特許第6346578号(P6346578)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346578
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】クロロゲン酸を含む味覚改変剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20180611BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20180611BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20180611BHJP
   C07C 67/58 20060101ALI20180611BHJP
   C07C 69/732 20060101ALI20180611BHJP
   C07C 69/734 20060101ALI20180611BHJP
   C12G 3/04 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   A23L2/00 B
   A23L2/00 G
   A23L2/00 T
   A23L27/00 E
   A23L33/105
   C07C67/58
   C07C69/732 Z
   C07C69/734 Z
   C12G3/04
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-45789(P2015-45789)
(22)【出願日】2015年3月9日
(62)【分割の表示】特願2013-142246(P2013-142246)の分割
【原出願日】2002年6月12日
(65)【公開番号】特開2015-164422(P2015-164422A)
(43)【公開日】2015年9月17日
【審査請求日】2015年4月7日
【審判番号】不服2017-4569(P2017-4569/J1)
【審判請求日】2017年4月3日
(31)【優先権主張番号】09/880,420
(32)【優先日】2001年6月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(74)【代理人】
【識別番号】100195419
【弁理士】
【氏名又は名称】矢後 知美
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ミンジイェン
(72)【発明者】
【氏名】ヘウスラー,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】ファン リーアサム,ハンス
【合議体】
【審判長】 山崎 勝司
【審判官】 窪田 治彦
【審判官】 井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−23939(JP,A)
【文献】 特開平7−135938(JP,A)
【文献】 特開平10−248501(JP,A)
【文献】 特開平9−221667(JP,A)
【文献】 特開平4−27374(JP,A)
【文献】 特開平6−38723(JP,A)
【文献】 国際公開第01/06866(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L27/00-27/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品における、オフテイストの低減またはマスキングのための、クロロゲン酸の使用であって、オフテイストが、無栄養甘味料の金属的な味および/または苦味、アルコールの焼けるような味覚、または二酸化炭素の焼けるような感覚である、前記使用。
【請求項2】
クロロゲン酸を含む、オフテイスト低減またはマスキング用添加剤であって、オフテイストが、無栄養甘味料の金属的な味および/または苦味、または、アルコール焼けるような味覚、または二酸化炭素の焼けるような感覚である、前記添加剤
【請求項3】
消耗品がクロロゲン酸を0.0001%W/V〜0.1%W/Vの濃度で含むように消耗品に添加される、請求項2に記載の剤
【請求項4】
消耗品がクロロゲン酸を0.001%W/V〜0.1%W/Vの濃度で含むように消耗品に添加される、請求項2または3に記載の剤。
【請求項5】
非栄養甘味料の金属的な味および/または苦味をマスキングまたは低減するための、請求項2〜4のいずれか一項に記載の添加剤。
【請求項6】
