【文献】
吉武 裕,不均一性をもつ電動機固定子の動吸振器による制振,日本機械学会論文集,日本,日本機械学会,2014年12月10日,Vol.81,No.821
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】回転機械の制振方法の実施形態の原理を説明するためのモデル図であって、回転機械の軸に垂直な断面図である。
【
図2】回転電機の固定子にかかる電磁力の分布の例を示す図である。
【
図3】回転機械の円環振動モードモデルによる解析結果の例を示す図であって、2個のフードダンパをθ
1=0度とθ
2=45度の位置に取り付けた場合で、各フードダンパの質量比μ
Hが0.025の場合の、cosモード振動、sinモード振動およびそれらの合計の振動の各振幅を、フードダンパを取り付けない場合と比較して示す図である。
【
図4】回転機械の円環振動モードモデルによる解析結果の例を示す図であって、2個のフードダンパをθ
1=0度とθ
2=45度の位置に取り付けた場合で、各フードダンパの質量比μ
Hが0.05の場合の、cosモード振動、sinモード振動およびそれらの合計の振動の、各振幅を、フードダンパを取り付けない場合と比較して示す図である。
【
図5】回転機械の円環振動モードモデルによる解析結果の例を示す図であって、
図3(質量比μ
H=0.025の場合)における2個のフードダンパの開き角Δθ=│θ
2−θ
1│を変えた場合の開き角Δθと振幅との関係を示す図である。
【
図6】回転機械の円環振動モードモデルによる解析結果の例を示す図であって、
図4(質量比μ
H=0.05の場合)における2個のフードダンパの開き角Δθ=│θ
2−θ
1│を変えた場合の開き角Δθと振幅との関係を示す図である。
【
図7】回転機械の円環振動モードモデルによる解析結果の例を示す図であって、2個のフードダンパをθ
1=0度とθ
2=33度の位置に取り付けて、さらに不均一質量体をθ
1=0度の位置に取り付けた場合で、各フードダンパの質量比μ
Hが0.025、不均一質量体の質量比μ
Iが0.1の場合の、cosモード振動、sinモード振動およびそれらの合計の振動の、各振幅を、不均一質量体がない場合と比較して示す図である。
【
図8】回転機械の円環振動モードモデルによる解析結果の例を示す図であって、2個のフードダンパをθ
1=0度とθ
2=57度の位置に取り付けて、さらに不均一質量体をθ
1=0度の位置に取り付けた場合で、各フードダンパの質量比μ
Hが0.025、不均一質量体の質量比μ
Iが0.1の場合の、cosモード振動、sinモード振動およびそれらの合計の振動の、各振幅を、不均一質量体がない場合と比較して示す図である。
【
図9】回転機械の円環振動モードモデルによる解析結果の例を示す図であって、2個のフードダンパをθ
1=0度とθ
2=36度の位置に取り付けて、さらに不均一質量体をθ
1=0度の位置に取り付けた場合で、各フードダンパの質量比μ
Hが0.05、不均一質量体の質量比μ
Iが0.1の場合の、cosモード振動、sinモード振動およびそれらの合計の振動の、各振幅を、不均一質量体がない場合と比較して示す図である。
【
図10】回転機械の円環振動モードモデルによる解析結果の例を示す図であって、2個のフードダンパをθ
1=0度とθ
2=54度の位置に取り付けて、さらに不均一質量体をθ
1=0度の位置に取り付けた場合で、各フードダンパの質量比μ
Hが0.05、不均一質量体の質量比μ
Iが0.1の場合の、cosモード振動、sinモード振動およびそれらの合計の振動の、各振幅を、不均一質量体がない場合と比較して示す図である。
【
図11】回転機械の円環振動モードモデルによる解析結果の例を示す図であって、
図7および
図8(質量比μ
H=0.025の場合)における2個のフードダンパの開き角Δθ=│θ
2−θ
1│を変えた場合の開き角Δθと振幅との関係を示す図である。
【
図12】回転機械の円環振動モードモデルによる解析結果の例を示す図であって、
図9および
図10(質量比μ
H=0.05の場合)における2個のフードダンパの開き角Δθ=│θ
