(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346726
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】放熱機能を有するLED治療器
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20180611BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
H05K7/20 B
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-102414(P2012-102414)
(22)【出願日】2012年4月27日
(65)【公開番号】特開2013-230183(P2013-230183A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年2月13日
【審判番号】不服2017-5432(P2017-5432/J1)
【審判請求日】2017年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】390022541
【氏名又は名称】アトムメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 一雄
(72)【発明者】
【氏名】松原 照巳
(72)【発明者】
【氏名】本間 直樹
(72)【発明者】
【氏名】須摩 弘樹
【合議体】
【審判長】
高木 彰
【審判官】
内藤 真徳
【審判官】
根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−507144(JP,A)
【文献】
特開2005−136224(JP,A)
【文献】
特開2009−18166(JP,A)
【文献】
特表2005−537861(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0139930(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽量な樹脂材で長方形の筐体に形成した本体部と、発光色の異なる複数のLEDを所要間隔をもって線状に複数列取り付けたプリント基板と、軽量で熱伝導性の良い材料で形成された複数の放熱スタッドを備えた放熱板と、前記本体部の開口面に取り付けられる透明板とからなり、
前記本体部の内壁面に沿って密着して前記放熱板が取り付けられ、
前記プリント基板に取り付けられたLEDの発熱した熱が放熱スタッドを介して効率良く放熱板側に伝導されるように、前記放熱板の放熱スタッドに密着させて前記プリント基板が取り付けられ、前記放熱板とプリント基板との間に位置するように前記放熱スタッドを形成したこと
を特徴とする放熱機能を有するLED治療器。
【請求項2】
前記放熱スタッドを備えた放熱板の外周面には放熱塗料が塗布されていること
を特徴とする請求項1に記載の放熱機能を有するLED治療器。
【請求項3】
前記軽量で熱伝導性の良い材料は、アルミニウムまたはアルミニウム合金であること
を特徴とする請求項1に記載の放熱機能を有するLED治療器。
【請求項4】
前記発光色の異なる複数のLEDを所要間隔をもって線状に複数列取り付けたとは、
青色発光のLEDを両側面側に2列と、
白色発光のLEDを中央部に1列配設したこと
を特徴とする請求項1に記載の放熱機能を有するLED治療器。
【請求項5】
前記各列の両端部側で、中央部の列との間で各両端部のLEDと一つ手前のLEDとの中間付近で略等間隔の中間位置に、それぞれ青色発光のLEDを配設したこと
を特徴とする請求項4に記載の放熱機能を有するLED治療器。
【請求項6】
前記各列に所要間隔をもって線状に配設した複数のLEDは、6個であること
を特徴とする請求項4に記載の放熱機能を有するLED治療器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として新生児用の黄疸治療器であって、該治療器自体に放熱機能を付与したLED治療器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の医療用のLED治療器としては、複数の技術が公知になっている。
