特許第6346472号(P6346472)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大和ハウス工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6346472-外壁パネルの支持構造 図000002
  • 特許6346472-外壁パネルの支持構造 図000003
  • 特許6346472-外壁パネルの支持構造 図000004
  • 特許6346472-外壁パネルの支持構造 図000005
  • 特許6346472-外壁パネルの支持構造 図000006
  • 特許6346472-外壁パネルの支持構造 図000007
  • 特許6346472-外壁パネルの支持構造 図000008
  • 特許6346472-外壁パネルの支持構造 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346472
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】外壁パネルの支持構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/94 20060101AFI20180611BHJP
【FI】
   E04B2/94
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-51813(P2014-51813)
(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公開番号】特開2015-175158(P2015-175158A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 雅司
(72)【発明者】
【氏名】黒田 宏
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−020634(JP,A)
【文献】 特開平09−004100(JP,A)
【文献】 特開2001−107488(JP,A)
【文献】 実開平06−071634(JP,U)
【文献】 特開平09−004101(JP,A)
【文献】 実開昭57−165706(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0260599(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/56 − 2/70
E04B 2/88 − 2/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の基礎に立設される躯体を覆い、1階から上階まで複数階に亘り鉛直方向に整列する複数枚の外壁パネルと、
各階に配置されて水平方向に延びる長尺部材であって、前記外壁パネルの下辺を直下から支持して該外壁パネルの荷重を受け止める水平フランジと、前記外壁パネルの裏面にあてがわれる鉛直フランジを有する下側通し部材と、
前記下側通し部材の長手方向に間隔を空けて複数配置され、一端が前記基礎あるいは前記躯体に固定され、他端が前記下側通し部材を片持ちで支持する下側持出部材と備え、
1階に配置される前記下側持出部材は、前記基礎に固定され、
上階に配置される前記下側持出部材は、前記躯体に固定され、
前記基礎と前記下側通し部材の前記鉛直フランジ間、および前記躯体前記下側通し部材の前記鉛直フランジ間に、1階床から上階天井へ流れる通気のための隙間を構成する、外壁パネルの支持構造。
【請求項2】
前記下側通し部材から鉛直方向に離隔して各階に配置され、前記外壁パネルの上辺側部分に沿って水平に延び、前記外壁パネルの裏面と連結する上側通し部材と、
前記上側通し部材の長手方向に間隔を空けて複数配置され、一端が前記躯体に固定され、他端が前記上側通し部材を片持ちで支持する上側持出部材とをさらに備え、
前記躯体および前記上側通し部材間に、1階床から上階天井へ流れる通気のための隙間を構成する、請求項1に記載の外壁パネルの支持構造。
【請求項3】
前記複数の上側持出部材は前記上側通し部材に溶接固定される、請求項2に記載の外壁パネルの支持構造。
【請求項4】
前記下側および/または上側持出部材は乾式工法で前記躯体に固定される、請求項1〜3のいずれかに記載の外壁パネルの支持構造。
【請求項5】
前記複数の下側持出部材は前記下側通し部材の前記鉛直フランジ部に溶接固定される、
請求項4に記載の外壁パネルの支持構造。
