(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1飲料受け部材の上側に載せ置かれる第2飲料受け部材を有し、前記第2飲料受け部材は、第2底面部と、前記第2底面部の周囲に立設された第2側壁部とを有する皿形状の部材であって、前記第2飲料受け部材の第2側壁部と前記第1飲料受け部材の前記第1側壁部との間に、前記容器に収まらずにこぼれた飲料を貯留する第1飲料貯留空間が形成される請求項1に記載の飲料抽出機。
前記第2飲料受け部材は、前記第2底面部と前記第2側壁部とに囲まれた第2飲料貯留空間を有し、前記容器に収まらずにこぼれた飲料が前記第2飲料貯留空間に貯留される請求項2に記載の飲料抽出機。
前記第1飲料受け部材は、第1底面部と、前記第1底面部の周囲に立設された第1側壁部材とを有する皿形状の部材であって、前記温度測定部は前記第1飲料受け部材の前記第1底面部に接して配置される請求項1に記載の飲料抽出機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、液体容器は飲料抽出機に付属する専用品であり、タンクの容量は液体容器の容量と同程度に設計されている。そして上述した飲料抽出の動作は、タンクの水が全てバスケットに供給されて無くなると終了する。
【0005】
しかし近年、消費者のライフスタイル多様化に伴い、飲料抽出機に付属する液体容器を用いずに、消費者の好みの容器、例えばカップやマグボトルに抽出部からの飲料を直接注ぐことが求められる場合がある。そのような容器の容量は、飲料抽出機のタンクの容量よりも小さい場合が多い。そのため、誤ってタンクを満水にして飲料抽出を開始すると、抽出された飲料が容器からこぼれてしまうという問題があった。本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであって、飲料のこぼれの問題に簡便な構成で対処できる飲料抽出機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る飲料抽出機の特徴構成は、給湯部と抽出部と容器と載置部と制御部とを有する飲料抽出機であって、前記給湯部は、水を加熱して前記抽出部へ湯を供給し、前記抽出部は前記載置部の上側に配置され、前記給湯部から供給される湯を用いて飲料を抽出して前記容器へと供給し、前記容器は前記載置部の上側に載せ置かれ、前記抽出部から供給された飲料を収容し、前記載置部は、前記容器に収まらずにこぼれた飲料を受ける第1飲料受け部材と、前記第1飲料受け部材の温度を測定する温度測定部とを有し、前記制御部は、前記温度測定部の出力に基づいて前記第1飲料受け部材に飲料がこぼれたことを検知すると、前記給湯部から前記抽出部への湯の供給を停止あるいは減少させる点にある。
【0007】
この特徴構成によれば、飲料がこぼれたことを温度測定部の出力に基づいて検知し、湯の供給を停止あるいは減少させるので、飲料の更なるこぼれを抑制することができる。すなわち飲料のこぼれの問題に簡便な構成で対処でき、飲料抽出機の使い勝手を向上させることができる。
【0008】
本発明に係る飲料抽出機の更なる特徴構成は、前記第1飲料受け部材は、第1底面部と、前記第1底面部の周囲に立設された第1側壁部とを有する皿形状の部材であって、前記温度測定部は前記第1飲料受け部材の前記第1側壁部に接して配置される点にある。
【0009】
この構成によれば、温度測定部が第1飲料受け部材の第1底面部ではなく第1側壁部に接して配置されることにより、温度測定部による飲料抽出機の高さ増大を抑制でき、飲料抽出機をコンパクトにすることができる。
【0010】
本発明に係る飲料抽出機の更なる特徴構成は、前記載置部に接して立設され、前記抽出部を前記載置部の上側にて支持する支持部を有し、前記支持部は、上面視で前記第1飲料受け部材の外側に立設されており、前記温度測定部は、前記第1飲料受け部材の前記第1側壁部における前記支持部に面していない部位に接して配置される点にある。
