(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
筒状のスリーブと、このスリーブの端部に外側壁を外嵌させた状態で装着されたパレットとを備えたスリーブコンテナに用いられ前記スリーブと前記パレットとを繋ぐためのロック機構であって、
前記スリーブの端部に設けられた係合部と、前記パレットに設けられ前記係合部に係合して前記パレットが前記スリーブから離脱するのを禁止するロック位置から、前記係合部から抜出して前記パレットが前記スリーブから離脱するのを許容するロック解除位置までの間で水平方向にスライド移動可能なロック部材とを備え、
前記ロック解除位置では、前記ロック部材が前記パレットの外側壁の外面から迫出し、
前記ロック位置では、前記ロック部材が前記パレットの外側壁の外面と面一または内側に収まるように設定されているとともに、
前記係合部が、前記スリーブに設けられ外方に向けて開口する凹陥部であり、前記スリーブに設けた貫通孔と、この貫通孔に設けられ外方のみに開口するロック受け具とを備えたものであり、
前記ロック受け具が、前記スリーブの外面から内面にまで貫通する状態で前記貫通孔内に装着されるロック受け具本体と、このロック受け具本体の開口端側に設けられる取付鍔とを備えていることを特徴とするスリーブコンテナ用のロック機構。
前記ロック部材が、前記パレットにスライド可能に支持されるロック部材本体と、このロック部材本体の外方端から前記パレットの外側壁と略平行に延出するアーム部と、このアーム部の先端から前記係合部方向に延出する先端ロック部とを備えた鉤型のものである請求項1または2記載のロック機構。
前記スライド案内機構が、前記パレットに設けられ前記ロック部材のロック部材本体をスライド可能に収容するロック部材収容案内部と、このロック部材収容案内部内に設けられた案内ピンと、この案内ピンにより前記ロック部材のスライド範囲を規制すべく前記ロック部材本体に設けられた長孔とを備えたものである請求項4記載のロック機構。
前記ロック部材収容案内部が、前記パレットの天壁または底壁の外面と外側壁とにわたって設けられた平面視矩形状をなす凹みであり、前記案内ピンの形状と、前記ロック部材収容案内部に設けられ前記案内ピンを挿入可能な貫通孔の形状とが略同一であり、前記案内ピンと前記パレットの間にパッキンが配されている請求項5記載のロック機構。
前記節度機構が、前記ロック部材収容案内部の内側壁に設けられた突起と、この突起に節度的に係合すべく波形に形成され前記ロック部材に一体に設けられた樹脂ばねとを備えたものである請求項4、5または6記載のロック機構。
前記筒状のスリーブと、このスリーブの上端部及び/または下端部に外側壁を外嵌させた状態で装着され請求項1、2、3、4、5、6または7記載の前記ロック機構を用いて繋がれた前記パレットとを備えたことを特徴とするスリーブコンテナ。
【背景技術】
【0002】
従来、スリーブコンテナのスリーブに対して上下のパレットの離脱を禁止するロック状態と、スリーブに対して上下のパレットの離脱を許容するロック解除状態とをとり得るロック機構が知られている(例えば、下記特許文献1または2を参照)。
【0003】
このロック機構は、スリーブの上下端部に設けられた貫通孔と、この貫通孔への係合状態を上部パレットの上面側または下部パレットの下面側に突出する操作部で操作することによって移動可能な突出片とを備えている。
【0004】
ところが、操作部がパレットの上面側や下面側に設けられている場合には、ロック機構の操作が非常に煩雑となるという不具合があった。
【0005】
詳述すれば、従来のロック機構で、特に下部パレットの下面側に設けられている操作部を操作しようとした場合、作業者が屈んだ状態で下部パレットの下側に手を入れて、パレットの中心側にあり外部から視認できない状態の操作部を手探りで探し出した上で、当該パレットの中心側から外側に向かって引っ張り出すようにして操作部のロック作業を、また当該パレットの外側から中心側に向かって押し込むようにしてロック解除作業を行っていた。このような作業は、指先の感覚に頼った作業を必要としていたため、手袋を嵌めている場合が多い梱包作業現従事者にとっては、非常に煩雑なものであった。また、従来のロック機構の場合、下部パレットのロック状態の是非を容易には視認できなかった。
【0006】
