(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346749
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】体調不良判定装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20180101AFI20180611BHJP
G01N 33/497 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
G06Q50/22
G01N33/497 A
【請求項の数】22
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-12526(P2014-12526)
(22)【出願日】2014年1月27日
(65)【公開番号】特開2015-141457(P2015-141457A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 美幸
(72)【発明者】
【氏名】佐野 あゆみ
(72)【発明者】
【氏名】皆川 直隆
(72)【発明者】
【氏名】笠原 靖弘
【審査官】
木方 庸輔
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/038959(WO,A1)
【文献】
特開2010−022555(JP,A)
【文献】
特開2003−079601(JP,A)
【文献】
特開2004−350861(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3175460(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00 ,
G16H 10/00 − 80/00 ,
G01N 33/48 − 33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得するケトン体濃度取得手段と、
前記ケトン体濃度取得手段により取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、
を備え、
前記判定手段は、前回測定した前記測定ケトン体濃度と今回測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比と、前回の測定から今回の測定までの経過時間と、に応じてダイエットレベルが設定されているダイエットレベル判定基準から、前記ケトン体濃度取得手段により取得された前回測定した前記測定ケトン体濃度と今回測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比と、前回の測定から今回の測定までの経過時間と、に該当するダイエットレベルを前記体調レベルとして判定する
体調不良判定装置。
【請求項2】
ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得するケトン体濃度取得手段と、
前記ケトン体濃度取得手段により取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記ケトン体濃度取得手段により取得された食事前に測定した前記測定ケトン体濃度と、食事後に測定した前記測定ケトン体濃度と、の差分又は比に基づいて、ダイエットレベルが正常か異常かを前記体調レベルとして判定する
体調不良判定装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記ケトン体濃度取得手段により取得された食事前に測定した前記測定ケトン体濃度と食事後に測定した前記測定ケトン体濃度との差分が、正の値の場合には前記ダイエットレベルが正常と判定し、負の値の場合には前記ダイエットレベルが異常と判定する
請求項2記載の体調不良判定装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記ケトン体濃度取得手段により取得された食事前に測定した前記測定ケトン体濃度に対する食事後に測定した前記測定ケトン体濃度との比が、1未満の場合には前記ダイエットレベルが正常と判定し、前記比が1以上の場合には前記ダイエットレベルが異常と判定する
請求項2記載の体調不良判定装置。
【請求項5】
ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得するケトン体濃度取得手段と、
前記ケトン体濃度取得手段により取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、
を備え、
前記判定手段は、予め定めた期間の終了日と開始日との差分に対する、前記ケトン体濃度取得手段により取得された前記予め定めた期間の終了日に測定した前記測定ケトン体濃度と前記開始日に測定した前記測定ケトン体濃度との差分との比が、予め定めた閾値以上であるか否かを判定することにより、無理なダイエットの有無を前記体調レベルとして判定する
体調不良判定装置。
【請求項6】
ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得するケトン体濃度取得手段と、
前記ケトン体濃度取得手段により取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記ケトン体濃度取得手段により取得された予め定めた期間の終了日に測定した前記測定ケトン体濃度と開始日に測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比が、予め定めた閾値以上であるか否かを判定することにより、無理なダイエットの有無を前記体調レベルとして判定する
体調不良判定装置。
【請求項7】
ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得するケトン体濃度取得手段と、
前記ケトン体濃度取得手段により取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記ケトン体濃度取得手段により取得された予め定めた期間に測定した複数の前記測定ケトン体濃度の変動を表す変動曲線が、前記測定ケトン体濃度が高い状態が一定期間続いた後に急激に下降し、その後前記測定ケトン体濃度の低い状態が一定期間維持された曲線を表すリバウンド曲線となっているか否かを判定することにより、リバウンドの有無を前記体調レベルとして判定する
体調不良判定装置。
【請求項8】