【請求項6】
前記隙間の幅は10mm以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の外壁パネルの支
持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の躯体を外側から覆うことにより当該建物の外壁を構成するカーテンウォールに関する。
【背景技術】
【0002】
カーテンウォールは複数枚の矩形の外壁パネルからなり、外壁パネルは水平方向に整列するとともに鉛直方向にも整列する。各外壁パネルは、躯体から建物外側に持ち出されるようにして当該躯体に支持される。各外壁パネルを建物の躯体に取り付ける一般的な構造は、特許第5216405号公報(特許文献1)、特開2005−127014号公報(特許文献2)、および特開平11−256737号公報(特許文献3)に記載されている。従来の一般的な外壁パネル取付構造を外壁パネルの側方からみた縦断面図を図8に示す。従来の一般的な外壁パネル取付構造では、躯体の梁を構成するH型鋼5と、外壁パネル(壁パネル、あるいは単にパネルともいう)1の間に、1本の長い通しアングル(定規アングルともいう)6と、複数個の取付金具(自重受け金具ともいう)8が介在する。
【0003】
通しアングル6は水平方向に整列する複数枚の外壁パネルに跨って長く延びる。そして通しアングルの水平フランジが梁(H型鋼5)の上側フランジに重なるよう配設され、通しアングル6の鉛直フランジが梁(H型鋼5)よりも建物外側に持ち出される。
【0004】
取付金具8は、長く延びる通しアングル6に長手方向に所定間隔を空けて複数個取り付けられるものであって、側方からみて下向きの開口を有するコ字状あるいは稲妻型(Z型ともいう)の係止部と、この係止部から前方に突出する連結部8e,8aとを有する。取付金具8の係止部は、通しアングル6の上向きの鉛直フランジに上方から差し込まれて、通しアングル6に係止する。取付金具の連結部8e,8aは外壁パネル1の下端と連結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5216405号公報
【特許文献2】特開2005−127014号公報
【特許文献3】特開平11−256737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来のような外壁パネル取付構造にあっては、以下に説明するような問題を生ずる。すなわち、通しアングルの水平フランジが梁の上側フランジに重なるように設置されることから、通しアングルよりも上側の空間と通しアングルよりも下側の空間と遮断される。そうすると、湿気が外壁パネル裏面に沿って停滞して結露が生じ、建物の耐久性が低下する。
【0007】
本発明は、上述の実情に鑑み、外壁パネルの裏面側で通気層を備える外壁パネルの支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため本発明による外壁パネルの支持構造は、建物の基礎に立設される躯体を覆い、1階から上階まで複数階に亘り鉛直方向に整列する複数枚の外壁パネルと、各階に配置されて水平方向に延びる長尺部材であって外壁パネルの下辺を直下から支持して該外壁パネルの荷重を受け止める水平フランジと外壁パネルの裏面にあてがわれる鉛直フランジを有する下側通し部材と、下側通し部材の長手方向に間隔を空けて複数配置され、一端が基礎あるいは躯体に固定され、他端が下側通し部材を片持ちで支持する下側持出部材と備える。そして1階に配置される下側持出部材は基礎に固定され、上階に配置される下側持出部材は躯体に固定され建物の基礎と下側通し部材の鉛直フランジ間、および躯体下側通し部材の鉛直フランジ間に、1階床から上階天井へ流れる通気のための隙間を構成する。
【0009】
かかる本発明によれば隙間が構成されることから、下側通し部材よりも上側の空間と下側の空間が連通し、従来の通しアングルのように遮断されない。複数階に亘り鉛直方向に整列する複数枚の外壁パネルの裏面に空気を流して、換気することができる。したがって外壁パネルの裏面および躯体に結露が生じず、建物の耐久性が向上する。
【0010】
本発明の一実施形態として、下側通し部材から鉛直方向に離隔して各階に配置され外壁パネルの上辺側部分に沿って水平に延び外壁パネルの裏面と連結する上側通し部材と、上側通し部材の長手方向に間隔を空けて複数配置され一端が躯体に固定され他端が上側通し部材を片持ちで支持する上側持出部材とをさらに備え、躯体および上側通し部材間に1階床から上階天井へ流れる通気のための隙間を構成する。かかる実施形態によれば、外壁パネルの上辺および下辺の双方において、鉛直方向に貫通する隙間を設けることができ、複数階に亘り鉛直方向に整列する複数枚の外壁パネルの裏面に沿って換気することができる。
