(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施の形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態の表示装置について
図1を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態の表示装置の構成の一例を示す図である。
【0011】
表示装置1は、表示部2と温度センサ4と制御部5とを備える。表示部2は、磁気反転表示素子3を備える。
磁気反転表示素子3は、永久磁石を備えた表示板とコイルを巻いた電磁石とを備える。表示板は、表面と裏面とで表示色が異なる、あるいは記載されている文字が異なるなど、表面と裏面とで異なる表示となるように形成されている。磁気反転表示素子3は、コイルに流れる電流の方向を制御して電磁石の極性を変えることで、表示板を反転させて表示面を切り替えるものである。
【0012】
磁気反転表示素子3が表示板を反転させるための駆動電圧として要する電圧は、たとえばコイルの抵抗値が温度変化によって変動するなど、動作温度の範囲内の温度変化に応じて、変動する。すなわち、動作温度範囲の上限温度に対応する駆動電圧を最大とし、磁気反転表示素子3の周囲の温度の下降に応じて、磁気反転表示素子3の駆動電圧に要する電圧は下がる。
【0013】
温度センサ4は、周囲の温度を測定するセンサである。温度センサ4は、磁気反転表示素子3を備えた表示部2の内部あるいは外部に設置され、表示部2の内部温度や外部温度を測定できる。
【0014】
制御部5は、温度センサ4が測定した温度データを取得し、温度データにもとづいて磁気反転表示素子3を駆動する駆動電圧を決定する。
このようにして、表示装置1は、磁気反転表示素子3の駆動電圧を磁気反転表示素子3の周囲の温度データにもとづいて決定することにより、必要以上の電圧で磁気反転表示素子3を駆動することを要しない。このため、表示装置1は、磁気反転表示素子3の消費電力を低減することが可能となる。
【0015】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態の磁気反転表示システムについて
図2を用いて説明する。
図2は、第2の実施形態の磁気反転表示システムの一例を示す図である。
【0016】
磁気反転表示システム10は、端末装置11と、制御装置20と、表示部30とを備える。
端末装置11は、ユーザから表示情報の入力を受け付け、表示情報を制御装置20へ送信するとともに蓄積する。また、端末装置11は、制御装置20から送信された情報を受信するとともに蓄積する。端末装置11に蓄積した情報は、ユーザが適宜参照できる。
【0017】
なお、表示情報は、表示部30に対して、どのような表示をおこなうかを指示する情報である。たとえば、表示部30がスコアボードとして使用される場合、端末装置11は、表示情報としてチーム名や選手名や得点などを表示部30に表示する指示を受け付ける。また、表示部30が掲示板として使用される場合、端末装置11は、表示情報として案内情報やニュースや地図などを表示部30に表示する指示を受け付ける。また、表示情報は、駆動対象とする磁気反転表示素子34a,34bや表示パネル31a,31bなどを識別する情報を含めてもよい。
【0018】
制御装置20は、制御部21と電圧出力部22とを備える。制御部21は、端末装置11から表示情報を受信し、表示情報にもとづいて表示部30へ駆動指示を送信する。制御部21は、表示部30から表示パネル31aの温度センサ32aの温度データと、表示パネル31bの温度センサ32bの温度データとを受信し、温度データにもとづいて磁気反転表示素子34a,34bを駆動させる駆動電圧値を決定し、電圧出力部22に指示を出す。電圧出力部22は、磁気反転表示ユニット33aの磁気反転表示素子34aと、磁気反転表示ユニット33bの磁気反転表示ユニット34bとを駆動する駆動電圧を制御部21が指示した駆動電圧値に設定し、設定した駆動電圧値の駆動電圧を表示パネル31a,31bに供給する。なお、電圧出力部22は、表示パネル31a,31bの他の部分(温度センサ32a,32bなど)を駆動させる固定電圧も出力する。以下の説明では、特に表示パネル、温度センサを特定して説明する場合を除き、表示パネル31、温度センサ32と表記する。
【0019】
なお、上記の説明では、制御装置20は、表示部30の表示パネル31aと表示パネル31bとで供給する駆動電圧値を共通としたが、それぞれ別に設定するとしてもよい。また、以下の説明では、特に磁気反転表示ユニット、磁気反転表示素子を特定して説明する場合を除き、磁気反転表示ユニット33、磁気反転表示素子34と表記する。
【0020】