前記判定手段は、前記急激に下降しているか否かを判断する期間の終了日と開始日との差分に対する、前記終了日に測定した前記測定ケトン体濃度と前記開始日に測定した前記測定ケトン体濃度との差分との比が、予め定めた閾値未満の場合に、前記急激に下降していると判定する
請求項7記載の体調不良判定装置。
【請求項9】
前記判定手段は、前記急激に下降しているか否かを判断する期間の終了日に測定した前記測定ケトン体濃度と開始日に測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比が、予め定めた閾値未満の場合に、前記急激に下降していると判定する
請求項7記載の体調不良判定装置。
【請求項10】
ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得するケトン体濃度取得手段と、
前記ケトン体濃度取得手段により取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記ユーザーについて測定した複数の測定ケトン体濃度を表す式と、正常にダイエットを行った被験者について測定したケトン体濃度が表す式と、の比較結果に基づいて、無理なダイエットの有無を前記体調レベルとして判定する
体調不良判定装置。
【請求項11】
コンピュータが、
ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、
判定結果を出力する出力ステップと、
を含み、
前記判定ステップは、前回測定した前記測定ケトン体濃度と今回測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比と、前回の測定から今回の測定までの経過時間と、に応じてダイエットレベルが設定されているダイエットレベル判定基準から、前記取得ステップにより取得された前回測定した前記測定ケトン体濃度と今回測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比と、前回の測定から今回の測定までの経過時間と、に該当するダイエットレベルを前記体調レベルとして判定する
体調不良判定方法。
【請求項12】
コンピュータが、
ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、
判定結果を出力する出力ステップと、
を含み、
前記判定ステップは、前記取得ステップにより取得された食事前に測定した前記測定ケトン体濃度と、食事後に測定した前記測定ケトン体濃度と、の差分又は比に基づいて、ダイエットレベルが正常か異常かを前記体調レベルとして判定する
体調不良判定方法。
【請求項13】
コンピュータが、
ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、
判定結果を出力する出力ステップと、
を含み、
前記判定ステップは、予め定めた期間の終了日と開始日との差分に対する、前記取得ステップにより取得された前記予め定めた期間の終了日に測定した前記測定ケトン体濃度と前記開始日に測定した前記測定ケトン体濃度との差分との比が、予め定めた閾値以上であるか否かを判定することにより、無理なダイエットの有無を前記体調レベルとして判定する
体調不良判定方法。
【請求項14】
コンピュータが、
ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、
判定結果を出力する出力ステップと、
を含み、
前記判定ステップは、前記取得ステップにより取得された予め定めた期間の終了日に測定した前記測定ケトン体濃度と開始日に測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比が、予め定めた閾値以上であるか否かを判定することにより、無理なダイエットの有無を前記体調レベルとして判定する
体調不良判定方法。
【請求項15】
コンピュータが、
ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、
判定結果を出力する出力ステップと、
を含み、
前記判定ステップは、前記取得ステップにより取得された予め定めた期間に測定した複数の前記測定ケトン体濃度の変動を表す変動曲線が、前記測定ケトン体濃度が高い状態が一定期間続いた後に急激に下降し、その後前記測定ケトン体濃度の低い状態が一定期間維持された曲線を表すリバウンド曲線となっているか否かを判定することにより、リバウンドの有無を前記体調レベルとして判定する
体調不良判定方法。
【請求項16】
コンピュータが、
ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、
判定結果を出力する出力ステップと、
を含み、
前記判定ステップは、前記ユーザーについて測定した複数の測定ケトン体濃度を表す式と、正常にダイエットを行った被験者について測定したケトン体濃度が表す式と、の比較結果に基づいて、無理なダイエットの有無を前記体調レベルとして判定する
体調不良判定方法。
【請求項17】
コンピュータに、
ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、
取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、
判定結果を出力する出力ステップと、
を含み、
前記判定ステップは、前回測定した前記測定ケトン体濃度と今回測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比と、前回の測定から今回の測定までの経過時間と、に応じてダイエットレベルが設定されているダイエットレベル判定基準から、前記取得ステップにより取得された前回測定した前記測定ケトン体濃度と今回測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比と、前回の測定から今回の測定までの経過時間と、に該当するダイエットレベルを前記体調レベルとして判定する
処理を実行させるための体調判定プログラム。
【請求項18】
コンピュータに、
ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、
判定結果を出力する出力ステップと、
を含み、
前記判定ステップは、前記取得ステップにより取得された食事前に測定した前記測定ケトン体濃度と、食事後に測定した前記測定ケトン体濃度と、の差分又は比に基づいて、ダイエットレベルが正常か異常かを前記体調レベルとして判定する
処理を実行させるための体調不良判定プログラム。
【請求項19】
コンピュータに、
ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、
判定結果を出力する出力ステップと、
を含み、
