(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
[フラックス組成物]
まず、本発明のフラックス組成物について説明する。本発明に用いるフラックス組成物は、はんだ組成物におけるはんだ粉末以外の成分であり、(A)ロジン系樹脂、(B)溶剤、(C)活性剤、(D)チクソ剤および(E)酸化防止剤を含有するものである。
【0013】
[(A)成分]
本発明に用いる(A)ロジン系樹脂としては、ロジン類およびロジン系変性樹脂が挙げられる。ロジン類としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、水素添加ロジンおよびこれらの誘導体などが挙げられる。ロジン系変性樹脂としては、ディールス・アルダー反応の反応成分となり得る前記ロジン類の不飽和有機酸変性樹脂((メタ)アクリル酸などの脂肪族の不飽和一塩基酸、フマル酸、マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸などの脂肪族不飽和二塩基酸、桂皮酸などの芳香族環を有する不飽和カルボン酸等の変性樹脂)およびこれらの変性物などのアビエチン酸、並びに、これらの変性物を主成分とするものなどが挙げられる。これらのロジン系樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0014】
前記(A)成分の配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、30質量%以上70質量%以下であることが好ましく、35質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。(A)成分の配合量が前記下限未満では、はんだ付ランドの銅箔面の酸化を防止してその表面に溶融はんだを濡れやすくする、いわゆるはんだ付性が低下し、はんだボールが生じやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、フラックス残さ量が多くなる傾向にある。
【0015】
[(B)成分]
本発明に用いる(B)溶剤としては、公知の溶剤を適宜用いることができる。このような溶剤としては、沸点170℃以上の水溶性溶剤を用いることが好ましい。
このような溶剤としては、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ヘキシルジグリコール、1,5−ペン
タンジオール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、2−エチルヘキシルジグリコール(EHDG)、オクタンジオール、フェニルグリコール、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0016】
前記(B)成分の配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、20質量%以上60質量%以下であることが好ましく、30質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。溶剤の配合量が前記範囲内であれば、得られるはんだ組成物の粘度を適正な範囲に適宜調整できる。
【0017】
[(C)成分]
本発明に用いる(C)活性剤は、以下説明する(C1)成分および(C2)成分を両方含有する必要がある。
前記(C1)成分は、炭素数4〜6のジカルボン酸であり、具体的には、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0018】
前記(C1)成分の合計配合量としては、フラックス組成物100質量%に対して、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上7質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。(C1)成分の配合量が前記下限未満では、活性作用が不足してはんだボールが発生しやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、フラックス組成物の絶縁性が低下する傾向にある。
【0019】
前記(C2)成分は、下記一般式(1)で表される化合物である。
【0021】
前記一般式(1)において、R
1、R
2、R
3およびR
4は、同一でも異なっていてもよく、水素または炭素数1〜4のアルキル基を示す。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、シクロブチル基が挙げられる。また、R
1、R
2、R
3およびR
4は、水素、メチル基、エチル基、シクロプロピル基であることが好ましく、水素、メチル基であることがより好ましく、水素であることが特に好ましい。
前記(C2)成分としては、ピコリン酸、6−メチルピコリン酸、6−エチルピコリン酸、3−シクロプロピルピコリン酸、4−シクロプロピルピコリン酸、6−シクロプロピルピコリン酸、5−ブチルピコリン酸、6−シクロブチルピコリン酸などが挙げられる。これらの中でも、ピコリン酸が特に好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0022】