例えば、第1の公知技術として、多数のLEDと、これら多数のLEDが配設された球状凹部を有するLED取付け基板と、前記LEDの電極ピンが接合される平板状のプリント基板とからなり、該プリント基板の表面に電気的に絶縁して排泄された複数の導電膜から成るヒートシンクを有し、該導電膜のそれぞれに前記LEDの電極ピンのそれぞれが接合されて、前記LEDとLED取付け基板とプリント基板とが一体的に形成されていることを特徴とする光源装置である(特許文献1参照)。
【0003】
この第1の公知技術に係るLED治療器においては、光源装置は、多数のLEDがLED取付け基板及びプリント基板に一体的にかつ安定して取り付けることができ、また、安定して取り付けられているので、製作が容易なばかりでなく、使用中の故障も少なく、しかも、ヒートシンクが十分に施されているので、LEDは勿論のこと、ハンドピースが異常に加熱されることなく、従って、LEDを長寿命に保つというものである。
【0004】
また、第2の公知技術は、LED駆動部にLED素子の入出力時の温度上昇を抑制するための冷却ファンを設け、該冷却ファンは照射色デジタル出力回路に接続され、光照射中に冷却ファンによりLED素子の温度上昇を抑制せしめた熱を疾患部に放出するように構成したことを特徴とする近赤外線LED治療器(請求項8)である(特許文献2参照)。
【0005】
この第2の公知技術に係る近赤外線LED治療器においては、LED駆動部には入出力の使用LEDの温度上昇を抑えるための冷却ファンが実装される。抑制された熱は本体部に設けたスリットまたは隙間部から放出されることで、この僅かな熱が治療中に疾患者に快い熱感を与えて温熱効果を高めている。従って、近赤外線光の物理的エネルギーと電気的振動及び温熱感との複合的な相乗作用によって、疾患者は治療感が高められて疼痛緩解の満足すべき治療効果が得られる(段落[0019][0021])というものである。
【0006】
さらに、第3の公知技術は、要するに放熱部分については、中心軸周りに環状に配置した複数のLEDと、各LEDの前方にそれぞれ配置したレンズと、を具備するとともに、前記各レンズをその光軸が前記中心軸に対して斜めになるように配置し、各LEDから射出された光が前記中心軸に互いに相寄る向きに又は中心軸から離れる向きに進行するように構成した光照射装置であって、前記レンズを前後から挟み込んで保持する前レンズ保持部材及び後レンズ保持部材をさらに具備し(請求項1の一部)、放射状に延びる複数のアームを有した取付部材と、各LEDの底面に取り付けられる放熱フィンと、をさらに具備し、前記取付部材を、前記前レンズ保持部材又は後レンズ保持部材に固定することにより、アームと後レンズ保持部材との間で、LED及び放熱フィンが挟圧固定されるように構成している光照射装置(請求項3)である(特許文献3参照)。
【0007】
この第3の公知技術に係る光照射装置においては、放熱構造として、各LEDの底面に密着する放熱フィンを設けるとともに、放熱フィンの更に後方で筐体の後端部にファンを取り付けてあり、空気は、外気吸い込み孔から放熱フィンを通ってファンに吸い込まれ、後端開口から排出されるので、好適に放熱することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−135485号公報
【特許文献2】特開2009−207605号公報
【特許文献3】特開2009−231023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記第1の公知技術に係るLED治療器においては、プリント基板の両面に導電膜のヒートシンクが設けられると共に、LEDの電極ピン数に応じたスルーホールが設けられ、該スルーホールには導電性のカラー部材が挿入貫通され、LEDの+電極ピンが挿通されるカラー部材は裏面側のヒートシンク導電膜と導通し、−電極ピンが挿通されるカラー部材は表面側のヒートシンク導電膜と導通しており、LEDの+電極と−電極とは、それぞれ挿通したカラー部材と半田付けし、ヒートシンク導電膜がLEDへの給電端子になるというものであり、放熱用のファンを設けない点では構成上優れている。
【0010】
しかしながら、配設されている多数のLEDは近接して密集した状態で設けられており、しかも、LEDは発光部において発熱するにも拘わらず、球状凹面の取付け基板は相当な厚みがあって隣接状態で多数の窪み部が設けられ、該窪み部に嵌めてLEDが取付けられているため、該窪み部近傍に熱が蓄積または滞熱する可能性が高く、細い電極ピンを介してプリント基板への熱伝達量は少ないと認められるので、LEDにおける発光部側では、依然としてジャンクション温度の許容範囲を超えて高くなってしまい、使用寿命が短くなるばかりでなく熱による故障が生ずるという問題点を有している。
