【実施例】
【0036】
以下、窒化アルミニウム粒子、窒化アルミニウム粒子を用いて製造した窒化アルミニウム焼結体の実施例を示す。なお、以下に示す実施例は、本明細書の開示を説明するためのものであり、本明細書の開示を限定するものではない。
【0037】
(実施例1:窒化アルミニウム粒子の製造)
まず、板状の酸化アルミニウム(キンセイマテック(株))100g,カーボンブラック(三菱化学(株))50g,アルミナ玉石(φ2mm)1000g,IPA(イソプロピルアルコール:トクヤマ(株)製、トクソーIPA)350mLを、30rpmで240分間混合し、混合物を得た。なお、酸化アルミニウムは、平均粒径(面方向長さ)5μm、平均厚さ(厚み方向長さ)0.07μm、アスペクト比71のものを用いた。得られた混合物からアルミナ玉石を除去し、その混合物をロータリーエバポレータを用いて乾燥させた。その後、残存した混合物を乳鉢で軽く解砕し(比較的弱い力で、凝集した粒子を分離させ)、カーボン製の坩堝に100g充填した。その後、混合物を充填した坩堝を加熱炉内に配置し、窒素ガス3L/min流通下で昇温速度150℃/hrで1600℃まで昇温し、1600℃で20時間保持した。加熱終了後、自然冷却し、坩堝から試料を取り出し、マッフル炉を用いて酸化雰囲気下で650℃で10hr熱処理(後熱処理)し、板状の窒化アルミニウム粒子を得た。なお、後熱処理は、試料中に残存している炭素を除去するために行った。
【0038】
(窒化アルミニウム粒子の評価)
得られた窒化アルミニウム粒子について、粒子形状、比表面積、不純物濃度、結晶方位の評価を行った。評価結果を
図5に示す。
【0039】
(粒子形状)
窒化アルミニウム粒子の形状は、得られた窒化アルミニウム粒子をSEM(日本電子(株)製,JSM−6390)を用いて1000〜2000倍で撮影し、撮影した画像から無作為に30個の粒子を選択し、面方向長さ(粒径)及び厚み方向長さの測定を行った。また、面方向長さ、厚み方向長さより、アスペクト比を計算した。
図5に示すように、得られた窒化アルミニウム粒子の形状は、原料(酸化アルミニウム)とほぼ同一であった。
【0040】
(比表面積)
窒化アルミニウム粒子の比表面積は、比表面積測定装置((株)島津製作所製,フローソーブ2300)を用いて、JIS(日本工業規格)R1626に記載のBET法で測定した。なお、吸着ガスとして、窒素を用いた。結果を
図5に示す。比表面積は9.0m
2/gであった。
【0041】
(不純物濃度)
不純物金属濃度の測定は、ICP(誘導結合プラズマ)発光分析装置((株)日立ハイテクサイエンス製,PS3520UV−DD)を用いて、JIS R1649に記載の加圧硫酸分解法で測定した。なお、不純物金属として、Si,Fe,Ti,Ca,Mg,K,Na,P,Cr,Mn,Ni,Zn,Ga,Y,Zrについて測定した。また、酸素濃度の測定は、酸素分析装置((株)堀場製作所製,EMGA−6500)を用いて、JIS R1675に記載の不活性ガス融解−赤外線吸収法で測定した。
図5に示すように、不純物金属濃度は0.043wt%であり、酸素濃度は0.85wt%であった。
【0042】
(結晶方位)
結晶方位の測定は、SEMに取り付けられたEBSD(オックスフォード・インストゥルメンツ(株)製 Aztec HKL)を用いて評価した。なお、結晶方位の評価は、窒化アルミニウム粒子の表面または裏面について行った。すなわち、窒化アルミニウム粒子の厚み方向に直交する面(表面または裏面)であり、窒化アルミニウム粒子を構成する面のうちの面積が最も大きい面について結晶形態の評価を行った。具体的には、窒化アルミニウム粒子の表面(または裏面)を結晶方位毎にマッピングし、全体に占める(001)面の割合(面積比)を算出し、結晶方位が揃っているか否かを判断した。面積比が80%以上の場合は結晶方位が揃っているとし、80%未満の場合は結晶方位が揃っていないと判断した。
