(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ユーザを運ぶ移動体と、ユーザにより操作されるユーザ端末と、サービサにより操作されるサービサシステムと、にネットワークを介して接続され、複数の前記移動体からなる移動体群を編成し配車する移動体群編成装置であって、
所定地域におけるユーザ及び/又はサービサに操作される前記ユーザ端末及び/又は前記サービサシステムから、前記移動体を要請する要請情報を収集する要請情報収集手段と、
前記所定地域の気象を示す気象情報を収集する環境情報収集手段と、
前記要請情報収集手段が収集した前記要請情報及び前記環境情報収集手段が収集した前記気象情報に基づき、前記移動体の必要台数を決定し、決定した必要台数の前記移動体からなる前記移動体群の編成状態を示す編成情報を生成する編成手段と、
前記編成手段が生成した前記編成情報に基づき、前記所定地域に前記移動体群を配車する配車手段と、を備え、
前記移動体群は、電気を駆動源とする前記移動体を充電する充電移動体を含むことが可能であり、
前記編成手段は、前記要請情報及び前記気象情報に基づき、前記充電移動体の必要台数を決定することを特徴とする移動体群編成装置。
ユーザを運ぶ移動体と、ユーザにより操作されるユーザ端末と、サービサにより操作されるサービサシステムと、にネットワークを介して接続され、複数の前記移動体からなる移動体群を編成し配車する移動体群編成装置による移動体群編成方法であって、
所定地域におけるユーザ及び/又はサービサに操作される前記ユーザ端末及び/又は前記サービサシステムから、前記移動体を要請する要請情報を収集する要請情報収集ステップと、
前記所定地域の気象を示す気象情報を収集する環境情報収集ステップと、
前記要請情報収集ステップで収集した前記要請情報及び前記環境情報収集ステップで収集した前記気象情報に基づき、前記移動体の必要台数を決定し、決定した必要台数の前記移動体からなる前記移動体群の編成状態を示す編成情報を生成する編成ステップと、
前記編成ステップで生成した前記編成情報に基づき、前記所定地域に前記移動体群を配車する配車ステップと、を含み、
前記移動体群は、電気を駆動源とする前記移動体を充電する充電移動体を含むことが可能であり、
前記編成ステップでは、前記要請情報及び前記気象情報に基づき、前記充電移動体の必要台数を決定することを特徴とする移動体群編成方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と言う)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号または符号を付している。
【0019】
図1は、本発明が適用される交通システム1の概念を説明する図である。
図2は、本発明が適用される交通システム1の全体構成を説明する図である。交通システム1は、地域における交通の利便性を向上し、当該地域における住民やサービサ(サービス提供者、例えば、宅配業者、移動店舗、公共交通機関、役所、病院、地域企業、スーパやコンビニ等の小売店等)における人や物の移動需要を喚起し、当該地域を活性化することを目的としたものである。
【0020】
交通システム1は、交通システム1の中心となる中央管理システム100は、提供する各種サービスに適合したサブシステムとして、サーバ又は管理装置等で構成される。移動体群編成サーバ10(以降、サーバ10とも言う)は、このサブシステムとしてのサーバの一つであり、サービサにより操作されるサービサシステム20と、地域住民であるユーザにより操作されるユーザ端末30(
図1では家のシンボルで表している)と、サーバ10の指示に基づき自走する移動体40と、移動体40を充電する充電装置としての充電移動体90と、にネットワークを介して接続され、例えば、移動体40が配置されていない所定地域に、複数の移動体40や複数の充電移動体90からなる移動体群600を編成し配車する移動体群編成装置として機能する。
【0021】
サーバ10は、所定地域におけるユーザ及び/又はサービサに操作されるユーザ端末30及び/又はサービサシステム20から、移動体40を要請する要請情報を収集する。また、サーバ10は、所定地域の環境(例えば、気候、高度、道路状況等)を示す環境情報を収集する。また、サーバ10は、移動体40が所在する現在位置から所定地域までの経路の状況(例えば、距離、経路における最低道幅、高低差等)を示す経路情報を収集する。次に、サーバ10は、収集した要請情報、環境情報及び経路情報に基づき、移動体40や充電移動体90の必要台数、車種及び複数の移動体40や充電移動体90の連結の態様等を示す移動体群600の編成状態を決定し、決定した編成状態を示す編成情報を生成する。そして、サーバ10は、生成した編成情報を、移動体群600を構成する複数の移動体40に送信し、所定地域に移動体群600を配車する。