表示部30は、温度センサ32と磁気反転表示ユニット33とを備えた表示パネル31を備える。なお、表示部30は、1つの表示パネル31を備えても良いし、複数の表示パネル31を備えてもよい。
【0021】
表示パネル31は、温度センサ32と磁気反転表示ユニット33とを備える。なお、表示パネル31は、複数の温度センサ32や複数の磁気反転表示ユニット33を備えてもよい。表示パネル31については、
図4を用いて後で説明する。
【0022】
温度センサ32は、周囲の温度を測定し、測定した温度データを制御部21へ送信する。温度センサ32は、磁気反転表示素子34の周囲の温度が測定可能な範囲に設置できる。また、温度センサ32は、表示パネル31に対して1以上設置してもよいし、表示部30に対して1以上設置してもよい。
【0023】
磁気反転表示ユニット33は、1以上の磁気反転表示素子34を備える。磁気反転表示ユニット33は、制御部21から受信した駆動指示にもとづいて磁気反転表示素子34を駆動する。
【0024】
磁気反転表示素子34は、永久磁石を備えた表示板35a,35bとコイルを巻いた電磁石とを備える。以下の説明では、特に表示板を特定して説明する場合を除き、表示板35と表記する。表示板35は、回転軸を有する板状の回転体である。表示板35は、表面と裏面とを異なる表示色を着色して形成できる。たとえば、表示板35の一方の面を黄色、他方の面を黒色で形成することができる。
【0025】
磁気反転表示素子34は、コイルに流れる電流の方向を制御して電磁石の極性を変えることで、表示板35を反転させて表示色を切り替えるものである。表示色を切り替える際、電圧出力部22が供給する駆動電圧がコイルに印加される。磁気反転表示素子34は、表示色を切り替えた後、表示状態を保持する。
【0026】
このような構成により、磁気反転表示システム10は、温度センサ32が測定した温度データにもとづいて磁気反転表示素子34を駆動する駆動電圧を決定することができる。なお、制御部21の処理の詳細は、
図5および
図6のフローチャートを用いて後で説明する。
【0027】
次に、制御部について
図3を用いて説明する。
図3は、第2の実施形態の制御部の構成の一例を示す図である。
制御部21は、プロセッサ101によって装置全体が制御されている。プロセッサ101には、バス106を介してRAM(Random Access Memory)102と複数の周辺機器が接続されている。プロセッサ101は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、たとえばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはPLD(Programmable Logic Device)である。またプロセッサ101は、CPU、MPU、DSP、ASIC、PLDのうちの2以上の要素の組み合わせであってもよい。
【0028】
RAM102は、制御部21の主記憶装置として使用される。RAM102には、プロセッサ101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、プロセッサ101による処理に必要な各種データが格納される。
【0029】
バス106に接続されている周辺機器としては、HDD(Hard Disk Drive)103、入出力インタフェース104、および通信インタフェース105がある。
HDD103は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しをおこなう。HDD103は、制御部21の補助記憶装置として使用される。HDD103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、補助記憶装置としては、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を使用することもできる。
【0030】
入出力インタフェース104には、表示部30を構成する表示パネル31が接続されている。入出力インタフェース104は、表示パネル31から送られてくる温度データをプロセッサ101に送信する。また、プロセッサ101から送信された駆動指示を表示パネル31に出力する。
【0031】
通信インタフェース105は、ネットワーク107に接続されている。通信インタフェース105は、ネットワーク107を介して、端末装置11a,11bなどの機器との間でデータの送受信をおこなう。
【0032】
電圧出力部22は、制御部21とアクセス可能であり、駆動電圧を表示パネル31に供給する指示を制御部21から受信する。電圧出力部22は、制御部21が決定した駆動電圧を表示パネル16に供給する。
【0033】
端末装置11は、制御部21とアクセス可能であり、制御部21へ表示情報を送信できる。また、端末装置11は、制御部21から取得した情報を表示できる。