さらに、操作部が上部パレットの上面側に設けられている場合も同様に、荷物を収納した状態で段積みされた場合、側面からは容易にロック状態の是非を確認できない。また、上部パレットは、下部パレットと異なり、上側に物が載っていない状態であれば、ロック状態の是非を上面から確認することが可能であるものの、上部パレットの上側にさらにパレット等が載せられた場合には、上面側からの確認も難しくなる。
【0007】
また、下記特許文献2に記載されたようなものであると、スライド移動する操作部を摺動可能に取り付けるための長孔が開口しており、中空構造のパレット内部と外部とを、またスリーブコンテナの内部空間と外部とを連通するものである(例えば、特許文献2の
図8等を参照)ため、この長孔を介して外部から雨水等がパレット内部及びスリーブコンテナ内部に浸入してしまう等、防水性能にも問題が生じる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について
図1〜
図9を参照して説明する。
【0022】
本実施形態にかかるスリーブコンテナ10は、
図1及び
図2に示すように、自動倉庫において用いられる標準的な寸法のものであり、筒状のスリーブ1と、このスリーブ1の上下端部に外側壁22、32を外嵌させた状態で装着された上下のパレット2、3と、下側のパレット3の底部側に設けられた脚4とを備えている。換言すれば、このスリーブコンテナ10は、荷役用の下側のパレット3と、前記下側のパレット3の外面に装着された脚4と、前記下側のパレット3の内面34における外周近傍に配されたスリーブ受溝341に下縁12を支持させた状態で前記パレット3上に配されるスリーブ1と、前記スリーブ1の上端開口部13を閉塞する上側のパレット2とを備えている。
【0023】
前記スリーブ1は、
図1〜
図4及び
図7〜
図9に示すように、例えば、合成樹脂製のプラスチック中空板によって形成された角形筒状のものである。プラスチック中空板は、
図9に示すように、例えば、多数の平面視円形状をなすキャップ状の突起を有するキャップシート1aと、このキャップシート1aを挟むように当該キャップシート1aの底面側及び頂面側に配される平坦なバックシート1b及びライナーシート1cとを備えた3層状のプラスチック気泡ボードである。なお、
図1〜
図8では、キャップシート1a、バックシート1b、ライナーシート1cの図示は省略している。
【0024】
前記スリーブ1は、具体的には、前壁14と、この前壁14の左右両側縁から延びる左右の側壁15と、これら左右の側壁15の後縁間を繋ぐ後壁16とを備えたものである。本実施形態では、前記前壁14、左右の側壁15、及び後壁16は、コーナーヒンジ17を介してそれぞれ接続されている。また、左右の側壁15は、前後方向中間位置にセンターヒンジ18を有している。そして、前記各コーナーヒンジ17を山折りするとともに、前記各センターヒンジ18を谷折りすることにより、このスリーブ1全体を平坦な形態に折り畳むことができるようにしてある。前記スリーブ1は、筒状に展開した状態で、下縁12が前記下側のパレット3に設けられたスリーブ受溝341と係り合うことにより、スリーブ1の下縁12が前記下側のパレット3により保持されるとともに、上縁11が前記上側のパレット2に設けられたスリーブ受溝241と係り合うことにより、スリーブ1の上縁11が前記上側のパレット2により保持される。
【0025】
前記上下の各パレット2、3は、
図1〜
図9に示すように、2枚の熱可塑性樹脂シート素材を第1の型と第2の型とによりそれぞれ真空成形した上で相互に溶着させて成形するツインシート成形により作られたものである。すなわち、上下のパレット2、3は、互いに同一の形状をなしており、本実施形態では、各パレット2、3をスリーブ1と結合する際に、一方のパレット2を他方のパレット3に対して水平軸まわりに180度回転させて用いている。
【0026】
上側のパレット2は、
図1〜
図9に示すように、平面視矩形状をなす天壁21と、この天壁21の周縁から下方に延出する外側壁22とを備えたものである。前記天壁21の外面23には、4つのコーナー部分及びこれらコーナー部分の中間位置にそれぞれ、同一の構成を有する他のスリーブコンテナ10の脚4の先端部42と係合し得る形状の凹陥部231を備えている。前記天壁21の内面24には、前記スリーブ1の上縁11を支持するためのスリーブ受溝241が形成されている。このスリーブ受溝241は、上側のパレット2の外側壁22にごく近い位置に配されており、このスリーブ受溝241の幅は、前記スリーブ1の厚み寸法に対応させてある。スリーブ受溝241の内部には止水用のゴム製パッキンP4が配されている。また、上側のパレット2は、後述するロック部材7を収容するためのロック部材収容案内部81を備えている。具体的には、このロック部材収容案内部81は、前記天壁21と外側壁22とにわたって設けられた凹みであり、前側の2箇所と後側の2箇所の、合計4箇所に形成されている。より具体的には、各ロック部材収容案内部81は、前記各凹陥部231の間に設けられている。