【0022】
サービサシステム20は、各サービサに適したシステムで構成され(例えば、複数の端末とサーバとからなるシステム、携帯端末、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等)、各サービサの操作に基づき、例えば、移動体40の利用者数、利用目的、利用期間等を示す情報を含む要請情報を、サーバ10に送信する。
【0023】
ユーザ端末30は、各ユーザに適した機器で構成され(例えば、携帯端末、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、ネットワークに接続可能なテレビ、オーディオ機器、冷蔵庫等の情報家電等)、各ユーザの操作に基づき例えば、移動体40の利用者数、利用目的、利用期間等を示す情報を含む要請情報を、サーバ10に送信する。また、ユーザ端末30は、上記のような機器そのものであってもよいし、上記の複数の機器と家庭内等のローカルネットワークを介して、情報交信可能な制御機器であってもよい。
【0024】
移動体40は、自動運転に関する公知のシステムを備えた電気自動車であり、サーバ10から編成情報を受信し、受信した編成情報に基づき、他の移動体40や充電移動体90と連結して移動体群600を構成する。また、移動体40は、所定地域に配車された後に、分離してそれぞれユーザ等を運ぶ。移動体40は、電池残量が所定値以下となった場合、充電移動体90で充電される。なお、本実施形態において、移動体40は、移動体群600を構成し、自走して所定地域に配車されるが、これに限らず、移動体群600をトレーラ等に積載し、所定地域に運送してもよい。
【0025】
充電移動体90は、移動体40を充電し、自動運転に関する公知のシステムを備えた自走可能な充電ステーションであり、サーバ10から編成情報を受信し、受信した編成情報に基づき、移動体40や他の充電移動体90と連結し分離する。また、充電移動体90は、当該充電移動体90の現在位置、目的地、蓄電状況を示す情報を含む充電移動体情報をサーバ10に送信する。充電移動体90は、所定地域において、例えば、所定範囲毎に配置され、複数台の移動体40が同時に充電できる構成を備える。なお、充電移動体90は、移動体40を充電できれば自走可能な形態に限られない。
【0026】
このような構成により、具体的には、サーバ10は、例えば、現在において移動体40が配置されていない所定地域において、この所定地域のユーザ端末30やサービサシステム20から移動体40の要請を受ける。また、サーバ10は、所定地域の環境及び所定地域までの経路の状況を示す情報を収集する。そして、サーバ10は、この要請や情報に基づき、移動体40や充電移動体90の台数、車種及び複数の移動体40や充電移動体90の連結の態様を決定し、移動体群600を編成し、この移動体群600を所定地域に配車する。
【0027】
移動体40及び充電移動体90は、互いに連結して移動体群600を構成し、所定地域に移動する。また、移動体群600を構成する移動体40及び充電移動体90は、所定地域において、分離する。そして、この所定地域のサービサやユーザは、例えば、サーバ10に、個々の移動体40の利用を要望する情報を送信する。サーバ10は、サービサやユーザの要望に応じて、個々の移動体40を配車し、これらの移動体40の電池残量が所定値以下となった場合に、移動体40を充電移動体90で充電させる。
【0028】
このように、例えば、現在において移動体40が配置されていない所定地域に移動体40をまとめて配車できる。これにより、現在において移動体40が配置されていない所定地域においても、ユーザの要望に応じて移動体40を運行する交通システムを構築できる。
【0029】
また、サーバ10の利用態様は、現在において移動体40が配置されていない所定地域において、ユーザの要望に応じて移動体40を運行する交通システムを構築する場合に限らない。例えば、複数のユーザで、ある観光地域に旅行に行く場合、当該観光地域における観光スポットが広範囲に点在し、徒歩で巡るには困難な場合や、観光地域の道幅が狭く、公共交通機関を利用できない場合もある。このような場合、例えば、観光地域の中心に、移動体群600を配車し、個々の移動体40に分離し、各ユーザがそれぞれ個々の移動体40で観光スポットを巡るような利用態様も想定できる。
【0030】
