特許第6346700号(P6346700)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6346700
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】気流吐出ユニット及び流体機器
(51)【国際特許分類】
   A45D 20/12 20060101AFI20180611BHJP
   B05B 1/34 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   A45D20/12 J
   B05B1/34
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-176806(P2017-176806)
(22)【出願日】2017年9月14日
【審査請求日】2017年11月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】301000239
【氏名又は名称】テスコム電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】戸張 高明
(72)【発明者】
【氏名】岡本 吉憲
【審査官】 渋谷 善弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−357763(JP,A)
【文献】 実開昭62−202203(JP,U)
【文献】 特開2007−063875(JP,A)
【文献】 特開2004−275985(JP,A)
【文献】 特開2008−292743(JP,A)
【文献】 特開2010−227306(JP,A)
【文献】 特開2011−163637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/34
A45D 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流が流入する流入口と、
前記気流を流出する流出口と、
前記流入口及び前記流出口を結ぶ第1の流路と、
前記第1の流路の外側に備えられ、2箇所の開口部を有し、前記開口部を通じて前記第1の流路と連通する第2の流路と、を備え、
前記第2の流路は複数のリブを含む壁部によって規定され、前記流出口を規定する外周部によって前記第2の流路の前記流出口側が閉塞されている、気流吐出ユニット。
【請求項2】
前記第2の流路は複数の角を有するように構成される、請求項1に記載の気流吐出ユニット。
【請求項3】
前記リブは、前記第2の流路を規定する第1の壁部及び前記第1の壁部に対向する第2の壁部に交互に形成される、請求項1又は2に記載の気流吐出ユニット。
【請求項4】
前記第2の流路は、断面でみたときに左右対称に2本備えられる、請求項1〜3の何れか1項に記載の気流吐出ユニット。
【請求項5】
前記流出口を規定する外周部は、前記流入口の側に凹んだ一対の凹部が、上下方向の中央部に左右方向に並んで形成される、請求項4に記載の気流吐出ユニット。
【請求項6】
前記リブは、前記第2の流路の幅の2分の1より大きい凸状を有するように形成される、請求項1〜5の何れか1項に記載の気流吐出ユニット。
【請求項7】
気流が流入する流入口と、
前記気流を流出する流出口と、
前記流入口及び前記流出口を結ぶ第1の流路と、
前記第1の流路の外側に備えられ、2箇所の開口部を有し、前記開口部を通じて前記第1の流路と連通する第2の流路と、を備え、
前記第2の流路は前記第2の流路を通る気流の向きを変更する複数の折り曲げ部を含む壁部によって規定され、前記流出口を規定する外周部によって前記第2の流路の前記流出口側が閉塞されている、気流吐出ユニット。
【請求項8】
前記第2の流路は複数の角を有するように構成される、請求項7に記載の気流吐出ユニット。
【請求項9】
ヘアドライヤーに装着される、請求項1〜8の何れか1項に記載の気流吐出ユニット。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載の気流吐出ユニットと、
前記気流吐出ユニットの前記流入口に気流を流出する本体と、を備える流体機器。
【請求項11】
気流が流入する流入口と、
前記気流を流出する流出口と、
前記流入口及び前記流出口を結ぶ第1の流路と、
前記第1の流路の外側に備えられ、2箇所の開口部を有し、前記開口部を通じて前記第1の流路と連通する第2の流路と、を備え、
前記第2の流路は複数のリブを含む壁部によって規定され、
前記第2の流路の距離であって、前記2箇所の開口部の間の距離である距離L1は、前記2箇所の開口部を結ぶ、前記第1の流路を形成する周壁に対して平行な仮想線の長さL2に比して長い、気流吐出ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は気流吐出ユニット及び流体機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、流体素子を利用した機器が知られている。流体素子とは、流体(液体、気体)を作動体とする制御要素の総称である。可動部なしに流体の運動のみによって流体の制御を行なうものは特に純流体素子と呼ばれる。
【0003】
エアシャワー装置に取り付けられる純流体素子として、特許文献1に記載された技術が知られている。
【0004】
