方向の基端側に向けて付勢部材53の付勢力に抗して押圧されると、回動軸51を中心に流体切換部材2の軸方向の基端側に向けて回動される。すると、規制部52の押圧部52aが弾性弁21から離間されて、弾性弁21への押圧が解除される。すると、弾性弁21は、復元して、冷水用の貯留容器から第一の連通孔16aを介して第一の空間部10に通水されて第三の接続部18の吐出孔13を介して冷水が吐出部20に供給され、吐出部20から吐水させる。以上のようにして、吐出切換装置1は、冷水を吐出部20から吐出させることが出来る。
【0061】
なお、吐出切換装置1は、図4に示すように、ユーザ等による吐出レバー5への押圧が解除されると、付勢部材53によって流体切換部材2の軸方向の先端側に向けて回動されて、規制部52の押圧部52aによって弾性弁21を半径方向に押圧して変形させて閉塞させて、第三の接続部18の吐出孔13から吐出部20への冷水の供給を停止させる。
【0062】
<2−2.温水>
次に、吐出切換装置1によって温水を吐出部20から吐出する際の一連の動作について説明する。
【0063】
先ず、吐出切換装置1は、図6に示すように、ユーザ等によって吐出レバー5の開口部50から露出した切換レバー4の被押圧部41が流体切換部材2の軸方向の基端側に向けて押圧されると、回動軸43を中心に、押圧部40が流体切換部材2の軸方向の先端側に向けて回動される。
【0064】
ここで、図4に示すように、切換レバー4の回動軸43と吐出レバー5の回動軸51とは、配置位置が異なるので、被押圧部41の最下端の回動軌道L1と吐出レバー5の開口部50の最下端の回動軌道L2とが異なる。更に、被押圧部41が吐出レバー5よりも流体切換部材2の軸方向の基端側に配置されて軌道交点70よりも流体切換部材2の基端側に配置されると、被押圧部41の最下端が吐出レバー5の開口部50の最下端よりも下方に位置することになる。すなわち、被押圧部41と吐出レバー5とは、被押圧部41が吐出レバー5よりも流体切換部材2の軸方向の基端側に配置されて軌道交点70よりも流体切換部材2の軸方向の基端側に配置されると、係合可能となる。
【0065】
従って、図7に示すように、被押圧部41が吐出レバー5よりも流体切換部材2の軸方向の基端側で軌道交点70よりも流体切換部材2の軸方向の基端側に配置された後に、ユーザ等によって吐出レバー5が流体切換部材2の軸方向の基端側に向けて押圧されると、切換レバー4は、吐出レバー5と連動して、被押圧部41が流体切換部材2の軸方向の基端側に回動され、押圧部40が流体切換部材2の軸方向の先端側に向けて回動される。すると、弁体3は、押圧部40によって、付勢部材23の付勢力に抗して流体切換部材2の軸方向の先端側に向けて移動され、図4に示すような付勢部材23によって第二の弁部34が第二の弁座15と密接されて第一の空間部10と連通部12とが連通されている状態から、図7に示すように、第一の弁部33が第一の弁座14と密接されて第二の空間部11と連通部12とが連通させる状態へと切り換わる。
【0066】
すると、吐出切換装置1は、制御部材によって青色LEDの光の照射が停止されて、赤色LEDから吐出レバー5内に赤色の光が照射されて吐出レバー5が赤色に発光されて、第一の弁部33が第一の弁座14と密接されて第二の空間部11と連通部12とが連通するように切り換わり、吐出部20から温水が吐出可能であることをユーザ等に告知する。
【0067】
加えて、吐出レバー5は、規制部52の押圧部52aが弾性弁21から離間されて、弾性弁21への押圧が解除される。すると、弾性弁21は、復元して、温水用の貯留容器から第二の連通孔17aを介して第二の空間部11に通水されて第三の接続部18の吐出孔13から吐出された温水を吐出部20に供給し、吐出部20から温水を吐出させる。以上のようにして、吐出切換装置1は、温水を吐出部20から吐出させることが出来る。
【0068】