表示部30は、1以上の表示パネル31を備える。表示パネル31は、温度センサ32と、磁気反転表示ユニット33とを備え、温度を計測して温度データを生成するとともに、駆動指示に応じて磁気反転表示素子34の駆動を行う。
【0034】
以上のようなハードウェア構成によって、第2の実施形態の処理機能を実現できる。なお、
図3には制御部21のハードウェア構成を示したが、端末装置11も同様のハードウェア構成である。
【0035】
また、第1の実施形態に示した制御部5も、
図2に示した制御部21と同様のハードウェアにより実現できる。
制御部21は、たとえば、読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、第2の実施形態の処理機能を実現する。制御部21に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。たとえば、制御部21に実行させるプログラムをHDD103に格納しておくことができる。プロセッサ101は、HDD103内のプログラムの少なくとも一部をRAM102にロードし、プログラムを実行する。また制御部21に実行させるプログラムを、光ディスク、メモリ装置、メモリカードなどの可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、たとえばプロセッサ101からの制御により、HDD103にインストールされた後、実行可能となる。またプロセッサ101が、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
【0036】
次に、表示パネルについて
図4を用いて説明する。
図4は、第2の実施形態の表示パネルの構成の一例を示す図である。
表示パネル31は、温度センサ32と磁気反転表示ユニット33とを備える。磁気反転表示ユニット33は、マトリクス状に配置された磁気反転表示素子34を備える。なお、図示を簡略化するため、磁気反転表示素子34は、磁気反転表示ユニット33にマトリクス状に配置された右上の1つのみに符号を付す。
【0037】
表示パネル31は、温度センサ32や磁気反転表示ユニット33の配置に応じた形状に形成できる。温度センサ32は、磁気反転表示素子34が設置された状態において、磁気反転表示素子34に対して上方の位置に配置される。一般に、温度の高い空気は上方に移動するため、表示パネル31内においても上方ほど温度が高くなる傾向があると想定される。磁気反転表示素子34の駆動電圧の温度特性として温度が高くなるほど、高い駆動電圧が必要になる。したがって、磁気反転表示素子34が確実に駆動するためには、表示パネル31内において最も高い周囲温度における駆動電圧で駆動することが好ましい。よって、磁気反転表示素子34の周囲で温度が高い箇所の温度データを測定できる箇所に、温度センサ32を設置することが好ましい。
【0038】
なお、温度センサ32は、磁気反転表示ユニット33の内側に配置してもよいし、磁気反転表示素子34の周囲温度を測定可能であればその他の位置に配置してもよい。また、温度センサ32は、1個配置してもよいし、複数個配置してもよい。
【0039】
磁気反転表示ユニット33は、16行16列のマトリクス状(縦16個×横16個)に配置された磁気反転表示素子34を備える。磁気反転表示ユニット33は、磁気反転表示素子34の配置に応じた形状に形成できる。磁気反転表示素子34は、縦長や横長のマトリクス状に配置してもよいし、円形や球形に配置してもよい。また、磁気反転表示素子34は、表示パネル31が設置される構造物や各種機器などの形状に合わせて配置してもよい。
【0040】
図4に示した一例では、表示パネル31は、制御部21から数字の「8」を表示する指示を受信し、指示に応じて磁気反転表示素子34を駆動し、数字の「8」を表示する。表示パネル31は、温度センサ32が測定した温度データにもとづいて決定された駆動電圧で磁気反転表示素子34を駆動させ、表示色を切り替えることで数字の「8」を表示する。なお、表示パネル31が表示する内容は、数字に限らず文字や図形でもよい。また、表示パネル31は、駆動する磁気反転表示素子34を識別する情報を制御部21から受信し、識別する情報に応じて磁気反転表示素子34を駆動することができる。なお、駆動する磁気反転表示素子34を識別する情報とは、磁気反転表示素子34の位置や座標を示す情報や、磁気反転表示素子34を個別に識別する情報や、磁気反転表示素子34が配置された表示パネル31を識別する情報などを含む。
【0041】
次に、第2の実施形態の表示素子駆動処理について
図5を用いて説明する。
図5は、第2の実施形態の表示素子駆動処理のフローチャートを示す図である。
