【実施例】
【0084】
(実施例1:チコリ(Cichorium intybus L)抽出物の調製)
【0085】
材料及び方法
チコリ(Cichorium intybus L)の乾燥地上部(100g)を、抽出前に細かく(5-8 mm)細断する。
【0086】
抽出方法
植物を、約1000mlの50%エタノール/水(V/V)で、機械撹拌下で、2時間、50℃で抽出する。抽出時間の終わりに、固形分を、フィルターバッグ(PE-100)又は他の類似の濾材でフィルター濾過して除去する。湿潤固形分は、もう一回、さらに3体積の50%エタノールで、さらに約15〜30分間撹拌することにより、抽出する。
【0087】
固形分を再度フィルター濾過して除去し、得られた抽出物を合わせて、980mlの液体抽出物を得て、デカンデーションのために放置し、濾紙でのフィルター濾過又は遠心分離して不溶性残渣を除く。
【0088】
抽出溶液を減圧化で濃縮して最初の体積の5〜20%とし、食品グレードのエタノールで沈殿させることにより、濃縮した。濾液を再度濃縮し、乾燥に供する。乾燥抽出物を回収する。
【0089】
実施例1の植物抽出物の、280nmにおけるHPLCクロマトグラムを
図1にクロマトグラムI(Aはカフタル酸、Bはクロロゲン酸、Cはチコリ酸、Dはクエルセチン3-O-グルクロニド及びイソクエルセチン並びにEはルテオリン7-O-グルクロニドである)として示す。さらに抽出物の組成物を以下の表1に示す。
【0090】
(実施例2:チコリ(Cichorium intybus ssp intybus var. sativum)抽出物の調製)
【0091】
未乾燥のチコリ(Cichorium intybus ssp intybus var. sativum)の地上部を使用し、細断工程の前に湯通しする以外は、実施例1と同じ方法に従った。
【0092】
実施例2の植物抽出物の、280nmにおけるHPLCクロマトグラムを
図1にクロマトグラムII((Aはカフタル酸、Bはクロロゲン酸、Cはチコリ酸、Dはクエルセチン3-O-グルクロニド及びイソクエルセチン及びEはルテオリン7-O-グルクロニドである)として示す。さらに抽出物の組成物を以下の表1に示す。
【0093】
(実施例3:実施例1および2から得られた抽出物の組成物)
【0094】
分析方法
実施例1および2に由来する抽出物は、没食子酸相当で、フォーリン・チオカルト法を使用して、3〜7質量%の総フェノール含有量を含んだ。
【0095】
HPLCによる、ポリフェノール含有量の特性評価及び定量化
-HPLC-DAD 分析:
分析HPLC(Dionex)のセットアップを要する。本発明において、使用した移動相は、1000mlの高純度水中0.1%ギ酸(溶媒A)及びアセトニトリル(溶媒B)であり、以下の勾配を利用して、96分間、流速0.8ml/分でトータルランした。勾配点は、時間0.0分(Aが95%及びBが5%);10分(Aが90%及びBが10%);10分(一定組成)及び20〜40分(Bが10〜20%まで直線的に勾配が変化する);再び10分間(一定組成);50〜65分(Bが20〜30%まで直線的に勾配が変化する)及び次の10分間(50%まで直線的に変化する);75〜76分(Bが50〜100%まで直線的に勾配が変化する)及び10分間(一定組成)、85〜86分 は最初の条件(Aが95%及びBが5%)に戻り、一定組成で10分間、であった。溶出液中のフェノール化合物類は、UV-ダイオードアレイで、280nmで、逆相C-18カラム(250 X 4.6mmID X 5μm;ACE)を使用して検出した。抽出物中のフェノール酸類の量は、カフタル酸;クロロゲン酸;チコリ酸;の較正曲線を使用して決定し、抽出物中のフラボノイドの量は、クエルセチン較正曲線を使用して決定した。
【0096】
-HPLC-DAD/ESI-MS 分析:
抽出物のHPLC/MS分析は、HPLC(Thermo Finnigan surveyor)を使用して実施し、エレクトロスプレーインターフェース(Thermo Finnigan , LCQ Advantage max)に適合したLCQイオントラップスペクトロメーターにインターフェースした。溶出プログラムは、前記と同じであり、実験は正/負の両モードで実施した。スペクトルは、質量範囲m/z 80〜2000にわたってスキャンした。