クロロゲン酸が、3−CQA、4−CQA、5−CQA、3−FQA、4−FQA、5−FQA、3−p−CoQA、4−p−CoQA、5−p−CoQA、3,4−diCQA、3,5−diCQA、4,5−diCQA、3,4−CFQA、3,5−CFQA、4,5−CFQAまたはそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項2〜5のいずれか一項に記載の添加剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
食料製品、飲料、薬品などのさまざまな消耗品(consumables)は、苦味や製品全体の味に悪影響を与えたり、あるいは引き起こしたりしうるような物質をも含むことがある。 多くの例においては、そのような食品の味は苦味の特徴ある物質を減らすか取り除くか、あるいはその一方で苦味のない風味をもつ物質により漬け込んだり味全体への寄与を高めさせたりすることで改良されうる。
【0002】
例えばサッカリン、アスパルテームのような人工甘味料とも呼ばれる無栄養甘味料は苦味を供する物質のほんの一例である。それゆえ無栄養甘味料群によって味付けされたビール、コーヒー、ソフトドリンク、デザートや医薬品産物が多くの消費者によって一般的に好ましくないとみなされる苦い風味や後味を持つことがある。
【0003】
無栄養甘味料の普及と人気により、いくつかのこれらの無栄養甘味料を含む消耗品の味覚側面の改変のための方法が記述されてきた。たとえば米国特許3,296,079号において0.003%〜160%のマルトールを無栄養甘味剤によって甘味を添加した食品に添加することでよくない後味を覆い隠すことができることを明らかにしている。米国特許4,303,794号では、2,4,6,3’−テトラヒドロキシ−4’−メトキシデヒドロカルコンの苦い後味を最小化するための脂肪族ポリオールの添加について明らかにしている。米国特許4,758,438号、3,647,482号、および3,667,969号は、それぞれタンパク質タウマチンやモネリン、(核酸)リボヌクレオシド、リボヌクレオチド、およびそのデオキシ型誘導体、あるいはD−ガラクトースそれぞれの添加によりサッカリンの苦い後味が減少されることを明らかにしている。米国特許5,336,513号は、桂皮酸のある誘導体およびその塩がサッカリンやアセサルフェームKの無栄養甘味料で甘みを付けた薬品や食料品や飲料のような消耗品材料の苦さを阻害することを明らかにした。
【0004】
方法としてはまた、甘みの特性を高めることによる食料品や飲料を改変する方法もまた記述されてきた。たとえば、米国特許3,867,557号および3,908,026号では、甘味の特性を高める組み合わせになるパラメトキシシンナムアルデヒド(PMCA)と他未知の自然、あるいは合成甘味剤との混合もしくは共溶方法を明らかにしている。これらの特許はPMCAがバニリンとインスタントコーヒーの風味特徴を高め、一方でそれらにかかわる苦味を抑制することを明らかにしている。米国特許3,924,017号および3,916,028号で明らかにされた過程では、クロロゲン酸、カフェイン酸、サイナリン(cynarine)およびそれらの異性体の塩が甘みを誘導し、非常に好ましい甘みの特性を水や牛乳などの甘みのない食料品や、甘みの非常に低い食品に与えることを明らかにしている。
上記先行技術における活性は、しばしば消耗品におこる好ましくないオフテイストを改変するためのさらに進んだ、よりよい方法の必要性を反映するものである。
【0005】
驚くべきことに、我々は今、消耗品中にクロロゲン酸を含めることで当該消耗品中の好ましくないオフテイストが改変されたり、味覚や味覚認識が改良されることを見出した。
それゆえ、この発明は当該消耗品のオフテイストを改変する量のクロロゲン酸を含む消耗品の最初の知見を供するものである。
【0006】
十分な消耗品に加えるクロロゲン酸の量はオフテイストを改変するのに十分であり、たとえば消耗品中に約0.0001%W/V〜約0.1%W/V、より好ましい量としては約0.001%W/V〜0.1%W/Vで使用できる。しかしながら、当業者はオフテイストを減少する効果や、味覚を上げる効果はいくつかの要素、たとえば消耗品の型、クロロゲン酸の供給源、望まれる改変の量または質、あるいはその両方、オフテイストに関わる基質(群)、他の好ましい、あるいは好ましくない味覚構成要素の存在に依存すること、および味の感者にとって好ましい効果は、その範囲の内外において作用することによって達成される可能性があることを認識するであろう。
【0007】