【0011】
飲料抽出機は様々な方向に傾いて設置され得る。第1側壁部における支持部に面していない部位が低くなる方向に傾いて設置された場合、支持部に面していない部位に先行して飲料が流れて、載置部の外へ飲料がこぼれ易くなる。つまり上記の構成によれば、第1側壁部における支持部に面していない部位に先行して流れる飲料に基づく温度上昇を温度測定部が検知するので、第1飲料受け部材への飲料のこぼれ検知を迅速に行うことができ好適である。
【0012】
本発明に係る飲料抽出機の更なる特徴構成は、前記第1飲料受け部材の上側に載せ置かれる第2飲料受け部材を有し、前記第2飲料受け部材は、第2底面部と、前記第2底面部の周囲に立設された第2側壁部とを有する皿形状の部材であって、前記第2飲料受け部材の第2側壁部と前記第1飲料受け部材の前記第1側壁部との間に、前記容器に収まらずにこぼれた飲料を貯留する第1飲料貯留空間が形成される点にある。
【0013】
第1飲料貯留空間は、第1飲料受け部材の上側に第2飲料受け部材が載せ置かれることで形成されるので、第1飲料貯留空間の底面積は第1飲料受け部材の底面積よりも小さくなる。すると、こぼれた飲料による水位の上昇速度は、第2飲料受け部材が載せ置かれない場合に比べて大きくなり、第1側壁部と飲料が接触する面積が迅速に増加することとなる。すなわちこの構成によれば、こぼれた飲料による第1側壁部の温度上昇が更に速くなり、第1飲料受け部材への飲料のこぼれ検知をより迅速に行うことができ好適である。
【0014】
本発明に係る飲料抽出機の更なる特徴構成は、前記第2飲料受け部材は、前記第2底面部と前記第2側壁部とに囲まれた第2飲料貯留空間を有し、前記容器に収まらずにこぼれた飲料が前記第2飲料貯留空間に貯留される点にある。
【0015】
この構成によれば、容器に収まらずにこぼれた飲料を、飲料抽出機から簡単に取り除くことができ、飲料抽出機の清掃が容易となるから、飲料抽出機の使い勝手がより向上し、好適である。
【0016】
本発明に係る飲料抽出機の更なる特徴構成は、前記第1飲料受け部材は、第1底面部と、前記第1底面部の周囲に立設された第1側壁部材とを有する皿形状の部材であって、前記温度測定部は前記第1飲料受け部材の前記第1底面部に接して配置される点にある。
【0017】
この構成によれば、こぼれた飲料による第1飲料受け部材の温度上昇をより迅速に検知でき好適である。
【0018】
本発明に係る飲料抽出機の更なる特徴構成は、前記第1飲料受け部材の前記第1底面部は、前記温度測定部が接する部位に向けて下方に傾斜する傾斜部位を有する点にある。
【0019】
この構成によれば、こぼれた飲料が傾斜部位によって温度測定部が接する部位に向けて流れるので、飲料のこぼれ検知をより迅速に行うことができ好適である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る飲料抽出機の実施形態であるコーヒーメーカEについて、その構造と動作の概要を、図面を参照して説明する。
図1は、付属サーバ40がコーヒーメーカEから取り外された状態の斜視図である。
図2は、付属サーバ40がコーヒーメーカEに取り付けられた状態での要部縦断面図であって、ドリッパ弁32および第1飲料受け部材51の中心を通りXZ平面に平行な面による縦断面図である。
図3は載置部5の第1飲料受け部材51、第2飲料受け部材52および網部53の構造および配置を示す分解図である。
図4は載置部5の上面図であって、載置部5、筐体7(支持部)および温度測定部54の配置関係を示す図である。
図5はコーヒーメーカEで行われるこぼれ検知の説明図であり、容器4(カップ41)と載置部5のXZ平面による縦断面図である。
図6はコーヒーメーカEで行われる抽出動作のフローチャートである。
【0022】
なお本願において、重力の作用する方向を−Z方向(下方向)、下方向の反対をZ方向(上方向)とする。