【0097】
【表1】
280nmにおける、HPLCによる実施例1及び2の抽出物の定量化した組成物
【0098】
(実施例4:チコリ葉抽出物(chicory leaf extract;CLE)の、血糖(血糖症)、血中インスリン(インスリン血)、インスリン抵抗性、体重、脂肪蓄積及び脂肪肝に対する効果)
【0099】
材料と方法
5週齢のC57BL/6N1 Crlマウス(Charles River Laboratories、フランス)、体重約20gのものを実験に使用した。順化8日後、マウスを無作為に、空腹時血糖に従い、異なる実験群(1グループあたり9匹)に割り当てた。
【0100】
0日目、一つの群を通常食(カロリーの23%がタンパク質由来、66%が炭水化物由来及び11%が脂肪由来)条件下に置き、他方の群を高脂肪食(カロリーの17%がタンパク質由来、28%が炭水化物由来及び55%が脂肪由来)に供した。食事と水を自由に与えた。一回分の処方は、経口強制投与により、毎朝9〜10時の間に、1日目から56日目まで投与した。投与体積は、体重1kgあたり10ml(10ml/kg)であった。実際に投与する体積は、各動物個体の直近の体重に基づいて計算し、調整した。試験の条件は以下の通りである:
・正常対照:マウスに通常食を与え、一日一回水を投与した。
・高脂肪対照:マウスに高脂肪食を与え、一日一回水を投与した。
・CLE 400 mg/kg:マウスに高脂肪食を与え、一日一回チコリ葉抽出物(CLE)を、体重1kgあたり400mg(400 mg/kg)の用量で投与した。
【0101】
CLEの血糖に対する効果を、
図2に、インスリン及びインスリン抵抗性に対する効果を
図3に、体重及び脂肪蓄積に対する効果を
図4に、脂肪肝に対する効果を
図5に示す。
【0102】
マウスの体重を到着時及びその後一週間に3回(月曜日、水曜日及び金曜日)記録した
【0103】
絶食時血糖値は、無作為化した日(0日目)及び7、14、21、28、35、42、49及び56日目の13時00分〜14時00分の間に4時間絶食した動物について測定した。全血サンプル(1滴)を尾静脈から収集し、手持ちの血糖値計(OneTouch Ultra 2、LifeScan)で血糖値を決定した。
【0104】
調査の終わりに、4時間絶食状態に置いた後、ペントバルビタールナトリウムを0.1ml腹腔内投与して動物を麻酔した。最終血液サンプルを、心穿刺により、抗凝固剤としてヘパリンを使用して収集した。この最終血液サンプリングは、動物個体を死亡させる。血液サンプルを収集後4℃に置き、30分間遠心分離し、血漿を回収しインスリン分析まで凍結した。精巣上体脂肪体(腹部脂肪)及び肝臓を回収し、質量を測定した。
【0105】
絶食時血漿インスリンレベルは、ELIZAキット(Mercodia、スウェーデン)で測定した。その後、インスリン抵抗性指数(HOMA-IR)を
式:HOMA-IR = 絶食時インスリン (mU/l) x 絶食時グルコース (mmol/l)/22.5
を使用して計算した。
【0106】
このプロトコルは、倫理委員会(Montpellier、フランス)の承認を得た。
【0107】
結果
血糖(
図2)
食餌下で一週間後(7日目)、高脂肪食に供したマウスの空腹時血糖(168 ± 5.7 mg/dL)は、通常食に供したマウスの血糖値(121 ± 5.9 mg/dL)よりも有意に高かった。その後、この差異は、調査を通じて寧ろ一定であった。
【0108】
チコリ葉抽出物は糖尿病前症マウスの血糖を低下させた。調査の終了時(56日目)、血糖は58%低下した。この効果は、14、28、35、42、49および56日目に明らかに有意であった。
【0109】
血中インスリン及びインスリン抵抗性(
図3)