オフテイストは 食品製品に加えられたり、あるいは存在している1種または2種以上の成分の結果として形成されうる。オフテイストは無栄養(人工)甘味料によって与えられることもある。無栄養甘味料によりつくられるオフテイストは、金属的および/または苦味として表現されている。無栄養甘味料はソフトドリンク類、日常食料製品類、デザート製品類、味付け製品類、サラダドレッシング類、ソース類、調味料類、アルコール飲料類、菓子類、ガム類、薬品類を含めて、際限なく広大な消耗品の範疇に存在している。無栄養甘味料の例としてはL−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)、サッカリンとその塩類、アセサルフェーム塩(たとえばアセサルフェームK)、シクロヘキシスルファミン酸、ジヒドロカルコン、キシリトール、ネオタム(neotame)、スクラロース、アリタムシクラメート、ステビオール誘導体、などが含まれる。
【0008】
この発明の別の側面は、人工甘味料によって与えられたオフテイストを改変もしくは隠すために十分な、ある一定量のクロロゲン酸を含む消耗品である。
【0009】
オフテイストは消耗品製品中のアルコールにより与えられることがある。アルコールには穀物アルコールと発酵産物(ビールおよびワイン)、それ単独もしくは他の要素との組み合わせを含む。アルコールにより作られるオフテイストは、焼けるような味覚を与えるものとして表現されている。アルコールを含む消耗品中のクロロゲン酸の濃度は、およそ0.0001%W/V〜0.1%W/V、より好ましい量としては約0.001%W/V〜0.1%W/V、もっとも好ましい濃度としては0.03%W/V〜0.05%W/Vである。
【0010】
オフテイストは大豆製品によっても与えられることがある。本明細書において、大豆とは、単独、または栄養補給食品のように組み合わせで用いられる大豆油、または薬剤、豆腐、豆乳、大豆バター、大豆ペーストのような、大豆をあらゆる形態で含む全ての消耗品である。大豆製品によってもたらされるオフテイストは、豆様の(beany)、アルデヒド様の味を与えるものとして表現されている。本発明の一側面において、大豆製品を含む消耗品中のクロロゲン酸濃度はおよそ0.0001%W/V〜0.1%W/V、より好ましい濃度は約0.0005%W/V〜0.05%W/V、最も好ましい濃度は約0.001%W/V〜約0.01%W/Vの範囲である。
【0011】
オフテイストは生産物中の炭酸によることもある。炭酸製品の例としては、コーラ、柑橘風味飲料、エール、ビールおよびこれらの製品を含む、氷や氷菓など他の消耗品を含む。炭酸製品のオフテイストは、焼けるような感覚(burning sensation)として表現されている。炭酸製品のクロロゲン酸の濃度は約0.001%W/V〜約0.1%W/V、より好ましい濃度は約0.0005%W/V〜約0.05%W/V、最も好ましくは約0.001%W/V〜約0.02%W/Vの範囲である。
【0012】
オフテイストを改変するほかに、クロロゲン酸は、そのオフテイスト知覚能力を下げ、および/または甘みに対する総体的な知覚能力を増大させることによって、オフテイストを覆い隠すこともできる。
【0013】
本明細書において、「消耗品」とは、摂取した人間や動物が使用するための、使用者の口に入り、そして排出される全ての製品を広範に含む。これらには、あらゆる形で、栄養価を与えるかどうかに関わらず、食品や飲料を含む。たとえば穀物製品類、米製品類、タピオカ製品類、サゴヤシ製品類、パン製品類、ビスケット製品類、菓子パン製品類、ブレッド製品類、菓子製品類、デザート製品類、ガム類、チューインガム類、チョコレート類、氷類、蜂蜜製品類、糖蜜製品類、イースト製品類、ベーキングパウダー、塩およびスパイス類、調味製品類、からし製品類、ビネガー製品類、ソース類(薬味)、タバコ製品類、葉巻類、紙巻タバコ類、加工食品類、調理された果物および野菜類、肉および肉製品類、ゼリー類、ジャム類、フルーツソース類、卵製品類、牛乳およびデイリー製品類、チーズ製品類、バターおよびバター代用製品類、牛乳代用製品類、大豆製品類、食用油および脂質製品類、薬剤類、飲料類、アルコール飲料類、ビール類、ソフトドリンク類、ミネラルウォーターおよび炭酸水類、他のノンアルコール飲料類、フルーツ飲料類、フルーツジュース類、コーヒー、コーヒー加工品類、茶、ココアなど、また再加工を必要とする形態、食品抽出物、植物抽出物、肉抽出物、薬味類、甘味料類、栄養補給食品類、ゼラチン類、薬剤、または非薬剤用ガム類、錠剤類、甘味料入り錠剤類、ドロップ類、エマルジョン類、エリキシル(薬品用甘味料)類、シロップ剤、他の飲料をつくるための調合物を含んでいる。
【0014】
クロロゲン酸は消耗品に直接加えられるか、または消耗品のある成分中に事前に混ぜてもよい。たとえば、それはその後に消耗品の残り成分に加えられ、組成物を形成するための、オフテイストを作り出す原因になる成分と混ぜてもよい。
【0015】