図2で紙面に沿って右方向をX方向(前方)、左方向を−X方向(後方)、紙面手前方向をY方向(左方向)、紙面奥行き方向を−Y方向(右方向)とする。また、ある部材や面に対して下方向の側を下側、上方向の側を上側、前方の側を前側、後方の側を後側、左方向の側を左側、右方向の側を右側という。
【0023】
コーヒーメーカEは
図1、
図2に示すように、給湯部1と、ミル部2と、抽出部3と、容器4と、載置部5と、操作部6と、筐体7(支持部)と、制御部Mとを有する。コーヒーメーカEの下方向の端部には、平板上の載置部5が形成され、上面視において載置部5の外側、すなわち後方・左側および右側に接して支持部としての筐体7が立設されている。筐体7は、前面7aと背面7bと上面7cと右前面7dと底面7eとに囲まれた箱状の部材であり、ミル部2および抽出部3を載置部5の上方にて支持している。
【0024】
図1に示すように、載置部5の上側に、筐体7に支持されて抽出部3が配置されている。
図2に示すように、抽出部3の上側に、筐体7に支持されてミル部2が配置されている。筐体7の右前面7dに操作部6が配置され、筐体7の内部に給湯部1と制御部Mが配置されている。筐体7の上部の後側に、水を貯留するタンク10が配置されている。そしてコーヒーC(飲料)の抽出時には、容器4が載置部5の上側に載せ置かれることにより、抽出部3の下側に配置される。
図1および
図2では、容器4としてコーヒーメーカEの付属品である付属サーバ40が示されている。
【0025】
給湯部1は、
図2に示すように、タンク10と湯水供給パイプ11とヒータ12とノズル13を備えている。湯水供給パイプ11は筐体7の内部でタンク10の下部に接続され、筐体7の下部でU字状に湾曲し、筐体7の最上部まで延びている。そして湯水供給パイプ11は再び筐体7の下部まで延びてU字状に湾曲してから、再び筐体7の最上部まで延び、ノズル13に接続されている。
【0026】
給湯部1は、上述した湯水供給パイプ11の湾曲部が重ねて配置され、湾曲部を覆ってヒータ12が配置されている。給湯部1は、ヒータ12が通電によって発熱し、湯水供給パイプ11の内部の水を加熱する。給湯部1は、加熱による湯水供給パイプ11内の水(湯)の圧力上昇により、湯がノズル13へと送られて、ミル部2の内部を通って抽出部3へ供給される。タンク10および湯水供給パイプ11の内部の水が無くなると、ヒータ12の温度が上昇する。その温度上昇を制御部Mが検知すると、制御部Mがヒータ12への通電を停止する。
【0027】
ミル部2は、ミルケース20とミル刃21とモータ22を備えている。ミルケース20は、上部の入口20aから下部の出口20bまで連通する通路20cを有する。通路20cの途中に、モータ22で回転駆動されるミル刃21が配置されている。
【0028】
筐体7の上部のフタ14は回転軸C1を軸にして上側に回動でき、露出した入口20aからコーヒー豆が投入される。ミルケース20に投入されたコーヒー豆は回転するミル刃21で粉砕されて粉末状になり、出口20bを通って抽出部3へ供給される。コーヒーCの抽出時には、ノズル13から供給された湯が入口20aから通路20cへ流れ、出口20bから抽出部3へ供給される。
【0029】
抽出部3はホルダ30とドリッパ31を備えており、ホルダ30にドリッパ31が載置される。ホルダ30は右側のピン30a(
図1)により、回動可能な状態で筐体7に支持されている。ホルダ30を回動させて右方向に開いた状態で、ドリッパ31の着脱およびドリッパ31へのフィルタの装着を行い、左方向に回動させて閉じた状態(
図1)でコーヒーCの抽出を行う。ドリッパ31は、蓋38に設けられた入口31aと、ドリッパ31の下部に設けられた抽出口31bと、ドリッパ31と蓋38とに囲まれた抽出空間31cとを有する。抽出部3は、ミル部2で粉砕されたコーヒー豆が入口31aから抽出空間31cに供給される。その後、抽出部3は、給湯部1から供給された湯が入口31aから抽出空間31cに供給され、その湯を用いてコーヒー豆からコーヒーCを抽出し、詳細を後述する容器4に供給する。
【0030】