【0027】
下側のパレット3は、
図1及び
図2に示すように、平面視矩形状をなす底壁31と、この底壁31の周縁から上方に延出する外側壁32とを備えたものである。前記底壁31の外面(図示せず)には、4つのコーナー部分及びこれらコーナー部分の中間位置にそれぞれ、前記脚4を装着するための凹陥部を備えている。各凹陥部の中心部分には、ねじ挿通孔333が穿設されている。前記底壁31の内面34には、前記スリーブ1の下縁12を支持するためのスリーブ受溝341が形成されている。このスリーブ受溝341は、下側のパレット3の外側壁32にごく近い位置に配されており、このスリーブ受溝341の幅は、前記スリーブ1の厚み寸法に対応させてある。スリーブ受溝341の内部には止水用のゴム製パッキン(図示せず)が配されている。また、下側のパレット3は、後述するロック部材7を収容するためのロック部材収容案内部(図示せず)を備えている。具体的には、このロック部材収容案内部は、前記底壁31と外側壁32とにわたって設けられた凹みであり、前側の2箇所と後側の2箇所の、合計4箇所に形成されている。より具体的には、各ロック部材収容案内部は、前記各凹陥部の間に設けられている。
【0028】
前記脚4は、
図1及び
図2に示すように、インジェクション成形により形成された合成樹脂製のもので、略角柱状をなしている。前記脚4は、基端部41が前記パレット3の各凹陥部に挿入されうる寸法に設定されている。また、前記脚4は、先端部42が前記基端部41よりも若干小さな外法寸法を備えており、他のスリーブコンテナ1のパレット2の各凹陥部231と、位置決め機能は有しつつ容易に離脱可能である状態で係り合う大きさに設定されている。前記脚4には雌ねじ孔43が設けられており、この雌ねじ孔43に前記パレット3のねじ挿通孔333を通過させた固定ねじ334を螺合させることにより当該脚4が前記パレット3に取り付けられている。
【0029】
なお、前記脚4と前記パレット3との間には、止水用のゴム製パッキンP1が配されている。このパッキンP1は、ワッシャ状をなすもので、前記脚4の基端部41の上面と、この基端部41が当接するパレット3の外面、すなわち、パレット3のねじ挿通孔333周辺部分との間に挟み込まれた上で固定されるものである。すなわち、パッキンP1は、前記脚4の締結のための固定ねじ334(雄ねじ)が挿入されたねじ挿通孔333周辺に配されるので、スリーブコンテナ1の気密性を高め、床面からの浸水を抑制し得るものである。
【0030】
しかして、本実施形態のスリーブコンテナ10は、前記スリーブ1と前記各パレット2、3とを着脱可能に繋ぐためのロック機構5を備えている。
【0031】
前記ロック機構5は、
図1〜
図9に示すように、前記スリーブ1の上下端部に設けられた係合部6と、前記各パレット2、3に設けられたロック部材7とを主体に構成されている。以下、スリーブ1の上端部と上側のパレット2との結合部分に設けられたロック機構5について説明するが、スリーブ1の下端部と下側のパレット3との結合部分に設けられたロック機構5については、上側と同様であるため説明を省略する。
【0032】
前記係合部6は、
図2及び
図7〜
図9に示すように、前記スリーブ1に設けられ少なくとも外方に向けて開口する凹陥部61である。具体的には、前記凹陥部61は、前記スリーブ1に設けた貫通孔62と、この貫通孔62に装着され外方のみに開口するロック受け具63とを備えたものである。
【0033】
前記貫通孔62は、
図9に示すように、スリーブ1の前述したロック部材収容案内部81に対応する部分に設けられたものであり、前記前壁14における左右2箇所、及び、前記後壁16における左右2箇所に形成されている。貫通孔62は、スリーブ1の厚み方向に貫通する正面視矩形状をなす開口である。
【0034】
なお、このスリーブ1に設けられた貫通孔62に対応させて前記パレット2に貫通孔851が設けられている。すなわち、前記パレット2は、前記外側壁22の前記凹陥部61に対応する部位に貫通孔851を備えたものであり、後述するロック位置(L)において前記先端ロック部73が前記貫通孔851を貫通して前記係合部6に係合するように構成されている。