絶食時インスリン血はまた、高脂肪食により、通常食下におけるマウスの1 .53 ± 0.37 ng/mlと比較して有意に増加して、4.70 ± 0.43 ng/mlに達した。絶食時血糖及びインスリン血の、高脂肪食による増加に伴い、インスリン抵抗性指数(HOMA-IR)は、5倍に増加し、これらの動物が強いインスリン抵抗性であることを示している。
【0110】
処理期間の終わり(56日目)において、CLEは、高脂肪食によって誘導される絶食時インスリンレベルを有意に低下させた(p<0.05)。インスリン血は、CLE処理されたマウスでは3.31 ± 0.40 ng/mlに達した。従って、HOMA-IRインスリン抵抗性指数によると、CLEは糖尿病前症マウスにおいて高脂肪食により誘導されるインスリン抵抗性を、58%低下させた(p<0.01)。
【0111】
体重及び腹部脂肪質量(
図4)
高脂肪食に供されたマウスは、通常食下のマウスよりも遥かに多く体重が増加した。調査の終わり、8週間食餌後において、高脂肪食下のマウスは、通常食下の対照マウスと比較して2.5倍体重が増加した。通常食下のマウスが26.3 ± 0.5 gに達したのに対し、高脂肪食下のマウスは、36.8 ± 1.3 gに達した。
【0112】
食事により増加する体重は、とりわけ腹部脂肪としてエネルギーを貯蓄することに起因する。確かに精巣上体(腹部)脂肪の質量は、高脂肪食下のマウスで、通常食下のマウスと比較して、調査の期間中3.5倍に増加した(高脂肪食マウスと通常食マウスはそれぞれ1.80 ± 0.11及び0.51 ± 0.03 g)。内臓周囲の脂肪は、インスリン抵抗性及びメタボリックシンドロームに対する強力な危険因子と関連する又は危険因子であると認識される。
【0113】
体重1kgあたり400mg(400mg/kg)の用量のCLEにより、高脂肪食で増加した体重が低下した。この効果は、処理4日目から有意であり、調査の期間中にわたり持続した(第6日以降p<0.01)。調査の終わりにおいて、高脂肪食下でCLE処理したマウスにおいては、10.1 ±0.8g増加であり、一方高脂肪食下で水処理したマウスにおいては、15.4±1.3g増加、並びに通常食下で水処理したマウスにおいては6.1 ± 0.4g増加であった。
【0114】
この低下は、少なくとも部分的に、腹部脂肪における脂肪蓄積の減少によるものである。CLEは、高脂肪食に供されたマウスにおける精巣上体脂肪の脂肪蓄積を33%低下させた(p<0.05)。CLE処理されたマウスの精巣上体脂肪の質量は、高脂肪食対照および通常食対照におけるそれぞれ1.80 ± 0.11および0.51 ± 0.03gに対して、1.38 ± 0.15gであった。
【0115】
肝臓質量(
図5)
高脂肪食は肝臓における脂肪蓄積(いわゆる脂肪肝又は肝脂肪変性)を誘導した。肝臓の色は、通常食下のマウスにおける赤色に代わって白色となり、その体重は、35%増大(高脂肪食では1.38±0.10gに対して、通常食では1.02±0.03g)した。
【0116】
CLEは、脂肪肝を83%低下させ、ほぼ正常化した(p<0.01)。
【0117】
結論
高脂肪食は、C57/BL6マウスにおいて、体重の有意な増加、腹部脂肪蓄積、脂肪肝、絶食時血糖症及びインスリン血症、並びにインスリン抵抗性という、メタボリックシンドロームの明らかな表現型を誘導する。
【0118】
体重1kgあたり400mg(400mg/kg)の用量のチコリ葉抽出物は、マウスにおける慢性的な高脂肪食事摂取によって誘導される異常を顕著に低下させた。それは以下を含む。
- 絶食時血糖の低下
- 絶食時インスリン血の低下
- インスリン抵抗性の低下
- 体重の低下
- 腹部脂肪蓄積の低下
- 肝脂肪変性の低下
【0119】
従って、チコリ葉抽出物により、良好な健康状態、良好な組成となり、ひとつ又は数個のメタボリックシンドローム及び関連異常への対処となることが示されている。
【0120】
(実施例5:血糖(血糖症)に対するチコリ葉抽出物(CLE)の用量依存的効果)
材料及び方法
プロトコルは実施例4と同じであった。
実験の条件は以下の通りであった:
- 正常対照:マウスに通常食を与え、一日一回水を投与した。
- 高脂肪対照:マウスに高脂肪食を与え、一日一回水を投与した。
