【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明は、より具体的には、基材と粉体をベースにした塗膜とを含む複合材料を製造する方法であって、
a)少なくとも1種の第1アルコール溶媒を含有する第1溶液を用いた前記基材の表面処理を含む、基材を官能化するステップと、
b)第1安定コロイドゾルを形成するステップと、
c)前記第1コロイドゾルの少なくとも1層を官能化基材上に少なくとも1回塗布するステップと、
d)前記第1コロイドゾルの前記少なくとも1層を乾燥するステップと、
e)50℃超500℃未満の温度に加熱することによって、前記基材に付着している前記第1コロイドゾルによって形成される第1塗膜層を形成するステップと
を含む方法に関する。
【0016】
この種の方法は、E. Gressel−Michelらの「マイクロ波フラッシュ合成TiO
2コロイド懸濁液からTiO
2薄膜(From a microwave flash−synthesized TiO2 colloidal suspension to TiO2 thin films)」という名称の論文により公知であり、その論文はTiCl
4及びHClを含有する水溶液をマイクロ波に曝露することからなるMWAR(マイクロ波オートクレーブ反応器)法で合成されたTiO
2のコロイドゾルを調製する方法を教示する。次いで、TiO
2のコロイドゾルをベースとする薄層を浸漬(ディップ塗装)により基材上、例えばエタノール中で予め官能化されたソーダ石灰ガラスに塗布する。
【0017】
残念なことに、この種の方法では、前駆体(TiCl
4及びHCl)から酸化物がその場で生成するので、酸化物の特性の完全な制御を行うことができない。更に、この文献には、薄層のXRDによる特性決定を行うことができなかったことが開示され(文献の項目3.5)、この開示は読者をTiO
2をベースとする薄層は結晶化しておらず、純粋なアナタース形でないという結論に導く。最後に、この方法はマイクロ波オートクレーブ反応器(MWAR)の使用を伴い、そのことがこの方法を経済上及び実用上の見地から見て限定的なものとする。
【0018】
上述からわかるように、現行の公知方法、特に本明細書で先に記載した方法には、エネルギー需要、使用される物質の性質、又は酸化物が前駆体からその場で形成され、それらの特性の完全な制御を行うことができないという点に重大な欠点がある。
【0019】
他方では、得られる複合材料製品は、有利には、親水性、電気伝導、触媒活性、帯電防止性、イオン伝導、制御された気孔率及び制御された透過率の組合せ又は非組合せのような塗膜特性が、粉体、特にその中に組み込まれている酸化物の塗膜特性と同一又はほとんど同一であるべきである。したがって、基材上の塗装粉体は、基材上への付着方法の間における劣化又は変質をできる限り少なくするべきである。更に、塗膜の基材上への付着性は高くあるべきであり、塗膜を形成するのに塗布された粉体の粒子は基材の表面上に均一に分散されるべきである。このことは、多くの場合、塗膜層として付着させる粉末状材料が、層が付着されるべき基材に対して低い親和性を示すに過ぎず、ナノメートルスケールでの材料の凝離を付着時に回避するのがしばしば困難であるので、達成するのはしばしば困難である。
【0020】
本発明の目的は、エネルギー的に費用のあまりかからず、塗膜の付着性が最適であり、塗膜内における粒子分布が均一であり、そのようにすることによって均質特性を塗膜全体にわたって基材に付与し、塗布される粉体の塗膜が塗膜を形成する際に粉体の性質及び特性を保持するような仕方で、粉体、特に酸化物の付着を可能にする方法を提供することによって、従来技術の欠点を解消することである。
【0021】
この課題を解決するために、最初に示した本発明による方法であって、
f)前記第1安定コロイドゾルを形成する前に、第1粉体を官能化するステップ
を更に含むこと、及び、前記第1安定コロイドゾルが第2溶媒中で官能化された前記第1粉体をベースとしており、前記塗膜が均一分布した前記第1粉体で形成されている方法が提供される。
【0022】