なお、吐出切換装置1は、ユーザ等による吐出レバー5への押圧が解除されると、付勢部材53によって吐出レバー5が流体切換部材2の軸方向の先端側に向けて回動されて、図4に示すように、規制部52の押圧部52aによって弾性弁21を半径方向に押圧して変形させて閉塞させ、第三の接続部18の吐出孔13から吐出部20への温水の供給を停止させる。更に、切換レバー4は、付勢部材23によって弁体3が流体切換部材2の軸方向の基端側に向けて移動されるのに伴って、押圧部40が流体切換部材2の軸方向の基端側に向けて回動されて、被押圧部41が流体切換部材2の軸方向の先端側に向けて回動されて、押圧前の状態に戻る。この際、被押圧部41は、軌道交点70までは吐出レバー5と連動して流体切換部材2の軸方向の先端側に向けて回動される。
【0069】
<3.吐出切換装置の作用効果の説明>
以上のように、本発明を適用した吐出切換装置1は、弁体3が、流体切換部材2の軸方向の先端側に移動されて第一の弁部33が第一の弁座14と密接されると、第一の空間部10及び連通部12間を閉塞し、第二の空間部11と連通部12とを連通させる。その一方で、吐出切換装置1は、弁体3が、流体切換部材2の軸方向の基端側に移動されて第二の弁部34が第二の弁座15と密接されると、第二の空間部11及び連通部12間を閉塞して、第一の空間部10と連通部12とを連通させる。従って、吐出切換装置1は、弁体3を流体切換部材2の軸方向に移動させるだけで、第一の空間部10に流入される冷水と第二の空間部11に流入される温水とを切り換えて、共通の吐出部20(吐出孔13)から吐出させることが出来る。よって、吐出切換装置1は、従来の給液装置のように、流体毎に吐出孔及び吐出レバーを備える必要がなく、共通の吐出部20(吐出孔13)及び吐出レバー5とすることが出来、部品点数を削減することが出来、吐出切換装置1が取り付けられる装置本体の小型化を図ることが出来る。
【0070】
また、吐出切換装置1は、流体切換部材2に回動可能に支持された吐出レバー5だけを軸方向の基端側に回動させることで、吐出部20(吐出孔13)から冷水を吐出させることが出来る。更に、吐出切換装置1は、切換レバー4と吐出レバー5との回動軸43,51の配置位置が異なるので、先ず、切換レバー4の被押圧部41を流体切換部材2の軸方向の基端側の軌道交点70まで回動させると、吐出レバー5と係合させることが出来、その後、切換レバー4と吐出レバー5とを連動させて流体切換部材2の軸方向の基端側に回動させることが出来る。従って、吐出切換装置1は、吐出部20(吐出孔13)から吐出される流体を冷水から温水に切り換えることが出来、吐出部20(吐出孔13)から温水を吐出させることが出来る。よって、吐出切換装置1は、片手操作で冷水と温水とを切り換えることが出来ると共に、片手操作で冷水又は温水を吐出部20(吐出孔13)から吐出させることが出来る。更に、吐出切換装置1は、一連の吐出動作の中で、冷水と温水とを切り換えることが出来る。
【0071】
また、吐出切換装置1は、弁体3が付勢部材23によって流体切換部材2の軸方向の基端側に付勢され、吐出レバー5が付勢部材53によって流体切換部材2の軸方向の先端側に付勢されている。従って、吐出切換装置1は、温水を吐出させる場合、切換レバー4と吐出レバー5とを回動させると共に、二つの付勢部材23,53を押圧する必要がある。よって、吐出切換装置1は、子供の使用を制限することや、不用意若しくは意図しない温水の吐出を防止することが出来る。
【0072】
また、吐出切換装置1は、光透過性の材料で形成され、吐出レバー5を発光させる光源60を有するので、例えば、吐出部20(吐出孔13)から冷水が吐出される場合、吐出レバー5を青色に発光させ、吐出部20(吐出孔13)から温水が吐出される場合、吐出レバー5を赤色に発光させることが出来る。従って、吐出切換装置1は、吐出レバー5が何色に発光しているかを確認することで、吐出部20から吐出可能な流体を容易に認識させることが出来る。よって、吐出切換装置1は、吐出部20(吐出孔13)が一つしかなく、冷水と温水とが共通の吐出部20(吐出孔13)から吐出されるものであっても、冷水と温水とを間違って使用することを防止することが出来る。
【0073】
<4.吐出切換装置の変形例の説明>