- チコリ葉抽出物(CLE) 100、200又は400 mg/kg:マウスに高脂肪食を与え、一日一回チコリ葉抽出物(CLE)を、100、200又は400 mg/kg体重の用量で投与した。
【0121】
結果
血糖(
図6)
食餌下で一週間後(7日目)、高脂肪食に供したマウスの空腹時血糖(159 ± 3.9mg/dL)は、通常食に供したマウスの血糖値(109± 3.6mg/dL)よりも有意に高かった。その後、この差異は、調査を通じて寧ろ一定であった。
【0122】
チコリ葉抽出物は、14〜42日目において糖尿病前症マウスの血糖を低下させた。CLEの用量によりこの効果は増大し、調査の3回用量の間中、有意である。調査の終わりに、血症は、対照において200±5.4mg/dLであるのに対し、用量100、200及び400mg/kgについてそれぞれ187±3.2、177±3.1、171±6.3mg/dLに達した。
【0123】
結論
チコリ葉抽出物(CLE)は、明らかに、マウスにおける慢性的な高脂肪摂取によって誘導される絶食時高血糖症を、用量依存的に低下させた。この効果は、低用量の試験(100mg/kg体重)においてすでに有意である。
【0124】
(実施例6:低レベルのチコリ酸を含有するチコリ葉抽出物(CLE)は血糖の低下により低い効果を有する)
材料と方法
低チコリ酸-CLE抽出方法
低チコリ酸-CLEは、細断する工程の前に湯通しする工程を行わなかった点を除いて、実施例2に記載された抽出方法に従って抽出した。結果として、植物のポリフェノール酸化酵素は不活性であり、ポリフェノールレベルは低くなった。低チコリ酸-CLEは1.05%のチコリ酸を含有した。
【0125】
CLE-抽出方法
CLEは実施例2に記載された方法に従って抽出した。CLEが4.68%のチコリ酸を含んでいた。
【0126】
薬理学的プロトコル
プロトコルは、実施例4と同様であるが、処理の開始前にC57BL/6マウスを一週間高脂肪食に供し、糖尿病前症が誘導した。その後、CLE及び低チコリ酸-CLEを、強制経口投与で、体重1kgあたり200mg(200 mg/kg)の用量で3週間にわたり与えた。
【0127】
結果
絶食時飢餓状態での血糖(
図7)
食餌下で一週間経過後、高脂肪食に供されたマウスの絶食時血糖(159.6 ± 4.9 mg/dL)が、通常食に供されたマウスの値(95.2 ± 4 mg/dL)と比較して有意に高かった(p<0.001)。この結果は、高脂肪食下のマウスが、処理の開始時において高血糖症であったことを確認するものである。
【0128】
CLE抽出物は、糖尿病前症のマウスの血糖を(正常対照で観察された正常値に対して)平均31.5%低下させた効果は、処理の最初の週から明らかに有意であり、最長で調査の終わりまで続いた(
図7:7日目で*p<0.05並びに14及び21日目で***p<0.001)。
【0129】
一方、低チコリ酸-CLEは遥かに低い効果を示した。糖尿病前症マウスにおいて、血糖は平均10.6%低下した。この効果は、14日目において顕著であったが、7及び21日目では顕著でなかった(
図7:*p<0.05)。
【0130】
結論
C57BL/6マウスを、高血糖症となる前一週間高脂肪食に供した。チコリ葉抽出物(CLE;チコリ酸4.68%を含有する)体重1kgあたり200mg(200mg/kg)の用量により、明らかに高血糖が低下した。低チコリ酸-CLE(チコリ酸1.05%を含有する)では効果が乏しいため、 この効果は抽出物中にチコリ酸が十分量存在することと関連している。
【0131】
従って、チコリ酸は、抽出物の効果に重要なCLEの成分の一つである。十分量のチコリ酸抽出物は、血糖低下効果を観察するために必要である。
【0132】
(実施例7:精製チコリ酸(25%)は血糖低下に効果がない)
材料と方法
精製チコリ酸(25%)
精製チコリ酸を、商業的供給源より得た。要するに、植物源より抽出されたポリフェノール類を、吸着性樹脂で精製して、ポリフェノール類が豊富で約25%のチコリ酸を含有する産物を得た。
【0133】
薬理学的プロトコル
