(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施形態に即して詳細に説明する。ただし、本発明は本明細書に明示的又は黙示的に記載された実施形態に限定されるものではない。
【0010】
本発明の経皮投与用組成物は、(A)ハスエキスと、(B)ジペンタエリスリトールと脂肪酸とのエステル化反応生成物と、を含む。
【0011】
従来から、ハスは食用され、また、ハスエキスとして経皮的又は経口的に投与されることにより、皮膚の保湿性を高めたり、コラーゲンの産生を促進したりする効果を期待されている。
本発明は、ハスエキスと真皮線維芽細胞におけるIII型コラーゲン産生量の関係を見出
し、さらに、(A)ハスエキスと特定の油剤(B)ジペンタエリスリトールと脂肪酸とのエステル化反応生成物と組み合わせることにより、真皮線維芽細胞中のIII型コラーゲン
量の産生量を増加させ、肌の透明感と柔らかさを飛躍的に向上させることができる組成物を達成したものである。
【0012】
以下、本発明の組成物を構成する各成分について説明する。
【0013】
(A)ハスエキス
本発明の組成物は、(A)ハスエキスを含有する。
【0014】
本発明においてハスエキスとは、スイレン科に属するハス属のNelumbonuciferaの抽出物をいう。
本発明のハスエキスの抽出部位は、ハスの植物体の任意の部分を使用することができる
。例えば、地下茎(レンコン)、茎部、葉部、根、花穂、花蕾、種子等又はこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。III型コラーゲン産生量の観点か
ら、好ましくは、ハスの種子、さらに好ましくはハスの種子の胚芽である。
ハスエキスの抽出物は、抽出物自体のみならず、抽出物の画分、精製した画分、抽出物乃至は画分、精製物の溶媒除去物の総称を意味するものとし、自生若しくは生育された植物、漢方生薬原料等として販売されるものを用いた抽出物、市販されている抽出物等が挙げられる。
抽出操作は、予め抽出部位を粉砕あるいは細切して抽出効率を向上させることが好ましい。抽出溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、1,3−ブタンジオール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の極性溶媒から選択される1種乃至は2種以上が好適なものとして例示することができる。具体的な抽出方法としては、例えば、抽出に用いる部位乃至はその乾燥物1質量に対して、溶媒を1〜99質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、室温まで冷却した後、所望により不溶物及び/又は溶媒除去し、カラムクロマトグラフィー等で分画精製する方法が挙げられる。
また、市販されているハスエキスを用いることもできる。市販品のハスエキス抽出物としては、ハス胚芽エキスパウダーMF(丸善製薬株式会社製)等を用いることができる。
本発明においては、極性溶媒による抽出物をろ過後、又は市販品をカラムクロマトグラフィーにて分画精製し、有効成分濃度を高め、用いることが好ましい。
【0015】
(B)ジペンタエリスリトールと脂肪酸とのエステル化反応生成物
本発明の組成物は、(B)ジペンタエリスリトールと脂肪酸とのエステル化反応生成物を含む。本発明の組成物は(B)特定のエステル化反応生成物を含有することにより、(A)ハスエキスによる肌の透明感、柔らかさ向上の効果が格段に高められる。
ジペンタエリスリトールと脂肪酸とのエステル化反応生成物は、経皮投与用組成物として調製する場合、溶解性、安定性や粘度等の製剤上の問題が生じる場合がある。本発明の実施の態様においては、(A)ハスエキスと組み合せることにより、このような問題を生じることなく、安定した経皮投与組成物を実現した。
【0016】
本発明の(B)エステル化反応生成物は、ジペンタエリスリトールと脂肪酸とをエステル化して得られる反応生成物である。
ジペンタエリスリトールと脂肪酸とをエステル化して得られる反応生成物を構成する脂肪酸としては、通常化粧料で使用されている脂肪酸であれば特段の限定無く使用することができ、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、リチノレイン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキステアリン酸等が好ましく、中でも、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸がより好ましく、12−ヒドロキシステアリン酸が特に好ましい。かかるジペンタエリスリトールと脂肪酸とをエステル化して得られる反応生成物には市販されているものが存し、かかる市販品を購入し利用することが出来る。この様な市販品としては、例えば、日清オイリオ株式会社より販売されている、「コスモール168EV」「サラコスWO−6」が好ましく例示できる。
【0017】
<本発明の組成物>
本発明の組成物の製造は、(A)ハスエキス、(B)ジペンタエリスリトールと脂肪酸とをエステル化して得られる反応生成物を組成物に配合するステップを含み、常法に従ってこれらの成分を処理・配合することにより、行うことができる。本発明の組成物における(A)ハスエキスと(B)ジペンタエリスリトールと脂肪酸とをエステル化して得られる反応生成物の含有量は、肌の透明性、柔らかさ向上の観点から、(A)ハスエキス(質量部):(B)エステル化反応生成物(質量部)が1:5以上が好ましく、1:10以上
がより好ましい。また、1:100以下が好ましい。
【0018】
組成物としては、化粧料、医薬部外品、医薬品等が好適に例示でき、日常的に使用できることから、化粧料、医薬部外品がより好ましい。
【0019】
本発明の経皮投与用組成物中における、(A)ハスエキスの含有量(配合量)は、肌の透明感や柔らかさ向上の観点から、通常、0.00001質量%以上、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上であり、組成物の処方の自由度の観点から、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。