2−θ
1│を変えた場合の開き角Δθと振幅との関係を示す図である。
【
図13】本発明の第1の実施形態に係る回転機械を模式的に示す図であって、軸に垂直な断面図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態に係る回転機械を模式的に示す図であって、軸に垂直な断面図である。
【
図15】本発明の第3の実施形態に係る回転機械を模式的に示す図であって、軸に垂直な断面図である。
【
図16】本発明の第4の実施形態に係る回転機械を模式的に示す図であって、軸に垂直な断面図である。
【
図17】本発明の第5の実施形態に係る回転機械を模式的に示す図であって、軸に垂直な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照して、本発明に係る回転機械およびその制振方法の実施形態について説明する。
【0015】
初めに、本発明に係る回転機械およびその制振方法の実施形態の原理について説明する。ここでは、回転機械の例として電動機を想定する。
【0016】
図1は、回転機械の制振方法の実施形態の原理を説明するためのモデル図であって、回転機械の軸に垂直な断面図である。また、
図2は、回転電機の固定子にかかる電磁力の分布の例を示す図である。
【0017】
ハンマリング試験において、電磁振動が問題となる数千Hz以下の振動数範囲には軸方向に節があるモードが得られないことが知られている。そのため、簡単のために、電動機固定子およびその外側の固定子枠を含めた固定支持部材10を、変位の軸方向の分布を考えない
図1に示すような一様な円環で近似することとする。また、不均一質量体が円環のモードには影響を及ぼさず、不均一質量体は単に慣性力として作用すると仮定する。
【0018】
固定支持部材10は円筒形で、厚さが周方向に一様であるとする。固定支持部材10内に、固定支持部材10の軸と共通の軸の周りに回転する回転子(図示せず)が配置されている。固定支持部材10の外側に、円周方向の角度α=α
p(p=1,・・・,P)の位置にP個の不均一質量体11(質量:m
Ip)を設置し、また、円周方向の角度θ=θ
j(j=1,・・・,N)の位置にN個のフードダンパ(Houde Damper)30を設置する。フードダンパ30とは、一般に、抵抗要素13(減衰係数:c
Hj)と、その先に取り付けられたダンパ質量体14(質量:m
Hj)とからなる振動減衰装置を言う。ここでは、固定支持部材10は円環振動をすることを想定しているので、ダンパ質量体14は少なくとも半径方向に移動可能なものとする。
【0019】
固定支持部材10の半径方向の変位uは、M個の振動モードを考慮するとき、次式(1)で表される。
【0021】
ここに、
θ:円周方向の座標(rad)(反時計回りが正)
i:円周方向の振動モードを表す整数
a:θ=0に腹をもつcos型のモードiの変位
b:θ=π/(2i)に腹をもつsin型のモードiの変位
【0022】
電動機に作用する外力として一般的なものは、半径方向に作用する力が円周方向に分布するとともに円周方向に回転する電磁力であるので、それを次式(2)で表す。
【0024】
ここに
s:電磁力のモードを表す整数
Ω
s:モードsをもつ電磁力の角振動数
F
s:モードsの電磁力の振幅
【0025】
実際の電磁力は多くの振動数成分を含むが、簡単のためF
scos(Ωst+sθ)の成分のみが作用する場合を考える。また、不均一質量体はそれほど大きくないとして、慣性力として取り扱うこととし、固定子に粘性減衰力も作用するとし、i次モードのみ採用し、i=sの場合を扱うとき、運動方程式は以下の式(3)〜式(5)のようになる。
【0029】
ここに
r:円環の半径
E:円環支持部材の縦弾性係数
A:断面積(長方形断面の場合は円環の厚さHと軸方向長さLとの積)
I:円環の面に垂直な主軸に関する断面二次モーメント(長方形断面の場合はLH
3/
12)
ρ:円環支持部材の密度
c
0i:主系の粘性減衰係数(i=1,・・・,M)
x
j:θ=θ
jに設置したフードダンパの変位
C
Hj:θ=θ