表示素子駆動処理は、制御部21が、表示部30に磁気反転表示素子34の駆動を指示する処理である。制御部21のプロセッサ101は、端末装置11から指示を受信し、受信した指示にもとづいて所定の電圧で表示部30に対し駆動指示をおこなう。
【0042】
[ステップS11]プロセッサ101は、表示部30に対し初期設定をする。たとえば、プロセッサ101は、電圧出力部22を起動し、表示部30を駆動させる電圧の供給を開始する。ここで、表示部30を駆動させる電圧とは、磁気反転表示素子34を駆動させる駆動電圧と、表示部30との通信処理、磁気反転表示素子34の反転制御、温度センサ32からの温度データ取得など表示部30の制御系を駆動させる電圧と、を含む。なお、表示部30の制御系に供給する電圧値は、磁気反転表示素子34の駆動電圧値と比べて小さな値であり、表示部30の制御系には固定値で供給する。
【0043】
また、プロセッサ101は、表示部30と通信可能か否かの確認処理ができる。なお、プロセッサ101は、表示部30に対して、磁気反転表示ユニット33などの故障の有無の確認処理などを行ってもよい。
【0044】
[ステップS12]プロセッサ101は、磁気反転表示素子34を駆動する電圧を更新する。磁気反転表示素子34を駆動する電圧を決定する処理は、
図6を用いて後で説明する。
【0045】
[ステップS13]プロセッサ101は、端末装置11から表示情報を表示する指示を受信したか否かを判定する。
プロセッサ101は、表示情報を表示する指示を受信した場合にステップS14にすすみ、表示情報を表示する指示を受信していない場合にステップS12にすすむ。
【0046】
[ステップS14]プロセッサ101は、表示指示にもとづき、磁気反転表示素子34を駆動させる指示を送信する。ステップS12において駆動電圧は更新されており、磁気反転表示素子34は温度に応じた駆動電圧で駆動される。なお、磁気反転表示素子34を駆動させる指示とは、制御部21が表示部30に対し、どの表示パネル31におけるどの磁気反転表示素子34を駆動させるかを指示することである。
【0047】
このようにして、プロセッサ101は、磁気反転表示素子34を駆動する電圧を更新しつつ、表示指示を端末装置11から受信した場合に更新した電圧で磁気反転表示素子34を駆動させる指示を送信する。
【0048】
次に、第2の実施形態の電圧設定処理について
図6を用いて説明する。
図6は、第2の実施形態の電圧設定処理のフローチャートを示す図である。
電圧設定処理は、制御部21が、磁気反転表示素子34a,34bを駆動させる電圧を設定する処理である。制御部21のプロセッサ101は、温度センサ32a,32bが測定した温度データを取得し、取得した温度データにもとづいて磁気反転表示素子34a,34bを駆動させる電圧を設定する。駆動電圧は、表示パネル31a,31bとで共通の電圧値に設定する。以下に説明する電圧設定処理では、各温度センサ32が計測した温度データを評価し、1つの温度センサ32の温度データの分布が第1の温度差の範囲内であるか否かを判定する。続いて、複数設置された温度センサ32の温度データを評価し、複数の温度センサ32の温度データの分布が第2の温度差の範囲内であるか否かを判定する。
【0049】
この電圧設定処理は、表示素子駆動処理のバックグラウンドで継続して実行する。なお、電圧設定処理は、表示素子駆動処理の初期設定の処理(ステップS11)や電圧を更新する処理(ステップS12)で呼び出して実行してもよい。
【0050】
[ステップS21]プロセッサ101は、温度センサ32から所定期間において所定回数の温度データを取得する。たとえば、プロセッサ101は、温度センサ32から1秒おきに5回、温度データを取得する。また、プロセッサ101は、複数の温度センサ32が設置されている場合、温度センサ32それぞれから温度データを所定期間に所定回数取得する。
【0051】
[ステップS22]プロセッサ101は、同一の温度センサ32から取得した温度データの測定誤差が、誤差の許容範囲内であるか否か判定する。誤差の許容範囲は、個々の温度センサ32を評価する第1の温度差の範囲の一例である。
【0052】
プロセッサ101は、測定誤差が誤差の許容範囲内である場合にステップS25にすすみ、誤差の許容範囲内でない場合にステップS23にすすむ。
なお、プロセッサ101は、誤差の許容範囲内か否かを判定する温度差の値を予め保持する。たとえば、プロセッサ101は、ある温度センサ32が1秒おきに5回測定した温度データについて、温度差が2度以内であれば、誤差の許容範囲内として判定できる。
【0053】
[ステップS23]プロセッサ101は、誤差の許容範囲外の温度データを、電圧を決定するための温度データ(電圧決定温度データ)から除外する。これにより、たとえば温度センサ32の動作不良によって測定された他の温度データからかけ離れた温度データが駆動電圧算出に及ぼす影響を除外する。