【0020】
本発明の経皮投与用組成物中における、(B)ジペンタエリスリトールと脂肪酸とのエステル化反応生成物の含有量は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。また、10質量%以下が好ましい。この範囲の含有量とすることで、処方の自由度を損なうことなく、(A)ハスエキスの透明感、柔らかさの効果を相乗的に発揮することができる。
【0021】
組成物の製造に際しては、化粧料、医薬部外品、医薬品等の製剤化で通常使用される成分を、それぞれの用途に応じて、適宜含有させることができる。
【0022】
化粧料に適用される場合、通常化粧料に使用される成分を広く配合することが可能であり、また、その剤形や用途についても、何ら限定されない。以下、化粧料に適用される場合、化粧料中に含有させることができる成分について説明する。例えば、炭化水素類、エステル類、トリグリセライド類、脂肪酸、高級アルコール等の通常の油性成分、アニオン界面活性剤類、両性界面活性剤類、カチオン界面活性剤類、非イオン界面活性剤類等の界面活性剤、多価アルコール類、増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色剤、防腐剤、粉体等を任意に配合することができる。有効成分としては、美白成分、シワ改善成分、抗炎症成分、動植物由来の抽出物等が挙げられる。
【0023】
美白成分としては、一般的に化粧料に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、4−n−ブチルレゾルシノール、アスコルビン酸グルコシド、3−О−エチルアスコルビン酸、トラネキサム酸、アルブチン、1−トリフェニルメチルピペリジン、1−トリフェニルメチルピロリジン、2−(トリフェニルメチルオキシ)エタノール、2−(トリフェニルメチルアミノ)エタノール、2−(トリフェニルメチルオキシ)エチルアミン、トリフェニルメチルアミン、トリフェニルメタノール、トリフェニルメタン及びアミノジフェニルメタン、N−(p−トルイル)システイン酸、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸等が挙げられる。更にその他の美白成分として、N−ベンゾイル−セリン、N−(p−メチルベンゾイル)セリン、N−(p−エチルベンゾイル)セリン、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N−(2−ナフトイル)セリン、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン、N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(p−メチルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル、N−ベンゾイル−O−メチルセリン、N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン等があげられる。
これらの美白成分は、既に市販されているものもあれば、合成により入手することもできる。例えば、3−О−エチルアスコルビン酸は、特開平8−134055号公報に記載の公知の方法で合成することが出来る。市販品(日本精化製「VCエチル」)もあるので、これらを入手して使用することが可能である。1−トリフェニルメチルピペリジン、1−トリフェニルメチルピロリジン、2−(トリフェニルメチルオキシ)エタノール、2−(トリフェニルメチルアミノ)エタノール、2−(トリフェニルメチルオキシ)エチルア
ミン、トリフェニルメチルアミン、トリフェニルメタノール、トリフェニルメタン、アミノジフェニルメタンは特許文献WO2010/074052号パンフレットに、N−(o−トルオイル)システイン酸、N−(m−トルオイル)システイン酸、N−(p−トルオイル)システイン酸、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸、N−(4−フェニルベンゾイル)システイン酸、N−(p−トルオイル)ホモシステイン酸、はWO2011/087006号パンフレットに、N−ベンゾイル−セリン、N−(p−メチルベンゾイル)セリン、N−(p−エチルベンゾイル)セリン、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N−(2−ナフトイル)セリン、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン、N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(p−メチルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル、N−ベンゾイル−O−メチルセリン、N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン等はWO2011/074643号パンフレットに、それぞれその合成方法が公開されているので、該開示に従い合成することができる。
化粧料における美白成分の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
【0024】
本発明の組成物には、シワ改善成分を含有することができる。シワ改善成分としては、一般的に化粧料に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、ビタミンA又はその誘導体であるレチノール、レチナール、レチノイン酸、トレチノイン、イソトレチノイン、レチノイン酸トコフェロール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノールや、ウルソール酸ベンジルエステル、ウルソール酸リン酸エステル、ベツリン酸ベンジルエステル、ベンジル酸リン酸エステルが挙げられる。化粧料におけるシワ改善成分の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