前記判定ステップは、予め定めた期間の終了日と開始日との差分に対する、前記取得ステップにより取得された前記予め定めた期間の終了日に測定した前記測定ケトン体濃度と前記開始日に測定した前記測定ケトン体濃度との差分との比が、予め定めた閾値以上であるか否かを判定することにより、無理なダイエットの有無を前記体調レベルとして判定する
処理を実行させるための体調不良判定プログラム。
【請求項20】
コンピュータに、
ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、
判定結果を出力する出力ステップと、
を含み、
前記判定ステップは、前記取得ステップにより取得された予め定めた期間の終了日に測定した前記測定ケトン体濃度と開始日に測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比が、予め定めた閾値以上であるか否かを判定することにより、無理なダイエットの有無を前記体調レベルとして判定する
処理を実行させるための体調不良判定プログラム。
【請求項21】
コンピュータに、
ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、
判定結果を出力する出力ステップと、
を含み、
前記判定ステップは、前記取得ステップにより取得された予め定めた期間に測定した複数の前記測定ケトン体濃度の変動を表す変動曲線が、前記測定ケトン体濃度が高い状態が一定期間続いた後に急激に下降し、その後前記測定ケトン体濃度の低い状態が一定期間維持された曲線を表すリバウンド曲線となっているか否かを判定することにより、リバウンドの有無を前記体調レベルとして判定する
処理を実行させるための体調不良判定プログラム。
【請求項22】
コンピュータに、
ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、
判定結果を出力する出力ステップと、
を含み、
前記判定ステップは、前記ユーザーについて測定した複数の測定ケトン体濃度を表す式と、正常にダイエットを行った被験者について測定したケトン体濃度が表す式と、の比較結果に基づいて、無理なダイエットの有無を前記体調レベルとして判定する
処理を実行させるための体調不良判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体調不良判定装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイエットする際に絶食や無理な食事制限を続けると、健康を損なう場合も少なくない。従来から、個人の栄養状態を把握して、ダイエットに関するアドバイスを提供する技術が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、ユーザーの食事内容の入力に基づいて、ダイエットを無理なく行わせるための栄養情報を提供する技術が提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、呼気中のアセトン及び水素ガス量を測定することにより、ダイエットにおける肥満改善や腸内環境の正常化につながる生活習慣の改善点を判断することができる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−175963号公報
【特許文献2】特開2008−295921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、食事内容の入力が面倒であり、簡単に結果を得ることができない。また、特許文献1記載の技術は、体重や体脂肪率を入力する機能を備えているものの、急激な体重減少に伴う体調不良に関して注意喚起する機能は設けられていない。
【0007】
また、特許文献2に記載された技術では、食事を抜く等の無理なダイエットを防止するための機能が設けられていないため、呼気中のアセトン等の測定時に危険な状況にあるか否かについて判断することはできない。従って、例えば幼児の栄養不良や急な発熱時のケトン尿症予防として特許文献2記載の技術を用いることはできない。
【0008】
本発明は、容易に体調レベルを判定することができる体調不良判定装置、方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明の体調不良判定装置は、ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得するケトン体濃度取得手段と、前記ケトン体濃度取得手段により取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、を備え
、前記判定手段は、前回測定した前記測定ケトン体濃度と今回測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比と、前回の測定から今回の測定までの経過時間と、に応じてダイエットレベルが設定されているダイエットレベル判定基準から、前記ケトン体濃度取得手段により取得された前回測定した前記測定ケトン体濃度と今回測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比と、前回の測定から今回の測定までの経過時間と、に該当するダイエットレベルを前記体調レベルとして判定する。
【0010】
請求項2
記載の発明の体調不良判定装置は、ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得するケトン体濃度取得手段と、前記ケトン体濃度取得手段により取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、を備え、前記判定手段は、前記ケトン体濃度取得手段により取得された食事前に測定した前記測定ケトン体濃度と、食事後に測定した前記測定ケトン体濃度と、の差分又は比に基づいて、ダイエットレベルが正常か異常かを前記体調レベルとして判定する。
【0011】
また、請求項3に記載したように、
前記判定手段は、前記ケトン体濃度取得手段により取得された食事前に測定した前記測定ケトン体濃度と食事後に測定した前記測定ケトン体濃度との差分が、正の値の場合には前記ダイエットレベルが正常と判定し、負の値の場合には前記ダイエットレベルが異常と判定するようにしてもよい。
【0012】
また、請求項4に記載したように、前記判定手段は、
前記ケトン体濃度取得手段により取得された食事前に測定した前記測定ケトン体濃度に対する食事後に測定した前記測定ケトン体濃度との比が、1未満の場合には前記ダイエットレベルが正常と判定し、前記比が1以上の場合には前記ダイエットレベルが異常と判定するようにしてもよい。
【0013】