前記(C2)成分の合計配合量としては、フラックス組成物100質量%に対して、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上7質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。(C2)成分の配合量が前記下限未満では、はんだ塗れ広がりが低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、フラックス組成物の絶縁性が低下する傾向にある。
【0023】
前記(C)成分では、前記(C1)成分および前記(C2)成分と、これら以外の活性剤である(C3)成分を併用してもよい。
この(C3)成分としては、(C1)成分および(C2)成分以外の有機酸、非解離性のハロゲン化化合物からなる非解離型活性剤、アミン系活性剤などが挙げられる。これらの活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記有機酸としては、モノカルボン酸、(C1)成分以外のジカルボン酸などの他に、その他の有機酸が挙げられる。
【0024】
前記非解離性のハロゲン化化合物からなる非解離型活性剤としては、ハロゲン原子が共有結合により結合した非塩系の有機化合物が挙げられる。このハロゲン化化合物としては、塩素化物、臭素化物、フッ化物のように塩素、臭素、フッ素の各単独元素の共有結合による化合物でもよいが、塩素、臭素およびフッ素の任意の2つまたは全部のそれぞれの共有結合を有する化合物でもよい。これらの化合物は、水性溶媒に対する溶解性を向上させるために、例えばハロゲン化アルコールやハロゲン化カルボキシルのように水酸基やカルボキシル基などの極性基を有することが好ましい。ハロゲン化アルコールとしては、例えば2,3−ジブロモプロパノール、2,3−ジブロモブタンジオール、トランス−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ジブロモ−2−ブタノール、トリブロモネオペンチルアルコールなどの臭素化アルコール、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,4−ジクロロ−2−ブタノールなどの塩素化アルコール、3−フルオロカテコールなどのフッ素化アルコール、その他これらに類する化合物が挙げられる。ハロゲン化カルボキシルとしては、2−ヨード安息香酸、3−ヨード安息香酸、2−ヨードプロピオン酸、5−ヨードサリチル酸、5−ヨードアントラニル酸などのヨウ化カルボキシル、2−クロロ安息香酸、3−クロロプロピオン酸などの塩化カルボキシル、2,3−ジブロモプロピオン酸、2,3−ジブロモコハク酸、2−ブロモ安息香酸などの臭素化カルボキシル、その他これらに類する化合物が挙げられる。
【0025】
前記アミン系活性剤としては、アミン類(エチレンジアミンなどのポリアミンなど)、アミン塩類(トリメチロールアミン、シクロヘキシルアミン、ジエチルアミンなどのアミンやアミノアルコールなどの有機酸塩や無機酸塩(塩酸、硫酸、臭化水素酸など))、アミノ酸類(グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、バリンなど)、アミド系化合物などが挙げられる。具体的には、ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩、シクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、ジエチルアミン塩(塩酸塩、コハク酸塩、アジピン酸塩、セバシン酸塩など)、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、これらのアミンの臭化水素酸塩などが挙げられる。
【0026】
前記(C)成分の合計配合量としては、フラックス組成物100質量%に対して、1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上8質量%以下であることが特に好ましい。(C)成分の配合量が前記下限未満では、はんだボールが生じやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、フラックス組成物の絶縁性が低下する傾向にある。
【0027】
[(D)成分]
本発明に用いる(D)チクソ剤としては、硬化ひまし油、アミド類、カオリン、コロイダルシリカ、有機ベントナイト、ガラスフリットなどが挙げられる。これらのチクソ剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
前記(D)成分の配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。配合量が前記下限未満では、チクソ性が得られず、ダレが生じやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、チクソ性が高すぎて、印刷不良となりやすい傾向にある。
【0029】
[(E)成分]
本発明に用いる(E)酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
フェノール系酸化防止剤としては、分子内に置換または無置換のフェノール基を有するフェノール系酸化防止剤であり、ヒンダードフェノール構造またはハーフヒンダードフェノール構造を有するものであってもよい。
硫黄系酸化防止剤としては、分子内に硫黄およびエステル結合を有するチオエステル系酸化防止剤などが挙げられる。
【0030】