図5に、結晶方位が揃っている場合「○」、結晶方位が揃っていない場合「×」を付している。
図5に示すように、得られた窒化アルミニウム粒子の結晶方位は揃っていた。なお、結晶方位を測定した後、上記SEMで窒化アルミニウム粒子の表面観察を行い、表面の凹凸状態によって単結晶(凹凸なし)か多結晶(凹凸あり)かの判断を行った。得られた窒化アルミニウム粒子は単結晶であった。
【0043】
(窒化アルミニウム焼結体の製造)
得られた窒化アルミニウム粒子を用いて窒化アルミニウム焼結体を製造する方法について説明する。まず、窒化アルミニウム焼結体を焼結する際に用いる助剤(Ca−Al−O系の焼成助剤)の合成方法について説明する。助剤は、窒化アルミニウム粒子に混合し、窒化アルミニウム粒子と共に焼成される。
【0044】
(助剤の合成)
炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、Shilver−W)47g,γ―アルミナ(大明化学工業(株)製、TM−300D)24g、アルミナ玉石(φ15mm)1000g,IPA(トクヤマ(株)製、トクソーIPA)125mLを、110rpmで120分間粉砕・混合し、混合物を得た。得られた混合物は、ロータリーエバポレータを用いて乾燥させた。その後、混合物からアルミナ玉石を除去し、混合物をアルミナ製の坩堝に70g充填した。その後、混合物を充填した坩堝を加熱炉内に配置し、大気中で昇温速度200℃/hrで1250℃ まで昇温し、1250℃で3時間保持した。加熱終了後、自然冷却し、坩堝から混合物(助剤)を取り出した。
【0045】
(合成用原料の調整)
次に、上記した助剤を用いて原料を調整する工程について説明する。上記した窒化アルミニウム粒子に対して、助剤(Ca−Al−O系助剤)を4.8質量部添加し、合計20gとなるように秤量した。この混合物とアルミナ玉石(φ15mm)300g,IPA(トクヤマ(株)製、トクソーIPA)60mLを、30rpmで240分間混合した。得られた混合物からアルミナ玉石を除去し、その混合物をロータリーエバポレータを用いて乾燥させ、合成用原料を得た。
【0046】
(焼成前成形体の作成)
上記合成用原料100質量部に対し、バインダとしてポリビニルブチラール(積水化学工業製、品番BM−2)7.8質量部と、可塑剤としてジ(2−エチルヘキシル)フタレート(黒金化成製)3.9質量部と、分散剤としてトリオレイン酸ソルビタン(花王製、レオドールSP−O30)2質量部と、分散媒として2−エチルヘキサノールを加えて混合し、原料スラリーを調整した。なお、分散媒の添加量は、スラリー粘度が20000cPとなるように調整した。得られた原料スラリーを、ドクターブレード法によってPETフィルム上に成形した。ドクターブレード法を用いることにより、窒化アルミニウム粒子の板面(c面)がPETフィルムの表面に並ぶように、PETフィルム上に原料スラリーが形成される。なお、スラリー厚みは、乾燥後の厚さが30μmとなるように調整した。以上の工程により、シート状のテープ成形体を得た。得られたテープ成形体を直径20mmの円形に切断した後、円形のテープ成形体を120枚積層し、焼成前成形体を得た。得られた焼成前成形体を、厚さ10mmのアルミニウム板上に載置した後、真空パッケージに入れて内部を真空にした。その後、真空パッケージを85℃の温水中で100kgf/cm
2で静水圧プレスし、円板状の焼成前成形体(焼成用積層体)を得た。
【0047】
(1次焼成)
次に、焼成前成形体を脱脂炉中に配置し、600℃で10時間脱脂を行った。その後、1900℃で10時間、面圧200kgf/cm