これは上述からわかるように、本発明でいうところの塗膜を形成するために塗布される粉体は官能化され、溶媒中に官能化粉体を含有するコロイドゾルを形成する。目標は、粉体中に存在するが基材上には存在しない特性/機能と同一の特性/機能を基材上に固定することである。
【0023】
本発明でいうところのコロイド又はコロイドゾルは、混合物を均質とするのに十分に小さい粒子をコロイド懸濁液として含有する液体又はゲルの形の物質である。本発明でいうところのコロイドゾルは、通常2から1,000ナノメートル、好ましくは2から500ナノメートル、更に優先的には2から200ナノメートルの粒径を有する固体粒子の均質な分散体を形成する。
【0024】
確実に基材の規則的で均質な塗膜となるようにすることが可能であるコロイドゾルを得るために、安定コロイドゾルを得るべきである。コロイド溶液の安定性は粒子及び粒子間に影響を及ぼす吸引相互作用と反発相互作用との間のバランスに起因し、本発明によれば、任意選択でカルボキシル又はカルボキシラート官能基を有する作用物質の存在下に溶媒、例えばアルコールの特定の使用による。本発明によれば、安定コロイドゾルを少なくとも24時間、好ましくは少なくとも3日間、又は更には数週間若しくは数か月得ることができた。そのことにより、粉体の粒子が完全に分散している均質な塗膜を得ることができた。安定性の期間という概念は使用される酸化物によるであろう。例えば、MnO
2は本発明によるコロイドゾルにおいて5か月間の安定性を示すが、LiCoO
2は少なくとも1日乃至14日間の安定性を示す。それゆえ、本発明に従ってコロイドゾルを調製すれば、ナノメートル粒子の凝離なく均質ゾルを得ることが可能となり、選択された粉状生成物の均質層を実現することが可能になる。したがって、ゾルの処方は、その後に多様な付着方法で使用することができる能力である良好な均質性を保証するように適合される。
【0025】
実際に、とりわけ本発明によるコロイドゾルの安定性により、多くの塗布技法の使用が可能になる。例えば、Elcometer 4340など、例えば2乃至6μmなどの所定深さのスパイラルバーを任意選択的に装備したバー塗装用アプリケーター(バーコーター)、浸漬による塗装用アプリケーター(ディップコーター)、遠心コーター(スピンコーター)、吹付け塗装で用いられるコーター(スプレーコーター)、スライド塗装で用いられるコーター(スライドコーター)、スクリーン印刷用の印刷機(スクリーン印刷機)、及びスロットコーター(スライドコーター)、インクジェット式印刷機、更にはロールを備えたコーター(ロールコーター)などのフィルムの自動アプリケーターなどである。このようにして、コロイドゾルはその均質性及びその安定性ゆえ、様々な方式で、異なる多くの基材上に塗布することができる。平面形状かどうかを問わない基材、糸、繊維、可撓性基材、更には接着性が保留された状態であるので成形以前の基材などである。したがって、本発明によるこの方法によって、考えられる複数の機能、複数の基材と粉体の使用が可能となる。次いで、本発明によるコロイドゾル層の反復塗布による粉体の1層又は複数層の塗布によって得られたフィルムは低温で注意深く乾燥され、なんら電気化学現象を必要としない。
【0026】
したがって、本発明による方法は、エネルギーの点から要求の厳しい方法に頼ることなく、粉体、特に酸化物由来の塗膜の層を付着させることができ、また本発明の範囲内では結合剤はステップe)において50乃至500℃の温度に加熱することによって燃焼ステップで除去されるのであるから、塗膜に残存し得る結合剤にも頼らないので、粉体の形状の生成物の純度に応じて作製された付着物の純度を保証することができる。したがって、特定の特性(例えば、触媒、光触媒、伝導、着色特性)を備えた粉体、特に酸化物の粉体は、形成された付着性塗膜を介してその同じ特定の特性を基材に、塗装された基材の表面全体にわたって均一に付与する。接着性は塗膜の品質にとって本質的な特性であるので、基材は本発明に従って第1アルコール溶媒での処理に由来するOH基で予め官能化される。付着させる前記粉体も官能化され、前記第2溶媒中で前記官能化粉体のコロイドゾルを形成する。
【0027】