請求項5記載の発明の体調不良判定装置は、ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得するケトン体濃度取得手段と、前記ケトン体濃度取得手段により取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、を備え、前記判定手段は、
予め定めた期間の終了日と開始日との差分に対する、前記ケトン体濃度取得手段により取得された
前記予め定めた期間
の終了日に測定した前記測定ケトン体濃度と前記開始日に測定した前記測定ケトン体濃度との差分との比が、予め定めた閾値以上であるか否かを判定することにより、無理なダイエットの有無を前記体調レベルとして判定する。
【0015】
請求項
6の発明の体調不良判定装置は、
ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得するケトン体濃度取得手段と、前記ケトン体濃度取得手段により取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、を備え、前記判定手段は、前記
ケトン体濃度取得手段により取得された予め定めた期間の終了日に測定した前記測定ケトン体濃度と開始日に測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比が、予め定めた閾値以上
であるか否かを判定することにより、無理なダイエットの有無を前記体調レベルとして判定する。
【0016】
請求項
7記載の発明の体調不良判定装置は、ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得するケトン体濃度取得手段と、前記ケトン体濃度取得手段により取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、を備え、前記判定手段は、前記ケトン体濃度取得手段により取得された予め定めた期間に測定した複数の前記測定ケトン体濃度の変動を表す変動曲線が、前記測定ケトン体濃度が高い状態が一定期間続いた後に急激に下降し、その後前記測定ケトン体濃度の低い状態が一定期間維持された曲線を表すリバウンド曲線となっているか否かを判定することにより、リバウンドの有無を前記体調レベルとして判定する。
【0017】
また、請求項
8に記載したように、前記判定手段は、前記急激に下降しているか否かを判断する期間の終了日と開始日との差分に対する、前記終了日に測定した前記測定ケトン体濃度と前記開始日に測定した前記測定ケトン体濃度との差分との比が、予め定めた閾値未満の場合に、前記急激に下降していると判定するようにしてもよい。
【0018】
また、請求項
9に記載したように、前記判定手段は、前記急激に下降しているか否かを判断する期間の終了日に測定した前記測定ケトン体濃度と開始日に測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比が、予め定めた閾値未満の場合に、前記急激に下降していると判定するようにしてもよい。
【0019】
請求項
10記載の発明の体調不良判定装置は、ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得するケトン体濃度取得手段と、前記ケトン体濃度取得手段により取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、を備え、前記判定手段は、前記ユーザーについて測定した複数の測定ケトン体濃度を表す式と、正常にダイエットを行った被験者について測定したケトン体濃度が表す式と、の比較結果に基づいて、無理なダイエットの有無を前記体調レベルとして判定する。
【0020】
請求項
11記載の発明の体調不良判定方法は、コンピュータが、ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、判定結果を出力する出力ステップと、を含み、前記判定ステップは、前回測定した前記測定ケトン体濃度と今回測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比と、前回の測定から今回の測定までの経過時間と、に応じてダイエットレベルが設定されているダイエットレベル判定基準から、前記取得ステップにより取得された前回測定した前記測定ケトン体濃度と今回測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比と、前回の測定から今回の測定までの経過時間と、に該当するダイエットレベルを前記体調レベルとして判定する。
請求項
12記載の発明の体調不良判定方法は、コンピュータが、ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、判定結果を出力する出力ステップと、を含み、前記判定ステップは、前記取得ステップにより取得された食事前に測定した前記測定ケトン体濃度と、食事後に測定した前記測定ケトン体濃度と、の差分又は比に基づいて、ダイエットレベルが正常か異常かを前記体調レベルとして判定する。
請求項
13記載の発明の体調不良判定方法は、コンピュータが、ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、判定結果を出力する出力ステップと、を含み、前記判定ステップは、
予め定めた期間の終了日と開始日との差分に対する、前記取得ステップにより取得された
前記予め定めた期間
の終了日に測定した前記測定ケトン体濃度と前記開始日に測定した前記測定ケトン体濃度との差分との比が、予め定めた閾値以上であるか否かを判定することにより、無理なダイエットの有無を前記体調レベルとして判定する。
請求項14記載の発明の体調不良判定方法は、
コンピュータが、ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、判定結果を出力する出力ステップと、を含み、前記判定ステップは、前記取得ステップにより取得された予め定めた期間の終了日に測定した前記測定ケトン体濃度と開始日に測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比が、予め定めた閾値以上であるか否かを判定することにより、無理なダイエットの有無を前記体調レベルとして判定する。
請求項15記載の発明の体調不良判定方法は、コンピュータが、ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、判定結果を出力する出力ステップと、を含み、前記判定ステップは、前記取得ステップにより取得された予め定めた期間に測定した複数の前記測定ケトン体濃度の変動を表す変動曲線が、前記測定ケトン体濃度が高い状態が一定期間続いた後に急激に下降し、その後前記測定ケトン体濃度の低い状態が一定期間維持された曲線を表すリバウンド曲線となっているか否かを判定することにより、リバウンドの有無を前記体調レベルとして判定する。