図3は、本発明の実施形態が適用された交通システム1(以下、単に本システムとも呼ぶ)の機能ブロックを示した図である。本システムは、地域における交通の利便性を向上する交通システムにおいて、特に複数の移動体40からなる移動体群600を編成し配車するシステムであり、本システムの中心となるサーバ10と、サーバ10にネットワークを介して接続され、サービサにより操作されるサービサシステム20と、地域住民であるユーザにより操作されるユーザ端末30と、ユーザを運ぶ移動体40と、電気を駆動源とする移動体40を充電する充電装置としての充電移動体90と、を備える。
【0031】
(サーバ10の構成)
サーバ10は、移動体40と、ユーザ端末30と、サービサシステム20と、充電移動体90と、にネットワークを介して接続され、複数の移動体40からなる移動体群600を編成し配車する移動体群編成装置として機能する。
【0032】
サーバ10は、要請情報収集手段11と、環境情報収集手段12と、経路情報収集手段13と、編成手段14と、配車手段15と、要請データベース(以下、要請DBとも言う)110と、を備える。
【0033】
要請情報収集手段11は、所定地域におけるユーザ及び/又はサービサに操作されるユーザ端末30及び/又はサービサシステム20から、移動体40を要請する要請情報を収集する。ここで、「要請情報」には、ユーザ端末30を操作する者の名前やサービサシステム20を操作する者の名称、住所、移動体40を同時に使用する利用者数を示す同時利用者数、移動体40の利用目的、移動体40の使用期間等を示す情報が含まれる。そして、要請情報収集手段11は、収集した要請情報にそれぞれ要請者IDを対応付け、要請DB110に記憶する。
【0034】
図4は、要請DB110に格納されるデータを表形式で模式的に示す図である。要請DB110は、要請者IDに、要請情報を送信した者の名前、住所、移動体40の同時利用者数、移動体40の利用目的、移動体40の使用期間を示す情報が対応付けられて記憶されている。更に、要請DB110は、要請者IDに、後述する環境情報及び経路情報が対応付けられて記憶されている。
【0035】
図3に戻って、環境情報収集手段12は、要請DB110を参照して、要請毎に、所定地域(要請DB110に記憶された住所が含まれる地域)の環境を示す環境情報を、ユーザ端末30及び/又はサービサシステム20や、公知の情報提供者(例えば、気象庁等)から収集する。ここで、「環境情報」には、要請DB110の住所が含まれる地域における、要請DB110の使用期間の例年の平均気温、日照時間、天候の傾向等を示す情報が含まれる。なお、
図4に示す例では、これらの一例として、平均気温が示されている。
【0036】
経路情報収集手段13は、移動体40が所在する現在位置から所定地域(要請DB110に記憶された住所が含まれる地域)までの経路の状況を示す経路情報を、公知の情報提供者(例えば、国土交通省等)から収集する。ここで、「経路情報」には、移動体40が所在する現在位置から所定地域(要請DB110に記憶された住所が含まれる地域)までの経路、当該経路における最小の道幅、経路の高低差を示す情報が含まれる。なお、
図4に示す例では、これらの一例として、高低差が示されている。
【0037】
編成手段14は、要請情報収集手段11が収集した要請情報に基づき、移動体40の必要台数を決定し、決定した必要台数の移動体40からなる移動体群600の編成状態を示す編成情報を生成する。また、編成手段14は、更に、環境情報収集手段12が収集した環境情報に基づき、編成情報を生成する。また、編成手段14は、環境情報及び要請情報に基づき、充電移動体90を含む移動体群600の編成情報を生成する。また、編成手段14は、更に、経路情報収集手段13が収集した経路情報に基づき、編成情報を生成する。
【0038】
具体的には、編成手段14は、要請DB110(
図4参照)を参照して、ある要請者IDに対応付けられた同時利用者数に基づき、移動体40の必要台数を決定する。例えば、
図4に示す例では、編成手段14は、要請者ID「U001」に対応付けられた同時利用者数は「12人」であるので、移動体40の乗車可能人数が2人であれば、必要台数は6台と決定する。
【0039】
ここで、一般的には、気温が比較的低い場合や経路における高低差が比較的大きい場合、移動体40の電池の減りが早い。編成手段14は、環境及び経路の状況に対し所定の閾値が段階的に設定され、この所定の閾値を超える毎に、移動体群600に編成する充電移動体90の数を増やす。
【0040】
例えば、移動体40が10台以内の場合には、移動体群600に編成される充電移動体90が1台編成され、環境の平均気温に対して設定された閾値が10℃以下であり、経路の状況の高低差に対して設定された閾値が800mであり、これらの閾値を超えた場合に、充電移動体90の数を1台増やすと設定された例について説明する。