前記(E)成分の配合量としては、フラックス組成物100質量%に対して、1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上6質量%以下であることが特に好ましい。(E)成分の配合量が前記下限未満では、連続印刷時の粘度安定性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、はんだ組成物の印刷性が悪化する傾向にある。
【0031】
[他の成分]
本発明に用いるフラックス組成物には、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、前記(D)成分および前記(E)成分の他に、必要に応じて、その他の添加剤、更には、その他の樹脂を加えることができる。その他の添加剤としては、消泡剤、改質剤、つや消し剤、発泡剤などが挙げられる。その他の樹脂としては、アクリル系樹脂などが挙げられる。
【0032】
[はんだ組成物]
次に、本発明のはんだ組成物について説明する。本発明のはんだ組成物は、前記本発明のフラックス組成物と、以下説明する(F)はんだ粉末とを含有するものである。
【0033】
[(F)成分]
本発明に用いる(F)はんだ粉末は、無鉛のはんだ粉末のみからなることが好ましいが、有鉛のはんだ粉末であってもよい。このはんだ粉末におけるはんだ合金としては、スズを主成分とする合金が好ましい。また、この合金の第二元素としては、銀、銅、亜鉛、ビスマス、アンチモンなどが挙げられる。さらに、この合金には、必要に応じて他の元素(第三元素以降)を添加してもよい。他の元素としては、銅、銀、ビスマス、アンチモン、アルミニウム、インジウムなどが挙げられる。
無鉛のはんだ粉末としては、具体的には、Sn/Ag、Sn/Ag/Cu、Sn/Cu、Sn/Ag/Bi、Sn/Bi、Sn/Ag/Cu/Bi、Sn/Sbや、Sn/Zn/Bi、Sn/Zn、Sn/Zn/Al、Sn/Ag/Bi/In、Sn/Ag/Cu/Bi/In/Sb、In/Agなどが挙げられる。
【0034】
前記はんだ粉末の平均粒子径は、1μm以上40μm以下であることが好ましく、5μm以上35μm以下であることがより好ましく、15μm以上25μm以下であることが特に好ましい。平均粒子径が上記範囲内であれば、はんだ付けランドのピッチの狭くなってきている最近のプリント配線基板にも対応できる。なお、平均粒子径は、動的光散乱式の粒子径測定装置により測定できる。
【0035】
[はんだ組成物の製造方法]
本発明のはんだ組成物は、上記説明したフラックス組成物と上記説明した(F)はんだ粉末とを上記所定の割合で配合し、撹拌混合することで製造できる。
【0036】
[プリント配線基板]
次に、本発明のプリント配線基板について説明する。本発明のプリント配線基板は、以上説明したはんだ組成物を用いて電子部品をプリント配線基板に実装したことを特徴とするものである。そのため、本発明のプリント配線基板では、はんだ付け後のフラックス残さ下の銅箔の変色を十分に抑制できる。
ここで用いる塗布装置としては、スクリーン印刷機、メタルマスク印刷機、ディスペンサー、ジェットディスペンサーなどが挙げられる。
また、前記塗布装置にて塗布したはんだ組成物上に電子部品を配置し、リフロー炉により所定条件にて加熱して、前記電子部品を前記配線基板に実装するリフロー工程により、電子部品をプリント配線基板に実装できる。
【0037】
リフロー工程においては、前記はんだ組成物上に前記電子部品を配置し、リフロー炉により所定条件にて加熱する。このリフロー工程により、電子部品および配線基板の間に十分なはんだ接合を行うことができる。その結果、前記電子部品を前記配線基板に実装することができる。
リフロー条件は、はんだの融点に応じて適宜設定すればよい。例えば、Sn−Ag−Cu系のはんだ合金を用いる場合には、プリヒートを温度150〜190℃で60〜120秒行い、ピーク温度を240〜270℃に設定すればよい。
【0038】
また、本発明のはんだ組成物およびプリント配線基板は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
例えば、前記プリント配線基板では、リフロー工程により、配線基板と電子部品とを接着しているが、これに限定されない。例えば、リフロー工程に代えて、レーザー光を用いてはんだ組成物を加熱する工程(レーザー加熱工程)により、配線基板と電子部品とを接着してもよい。この場合、レーザー光源としては、特に限定されず、金属の吸収帯に合わせた波長に応じて適宜採用できる。レーザー光源としては、例えば、固体レーザー(ルビー、ガラス、YAGなど)、半導体レーザー(GaAs、InGaAsPなど)、液体レーザー(色素など)、気体レーザー(He−Ne、Ar、CO
2、エキシマーなど)が挙げられる。
【実施例】
【0039】
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例および比較例にて用いた材料を以下に示す。
((A)成分)
ロジン系樹脂:水添酸変性ロジン、商品名「パインクリスタルKE−604」、荒川化学工業社製
((B)成分)
溶剤:2−エチルヘキシルジグリコール(EHDG)
((C1)成分)
活性剤A:グルタル酸
活性剤B:アジピン酸
活性剤C:コハク酸
((C2)成分)
活性剤D:ピコリン酸(下記構造式(2)参照)
((D)成分)
チクソ剤A:商品名「スリパックスZHH」、日本化成社製
チクソ剤B:硬化ヒマシ油、商品名「ヒマ硬」、KFトレーディング社製
((E)成分)