特許文献1に記載された純流体素子は、流体流入口と、この流体流入口より流入した流体が横断する連結ダクトと、この連結ダクトを横断した流体が流出する流体噴出ノズルとを備え、噴出ノズルに流れる流体により生じた圧力差により連結ダクト内の流体を駆動し、この駆動によって発生した連結ダクト内の流体の流れによって噴出ノズルから流出する流体の流速が変動するようになっており、連結ダクトが、断面が曲線で構成された左右対称な2本の流路を有し、この2本の流路を、連結ダクトと流体流入口から流体噴出ノズルの間を流れる流体との合流点で合流させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−275985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、気流の「揺らし」の効果や実感を得ることができないという問題があった。
【0007】
例えば、手持ち型のドライヤーの場合、ユーザ自身が手動でドライヤー自体を上下又は左右に揺らすことでドライヤーからの風を上下又は左右に揺らしていた。これと同様の効果を気流の自励振動により得ようとする場合、気流を上下又は左右にゆっくりと揺らす必要があるが、特許文献1に記載された純流体素子ではこれを実現することが困難であった。すなわち、特許文献1に記載された純流体素子は除塵目的で用いることが意図され、大きく、強い気流が創出されてしまうので、叩くような気流となってしまい、気流の「揺らし」の効果や実感を得ることができなかった。
【0008】
このような課題に鑑み、本発明の一実施形態は、流体機器からの気流の「揺らし」効果を高めることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る気流吐出ユニットは、気流が流入する流入口と、前記気流を流出する流出口と、前記流入口及び前記流出口を結ぶ第1の流路と、前記第1の流路の外側に備えられ2箇所の開口部を有し、前記開口部を通じて前記第1の流路と連通する第2の流路と、を備え、前記第2の流路は複数のリブを含む壁部によって規定される。
【0010】
本発明の一実施形態に係る気流吐出ユニットの前記第2の流路は複数の角を有するように構成されてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る気流吐出ユニットの前記リブは、前記第2の流路を規定する第1の壁部及び前記第1の壁部に対向する第2の壁部に交互に形成されてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係る気流吐出ユニットの前記第2の流路は、断面でみたときに左右対称に2本備えられてもよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係る気流吐出ユニットの前記流出口を構成する周壁部は、前記流入口の側に凹んだ一対の凹部が、上下方向の中央部に左右方向に並んで形成されてもよい。
【0014】
本発明の一実施形態に係る気流吐出ユニットの前記リブは、前記第2の流路の幅の2分の1より大きい凸状を有するように形成されてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態に係る気流吐出ユニットの隣接する前記リブの間の壁部は直線で形成される壁部を含んでもよい。また、本発明の一実施形態に係る気流吐出ユニットの隣接する前記リブの間の壁部は曲線で形成される壁部を含んでもよい。
【0016】
本発明の他の実施形態に係る気流吐出ユニットは、気流が流入する流入口と、前記気流を流出する流出口と、前記流入口及び前記流出口を結ぶ第1の流路と、前記第1の流路の外側に備えられ、2箇所の開口部を有し、前記開口部を通じて前記第1の流路と連通する第2の流路と、を備え、前記第2の流路は前記第2の流路を通る流体の向きを変更する複数の折り曲げ部を含む壁部によって規定される。
【0017】
本発明の他の実施形態に係る気流吐出ユニットの前記第2の流路は複数の角を有するように構成されてもよい。
【0018】
本発明の一実施形態に係る気流吐出ユニットはドライヤーに装着されてもよい。
【0019】
また、本発明の一実施形態に係る流体機器は、本発明の一実施形態に係る気流吐出ユニットと、前記気流吐出ユニットの前記流入口に流体を流出する本体と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットを本体に装着する様子を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットを本体に装着する様子を示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットを本体に装着する様子を示す側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットを本体に装着した様子を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットを本体に装着した様子を示す平面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットを本体に装着した様子を示す側面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットを本体に装着した様子を示す正面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットの流出口側の構成を示す斜視図である。