jに設置したフードダンパの粘性減衰係数(j=1,・・・,N)(C
Hj=2γ
Hjm
Hjω
02)
m
Hj:θ=θ
jに設置したフードダンパの質量
m
Ip:θ=α
pに設置した不均一質量体の質量
P:不均一質量体の個数
N:フードダンパの個数
【0030】
ここではi=2のモードを例に取ることとし、不均一質量体とフードダンパによる制振を考える。例えば、フードダンパ2個では式(3)〜式(5)の定常解を次の式(6)〜式(9)のようにおく。
【0031】
a
2=A
1cosΩ
2t+B
1sinΩ
2t (6)
b
2=A
2cosΩ
2t+B
2sinΩ
2t (7)
x
1=A
3cosΩ
2t+B
3sinΩ
2t (8)
x
2=A
4cosΩ
2t+B
4sinΩ
2t (9)
なお、iが0の場合は、円環の形状がそのままの形状で大きくなったり小さくなったりする振動となる。また、iが1の場合は、円環の形状および大きさがそのままで、一つの周方向の位置とその反対側に交互に変位する振動となる。
【0032】
iが2の場合は、
図2に示すように、周方向に90度ごとに、振幅が最大となる腹と、腹と腹との中間位置にあって振幅が最小となる節とが形成される。iが3以上の場合も、周方向に等間隔に交互に腹と節が形成される。
【0033】
[数値解析結果]
[2個のフードダンパがある場合]
ここでは、不均一質量体がなく、フードダンパのみ用いることにより電動機固定子の制振がどこまで可能かを調べる。なお、以下の共振曲線では、縦軸は次式(10)で示すように、式(1)で表される半径方向の変位uの2乗を空間と時間で平均したものを(F
2π/k
02)
2で除して無次元化したもので定義している(k
02=9EIπ/r
3、T=2π/Ω
2)。
【0035】
また、横軸もν=Ω
2/ω
02として電磁力の角振動数を2次モードの固有角振動数で無次元化している(ω
022=36EI/5ρAr
4)。よって、横軸のν=1が主系の2次モードの無次元固有角振動数、つまり、共振点となる。なお、主系の減衰比γ
iは0.02、フードダンパの減衰比γ
Hはすべて0.25を用いた。
【0036】
まず、固定子の外周上に2個のフードダンパのみがある場合を考える。フードダンパが2個あり、不均一質量体がない場合の共振曲線を
図3および
図4に示す。フードダンパの設置位置はθ
1=0度およびθ
2=45度とする。
図3は、各フードダンパの質量比がいずれもμ
H=m
H1/{(5/4)πrρA}=m
H2/{(5/4)πrρA}=0.025の場合である。また、
図4は、フードダンパの設置位置がθ
1=0度およびθ
2=45度で、各ダンパの質量比がいずれもμ
H=0.05の場合である。
【0037】
図3および
図4で、太い実線20は、上記2個のフードダンパがある場合を示す。そのうちのcosモードのみ抽出したときの値を破線21で示し、sinモードのみ抽出したときの値を一点鎖線22で示す。ただし、
図3および
図4では、破線21と一点鎖線22は重なっている。さらに、フードダンパが無い場合を細い実線23で示す。
【0038】
図3から、フードダンパ1個当りの質量比μ
H=0.025の場合(太い実線20)、最大振幅をフードダンパがないとき(細い実線23)の約2/3にまで下げられることがわかる。また、
図4から、質量比μ
H=0.05の場合では約1/2にまで下げられることがわかる。フードダンパの質量比μ
Hが大きいほど制振効果が大きい。
【0039】
図5および
図6は、2個のフードダンパの開き角Δθによる共振振幅の違いを調べたものである。縦軸が最大振幅、横軸が2個のフードダンパの開き角Δθ=│θ
2−θ
1│である。
図5はフードダンパの1個当りの質量比がμ
H=0.025の場合を示し、
図6はフードダンパの1個当りの質量比がμ
H=0.05の場合を示している。
図5および
図6から、フードダンパの質量比μ
Hによらず、2個のフードダンパの開き角が振動モードの腹と節の間隔の45度のとき、共振振幅の値が最も低くなっていることがわかる。
【0040】
[1個の不均一質量体と2個のフードダンパがある場合]