本発明の別の側面においては、消耗品や消耗品中の成分に加えるための、オフテイストを作り出す原因になる成分およびクロロゲン酸を含む組成物が供される。当業者は当該組成物中、たとえば甘味を与える組成物中でのクロロゲン酸の正確な量を認識しており、それはおそらく非常に広い範囲で変化するものであり、その構造物が消耗品に加えられ、構造物が消耗品にそのオフテイストを覆い隠し、味を高める効果を供するのに十分な量を与えるものである。特に、その組成物は、消耗品に加えられた際に、消耗品中での濃度が、約0.001%W/V〜約0.1%W/Vになるために十分な量のクロロゲン酸を含みうる。
【0016】
より好ましい態様においては、無栄養甘味料およびクロロゲン酸を含む甘味構造物が供される。
【0017】
本発明のさらに他の側面においては、消耗品にクロロゲン酸を与えるための方法が供され、該方法は、クロロゲン酸を、たとえば液体状態で、消耗品内でオフテイストを改変し、または覆い隠し、および/または味を改変し、または高めるために十分な量において加える工程を含む。好ましくはクロロゲン酸は、消耗品に、約0.0001%W/V〜約0.1%W/V加えられる。
一態様において、前記方法は、消耗品や消耗品中の成分に加えられる組成物を形成するために、クロロゲン酸を、オフテイストを与える素になる材料に混ぜることを含む。
【0018】
本発明は、さらに別のその側面においては、クロロゲン酸を消耗品に与える方法を与える。
【0019】
本発明の方法においては クロロゲン酸の溶液を、人工甘味料などの、1種または2種以上の物質によって与えられるオフテイストを改変したり覆い隠すために、消耗品に加えてもよい。またはクロロゲン酸を、オフテイストの原因になる成分に対して加えて組成物を形成し、それをあとで消耗品に加えてもよい。消耗品中におけるクロロゲン酸の総濃度は、約0.0001%W/V〜0.1%W/Vの範囲である。
【0020】
クロロゲン酸とは、植物材料に見出される、ある範囲のフェノール酸類を表すために、やや広義に、文献において用いられる、自明な名称である。たとえば、ある参考文献では、5−カフェオイルキナ酸のみが「クロロゲン酸」と称されている。しかしながら、本明細書において用いられる、クロロゲン酸という言葉は、あるシス体またはトランス体桂皮酸とキナ酸の間において形成される、1種または2種以上のエステル化合物族を記載するために用いられる。
エステルの前記族は、CliffordのJ.Sci.Food.Agric.,2000, 80, pp.1033-1043に記載され、それは、明確に、全体が参考文献として本明細書に取り込まれていて、Cliffordは、クロロゲン酸を、キナ酸におけるアシル基の同一性、数、および位置に基づいて細分化した。この参考文献はもっとも一般的な固有のクロロゲン酸を5−O−カフェオールキナ酸(5−CQA)と教示し、その構造は下記に示される。そして5−CQAはクロロゲン酸(CGA)として一般的に示すものとされているが、これは、関連するキナ酸結合体族を示す場合のみに用いられるべき用語である。
【化1】
【0021】
キナ酸(1R−(1α,3α,4α,5β)−1,3,4,5テトラヒドロキシ−シクロヘキサンカルボン酸)の構造を以下に示す。
【化2】
キナ酸は、アキシアルの水酸基(1位および3位の炭素上)およびエカトリアルの水酸基(4位および5位の炭素上)を有する。Clifford, ASIC, 17 colloque, Nairobi, 1997 , pp. 79-91から得られるように、R基の置換によって、さまざまなタイプのクロロゲン酸が作りだされ、ここにその全体を参考文献として明確に組み入れ、表1として掲げ、そこにおいては、CQAはカフェオイルキナ酸であり、FQAはフルオリルキナ酸であり、CoQAはクマロイルキナ酸であり、そしてCFQAはカフェオイルフェルロイルキナ酸である。
【表1】
【0022】
クロロゲン酸中の桂皮酸においては、トランス型配置が優占的であるが、シス型配置およびトランス型配置のいずれの桂皮酸も、自然界における存在が知られている。桂皮酸族に属するさまざまな酸およびその誘導体をトランス型配置で以下に示した。
【化3】
【0023】
さまざまな製品において、甘味増幅剤/誘導剤として用いられている桂皮酸およびその誘導体には、芳香環上において置換されている化学基が異なる、3−フェニル−プロペオン酸の一連の化合物群を含む。それらは、種々の植物種に、有機結合体として広く分布しており、加工されていない植物材料中において遊離した酸として見つかることは稀である。桂皮酸自体以外で、この族において最も一般的なものは、カフェイン酸(3,4−ジヒドロキシ桂皮酸)、フェルラ酸(3−メトキシ‐4−ヒドロキシ桂皮酸)、シナピン酸(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸)、そしてp−クマル酸(p−ヒドロキシ桂皮酸)である。
【0024】