図4に示す例では、編成手段14は、上記のとおり、要請者ID「U001」の要請に対し、移動体40の数を6台と決定しているので、充電移動体90の数に1加算する。また、編成手段14は、要請者ID「U001」に対応付けられた環境が「5℃」であるので、充電移動体90の数に更に1加算する。また、編成手段14は、要請者ID「U001」に対応付けられた経路の状況が「1,000m以上」であるので、充電移動体90の数に更に1加算する。即ち、上記の例では、編成手段14は、要請者ID「U001」の要請に対し、移動体40が6台、充電移動体90が3台の移動体群600を編成する。
【0041】
また、編成手段14は、要請DB110に記憶された住所を移動体群600の目的地に設定した編成情報を生成する。
【0042】
また、編成手段14は、要請DB110に記憶された環境情報に応じて、移動体の車種を決定し、決定した車種の移動体を含む編成情報を生成する。具体的には、編成手段14は、例えば、環境情報に示された天候の傾向が雪であれば、例えば、無限軌道を備える移動体を決定する。
【0043】
また、編成手段14は、要請DB110に記憶された経路の状況に応じて、複数の移動体40や充電移動体90の連結の態様等を示す移動体群600の編成状態を決定し、決定した編成状態を示す編成情報を生成する。具体的には、編成手段14は、例えば、経路の状況に示された当該経路における最小の道幅が2mであれば、最大幅が2m以下となるように、移動体群600の連結の態様を決定する。
【0044】
配車手段15は、編成手段14が生成した編成情報に基づき、所定地域に移動体群600を配車する。具体的には、配車手段15は、編成手段14が生成した編成情報を、移動体群600を構成する移動体40及び充電移動体90に送信する。
【0045】
(サービサシステム20の構成)
サービサシステム20は、サービスを提供する事業者のコンピュータシステムであって、例えば、既に述べたように、宅配業者、移動店舗、公共交通機関、役所(警察、消防署等を含む)、病院、地域企業、固定店舗(スーパ、コンビニエンスストア等)などのコンピュータシステムのサーバ、端末を含む。サービサシステム20は、インターネット又は専用回線を介して、サーバ10と交信可能なのはもちろんのこと、移動体40との直接の無線交信手段も備えてもよい。
【0046】
サービサシステム20は、サービサシステム送受信手段21と、サービサシステム制御手段22と、サービサシステム入出力手段23と、を備える。サービサシステム送受信手段21は、サービサシステム制御手段22の制御により、サーバ10に要請情報を送信する。
【0047】
サービサシステム制御手段22は、サービサシステム入出力手段23におけるサービサシステム20の職員等の操作に基づき、要請情報を生成する。
【0048】
サービサシステム入出力手段23は、サービサシステム制御手段22の制御により、サービサシステム20の職員等の操作を受け付ける。
【0049】
(ユーザ端末30の構成)
ユーザ端末30は、ユーザ端末送受信手段31と、ユーザ端末制御手段32と、ユーザ端末入出力手段33と、を備える。ユーザ端末送受信手段31は、ユーザ端末制御手段32の制御により、サーバ10に要請情報を送信する。
【0050】
ユーザ端末制御手段32は、ユーザ端末入出力手段33におけるユーザの操作に基づき、移動体40の配車を要請する要請情報を生成する。
【0051】
ユーザ端末入出力手段33は、ユーザ端末制御手段32に制御され、ユーザの操作を受け付ける。
【0052】
(移動体40及び充電移動体90の構成)
図5は、移動体40の外観の一例を示す図である。移動体40は、円筒形状のボディ400の下側に4つの車輪が設けられ、ボディ400の上側に4つの撮像部(以降、カメラという)401及び各種センサやディスプレイを収容したトップ402と、を備える。また、ボディ400には、前方側に前方側連結部403が形成され、後方側に後方側連結部404が形成されている。移動体40は、後述するように、前方側連結部403及び後方側連結部404により、他の移動体40や、ユーザが乗車する客車500(
図7参照)と連結される。
【0053】
図6は、移動体40に客車500が連結された形態の一例を示す図である。客車500は、人が乗車可能に構成され、前方側に前方側連結部501が形成され、後方側に後方側連結部502が形成されている。客車500は、前方側連結部501及び後方側連結部502により、他の客車500及び移動体40と連結される。