2の条件下で焼成し、その後室温まで降温させ、窒化アルミニウム1次焼結体を得た。なお、ホットプレスの際の加圧方向は、焼成前成形体の積層方向(テープ成形体の表面に略直交する方向)とした。また、加圧は、室温に降温するまで維持した。1次焼成により焼成前成形体を構成していた窒化アルミニウム粒子が粒成長し、成形体内の気孔がなくなることにより、密度(相対密度)の高い窒化アルミニウム1次焼結体が得られる。
【0048】
(2次焼成)
窒化アルミニウム1次焼結体の表面を研削し、φ20mm、厚さ1.5mmの試料を作製した。この試料を窒化アルミニウム製の板上に配置し、加熱炉内を窒素雰囲気とし、焼成温度1900℃で75時間焼成し、窒化アルミニウム焼結体を得た。2次焼成により、窒化アルミニウム1次焼結体内に残存していた助剤(焼結の際に用いた助剤)が除去され、透明な窒化アルミニウム焼結体が得られる。
【0049】
(窒化アルミニウム焼結体の評価)
得られた窒化アルミニウム焼結体について、c面配向度(c軸の配向度)、相対密度、不純物濃度、直線透過率の評価を行った。評価結果を
図5に示す。
【0050】
(c面配向度)
窒化アルミニウム焼結体の表面を研磨した後、研磨面に対してX線を照射し、c面配向度を測定した。具体的には、XRD装置(リガク(株)製、RINT−TTR III)を用い、CuKα線を用いて電圧50kV,電流300mAの条件下、2θ=20〜70°の範囲でXRDプロファイルを測定した。なお、c面配向度(f)は、ロットゲーリング法によって算出した。具体的には、以下の式(3),(4)で得られた結果P,P
0を、式(2)に代入することにより算出した。なお、式中、Pは得られた窒化アルミニウム焼結体のXRD測定から得られた値であり、P
0は標準窒化アルミニウム(JCPDSカードNo.076−0566)から算出した値である。なお、(hkl)として、(100),(002),(101),(102),(110),(103)を使用した。
f={(P−P
0)/(1−P
0)}×100・・・(2)
P
0=ΣI
0(002)/ΣI
0(hkl)・・・(3)
P=ΣI(002)/ΣI(hkl)・・・(4)
【0051】
(相対密度、不純物濃度)
相対密度は、JIS R1634に記載の方法でかさ密度を測定し、理論密度(3.260)に対する値を算出した。また不純物濃度は、窒化アルミニウム粒子の不純物濃度の評価と同様の方法で測定した。
【0052】
(直線透過率)
焼結後の窒化アルミニウム焼結体を10mm×10mmサイズに切断し、4個の窒化アルミニウム焼結体をアルミナ製の定盤(φ68mm)の外周部分に等間隔に(定盤の中心と隣り合う窒化アルミニウム焼結体が成す角度が90°になるように)固定し、粒径が9μm及び3μmのダイヤモンド砥粒を含むスラリーを滴下した銅製ラッピング盤によって研磨し、さらに、コロイダルシリカを含むスラリーを滴下したバフ盤で300分間研磨した。その後、研磨後の10mm×10mm×0.4mm厚の試料をアセトン、エタノール、イオン交換水の順でそれぞれ3分間洗浄した後、分光光度計(Perkin Elmer製、Lambda900)を用いて波長450nmにおける直線透過率を測定した。
【0053】
図5に示すように、本実施例で得られた窒化アルミニウム粒子を用いて窒化アルミニウム焼結体を製造した結果、c面配向度100%、相対密度100%、不純物金属0.01wt%、酸素含有量0.04%、直線透過率は67%の窒化アルミニウム焼結体が得られた。
【0054】
(実施例2〜5)
サイズの異なる酸化アルミニウム(キンセイマテック(株))を用いて、実施例1と同様の方法で窒化アルミニウム粒子を製造し、得られた窒化アルミニウム粒子を用いて窒化アルミニウム焼結体を製造した。また、得られた試料の全てについて、c面配向度(、相対密度、不純物濃度の測定を行った。さらに、直線透過率の測定を行った。なお、実施例2〜5においても、得られた窒化アルミニウム粒子の形状は、原料(酸化アルミニウム)とほぼ同一であった。そのため、
図5に示す窒化アルミニウム粒子の形状は、原料の酸化アルミニウムのサイズとほぼ同一である。