更に、本発明による方法において、50℃超500℃未満の温度での加熱による処理の後に前記基材に付着している塗膜が得られる。この加熱は、前記アルコール溶媒及びカルボキシル又はカルボキシラート官能基を有する作用物質(単数又は複数)、特に、コロイドゾルを形成し、表面及び粉体を官能化するのに使用されるカルボン酸(単数又は複数)の蒸発及び/又は燃焼を可能にする。このようにして塗膜の純度は保証され、基材は、プロセスの出口において、純粋な、しかも結合剤が塗膜に残存しない粉体から形成された付着性塗膜で塗装される。理解されるとおり、熱処理は燃焼、すなわち穏やかな処理であり、いわゆる焼成温度の使用を必要とせず、したがって環境影響が限定される。というのは、温度と関連した特性(例えば、温度によって引き起こされる結晶化度や光活性)を得るために過度のエネルギーを付着に供給する必要がないからである。
【0028】
最後に、本発明による方法の一連のステップは工業運転ラインと両立する反応速度を有し、これによって既存の塗装ラインに比較して追加の機器を必ずしも必要とすることなく容易に適応可能になるということを強調しなければならない。
【0029】
前記第1塗膜を形成するために、前記ステップc)及びd)を交互に前記第1粉体の必要とされる層の数に応じて所定の回数繰り返すことが有利である。
【0030】
このようにして、本発明によれば、コロイドゾルのいくつかの層で形成された塗膜を得ることができる。50℃超500℃未満の温度に加熱することによる、前記基材に付着している前記コロイドゾルで形成される塗膜の形成は、連続ステップc)及びd)を所定の回数、例えば10回行った後にしか必要でない。したがって、ステップc)及びd)を10回繰り返し、ステップe)を適用し、引き続いて再度ステップc)及びd)の塗布を10回行い、所望の厚さが得られた後、第2のステップe)を選択することによって、所望の厚さの塗膜を得ることができる。
【0031】
本発明による別の実施形態において、本方法は、下記のステップを更に含む:
a)n番目(n≧2)の粉体を官能化し、Z番目(Z≧n+1)の溶媒中に官能化された前記n番目(n≧2)の粉体を含有するn番目(n≧2)のコロイドゾルを形成するステップと、
b)前記n番目の粉体の前記n番目のコロイドゾルの少なくとも1層
(one layer)を前記(n−1)番目の塗膜
(coating)で塗装された
(coated)基材上に塗布する
(application)ステップと、
c)前記n番目のコロイドゾルの前記少なくとも1層を乾燥するステップと、
d)50℃超500℃未満の温度に加熱することによって、前記(n−1)番目の塗膜に付着している前記n番目の粉体の前記n番目のコロイドゾルで形成される塗膜層を任意選択的に形成するステップ。
【0032】
これはわかるように、本発明の方法によれば、(それ自体任意選択的に複数の粉体の混合物であってもよい)第1粉体からの第1塗膜が設けられている基材を形成すること、及びこの第1塗膜上に第2塗膜を形成すること、及び所望の一連の塗膜を得ることまで可能である。したがって、本発明に従って得られた塗装基材としては、塗膜A、塗膜B、塗膜C及び塗膜Dのみならず、塗膜A、塗膜B、塗膜A及び最後にまた塗膜Bで塗装された基材(他の任意の組合せが更に可能である)を挙げることができる。
【0033】
前記n番目の塗膜を形成するために、前記ステップb)及びc)を交互に前記n番目の粉体の層の数に応じて所定の回数繰り返すことが有利である。
【0034】
このようにして、本発明によれば、n番目のコロイドゾルの複数の層で形成された塗膜を得ることができる。50℃超500℃未満の温度に加熱することによって、前記基材に付着している前記コロイドゾルで形成される塗膜の形成は、一連のステップb)及びc)を所定の回数、例えば10回行った後にしか必要とされない。したがって、ステップb)及びc)を10回繰り返し、ステップd)を適用し、引き続いて再度ステップb)及びc)を10回適用し、所望の厚さが得られた後、第2ステップd)を選択することにより所望の厚さの塗膜を得ることができる。一代替形態では、第1粉体を用いてステップb)及びc)を数回適用し、n番目の粉体を用いてステップb)及びc)を数回適用し、次いで単純に50℃超500℃未満の温度に加熱することによって前記基材に付着している前記コロイドゾルで形成される塗膜を形成することが可能である。