請求項16記載の発明の体調不良判定方法は、コンピュータが、ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、判定結果を出力する出力ステップと、を含み、前記判定ステップは、前記ユーザーについて測定した複数の測定ケトン体濃度を表す式と、正常にダイエットを行った被験者について測定したケトン体濃度が表す式と、の比較結果に基づいて、無理なダイエットの有無を前記体調レベルとして判定する。
【0021】
請求項17記載の発明の体調不良判定プログラムは、コンピュータに、ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、判定結果を出力する出力ステップと、を含み、前記判定ステップは、前回測定した前記測定ケトン体濃度と今回測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比と、前回の測定から今回の測定までの経過時間と、に応じてダイエットレベルが設定されているダイエットレベル判定基準から、前記取得ステップにより取得された前回測定した前記測定ケトン体濃度と今回測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比と、前回の測定から今回の測定までの経過時間と、に該当するダイエットレベルを前記体調レベルとして判定する処理を実行させるための体調判定プログラムである。
請求項18記載の発明の体調不良判定プログラムは、コンピュータに、ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、判定結果を出力する出力ステップと、を含み、前記判定ステップは、前記取得ステップにより取得された食事前に測定した前記測定ケトン体濃度と、食事後に測定した前記測定ケトン体濃度と、の差分又は比に基づいて、ダイエットレベルが正常か異常かを前記体調レベルとして判定する処理を実行させるための体調不良判定プログラムである。
請求項19記載の発明の体調不良判定プログラムは、コンピュータに、ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、判定結果を出力する出力ステップと、を含み、 前記判定ステップは、
予め定めた期間の終了日と開始日との差分に対する、前記取得ステップにより取得された
前記予め定めた期間
の終了日に測定した前記測定ケトン体濃度と前記開始日に測定した前記測定ケトン体濃度との差分との比が、予め定めた閾値以上であるか否かを判定することにより、無理なダイエットの有無を前記体調レベルとして判定する処理を実行させるための体調不良判定プログラムである。
請求項20記載の発明の体調不良判定プログラムは、コンピュータに、ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、判定結果を出力する出力ステップと、を含み、前記判定ステップは、前記取得ステップにより取得された予め定めた期間の終了日に測定した前記測定ケトン体濃度と開始日に測定した前記測定ケトン体濃度との差分又は比が、予め定めた閾値以上であるか否かを判定することにより、無理なダイエットの有無を前記体調レベルとして判定する処理を実行させるための体調不良判定プログラムである。
請求項
21記載の発明の体調不良判定プログラムは、コンピュータに、ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、判定結果を出力する出力ステップと、を含み、前記判定ステップは、前記取得ステップにより取得された予め定めた期間に測定した複数の前記測定ケトン体濃度の変動を表す変動曲線が、前記測定ケトン体濃度が高い状態が一定期間続いた後に急激に下降し、その後前記測定ケトン体濃度の低い状態が一定期間維持された曲線を表すリバウンド曲線となっているか否かを判定することにより、リバウンドの有無を前記体調レベルとして判定する処理を実行させるための体調不良判定プログラムである。
請求項
22記載の発明の体調不良判定プログラムは、コンピュータに、ユーザーから排出されるケトン体を測定した測定ケトン体濃度を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された前記測定ケトン体濃度に基づいて、前記ユーザーの体調に関する体調レベルを判定する判定ステップと、判定結果を出力する出力ステップと、を含み、前記判定ステップは、前記ユーザーについて測定した複数の測定ケトン体濃度を表す式と、正常にダイエットを行った被験者について測定したケトン体濃度が表す式と、の比較結果に基づいて、無理なダイエットの有無を前記体調レベルとして判定する処理を実行させるための体調不良判定プログラムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、容易に体調レベルを判定することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】体調不良判定プログラムによる処理のフローチャートである。
【
図4】体調不良レベル判定基準の一例を示す図である。
【
図5】ダイエットレベル判定基準の一例を示す図である。
【
図6】食後にアセトン濃度が低下する場合のアセトン濃度の変動曲線の一例を示す図である。
【
図7】食事を摂らず、アセトン濃度の低下が見られない場合のアセトン濃度の変動曲線の一例を示す図である。
【
図8】リバウンドによりアセトン濃度が低下する場合のアセトン濃度の変動曲線の一例を示す図である。
【
図9】健康的にダイエットしている人のアセトン濃度の傾きについて説明するための図である。
【
図10】測定機器とパーソナルコンピュータを接続する形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る体調不良判定装置10の外観図である。
図1に示すように、体調不良判定装置10は、測定部12、表示部14、及び操作部16を備えている。本実施形態に係る体調不良判定装置10は、一例として持ち運びに便利な携帯型の装置である。
【0026】
測定部12は、ユーザーから排出されるケトン体の濃度(以下、ケトン体濃度という)を測定する。ここで、ケトン体とは、アセト酢酸、3−ヒドロキシ酪酸(β−ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称であり、これらのうちの少なくとも一つを表す。