ドリッパ31の抽出口31bには、ドリッパ弁32が挿入されており、バネ32aで下方に付勢されている。レバー33が回転軸C3にて揺動可能な状態でドリッパ31に取り付けられており、レバー33の前側の端部がドリッパ弁32に接続されている。カム35が、筐体7においてレバー33の後方の位置に配置されている。
【0031】
モータ34の回転により、カム35は、レバー33から離れる離間状態と、レバー33の後側の端部を押し下げる押下状態の2つの状態をとる。離間状態では、ドリッパ弁32はバネ32aで下方に押し下げられ、Oリング32bが抽出口31bを塞ぐので、コーヒーCは抽出口31bから流出しない。押下状態では、ドリッパ弁32がレバー33により押し上げられて、ドリッパ弁32と抽出口31bとの間の隙間からコーヒーCが流出する。ドリッパ31から流出したコーヒーCは、抽出部3の下側に配置された付属サーバ40に収容される。
【0032】
容器4は抽出部3から供給されたコーヒーCを収容するものであり、
図1および2に示される付属サーバ40や、
図5に示されるカップ41等、様々な形態のものを用いることができる。付属サーバ40は、金属製の断熱二重構造の容器であって、レバー40aと弁部材40bと注ぎ口40cとを有する。弁部材40bは、図示しないバネで上方向に付勢されている。
【0033】
付属サーバ40をコーヒーメーカEに装着しない状態では(
図1)、弁部材40bは付属サーバ40の上部の流入口40dを閉じている。そして付属サーバ40をコーヒーメーカEに装着、すなわち付属サーバ40を載置部5の上側に載せ置いた状態では(
図2)、ドリッパ31の下側に形成されたリブ36が弁部材40bを押し下げて、流入口40dが開く。その状態でモータ34の作動によりドリッパ31のドリッパ弁32が上方向に移動すると、抽出口31bからドリッパ弁32の表面に沿ってコーヒーCが流出して下方向に落下する。そして落下したコーヒーCが、弁部材40bの上側の開口部(図示なし)および流入口40dを通って、付属サーバ40の内部に収容される。
【0034】
以下、本実施形態に係るコーヒーメーカEの特徴的な構成である、載置部5の構造およびこぼれ検知について説明する。
【0035】
図3に示すように載置部5は、第1飲料受け部材51と第2飲料受け部材52とを有し、これらが載置部5に設けられた凹部50に配置されている。第1飲料受け部材51は金属製の部材であって、第1底面部51aと第1側壁部51bとを有し、容器4に収まらずにこぼれた飲料を受けることができるようになっている。第1側壁部51bは第1底面部51aの周囲に立設されていて、第1飲料受け部材51は全体として深さのある皿形状となっている。なお、本実施形態では、第1飲料受け部材51は凹部50に嵌入されて固定されている。
【0036】
第2飲料受け部材52は樹脂製の部材であって、第2底面部52aと第2側壁部52bとリブ52cとを有する。第2側壁部52bは第2底面部52aの周囲に立設されていて、第2飲料受け部材52は全体として深さのある皿形状となっている。第2飲料受け部材52の上側には樹脂製の網部53が載せ置かれる。
【0037】
温度測定部54は、
図4に示すように、第1飲料受け部材51の第1側壁部51bに接した状態で、第1飲料受け部材51の外側に配置される。温度測定部54は、第1飲料受け部材51の温度、特に第1側壁部51bの温度を測定する。
【0038】
本実施形態では温度測定部54は、第1側壁部51bにおける最も前方向(X方向)寄りの部位である第1部位51cに接して配置される。ここでコーヒーメーカEにおいては
図4に示される様に、筐体7が、載置部5の後側(−X方向)に接する状態で、上面視(−Z方向視)で第1飲料受け部材51の外側に立設されている。筐体7の前面7aは、第1飲料受け部材51の後側の半分程度を取り囲んだ状態で立設されている。
【0039】