【0035】
前記第1及び/又は前記n番目のコロイドゾルは水を含有する場合もある。
【0036】
好ましくは、前記粉体は、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、遷移金属酸化物、
ポスト遷移金属酸化物(post−transition metal oxide;un oxyde de metal pauvre)、メタロイド酸化物、ランタニド酸化物、アクチニド酸化物、好ましくは金属酸化物及び/又は酸化ケイ素を含む粉体であり、より優先的には酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化パラジウム、酸化銅、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化鉛及びそれらの組合せ、例えばコバルトとリチウム、鉄とマンガン、リチウムとチタンなどの混合酸化物などの群から選択される1種又は複数の酸化物を含む粉体などである。
【0037】
本発明の有利な実施形態において、前記基材は金属、ガラス又は石英、セラミック支持体、又は二酸化チタン若しくは酸化ケイ素で塗装された他の任意の材料からなる群から選択され、特に酸化物が均一分布し、その初期の特性を保持していることが望ましい場合に、これらの基材を酸化物で塗装するのは特に困難であるのであるから、好ましくは金属、セラミック支持体又は二酸化チタン若しくは酸化ケイ素で塗装された他の任意の材料である。
【0038】
好ましくは、前記金属は、圧延又は非圧延、塗装又は非塗装の形鋼又は非形鋼、特に低、中、又は高炭素鋼、ステンレス平鋼又は形鋼、任意選択的に他の支持体に付着させた白金、圧延又は非圧延の、任意選択的に成形されたアルミニウムからなる群から選択され、より具体的には、前記金属がシート被覆鋼、プレコート鋼、アルミニウム板又は二酸化チタンの層で塗装された鋼板の群から選択される。
【0039】
前記ガラス又は石英は、アルカリガラス又は非アルカリガラス、板ガラス又は例えば、管、糸若しくは繊維などの形状の成形ガラス、シート、管、糸又は繊維の形状の石英などからなる群から選択されることが有利である。
【0040】
前記第1及び/又はn番目のコロイドゾルがカルボキシル又はカルボキシラート官能基を有する作用物質の存在下で形成されることが有利である。
【0041】
更に詳細には、前記第1官能化粉体を含有する前記第1コロイドゾルの形成に伴う前記第1粉体の前記官能化ステップ(ステップa)及びb))は、以下のステップを含む:
a)前記第2溶媒SO1中においてカルボキシル又はカルボキシラート官能基を有する前記作用物質の第1溶液S1を調製するステップであって、前記第2溶媒SO1が少なくとも1つのアルコール官能基を含む線状の飽和又は不飽和鎖の有機アルコールから選択されるステップと、
b)前記第1粉体を前記第1溶液S1に分散させることによって、懸濁液Sp1を調製するステップと、
c)希釈溶液S1dを生成するために、水を前記第1溶液S1に添加するステップと、
d)前記希釈溶液S1d及び前記懸濁液Sp1を10℃と前記第2溶媒の還流温度との間に含まれる温度で混合するステップと、
e)前記第1官能化粉体を含有する前記第1コロイドゾルが得られるまで、前記混合物を均質化するステップ。
【0042】
有利には、均質化は、超音波を用いて任意選択的に改善できる。したがって、付着させる前記粉体は、前記第2アルコール溶媒により、他方ではカルボキシル又はカルボキシラート官能基を有する前記作用物質により官能化され、安定コロイドゾルSOL1の形成を可能にする。
【0043】
更に、特定の一実施形態において、前記n番目(n≧2)の官能化粉体を含有するn番目(n≧2)のコロイドゾルの形成に伴う前記n番目の粉体(n≧2)の前記官能化ステップ(ステップa及びb)は以下のステップを含む:
a)前記Z番目の(Z≧n+1)溶媒SO2中において、カルボキシル又はカルボキシラート官能基を有する前記作用物質のn番目(n≧2)の溶液Snを調製するステップであって、当該溶媒が少なくとも1つのアルコール官能基を含む直鎖の飽和又は不飽和の有機アルコールから選択されるステップと、