図9】本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットを流出口側からみた断面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットの流入口を示す分解斜視図である。
図11】本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットの流入口側の構成を示す断面斜視図である。
図12】本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットを流入口側の断面図である。
図13】本発明の第二の実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットの流入口側の構成を示す断面斜視図である。
図14】本発明の第二の実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットを流入口側の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。
【0022】
本明細書において、ある部材又は領域が他の部材又は領域の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限りこれは他の部材又は領域の直上(又は直下)にある場合のみでなく他の部材又は領域の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の部材又は領域の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
【0023】
(第1実施形態)
<流体機器の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットを本体に装着する様子を示す斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットを本体に装着する様子を示す平面図である。図3は、本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットを本体に装着する様子を示す側面図である。
【0024】
本発明の一実施形態に係る流体機器100は、本体110と気流吐出ユニット120を有する。
【0025】
本体110は、この例では手持ち型のドライヤーである。他の例として、本体110は、固定型のドライヤーであってもよい。また、本体110は、髪の毛に送風する装置以外の流体機器(例えば、乾燥機、扇風機、ペット用のドライヤー、ミスト発生機器等)であってもよい。本体110は、気流吐出ユニット120に気流を流出する装置であればよい。
【0026】
図1乃至図3に示すように、気流吐出ユニット120は、突出部126が本体110の風吹き出し口112に嵌合されて本体110に装着される。気流吐出ユニット120は、本体110から送られてくる気流の向きを変更させる機構を有する。気流吐出ユニット120の構造の詳細は後述する。
【0027】
図4は、本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットを本体に装着した様子を示す斜視図である。図5は、本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットを本体に装着した様子を示す平面図である。図6は、本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットを本体に装着した様子を示す側面図である。図7は、本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットを本体に装着した様子を示す正面図である。
【0028】
図4乃至図6に示すように、気流吐出ユニット120は、本体110の風吹き出し口112の先に取り付けて使用される。この例では、気流吐出ユニット120は、本体110の風吹き出し口112に直接取り付けて使用される例を示しているが、これに限られず、気流吐出ユニット120と本体110との間に他の部材を介在させて取り付けられるようにしてもよい。また、気流吐出ユニット120の本体110に対する取付角度(風吹き出し口112の中心の周りの相対角度)は、本実施形態で説明するものに限られず、本実施形態で説明する取付角度に対して±90°の取付角度としてもよい。
【0029】
図5に示すように、気流吐出ユニット120は、送風方向にわずかにテーパー形状に形成されている。しかし、気流吐出ユニット120は、送風方向に逆テーパー形状に形成してもよいし、円柱形状に形成してもい。
【0030】
図6に示すように、気流吐出ユニット120の縦方向の幅W1は、本体110の風吹き出し口112の縦方向の幅W2よりも大きく形成され、本体110の風吹き出し口112の縦方向の幅よりも気流吐出ユニット120の流出口124の縦方向の幅の方が大きくなるように形成される。
【0031】
図7に示すように、気流吐出ユニット120の内部は空洞となっており、本体110から送風される気流が流出口124から外部へ送風されるための流路となっている。
【0032】
<流体機器の気流吐出ユニットの構成>
〔流出口の構成〕
図8は、本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットの流出口側の構成を示す斜視図である。図9は、本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットを流出口側からみた断面図である。
【0033】