【0035】
前記ロック受け具63は、
図2及び
図7〜
図9に示すように、インジェクション成形により形成された合成樹脂製のもので、前記貫通孔62内に装着されるロック受け具本体65と、このロック受け具本体65の開口端側に設けられる取付鍔66とを備えている。このロック受け具63は、ロック受け具本体65を前記貫通孔62内に挿入した後に、前記取付鍔66に穿設されたねじ挿入孔68に前記開口端側から挿入された固定ねじ67を螺合することにより、ロック受け具63を前記スリーブ1に取り付けるようにしている。
【0036】
なお、前記凹陥部61と前記スリーブ1との間には、止水用のゴム製パッキンP2が配されている。このパッキンP2は、矩形状をなすもので、前記固定ねじ67を挿通させるためのねじ挿通孔P21が穿設されている。パッキンP2は、前記凹陥部61を形成するロック受け具63の取付鍔66と、この取付鍔66が当接するスリーブ1の外面、すなわち、スリーブ1の貫通孔62周辺部分との間に挟み込まれた上で、前記固定ねじ67により固定されるものである。
【0037】
前記ロック部材7は、
図1〜
図9に示すように、前記係合部6に係合して前記パレット2が前記スリーブ1から離脱するのを禁止するロック位置(L)から、前記係合部6から抜出して前記パレット2が前記スリーブ1から離脱するのを許容するロック解除位置(U)までの間で水平方向にスライド移動可能なものである。
図1、
図3、
図5及び
図7に示す前記ロック位置(L)では、前記ロック部材7が前記パレット2の外側壁22の外面26よりも内側に収まるように設定されている。一方、
図4、
図6及び
図8に示す前記ロック解除位置(U)では、前記ロック部材7が前記パレット2の外側壁22の外面26から迫出すように設定されている。なお、ロック部材7は、前記各パレット2、3及びスリーブ1と異なる色に配されており、具体的には、ロック部材7は、作業者の目に止まりやすい黄色等に着色されている。
【0038】
前記ロック部材7は、
図1〜
図9に示すように、前記パレット2にスライド可能に支持されるロック部材本体71と、このロック部材本体71の外方端から前記パレット2の外側壁22と略平行に延出するアーム部72と、このアーム部72の先端から前記係合部6の方向に延出する先端ロック部73とを備えた鉤型のものである。
【0039】
前記ロック部材本体71は、
図3〜
図9に示すように、操作部74を備えたものであり、スライド案内機構8と、節度機構9とを介して前記パレット2に取付けられている。前記アーム部72は、前記ロック部材本体71と直交する方向に伸びる板状のもので、補強用のリブ78が形成されている。なお、ロック部材7をロック位置(L)に移動させる際に、前記操作部74を操作する代わりに当該アーム部72を手や足等を使って押圧操作するようにしてもよい。前記先端ロック部73は、前記アーム部72と直交する方向に伸びる板状のもので、前記ロック部材本体71と平行に配されている。
【0040】
前記操作部74は、
図3〜
図9に示すように、手袋を着用した作業者が容易に操作し得る大きさ及び形状に設定されたものである。具体的には、前記操作部74は、前記ロック部材本体71の外面側から内方に凹んで形成されており、前記ロック部材7を前記ロック位置(L)へと移動させるときに押圧される第1の内壁75と、前記ロック部材7を前記ロック解除位置(U)へと移動させるときに押圧される第2の内壁76とを備えている。また、操作部74には、当該ロック部材7のスライド方向を作業者に視覚的に訴える表示部分77を備えている。
【0041】
前記スライド案内機構8は、
図3〜
図9に示すように、前記パレット2に設けられ前記ロック部材7のロック部材本体71をスライド可能に収容するロック部材収容案内部81と、このロック部材収容案内部81内に設けられた案内ピン82と、この案内ピン82により前記ロック部材7のスライド範囲を規制すべく前記ロック部材本体71に設けられた長孔83とを備えたものである。
【0042】
前記ロック部材収容案内部81は、
図3〜
図9に示すように、前記ロック部材7をロック位置(L)に移動させたときに、前記ロック部材本体71の基端側が収容される第1の凹陥部分84と、前記アーム部72が収容される第2の凹陥部分85とを備えている。
【0043】