【0054】
図7は、充電移動体90の外観の一例を示す図である。充電移動体90は、円筒形状のボディ900の下側に4つの車輪が設けられ、ボディ900の上にソーラパネル901を備える。また、ボディ900には、前方側に前方側連結部903が形成され、後方側に後方側連結部904が形成され、側方側に側方側連結部905が形成されている。充電移動体90は、後述するように、前方側連結部903、後方側連結部904及び側方側連結部905により、移動体40(
図5参照)や、ユーザが乗車する客車500(
図6参照)や、他の充電移動体90と連結される。
【0055】
図3に戻って、移動体40は、移動体送受信手段41と、移動体制御手段42と、移動体入力手段43と、移動体出力手段44と、駆動手段45と、を備える。
【0056】
移動体送受信手段41は、移動体制御手段42の制御により、編成情報をサーバ10から受信する。
【0057】
移動体制御手段42は、移動体送受信手段41が受信した編成情報に基づき、駆動手段45を制御して、他の移動体40、客車500又は充電移動体90と連結し移動体群600を構成し、移動体40を運行させる。
【0058】
図8は、移動体群600の外観の一例を示す図である。
図8に示す例では、
図4に示す例において、編成手段14が、要請者ID「U001」の要請に対し、移動体40を6台、充電移動体90を3台、客車500を6台と決定し、編成した場合の移動体群600を示している。移動体制御手段42は、編成情報に基づき、移動体群600を構成するために他の移動体40等と連結し、編成情報が示す目的地まで、移動体群600を運行させ、目的地において、移動体群600から分離し、客車500と連結して
図6に示す状態とし、目的地を含む所定の地域において、サーバ10から送信された情報に基づき、ユーザ等を運ぶ。
【0059】
図9及び
図10は、
図5に示す移動体40の別機種の外観の一例を示す図である。
図9に示す移動体70は、車輪の代わりに無限軌道71を備え、積雪が予想される地域で運用される。
図10に示す移動体80は、ボディ400に換気口81が設けられ、平均気温が比較的高い地域で運用される。例えば、サーバ10の編成手段14は、環境情報に示された天候の傾向が雪であれば、無限軌道71を備える移動体70を決定する。また、編成手段14は、環境情報に示された平均気温が比較的高ければ、換気口81が設けられた移動体80を決定する。
【0060】
図3に戻って、移動体入力手段43は、例えば、画像の入力を受け付けるカメラ401(
図5参照)や、音声を受け付けるマイクで構成される。例えば、移動体入力手段43は、ユーザの顔の画像を撮影する。移動体制御手段42は、この顔の画像から、公知の顔認識技術により、ユーザを特定する。
【0061】
移動体出力手段44は、例えば、トップ402(
図5参照)に収容されたディスプレイで構成され、移動体制御手段42の制御により、乗車したユーザに関係する情報を示す画面を表示する。
【0062】
駆動手段45は、移動体40が電気で駆動するために必要な公知の構成(バッテリ、インバータ、モータ、ブレーキ等)を備える。また、駆動手段45は、自動運転に必要な公知の構成として、GPS、移動体40の周囲を検知するセンサ、GPS及びセンサからの情報に基づき車輪を操舵するアクチュエータ等を備える。
【0063】
充電移動体90は、移動体40と同様に構成である移動体送受信手段41、移動体制御手段42及び駆動手段45に加え、充電手段91を備える。充電手段91は、移動体制御手段42に制御され、充電装置としての公知の構成(ソーラパネル901(
図7参照)、ボディ900に収容された蓄電池等)を備える。
【0064】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、一つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて一つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、コンピュータ装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)又はハードディスク等の記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。なお、データベースも1つのサーバ(データベースサーバ)と考えてもよい。
【0065】
(移動体群編成装置の移動体群編成処理フロー)