つまり第1飲料受け部材51の第1側壁部51bのうち、矢印Aで示される第2部位51dは、筐体7(支持部)に面している部位である。そして第1側壁部51bのうち、矢印Bで示される第3部位51eは、筐体7(支持部)に面していない部位である。すなわち温度測定部54は、第1飲料受け部材51の前記第1側壁部51bにおける筐体7(支持部)に面していない第3部位51eに接して配置されている。
【0040】
温度測定部54を第1部位51cあるいは第3部位51eに配置することには次の利点がある。コーヒーメーカEは通常台所や食卓などに設置されるが、傾いて設置される場合がある。例えばコーヒーメーカEが後側に傾斜して設置された場合、容器4に収まらずにこぼれたコーヒーCは後方向(−X方向)に流れる。この場合、第1飲料受け部材51からみて−X方向には筐体7(支持部)が立設されているから、コーヒーメーカEからのコーヒーCの流出は筐体7により遮られ抑制される。コーヒーメーカEが斜め後方向に傾斜して配置された場合も同様である。
【0041】
一方、コーヒーメーカEが前側(または斜め前方向)に傾斜して配置された場合、こぼれたコーヒーCは前方向または斜め前方向に流れる。この場合、第1飲料受け部材51からみてX方向には筐体7(支持部)が存在しないから、コーヒーメーカEからのコーヒーCの流出を抑制できない。したがってこの場合には、可及的速やかにコーヒーCのこぼれを検知して、抽出部3からのコーヒーCの排出を停止することが求められる。
【0042】
本コーヒーメーカEでは、温度測定部54を第1部位51cあるいは第3部位51eに配置している。このため前方向あるいは斜め方向、すなわち支持部(筐体7)が立設されていない方向にコーヒーCが流れた場合に、第1飲料受け部材51へのコーヒーCのこぼれ検知を迅速に行うことができる。したがって温度測定部54を、第1飲料受け部材51の第1側壁部51bにおける支持部(筐体7)に面していない部位に接して配置することは、コーヒーメーカEの使用快適性を高める上で好適である。
【0043】
なお
図1からも明らかなように、コーヒーメーカEに対して容器4を出し入れする際、すなわちコーヒーメーカEの外部から載置部5に容器4を載せる際または載置部5から容器4を下ろす際には、容器4は支持部(筐体7)の存在しない空間を通る。よって温度測定部54を容器4の着脱時の通過領域の下方に配置することによっても、同様の効果が得られる。
【0044】
次に
図5を用いて、こぼれ検知について説明する。
図5に示す例では、容器4としてカップ41が用いられ、載置部5の網部53の上にカップ41が載せ置かれている。載置部5の上側に配置された抽出部3からコーヒーCがカップ41に供給される。
図5(a)に示す状態では、コーヒーCはカップ41に収容され、カップ41からのコーヒーCのこぼれは発生していない。
【0045】
なお第2飲料受け部材52は、第1飲料受け部材51に比べて一回り小さく形成されている。第1飲料受け部材51の上側に第2飲料受け部材52が載せ置かれた際、第2飲料受け部材52の周囲に形成されたリブ52c(
図3)により、第2飲料受け部材52は第1飲料受け部材51の中央付近に配置されることになる。そして、第2飲料受け部材52の第2側壁部52bと、第1飲料受け部材51の第1側壁部51bとの間に、第1飲料貯留空間S1が形成される。本実施形態では、第1飲料貯留空間S1は第2飲料受け部材52の周囲を取り囲む形態で、上面視で円環状に形成されている。また第2飲料受け部材52は、第2底面部52aと第2側壁部52bとに囲まれた第2飲料貯留空間S2を有している。第2飲料貯留空間S2は、上面視で円形状となっている。
【0046】
図5(a)に示す状態から更にコーヒーCがカップ41に注がれると、カップ41はコーヒーCで満杯となり、カップ41からコーヒーCがこぼれ出す(
図5(b))。こぼれたコーヒーCは網部53に設けられた隙間を通って、第2飲料受け部材52の第2飲料貯留空間S2へ注がれ、そこで貯留される。
【0047】
図5(b)に示す状態から更にコーヒーCがカップ41に注がれると、第2飲料貯留空間S2はカップ41からあふれたコーヒーCで満杯となり、第2飲料貯留空間S2からコーヒーCがあふれ出す。あふれたコーヒーCは、第2飲料受け部材52の周囲から、第1飲料貯留空間S1へ注がれ、