【0055】
なお、実施例5は、窒化アルミニウム焼結体の合成用原料を調整する際、窒化アルミニウム粒子47.6wt%に、市販の球状窒化アルミニウム粉末(トクヤマ(株)製、Fグレード、平均粒径1.2μm)47.6wt%、助剤4.8wt%を混合し、その混合物とアルミナ玉石(φ15mm)300g,IPA(トクヤマ(株)製、トクソーIPA)60mLを、30rpmで240分間混合した後、アルミナ玉石を除去し、ロータリーエバポレータを用いて乾燥させ、合成用原料を得た。
図5に示すように実施例5の窒化アルミニウム粒子は粒径が比較的大きいため、そのまま窒化アルミニウム焼結体を製造すると、相対密度が高くなりにくい。実施例5は、窒化アルミニウム焼結体の相対密度を高くするため、合成用原料に粒径の小さな窒化アルミニウム粉体を添加した。なお、粒径の小さな窒化アルミニウム粉体は、窒化アルミニウム粒子が粒成長する際に、窒化アルミニウム粒子に取り込まれる。そのため、合成用原料に粒径の小さな窒化アルミニウム粉体を添加しても、窒化アルミニウム焼結体の結晶方位に影響を与えることはない。このことは、TGG(Templated grain growth)法として知られている。
【0056】
(実施例6〜16)
様々なサイズの窒化アルミニウム粒子について評価を行うため、窒化アルミニウム粒子の原料である酸化アルミニウム粒子について、市販されていないサイズのものについては、酸化アルミニウム粒子自体を合成し、合成した酸化アルミニウム粒子を用いて窒化アルミニウム粒子を製造し、その窒化アルミニウム粒子を用いて窒化アルミニウム焼結体の製造を行った。
【0057】
(酸化アルミニウム粒子の合成)
ギブサイト型の水酸化アルミニウムを湿式粉砕して平均粒径0.4〜3μmに調整し、水酸化アルミニウム1モルに対してオルトリン酸を1.0×10
−5〜1.0×10
−2モル添加し、スラリーを形成した。なお、水酸化アルミニウムの平均粒径を大きくすると酸化アルミニウム粒子の平均粒径が大きくなり、オルトリン酸の添加量を増加するとアスペクト比が高くなる。
【0058】
得られたスラリーを、スプレードライ(大川原化工機(株)、FL−12型)を用いて乾燥温度140℃で造粒乾燥し、原料中の水分を1wt%未満にした。得られた粉末を50wt%の水系スラリーにした後、合成温度600℃,圧力15MPaで水熱合成を行った。水熱合成後、水洗、乾燥することにより、白色の酸化アルミニウム粒子を得た。なお、オルトリン酸の一部をスラリーを形成する際に添加せず、水熱合成を行う際の水に添加することにより、アスペクト比を変えることなく、酸化アルミニウム粒子の粒径を小さくすることができる。得られた酸化アルミニウムを用いて、実施例1と同様の方法で窒化アルミニウム粒子の製造、窒化アルミニウム焼結体の製造を行い、物性評価を行った。
【0059】
なお、実施例6〜16においても、得られた窒化アルミニウム粒子の形状は、原料(酸化アルミニウム)とほぼ同一であった。
図5に示す窒化アルミニウム粒子の形状は、原料の酸化アルミニウムのサイズとほぼ同一である。また、実施例11,13及び14については、実施例5と同様、窒化アルミニウム焼結体の合成用原料を調整する際、窒化アルミニウム粒子に市販の球状窒化アルミニウム粉末を加えた。実施例1〜11,13〜16の窒化アルミニウム粒子は、表面が略六角形であった。すなわち、実施例1〜11,13〜16の窒化アルミニウム粒子は、略六角柱形状であった。実施例12の窒化アルミニウム粒子は、表面が円形であり、円柱状であった。
【0060】