各第1の凹陥部分84は、パレット2の天壁21の前縁側及び後縁側に形成されるもので、前記ロック部材7をロック位置(L)に移動させたときに、パレット2の天壁21の外面23側とロック部材本体71の外面とが略面一になるように、第1の凹陥部分84の幅寸法及び深さ寸法が設定されている。前記第1の凹陥部分84は、底面841に前記案内ピン82を係わり合わせるための貫通孔843が穿設されているとともに、内側壁842に後述する節度機構9の突起91が形成されている。前記貫通孔843は、前記案内ピン82の先端部分が嵌り得る形状及び大きさに設定されている。なお、前記パレット2の天壁21の最も前縁側または最も後縁側、すなわち、前記スリーブ受溝241に対応する周縁部25は、前記パレット2の天壁21の外面23よりも凹んでいる。本実施形態では、周縁部25の外面は、前記第1の凹陥部分84の底面841と同じ高さ位置となるように設定されている。
【0044】
各第2の凹陥部分85は、パレット2の外側壁22に形成されるもので、前記ロック部材7をロック位置(L)に移動させたときに、パレット2の外側壁22の外面26側とアーム部72の外面とが略面一になるように、第2の凹陥部分85の幅寸法及び深さ寸法が設定されている。前記第2の凹陥部分85には、先端ロック部73を挿通可能な前記貫通孔851が穿設されている。
【0045】
前記案内ピン82は、
図3〜
図9に示すように、前記ロック部材本体71がロック部材収容案内部81から外れることを防止する抜け止め鍔86が設けられたものである。詳述すれば、この案内ピン82は、前記長孔83内を摺動可能な案内ピン本体821と、この案内ピン本体821よりも大きな径を有し後述する長孔83の抜け止め段部88に係わり合う抜け止め鍔86と、この抜け止め鍔86と反対側に設けられ前記案内ピン本体821よりも小さい径を有して前記貫通孔843に嵌る先端嵌合部822とを備えている。この先端嵌合部822の外周形状は、前記貫通孔843の平面形状と略同一である。換言すれば、前記ロック部材7が前記パレット2から離脱するのを禁止するための案内ピン82の形状と、前記パレット2に設けられ前記案内ピン82を挿入可能な貫通孔843の形状とは略同一である。この案内ピン82は、パレット2の内面24側から挿入した固定ねじ87によりパレット2に固定されている。
【0046】
なお、前記案内ピン82と前記パレット2との間には、止水用のゴム製パッキンP3が配されている。このパッキンP3は、ワッシャ状をなすもので、前記案内ピン82の案内ピン本体821の下面と、この案内ピン本体821が当接するパレット2の外面、すなわち、パレット2の貫通孔843周辺部分との間に挟み込まれた上で固定されるものである。
【0047】
前記長孔83は、
図3〜
図9に示すように、前記ロック部材本体71の基端側に設けられるもので、ロック部材7のスライド方向に伸びている。この長孔83は、前記案内ピン82の抜け止め鍔86と係合して前記ロック部材本体71がロック部材収容案内部81から外れることを防止する抜け止め段部88が設けられているものである。
【0048】
前記節度機構9は、
図5、
図6及び
図9に示すように、前記ロック部材収容案内部81の内側壁842に設けられた突起91と、この突起91に節度的に係合すべく波形に形成され前記ロック部材7に一体に設けられた樹脂ばね92とを備えたものである。
【0049】
前記突起91は、
図5、
図6及び
図9に示すように、前記ロック部材収容案内部81の内側壁842から内側に半円柱形状に突出したものである。突起91は、その内側面844で前記樹脂ばね92を案内し得る。
【0050】
前記樹脂ばね92は、
図5、
図6及び
図9に示すように、前記ロック部材本体71の内面側に設けられた板状のもので、一端が前記ロック部材本体71に一体に設けられる基端係止部93と、この基端係止部93の他端に一体に設けられる先端係止部94とを備えている。前記基端係止部93は、前記ロック部材7がロック位置(L)にあるときに、前記突起91の内側面844に係合し得るもので、ロック解除位置(U)方向への一定以上の力が加わらない限り、この係合状態を保つように外方に付勢している。前記先端係止部94は、前記ロック部材7がロック解除位置(U)にあるときに、前記突起91の内側面844に係合し得るもので、ロック位置(L)方向への一定以上の力が加わらない限り、この係合状態を保つように外方に付勢している。
【0051】
次に、このロック機構5を備えたスリーブコンテナ10のロック方法について説明する。以下、スリーブ1の上端部と上側のパレット2との結合部分に設けられたロック機構5について説明するが、スリーブ1の下端部と下側のパレット3との結合部分に設けられたロック機構5については、上側と同様であるため説明を省略する。