プロトコルは、実施例4と同様であるが、処理の開始前にC57BL/6マウスを一週間高脂肪食に供し、高血糖症を誘導した。その後、25%精製チコリ酸を、強制経口投与で、体重1kgあたり200mg(200 mg/kg)の用量を8週間にわたり与えた。
【0134】
結果
絶食時血糖に対する効果(
図8)
CLEとの差異において、精製チコリ酸(25%)は、8週間の処理後、糖尿病前症マウスの絶食時血糖に何ら影響を示さなかった(
図8)。
【0135】
結論
従って、例えチコリ酸がCLEの効能に必須の成分であっても、それでは不十分である。チコリ酸精製において抑制されているコファクターもまた、糖尿病前症マウスの絶食時血糖の低下におけるCLEの効果に重要である。
【0136】
(実施例8:チコリ葉抽出物(CLE)はエキナシア葉抽出物(Echinacea Leaf Extract;EchLE)よりも強力である)
材料と方法
エキナシア(Echinacea)葉抽出物(EchLE)-抽出方法
EchLEを、実施例1に記載された抽出方法に従って抽出した。EchLEは3.32%のチコリ酸を含有した。
チコリ葉抽出物(CLE)-抽出方法
CLEを、実施例2に記載された抽出方法に従って抽出した。CLEは4.68%のチコリ酸を含有した。
【0137】
薬理学的プロトコル
プロトコルは、実施例6と同一である。処理の開始前に、C57BL/6マウスを一週間高脂肪食に供し、糖尿病前症を誘導した。その後、CLE及びEchLEは、強制経口投与で、体重1kgあたり200mg(200 mg/kg)の用量を3週間にわたり与えた。
【0138】
結果
絶食時血糖に対する効果(
図9)
CLE抽出物は、糖尿病前症のマウスの血糖を(正常対照で観察された正常値に対して)平均31.5%低下させた。この効果は、処理の最初の週から明らかに有意であり、最長で調査の終わりまで続いた(
図9:7日目で*p<0.05並びに14及び21日目で***p<0.001)。
【0139】
EchLEは、より非常に低い効果を示した。EchLEは、糖尿病前症マウスの血糖を、平均で13.1%低下させた。この効果は21日目で有意であったが(
図9: p<0.05)、7及び14日目では顕著でなかった。
【0140】
血中インスリン抵抗性(
図10)
処理期間の終わり(21日)において、絶食時インスリン血もまた、高脂肪食により、通常食下におけるマウスの2.43 ± 0.20 ng/mlと比較して有意に増加して、5.26 ± 0.27 ng/mlに達した。絶食時血糖及びインスリン血におけるこの増大に伴い、インスリン抗性指数(HOMA-IR)は、3倍に増大し、プロトコルの終わりには、マウスは明らかなインスリン抵抗性を示した。
【0141】
CLEは、高脂肪食により誘導される、絶食時血中インスリンレベルを有意に低下させ、4.16 ± 0.23ng/mlとした(
図10: **p<0.01)。従って、インスリン抵抗性指数(HOMA-IR)によると、CLEは、糖尿病前症マウスにおいて高脂肪食により誘導されたインスリン抵抗性を、45.9%低下させた(
図10:***p<0.001)。
【0142】
同条件で、EchLEは、インスリン血をわずかに低下(4.16±0.24ng/ml)させたが、この効果は統計的に有意ではない。また、インスリン抵抗性は18.7%低下したが、有意ではなかった(
図10)。
【0143】
結論
チコリ葉抽出物(CLE;4.68%チコリ酸を含有する)は、体重1kg あたり200mg(200mg/kg)の用量で、糖尿病前症マウスにおいて、高血糖症、高インスリン血並びにインスリン抵抗性を顕著に低下させた。この効果は、抽出物中における十分量のチコリ酸の存在と関連するが、非常に多量のチコリ酸(3.32%チコリ酸)を含有するエキナシア(Echinacea)葉抽出物(EchLE)が、より低い効果を呈するため、チコリ源とも関連している。チコリ植物に存在するが、エキナシアには存在しないコファクターが、CLEの効果に重要である。
【0144】
以上より、この結果は、チコリに由来する抽出物のチコリ酸およびコファクターは、CLEの効果に重要であることを示す。