【0011】
本発明のさらに好ましい実施形態として、下側および/または上側持出部材は乾式工法で躯体に固定される。かかる実施形態によれば、建築施工現場でこれら持出部材の位置を調整しながら、躯体に容易に取り付けることができる。なお乾式工法とは、溶接や接着剤を使わず、ボルト、ナット、クリップ等の機械的な連結具を用いて、2部材を連結することをいう。他の実施形態としてこれらの持出部材が溶接によって躯体に取付固定されてもよい。
【0012】
本発明は一実施形態に限定されるものではないが、複数の下側持出部材は下側通し部材の鉛直フランジ部に溶接固定されるとよい。かかる実施形態によれば、予め工場で溶接固定しておくことにより、複数の下側持出部材および1本の下側通し部材を1部品として取り扱うことができる。したがって、建築施工現場における組み立て効率が向上する。他の実施形態として、溶接や接着剤を使う湿式工法ではなく、ボルト、ナット、クリップ等の乾式工法によって上側通し部材および上側持出部材を結合してもよい。
【0013】
隙間の幅は特に限定されないが通気を円滑に行うため、10mm以上であるとよい。隙間の幅は大きいほど良いが、大きすぎると外壁の表面から居住空間の内側壁面までの全体壁厚が大きくなってしまうことに留意する。
【発明の効果】
【0014】
このように本発明によれば、通気のための隙間によって、外壁パネル裏面側の空間を上下方向に換気することができる。したがって躯体に結露が生じず、建物の耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態になる外壁パネルの支持構造を示す分解斜視図である。
図2】同実施形態を側方からみた断面図であり、通気のための隙間を示す。
図3】同実施形態を側方からみた断面図であり、持出部材を示す。
図4】同実施形態を側方からみた断面図であり、取付金具を示す。
図5】外壁パネルを躯体から持ち出して支持する構造を示す分解斜視図である。
図6】梁から躯体外側へ持ち出すように支持される通しアングルを示す平面図である。
図7】通しアングルを長手方向にみた側面図である。
図8】従来の外壁パネルの支持構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態になる外壁パネルの支持構造を示す分解斜視図であって、躯体の外側からみた様子を表す。図2図4は、同実施形態を側方からみた断面図であり、図2は通気のための隙間で、図3は持出部材で、図4は取付金具でそれぞれ断面とする。図5は、外壁パネルを躯体から持ち出すように支持する構造を示す分解斜視図である。
【0017】
本実施形態の建物は、図1および図5に示すように複数本の柱11と複数本の梁12を接合してなる躯体と、この躯体を覆う複数枚の外壁パネル13とを備える。なお図面の理解を容易にするため、図1の分解斜視図では1階床から2階天井までの柱を示し、また水平方向1単位の梁を示し、それ以外の躯体を仮想線で示し、外壁パネル13を躯体から取り外しあるいは図略する。実際には複数枚の外壁パネル13が、同じ姿勢で、水平方向に整列するとともに、複数階に亘り鉛直方向に整列する。1本の柱11と1本の梁12と左右2枚の外壁パネル13を単位として、これらは鉛直方向および水平方向に繰り返すように増やすことができる。
【0018】
躯体のコンクリート基礎10の天端には柱11の下端が固定される。柱11は鉛直方向に延びる矩形断面の鋼材であって、水平方向に所定間隔を空けて配置され、柱11の上端は梁12の両端部を支持する。梁12は、図2図4に示すようにH型鋼であり、水平方向に延びて、上階と下階の間に介在する階間を構成する。
【0019】
外壁パネル13は、上辺13u、下辺13l、第1側辺13m、および第2側辺13nを有する矩形であり、第1側辺13mおよび第2側辺13nは建物の各階の高さと略同じ寸法を有する。また上辺13uおよび下辺13lは、第1側辺13mおよび第2側辺13nよりも短くされる。外壁パネル13は例えばコンクリート板である。
【0020】
外壁パネル13の下辺13lは、通しアングル14を介して躯体に支持される。また外壁パネル13は、上辺13u近傍の上辺側部分で、上側通し部材24を介して躯体に連結される。
【0021】