【0052】
まず、ロック部材7をロック位置(L)からロック解除位置(U)まで移動させる際には、作業者が操作部74に手を掛けてロック部材7をスライドさせる。その途上で、樹脂ばね92が付勢力に抗して変形して仮固定状態が解除され、ロック部材7はロック部材収容案内部81に沿って案内される。案内ピン82が長孔83の一端80側に当接したロック解除位置(U)までロック部材7が移動されると、前記凹陥部61から先端ロック部73が抜出する。この状態では、
図4、
図6及び
図8に示すように、前記ロック部材7が前記パレット2の外側壁22の外面26から迫出し、ロック解除状態であることが視認しやすくなっている。
【0053】
次に、ロック部材7をロック解除位置(U)からロック位置(L)まで移動させる際には、作業者が操作部74に手を掛けて、または、アーム部72を内方に押圧することによりロック部材7をスライドさせる。その途上で、樹脂ばね92が付勢力に抗して変形して仮固定状態が解除され、ロック部材7はロック部材収容案内部81に沿って案内される。案内ピン82が長孔83の他端89側に当接したロック位置(L)までロック部材7が移動されると、前記凹陥部61内に先端ロック部73が収容される。この状態では、
図1、
図3、
図5及び
図7に示すように、前記ロック部材7が前記パレット2の外側壁22の外面26よりも内側に収まっており、ロック状態であることが視認しやすくなっている。
【0054】
以上に述べたように、本実施形態によれば、筒状のスリーブ1と、このスリーブ1の上下端部に外側壁22、32を外嵌させた状態で装着された上下のパレット2、3とを備えたスリーブコンテナ10に用いられ前記スリーブ1と前記各パレット2、3とを繋ぐためのロック機構5であって、前記スリーブ1の上下端部に設けられた係合部6と、前記各パレット2、3に設けられ前記係合部6に係合して前記各パレット2、3が前記スリーブ1から離脱するのを禁止するロック位置(L)から、前記係合部6から抜出して前記各パレット2、3が前記スリーブ1から離脱するのを許容するロック解除位置(U)までの間で水平方向にスライド移動可能なロック部材7とを備えたスリーブコンテナ10用のロック機構5を構成した。そして、前記ロック解除位置(U)では、前記ロック部材7が前記各パレット2、3の外側壁22、32の外面26、36から迫出し、前記ロック位置(L)では、前記ロック部材7が前記各パレット2、3の外側壁22、32の外面26、36よりも内側に収まるように設定していた。
【0055】
このようなものであれば、ロック解除位置(U)にある前記ロック部材7が前記パレット2、3の外面26、36から迫り出しているため、特にスリーブコンテナ10の側方から、ロック部材7のロック解除状態を一目瞭然に確認できる。その上、操作時に、パレット2、3の外面23(パレット3の外面は図示せず)側に手を入れて手探り状態でロックを行うという骨の折れる操作が不要となる。したがって、スリーブコンテナ10の組み立て作業及び梱包作業の省力化、確実性の向上を図ることができる。
【0056】
このように、本実施形態にかかるロック機構5は、作業者が細かい作業を行いにくい下側のパレット3に適用すると非常に効果的である。もちろん、上側のパレット2にこのロック機構5を適用しても下側のパレット3と同一またはこれに準じた効果が得られるため、本実施形態のように、スリーブ1と、このスリーブ1の上下両側の各パレット2、3との結合箇所に前記ロック機構5を用いたものであれば、下側のみに前記ロック機構5を用いたものと比較して、さらなる組み立て作業及び梱包作業の省力化、確実性の向上を図ることができる。
【0057】
また、本実施形態では、上下のパレット2、3が互いに同一の形状をなすものであるため、上下でロック機構5の構成を共通化させることができる。
【0058】
さらに、本実施形態では、前記ロック部材収容案内部81が、前記パレット2の天壁21の外面23と外側壁22とにわたって設けられた平面視矩形状をなす凹み、または、前記パレット3の底壁31の外面と外側壁32とにわたって設けられた平面視矩形状をなす凹みであり、前記ロック部材7が前記パレット2、3から離脱するのを禁止するための案内ピン82の形状と、前記パレット2、3に設けられ前記案内ピン82を挿入可能な貫通孔843の形状とが略同一であり、前記案内ピン82と前記パレット2、3との間にパッキンP3が配されている。このようなものであるため、従来のような中空構造のパレット内部と外部との間、また、スリーブコンテナの内部空間と外部との間とを連通させてしまう操作部移動用の長孔を設ける必要がなくなり、案内ピン82の形状と貫通孔843の形状とを略同一に設計することができる。したがって、この貫通孔843近傍にパッキンP3を配して、スリーブコンテナ10内部の気密性を高め、防水性能を向上させることができる。