【0027】
本実施形態では、測定部12が、一例としてユーザーの呼気中のアセトンを検出するアセトン検出センサを備えた構成の場合について説明する。ユーザーは、吹き込み口18に呼気を吹き込むことにより、呼気中のアセトン濃度を測定することができる。なお、吹き込み口18は、呼気を収集しやすくするために、口で咥えることが可能なマウスピース型の形状としてもよいし、意識不明の状態でも呼気を収集することが可能なマスク型の形状としてもよい。
【0028】
表示部14は、例えば液晶パネル等で構成される。表示部14には、例えば各種設定画面、測定部12で測定されたアセトン濃度の測定結果、及び測定されたアセトン濃度に基づくアドバイス情報等の各種画面が表示される。また、表示部14をタッチパネルの機能を備えた構成とし、画面に直接タッチすることで操作が可能な構成としてもよい。
【0029】
操作部16は、複数の操作ボタンを含んで構成されており、
図1では一例として3個の操作ボタン16A〜16Cを備えた場合を示した。
【0030】
操作ボタン16Aは、一例として体調不良判定装置10の電源のオンオフ及び各種画面において決定の操作を行うためのボタンとして機能する。
【0031】
操作ボタン16Bは、一例として各種画面において情報を入力するためのボタンとして機能する。
【0032】
操作ボタン16Cは、一例として過去の測定結果等を読み出すことを指示するためのボタンとして機能する。
【0033】
図2には、体調不良判定装置10のブロック図を示した。
図2に示すように、体調不良判定装置10は、コントローラ20を備えている。コントローラ20は、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、RAM(Random Access Memory)20C、不揮発性メモリ20D、及び入出力インターフェース(I/O)20Eがバス20Fを介して各々接続された構成となっている。この場合、後述する体調不良判定処理をコントローラ20のCPU20Aに実行させる体調不良判定プログラムを、例えば不揮発性メモリ20Dに書き込んでおき、これをCPU20Aが読み込んで実行する。なお、体調不良判定プログラムは、CD−ROM、メモリーカード等の記録媒体により提供するようにしてもよく、図示しないサーバからダウンロードするようにしてもよい。
【0034】
I/O20Eには、測定部12、表示部14、操作部16、及びタイマ22が接続されている。タイマ22は、現在時刻を取得する機能及び設定された時間を計時する計時機能を有する。
【0035】
次に、本実施形態の作用として、コントローラ20のCPU20Aにおいて実行される体調不良判定プログラムによる処理について、
図3に示すフローチャートを参照して説明する。なお、
図3に示す処理は、ユーザーが体調不良判定装置10の操作部16を操作して、体調不良判定プログラムの実行を指示した場合に実行される。
【0036】
まず、ステップS100では、アセトン濃度の測定を行う。具体的には、まず、予め定めた時間(例えば10秒)の経過後にアセトン濃度の測定を開始する旨のメッセージを表示部14に表示すると共に、タイマ22に対して予め定めた時間を計時するよう指示する。
【0037】
そして、予め定めた時間が経過したことがタイマ22から通知された場合には、吹き込み口18から呼気を吹き込むよう指示する吹き込み開始メッセージを表示部14に表示すると共に、測定部12に対してアセトン濃度の測定を開始するよう指示する。ユーザーは、吹き込み開始メッセージが表示部14に表示されると、呼気を吹き込み口18に対して吹き込む。
【0038】
測定部12は、吹き込み口18に吹き込まれた呼気のアセトン濃度を測定してコントローラ20に出力する。また、測定したアセトン濃度は、タイマ22から取得した現在時刻と共に不揮発性メモリ20Dに記憶する。
【0039】
ステップS102では、ステップS100で測定したアセトン濃度に基づいて、体調不良レベルを判定する。脂質代謝の副産物であるアセトンのアセトン濃度は脂肪の燃焼量に相当すると考えられ、体内に糖質エネルギーが余っている場合にはアセトン濃度は低くなり、体内に糖質エネルギーが足りなくなった場合にはアセトン濃度は高くなる。また、栄養不良や発熱等によって体調不良となった場合、低血糖状態となってアセトン濃度が高くなる場合がある。例えば幼児の場合、栄養不良や急な発熱等により低血糖状態となってケトン尿症となる虞もある。
【0040】
そこで、本実施形態では、例えば
図4に示す体調不良レベル判定基準30に基づいて、現在の体調不良レベルを判定する。なお、
図4に示す体調不良レベル判定基準30は、例えば予め不揮発性メモリ20Dに記憶しておく。
図4の例では、アセトン濃度の濃度範囲を4段階に分けており、測定アセトン濃度がa未満であれば「安全」、a以上で且つb未満であれば「注意」、b以上で且つc未満であれば「警戒」、c以上であれば「危険」と判定する。
【0041】
なお、
図4の例では、アセトン濃度の濃度範囲を4段階に分けているが、濃度範囲の分け方はこれに限らず、2段階、3段階に分けても良く、5段階以上に分けてもよい。また、性別、年令、体格、及び体組成の少なくとも一つを含む個人の属性毎に体調不良レベル判定基準を設けるようにしてもよい。
【0042】
ステップS104では、ステップS102で判定した体調不良レベルを表示部14に表示する。なお、体調不良レベルを光、振動、及びアラート音の少なくとも一つを用いて報知するようにしてもよい。
【0043】
このように、ユーザーは、呼気中のアセトン濃度を測定するだけで体調不良レベルを容易に知ることができる。このため、例えば家庭内においては幼児の栄養不良や発熱等による体調不良を早期に発見することができる。また、救急医療現場においては、血液や尿等を採取せずに幼児のケトン尿症の発生を判定することができ、救急医療の効率化を図ることができると共に、患者の負担を軽減することができる。
【0044】
ステップS106では、不揮発性メモリ20Dに、過去のアセトン濃度の測定結果が記憶されているか否かを判断し、記憶されていればステップS108へ移行し、記憶されていなければ本ルーチンを終了する。
【0045】
ステップS108では、過去のアセトン濃度及びステップS100で測定した現在のアセトン濃度に基づいて、ダイエットレベルを判定する。以下、ダイエットレベルの判定方法について説明する。
【0046】
第1のダイエットレベルの判定方法では、例えば
図5に示すようなダイエットレベル判定基準40に基づいてダイエットレベルを判定する。
【0047】