図6は、梁12から躯体外側へ持ち出されるよう支持される通しアングル14を示す平面図である。図7は、通しアングル14を長手方向にみた側面図である。通しアングル14はL型鋼であって、水平フランジおよび鉛直フランジを有する長尺な下側通し部材である。また図1図4に示すように、通しアングル14は、外壁パネル13の下辺13lに沿って水平に延び、図1に示すように少なくとも下辺13lと略同じ長さを有する。なお本実施形態の他、図には示さなかったが通しアングル14は梁12と略同じ長さであってもよく、下辺13lの数倍の長さであってもよい。
【0022】
通しアングル14の水平フランジ14hは、外壁パネル13の下辺13lを直下から支持して外壁パネル13の荷重を受け止める。通しアングル14の鉛直フランジ14lは、外壁パネル13の裏面13bにあてがわれる。
【0023】
通しアングル14は、梁12またはコンクリート基礎10と平行に延び、これらにそれぞれ支持される。通しアングル14と梁12の間には複数の下側持出部材15が設けられる。本実施形態では図6に示すように1本の長尺な通しアングル14に対し3個の下側持出部材15が設けられるが、下側持出部材15の数は2個以上であれば特に限定されない。
【0024】
下側持出部材15の一端は梁12の上側フランジにボルト16およびナット17(図3)で固定され、下側持出部材15の他端は躯体(梁12)の外側に突出して通しアングル14を片持ち支持する。そして、通しアングル14の鉛直フランジ14lと梁12の上側フランジの間に通気のための隙間G1を構成する。隙間G1は、通気を確保するため狭すぎてはならず、10mm以上の間隔を確保すべきである。なお下側持出部材15の他端は、工場などで予め、通しアングル14の角部に溶接固定される。そして1本の通しアングル14および複数の下側持出部材15は、図7に示すように1部品を構成する。
【0025】
図4を参照して、外壁パネル13の下辺13lには、水平方向中央に1個のロッキングプレート20が予め固定されている。ロッキングプレート20は、鋼製のプレートであって、鉛直方向に広がる鉛直部および水平方向に広がる水平部を有するよう、L字型に形成される。そしてロッキングプレート20の水平部が外壁パネル13の下端面に沿うよう設けられる。またロッキングプレート20の鉛直部が外壁パネル13の裏面13bに沿って設けられる。ロッキングプレート20は建築施工現場に搬入される前から外壁パネル13に固定されていてもよいが、建築施工現場で後述する取付金具18とともにボルト19で共縫い固定されてもよい。なお詳しくは後述するが、ロッキングプレート20は外壁パネル13の支点として当該外壁パネル13を支持することから、支点プレートとも称する。
【0026】
通しアングル14の鉛直フランジ14lがあてがわれる外壁パネル13の下辺13l寄りには、取付金具18がボルト19で締結固定される。取付金具18は鉛直方向に延びる鋼製のプレートであって、その上端部と下端部が互いに平行な位置関係となるよう稲妻型に形成される。そして取付金具18の上端部がロッキングプレート20の鉛直部に重なるよう取り付けられ、取付金具18の下端部がロッキングプレート20の鉛直部との間で下向き開口の溝を構成する。かかる下向き溝に通しアングル14の鉛直フランジ14lが上向きに進入することにより、外壁パネル13は外れないよう通しアングル14に係止される。このようにして外壁パネル13は、通しアングル14に自重を預ける他、外れないよう通しアングル14に取付固定される。ここで附言すると、通しアングル14の水平フランジ14hが外壁パネル13の荷重を受け止める際、外壁パネル13の下端面と水平フランジ14hの間にロッキングプレート20が介在する。この他にも図示はしなかったが、水平フランジ14hが外壁パネル13の下端面に直接接触してもよい。
【0027】
上側通し部材24は、図1図5に示すように外壁パネル13の上辺13u側部分に沿って水平に延びる帯鋼であり、外壁パネル13の鉛直な裏面13bと面接触する。また上側通し部材24は、図1に示すように少なくとも上辺13uと略同じ長さを有する。なお本実施形態の他、図には示さなかったが上側通し部材24は梁12と略同じ長さであってもよく、上辺13uの数倍の長さであってもよい。また上側通し部材24の曲げ強度を確保するために、外壁パネル13とは反対側の上側通し部材24の表面にフランジないしリブを形成してもよい。
【0028】
上側通し部材24は、隙間G2を空けて梁12と平行に延び、梁12の下側フランジに支持される。上側通し部材24と梁12の下側フランジとの間には複数の上側持出部材25が設けられる。本実施形態では図5に示すように1本の長尺な上側通し部材24に対し3個の上側持出部材25が設けられるが、上側持出部材25の数は2個以上であれば特に限定されない。上側持出部材25は、図3に示すように側方からみて三角形のブラケットである。