【0011】
また、前記第2の公知技術に係る治療器に使用されるLEDは近赤外線であって、温熱による治療器であり、LEDの温度上昇を抑えるための冷却ファンが設けられ、該冷却ファンで抑制された熱も治療用として使用するというものであるが、冷却ファンの騒音が障害になるような治療には使用できないばかりでなく、冷却ファンの使用寿命または故障による治療器として問題点を有している。
【0012】
前記第3の公知技術に係る光照射装置においても、放熱構造として、各LEDの底面に密着する放熱フィンを設けるとともに、放熱フィンの更に後方で筐体の後端部にファンを取り付けて、好適に放熱することができるというものであるが、やはり、ファンの騒音が障害となるような治療には使用できないし、ファンの使用寿命による故障などの問題点を有している。
【0013】
この種の治療器に使用されるLEDのジャンクション温度の許容温度は125℃であって、その温度を超えるとLEDの使用寿命が短くなる。例えば、ジャンクション温度の許容温度が10℃上がる毎に、LEDの寿命は半減し、故障率が略2倍になり、最短ではその寿命が30時間になる。そして、例えば、175℃を超えると場合によっては破壊される可能性がある。
【0014】
従って、公知技術に係るLEDを使用した治療器において、冷却ファンのないものは、放熱構造・機能が不充分であって、使用寿命が半減するという問題点を解決すると共に、放熱ファンを有するものにおいては、放熱ファンの騒音が障害となって使用できないこと、及びファンの寿命による治療器の故障の問題点を解消させることに解決課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、前記課題を解決する具体的手段として、軽量な樹脂材で長方形の筐体に形成した本体部と、発光色の異なる複数のLEDを所要間隔をもって線状に複数列取り付けたプリント基板と、軽量で熱伝導性の良い材料で形成された複数の放熱スタッドを備えた放熱板と、前記本体部の開口面に取り付けられる透明板とからなり、前記本体
部の内壁面に沿って密着して
前記放熱板が
取り付けられ、
前記プリント基板に取り付けられたLEDの発熱した熱が放熱スタッドを介して効率良く放熱板側に伝導されるように、前記放熱板の放熱スタッドに密着させて前記プリント基板が取り付けられ、前記放熱板とプリント基板との間に位置するように前記放熱スタッドを形成したことを特徴とする放熱機能を有するLED治療器を提供するものである。
【0016】
本発明に係る放熱機能を有するLED治療器の発明は、前記放熱スタッドを備えた放熱板の外周面には放熱塗料が塗布されていること;前記軽量で熱伝導性の良い材料は、アルミニウムまたはアルミニウム合金であること;前記発光色の異なる複数のLEDを所要間隔をもって線状に複数列取り付け
たとは、青色発光のLEDを両側面側に2列と、白色発光のLEDを中央部に1列配設
したこと;前記各列の両端部側で、中央部の列との間で各両端部のLEDと一つ手前のLEDとの中間付近で略等間隔の中間位置に、それぞれ青色発光のLEDを配設したこと;及び前記各列に所要間隔をもって線状に配設した複数のLEDは、6個であること、を付加的な構成要件として含むものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る放熱機能を有するLED治療器によれば、軽量な樹脂材で長方形の筐体に形成した本体部と、発光色の異なる複数のLEDを所要間隔をもって線状に複数列取り付けたプリント基板と、軽量で熱伝導性の良い材料で形成された複数の放熱スタッドを備えた放熱板と、前記本体部の開口面に取り付けられる透明板とからなり、前記本体
部の内壁面に沿って密着して
前記放熱板が
取り付けられ、
前記プリント基板に取り付けられたLEDの発熱した熱が放熱スタッドを介して効率良く放熱板側に伝導されるように、前記放熱板の放熱スタッドに密着させて前記プリント基板が取り付けられ、前記放熱板とプリント基板との間に位置するように前記放熱スタッドを形成した構成であるため、LEDで発熱した熱を放熱スタッドから放熱板に伝導し、放熱板と密着する本体部の外表面から積極的に放熱させるので、冷却ファンがなくても、内部に熱を停滞させないのであり、常にLEDのジャンクション許容温度以下に維持でき、治療用光源のLEDを長期に使用できるという優れた効果を奏する。