【0025】
動植物由来の抽出物としては、一般的に医薬品、化粧料、食品等に用いられているものであれば特に限定はない。動植物由来の抽出物は、動物又は植物由来の抽出物自体のみならず、抽出物の画分、精製した画分、抽出物乃至は画分、精製物の溶媒除去物の総称を意味するものとし、植物由来の抽出物は、自生若しくは生育された植物、漢方生薬原料等として販売されるものを用いた抽出物、市販されている抽出物等が挙げられる。例えば、アケビエキス、アスナロエキス、アスパラガスエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アーモンドエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アロニアエキス、アンズエキス、イチョウエキス、インドキノエキス、ウイキョウエキス、ウドエキス、エイジツエキス、エゾウコギエキス、エンメイソウエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オタネニンジンエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オレンジエキス、カキョクエキス、カッコンエキス、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カンゾウエキス、キウイエキス、キューカンバーエキス、グアバエキス、クジンエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、黒米エキス、クロレラエキス、クワエキス、ケイケットウエキス、ゲットウヨウエキス、ゲンチアナエキス、ゲンノショウコエキス、紅茶エキス、ゴボウエキス、コメエキス、コメ発酵エキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コケモモエキス、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンシャエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウキョウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、ステビアエキス、ステビア発酵物、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ソウハクヒエキス、ダイオウエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス
、タンポポエキス、茶エキス、チョウジエキス、チンピエキス、甜茶エキス、トウガラシエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、バーチエキス、ハマメリスエキス、ヒキオコシエキス、ヒノキエキス、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、ブドウ種子エキス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モズクエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、緑茶エキス、リンゴエキス、ルイボス茶エキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンギョウエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、ワレモコウエキス等のエキスが好ましいものとして挙げられる。上記のエキスは1種を含有させてもよく、2種以上を含有させてもよい。化粧料中における動植物由来抽出物の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
【0026】
抗炎症成分としては、クラリノン、グラブリジン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、パントテニルアルコール等が挙げられ、好ましくは、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸アルキル及びその塩、並びに、グリチルレチン酸及びその塩である。
化粧料中における抗炎症成分の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
【0027】
(B)ジペンタエリスリトールと脂肪酸とのエステル化反応生成物以外の通常の油性成分としては、極性油、揮発性炭化水素油等が挙げられる。
極性油としては、合成エステル油として、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパンを挙げることができる。
【0028】
さらに、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、オクチルメトキシシンナメート等も挙げられる。
【0029】
また、天然油として、アボガド油、アマニ油、エノ油、オリーブ油、カヤ油、牛脂、ゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サザンカ油、サフラワー油、スクワラン、大豆油、茶実
油、ツバキ油、シナギリ油、タートル油、ナタネ油、トウモロコシ油、胚芽油、パーシック油、ヒマシ油、ホホバ油、日本キリ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、綿実油、椰子油、落花生油、卵黄油、カルナウバワックス、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等が挙げられる。
【0030】