b)前記n番目(n≧2)の粉体を前記n番目(n≧2)の溶液Snに分散させることによって、懸濁液Spnを調製するステップと、
c)n番目(n≧2)の希釈溶液Sndを生成するために、水を前記n番目(n≧2)の溶液Snに添加するステップと、
d)前記n番目(n≧2)の希釈溶液Snd及び前記懸濁液Spnを10℃と前記Z番目(Z≧n+1)のアルコール溶媒の還流温度との間に含まれる温度で混合するステップと、
e)前記n番目(n≧2)の官能化粉体を含有する前記n番目(n≧2)のコロイドゾルが得られるまで、前記混合物を均質化するステップ。
【0044】
均質化は、超音波を用いて任意選択的に改善できる。この場合も、付着させる前記粉体は、前記Z番目のアルコール溶媒により、他方ではカルボキシル又はカルボキシラート官能基を有する前記作用物質を形成するために、カルボキシル基により官能化され、安定コロイドSOLnが更に形成される。
【0045】
本発明による代替形態では、コロイドゾルを形成する前に付着させる粉体の予備官能化を実施するために、前記第1粉体が官能化溶媒Sf中、任意選択的に水の存在下に以下のステップで官能化されることが有利である:
a)前記第1官能化粉体を前記第2溶媒SO1に分散させることによって、懸濁液Sp1を調製するステップと、
b)希釈溶液S1dを生成するために、水を前記第2溶媒SO1に添加するステップと、
c)前記希釈溶液S1d及び前記懸濁液Sp1を10℃と前記第2溶媒SO1の還流温度との間に含まれる温度で混合するステップと、
d)前記第1官能化粉体を含有する中間コロイドゾルが得られるまで、前記混合物を均質化するステップと、
e)前記第1コロイドゾルSOL1を形成するために、カルボキシル又はカルボキシラート官能基を有する作用物質を第3溶媒、好ましくはアルコール溶媒中に含有する溶液を前記中間コロイドゾルに添加するステップ。
【0046】
別の代替形態では、下記のステップによりコロイドゾルを形成する前に、付着させる粉体の予備官能化を実現するために、前記n番目(n≧2)の粉体は官能化溶媒Sf中、任意選択的に水の存在下に官能化される:
a)前記n番目(n≧2)の粉体を前記Z番目(Z≧n+1)の溶媒(SOZ)に分散させることによって、懸濁液Spnを調製するステップと、
b)希釈溶液Sndを生成するために、水を前記Z番目(Z≧n+1)の溶媒に添加するステップと、
c)前記希釈溶液Snd及び前記懸濁液Spnを10℃と前記Z番目(Z≧n+1)の溶媒の還流温度との間に含まれる温度で混合するステップと、
d)前記n番目の官能化粉体を含有する溶液の中間コロイドゾルが得られるまで、前記混合物を均質化するステップと、
e)前記n番目のコロイドゾルSOLnを形成するために、カルボキシル又はカルボキシラート官能基を有する作用物質を第3溶媒、好ましくはアルコール溶媒中に含有する溶液を前記中間コロイドゾルに添加するステップ。
【0047】
本発明の特に優先的な実施形態において、前記第1アルコール溶媒、前記第2溶媒、前記第3溶媒及び前記Z番目(Z≧n+1)の溶媒は互いに独立に、水及び少なくとも1つのアルコール官能基を含む飽和又は不飽和の直鎖有機アルコールからなる群から選択され、好ましくはメトキシエタノール、エタノール、エチレングリコール、1−プロパノール、メタノール、n−ブタノール、2−フェニルエタノール、2−プロパノール及びそれらの混合物の群から選択され、同一でも異なってもよい。
【0048】
本発明による有利な代替形態では、前記第1アルコール溶媒は、好ましくはエチレングリコール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール1500、ポリエチレングリコール10000及びポリエチレングリコール15,00000、エトキシ化天然脂肪アルコール、好ましくはステアリルアルコールをベースとするエトキシ化天然脂肪アルコール、より具体的にはBrij(登録商標)S10、Pluronic F12
7(登録商標)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及び4−ヒドロキシ安息香酸、並びにそれらの混合物の群から選択される添加剤を含む。