【0054】
[ステップS24]プロセッサ101は、誤差の許容範囲外の温度データを測定した温度センサ32に関する情報を端末装置11へ送信する。温度センサ32に関する情報とは、温度センサ32の識別情報や温度データや測定日時などの情報である。
【0055】
なお、プロセッサ101から送信された温度センサ32に関する情報は、端末装置11で表示できる。プロセッサ101から送信された温度センサ32に関する情報は、端末装置11で表示することで、温度センサ32の故障の判定や保守点検などに役立てることができる。たとえば、ある温度センサ32から取得した複数の温度データを比較することで、ある温度センサ32が故障したか否かなどを判定することもできる。
【0056】
[ステップS25]プロセッサ101は、複数の温度センサ32が測定した温度データの温度差が所定の範囲内であるか否かを判定する。所定の範囲は、複数の温度センサ32の温度データを評価する第2の温度差の範囲の一例である。
【0057】
プロセッサ101は、温度データの温度差が所定の範囲内か否かを判定する温度差の値を予め保持することができる。たとえば、温度差の値が10度である場合について説明する。この場合、プロセッサ101は、複数の温度センサ32が測定した温度データを比較し、温度差が10度以内であれば、所定の範囲内として判定できる。
【0058】
また、制御部21は、温度差の値を、端末装置11から設定されてもよい。表示部30の設置された環境に応じて、複数の温度センサ32の温度差の値が変化する場合があるため、温度差の値は変更可能とするものである。たとえば、表示部30が屋内競技場に設置され、特定の温度センサ32がエアコンの影響で温度が低い(または高い)環境である場合、複数の温度センサ32が測定した温度データの差が大きくなることに対応するため、温度差の値は変更可能とする。
【0059】
[ステップS26]プロセッサ101は、所定の範囲外の温度データを電圧決定温度データから除外する。
[ステップS27]プロセッサ101は、所定の範囲外の温度データを測定した温度センサ32に関する情報を端末装置11へ送信する。温度センサ32に関する情報とは、温度センサ32の識別情報や温度データや測定日時などの情報である。
【0060】
なお、プロセッサ101から送信された温度センサ32に関する情報は、端末装置11で表示できる。プロセッサ101から送信された温度センサ32に関する情報は、端末装置11で表示することで、温度センサ32の故障の判定や保守点検などに役立てることができる。
【0061】
[ステップS28]プロセッサ101は、電圧決定温度データにもとづき、駆動電圧の設定に参照するパネル温度データを決定する。たとえば、プロセッサ101は、電圧決定温度データに含まれる複数の温度データのうち、最も高い温度の温度データをパネル温度データに決定する。最も高い温度の温度データをパネル温度データとすることにより、表示パネル31内の磁気反転表示素子34のうち最も高い駆動電圧を必要とする磁気反転表示素子34の駆動電圧を得ることができる。これにより、表示パネル31内の磁気反転表示素子34を確実に駆動することができる。
【0062】
[ステップS29]プロセッサ101は、温度電圧対応情報から決定したパネル温度データにもとづき設定する電圧の値を取得する。温度電圧対応情報は、
図7を用いて後で説明する。
【0063】
[ステップS30]プロセッサ101は、取得した電圧の値にもとづき、電圧を設定する。
このようにして、プロセッサ101は、温度センサ32が測定した温度データにもとづいて磁気反転表示ユニット33を駆動させるための電圧を決定することができる。
【0064】
なお、第2の実施形態では、
図2に示したように、全ての表示パネル31に供給する駆動電圧を共通とし、電圧出力部22が駆動電圧を制御するとしていた。これに対し、電圧出力部22が、それぞれの表示パネル31に供給する駆動電圧を独立して制御可能な構成とすることもできる。たとえば、プロセッサ101は、各表示パネル31の温度データにもとづき、表示パネル31の磁気反転表示素子34を駆動する駆動電圧を設定する。このように、表示パネル31ごとに駆動電圧を制御することにより、より細かい電圧制御が可能となる。
【0065】
さらに、表示パネル31を分割した分割領域ごとに温度センサ32を設け、温度センサ32が測定した温度に応じ駆動電圧を制御するとしてもよい。プロセッサ101は、温度センサ32ごとに、温度センサ32から所定の範囲にある磁気反転表示素子34を駆動する電圧を設定することもできる。
【0066】
次に、温度電圧対応情報について
図7を用いて説明する。
図7は、第2の実施形態の温度電圧対応情報の一例を示す図である。