クロロゲン酸は植物界中に広く分布し、果実、葉、および双子葉植物の他の組織中に発生する。それは、緑色コーヒー豆(たとえばアラビカ、ロブスタ、およびリベリタ種)、モチノキ属(Irex paraguariensis)の葉、ナシ状果果実(リンゴやナシ)、石果(サクランボやプラム)、漿果、柑橘果物、アブラナ科野菜(たとえばケール、キャベツ、芽キャベツ)、ナス科植物(たとえばジャガイモ塊茎、トマト、ナス)、アスター族(たとえばチコリールートやアーティチョーク)、そして他の種々雑多な野菜のような、さまざまな自然由来のものから抽出される。また穀物粒(たとえばオーツ麦、大麦、ライ麦、米、とうもろこし、小麦)からも見出される。その量と存在するクロロゲン酸の型の違いは、その由来に依存して変化する。クロロゲン酸は1種または2種以上の植物供給源から抽出でき、および/または合成クロロゲン酸も使用できる。
【0025】
緑色コーヒー豆はクロロゲン酸のよい供給源である(Clifford, ASIC, 17 colloque, Nairobi, 1997 pp.79-91)。とりわけコーヒー豆抽出物は次の型のクロロゲン酸を含む:
3−カフェオイルキナ酸(3−CQA)、4−カフェオイルキナ酸(4−CQA)、5−カフェオイルキナ酸(5−CQA)と名づけられた3つのカフェイン酸およびキナ酸モノエステル;3つのp−クマル酸とキナ酸モノエステル:p−クマロイルキナ酸(3−p−CoQA、4−p−CoQA、5−p−CoQA);フェルラ酸とキナ酸の3つのモノエステル:フェルオイルキナ酸(3−FQA、4−FQA、5−FQA);および3つのカフェイン酸およびキナ酸ジエステル:すなわち、3,4−ジカフェオイルキナ酸(3,4−di CQA)、3,5−ジカフェオイルキナ酸(3,5−di CQA)、4,5−ジカフェオイルキナ酸(4,5−di CQA)である。加えて、カフェオイルフェルロイルキナ酸として知られる、カフェイン酸、フェルラ酸、キナ酸のジエステルの6種の混合物(2種の3,4−CFQA、2種の3,5−CFQA、2種の4,5−CFQA)がある。
【0026】
緑色ロブスタコーヒー豆抽出物中のこれらの型のうち数種のクロロゲン酸量が報告された。これらの値は、以下に示すように、乾燥緑コーヒー豆1キログラム中のグラム量で表されている:
7.32gの3−CQA、11.25gの4−CQA、49.66gの5−CQA、6.04gの5−FQA、5.05gの3,4−diCQA、4.61gの3,5−diCQA、4.11gの4,5−diCQA(Trugo and Macrae, Food Chemistry, 1984, 15, pp. 219-227、この参考文献全体が本明細書に明確に組み込まれている)。緑色コーヒー豆抽出物中のクロロゲン酸の存在は知られているが、さまざまな型の消耗品中のオフテイストを減少させるためのクロロゲン酸の使用についてはこれまで報告されていなかった。
【0027】
したがって、本発明は、別の側面において、緑色コーヒー豆由来のクロロゲン酸の、味改変や味増加のために十分な量を含む消耗品を与える。クロロゲン酸のある特定の供給源は、緑色ロブスタコーヒー豆である。以後の段落では、ロブスタ豆からクロロゲン酸を抽出する方法について明らかにしている。しかしながら、当業者は、前記手順は、他の植物供給源からクロロゲン酸を抽出するために改変されうると認識するであろう。
【0028】
緑色ロブスタコーヒー豆からの抽出は、水および極性有機溶媒からなる溶媒中において、一定に撹拌し続けることによって行ってよい。使用できる有機溶媒には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、プロピレングリコールを含む。豆は、普通のものでもカフェインを抜いた豆でもよい。豆全体または挽いた後のものでも抽出は行える。抽出は水だけで行っても、水と上記の1種または2種以上の溶媒とを組み合わせて行ってもよい。溶媒の組成は水/有機溶媒(w/w)100/0〜10/90の間で可能である。抽出温度は30℃〜80℃の間で、抽出時間は4時間〜40時間の間で可能である。特に5−CQAの異性化を起こすことなく最大抽出効率のためにより好ましい温度は45℃〜60℃の間である。反流式撹拌器や、一定の溶媒循環をする撹拌器のような、当業者によく知られたもので実行できる。抽出操作は、さまざまな型の設備によって実行可能であることは、当業者たちには明白であろう。
【0029】
抽出物は移し変え(decant)、遠心分離、またはろ過で集めてよい。豆は随意に1回または2回以上、同じ条件下で再抽出可能であり、そして抽出物は、一緒にされ、豆重量のおよそ1〜3倍に濃縮するように、真空下で溶媒を蒸発させる。濃縮された前記抽出物はより高いクロロゲン酸濃度に、次に示すうちのひとつの方法でさらに精製してよい。
【0030】