ここでは、不均一質量体とフードダンパの両方がある場合を取り扱う。不均一質量体1個をα
1=0度の位置に設置し、その質量比はμ
I=m
I1/{(5/4)πrρA}=0.1とする。フードダンパは2個設置する。このときの共振曲線を
図7ないし
図10に示す。
図7は、フードダンパの設置位置がθ
1=0度およびθ
2=33度で、2個のフードダンパの質量比がいずれもμ
H=0.025の場合を示す。
図8は、フードダンパの設置位置がθ
1=0度およびθ
2=57度で、質量比がいずれもμ
H=0.025の場合を示す。
図9は、フードダンパの設置位置がθ
1=0度およびθ
2=36度で、質量比がいずれもμ
H=0.05の場合を示す。
図10は、フードダンパの設置位置がθ
1=0度およびθ
2=54度で、質量比がいずれもμ
H=0.05の場合を示す。
【0041】
図7ないし
図10における各曲線の種類は
図3および
図4と同様とする。すなわち、太い実線20は、上記2個のフードダンパがある場合を示す。そのうちのcosモードのみ抽出したときの値を破線21で示し、sinモードのみ抽出したときの値を一点鎖線22で示す。さらに、フードダンパが無い場合を細い実線23で示す。
【0042】
図7ないし
図10より、α
1=0度の位置に設置した不均一質量体により、cosモード成分(破線21)の固有振動数すなわち共振点が低くなり、sinモード成分(一点鎖線22)の固有振動数に変化はないということがわかる。また、cosモードとsinモードの共振点がずれるため、
図7ないし
図10を
図3および
図4と比較すると、cosモードとsinモードを足し合わせると(太い実線20)、そのピークの値はかなり低くなっていることがわかる。また、
図7および
図8と、
図9および
図10との比較により、不均一質量体がない場合(
図3および
図4)と同様に、フードダンパの質量比μ
Hが大きいほど最大振幅が低いことがわかる。
【0043】
図11および
図12は、
図5および
図6と同様に、2個のフードダンパの開き角Δθによる共振振幅の違いを調べたものである。縦軸が最大振幅、横軸が2個のフードダンパの開き角Δθである。
図11および
図12はそれぞれ、質量比がμ
H=0.025の場合とμ
H=0.05の場合を示す。
図11および
図12から、振動モードの腹と節の間隔の45度に近づくにつれて最大振幅が低くなっていることがわかる。ただし、不均一性がないときと異なり、開き角が55度付近で最大振幅が一番小さくなっている。これは、不均一質量体の影響であり、フードダンパの減衰が高いことも関係していると思われる。また、2個のフードダンパの開き角をおおよそ35度ないし65度にすることで制振効果が大きいことがわかる。
【0044】
次に、本発明の実施形態に係る回転機械について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0045】
[第1の実施形態]
図13は、本発明の第1の実施形態に係る回転機械を模式的に示す図であって、軸に垂直な断面図である。
【0046】
この実施形態では、回転電機の振動を抑制する場合を例にとって説明する。円筒状の固定支持部材(固定子および固定子枠)10の半径方向内側に円筒状の回転子(回転部材)50が配置されている。固定支持部材10は環状のギャップ51を介して回転子50を取り囲んでいる。回転子50は図示しない軸受を介して固定支持部材10により、回転可能に支持されている。固定支持部材10は図示しない脚等により、基礎に固定されている。
【0047】
この実施形態では、固定支持部材10の外壁面上で円周角0度の位置に1個の不均一質量体11が取り付けられている。さらに、固定支持部材10の外壁面上で円周角θ
1=90度の位置に第1のフードダンパ30aが取り付けられ、円周角θ
2=45度の位置に第2のフードダンパ30bが取り付けられている。これらのフードダンパ30a、30bそれぞれは、固定支持部材10の外壁面上に固定されたダンパ容器31a、31bと、各ダンパ容器31a、31b内で移動できる程度に収納されたダンパ媒体32a、32bとを含む。ダンパ媒体32a、32bは、たとえば、砂などの粒状体、粉状体、あるいは、油などの粘性流体などである。