【0029】
上側持出部材25の一端は梁12の下側フランジにボルト26およびナット27(図3)で固定され、上側持出部材25の他端は躯体(梁12)の外側に突出して上側通し部材24を片持ち支持する。そして、鉛直に立ち上がった上側通し部材24と梁12の下側フランジの間に通気のための隙間G2を構成する。隙間G2も、隙間G1と同様、通気を確保するため狭すぎてはならず、10mm以上の間隔を確保すべきである。なお上側持出部材25の他端は、工場などで予め、上側通し部材24の表面に溶接固定される。そして1本の上側通し部材24および複数の上側持出部材25は1部品を構成する。
【0030】
図4を参照して、外壁パネル13の上辺13u側の裏面13bには、上側通し部材24が面接触するとともに、取付金具28がボルト29で締結固定される。取付金具28は外壁パネル13の水平方向中央に1個配置される。取付金具28は鉛直方向に延びる鋼製のプレートであって、その上端部と下端部が互いに平行な位置関係となるよう稲妻型に形成される。そして取付金具28の下端部が外壁パネル13の裏面に面接触するよう取り付けられ、取付金具28の上端部が外壁パネル13の裏面との間で上向き開口の溝を構成する。かかる上向き溝に上側通し部材24が下向きに進入することにより、外壁パネル13は外れないよう上側通し部材24に係止される。このようにして外壁パネル13は、外れないよう上側通し部材24に取付固定される。
【0031】
外壁パネル13のうち上辺13uと下辺13lとの中間領域の裏面13bには、縦桟31が水平方向に間隔を空けて取り付けられる。縦桟31には断熱材32が取り付けられる。このようにして外壁パネル13および断熱材32間に隙間G3が形成される。これにより外壁パネル13の裏面13bに沿って、鉛直方向に連続する隙間G2,G3,G1が形成される。しかもこれらの隙間G2,G3,G1は鉛直方向に複数枚配列される外壁パネル13にまたがる通路を構成する。したがって各外壁パネル13の裏面13bにおいて、図3図5に矢印で示すように空気が流れ、換気される。
【0032】
本実施形態によれば、水平方向に延びる長尺な通しアングル14および躯体の梁12間に、複数の下側持出部材15が通しアングル14の長手方向に間隔を空けて複数配置される。そして下側持出部材15の一端が梁12に固定され、下側持出部材15の他端が通しアングル14を片持ちで支持し、梁12および通しアングル14の鉛直フランジ14l間に通気のための隙間G1を構成する。これにより外壁パネル13の裏面側で換気が可能になり、結露を防止して、外壁パネル13および躯体(柱11および梁12)の耐久性が向上する。
【0033】
また本実施形態によれば、外壁パネル13の上辺側部分に沿って水平に延び外壁パネル13の裏面13bと連結する上側通し部材24と、上側通し部材24の長手方向に間隔を空けて複数配置される上側持出部材25をさらに備える。そして上側持出部材25の一端が梁12に固定され、上側持出部材25の他端が上側通し部材24を片持ちで支持し、梁12および上側通し部材24間に通気のための隙間G2を構成する。これにより外壁パネル13の裏面側で換気が可能になり、結露を防止して、外壁パネル13および躯体(柱11および梁12)の耐久性が向上する。したがってこれらの隙間G1,G2によって梁12の上側空間と下側空間が連通して、両空間の間で空気を流すことができる。
【0034】
なお、外壁パネルの鉛直方向寸法、水平方向寸法、および厚み寸法は本実施形態に限定されない。また1本の梁に割り付けられる外壁パネルの枚数も本実施形態に限定されない。
【0035】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この発明になる外壁パネルの支持構造は、建築工法において有利に利用される。
【符号の説明】
【0037】
10 コンクリート基礎、 11 躯体の柱、 12 躯体の梁、
13 外壁パネル、 13b 裏面、 13l 下辺、 13u 上辺、
14 通しアングル(下側通し部材)、 14h 水平フランジ、
14l 鉛直フランジ、 15 下側持出部材、 18 取付金具、
20 ロッキングプレート、 24 上側通し部材、 25 上側持出部材、
28 取付金具、 G1,G2,G3 隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8