【0049】
優先的な実施形態によれば、前記官能化溶媒は、エチレングリコール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール1500、ポリエチレングリコール10000及びポリエチレングリコール15,00000、エトキシ化天然脂肪アルコール、好ましくはステアリルアルコールをベースとするエトキシ化天然脂肪アルコール、より具体的にはBrij(登録商標)S10、Pluronic F12
7(登録商標)、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、パラ−ヒドロキシ安息香酸、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0050】
優先的に、カルボキシル又はカルボキシラート官能基を有する前記作用物質は、任意選択的にアルコール鎖及び/又は任意選択的にベンゼン環を有し、及び/又は飽和若しくは不飽和の炭素鎖を有する単官能又は多官能カルボン酸の群から選択されるカルボン酸又は関連するカルボキシラートであり、好ましくはカルボキシル又はカルボキシラート官能基を有する前記作用物質は4−ヒドロキシ安息香酸である。
【0051】
有利には、カルボキシル又はカルボキシラート官能基を有する前記作用物質はカルボキシルアミノ酸、特にチロシンである。
【0052】
本発明による方法の他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0053】
本発明は、例えば本発明による方法で得られた複合材料をも目的とする。
【0054】
特に、本発明は、基材と粉体をベースにした少なくとも1つの塗膜とを含む材料であって、前記塗膜が前記粉体からなり、前記基材への付着力がASTM4541規格に従って17N/mm
2を超えることを特徴とする、材料に関する。
【0055】
材料は、本発明によればn番目の粉体をベースとするn番目(n≧2)の塗膜を備え、前記n番目の塗膜は前記n番目の粉体からなることが有利である。
【0056】
本発明による材料において、前記粉体は、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、遷移金属酸化物、
ポスト遷移金属酸化物(post−transition metal oxide;un oxyde de metal pauvre)、メタロイド酸化物、ランタニド酸化物、アクチニド酸化物、好ましくは金属酸化物及び/又は酸化ケイ素、より優先的には酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化パラジウム、酸化銅、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化鉛及びそれらの組合せ、例えば、コバルトとリチウム、鉄とマンガン、リチウムとチタンの混合酸化物などの群から選択される1種又は複数の酸化物を含む粉体である。
【0057】
本発明による特定の実施形態において、前記基材は金属、ガラス又は石英、セラミック支持体、二酸化チタン及び酸化ケイ素で塗装された他の任意の材料からなる群から選択される。
【0058】
好ましくは、圧延又は非圧延、塗装又は非塗装の形鋼又は非形鋼、特に低、中、又は高炭素鋼、ステンレス平鋼又は形鋼、任意選択的に他の支持体に付着させた白金、圧延又は非圧延の、任意選択的に成形されたアルミニウムからなる群から選択され、より具体的には、前記金属はシート被覆鋼、プレコート鋼、アルミニウム板又は二酸化チタンの層で塗装された鋼板の群から選択される。
【0059】
或いは、前記ガラス又は石英は、アルカリガラス又は非アルカリガラス、板ガラス又は例えば、管、糸若しくは繊維などの形状の成形ガラス、シート、管、糸又は繊維の形状の石英などからなる群から選択される。
【0060】
本発明による複合材料の他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0061】
本発明の他の特徴、詳細及び利点は、非限定的なものとして、添付の図面及び下記の実施例を参照しながら以下に示す説明から明らかになるであろう。