【0048】
固定支持部材10が振動したときに、固定支持部材10とともにダンパ容器31a、31bが振動する。これによってダンパ容器31a、31b内のダンパ媒体32a、32bがダンパ容器31a、31b内で動くが、ダンパ媒体32a、32bが動く際に摩擦力等による抵抗力が発生する。これにより、固定支持部材10の動きに抵抗する力が働く。
【0049】
この実施形態は、上記「数値解析結果」の説明における「1個の不均一質量体と2個のフードダンパがある場合」に対応する。そしてiが2の場合(
図2参照)を考えると、不均一質量体11が腹の位置にあるとすると、これからθ
1=90度離れた位置にある第1のフードダンパ30aも腹の位置にあり、これらから45度離れたθ
2=45度の位置にある第2のフードダンパ30bは節の位置にある。
【0050】
不均一質量体11の質量と固定支持部材10の質量との比μ
Iは、たとえば0.1程度である。
【0051】
フードダンパ30a、30bそれぞれの質量(ダンパ媒体32の質量)と固定支持部材10の質量との比μ
Hは、好ましくは0.025以上、さらに好ましくは0.05以上であるが、それには限定されない。
【0052】
また、θ
1=90度、θ
2=45度という角度位置については、不均一質量体11の周方向の位置を0度としてその位置が腹の位置であるとするときにそれぞれ、腹の位置または節の位置であればよい。すなわち、θ
1は、0度、90度、180度、270度のいずれかであればよく、θ
2は、45度、135度、225度、315度のいずれかであればよい。さらにそれらの位置は、たとえば腹の位置または節の位置に近いものであればよく、それぞれ、互いに隣接する腹と節の間隔(45度)の1/2以内、すなわち±22.5度の範囲であれば効果がある。たとえばθ
2について、それらの範囲は、22.5〜67.5度、112.5〜157.5度、202.5〜247.5度、292.5〜337.5度、のいずれかとなる。
【0053】
この実施形態により、前述のように、大きな振動減衰効果を得ることができる。しかもこの場合に、この回転機械(回転電機)の回転数が変化した場合であっても、振動減衰効果を得ることができる。
【0054】
また、この実施形態では、フードダンパ30a、30bの構造が、それぞれ、ダンパ容器31a、31bと、このダンパ容器31a、31b内で移動するダンパ媒体32a、32bとを組み合わせた簡単な構造であるから、製造が容易であって、安価に実現できる。
【0055】
また、この実施形態の変形例として、フードダンパ30a、30bを、
図1に示すような、抵抗要素13と、その先に取り付けられたダンパ質量体14とからなる構造としてもよい。抵抗要素13は、固定支持部材10に固定された固定支持部材側抵抗要素部材と、ダンパ質量体14に固定されたダンパ質量体側抵抗要素部材とを備え、固定支持部材側抵抗要素部材とダンパ質量体側抵抗要素部材との間の半径方向の相対的移動速度に応じて半径方向の抵抗力が発生する。
【0056】
[第2の実施形態]
図14は、本発明の第2の実施形態に係る回転機械を模式的に示す図であって、軸に垂直な断面図である。
【0057】
この実施形態は第1の実施形態の変形であって、第1のフードダンパ30aの周方向位置が不均一質量体11の周方向位置と一致していて、第1のフードダンパ30aが不均一質量体11の半径方向外側に取り付けられている。その他の構成は、第2のフードダンパ30bの取り付け位置を含めて、第1の実施形態と同様である。
【0058】
この場合の不均一質量体11ならびに第1および第2のフードダンパ30a、30bによる制振効果は、第1の実施形態と同様である。
【0059】
[第3の実施形態]
図15は、本発明の第3の実施形態に係る回転機械を模式的に示す図であって、軸に垂直な断面図である。
【0060】