なお、吐出切換装置1は、第一の空間部10に冷水が流入され、第二の空間部11に温水が流入されることに限定されるものではなく、第一の空間部10に温水が流入され、第二の空間部11に冷水が流入されるようにしても良い。また、第一の弁部33と第二の弁部34の外端間距離に対して、第一の連通孔16aと第二の連通孔17aの内端間距離を比較的短く設定することで、両孔を完全に閉塞しておらず、不完全な塞ぎ状態若しくは開孔状態とすることが可能となり、このような設定の場合、第一の流体と第二の流体を混合状態で得ることが出来るように成る。勿論、第一の弁部33と第二の弁部34の外端間距離と、第一の連通孔16aと第二の連通孔17aの内端間距離とを同等に設定すれば、一方の連通孔が完全に閉弁された状態のみが他方の連通孔が開弁し始める位置関係となり、混合流体を吐出させない仕様にすることが可能となる。
【0074】
更に、吐出切換装置1は、第一の空間部10及び第二の空間部11に、水やミネラルウォータ等が流入されることに限定されるものではなく、清涼飲料、飲料水、酒類、醤油、みりん、ドレッシング、味噌などの流体調味料、みそ汁やコーンスープなどの流体料理等を含む飲食料や工業品等の流体、粘性流体、ゲル状体、スラリー状体が流入されるようにしても良い。更に、第一の空間部10に水やミネラルウォータが流入され、第二の空間部11に清涼飲料が流入される等、第一の空間部10と第二の空間部11とに、異なる流体を流入するようにしても良い。
【0075】
更に、吐出切換装置1は、第一の空間部10及び第二の空間部11に貯留容器から流体が流入されることに限定されるものではなく、第一の空間部10及び第二の空間部11が第一の流体が流れる第一の管及び第二の流体が流れる第二の管と接続されて、常時、流体が流入されるようにしても良い。
【0076】
更に、吐出切換装置1は、吐出レバー5が、光透過性を有する合成樹脂等で形成されることに限定されるものではなく、光透過性を有していないその他の合成樹脂で形成されるようにしても良い。
【0077】
更に、吐出切換装置1は、流体切換部材2、弁体3、切換レバー4、吐出レバー5が、合成樹脂で形成されることに限定されるものではなく、金属等のその他の材料で形成されるようにしても良い。
【0078】
更に、吐出切換装置1は、切換レバー4の被押圧部41の側面及び/又は下端面、吐出レバー5の開口部50の側面及び/又は下端面の何れかに、所定の押圧力以上で押圧されると係合状態が解除される凸状の係合部を設けて、切換レバー4及び/又吐出レバー5が回動される際により抵抗を大きくして、より確実に、子供の使用を制限することや、不用意若しくは意図しない温水の吐出を防止するようにしても良い。特に、付勢部材23の強度を高めに設定したり、テコ比を小さくすれば、切換レバー4の回動操作に必要な力が大きくすることが出来るので、より確実に子供の使用を制限するチャイルドロック機構として用いることが出来る。
【0079】
更に、吐出切換装置1は、光源60を吐出レバー5に上端面に設けることに限定されるものではなく、側面や下端面等に取り付けるようにしても良い。更に、吐出切換装置1は、光源60を、例えば吐出レバー5の上方の吐出切換装置1が取り付けられる装置の筺体に取り付けて、吐出レバー5に光を照射して発光させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0080】
1 吐出切換装置、2 流体切換部材、3 弁体、3a 第一の分割体、3b 第二の分割体、4 切換レバー、5 吐出レバー、10 第一の空間部、10a開口部、10b 嵌合部、11 第二の空間部、11a 開口部、12 連通部、13 吐出孔、14 第一の弁座、15 第二の弁座、16 第一の接続部、16a 第一の連通孔、17 第二の接続部、17a 第二の連通孔、18 第三の接続部、18a 嵌合部、19 支持片、20 吐出部、20a 嵌合部、21 弾性弁、21a 嵌合部、21b 嵌合部、22 蓋部材、23 付勢部材、24 可撓性キャップ部材、24a 嵌合部、25 支持部、25a 第一の支持凹部、25b 第二の支持凹部、25c アーム係合部、30 中間部、31 第一の拡径部、32 第二の拡径部、33 第一の弁部、34 第二の弁部、35 ネジ孔、36 ネジ部、40 押圧部、41 被押圧部、42 連結部、43 回動軸、44 開口部、45 保護部、50 開口部、51 回動軸、52 規制部、52a 押圧部、52b 連結部、53 付勢部材、60 光源、61 切換スイッチ、62 光拡散部、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9