【0059】
また、前記ロック部材7が、前記各パレット2、3及びスリーブ1と異なる色に配されているので、ロック部材7の視認性をさらに高めることが可能となる。
【0060】
前記係合部6が、前記スリーブ1に設けられ少なくとも外方に向けて開口する凹陥部61であるので、ロック部材7の挿脱動作をスムーズに行うことができる。特に、本実施形態では、前記凹陥部61が外方のみに開口するロック受け具63を貫通孔62に取り付けたものであるため、スリーブコンテナ10内の気密性を高めることができる。
【0061】
さらに、本実施形態では、前記凹陥部61のロック受け具63と前記スリーブ1との間にパッキンP2が配されているので、スリーブコンテナ10内部の気密性を高めて、防水性能を向上させることができる。
【0062】
前記ロック部材7が、前記各パレット2、3にスライド可能に支持されるロック部材本体71と、このロック部材本体71の外方端から前記パレット2、3の外側壁22、32と略平行に延出するアーム部72と、このアーム部72の先端から前記係合部6方向に延出する先端ロック部73とを備えた鉤型のものであるので、ロック部材7を比較的簡単な構成とすることができる。
【0063】
さらに、前記ロック部材本体71が、操作部74を備えたものであり、スライド案内機構8と、節度機構9とを介して前記各パレット2、3に取付けられたものであるので、操作部74への操作力を先端ロック部73のスライド動作に適切に変換することができる。
【0064】
前記スライド案内機構8が、前記各パレット2、3に設けられ前記ロック部材7のロック部材本体71をスライド可能に収容するロック部材収容案内部81と、このロック部材収容案内部81内に設けられた案内ピン82と、この案内ピン82により前記ロック部材7のスライド範囲を規制すべく前記ロック部材本体71に設けられた長孔83とを備えたものであるので、適切な方向へロック部材7をスライドさせることができる。
【0065】
前記節度機構9が、前記ロック部材収容案内部81の内側壁842に設けられた突起91と、この突起91に節度的に係合すべく波形に形成され前記ロック部材7に一体に設けられた樹脂ばね92とを備えたものであるので、比較的簡単な構成で、ロック位置(L)とロック解除位置(U)とでロック部材7を仮保持させておくことができる。
【0066】
また、本実施形態の脚4は、パレット3と別体に構成されているため、パレット3と脚4とが一体に形成されているものに比べて、スリーブコンテナ10を比較的剛性の高いものとすることができる。詳述すれば、従来のスリーブコンテナは、パレットが合成樹脂により一体成形されており、かつ、スリーブに取り付けられていないパレットのみを重ね合わせてネスティング可能にするべく、脚の先端部の外形寸法が基端部の外形寸法よりも小さくなるように設定されているものが多い。このようなものであると、先細り形状をなす脚の内部の空間をスリーブ受溝として利用するため、スリーブの下縁は脚の形状に沿って厚み方向にわずかに湾曲する。したがって、上方からの荷重が加わった際等に、スリーブの剛性を保つことが難しいという問題があった。
【0067】
しかしながら、本実施形態のように脚4とパレット3とを別体に構成するものであれば、脚4の形状の如何にかかわらずパレット3の設計の自由度を高めることができる。すなわち、本実施形態に示したように、パレット3のスリーブ受溝341がスリーブ1の下縁12をまっすぐに保持するように設定することにより、スリーブ1に対して厚み方向への力が加わり難い構造とすることができる。したがって、スリーブ1の剛性、ひいてはスリーブコンテナ10全体の強度を高めることが可能となる。
【0068】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0069】
本発明のロック機構は、筒状のスリーブと、このスリーブの端部に外側壁を外嵌させた状態で装着されたパレットとを備えたスリーブコンテナに用いられるものであればどのようなものであってもよく、例えば、下側のみに当該ロック機構が適用されるものが考えられる。