温度電圧対応情報200は、パネル温度に応じて設定電圧を特定する情報である。温度電圧対応情報200は、パネル温度の値と設定電圧の値とを含む情報である。温度電圧対応情報200は、磁気反転表示素子34の温度と電圧に関する特性に応じてあらかじめ設定される情報である。温度電圧対応情報200は、HDD103などの記憶部にあらかじめ記憶した情報でもよいし、端末装置11などから読み出す情報でもよい。
【0067】
温度電圧対応情報200は、制御部21がパネル温度データに対応する設定電圧の値を取得する処理(ステップS29)で用いられる情報である。
次に、表示装置について
図8を用いて説明する。
図8は、第2の実施形態の表示装置の構成(変形例1)の一例を示す図である。
【0068】
表示装置300は、表示部30と制御装置20の機能を含む装置であり、端末装置11とアクセス可能な装置である。なお、表示装置300は、図中の表記を簡略化するため、制御部21と電圧出力部22と表示パネル31a,…,31pと温度センサ32a,32c,32e,32gについて符号で表す。
図2に示した磁気反転表示システム10との違いは、表示パネル31をいくつかのブロックに分け、ブロックごとに駆動電圧を制御する点である。なお、ブロックは、1つの表示パネル31を含む領域でもよいし、複数の表示パネル31を含む領域でもよい。
【0069】
図8に示した例では、各ブロック36a,36b,36c,36dが表示パネル31をパネル面の垂直方向に分割している。
図8の左から、ブロック36aは表示パネル31a,31jを含む。ブロック36bは、表示パネル31b,31c,31k,31lを含む。ブロック36cは、表示パネル31d,31e,31m,31nを含む。ブロック36dは、表示パネル31f,31g,31o,31pを含む。
【0070】
また、各ブロックの上部には、温度センサが設けられている。ブロック36aには温度センサ32a、ブロック36bには温度センサ32c、ブロック36cには温度センサ32e、ブロック36dには温度センサ32gが設けられている。
【0071】
このような構成の表示装置300が、たとえば、野球場や屋内外競技場でスコアボードや掲示板として利用される場合について説明する。表示装置300は、端末装置11からの指示に応じて表示パネル31が備える磁気反転表示素子34を駆動し、表示パネル31が表示する内容を変更する。
【0072】
表示パネル31aと31jは、横長四角のマトリクス状に磁気反転表示素子34を配置した磁気反転表示ユニット33を備えており、文字や図形などを表示できる。表示パネル31aと31jは、たとえば、チーム名を横書き文字で表示できる。
【0073】
表示パネル31b,…,31gと表示パネル31k,…,31pは、四角のマトリクス状に磁気反転表示素子34を配置した磁気反転表示ユニット33を備える。表示パネル31b,31c,31d,31e,31f,31gは、たとえば、表示パネル31aに表示したチームの得点(スコア)を表示できる。表示パネル31k,31l,31m,31n,31o,31pは、たとえば、表示パネル31jに表示したチームの得点を表示できる。
【0074】
なお、制御部21は、端末装置11の指示に応じて、観客に対する案内や各種メッセージなどを表示パネル31に表示させてもよい。たとえば、制御部21は、端末装置11からの指示に応じて、得点とメッセージとを切り替えて表示パネル31に表示させてもよい。
【0075】
制御部21は、各ブロック36から温度センサ32の温度データを取得し、温度データに応じて駆動電圧を設定し、電圧出力部22に指示する。電圧出力部22は、指示にしたがって各ブロック36に含まれる表示パネル31の駆動電圧を設定する。具体的には、制御部21は、ブロック36aの温度センサ32aの温度データに応じてブロック36aの駆動電圧を決定する。同様に、ブロック36bの温度センサ32cの温度データに応じてブロック36bの駆動電圧を決定する。また、同様に、ブロック36cの温度センサ32eの温度データに応じてブロック36cの駆動電圧を、ブロック36dの温度センサ32gの温度データに応じてブロック36dの駆動電圧を決定する。
【0076】
なお、制御部21は、温度センサ32a,32c,32e,32gが測定した温度データを用いて、全ての磁気反転表示素子34を同じ電圧で駆動させてもよい。たとえば、電圧出力部22は、各ブロック36に対し、同じ電圧値の駆動電圧を供給できる。この場合、温度センサ32a,32c,32e,32gが測定した温度データにもとづき電圧決定温度データを選別する。電圧決定温度データに含まれる温度データのうち、最も高い温度の温度データをパネル温度データに決定できる。
【0077】
このように、表示装置300は、温度センサ32で測定した温度データに応じて磁気反転表示素子34を駆動させる電圧を設定する。これにより、表示装置300の使用状態で想定される最高温度に対応する固定電圧で駆動させるよりも、少ない消費電力で磁気反転表示素子34を駆動できる。