【0018】
また、本発明に係るLED治療器は、線状に配設した6個の白色発光LEDを中心にして、その両側に線状に配設した6個、即ち、12個と中間位置に配設した2個の青色発光LEDによる特殊な配列パターンにすることで、好ましい黄疸治療効果が得られると共に、放熱のためのファンを使用しないので騒音がなく、新生児用として有効に使用できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る好ましい実施の形態に係るLED治療器の使用状況を示す側面図である。
【
図2】同実施の形態に係るLED治療器において、
図1のA−A線に沿う拡大断面図である。
【
図3】同実施の形態に係るLED治療器に使用される放熱板を略示的に示した断面図である。
【
図4】同実施の形態に係るLED治療器に使用される放熱板を下面側から見た斜視図である。
【
図5】同実施の形態に係るLED治療器であって、青色発光LEDと白色発光LEDとの特殊な配列パターンを示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図1〜5において、本発明に係るLED治療器1は、照射面が略長方形を呈し内側に光源等が取り付けられる所要の空間部を有する筐体としての本体部2と、該本体部2の下端縁に設けた周縁を囲うバンパー3とからなり、前記本体部2における上面には、一部を盛り上げてトンネル状にし後述する主要部材と本体部2とを合体するための軸部材4を設けると共に、その軸部材4の後端部側に設けた取付部5を介して、例えば、一例として角度変更が自在にできる所要の支持アーム6が取り付けられている。
【0021】
本体部2の内部には、バンパー3の下面側内側に配設された、例えばガラスまたはエポキシ樹脂等の樹脂材からなる透明板7と、主要部材の光源である複数のLEDが取り付けられたプリント基板8および該プリント基板8が複数の放熱スタッド9を介して連結された放熱板10とが配設されるものであり、該放熱板10は本体部2の内側に略密着した状態で取り付けられる。
【0022】
本体部2は、軽量化を図るために、例えば、熱可塑性樹脂の一種であるABS樹脂で成型されたものであり、前記放熱板10は、
図3と
図4に示したように、軽量で熱伝導性の良いアルミニウムまたはアルミニウム合金で、例えば、板金成形またはダイキャスト成形されたものであり、前記取付部5の軸を結合させるための孔部11と、後述する結合用部材や外部電源が接続されるソケット取付用の切欠12等が設けられ、全体として本体部2の内壁面に略沿うように形成されたものである。そして、放熱スタッド9も軽量なアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成したものであり、放熱板10と溶接等の手段により密着一体化されている。なお、図示したように、少なくとも、6個の放熱スタッド9が所要位置に取り付けられると共に、各自由端部にはプリント基板8を取り付けるためのねじ穴13が設けられている。
【0023】
このように形成された放熱板10と放熱スタッド9は、外周面全体に放熱塗料が塗布されている。使用される放熱塗料としては、例えば、オキツモ株式会社製の「放熱用コーティング剤(クールテック)」として市販されている「CT−100」であり、スプレー式であって10〜30μmの厚さに塗布するものであり、好ましくは白色の塗料を使用する。また、本体部2は、例えば、一例として熱可塑性のABS樹脂で成型されたものであるが、これに限定されることなく、要するに、放熱性樹脂であればより一層効果があり、さらに、放熱板10と同様に放熱塗料を塗布しても良い。
【0024】
プリント基板8にはLEDを取り付けるための複数のレンズホルダー14が設定された配列をもって、かつプリント基板8との接触面積を広くして設けられており、該レンズホルダー14に埋め込むようにしてLED15aが取り付けられる。この場合に、重要な事項としては、プリント基板8に設けたレンズホルダー14の配列状態であると共に、取り付けられるLEDの発光色の配列状態である。
【0025】
本発明の場合には、照射面が略長方形の本体部2において、