図8に示すとおり、流出口124を規定する外周部123は、二箇所の凹部127を有する。二箇所の凹部127を設けることにより、後述する、上方及び下方への風向きの切り替えをよりスムーズに行うことができる。
【0034】
すなわち、後述のとおり、本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニット120は、上部140に沿った気流Xと下部142に沿った気流Yを継続的に切り替えて気流を上下に揺らす。このとき、気流はコアンダ効果により壁に沿って進もうとする。そのため、左右に凹部127がなく左右にも壁が存在する場合には、気流X又は気流Yの一部は凹部127に代わって存する左右の壁に沿って進み、気流X又は気流Yが分散する。
【0035】
そこで、本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニット120の流出口124においては、気流を揺らそうとする方向(この例では上下)に垂直な方向(この例では左右)に並びそれぞれ流入口122側に凹んだ一対の台形状の凹部127を上下方向中央部に備えるように外周部123を形成することで、気流を揺らそうとする方向と異なる方向への気流の分散を防ぎ、気流の揺らしの効果をより強く得ることができる。なお、凹部127を台形状に構成することは必須ではなく、三角形状に構成してもよく、U字形状に構成してもよい。また、気流を左右に揺らそうとする場合には、一対の凹部127が外周部123の左右方向中央部に上下方向に並ぶように、気流吐出ユニット120の本体110に対する取付角度を調整すればよい。
【0036】
図9に示すとおり、流出口124は楕円形状に形成される。断面でみたときの流出口124の面積A2は、流入口122の面積A1よりも大きくなっている。流出口124付近の気流吐出ユニット120の内壁は、流出口124に向かって逆テーパー形状に形成される。気流はコアンダ効果により壁に沿って進むため、気流吐出ユニット120をこのような形状とすることで、広く揺れる風を得ることができる。
【0037】
〔流出口の構成〕
図10は、本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットの流入口を示す分解斜視図である。
【0038】
図10に示すように、気流吐出ユニット120の突出部126は、本体110からの気流が流入する流入口122となっている。この例では、突出部126は、ネジ止めにより流出口124側の部材と組み合わされ、気流吐出ユニット120の突出部126が本体110の風吹き出し口112に嵌合されることで、気流吐出ユニット120が本体110に装着される。
【0039】
〔内部の流路の構成〕
図11は、本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットの流入口側の構成を示す断面斜視図である。図12は、本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットの流入口側の断面図である。
【0040】
本発明の一実施形態に係る流体機器100の気流吐出ユニット120は、流入口122の外周に沿って2本の流路200を備える。流路200は、複数のリブ210を含む壁部230により規定され、2箇所の開口部を有する。図12に示すように、流路200は、この例では、断面でみたときに左右に2本、略対称に備えられる。
【0041】
隣接するリブ210の間の壁部230は、図12に示す断面でみたときに直線で構成してもよく、曲線で構成してもよい。隣接するリブ210の間の壁部230が直線で構成されても、曲線で構成されても、リブ210の存在により、流路200は複数の角を有するように構成される。それにより、流路200は細かく折れ曲がった気流を発生させる。
【0042】
リブ210は、この例では、図12に示すように、流入口側の断面でみたときに流路200を規定する左側の壁部及び流路を規定する右側の壁部に交互に7個形成されている。リブ210の数や配置はこれに限られず、気流吐出ユニット120や流路200の大きさに対応させて決定するとよい。具体的には、リブ210の数は、流路200内の流体の抵抗が大きくなりすぎないように配慮しつつ、可能な限り流路200の流路長が長くなるように決定するとよい。また、リブ210の配置は左右交互でなくてもよい。
【0043】
また、リブ210は、流入口の断面でみたときに流路の幅Wの2分の1より大きい凸状を有するように形成される。このような大きさに形成することで、流路200を通る流体が気流吐出ユニット120の外周の曲線に沿った流れになることを防ぎ、より確実に流路長を長くすることができる。
【0044】
流路200は、気流吐出ユニット120と一体的に形成してもよいし、気流吐出ユニット120とは別に製造したうえで、気流吐出ユニット120に装着させてもよい。
【0045】
<気流吐出ユニット120を取り付けた流体機器100の作用>
流入口122から気流吐出ユニット120に流入した気流は、コアンダ効果により、流出口124の上部140又は下部142のいずれか一方に沿って進む。コアンダ効果とは、気体や液体の噴流のそばに湾曲した壁があると、噴流はその壁の曲面に沿った方向を流れようとする現象をいう。
【0046】
例えば上部140に沿って気流が進んでいるとき、開口部P2及び開口部P4付近の圧力は、開口部P1及び開口部P3付近の圧力に比べて低圧となる。気体は圧力が高い方から低い方へ流れるため、左側の流路200では、開口部P1から開口部P2の方向へ、また、右側の流路200では、開口部P3から開口部P4の方向へ気流が生じる。