水と混和する有機溶媒を濃縮後抽出物に加えてよく、該有機溶媒に溶けないタンパク質や他の有機物の沈殿を引き起こす。この有機溶媒には、エタノールが好ましく用いられるが、メタノール、アセトン、n−プロパノールや2−イソプロパノールのような他の有機溶媒もまた使用できる。タンパク質沈殿のために必要な有機溶媒量は、所期のクロロゲン酸の量に依存して、抽出物重量の1倍〜4倍の間である。約1時間後、タンパク質の沈殿は完了し、例えば遠心分離やろ過によって、タンパク質を除去した。
【0031】
あるいは、濃縮された抽出物を有機溶媒や、水と混和しない溶媒で洗浄することもできる。用い得る溶媒は、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、石油エーテル、メチル t−ブチルエーテル、酢酸エチル、およびブタノールである。用いられる溶媒の量は、抽出物重量の半量〜4倍まで変化させてよい。相分離を容易にするために、水と混和し得る第2の溶媒を加えてもよい。第2溶媒の量は、抽出物重量の20%まででよい。用い得る第2溶媒は、メタノール、エタノール、アセトン、n−プロパノール、および2−プロパノールを含む。普通は、抽出物を浄化するために、1度の洗浄工程で十分である。しかしながら、追加洗浄を必要な場合に行ってもよい。相分離に達した後、水相を集め、真空下において、余分な溶媒を取り除くための処理を行ってもよい。
【0032】
またほかにも、不純物を取り除くために、濃縮抽出物をマイクロフィルターカートリッジに通してもよい。カートリッジの分離分子量はおよそ10,000ダルトン程度の小ささでよい。抽出物をまず大きいポアサイズのフィルターを通して抽出物中の大きな分子を取り除き、次いでより小さいポアサイズのフィルターを通して抽出物中のより小さな分子を取り除いてもよい。同じ手順を異なるポアサイズのフィルターを通し、澄んだ浸透液が得られるまで繰り返し行ってもよい。カートリッジに残された物質は捨ててよく、フィルターから浸透した物質をさらなる加工(processing)のために回収してもよい。
【0033】
またほかにも、濃縮抽出物を吸着カラムに通して浄化してもよい。吸着は分子と樹脂間の疎水性親和力の原理に基づいて制御される、あらゆる型の市販樹脂によって成し遂げられてよい。抽出物を、そのような単一の樹脂、または複数の樹脂に通す。通過画分は捨ててよく、クロロゲン酸は、水を含んだ水和性有機溶媒でカラムから流出させて回収してよい。カラムからの溶出に用い得る有機溶媒は、メタノール、エタノール、アセトン、n−プロパノール、および2−プロパノールを含む。有機溶媒に対する水の割合は、水/有機溶媒が、90/10〜0/100(w/w)の範囲である。カラムから流出させるために用いられる溶媒総量は、少なくともカラムベッド容量と同容量であるが、クロロゲン酸をより完全に回収するためにカラム全容量の5倍まで増やすことができる。カラムから集めた成分は、真空下で有機溶媒を取り除くための処理をしてよい。
【0034】
上記のあらゆる処理の後に得られる水相は、さらに真空下で濃縮してよい。それは、真空下で黄褐色の(tan-colored)粉末までに直接乾燥できる。あるいは、全重量の固形重量の約20%〜45%の固体まで濃縮し、黄褐色粉末になるまでスプレードライを行ってもよい。前記スプレードライは、担体の有無にかかわらず行うことができる。
【0035】
例1
沈殿による抽出と精製
緑色ロブスタコーヒー豆全粒(21.8kg)を、水とエタノール(95%)85/15(w/w)の割合の混合溶媒で抽出する。豆を円錐形の抽出装置につめ、溶媒を60℃で16時間循環させる。抽出物を抽出装置からの排出口で集め、残った豆を同じ組成の新しい溶媒でさらに2回以上抽出する。それぞれの抽出に使われる溶媒量は、豆重量の2〜4.5倍の間である。抽出物をまとめ、36.3kgまで濃縮する。抽出物重量に対し同量のエタノールを抽出物中のタンパク質や他の不溶成分の沈澱を誘導するために加える。沈澱を捨て、上澄みをろ過で集め、9.8kgまでさらに濃縮する。濃縮抽出物を、担体を加えることなく、スプレードライによって黄褐色の粉末にする。緑色コーヒー豆全キログラム中に対し、146グラムの粉末が得られる。この粉末は水溶性であり、水中で透明な液体になる。クロロゲン酸濃度はHPLCによって分析される。分析によって、数種の異なる型のクロロゲン酸の存在と、それが抽出物の全量の35%の量であることが明らかになる。HPLCによって分離された様々な型の比率と重量百分率あたり重量としての定量結果を下表に示す。
【表2】
【0036】
例2
洗浄(相分離)による抽出と精製