図5(c)に示すように第1飲料貯留空間S1で貯留される。なお、第1飲料受け部材51の第1側壁部51bの上端にはリム51gが設けられ、リム51gの周囲は水密に封止されている(
図2)から、こぼれたコーヒーCが載置部5や筐体7の内部に侵入することは防止されている。
【0048】
コーヒーCは抽出直後のため高温であるから、第1飲料受け部材51の第1側壁部51bと、第1飲料貯留空間S1に貯留されたコーヒーCとが接触することにより、第1側壁部51bの温度が上昇する。
【0049】
制御部Mは、第1側壁部51bに接して配置される温度測定部54の出力を、1秒ごとに取得して記録する。そして制御部Mは、例えば現在の温度と1分前の温度とを比較し、現在の温度が1分前の温度と比べて3℃以上大きい場合に、第1飲料受け部材51へのコーヒーCのこぼれが発生したと判断する。
【0050】
そして制御部Mは、第1飲料受け部材51へのコーヒーCのこぼれが発生したと判断すると、タンク10からの水を加熱するヒータ12への通電を停止し、コーヒーCの抽出を終了する。すなわち制御部Mは、温度測定部54の出力に基づいて第1飲料受け部材51にコーヒーCがこぼれたことを検知すると、給湯部1から抽出部3への湯の供給を停止させる。
【0051】
ここで第1飲料貯留空間S1の利点について説明する。第1飲料受け部材51の上側に第2飲料受け部材52が載せ置かれず、第1飲料貯留空間S1が形成されない場合を考える。この場合、第1飲料受け部材51に流入したコーヒーCは第1底面部51aの全体に薄く広がるので、第1飲料受け部材51に溜まるコーヒーCの水位の上昇速度は遅くなる。そうすると、第1側壁部51bとコーヒーCとが接触する領域の面積増加の速度も遅くなるので、コーヒーCによる第1側壁部51bの温度上昇も、その速度が低下する。その結果、制御部Mによるこぼれ検知も遅れてしまう。
【0052】
第1飲料受け部材51の上側に第2飲料受け部材52が載せ置かれて、第1飲料貯留空間S1が形成されると、第1飲料受け部材51に流入したコーヒーCは第1飲料貯留空間S1に貯留される。ここで第1飲料貯留空間S1の底面積は、第1飲料受け部材51の底面積よりも小さいから、コーヒーCの水位の上昇速度は、第2飲料受け部材52が載せ置かれない場合に比べて大きくなる。すなわち第1飲料受け部材51と第2飲料受け部材52とによって第1飲料貯留空間S1を形成することにより、同一量のコーヒーCがこぼれた場合であっても水位の上昇速度が速まるため、第1側壁部51bの温度上昇の速度を高めることができ、第1飲料受け部材51への飲料のこぼれ検知をより迅速に行うことができる。
【0053】
なお以上の説明では、カップ41からあふれたコーヒーCが第2飲料貯留空間S2を満たした後、第1飲料貯留空間S1へと流入する場合を想定して説明した。しかし、カップ41よりも外径の大きな容器(例えば上面視で第2飲料受け部材52よりも大きなカップ等)を用いた場合や、付属サーバ40を使用してコーヒーCがあふれた場合(例えば付属サーバ40が正しい位置からずれて置かれた場合等)には、容器4あるいは抽出部3から第1飲料貯留空間S1に直接コーヒーCが流入する場合もあり得る。そのような場合であっても、第1飲料貯留空間S1と温度測定部54により適切にこぼれを検知することが可能である。
【0054】
図6に示すフローチャートを参照して、コーヒーメーカEで行われる抽出動作について説明する。まず使用者により抽出部3のドリッパ31にペーパーフィルターが配置され、タンク10に水が供給され、ミルケース20の入口20aからコーヒー豆が投入され、載置部5の上側に容器4が載せ置かれる。そして使用者が操作部6を操作してコーヒーCの抽出を指示すると、抽出動作が開始される。
【0055】