【0047】
これが継続して、開口部P2及び開口部P4付近の圧力と、開口部P1及び開口部P3付近の圧力とが逆転し、開口部P2及び開口部P4付近の圧力が、開口部P1及び開口部P3付近の圧力に比べて高圧となると、上部140に沿って進んでいた気流は下部142に沿って進むようになる。
【0048】
下部142に沿って気流が進むようになると、開口部P1及び開口部P3付近の圧力は、開口部P2及び開口部P4付近の圧力に比べて低圧となる。気体は圧力が高い方から低い方へ流れるため、左側の流路200では開口部P2から開口部P1の方向へ、また、右側の流路200では開口部P4から開口部P3の方向へ気流が生じる。
【0049】
これが継続して、開口部P2及び開口部P4付近の圧力と、開口部P1及び開口部P3付近の圧力とが逆転し、開口部P1及び開口部P3付近の圧力が、開口部P2及び開口部P4付近の圧力に比べて高圧となると、下部142に沿って進んでいた気流は再び上部140に沿って進むようになる。
【0050】
この動作が繰り返されることで、上部140に沿った気流X及び下部142に沿った気流Yが継続的に一定の速度で交互に切り替わり、気流吐出ユニット120を通過する気流が上部140の方向及び下部142の方向にゆっくりと揺らされる。
【0051】
本発明の一実施形態に係る流体機器100の気流吐出ユニット120の流路200は、流路200を規定する壁部230に複数のリブ210が存在することにより、細かく折れ曲げられている。よって、小型化された気流吐出ユニットにおいても流路長を長くすることができる。流路200の流路長が長くなると、上述した圧力の切り替わりによる気流の方向の切り替わりがゆっくりと行われるようになる。したがって、気流吐出ユニット120を横断する気流が上部140の方向及び下部142の方向にゆっくりと揺らされ、揺らしの効果を高めることができる。
【0052】
ところで、気流の向きを瞬時にはっきり切り替えることに主眼が置かれている従来技術を用いると、流路が曲線で形成されるため、気流が強化され、気流の切り替えが速くなってしまう。このため、使用者は、体感的に風が広がっているだけに感じてしまう。
【0053】
しかしながら、本発明の一実施形態に係る流体機器100の気流吐出ユニット120は、上述の構造を備える流路200を有しているため、気流がゆっくりと揺らされる。したがって、上記従来技術を用いる場合に比して、気流がゆっくり揺らされることにより、使用者は体感的に風の「揺らぎ」を感じ易くなる。
【0054】
このように、本発明の一実施形態に係る流体機器100の気流吐出ユニット120を用いると、気流吐出ユニット120を横断する気流が上部140の方向及び下部142の方向にゆっくりと揺らされるので、気流の強さが均一で広がった風を得ることができ、流体機器からの風の「揺らし」効果を得ることができる。
【0055】
(第2実施形態)
図13は、本発明の第二の実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットの流入口側の構成を示す断面斜視図である。図14は、本発明の第二の実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニットを流入口側の断面図である。
【0056】
本発明の第二の実施形態に係る流体機器500の気流吐出ユニット520は、流体機器100の気流吐出ユニット120と、流路の形状、特に壁部の形状及び配置の仕方において異なる。
【0057】
本発明の第二の実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニット520は流路600を備える。流路600は、気流吐出ユニット520の外壁605及び壁部630により規定される。流路600は、壁部630のみにより規定されてもよい。図12に示すように、流路200は、この例では、断面でみたときに左右に2本、略対称に備えられる。
【0058】
流路600は、この例では2回折り曲げられた形状に形成されている。具体的には、流路600は、まず、開口部P1及び開口部P5から気流吐出ユニット520の外周に沿って形成され、折り曲げ部P2及び折り曲げ部P6で折り曲げられて略180度方向が転換され、さらに、折り曲げ部P3及び折り曲げ部P7で折り曲げられて略180度方向が転換され、開口部P4及び開口部P8まで形成される。流路600を折り曲げる回数はこれに限られず、気流吐出ユニット520や流路600の大きさに対応させて決定するとよい。具体的には、流路600を折り曲げる回数は、流路600内の流体の抵抗が大きくなりすぎないように配慮しつつ、可能な限り流路600の流路長が長くなるように決定するとよい。また、折り曲げ部で方向が転換される角度は180度でなくてもよく、気流吐出ユニット520の大きさや形状に応じて決定されればよい
【0059】
壁部630は、図14に示す断面でみたときに直線で構成してもよく、曲線で構成してもよい。壁部630が直線で構成されても、曲線で構成されても、折り曲げ部P2、P3、P6、P7の存在により、流路600は複数の角を有するように構成される。それにより、流路600は大きく折れ曲がった気流を発生させる。
【0060】
流路600は、気流吐出ユニット520と一体的に形成してもよいし、気流吐出ユニット520とは別に製造したうえで、気流吐出ユニット520に装着させてもよい。
【0061】
<気流吐出ユニット520を取り付けた流体機器の作用>