緑色ロブスタコーヒー豆全粒(22.7kg)を、水/エタノール(95%)40/60の混合液で抽出する。溶媒を60℃で16時間循環する。抽出物を、抽出機からの排出口で集め、残った豆を同じ組成の新しい溶媒でさらに2回抽出する。それぞれの抽出に使われる溶媒量は豆重量の2〜4.5倍の間である。抽出物をまとめ、64.9kgまで部分濃縮する。抽出物を同重量の酢酸エチル/エタノール混合液(85/15 w/w)で一度洗浄する。酢酸エチル層は集めて捨てる。水相は集め、黄褐色の粉末になるまで減圧下で乾燥させる。緑色コーヒー豆全キログラムに対して178グラムの粉末が得られる。粉末は水溶性であり、水中で透明な溶液になる。クロロゲン酸はHPLCで解析され、結果を以下に要約する。
【表3】
【0037】
例3
マイクロフィルトレーションによる抽出と精製
緑色ロブスタコーヒー豆全粒(22.7kg)を水/エタノール(95%)40/60の混合液で抽出する。溶媒は60℃で16時間循環する。抽出物を抽出装置からの排出口で集め、残った豆は同じ組成の新しい溶媒でさらに2回抽出する。それぞれの抽出に使われる溶媒量は豆重量の2〜4.5倍の間である。抽出物をまとめ、64.9kgまで部分濃縮する。抽出物のうち6.8kg分を分子量カットオフ値10,000Daのミクロフィルターに通す。フィルターについた成分を捨て、浸透透過した成分を濃縮、乾燥する。緑色コーヒー豆全キログラムに対して146グラムの粉末が得られる。粉末は水溶性であり、水中で透明な溶液である。クロロゲン酸はHPLCで解析され、結果を以下に要約する。
【表4】
【0038】
例4
クロマトグラフィ(吸着樹脂)による抽出と精製
緑色ロブスタコーヒー豆全粒(66.7kg)を、円錐形の抽出装置につめ、水を80℃において16時間循環する。抽出物を、抽出機からの排出口で集め、残った豆を水でさらに2回抽出する。各抽出に使われる水量は豆重量の2〜4.5倍である。抽出物を集め、102.1kgまで濃縮する。抽出物のうち200gをさらに120gまで濃縮してアンバーライトXAD−4吸着樹脂(ウェットメッシュサイズ20−60)で満たしたカラムにかける。カラムの直径は4センチ、長さ38センチ、カラムベッド容量(総容量)は427mlである。カラムを6ベッド容量の水で溶出し、次いで4.3ベッド容量のエタノール、水(50/50 w/w)で溶出する。最後の2ベッド容量のエタノール/水(50/50)溶出液を集めて明るい黄褐色の粉末になるまで乾燥する。緑色コーヒー豆全キログラムに対して62グラムの粉末が得られる。粉末は水溶性で、水中で透明な溶液である。クロロゲン酸はHPLCで解析され、結果を以下に要約する。
【表5】
【0039】
例5
遠心分離/ろ過による抽出と精製
約4.0kgの緑色ロブスタコーヒー豆を16.0kgの水中、80℃において少なくとも4時間一定にかき混ぜる。抽出物はデカント(移し変え)、遠心分離、またはろ過で集める。豆をさらに6.0kgの水中、80℃において少なくともさらに4時間一定にかき混ぜる。抽出液をまとめて水分を減圧により蒸発させ、抽出物を5もしくは6 kgまで濃縮する。
濃縮抽出物の重量の1と2分の1倍等量のエタノール(95%)を加える;エタノール量は最終濃縮物により高濃度のクロロゲン酸を望む場合は、濃縮生成物の約4倍重量まで増加できる。混合液は15分間撹拌され、懸濁液を、大気温中に少なくとも1時間置く。最終沈殿物を、遠心分離またはろ過によって取り除き、その後捨てる。エタノールを上澄みから蒸発させるか、または真空下でろ過し、水溶液を真空下で乾燥させて約460〜500gの黄褐色粉末にする。または水溶液を重量の30〜45%の適当な固形物に濃縮し、濃縮水溶液をスプレードライによって黄褐色粉末にする。
粉末状抽出物は水溶性である。水中で無色になる。クロロゲン酸はHPLCで分析され、結果を次に要約する。
【表6】
【0040】
すべての例示において、抽出物はクロロゲン酸を測定するために質量分析検出装置(MSD)とも連動しているProdigy ODS−3 カラム(150x4.6mm、粒子サイズ5μm)(Phenomenex Torrance CA)を室温で用いた、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析される。化合物の溶出に用いる濃度勾配を表2に示した。
【表7】
【0041】
MSDの条件は次のとおりである。空気圧化学的イオン化モード、陽性および陰性の両極性、ガス温度350℃、気化装置温度450℃、乾燥用ガス流速1分当たり6.0リットル、噴霧装置圧力35psig, キャピラリー電圧2500V、コロナ電流7μA、さらにフラグメンター電圧80V、標準曲線はC16H18O9の分子型を持つクロロゲン酸(カタログ番号C44206、Aldrich, Milwaukee, WI)を用いて作成する。
【0042】
他の型のクロロゲン酸も存在すると考えられるが、この解析の条件を用いた場合には検出されない。HPLCおよびMSD条件は、異なる型のクロロゲン酸について解決するために改変できること、およびクロロゲン酸の収量と含有比(content)は、異なるバッチや緑色コーヒー豆の異なる種または異なる供給源によって変化することも認識されるであろう。