この実施形態は第2の実施形態の変形であって、第2の実施形態の不均一質量体11と第1のフードダンパ30aとを一体化したものである。すなわち、この実施形態では、第1のフードダンパ30aのダンパ容器31aの質量を大きくして、これに不均一質量体の機能を持たせる。その他の構成は、第2のフードダンパ30bなどの構成を含めて第2の実施形態と同様である。
【0061】
この実施形態によれば、第2の実施形態と同様の振動抑制効果が得られるとともに、部品数を減らすことができる。
【0062】
[第4の実施形態]
図16は、本発明の第4の実施形態に係る回転機械を模式的に示す図であって、軸に垂直な断面図である。
【0063】
この実施形態は第1の実施形態の変形である。この第4の実施形態では、第1の実施形態における第1のフードダンパ30aを2分割して、第3のフードダンパ30cと第4のフードダンパ30dとで置き換える。第3および第4のフードダンパ30c、30dの周方向位置はそれぞれ、θ
3=90度、θ
4=270度とする。これらのフードダンパ30c、30dのダンパ容器の質量はそれぞれが第1の実施形態における第1のフードダンパ30aのダンパ媒体の質量の1/2とする。
【0064】
同様に、第1の実施形態における第2のフードダンパ30bを2分割して、第5のフードダンパ30eと第6のフードダンパ30fとで置き換える。第5および第6のフードダンパ30e、30fの周方向位置はそれぞれ、θ
5=45度、θ
6=315度とする。これらのフードダンパ30e、30fのダンパ容器の質量はそれぞれが第1の実施形態における第2のフードダンパ30bのダンパ容器の質量の1/2とする。
【0065】
その他の構成は、不均一質量体11などを含めて、第1の実施形態と同様である。
【0066】
この実施形態によれば、第3および第4のフードダンパ30c、30dによる制振効果を合わせると第1の実施形態の第1のフードダンパ30aによる制振効果と同等になる。また、第5および第6のフードダンパ30e、30fによる制振効果を合わせると第1の実施形態の第2のフードダンパ30bによる制振効果と同等になる。
【0067】
よって、この実施形態による制振効果全体で第1の実施形態の場合と同等となる。
【0068】
なお、上記実施形態では、第1の実施形態における第1のフードダンパ30aおよび第2のフードダンパ30bそれぞれを2分割するものとしたが、第1のフードダンパ30aおよび第2のフードダンパ30bの一方のみを2分割してもよい。また、2分割に限らず、3以上に分割してもよい。
【0069】
[第5の実施形態]
図17は、本発明の第5の実施形態に係る回転機械を模式的に示す図であって、軸に垂直な断面図である。
【0070】
上記第1〜第4の実施形態では、固定支持部材10に1個の不均一質量体と2個以上のフードダンパとを取り付けるものとしたが、この第5の実施形態では、固定支持部材10に不均一質量体を取り付けない。
図17に示すように、固定支持部材10に、2個のフードダンパ30a、30bが取り付けられている。フードダンパ30a、30bの取り付け位置は、たとえば、θ
1=0度とθ
2=45度の位置である。
【0071】
この実施形態は、上記「数値解析結果」の説明における「2個のフードダンパがある場合」に対応する。
【0072】
この実施形態によれば、前述のように、第1〜第4の実施形態の1個の不均一質量体を取り付けた場合に比べると制振効果が小さいが、それでも有意の制振効果を得ることができる。また、不均一質量体を取り付ける必要がないので、より簡素な構造とすることができる。
【0073】
[他の実施形態]
上記実施形態の説明では、回転電機を例にとったが、この発明では、回転電機以外にも一般的に回転機械に適用することができる。
【0074】
上記実施形態の説明では、固定支持部材10の外側に不均一質量体11を取り付けるものとしたが、固定支持部材10と不均一質量体11は一体に形成されていてもよい。また、固定支持部材10の外側に形成される冷却用のフィンや端子箱等による不均一質量を不均一質量体11と見なして取り扱うこともできる。
【0075】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。