酸化防止剤:ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]、商品名「イルガノックス245」、チバ・ジャパン社製
((F)成分)
はんだ粉末:平均粒子径20μm、はんだ融点216〜220℃、はんだ組成Sn/Ag/Cu
(他の成分)
活性剤E:ニコチン酸(下記構造式(3)参照)
活性剤F:4−ピリジンカルボン酸(下記構造式(4)参照)
【0040】
【化3】
【0041】
[実施例1]
ロジン系樹脂42質量%、溶剤40質量%、活性剤A5質量%、活性剤D1質量%、チクソ剤A6質量%、チクソ剤B3質量%および酸化防止剤3質量%を容器に投入し、プラネタリーミキサーを用いて混合してフラックス組成物を得た。
その後、得られたフラックス組成物12質量%およびはんだ粉末88質量%(合計で100質量%)を容器に投入し、プラネタリーミキサーにて混合することではんだ組成物を調製した。
【0042】
[実施例2〜7]
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、はんだ組成物を得た。
[比較例1〜4]
表2に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、はんだ組成物を得た。
【0043】
<はんだ組成物の評価>
はんだ組成物の評価(ローリング試験、洋白への塗れ性、溶融性、塗れ広がり、ランド間ボール、プリヒートだれ)を以下のような方法で行った。得られた結果を表1および表2に示す。
(1)ローリング試験(連続印刷時の増粘)
印刷機(パナソニック社製の「SP−70」)を用い、はんだ組成物をパターンを有さない版の上にのせ、印刷速度50mm/sec、印圧0.2Nの条件で24時間繰り返し印刷動作を行うローリング試験を行った。このローリング試験の前後における粘度の変化率(増粘率)を測定し、以下の基準に従って、連続印刷時の増粘を評価した。
◎:増粘率が±3%以内である。
○:増粘率が±3%以内ではないが、±10%以内である。
△:増粘率が±10%以内ではないが、±15%以内である。
×:増粘率が±15%の範囲外である。
(2)洋白への塗れ性
直径6.5mmφの開穴が設けられ、厚みが0.2mmの版を用い、はんだ組成物を洋白基板上に、印刷速度50mm/sec、印圧0.2Nの条件で印刷した。そして、印刷後の基板を目視にて観察して、印刷物の直径(塗れ広がり)と開穴の直径(開穴径)とを比較し、以下の基準に従って、洋白への塗れ性を評価した。
◎:塗れ広がりが開穴径と同等以上である。
○:塗れ広がりが開穴径と同等未満であるが、開穴径の90%以上である。
△:塗れ広がりが開穴径の80%以上90%未満である。
×:塗れ広がりが開穴径の80%未満である。
(3)溶融性
直径0.2mmφの開穴が49個設けられ、厚みが0.12mmの版を用い、はんだ組成物を基板上に、印刷速度50mm/sec、印圧0.2Nの条件で印刷した。その後、プリヒート180℃を60秒間とピーク温度260℃を10秒間の条件でリフローを行い、試験基板を作製した。試験基板の印刷箇所(49個)のうち、はんだが溶融した溶融箇所を測定し、以下の基準に従って、溶融性を評価した。
◎:溶融箇所が40個以上である。
○:溶融箇所が35個以上40個未満である。
△:溶融箇所が25個以上35個未満である。
×:溶融箇所が25個未満である。
(4)塗れ広がり
JIS Z 3197 はんだ広がり法に準拠した方法により、塗れ広がりを評価した。そして、以下の基準に従って、塗れ広がりを評価した。
◎:塗れ広がり率が80%以上である。
○:塗れ広がり率が70%以上80%未満である。
△:塗れ広がり率が50%以上70%未満である。
×:塗れ広がり率が50%未満である。
(5)ランド間ボール
2mm×10mmの銅パッド(ランド)を5mm間隔で11本有する基板上に、対応するパターンを有する版を用い、はんだ組成物を、印刷速度50mm/sec、印圧0.2Nの条件で印刷した。その後、プリヒート180℃を60秒間とピーク温度260℃を10秒間の条件でリフローを行い、試験基板を作製した。試験基板を拡大鏡にて観察して、ランド間にあるはんだボールの数(ランド間ボール数)を測定し、以下の基準に従って、ランド間ボールを評価した。
◎:ランド間ボールがない。
○:ランド間ボール数が1個以上30個未満である。
△:ランド間ボール数が30個以上50個未満である。
×:ランド間ボール数が50個以上である。
(6)プリヒートだれ
JIS Z 3284に準拠した方法により、実験を行った。そして、以下の基準に従って、プリヒートだれを評価した。
◎:プリヒートだれが0.3mm以下である。
○:プリヒートだれが0.3mm超0.4mm以下である。
△:プリヒートだれが0.4mm超0.5mm以下である。
×:プリヒートだれが0.5mm超である。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
表1および表2に示す結果からも明らかなように、本発明のはんだ組成物(実施例1〜7)は、ローリング試験、洋白への塗れ性、溶融性、塗れ広がり、ランド間ボールおよびプリヒートだれの評価が全て良好であることが確認された。従って、本発明のはんだ組成物は、はんだ塗れ広がりおよび連続印刷時の粘度安定性に優れ、かつはんだボールの発生を十分に抑制できることが確認された。
これに対し、(C1)成分および(C2)成分のいずれか一方を含有しないはんだ組成物を用いた場合(比較例1〜4)には、ローリング試験、塗れ広がりおよびランド間ボールの評価のうちのいずれかが不十分となることが分かった。