【0043】
数個の緑色コーヒー豆バッチからのクロロゲン酸抽出物は、2.8%w/w〜10%w/wの範囲であり、pHは約4.5〜約6.0の範囲で調製され、粉末重量に基づいて様々な消耗品に加えられた。これらの溶液はオフテイストを改変あるいは覆い隠すために消耗品に加えられる。
【0044】
例6
古い人工甘味料添加飲料に加えたクロロゲン酸(合成品)
人工甘味飲料を、1.4gアスパルテーム、0.9gアセサルフェームK、6mlナトリウム安息香酸(25%W/V水溶液)、1.3mlリン酸(85%W/V)、さらに0.5mlクエン酸(50%W/V水溶液)を混ぜることによって調製する。混合物体積を、水で1000mlに合わせる。飲料混合物を34℃で3週間放置して古くする。市販購入可能な合成クロロゲン酸(>95%純度(1,3,4,5−テトラヒドロキシ‐シクロヘキサンカルボキシル酸 3−[3,4−ジヒドロキシ桂皮酸])Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)2.8%w/w水溶液、pH5.6をこの古くなった飲料に最終濃度0.003%W/Vとなるように加える。クロロゲン酸を含む飲料を、6人の訓練された風味鑑定人の調査団によって評価し、未処理の飲料と比較する。市販クロロゲン酸を含む飲料は、古くなった人工甘味飲料にあらわれる金属的な、わずかに苦い後味が著しく減少したと調査団によって判定される。
【0045】
例7
古くなった人工甘味料添加飲料に加えたクロロゲン酸(抽出物)
人工甘味飲料を、例6の第一段落に記載された方法で調製し、緑色コーヒー豆の抽出物粉末からのクロロゲン酸水溶液を最終濃度0.003%W/Vになるように加える。この飲料を例6に記載したのと同じ風味鑑定人によって評価する。緑色コーヒー豆から抽出したクロロゲン酸を含む飲料もまた、古くなった人工甘味飲料にあらわれる金属的な、わずかに苦い後味が著しく減少したと判定される。
【0046】
例8
味をつけていないアルコール飲料に加えたクロロゲン酸(抽出物)
5.26mlの穀物中性酒精(Grain Neutral Spirits)(95%アルコール)、92.24mlの水、2.0mlの高果糖コーンシロップ、0.25mlのナトリウム安息香酸(10%W/V)水溶液、0.25mlのカリウムソルベート(potassium sorbate)(10%W/V水溶液)を混ぜて10個の試験体(5%アルコール)無風味飲料を調製する。
【0047】
緑色コーヒー豆から、すでに記載された方法で調製したクロロゲン酸溶液を、このアルコール飲料の一部に、クロロゲン酸の最終濃度が0.0035%になるように加える。クロロゲン酸を含む飲料は、6人の訓練された風味鑑定人の調査団によって評価される。その飲料は、未処理の飲料で見出されたものに比べて、アルコールの焼けるような味わいの、著しい減少を示すことが判定される。
【0048】
例9
大豆製品に加えたクロロゲン酸
緑色コーヒー豆からのクロロゲン酸溶液をすでに記載されたように調製し、市販豆乳製品(White Wave, Silk Chocolate)に最終濃度0.04%W/Vになるように加える。
【0049】
6人の訓練された風味鑑定人の調査団によって、クロロゲン酸を含む製品が豆乳の豆様のアルデヒド様の大豆オフノート(off-notes)が覆い隠され、クロロゲン酸を加えない製品に比べて製品がより滑らかであり、よりクリーミーであると認識されると評価される。
【0050】
例10
味付け炭酸飲料に加えたクロロゲン酸
すでに記載された方法で調製された緑色コーヒー豆からのクロロゲン酸溶液を、標準炭酸オレンジ味飲料(フレーバーレベル0.2%)に、最終濃度0.001%W/Vクロロゲン酸濃度になるように加える。
【0051】
6人の訓練された風味鑑定人の調査団がクロロゲン酸添加の有無による炭酸飲料を比較する。調査団はクロロゲン酸を含む飲料は、クロロゲン酸を加えない飲料と比較したときに、炭酸の、鋭く、やや焼けるような感覚が、明らかにより低い感じにされたことを見出す。
【0052】
例11
アスパルテームで甘くしたヨーグルトに加えたクロロゲン酸
すでに記載された方法で調製された緑色コーヒー豆からのクロロゲン酸溶液を、市販の無脂肪ヨーグルト(Dannon Light’n Fit Vanilla Yogurt, with Aspartame & Fructose added)に、最終濃度0.005%W/Vクロロゲン酸濃度になるように加える。
【0053】
6人の訓練された風味鑑定人の調査団がクロロゲン酸添加の有無によるヨーグルトを比較する。調査団は、クロロゲン酸を含む製品が、より改変された、口内での密度や歯ごたえを示し、クロロゲン酸を含まないヨーグルトに比べて全体的な甘味知覚が満たされてより丸みが出るようになったと判定する。