実施例2〜16で得られた窒化アルミニウム粒子を用いた窒化アルミニウム焼結体は、c面配向度が97%以上であり、相対密度が98.8%以上であり、不純物金属0.04wt%以下、酸素含有量0.30%以下であり、直線透過率30%以上であった。実施例2,6は、他の試料と比較して、窒化アルミニウム粒子のサイズが比較的小さい。一方、実施例11,12,15,16は、他の試料と比較して、窒化アルミニウム粒子のサイズが比較的大きい。いずれの試料も、c面配向率,直線透過率は良好であった。実施例6〜8は、他の試料と比較して、アスペクト比が比較的小さい。アスペクト比3〜5の試料についても、良好なc面配向率,直線透過率を示すことが確認された。
【0061】
(比較例1)
平均粒径10μm、平均厚さ0.3μm、アスペクト比33の市販の酸化アルミニウムを、アルミナ製の坩堝に充填し、窒素ガス0.5L/min流通下で昇温速度200℃/hrで1600℃まで昇温し、1600℃で35時間保持して板状の窒化アルミニウム粒子を得た。なお、窒化アルミニウム粒子を製造する際、他の条件は実施例1と同一とした。得られた窒化アルミニウム粒子を用いて、実施例1と同様の方法で窒化アルミニウム焼結体を製造した。結果を
図5に示す。
図5に示すように、比較例1の窒化アルミニウム粒子は、結晶方位が揃っておらず、多結晶であった。比較例1の窒化アルミニウム粒子は、粒子形状、比表面積、不純物濃度は実施例5とほぼ同様であったが、窒化アルミニウム焼結体はc面配向度が7%と極めて低い値を示し、直線透過率は2%であった。
【0062】
(比較例2〜4)
実施例6〜16と同様の方法で酸化アルミニウム粒子を合成し、合成した酸化アルミニウム用いて窒化アルミニウム粒子の製造、窒化アルミニウム焼結体の製造を行った。比較例2〜4では、水酸化アルミニウムの平均粒径、オルトリン酸の添加量,添加タイミングを調整し、
図5に示す粒子形状の酸化アルミニウム粒子を得た。なお、
図5に示す窒化アルミニウム粒子の形状は、原料の酸化アルミニウムのサイズとほぼ同一である。比較例2及び3は、窒化アルミニウム粒子の結晶方位は揃っているが、窒化アルミニウム焼結体のc面配向度は低かった。また、相対密度が他の試料と比較して低かった。比較例4は、窒化アルミニウム粒子の結晶方位が揃っており、窒化アルミニウム焼結体のc面配向度が比較例2,3より良好であり、相対密度は実施例1〜16と同レベルであった。しかしながら、比較例2〜4は、いずれも、直線透過率が7%以下と低かった。
【0063】
上記実施例の結果をまとめる。実施例1〜16の試料を用いて作成した窒化アルミニウム焼結体は、全て、c面配向度が97%以上と高い結果が得られた。また、相対密度も全て98.8%以上と高い結果が得られた。実施例1〜16の中で最もc面配向度が低く、最も相対密度が低い実施例12であっても、直線透過率は30%と良好な結果を示した。特に、c面配向度100%,相対密度100%の実施例1,3,7の窒化アルミニウム焼結体は、直線透過率が65%以上であり、極めて良好な結果を示した。
【0064】
窒化アルミニウム粒子の結晶方位が揃っていない場合、窒化アルミニウム焼結体のc面配向度が著しく低下した(比較例1)。その結果、直線透過率の高い窒化アルミニウム焼結体が得られなかった。
【0065】
窒化アルミニウム粒子のアスペクト比が小さい(3未満)の場合、窒化アルミニウム焼結体のc面配向度が低下した(比較例2)。また、相対密度は、実施例1〜16と比較すると低下した。その結果、直線透過率の高い窒化アルミニウム焼結体が得られなかった。
【0066】
窒化アルミニウム粒子のサイズ(厚み方向長さD)が大きすぎる場合、窒化アルミニウム焼結体のc面配向度が低下し、相対密度は実施例1〜16と比較すると低下した(比較例3)。その結果、直線透過率の高い窒化アルミニウム焼結体が得られなかった。
【0067】
窒化アルミニウム粒子のサイズ(厚み方向長さD)が小さすぎる場合、窒化アルミニウム焼結体のc面配向度が低下し、直線透過率の高い窒化アルミニウム焼結体が得られなかった(比較例4)。
【0068】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。