図5の例では、過去に測定したアセトン濃度のうち、今回測定したアセトン濃度と、前回測定したアセトン濃度との差分Δと、前回測定時から今回測定時までの経過時間とに応じて、ダイエットレベルが設定されている。例えば、差分Δが1000未満の場合、前回測定時から今回測定時までの経過時間が1日以内であればダイエットレベルが「a1」と判定され、前回測定時から今回測定時までの経過時間が14〜31日以内であればダイエットレベルが「e1」と判定される。このように、差分Δが同じ値であっても、前回測定時から今回測定時までの経過時間に応じてダイエットレベルが異なる。
【0048】
ダイエットレベルは、例えば数値で表され、数値が高くなるに従ってダイエットが進んでいることを表す。従って、ダイエットレベルが高すぎると無理なダイエットをしていると判断することができる。なお、
図5のダイエットレベル判定基準における各ダイエットレベルは、例えば多くの被験者に対する実験結果等から定められる。
【0049】
上記では、過去に測定したアセトン濃度のうち、今回測定したアセトン濃度と前回測定したアセトン濃度との差分Δと、前回測定時から今回測定時までの経過時間とに応じたダイエットレベルをダイエットレベル判定基準40から求めることによりダイエットレベルを判定しているが、例えば、差分Δのみに基づいてダイエットレベルを判定してもよい。また、今回測定したアセトン濃度と前回測定したアセトン濃度との差分Δではなく、今回測定したアセトン濃度と前回測定したアセトン濃度との比を用いてダイエットレベルを判定してもよい。
【0050】
なお、本実施形態では、ステップS102において、ステップS100で測定した現在のアセトン濃度のみに基づいて体調不良レベルを判定しているが、上記の第1のダイエットレベルの判定方法と同様の方法により体調不良レベルを判定するようにしてもよい。具体的には、
図5に示したダイエットレベル判定基準40と同様の体調不良レベル判定基準を用意しておき、過去のアセトン濃度及びステップS100で測定した現在のアセトン濃度と、前記体調不良レベル判定基準と、に基づいて体調不良レベルを判定すればよい。
【0051】
また、現在のアセトン濃度のみに基づいてダイエットレベルを判定するようにしてもよい。具体的には、
図4に示す体調不良レベル判定基準30と同様のダイエットレベル判定基準を用意しておき、現在のアセトン濃度と前記ダイエットレベル判定基準とに基づいてダイエットレベルを判定すればよい。
【0052】
第2のダイエットレベル判定方法は、同じ日内で食事時間の前後を含むアセトン濃度の測定結果が不揮発性メモリ20Dに記憶されている場合に、食事前に測定したアセトン濃度と、食事後のアセトン濃度との比較結果に基づいて、ダイエットレベルを判定する。
【0053】
図6には、食事時間の前後におけるアセトン濃度の変動曲線として正常な変動曲線の一例を示した。
図6に示すように、昼食の時間をt2とt3の間の時刻とした場合において、昼食をしっかりと摂った場合は、その後アセトン濃度が徐々に低下し、体内に糖質エネルギーが足りなくなるに従ってアセトン濃度が高くなる。
【0054】
しかしながら、昼食を摂らずに無理なダイエットを行った場合、
図7に示すように、昼食時間を過ぎてもアセトン濃度が低下せず、上昇を続ける。
【0055】
そこで、例えば食事前のアセトン濃度Aと食事後のアセトン濃度Bとの差分(A−B)を求め、求めた差分が正の値の場合、すなわち、食事後のアセトン濃度Bが食事前のアセトン濃度A未満であればダイエットレベルが正常と判断し、差分(A−B)が負の値の場合、すなわち食事後のアセトン濃度が食事前のアセトン濃度以上の場合には、ダイエットレベルが異常と判断する。
【0056】
なお、食事時間は、例えば朝食が7時、昼食が12時、夕食が19時等のように予め定めておいてもよいが、ユーザーに食事時間を入力させて不揮発性メモリ20Dに記憶しておき、この食事時間の前後のアセトン濃度の比較によりダイエットレベルを判定してもよい。
【0057】
また、上記では、食事前のアセトン濃度Aと食事後のアセトン濃度Bとの差分(A−B)に基づいてダイエットレベルが正常か異常かを判定しているが、食事前のアセトン濃度Aと食事後のアセトン濃度Bとの比(B/A)に基づいてダイエットレベルが正常か異常かを判定してもよい。この場合、比(B/A)が1未満の場合、すなわち食事後のアセトン濃度が食事前のアセトン濃度未満の場合にはダイエットレベルが正常と判断し、比(B/A)が1以上の場合、すなわち食事後のアセトン濃度が食事前のアセトン濃度以上の場合にはダイエットレベルが異常と判断すればよい。
【0058】
第3のダイエットレベル判定方法は、複数の日におけるアセトン濃度の測定結果が不揮発性メモリ20Dに記憶されている場合に、ダイエットレベルとして無理なダイエットの有無を判定する。なお、同じ日内でアセトン濃度を複数回測定している場合には、例えば同じ日内に測定した全アセトン濃度の平均値を、その日のアセトン濃度とする。
【0059】
図8には、無理なダイエットによりリバウンドが発生した場合のアセトン濃度の変動曲線の一例を示した。
図8に示すように、d1日目からd4日目にかけてアセトン濃度が急激に上昇しており、無理なダイエットが行われていると考えられる。そこで、予め定めた期間(例えば4日間)に測定したアセトン濃度が、急激に上昇しているか否かを判断することにより、無理なダイエットが行われているか否かを判断する。
【0060】
なお、急激に上昇しているか否かの判断は、急激に上昇しているか否かを判断する期間の開始日D1のアセトン濃度をA1、終了日D2のアセトン濃度をA2とした場合、(A2−A1)/(D2−D1)が予め定めた第1の閾値以上の場合に、アセトン濃度が急激に上昇していると判断する。すなわち、急激に上昇しているか否かを判断する期間の開始日のアセトン濃度と終了日のアセトン濃度とを結ぶ線の傾きが予め定めた第1の閾値以上の場合に急激に上昇していると判断する。なお、急激に上昇しているか否かを判断する期間の開始日D1のアセトン濃度A1、終了日D2のアセトン濃度A2との差分(A2−A1)が予め定めた第2の閾値以上の場合に急激に上昇していると判断するようにしてもよいし、比(A2/A1)が予め定めた第3の閾値以上の場合に急激に上昇していると判断するようにしてもよい。
【0061】
第4のダイエットレベル判定方法は、複数の日におけるアセトン濃度の測定結果が不揮発性メモリ20Dに記憶されている場合に、複数の日のアセトン濃度の測定結果に基づいて、リバウンドの有無をダイエットレベルとして判定する。
【0062】