【0070】
一例として、筒状のスリーブと、このスリーブの上下端部に外側壁を外嵌させた状態で装着された上下のパレットとを備えたスリーブコンテナにおいて、スリーブと下側のパレットとの結合箇所に本発明のロック機構を適用するとともに、スリーブと上側のパレットとの結合箇所には別のロック機構を適用したものであってもよい。
【0071】
また、他の例としては、筒状のスリーブと、このスリーブの下端部に外側壁を外嵌させた状態で装着された底部を形成するパレットとを備えたスリーブコンテナにおいて、スリーブと下側のパレットとの結合箇所に本発明のロック機構を適用するとともに、スリーブの上端開口部はパレット以外の蓋部材を用いて塞いで使用したり、当該スリーブの上端開口部に蓋となる部材を取り付けずに使用してもよい。
【0072】
このように、スリーブコンテナとして、前記筒状のスリーブと、このスリーブの下端部に外側壁を外嵌させた状態で装着された底部を形成するパレットとを備え、当該底部を形成するパレットと前記スリーブとを繋ぐために本発明のロック機構を用いたものが挙げられる。
【0073】
逆に、上側のみに当該ロック機構が適用されるものも考えられる。
【0074】
例えば、筒状のスリーブと、このスリーブの上下端部に外側壁を外嵌させた状態で装着された上下のパレットとを備えたスリーブコンテナにおいて、スリーブと上側のパレットとの結合箇所に本発明のロック機構を適用するとともに、スリーブと下側のパレットとの結合箇所には別のロック機構を適用したものであってもよい。
【0075】
このように、スリーブコンテナとして、前記筒状のスリーブと、このスリーブの上端部に外側壁を外嵌させた状態で装着された蓋部を形成するパレットとを備え、当該蓋部を形成するパレットと前記スリーブとを繋ぐために本発明のロック機構を用いたものが挙げられる。
【0076】
なお、上述した実施形態のように上下両側に本発明のロック機構を備えたもの、すなわち、前記筒状のスリーブと、このスリーブの上下端部に外側壁を外嵌させた状態でそれぞれ装着された上下のパレットとを備え、当該上下のパレットと前記スリーブとをそれぞれ繋ぐために本発明のロック機構を用いたものであれば、下側のみ、または、上側のみに本発明のロック機構を備えたものと比べてより一層、スリーブコンテナの組み立て作業及び梱包作業の省力化、確実性の向上等の効果を得ることができる。
【0077】
ロック部材は、ロック位置で、前記各パレットの外側壁の外面の内側に収まるものに限られず、前記外面と面一になるように設定されているものであってもよい。
【0078】
前記凹陥部は、貫通孔に限られず、底部分を有した凹部であってもよい。また、凹陥部は、スリーブに設けられた貫通孔のみから形成されるものであってもよく、上述した実施形態で示したような補強用のロック受け具や、パレットの外側壁に形成された貫通孔は必須ではない。
【0079】
また、ロック部材収容案内部の形状や大きさは、図示したものに限られず種々変更可能である。
【0080】
本実施形態では、プラスチック中空板の具体的な一態様として、多数のキャップ状の突起を有するキャップシートと、このキャップシートを挟むように底面側及び頂面側に配される平坦なバックシート及びライナーシートとを備えた3層状の気泡ボードを用いて説明したが、プラスチック中空板として、このプラスチック気泡ボードに替えて、「プラスチック段ボール」、または「プラスチック折り畳みハニカムボード」を適用しても構わない。
【0081】
「プラスチック気泡ボード」とは、本実施形態で説明したように、例えば、ポリプロピレン等の樹脂をダイから溶融した状態で押し出したシートに、多数のキャップ状の突起を真空形成し、このキャップシートの底面と頂面にそれぞれ平坦なバックシート及びライナーシートを融着させて中空構造の板としてなる成形品をいう。本発明のシート体は、3層状のものに限られず、キャップシートとバックシートとからなる2層状のものであってもよい。
【0082】
「プラスチック段ボール」とは、プラスチックの溶融押し出しにより形成された2枚のシートとそれらを連結して平行に走る多数のリブとからなる成形品をいう。また、「プラスチック折り畳みハニカムボード」とは、プラスチックシートに所定ピッチで垂直方向の部分を与え、長手方向に順次折り重ねることによって形作られるハニカム構造を有する成形品をいう。
【0083】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。