炭化水素油としては、例えば、直鎖状又は分岐状の炭化水素油が挙げられ、揮発性の炭化水素油であっても不揮発性の炭化水素油であってもよい。炭化水素油の具体例としては、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワレン、流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、水添ポリイソブテン、イソドデカン、ステアリン酸、軽質流動イソパラフィン、イソヘキサデカン、流動パラフィン、プリスタン、α−オレフィンオリゴマー、オゾケライト、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレン・ポリプロピレンワックス、(エチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー、(ブチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー、ポリイソブチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
【0031】
本発明の組成物に含有させる油性成分の量は、その適用する剤形により異なるが、例えば、化粧料全体の0.1〜90質量%が好ましく、0.5〜90質量%が好ましい。
【0032】
界面活性剤としては、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル、スルホコハク酸エステルやポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド、ジアルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等) 、グリセリン
脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等) 、POEアルキルエーテル類(POE2−
オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、等が挙げられる。
【0033】
多価アルコールとしては、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。
【0034】
増粘剤としては、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒア
ルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸,キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等が挙げられる。
【0035】
粉体類としては、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類が挙げられる。
【0036】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類
等が挙げられる。
【0037】
また、化粧料として適用される場合の剤型は、通常知られているローション剤形、乳液剤形、エッセンス剤形、クリーム剤形、粉体含有剤形の何れをも取ることが出来るが、ハスエキス及び油性成分の配合量を高めることが出来るクリーム剤型が好ましい。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
<製造例1: 精製ハス胚芽エキス>
以下の手順に従い、精製ハス胚芽エキスを調製した。即ち、ハス胚芽エキスをメタノールにて抽出し、ろ過後、溶媒を留去した。酢酸エチルと水を同量ずつ加え、液体−液体分配を実施後、水層のみを取り出し、ダイヤイオンHP20(三菱化学株式会社製)にて、非吸着画分を採取し、精製ハス胚芽エキスとした。
【0040】
<実施例1: 本発明の経皮投与用組成物である化粧料(クリーム)の製造>
以下の手順に従い、本発明の経皮投与用組成物(化粧料)を調製した。
即ち、表1の処方成分(イ)及び(ロ)を70℃にて、それぞれ加熱溶解し、処方成分(イ)に(ロ)を撹拌しながら加え、室温まで冷却し、本発明の経皮投与用組成物(化粧料1)を得た。
尚、化粧料1は試験例で使用した3か月間においても安定性等の製剤的問題なく使用で
きることが確認された。
【0041】
【表1】
【0042】
<試験例1:肌状態改善の評価>
実施例1のクリームを平均年齢42.5歳の被験者17名(女性、年齢層36〜49歳)に、1日2回、連日3か月間使用してもらい、塗布前、3か月間塗布後の肌の明るさ、黄味、弾力、柔らかさを測定した。また、実施例1のサラコスWO−6を水に置換したクリームを比較例1として調製し、実施例1のクリームと同様に、肌の明るさ、黄味、弾力、柔らかさを測定した。実施例1及び比較例1はそれぞれ同一被験者の半顔に塗布し、上記の項目を測定した。
【0043】
<試験例1−1:肌の透明感の評価>
肌の透明感としては、頬部を色彩色差計(コニカミノルタ株式会社社製 CR-400)
にて、明るさL
*と黄味b
*を3回測定し、平均値を取得した。結果を
図1、2に示す。
図1、2から、本発明の経皮投与用組成物含有化粧料を3か月間塗布後には、比較例のクリームを塗布した場合に比べ、肌の明度が高くなり、黄味が低下し、肌の透明感が改善されたことがわかる。
【0044】
<試験例1−2:肌の弾力の評価>
肌の弾力としては、頬部の弾力を皮膚粘弾性測定装置(Courage+Khazaka社製 cutometer MPA580)を用いて測定した。吸引圧400mbarにて2秒間吸引、2秒間開放の1サイクルで得られた波形データから、戻り率(Ur/Uf:メーカパラメータR7)を取得した。結果を
図3に示す。Ur/Ufは、弾力性部分を完全な波形(弾力性100%)と比較した値であって、この値が高い程、肌の弾力が高いことを示す。
図3から、本発明の経皮投与用組成物(化粧料)を3か月間塗布後には、比較例のクリームに比べ、肌の弾力が改善されたことがわかる。
【0045】
<試験例1−3:肌の柔らかさの評価>
肌の柔らかさとして、頬部を触覚センサシステム(株式会社アクシム製 ビーナストロン)にて、往路の2g、5g荷重時の周波数変化(Δf)を測定した。結果を
図4、5に示す。縦軸の周波数変化Δf[Hz]は、値が大きいほど、肌が柔らかいということを示している。
図4、5から、本発明の経皮投与用組成物剤(化粧料)を3か月間塗布後には
、比較例のクリームに比べ、2g荷重時、5g荷重時それぞれにおいて、Δfは塗布前に比較して顕著に高くなり、肌の柔らかさが改善されたことがわかる。