図11は、移動体群編成処理フローを示す図である。この処理は、移動体群編成装置としてのサーバ10が行う処理である。なお、以下の処理は、必ずしもこのフローチャートで示した順で処理される必要はなく、各処理ブロックの入力データと出力データの関係が損なわれない限り、処理順序を変更してもよい。
【0066】
ステップS10において、要請情報収集手段11は、所定地域におけるユーザ及び/又はサービサに操作されるユーザ端末30及び/又はサービサシステム20から、移動体40を要請する要請情報を収集し、収集した要請情報を要請DB110に記憶する。
【0067】
ステップS11において、環境情報収集手段12は、要請DB110を参照して、要請毎に、所定地域の環境を示す環境情報を、ユーザ端末30及び/又はサービサシステム20や、公知の情報提供者から収集し、収集した環境情報を要請DB110に記憶する。
【0068】
ステップS12において、経路情報収集手段13は、移動体40が所在する現在位置から所定地域までの経路の状況を示す経路情報を、公知の情報提供者から収集し、収集した経路情報を要請DB110に記憶する。
【0069】
ステップS13において、編成手段14は、ステップS10で要請情報収集手段11が収集した要請情報に基づき、移動体40の必要台数を決定し、決定した必要台数の移動体40からなる移動体群600の編成状態を示す編成情報を生成する。また、編成手段14は、更に、ステップS11で環境情報収集手段12が収集した環境情報に基づき、編成情報を生成する。また、編成手段14は、更に、ステップS12で経路情報収集手段13が収集した経路情報に基づき、編成情報を生成する。
【0070】
ステップS14において、配車手段15は、ステップS13で編成手段14が生成した編成情報に基づき、所定地域に移動体群600を配車する。移動体40の移動体制御手段42は、編成情報に基づき、移動体群600を構成し、編成情報が示す目的地まで、移動体40を運行させる。
【0071】
(実施形態の効果)
以上の説明のように実施形態に係る移動体群編成としてのサーバ10は、ユーザを運ぶ移動体40と、ユーザにより操作されるユーザ端末30と、サービサにより操作されるサービサシステム20と、にネットワークを介して接続され、複数の移動体40からなる移動体群600を編成し配車し、要請情報収集手段11と、編成手段14と、配車手段15と、を備える。要請情報収集手段11は、所定地域におけるユーザ及び/又はサービサに操作されるユーザ端末30及び/又はサービサシステム20から、移動体40を要請する要請情報を収集する。編成手段14は、要請情報収集手段11が収集した要請情報に基づき、移動体40の必要台数を決定し、決定した必要台数の移動体40からなる移動体群600の編成状態を示す編成情報を生成する。配車手段15は、編成手段14が生成した編成情報に基づき、所定地域に移動体群600を配車する。これにより、所定地域において、ユーザの要望に応じて移動体を運行する交通システムを構築するために、移動体をまとめて配車することで、現在において移動体40が配置されていない所定地域においても、ユーザの要請に応じて移動体40を運行する交通システムを構築できる。
【0072】
また、サーバ10は、所定地域の環境を示す環境情報を収集する環境情報収集手段12を更に備える。編成手段14は、更に、環境情報収集手段12が収集した環境情報に基づき、編成情報を生成する。これにより、所定地域の環境に応じた態様で編成された移動体群600を配車できるので、配車先である所定地域において、安定した交通システムを構築できる。
【0073】
また、サーバ10は、電気を駆動源とする移動体40を充電する充電移動体90と、更にネットワークを介して接続されている。そして、編成手段14は、環境情報及び要請情報に基づき、充電移動体90を含む移動体群600の編成情報を生成する。これにより、配車先である所定地域や、所定地域に向かう経路において、移動体40の電池残量が不足し走行不能となることを防止できるので、確実に所定地域に移動体群600を配車できるとともに、安定した交通システムを構築できる。
【0074】
また、サーバ10は、移動体40が所在する現在位置から所定地域までの経路の状況を示す経路情報を収集する経路情報収集手段13を更に備える。そして、編成手段14は、更に、経路情報収集手段13が収集した経路情報に基づき、編成情報を生成する。これにより、所定地域に向かう経路に応じた態様で編成された移動体群600を配車できるので、より確実に所定地域に移動体群600を配車できる。
【0075】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、配車装置について説明したが、本発明において移動体を配車する配車方法の発明と捉えることもできる。