図5に示したように、長さ方向の両側面側と中央部とに線状に3列のLEDが配設されるようにし、各列に所要間隔をもってそれぞれ6個つづのLEDが配列されるようにレンズホルダー14を取り付けると共に、各列の両端部側において、中央部の列との間で、かつ各両端部のLEDと一つ手前のLEDとの中間付近で略等間隔の中間位置にそれぞれLEDが位置するようにレンズホルダー14を取り付けるのである。そして、両側の2列と中間位置には青色に発光するLED15a(網掛け表示)が取り付けられ、中央部の1列には白色に発光するLED15bが取り付けられるのである。従って、青色発色のLED15aが16個で、白色発色のLED15bが6個で、計22個のLEDが、特殊な配列パターンで取り付けられるのである。
【0026】
特に、青色発光色は、新生児の黄疸治療に有効であり、白色発光色と一緒に使用するのであるが、種々検討及び試験結果からして、少なくとも、線状に配設した6個の白色発光LED15bを中心にして、その両側に線状に配設した6個、即ち、12個と中間位置に配設した2個の青色発光LED15aによる特殊な配列パターンにすることで、好ましい黄疸治療効果が得られたのである。なお、青色発光だけでなく白色発光LED15bを混ぜて設けることにより補色効果が得られるのであって、術者の目の保護に役立つのである。
【0027】
前記LED治療器1の構成において、本体部2に対してプリント基板8や放熱板10の取り付けについては、まず、放熱板10を本体部2の内側に嵌め込み、軸部材4に取り付けてある結合用部材16にねじなどの固定部材17を介して密着状態に取り付ける。次に、所定の配列位置に青色発光LED15aと白色発光LED15bとを取り付けたプリント基板8を本体部2内に嵌め込み、ねじ18を各放熱スタッド9のねじ穴13にねじ込み、放熱スタッド9とプリント基板8とが隙間なく密着する状態で放熱板10に取り付け、更に、本体部2の開口部を塞ぐように透明板7を嵌め込み、少なくとも両側に設けた係止部7aを本体部2の一部に係合させてLED15aとLED15bをカバーして治療器1が完成する。なお、本体部2と放熱板10とは隙間なく密着するように形成するのであり、設計上のクリアランスは0〜0.5mmであるが、両者間における空気層を完全になくすために、例えば、熱伝導シリコンシート等を貼付して取り付ければさらに密着度を高められる。
【0028】
このように構成したLED治療器1においては、プリント基板8と放熱板10とが放熱スタッド9により密着度良く一体化されており、複数のLEDで発熱した熱は、放熱スタッド9を介して効率良く放熱板10側に熱伝導され、該放熱板10と密着している本体部2から外部に効率良く順次放出されるので、内部に滞熱することなくレンズホルダー14及びその近傍を平均して80℃前後に維持するようになり、複数のLED15aとLED15bをジャンクション許容温度の125℃以下に常時維持できるのである。
【0029】
従って、本発明のLED治療器1は、複数の放熱スタッド9を有する放熱板10を使用して本体部2内にプリント基板8を取り付けた構成にしたことによって、プリント基板8に取り付けた複数のLEDが発熱しても、その熱を放熱スタッド9及び放熱板10を介して本体部から外部に積極的に放熱するので、冷却ファンを装備しなくても、LEDのジャンクション許容温度以下に維持でき、治療用光源のLEDを長期(10000h)に使用できるようになるのである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係るLED治療器1は、軽量な樹脂材で長方形の筐体に形成した本体部2と、発光色の異なる複数のLEDを線状に複数列取り付けたプリント基板8と、軽量で熱伝導性の良い材料で形成された複数の放熱スタッド9を備えた放熱板10と、前記本体部2の開口面に取り付けられる透明板7とからなるものであり、前記本体2内に密着して放熱板を取り付け、該放熱板の放熱スタッドに密着させて前記プリント基板8が取り付けられた構成であるため、LEDで発熱した熱を放熱スタッド9から放熱板10に伝導し、放熱板10と密着する本体部2の外表面から積極的に放熱させるので、冷却ファンがなくても、内部に熱を停滞させないのであり、常にLEDのジャンクション許容温度以下に維持でき、治療用光源のLEDを長期に使用できるようになり、新生児の黄疸治療に限らず、他の治療器にも広く利用できるのである。
【符号の説明】
【0031】
1 LED治療器
2 本体部
3 バンパー
4 軸部材
5 取付部
6 支持アーム
7 透明板
7a 係止部
8 プリント基板
9 放熱スタッド
10 放熱板
11 孔部
12 切欠
13 ねじ穴
14 レンズホルダー
15a 青色発光のLED
15b 白色発光のLED
16 結合用部材
17 固定部材
18 ねじ