【0078】
次に、表示装置について
図9を用いて説明する。
図9は、第2の実施形態の表示装置の構成(変形例2)の一例を示す図である。
表示装置400は、野球場や屋内外競技場などの建物や看板などの構造物に表示パネル31を設置し、構造物の内部または外部に制御装置20を設けた装置である。また、表示装置400は、端末装置11とアクセス可能である。なお、表示装置400は、図中の表記を簡略化するため、制御装置20と制御部21と電圧出力部22と表示パネル31a,…,31xと温度センサ32a,…,32xについて符号で表す。
【0079】
図2に示した磁気反転表示システム10との違いは、電圧出力部22が、表示パネル31それぞれに異なる電圧値の駆動電圧を供給できる点である。なお、電圧出力部22から各パネル31への配線の一部を省略して図示する。
【0080】
表示装置400が、たとえば、野球場や屋内外競技場に設置されて使用される場合について説明する。表示パネル31aと31jは、横長四角のマトリクス状に磁気反転表示素子34を配置した磁気反転表示ユニット33を備えており、文字や図形などを表示できる。表示パネル31aと31jは、たとえば、チーム名を横書き文字で表示できる。
【0081】
表示パネル31b,31c,31d,31e,31fと表示パネル31k,31l,31m,31n,31oは、四角のマトリクス状に磁気反転表示素子34を配置した磁気反転表示ユニット33を備える。
【0082】
表示パネル31b,31c,31d,31e,31fは、たとえば、表示パネル31aに表示したチームの得点(スコア)を表示できる。表示パネル31k,31l,31m,31n,31oは、たとえば、表示パネル31jに表示したチームの得点を表示できる。
【0083】
表示パネル31q,31r,31s,31t,31u,31v,31w,31xは、縦長四角のマトリクス状に磁気反転表示素子34を配置した磁気反転表示ユニット33を備えた構造であり、文字や図形などを表示できる。表示パネル31q,31r,31s,31t,31u,31v,31w,31xは、たとえば、選手名と選手の背番号や審判名などを縦書きの文字で表示できる。
【0084】
なお、制御部21は、端末装置11の指示に応じて、観客に対する案内や各種メッセージなどを表示パネル31に表示させてもよい。
制御部21は、各表示パネル31から温度センサ32が測定した温度データを取得し、温度データに応じて駆動電圧を設定し、電圧出力部22に指示する。電圧出力部22は、指示にしたがって各表示パネル31の駆動電圧を設定する。具体的には、制御部21は、表示パネル31aの温度センサ32aが測定した温度データに応じて表示パネル31aの駆動電圧を決定する。以下同様にして、表示パネル31zの温度センサ32zが測定した温度データに応じて表示パネル31zの駆動電圧を決定する。
【0085】
なお、制御部21は、温度センサ32が測定した温度データを用いて、全ての磁気反転表示素子34を同じ電圧で駆動させてもよい。たとえば、電圧出力部22は、各表示パネル31に対し、同じ電圧値の駆動電圧を供給することもできる。
【0086】
このように、表示装置400は、温度センサ32で測定した温度データに応じて磁気反転表示素子34を駆動させる電圧を設定する。これにより、表示装置400の使用状態で想定される最高温度に対応する固定電圧で駆動させるよりも、少ない消費電力で磁気反転表示素子34を駆動できる。
【0087】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、制御部5、制御装置20が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD、DVD−RAM、CD−ROM/RWなどがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0088】
プログラムを流通させる場合には、たとえば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0089】
プログラムを実行するコンピュータは、たとえば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムにしたがった処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムにしたがった処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムにしたがった処理を実行することもできる。
【0090】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP、ASIC、PLDなどの電子回路で実現することもできる。