ステップ#01(ミル部動作)では、制御部Mがミル部2のモータ22を動作させてミル刃21を回転させて、投入されたコーヒー豆を粉砕する。粉砕されて粉末状となったコーヒー豆は、出口20bから入口31aを通って抽出部3に供給され、ドリッパ31に配置されたペーパーフィルターの上に落下する。予め設定された時間が経過した後、制御部Mがモータ22を停止させてステップ#01を終了し、ステップ#02へ移行する。
【0056】
ステップ#02(給湯開始)では、制御部Mが給湯部1のヒータ12の通電を開始させて、湯水供給パイプ11の内部の水を加熱する。加熱された湯は、ノズル13から流出して、ミルケース20の通路20cを通り、抽出部3へ供給される。ヒータ12の通電を継続したまま、続くステップ#03へ移行する。
【0057】
ステップ#03(抽出開始)では、制御部Mが抽出部3のモータ34を作動させて、ドリッパ弁32を開弁させる。すると、ドリッパ31の抽出口31bからコーヒーCが流出し、コーヒーCが容器4へと収容される。ドリッパ弁32の開弁は、使用者による抽出の指示(操作部6の操作)から所定の時間が経過した時点で行われる。
【0058】
ステップ#04では、第1飲料受け部材51へのコーヒーCのこぼれが発生したか否かを制御部Mが判断する。具体的には、制御部Mは温度測定部54の出力を取得し、記憶されている1分前の第1飲料受け部材51の温度と比較する。現在の温度が1分前の温度と比べて3℃以上大きい場合に、第1飲料受け部材51へのコーヒーCのこぼれが発生したと判断して(Yes)、抽出部3への湯の供給を停止する(抽出動作終了)。具体的には、制御部Mがヒータ12の通電を停止させて、湯水供給パイプ11の加熱を停止する。そうでない場合は、こぼれが発生していないと判断して(No)、ステップ#05へ移行する。
【0059】
ステップ#05では、タンク10に貯留された水が無くなったか否かを制御部Mが判断する。具体的には、制御部Mはヒータ12の温度を温度センサ(図示なし)から取得し、記憶されている閾値と比較する。現在のヒータ12の温度が閾値よりも小さい場合は、水が無くなっていないと判断して(No)、ステップ#04に戻る。現在のヒータ12の温度が閾値よりも大きい場合は、水が無くなったと判断して(Yes)、ステップ#06へ移行する。
【0060】
ステップ#06(給湯終了)では、制御部Mがヒータ12の通電を停止させて、湯水供給パイプ11の加熱を終了する。その後、所定の時間が経過した時点で、制御部Mが抽出部3のモータ34を作動させて、ドリッパ弁32を閉弁させる。そして抽出動作を終了する。
【0061】
以上述べた通りコーヒーメーカEは、給湯部1と抽出部3と容器4と載置部5と制御部Mとを有する飲料抽出機であって、給湯部1は、タンク10に貯留された水を加熱して抽出部3へ湯を供給し、抽出部3は載置部5の上側に配置され、給湯部1から供給される湯を用いてコーヒーCを抽出して容器4へと供給し、容器4は載置部5の上側に載せ置かれ、抽出部3から供給されたコーヒーCを収容し、載置部5は、容器4に収まらずにこぼれたコーヒーCを受ける第1飲料受け部材51と、第1飲料受け部材51の温度を測定する温度測定部54とを有し、制御部Mは、温度測定部54の出力に基づいて第1飲料受け部材51に飲料がこぼれたことを検知すると、給湯部1から抽出部3への湯の供給を停止させる。なお、本実施形態では、こぼれを検知すると給湯部1から抽出部3への湯の供給を停止する場合について説明したが、この発明の目的を達成する範囲で、湯の供給量を減少させるようにしてもよい。
【0062】
〔別実施形態〕
本発明は、前述した実施の形態に限定されるわけでなく、その他種々の変更が可能である。変更の例として、以下に本発明の別実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0063】
(1)上述の実施形態では
図3に示す通り、第1飲料受け部材51の第1底面部51aはXZ平面に平行な平板状に形成され、温度測定部54は第1側壁部51bに接して配置されていた。この構成を変更し、温度測定部54を第1飲料受け部材51の第1底面部51aに接して配置してもよい。また第1底面部51aの形状を、温度測定部54が接する部位に向けて下方に傾斜する傾斜部位51fを有するように変更してもよい。