図8に示す例では、d1日目からd4日目にかけてアセトン濃度が高い状態、すなわち体脂肪の燃焼量が多い状態が続いており、この期間はダイエットをすることによりアセトン濃度が高い状態が続いていると考えられる。そして、d4日目からd5日目にかけてアセトン濃度が急激に減少した後、アセトン濃度が徐々に低下しており、アセトン濃度が低い状態が維持されている。これは、リバウンドにより食事を摂り過ぎていたり、運動量が少ないためにアセトン濃度の低い状態が維持されていると考えられる。すなわち、リバウンドが発生する場合のアセトン濃度の変動曲線は、アセトン濃度が高い状態が一定期間続いた後に急激に下降し、その後アセトン濃度の低い状態が一定期間維持された曲線となる。
【0063】
そこで、予め定めた期間(例えば12日間)に測定したアセトン濃度の変動曲線(以下、測定曲線という)が、アセトン濃度が高い状態が一定期間続いた後に急激に下降し、その後アセトン濃度の低い状態が一定期間維持された曲線(以下、リバウンド曲線という)となっているか否かを判断することにより、リバウンドが発生しているか否かを判断する。
【0064】
なお、急激に下降しているか否かの判断は、急激に下降しているか否かを判断する期間の開始日D1のアセトン濃度をA1、終了日D2のアセトン濃度をA2とした場合、(A2−A1)/(D2−D1)が予め定めた第4の閾値未満の場合を急激に下降していると判断する。すなわち、急激に下降しているか否かを判断する期間の開始日のアセトン濃度と終了日のアセトン濃度とを結ぶ線の傾きが予め定めた第4の閾値未満の場合に急激に下降していると判断する。なお、急激に下降しているか否かを判断する期間の開始日D1のアセトン濃度A1、終了日D2のアセトン濃度A2との差分(A2−A1)が予め定めた第5の閾値未満の場合に急激に下降していると判断するようにしてもよいし、比(A2/A1)が予め定めた第6の閾値未満の場合に急激に下降していると判断するようにしてもよい。
【0065】
また、例えば測定曲線とリバウンド曲線との類似度を公知の手法により算出し、算出した類似度が予め定めた第7の閾値以上の場合にリバウンドが発生していると判断するようにしてもよい。
【0066】
第5の評価方法は、健康的に、すなわち正常にダイエットを行った多数の被験者のアセトン濃度の測定結果に基づいて、無理なダイエットの有無を判定する。
図9には、健康的にダイエットを行った多数の被験者のダイエット実行期間におけるアセトン濃度と経過時間との関係を示した。
【0067】
図9では、健康的なダイエットを行った多数の被験者について測定したアセトン濃度は「○」で表しており、これらを例えば最小自乗法等により一次式で表すと基準直線50となる。また、無理なダイエットをした人のアセトン濃度は「▲」で表しており、これらを例えば最小自乗法等により一次式で表すと直線52となる。
【0068】
図9に示すように、直線52の傾きは基準直線50の傾きより大きい。すなわち、無理なダイエットを行った人は食事を適切に摂らないため、食事を適切に摂って健康的にダイエットを行った人と比較するとアセトン濃度の上昇率が高い。
【0069】
そこで、例えば複数回測定したアセトン濃度から最小自乗法等により一次式を算出し、算出した一次式が表す直線の傾きが基準直線50の傾きよりも大きい場合に、無理にダイエットしているものと判定してもよい。
【0070】
なお、上記ではアセトン濃度と経過時間との関係を一次式で表したが、二次式で表してもよいし、三次以上の次数の多項式で表してもよく、より実測値に近い式を用いてもよい。また、アセトン濃度と経過時間との関係を式ではなくデータテーブルで表しても良い。また、健康的にダイエットを行った多数の被験者のアセトン濃度の測定値の平均値又は標準偏差を閾値として、測定したアセトン濃度が当該閾値を越える場合に無理にダイエットしているものと判定してもよい。
【0071】
以上のように、第1〜第5の評価方法の少なくとも一つの評価方法に基づいてダイエットレベル及び体調不良レベルの少なくとも一つを判定し、判定結果を現在時刻と共に不揮発性メモリ20Dに記憶する。
【0072】
なお、本実施形態では、第1〜第5の評価方法について説明したが、評価方法はこれらに限られるものではない。
【0073】
ステップS110では、ステップS108での判定結果、当該判定結果に対応するアドバイス情報を表示部14に表示する。例えば、判定結果とアドバイス情報との対応関係を表すテーブルデータを不揮発性メモリ20Dに記憶しておき、このテーブルデータから求めたアドバイス情報を表示部14に表示する。例えば、無理なダイエットをしていると判定された場合には、例えば「ダイエットを頑張りすぎです。食事を適切に摂りましょう。」等の無理なダイエットをしないように促すメッセージを表示する。これにより、ユーザーは、無理なダイエットをすることなく適切にダイエットを実行することができる。なお、判定結果を光、振動、及びアラート音の少なくとも一つを用いて報知するようにしてもよい。
【0074】
このように、アセトン濃度を測定するだけで無理なダイエットの有無を判定し、アドバイス情報を表示するので、ユーザーは無理なダイエットを行っているか否かを容易に知ることができ、体調不良について注意することができる。
【0075】
なお、本実施形態では、体調不良判定装置10が携帯型の専用装置の場合について説明したが、例えば
図10に示すように、パーソナルコンピュータ80に、測定部12を含む測定機器82を有線又は無線により接続する構成としてもよい。この場合、パーソナルコンピュータ80は、測定機器82により測定されたアセトン濃度を取得して
図3に示す処理を実行することにより、体調不良判定装置として機能する。
【0076】
また、測定機器82を接続する機器は、パーソナルコンピュータに限らず、携帯電話、スマートフォン、及びタブレット端末等の携帯端末でもよい。また、これらの携帯端末に測定部12を内蔵した構成としてもよい。また、これらの携帯端末又は測定機器82をサーバにネットワーク接続する構成としてもよい。この場合、サーバが体調不良判定装置として機能する。すなわち、携帯端末又は測定機器82は、測定したアセトン濃度をサーバに送信し、サーバは、携帯端末又は測定機器82から受信したアセトン濃度に基づいて
図3に示す処理を実行し、結果を携帯端末又は測定機器82に送信する。これにより、測定機器82は、少なくともアセトン濃度を測定してサーバに送信する機能及びサーバから結果を受信して表示する機能を備えればよく、安価な構成とすることができる。
【0077】
また、本実施形態では、測定部12が、呼気中のアセトンを検出するアセトン検出センサを備えた構成の場合について説明したが、これに限らず、ユーザーの皮膚、尿、唾液、及び汗等から排出されたケトン体を検出するケトン体検出センサを備えた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0078】
10 体調不良判定装置
12 測定部
14 表示部
16 操作部
18 吹き込み口
20 コントローラ
80 パーソナルコンピュータ
82 測定機器