流入口122から気流吐出ユニット520に流入した気流は、コアンダ効果により、流出口124の上部140又は下部142のいずれか一方に沿って進む。例えば流出口124の上部140に沿って気流が進んでいるとき、開口部P4及び開口部P8付近の圧力は、開口部P1及び開口部P5付近の圧力に比べて低圧となる。気体は圧力が高い方から低い方へ流れるため、左側の流路600では開口部P1から開口部P4の方向へ、また、右側の流路600では開口部P5から開口部P8の方向へ気流が生じる。
【0062】
これが継続して、開口部P4及び開口部P8付近の圧力と、開口部P1及び開口部P5付近の圧力とが逆転し、開口部P4及び開口部P8付近の圧力が、開口部P1及び開口部P5付近の圧力に比べて高圧となると、上部140に沿って進んでいた気流は下部142に沿って進むようになる。
【0063】
下部142に沿って気流が進むようになると、開口部P1及び開口部P5付近の圧力は、開口部P4及び開口部P8付近の圧力に比べて低圧となる。気体は圧力が高い方から低い方へ流れるため、左側の流路600では開口部P4から開口部P1の方向へ、また、右側の流路600では開口部P8から開口部P5の方向へ気流が生じる。
【0064】
これが継続して、開口部P4及び開口部P8付近の圧力と、開口部P1及び開口部P5付近の圧力とが逆転し、開口部P1及び開口部P5付近の圧力が、開口部P4及び開口部P8付近の圧力に比べて高圧となると、下部142に沿って進んでいた気流は再び上部140に沿って進むようになる。
【0065】
この動作が繰り返されることで、上部140に沿った気流X及び下部142に沿った気流Yが継続的に一定の速度で交互に切り替わり、気流吐出ユニット520を通過する気流が上部140の方向及び下部142の方向にゆっくりと揺らされる。
【0066】
本発明の一実施形態に係る流体機器の気流吐出ユニット520の流路600は、大きく気流の方向を変える折り曲げ部を複数備え、複数回折り曲げられた形状に形成されていることにより、小型化された気流吐出ユニットにおいても流路長を長くすることができる。流路600の流路長が長くなると、上述した圧力の切り替わりによる気流の方向の切り替わりがゆっくりと行われるようになる。したがって、気流吐出ユニット520を横断する気流が上部140の方向及び下部142の方向にゆっくりと揺らされ、揺らしの効果を得ることができる。
【0067】
上述の実施形態に係る流体機器100の気流吐出ユニット120、520は、以下の特徴を有する。
【0068】
流体機器100の気流吐出ユニット120(520)は、気流が流入する流入口122と、気流を流出する流出口124と、流入口122及び流出口124を結ぶ第1の流路と、この第1の流路の外側に備えられ、2箇所の開口部を有し、この2箇所の開口部を通じて上記の第1の流路と連通する第2の流路200(600)とを備え、第2の流路200(600)の2箇所の開口部間の距離L1は、第1の流路を形成する周壁に対して平行な線であり2箇所の開口部を結ぶ仮想線の長さL2に比して長い。
【0069】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されない。
【0070】
例えば、本発明の一実施形態に係る流体機器100の気流吐出ユニット120、520を用いると、毛量や繊維量が多い場合や毛や繊維が長い場合にも内側の毛や繊維まで効率よく送風することができ、また、使用者が風の動きを体感できるので、特に、ヘアドライヤー、乾燥機ペット用のドライヤー等に好適であるが、これに類似する需要がある他の物にも適用することができる。
【0071】
また、本発明の一実施形態に係る流体機器100の気流吐出ユニット120、520を用いると、やさしく広がって揺れる風を送ることができるので、特に、扇風機等に好適であるが、これに類似する需要がある他の物にも適用することができる。
【0072】
また、本発明の一実施形態に係る気流吐出ユニットは、本体110の風吹き出し口112の先に取り付けるアタッチメントにするのみならず、流体機器100の風吹き出し口112に内蔵させてもよい。
【0073】
また、本発明の一実施形態に係る流体機器100の気流吐出ユニット120、520の左右の流路200、600を左右対称にすることで気流の制御が容易になるが必須ではなく、上方及び下方への気流の向きの切り替わりに支障が無い範囲で左右の流路200、600を非対称にしてもよい。さらに、2本の流路200、600を設けることで気流を上下に効果的に揺らすことができるが必須ではなく、上方及び下方への気流の向きの切り替わりを実現できるのであれば、流路200、600を1本としてもよい。
【符号の説明】
【0074】
流体機器:100、本体:110、風吹き出し口:112、気流吐出ユニット:120、520、流入口:122、外周部:123、流出口:124、突出部:126、凹部:127、上部:140、下部:142、流路:200、600、リブ:210、壁部:230、630、外壁:605
【要約】
【課題】流体機器からの風の揺らし効果を高めることを目的の一つとする。
【解決手段】流体機器の気流吐出ユニットにおいて、気流が流入する流入口と、前記気流を流出する流出口と、前記流入口及び前記流出口を結ぶ第1の流路と、前記第1の流路の外側に備えられ2箇所の開口部を有し、前記開口部を通じて前記第1の流路に連通する第2の流路と、を備え、前記第2の流路は複数のリブを含む壁部によって規定される。前記第2の流路は前記第2の流路を通る流体の向きを変更する複数の折り曲げ部を含む壁部によって規定されてもよい。
【選択図】図12
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14