【0064】
図7は上述の別実施形態(1)に係る載置部5の要部断面図である。上述の実施形態と同様に、第1飲料受け部材51の上側に第2飲料受け部材52が載せ置かれる。第2飲料受け部材52は、第2底面部52aと第2側壁部52bとを有する。第2側壁部52bは第2底面部52aの周囲に立設されていて、第2飲料受け部材52は全体として深さのある皿形状となっている。第2飲料受け部材52の上側には網部53が載せ置かれる。
【0065】
第1飲料受け部材51は、第1底面部51aと第1側壁部51bとを有する。第1側壁部51bは第1底面部51aの周囲に立設されていて、第1飲料受け部材51は全体として深さのある皿形状となっている。温度測定部54は、上面視で第1底面部51aの中央に、第1底面部51aに接して配置される。第1底面部51aは全体としてすり鉢状の形状に形成されており、第1側壁部51bと接続された外周部から、温度測定部54が配置されている中央部に向けて下方に傾斜する傾斜部位51fを有している。容器4に収まらずにこぼれたコーヒーCは、第2飲料受け部材52の周囲から第1飲料受け部材51へと流れ込み、傾斜部位51fの表面を伝って第1飲料受け部材51の中央へと流れる。
【0066】
(2)上述の実施形態では第1飲料受け部材51は、第1底面部51aと、第1底面部51aの周囲に立設された第1側壁部51bとを有し、全体として深さのある皿形状として構成されていた。これを変更し、第1飲料受け部材51を平坦な平板状や、すり鉢状の部材に形成してもよい。すなわち、第1飲料受け部材51が第1側壁部51bを備えない形態も可能である。
【0067】
(3)上述の実施形態では、第1飲料受け部材51を金属製とし、第2飲料受け部材52を樹脂製とした。第1飲料受け部材51を樹脂製としてもよい。その場合、第1飲料受け部材51の材料としては熱伝導率が高いものが好適である。第2飲料受け部材52を金属製としてもよい。その場合、こぼれたコーヒーCが第2飲料受け部材52に接触して第2飲料受け部材52の温度が上昇すると、第2飲料受け部材52から第1飲料受け部材51へ熱が流れ、第1飲料受け部材51の温度上昇を温度測定部54が検知できる場合があり、好適である。
【0068】
(4)上述の実施形態では、支持部(筐体7)が載置部5の後半分を取り囲むように構成したが、支持部を柱状の部材とし、当該部材が抽出部3を支持するよう構成してもよい。また柱状の部材は、単数でもよいし、複数設けてもよい。
【0069】
(5)上述の実施形態では、温度測定部54は第1側壁部51bにおける最も前方向(X方向)寄りの部位である第1部位51cに接して配置された。温度測定部54を、第1側壁部51bにおける筐体7(支持部)に面していない第3部位51eのいずれかの場所に接して配置してもよい。なお第1側壁部51bにおける第3部位51eに該当する範囲は支持部の形態によって変化するが、例えば支持部が柱状の部材であった場合は、温度測定部54が第1側壁部51bにおける柱状の支持部に面していない部位に接して配置されていればよい。
【0070】
(6)上述の実施形態では温度測定部54を1つ設ける例を説明したが、温度測定部54は複数設けてもよい。また複数の温度測定部54のうちの一つを第1側壁部51bに接して配置し、他の一つを第1底面部51aに接して配置してもよい。
【0071】
(7)上述の実施形態では、コーヒーCのこぼれ検知は、第1飲料受け部材51の現在の温度と1分前の温度とを比較して行った。詳しくは、現在の温度が1分前の温度と比べて3℃以上大きい場合に、第1飲料受け部材51へのコーヒーCのこぼれが発生したと判断した。こぼれの適切な検知が可能であれば、他の判断手法を採用することもできる。例えば、予め判断閾値を定めておき(例えば60℃)、温度測定部54が測定した第1飲料受け部材51の温度が判断閾値を超過した際に、こぼれが発生したと判断してもよい。